JP4115314B2 - 土壌浄化システムおよび土壌浄化方法 - Google Patents

土壌浄化システムおよび土壌浄化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌浄化システムおよび土壌の浄化方法に関し、より詳細には、鉄粉を適切に供給することができ、排土を伴うことなく土壌に鉄粉および酸化剤を行き渡らせて、土壌を浄化するシステムおよび方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
汚染土壌の浄化において、金属触媒と酸化剤との反応によって生成する強い酸化力を有するラジカルにより、トリクロロエチレンといった有機塩素化合物を酸化分解して無害化する方法(触媒酸化法)が用いられている。この方法は、金属触媒および酸化剤が汚染物質である有機塩素化合物と接触することにより、短時間で化学反応を起こし、二酸化炭素と塩化物イオンとに分解して無害化することから、従来使用されている通気井戸などから空気や温風を通気して土壌中からストリッピングする方法や土壌ガス吸引法に比べて浄化期間を大幅に短縮することができるという利点を有している。従来の土壌ガス吸引法などは、吸引したガスを分解するなどの二次処理を必要とし、また、二次処理において塩化ビニルモノマーといった副生成物が発生するため、さらなる処理が必要となるといった問題を生じていたが、触媒酸化法は、二次処理を必要とすることなく、浄化期間も短縮でき、残留性のない酸化剤と自然環境中に存在する金属触媒を使用することで、環境負荷を小さくすることができるという利点を有している。
【0003】
上記触媒酸化法を用いて汚染土壌を浄化する方法としては、上記有機塩素化合物により汚染された汚染土壌を掘削し、混練機の中に掘削した土壌と金属触媒および酸化剤とを入れ、混合し、仮置きして酸化反応の進行を待ち、浄化されたことを確認した後、浄化された土壌を再び元の位置に埋め戻す方法が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。仮置きする場所がない場合、金属触媒および酸化剤を添加して混合した後、直ちに埋め戻し、地中において酸化反応の進行を待つ方法も用いられている。
【0004】
上述した触媒酸化法を用いた汚染土壌を浄化する方法においては、土壌と、金属触媒および酸化剤とを充分に混合させて浄化することを可能にするものの、土壌を掘削して排土し、それを混練機に入れ、浄化した後に再び埋め戻すといった工程が必要であり、また、混練機の容量は決められているため、効率よく浄化を行うことができないといった問題があった。
【0005】
これらの問題に鑑み、排土し、再び埋め戻すといった工程を排除し、土壌に直接金属触媒および酸化剤を噴射し、攪拌する方法が提案されている。例えば、所定量の鉄粉を水などに混入し、ビット先端のノズルから噴射しながらボーリングを行う、原位置における鉄粉注入による汚染土壌浄化方法が提案されている(特許文献2参照)。また、先端付近に撹拌翼を有するロッドを回転させつつ、汚染地盤中に貫入する貫入工程と、汚染地盤に過酸化水素と第1鉄塩を供給する供給工程と、汚染地盤を撹拌翼によって撹拌する工程と、ロッドを引き抜く工程とを含み、撹拌工程において、過酸化水素と第1鉄塩とが供給された汚染地盤が撹拌され、汚染地盤と過酸化水素と第1鉄塩とが混合される汚染地盤の清浄化方法が提案されている(特許文献3参照)。汚染地盤を削孔して注入井を挿入し、注入井に設けられた注入用ノズルから汚染地盤中に、有害物質を不溶化させる不溶化剤を注入する汚染地盤の浄化方法が提案されている(特許文献4参照)。この浄化方法は、不溶化剤として硫酸第1鉄を用い、間欠タイミングでパルス状に噴射注入するものである。
【0006】
しかしながら、上述した方法は、水に溶解した鉄粉または硫酸第1鉄水溶液を噴射し、撹拌翼などにより撹拌して土壌と鉄および過酸化水素とを混合することを可能にし、また、不溶化剤を高圧の空気とともに送り、間欠的に噴射することで地盤中のより遠い位置まで行き渡らせることを可能にするものの、1つのノズルからでは一方向の土壌にのみ噴射されるため、ノズルの向きを変更しなければならず、また、土壌中においてノズル向きを変更することは容易ではなく、ロッドに開口部がある場合にはより遠くにまで噴射させることが困難であり、間欠的に噴射するのみでは全体に行き渡らないといった問題があった。また、現実には、鉄粉がノズルまたは開口部から噴射される際、水溶液中に均一なままで、または空気中に均一なままで噴射することは困難であり、途中のラインなどにおいて堆積し、効果的に噴射させることが困難となっており、硫酸第1鉄水溶液のように水溶液にすることで堆積や目詰まりなどを抑制することができるものの、溶液を多量に必要とするといった問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−326080号公報(第2頁−第5頁、第1図、第3図−第6図)
【特許文献2】
特開2000−135483号公報(第2頁−第6頁、第1図、第5図)
【特許文献3】
特開2001−079534号公報(第2頁−第8頁、第1図−第7図)
【特許文献4】
特開2001−129526号公報(第2頁−第5頁、第1図−第4図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、排土を伴うことなく、ライン途中において鉄粉が堆積することを抑制して効果的に鉄粉を噴射させることを可能にし、さらには広範囲に鉄粉および酸化剤を行き渡らせて土壌を浄化することを可能にする土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することにより達成される。
【0010】
すなわち、本発明の請求項1の発明によれば、先端部に切削部材と、周部に螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設される少なくとも1つの注入管とを備える撹拌部材と、
前記撹拌部材を回転可能に、かつ昇降可能に支持する支持手段と、
空気または窒素を通し、鉄粉を供給して前記空気または窒素中に該鉄粉を分散させ、前記鉄粉を分散させた前記空気または窒素中にさらに空気または窒素を供給するために少なくとも1つの分岐部を備え、前記鉄粉を分散させた空気または窒素を前記注入管に供給するラインとを含み、
前記分岐部において前記空気または窒素を供給し、前記ライン内に堆積する前記鉄粉を飛散させる土壌浄化システムが提供される。
【0011】
本発明の請求項2の発明によれば、前記システムは、前記撹拌部材を所定方向に回転させて土壌の所定深さまで掘削するとともに該土壌を撹拌し、前記撹拌部材を前記所定方向とは逆方向に回転させて地表面に向けて上昇させるとともに前記鉄粉および酸化剤を噴射し、かつ前記土壌を撹拌することを特徴とする土壌浄化システムが提供される。
【0012】
本発明の請求項3の発明によれば、前記システムは、前記鉄粉を収容し、前記鉄粉を底部から流出させる容器と、前記容器から流出させる鉄粉量を制御する弁とを含む土壌浄化システムが提供される。
【0013】
本発明の請求項4の発明によれば、前記撹拌部材は、先端部に前記切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結される中空の軸体と、前記軸体に周設される前記螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通して配設され、前記軸体を貫通して前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設され、前記鉄粉と酸化剤とを噴射するための前記少なくとも1つの注入管とを備えており、前記軸体は、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成されていることを特徴とする土壌浄化システムが提供される。
【0014】
本発明の請求項5の発明によれば、前記支持手段は、移動するための走行部と、前記撹拌部材を連結するロッドと、前記ロッドを正逆両方向に回転させるとともに該ロッドを支持する挟持部と、前記ロッドを昇降させる昇降手段とを含む土壌浄化システムが提供される。
【0015】
本発明の請求項6の発明によれば、前記システムは、さらに、前記酸化剤を収容する容器と、前記酸化剤を前記注入管に供給するための酸化剤供給手段とを含む土壌浄化システムが提供される。
【0016】
本発明の請求項7の発明によれば、先端部に切削部材と、周部に螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設される少なくとも1つの注入管とを備える撹拌部材を、前記撹拌部材を回転可能に、かつ昇降可能に支持する支持手段により回転および降下させて土壌を掘削するステップと、
空気または窒素を通し、鉄粉を供給して前記空気または窒素中に該鉄粉を分散させ、前記鉄粉を分散させた前記空気または窒素中にさらに空気または窒素を供給するために少なくとも1つの分岐部を備えるラインを通して、前記鉄粉を分散させた空気または窒素を前記注入管に供給し、前記撹拌部材を回転させながら前記注入管から前記土壌に向けて前記鉄粉を分散させた空気または窒素を噴射させるステップと、
前記螺旋状羽根の回転により前記土壌と前記鉄粉を分散させた空気または窒素とを混合するステップと、
前記分岐部において前記空気または窒素を供給し、前記ライン内に堆積する前記鉄粉を飛散させるステップとを含む、土壌浄化方法が提供される。
【0017】
本発明の請求項8の発明によれば、さらに、酸化剤供給手段により前記酸化剤を前記注入管に供給するステップを含む土壌浄化方法が提供される。
【0018】
本発明の請求項9の発明によれば、前記掘削するステップは、前記撹拌部材を所定方向に回転させて土壌の所定深さまで掘削するとともに該土壌を撹拌し、前記噴射させるステップおよび前記混合するステップは、前記撹拌部材を前記所定方向とは逆方向に回転させて地表面に向けて上昇させるとともに前記鉄粉および前記酸化剤を噴射し、かつ前記土壌を撹拌することを特徴とする土壌浄化方法が提供される。
【0019】
本発明の請求項10の発明によれば、容器の底部から前記鉄粉を流出させ、弁により前記流出させる鉄粉量を制御するステップをさらに含む土壌浄化方法が提供される。
【0020】
本発明の請求項11の発明によれば、前記撹拌部材は、先端部に前記切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結される中空の軸体と、前記軸体に周設される前記螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通して配設され、前記軸体を貫通して前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設され、前記鉄粉と酸化剤とを噴射するための前記少なくとも1つの注入管とを備えており、前記軸体は、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成されていることを特徴とする土壌浄化方法が提供される。
【0021】
本発明の請求項12の発明によれば、前記支持手段は、移動するための走行部と、前記撹拌部材を連結するロッドと、前記ロッドを正逆両方向に回転させるとともに該ロッドを支持する挟持部と、前記ロッドを昇降させる昇降手段とを含み、前記掘削するステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させ、前記昇降手段により前記ロッドを降下させるステップを含み、前記噴射させるステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させるステップを含み、前記混合するステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させ、前記昇降手段により前記ロッドを上昇させるステップを含む土壌浄化方法が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の土壌浄化システムは、特に、土壌中の有機塩素化合物といった揮発性有機化合物やその他の有機化合物を分解、除去するのに有効なシステムである。また、本発明の土壌浄化システムは、適量の鉄粉を容器から流出させ、ライン途中に空気または窒素を供給できるラインを接続することを可能にする分岐部を備えているため、ライン途中で鉄粉が堆積することなく供給することができ、土壌においては、排土を伴うことなく所定深さの土壌に鉄粉を供給することができ、さらには噴射して広範囲に鉄粉を行き渡らせるとともに撹拌して混合させることを可能にするシステムである。本発明において鉄粉を空気とともに供給する場合には酸化剤を用いても、用いなくてもよく、窒素とともに供給する場合には酸化剤が供給される。また、鉄粉とともに供給される空気または窒素は、所定の圧力を有するものとされ、本発明においては、高圧であるほうが好ましい。粉塵爆発を起こす可能性がある場合、空気に代え、窒素を供給することができ、酸素濃度を減少させるべく空気に窒素を添加して希釈することもできる。
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法について詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態では、酸化剤を使用した場合について説明するが、本発明においては、上述したように、空気とともに供給する場合には酸化剤を用いなくてもよい。また、以下では、使用する空気を圧縮空気として説明する。図1は、本発明の土壌浄化システムの概略を示した図である。図1に示す土壌浄化システム1は、先端部に切削部材2と軸体3の周部に螺旋状羽根4と鉄粉および酸化剤を噴射するための注入管とを備える撹拌部材5と、撹拌部材5を回転可能に支持し、かつ撹拌部材5を昇降可能にし、撹拌部材5の注入管などに接続されるラインを備える支持手段6と、鉄粉が収容された容器7と、酸化剤が収容された容器8と、容器7と支持手段6の上記ラインとを接続し、容器7と支持手段6の上記ラインとの間に、1つの分岐部9を有する鉄粉供給ライン10と、酸化剤を撹拌部材5に供給する酸化剤供給手段11と、容器8から酸化剤供給手段11を介して支持手段6の上記ラインに接続される酸化剤供給ライン12と、容器7を加圧する圧縮空気を供給し、容器7から排出される鉄粉を撹拌部材5に供給するのに使用される圧縮空気を供給し、さらには、鉄粉供給ライン10の途中で堆積した鉄粉を飛散させるため、分岐部9に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段13と、土壌の掘削時において使用される圧縮空気を供給するため、支持手段6に接続される圧縮空気供給ライン14とを含む構成とされている。
【0024】
図1に示す撹拌部材5は、掘削方向に向いた先端部に、土壌を掘削するための切削部材2と、掘削方向に向いた先端部から圧縮空気を噴射させることを可能にする軸体3と、掘削をスムーズに行うことを可能にし、かつ土壌を撹拌することを可能にする軸体3に周設された螺旋状羽根4と、軸体3の内部から外部へ貫通するように、螺旋状羽根4の縁部に向けて配設される図示しない注入管とを含んで構成されている。撹拌部材5は、ロッド16に連結されていて、ロッド16の回転および昇降により、土壌を掘削し、土壌を撹拌することができる。掘削中の地盤への衝撃を低減させ、撹拌部材5に揺動撹拌効果を与えて掘削を容易にし、切削部材2の掘削時の発熱を抑制するために軸体3を通して圧縮空気を噴射することができるようになっている。また、鉄粉および酸化剤を土壌中に行き渡らせて土壌の浄化を行うために、螺旋状羽根4による土壌の撹拌とともに、注入管から鉄粉および酸化剤を噴射することができるようになっている。また、撹拌部材5は、掘削時である降下時と、撹拌時である上昇時とにおいて、回転する方向を変更して排土を出さないようにすることができる。さらに、掘削して所定深さに撹拌部材5を配置した際、螺旋状羽根4上には土壌が堆積し、撹拌部材5が引き上げにくい状態となっているため、撹拌部材5の上昇方向とは逆方向である掘削方向に向けて圧縮空気を噴射させることで、撹拌部材5を効果的に上昇させることができる。なお、撹拌部材5の詳細については、図2を参照して以下に詳細に説明する。
【0025】
図1に示す支持手段6は、走行部15と、ロッド16と、挟持部17と、ロッド16を支持し、ロッド16の角度を変更可能にするアームと、ロッド16を昇降可能にする昇降手段とを含んで構成されている。走行部15は、浄化する土壌位置に移動し、また、位置を変更することを可能にするものである。ロッド16は、地面に向いた下端部に配設された撹拌部材5の回転および昇降を可能にするものである。挟持部17は、ロッド16を移動可能に、かつ回転可能に挟持するものである。また、挟持部17は、油圧駆動などによりロッド16を正逆両方向に回転させることができるものである。
【0026】
図1に示すロッド16は、上述した鉄粉供給ライン10と酸化剤供給ライン12と圧縮空気供給ライン14とを接続する接続部に連結され、撹拌部材5の注入管などにそれぞれを接続するラインを備えている。ロッド16の内部に設けられるラインは、上記3本のラインに対応して3本のラインを備えている。しかしながら、本発明においてロッド16内のラインは、鉄粉供給および酸化剤供給に1本のラインを使用し、圧縮空気を供給するラインを含めて2本のラインとすることもできる。また、ロッド16は、土壌の深さに応じて別のロッドを連結することができるようになっている。
【0027】
図1に示す容器7および容器8は、鉄粉および酸化剤を収容するために設けられる。鉄粉および酸化剤は、容器7および容器8の下部から排出されるようになっていて、容器7は、鉄粉の供給量を制御する図示しない弁に接続されていて、鉄粉を適切に流出させるために容器7内を加圧することができるようになっており、容器8は、酸化剤供給手段11にラインを介して接続されている。また、弁を通して排出された鉄粉は、さらに下部を直通する圧縮空気中に供給され、圧縮空気中に分散した状態で鉄粉供給ライン10へ供給される。
【0028】
図1に示す鉄粉ライン10は、ラインの途中に1つの分岐部9を備えており、分岐部9により分岐したラインはそれぞれ、圧縮空気供給手段13に接続されている。図1に示す分岐部9は、ロッド16上端部の接続部へ向けて立ち上がるラインの所定位置に1箇所設けられており、ライン中での圧力損失、鉄粉の自重などにより、鉄粉がロッド16の接続部へ向けて流れず、ライン途中に堆積した鉄粉を飛散させるために設けられている。
【0029】
本発明に使用される鉄粉は、圧縮空気とともに供給することができる粒径であればいかなる粒径のものであってもよいが、例えば、粒径が50μm〜150μmのものを用いることができる。また、鉄粉を供給する状態としては、圧縮空気に鉄粉を混合させ、鉄粉の粒と粒との間に空気を含んだ、空気に分散した状態で供給され、撹拌部材5の注入管から噴射されることが好ましい。鉄粉を噴射される量としては、いかなる量であってもよいが、土壌1mあたり、例えば、10kg〜100kgとすることができる。鉄粉は、粒径が一定ではなく、粒度分布があるほうが、圧縮空気中において粒と粒との間に空気を含みやすく、空気中に分散した状態になりやすいので好ましい。また、鉄粉供給の際、粉塵爆発を生じるおそれがある場合には、圧縮空気に代えて窒素を供給することができる。また、鉄粉と上記汚染物質とを適切に反応させるため、ライン内において錆を発生させないようにするために、鉄粉および圧縮空気に水分を含まないほうが好ましく、鉄粉を収容した容器7内を乾燥空気または窒素雰囲気とし、供給する圧縮空気も乾燥空気または窒素とすることができる。この場合、圧縮空気供給手段13に空気乾燥機を備えたものを使用することができる。本発明において圧縮空気は、圧力が高いほど、鉄粉供給ライン10の途中において堆積することがなくなるので好ましく、例えば、0.7MPa〜2.0MPaとすることができる。なお、鉄粉の供給量は、粉塵爆発を起こさない爆発下限界濃度未満になる量とすることができ、具体的には、空気1m中の鉄粉濃度を0.1kg以下とすることができる。
【0030】
本発明に使用される酸化剤としては、空気、過酸化水素、オゾン、過酸化カリウムや過酸化カルシウムといった過酸化物を使用することができる。本発明においては、供給する量が把握しやすく、かつ供給も容易であり、容器への収容も容易である溶液が好ましい。溶液は、水溶液であってもよく、その濃度はいかなる濃度であってもよい。また、土壌に噴射する溶液量としては、鉄粉の供給量に応じて設定することができる。なお、上記過酸化水素は、重金属やアルカリ、その他酸化されやすい有機化合物が存在しない場合、安定な物質であり、特に白金、銀、銅、鉄、クロム、マンガンなどの金属と接触すると、急激に分解し、酸素および熱を発生することが知られている。過酸化水素の分解反応は、加熱することにより促進され、上記有機塩素化合物は、過酸化水素によって酸化分解され、炭酸ガスおよび塩素に分解されることが知られている。また、過酸化水素の分解反応によって発生する酸素を土壌中に供給することにより、微生物を活性化させ、上述した有機化合物のほか、無機化合物を処理することも可能である。したがって、本発明においては、過酸化水素水を酸化剤として使用することが好ましい。
【0031】
本発明において容器7および容器8は、いかなる容量のものであってもよく、いかなる形状であってもよい。容器7は、流出される鉄粉が流出口や下部に設けられる弁から適量の鉄粉が流出されるように、内部を適宜加圧することができるような構成とすることができる。容器7の加圧は、圧縮空気を使用して行うことができる。したがって、容器7は、加圧した圧力に耐える材質のものを使用することができ、例えば、ステンレス鋼といった鋼製のホッパーを用いることができる。なお、内部を加圧するため、上部に蓋を設けることができる。本発明においては、弁などに詰まりを生じる可能性があり、容器7の外側面にバイブレータといった揺動手段を配設して容器7を揺動させ、鉄粉の詰まりを解消させることもできる。また、木製またはプラスチック製のハンマを使用して詰まりを解消することもできる。容器8は、酸化剤により腐食しない材質のものであればいかなる材質であってもよく、塩化ビニルやポリエチレンなどのプラスチック製、ステンレス製の容器を用いることができる。また、容器8の内面をテフロン(登録商標)でライニングしたものを用いることもできる。
【0032】
本発明において鉄粉供給ライン10、酸化剤供給ライン12および圧縮空気供給ライン14は、いずれも所定の径の鋼管、ゴム管、塩化ビニル管、テフロン(登録商標)管といった管を使用することができる。これらの管は、容器7、容器8、酸化剤供給手段11、圧縮空気供給手段13の設置位置に応じてその長さを決定することができる。また、これら管が長い場合には、パイプコネクタを使用することもできる。なお、酸化剤として過酸化水素を使用する場合には、金属と激しく反応して酸素を発生させるため、ゴム管、塩化ビニル管、テフロン(登録商標)管を用いることができ、鋼管を用いる場合には、内側をテフロン(登録商標)でライニングしたものを用いることができる。
【0033】
本発明の土壌浄化システム1に使用される酸化剤供給手段11としては、上述したように酸化剤に溶液を使用する場合には、ポンプを使用することができる。空気やオゾンといったガス状のものについては、圧縮機を使用することができる。これらの吐出圧力は、鉄粉を分散させた圧縮空気の供給圧力と同じ圧力であることが好ましく、圧縮空気の供給圧力に応じて決定することができる。また、圧縮空気供給手段13としては、エアドライヤ付きの空気圧縮機を使用することができる。エアドライヤとしては、所定の容器に乾燥剤といった水分を吸着する吸着剤を充填したものを用いることができる。これらの容量は、供給する空気および溶液の量に応じて適宜決定することができる。本発明においては、圧縮空気供給手段13として空気ボンベや空気カードルを使用することができ、その他、窒素ボンベ、窒素カードルを使用することもできる。また、圧縮空気供給手段13は、図1に示すように地表面に設置されていなくてもよく、車両などに搭載され、移動可能にされていてもよい。本発明においては、圧縮空気供給手段13と同様に、容器7、容器8、酸化剤供給手段11も車両などに搭載し、移動可能にしてもよい。本発明においては、1つの圧縮空気供給手段13でなくてもよく、容器7に接続される圧縮空気供給手段と、鉄粉供給ライン10に接続される圧縮空気供給手段と、分岐部9に圧縮空気を供給するための圧縮空気供給手段と、圧縮空気供給ライン14に接続される圧縮空気供給手段とのそれぞれに設けることもできる。
【0034】
図2は、本発明の土壌浄化システムに用いることができる撹拌部材の例示した図である。図2(a)に撹拌部材5の斜視図を、図2(b)に断面図を示す。図2に示す撹拌部材5は、先端部に切削部材2を備えた先導管18と、長さ方向に沿った中央部の径が大きくされ、両端部の径が小さくされた中空の軸体3と、軸体3の外側面に周設された螺旋状羽根4と、螺旋状羽根4の上面および下面に設けられた複数の突出部材19と、軸体3の長さ方向の径が大きくされた中央部において軸体3を貫通し、螺旋状羽根4の縁部に向けて配設される2本の注入管20、21とから構成されている。
【0035】
図2に示す先導管18は、軸体3にフランジ22といった連結部材を使用して連結されていて、先端部に切削部材2が設けられている。また、フランジ22にも、切削部材2の向きと同じ方向に向くように切削部材2aが設けられている。図2に示す切削部材2、2aは、鋭く尖った先端部を備えていて、硬い土壌や石なども切削することができるようになっていて、先導管18の先端部およびフランジ22に溶接などにより接合して設けることができる。図2に示す先導管18は、いかなる径、長さの管であっても良いが、軸体3の両端部の径と同じ径にすることができる。また、切削部材2、2aの形状および構造および材質は、適切に土壌を掘削することができるものであればいかなるものであっても良い。また、切削部材2、2aは、先導管18の先端部およびフランジ22に、いかなる数設けられていても良い。
【0036】
図2に示す軸体3は、中央部の径が大きくされ、その中央部の所定の長さにおいて一定の径とされていて、両端部に向けて一定の割合で径が小さくなるような形状とされている。また、中空とされていて、内部に鉄粉および酸化剤を供給するための注入管20、21の一部が挿設されている。この注入管20、21を除いた空間には、圧縮空気が流されるようになっており、掘削中の地盤への衝撃を低減させ、撹拌部材5に揺動撹拌効果を与えて掘削を容易にするとともに、切削部材2の発熱を抑制することを可能にしている。本発明において軸体3は、例えば、全体の長さを0.8m、中央部の長さ0.16mにおいて0.4mの一定の径とし、長さ方向の両端部0.32mの範囲において0.14mから0.4mの径に一定の割合で拡大した構造とすることができる。この場合、一定の割合で拡大するテーパ角が22°となる。
【0037】
図2に示す軸体3には、外側面に螺旋状に形成された螺旋状羽根4が周設されている。螺旋状羽根4は、軸体3の中央部に向けて螺旋状羽根4の径が大きくなるように形成され、螺旋状羽根4の上面および下面には、複数の突出部材19が設けられている。螺旋状羽根4は、軸体3と同様に、軸体3の長さ方向に向いた両端部から中央部に向けて羽根の径が拡大するように形成されていて、土壌中を上下にスムーズに撹拌することができる構造とされている。
【0038】
図2に示す突出部材19は、矩形の板状のものとされ、矩形とされた面が軸体3に向くように配設されている。また、突出部材19は、螺旋状羽根4の縁部および軸体3に近隣した内縁部に設けられ、矩形の角部が面取りされた構造とされている。矩形とされた板状の突出部材19の回転方向に向いた側の角部が面取りされた構造とすることにより、螺旋状羽根4の回転をスムーズにし、効果的に撹拌することができる。図2に示す撹拌部材5において、土壌を掘削する場合、螺旋状羽根4の下面に設けられた突出部材19が鋭く土壌にくい込みながら土壌を効果的に撹拌し、上面に設けられた突出部材19は、切削および撹拌された土砂をスムーズに後方に送ることができ、土壌中に石などを含んでいても、噛みにくくなっている。また、撹拌部材5を地中から地表面に向けて上昇させる場合には、螺旋状羽根4の上面に設けられた突出部材19が効果的に切削および撹拌し、下面に設けられた突出部材19がスムーズに土砂を後方に送ることができる。したがって、図2に示す撹拌部材5を使用して土壌を掘削する場合には、掘削した土砂が地上に排出されなくなる。本発明において突出部材19は、いかなる数設けられていても良く、形状も上述した矩形の板状のものでなくても螺旋状羽根4の螺旋形状に沿って矩形の板が曲げられた形状とされていても良い。
【0039】
図2に示す軸体3の中空部分には、上述したように注入管20、21の一部が挿設されていて、注入管20、21以外の軸体3の中空部分は、圧縮空気を通すことができるようになっている。図2に示す注入管20、21は、軸体3の長さ方向の中央部において注入管20、21は垂直に曲げられ、軸体3を貫通し、螺旋状羽根4の縁部に向けて延びた構造となっている。また、注入管20、21は、注入管20が軸体3の一方の面を貫通するように、注入管21がその一方の面の裏面、すなわち注入管20が突出する位置から周方向へ180°の角度となるように設けられている。本発明においては、鉄粉と酸化剤とが土壌中において接触し、適切に汚染物質の分解反応を生じさせることができるように、それぞれの注入管20、21が、軸体3の長さ方向の同じ位置となるように配設されていることが好ましく、軸体3から螺旋状羽根4に沿って突出する長さが同じであることが好ましい。なお、注入管20、21の径は、いかなる径であってもよく、例えば、1インチ〜1.5インチのものを使用することができる。
【0040】
図2においては、注入管20、21の2本を使用した場合について示しているが、本発明においては、注入管が1本であってもよく、この場合、図1に示す鉄粉供給ライン10と酸化剤供給ライン12とをT字管やY字管を使用して接続し、ロッド16のラインおよび撹拌部材5の注入管を1本とすることができる。この場合の土壌浄化は、まず、圧縮空気を流してその中に所定量の鉄粉を供給し、圧縮空気中に分散させたまま1本の注入管から所定時間噴射させ、次に、鉄粉供給を停止し、鉄粉を噴射させた位置と同じ位置において酸化剤を供給し、同じ注入管から噴射させて土壌中に供給することができる。本発明においては、鉄粉を噴射させながら所定高さまで上昇させ、鉄粉を供給したまま、または鉄粉の供給を停止した後、再び下降させ、鉄粉を供給している場合にはここで停止した後、酸化剤の供給を開始し、酸化剤を噴射させながらその所定高さまで上昇させることにより、鉄粉と酸化剤とを土壌に供給することもできる。また、本発明において注入管は、1本または2本に限らず、鉄粉に対して2本、酸化剤に対して2本といったように計4本とすることもでき、複数の注入管が配設された構造であってもよい。さらに、本発明において注入管は、螺旋状羽根4の縁部にまで延びていなくてもよく、螺旋状羽根4の中央部、または内縁部までであってもよい。しかしながら、より広範囲に噴射させるためには、螺旋状羽根4の縁部にまで延びているほうが好ましい。
【0041】
図3は、鉄粉供給ラインの分岐部を拡大して示した図である。図3に示す実施の形態では、鉄粉供給ライン10に3つの分岐部9が等間隔で設けられている。図3に示す分岐部9には、Y字形をした分岐管23が使用されていて、一方からは鉄粉を含む圧縮空気が、他方からは圧縮空気のみが供給され、分岐部9において合流する。分岐管23は、例えば、図1に示すロッド16の上端部に向けて立ち上がるラインに設けることができ、ロッド16に向けて上昇するように供給される鉄粉を含む圧縮空気において、ライン中の摩擦抵抗などの圧力損失により供給圧力が低下し、鉄粉の自重によりライン内に堆積するのを防止し、堆積したものについては飛散させることができる。本発明においては、分岐部9を通して圧縮空気を供給する必要がない場合、圧縮空気の供給を停止することができるように、また、圧縮空気の供給を停止した場合に、停止した側の管内に鉄粉が堆積しないように弁などを設けることができる。また、分岐部9は、必要に応じて必要な数だけ設けることができる。分岐部9に接続されるラインは、鉄粉を含む圧縮空気が撹拌部材5に向けて適切に供給することができるのであればいかなる径であってもよく、また、鉄粉供給ライン10に対する角度は、図1に示すロッド16の鉄粉供給ライン10が接続する部分であるロッド16の先端部に向けて、堆積した鉄粉を適切に飛散させることができる角度とすることができる。本発明においては、上記分岐管23に限らず、溶接によって分岐ラインを設けることもできる。また、鉄粉の堆積は、例えば、鉄粉供給ライン10に設けられる圧力計により検知することができる。
【0042】
図4は、鉄粉を収容する容器まわりの概略を示した図である。図4に示す容器7は、図示しない圧縮空気供給手段にライン24を介して接続されていて、容器7の下部には、鉄粉の供給量を制御するための弁25が設けられている。また、容器7は、内部を加圧できるように上部に蓋26が設けられ、蓋26で内部が封止されている。さらに、容器7内には、一定粒径とはされていない鉄粉27が充填されている。弁25には、T字管28が接続されていて、T字管28の一方にはライン29が、他方にはライン10が接続されている。ライン29は、ライン24から分岐されたラインとされている。
【0043】
図4に示す実施の形態では、容器7がホッパーのような底開式のじょうご型の容器とされていて、弁25を開くことにより容器7に収容された鉄粉27が落下するようになっている。しかしながら、内部に充填されているものが様々な粒径を有する鉄粉であるため、詰まりやすく、所定量の鉄粉を供給することができないという問題が生じる。適量の鉄粉を供給するために容器7の内部を適宜加圧することができ、また、詰まりを生じた場合には、容器7を揺動させることができる。容器7の揺動としては、木製またはプラスチック製のハンマを用いて、または、容器7の側部にバイブレータといった揺動手段を配設し、必要に応じて揺動させることで詰まりを解消することができる。また、容器7から流出される鉄粉は、ライン29からライン10へと流れる圧縮空気中に適切に分散される量とすることができ、T字管28に堆積しない量とすることができる。さらに、図4に示す実施の形態では、圧縮空気をライン29からライン10へと流すことによりエジェクター効果を得ることができ、このエジェクター効果により鉄粉を吸引することができるようになっている。容器7内部の加圧および上記エジェクター効果により、弁25などでの鉄粉27の詰まりを低減させることができる。本発明においては、T字管28を使用しなくてもよく、ライン24に接続されるラインを1本の鉄粉供給ライン10とし、その途中に穴を設け、その穴に連続する別のラインを溶接し、上記T字管と同様の構造とすることができる。この場合、その別のラインに弁25を接続することができる。
【0044】
図5〜図7を用いて本発明の土壌の浄化方法について詳細に説明する。本発明の土壌の浄化方法は、図1〜図4に示す土壌浄化システムを用いて行うことができる。図5は、撹拌部材5を連結した支持手段6を土壌の所定位置に配置し、撹拌部材5により土壌を掘削しているところを示した図である。図5に示す支持手段6は、走行部15、ロッド16、挟持部17のほか、アーム30および昇降手段31を備えている。アーム30は、地表面32に対するロッド16の角度を調整することを可能にするものであり、昇降手段31は、ロッド16を昇降可能にするものである。
【0045】
まず、走行部15により浄化したい位置にロッド16を配置し、アーム30を使用して地面に対してロッド16が垂直になるように調整する。挟持部17によりロッド16を回転させ、昇降手段31によりロッド16を降下させて土壌を掘削する。土壌の掘削は、撹拌部材5の先端部に設けられた切削部材2を使用して行われる。また、掘削中の地盤への衝撃を低減させ、撹拌部材5に揺動撹拌効果を与えて掘削を容易にするため、図1に示す圧縮空気供給手段13から圧縮空気が供給される。圧縮空気は、圧縮空気供給ライン14を通り、ロッド16内のラインおよび撹拌部材5の軸体3内を通って先端部から噴射される。なお、圧縮空気の噴射は、撹拌部材5の揺動撹拌効果、切削部材2の冷却効果のほか、軸体3内へ土壌が入り込むことを防止する効果もある。図1に示す圧縮空気供給手段13は、土壌の浄化区域外に設置され、ロッド16と圧縮空気供給手段13とは圧縮空気供給ライン14により接続されている。また、ロッド16の長さが足りない場合には、挟持部17によるロッド16の回転方向を変え、昇降手段31によりロッド16を上昇させる。撹拌部材5が地上に露出したところで、ロッド16の上昇を停止し、挟持部17による回転を停止した後、延長するロッドを連結する。連結した後、上記掘削時と同様にし、同様の回転方向で土壌の掘削を行うことができる。
【0046】
図6は、撹拌部材5により所定深さまで土壌を掘削し、鉄粉および酸化剤を供給しているところを示した図である。図5に示すようにして所定深さまで土壌を掘削した後、挟持部17によるロッド16の回転方向を変える。鉄粉および酸化剤の供給があるまで上昇させずに、回転させたまま停止しておく。本発明においては、ロッド16の回転を停止しておくこともできる。圧縮空気供給手段13と同様に土壌の浄化区域外に設置された容器7、容器8から鉄粉および酸化剤の供給を開始する。鉄粉は、容器7の下部に設けられた弁を開けることにより供給することができる。この場合、予め鉄粉供給ライン10に圧縮空気を流しておく。
【0047】
弁を開けることで鉄粉は圧縮空気中に供給され、鉄粉供給ライン10内では分散した状態とされ、ロッド16中のラインを通して注入管20へ供給される。また、鉄粉を供給後、適宜圧力計によるライン内の圧力を測定する。ライン内で圧力降下を検知した場合、鉄粉供給ライン10の途中において鉄粉の堆積が生じており、この場合に、分岐部9へ圧縮空気を供給して堆積した鉄粉を飛散させることができる。本発明においては、堆積が生じていることを検知するか否かにかかわらず、所定時間間隔で圧縮空気を供給することもできる。また、酸化剤供給手段11により容器8に収容された酸化剤を供給する。例えば、酸化剤供給手段11がポンプであれば、容器8からポンプにまで酸化剤を満たしておき、ポンプを起動させることにより酸化剤を供給することができる。酸化剤の供給は、酸化剤供給ライン12を通して行われる。
【0048】
弁において鉄粉が詰まった場合、弁の開度を変えたり、容器7を揺動させることにより詰まりを解消することができる。また、鉄粉供給ライン10において鉄粉の堆積を生じた場合、分岐部9に圧縮空気を供給することで堆積を解消することができるが、本発明においては、必要に応じてさらに高圧の空気を分岐部9に供給して、より効果的にライン中に堆積した鉄粉を飛散させることができる。なお、粉塵爆発の危険性がある場合には、圧縮空気に代えて窒素ガスを使用することができる。
【0049】
図7は、撹拌部材5を上昇させながら鉄粉および酸化剤を噴射し、土壌を撹拌しているところを示した図である。注入管20および注入管21から鉄粉を含む圧縮空気および酸化剤の噴射が開始された後、昇降手段31によりロッド16を上昇させ、注入管20、21からの鉄粉および酸化剤の噴射とともに、螺旋状羽根4による土壌の撹拌を行う。図6に示す実施の形態においてロッド16の回転が停止されていれば、回転を開始した後、昇降手段31によりロッド16を上昇させることができる。本発明においては、土壌と鉄粉および酸化剤とを充分に混合させるため、上昇速度が小さいほうが好ましいが、小さすぎる場合、作業効率が低下するため、例えば、毎分0.05m〜毎分0.15mとすることができる。また、本発明においては、土壌中に充分に鉄粉および酸化剤を混合させるため、撹拌部材5が地表面32の近くまで上昇したところで、再び掘削時と同様の回転方向とし、ロッド16を降下させつつ、鉄粉および酸化剤の噴射を行うことができる。
【0050】
本発明においては、撹拌部材5が地表面32の近くまで上昇したところで、弁を閉止して鉄粉の供給を停止し、酸化剤供給手段11による供給を停止して酸化剤の供給を停止し、圧縮空気供給手段13による圧縮空気の供給を停止する。撹拌部材5をさらに上昇させ、地表面32から撹拌部材5が離間された状態となった後、走行部15により次の浄化位置に移動し、再び上述したようにして掘削、鉄粉および酸化剤の噴射、撹拌を行うことができる。
【0051】
本発明を上述した実施の形態をもって詳細に説明してきたが、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、同様の効果を得ることができるものであれば、撹拌部材は上述した形状に限らず、いかなる大きさ、螺旋状羽根の巻数、鉄粉および酸化剤の注入管の配設位置であっても良く、容器もいかなる形状および構造であってもよく、圧縮空気中に鉄粉を分散させた状態にすることができるのであれば、その他いかなる部材でも使用することができるものである。
【0052】
【発明の効果】
上述したように、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することにより、排土を伴うことなく、ライン途中において鉄粉が堆積することを抑制して効果的に鉄粉を噴射させることを可能にし、さらには広範囲に鉄粉および酸化剤を行き渡らせて土壌を浄化することが可能となる。
【0053】
また、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することにより、撹拌部材を回転させながら土壌中を上下に移動させることにより浄化効率が向上する。さらに、表面付近の土壌だけではなく、所定深さの土壌を浄化することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の土壌浄化システムの概略を示した図。
【図2】 本発明の土壌浄化システムに用いることができる撹拌部材の例示した図。
【図3】 本発明の土壌浄化システムに用いることができる鉄粉供給ラインの分岐部を拡大して示した図。
【図4】 本発明の土壌浄化システムの鉄粉を収容する容器まわりの概略を示した図。
【図5】 撹拌部材を連結した支持手段を土壌の所定位置に配置し、撹拌部材により土壌を掘削しているところを示した図。
【図6】 撹拌部材により所定深さまで土壌を掘削し、鉄粉および酸化剤を供給しているところを示した図。
【図7】 撹拌部材を上昇させながら鉄粉および酸化剤を噴射し、土壌を撹拌しているところを示した図。
【符号の説明】
1…土壌浄化システム
2、2a…切削部材
3…軸体
4…螺旋状羽根
5…撹拌部材
6…支持手段
7…容器
8…容器
9…分岐部
10…鉄粉供給ライン
11…酸化剤供給手段
12…酸化剤供給ライン
13…圧縮空気供給手段
14…圧縮空気供給ライン
15…走行部
16…ロッド
17…挟持部
18…先導管
19…突出部材
20…注入管
21…注入管
22…フランジ
23…分岐管
24…ライン
25…弁
26…蓋
27…鉄粉
28…T字管
29…ライン
30…アーム
31…昇降手段
32…地表面

Claims (9)

  1. 先端部切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結され、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成された中空の軸体と、前記軸体の一方の端部から他方の端部へとわたって螺旋状に周設され、前記両端部から前記中央部に向けて羽根の径が大きくされた螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通して配設され、前記軸体を貫通して前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設された鉄粉を噴射するための鉄粉注入管および酸化剤を噴射させるための酸化剤注入管とを備える撹拌部材と、
    前記撹拌部材を回転可能に、かつ昇降可能に支持する支持手段と、
    空気または窒素を通し、鉄粉を供給して前記空気または窒素中に該鉄粉を分散させ、前記鉄粉を分散させた前記空気または窒素中にさらに空気または窒素を供給するために少なくとも1つの分岐部を備え、前記鉄粉を分散させた空気または窒素を前記鉄粉注入管に供給する鉄粉供給ラインおよび前記酸化剤注入管へ該酸化剤を供給するための酸化剤供給ラインとを含み、
    前記分岐部において前記空気または窒素を供給し、前記鉄粉供給ライン内に堆積する前記鉄粉を飛散させる、土壌浄化システム。
  2. 前記システムは、前記撹拌部材を所定方向に回転させて土壌の所定深さまで掘削するとともに該土壌を撹拌し、前記撹拌部材を前記所定方向とは逆方向に回転させて地表面に向けて上昇させるとともに前記鉄粉および前記酸化剤を前記鉄粉注入管および前記酸化剤注入管から噴射し、かつ前記土壌を撹拌することを特徴とする、請求項1に記載の土壌浄化システム。
  3. 前記システムは、前記鉄粉を収容し、前記鉄粉を底部から流出させる容器と、前記容器から流出させる鉄粉量を制御する弁とを含む、請求項1または2に記載の土壌浄化システム。
  4. 前記支持手段は、移動するための走行部と、前記撹拌部材を連結するロッドと、前記ロッドを正逆両方向に回転させるとともに該ロッドを支持する挟持部と、前記ロッドを昇降させる昇降手段とを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の土壌浄化システム。
  5. 前記システムは、さらに、前記酸化剤を収容する容器と、前記酸化剤を前記酸化剤注入管に供給するための酸化剤供給手段とを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の土壌浄化システム。
  6. 先端部切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結され、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成された中空の軸体と、前記軸体の一方の端部から他方の端部へとわたって螺旋状に周設され、前記両端部から前記中央部に向けて羽根の径が大きくされた螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通して配設され、前記軸体を貫通して前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設された鉄粉を噴射するための鉄粉注入管および酸化剤を噴射させるための酸化剤注入管とを備える撹拌部材を、前記撹拌部材を回転可能に、かつ昇降可能に支持する支持手段により回転および降下させて土壌を掘削するステップと、
    空気または窒素を通し、鉄粉を供給して前記空気または窒素中に該鉄粉を分散させ、前記鉄粉を分散させた前記空気または窒素中にさらに空気または窒素を供給するために少なくとも1つの分岐部を備える鉄粉供給ラインを通して、前記鉄粉を分散させた空気または窒素を前記鉄粉注入管に供給し、前記酸化剤供給手段により前記酸化剤を酸化剤供給ラインを通して前記酸化剤注入管に供給し、前記撹拌部材を回転させながら前記鉄粉注入管から前記土壌に向けて前記鉄粉を分散させた空気または窒素を噴射させるとともに、前記酸化剤注入管から前記土壌に向けて前記酸化剤を噴射させるステップと、
    前記螺旋状羽根の回転により前記土壌と前記鉄粉を分散させた空気または窒素と前記酸化剤とを混合するステップと、
    前記分岐部において前記空気または窒素を供給し、前記鉄粉供給ライン内に堆積する前記鉄粉を飛散させるステップとを含む、土壌浄化方法。
  7. 前記掘削するステップは、前記撹拌部材を所定方向に回転させて土壌の所定深さまで掘削するとともに該土壌を撹拌し、前記噴射させるステップおよび前記混合するステップは、前記撹拌部材を前記所定方向とは逆方向に回転させて地表面に向けて上昇させるとともに前記鉄粉および前記酸化剤を噴射し、かつ前記土壌を撹拌することを特徴とする、請求項に記載の土壌浄化方法。
  8. 容器の底部から前記鉄粉を流出させ、弁により前記流出させる鉄粉量を制御するステップをさらに含む、請求項6または7に記載の土壌浄化方法。
  9. 前記支持手段は、移動するための走行部と、前記撹拌部材を連結するロッドと、前記ロッドを正逆両方向に回転させるとともに該ロッドを支持する挟持部と、前記ロッドを昇降させる昇降手段とを含み、前記掘削するステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させ、前記昇降手段により前記ロッドを降下させるステップを含み、前記噴射させるステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させるステップを含み、前記混合するステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させ、前記昇降手段により前記ロッドを上昇させるステップを含む、請求項のいずれか1項に記載の土壌浄化方法。
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