JP4356279B2 - 芳香族系高分子ホスホン酸類、その製造方法及びその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族系高分子ホスホン酸類に関し、詳しくはホスホン酸が芳香環に直接結合した芳香族系高分子ホスホン酸類、その製造方法、及びこれらの化合物の用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
芳香族系高分子ホスホン酸類は、固体高分子形(高分子電解質形)燃料電池用の材料等として有用である。例えば、ホスホン酸基等がメチレン基を介して芳香環に結合した重合体が提案されており、このものは、ポリ(2,6-ジメチル‐1,4-フェニレンオキシド)等のメチル基をハロゲン化し、次いでこれに亜リン酸トリアルキルを反応させて製造することも提案されている(例えば、特表平11−503262号公報、J.Appl.Poly.Sci.,18 1974(1969))。
しかしながら、ホスホン酸基等が芳香環に直接結合した重合体は知られていない。
【0003】
本発明者等は、ホスホン酸基等が芳香環に直接結合した重合体を提供すべく、その製造方法について鋭意検討を重ねた結果、ポリエーテル系という特定の芳香族系高分子化合物をブロモ化剤でブロモ化した後、ハロゲン化ニッケル触媒存在下、これに亜リン酸トリアルキルを作用させることによりホスホン酸ジエステルが、さらにこのジエステルを加水分解することにより、ホスホン酸モノエステル、ホスホン酸等が生成し、ホスホン酸基等が芳香環に直接結合した重合体が容易に製造し得ることを見出すとともに、これらの芳香族系高分子ホスホン酸類は、固体高分子形燃料電池用の材料として要求される耐ラジカル性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、一般式(2)
Figure 0004356279
に対するyの比が0.01〜100の範囲である。−Z−は−SO2−または−CO−を表し、x個ある−Z−は互いに同一であっても異なっていてもよい。−Ar−は置換されていてもよいフェニレン基又は置換されていてもよいビフェニルジイル基を表し、y個ある−Ar−は互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R'はそれぞれ独立にアルキル基を表す。ただし、「−(P(O)(OR)(OR’))n」の表記は、−P(O)(OR)(OR’)で表される基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−表される繰り返し単位当たりn個(nは2以下の正の数)であることを意味し、「−(Br)m」の表記は、Br基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たり平均m個(mは0〜2の正の数)であることを意味し、n+mは2以下である。)
【0005】
又は遊離酸の形が一般式(3)
Figure 0004356279
(式中、−Z−、x、y、−Ar−、m、nは前記と同じ意味を表し、R''は水素又はアルキル基をあらわす。)
で示される実用的に優れた芳香族系高分子ホスホン酸類を提供するものである。
【0006】
また本発明は、一般式(1)
一般式(1)
Figure 0004356279
(式中、x、yはそれぞれ繰り返し単位の数を表し、xとyの和が10〜100000の範囲、xに対するyの比が0.01〜100の範囲である。−Z−は−SO 2 −または−CO−を表し、x個ある−Z−は互いに同一であっても異なっていてもよい。−Ar−はヘテロ元素を含んでいてもよい炭素数4〜18の2価の芳香族系の基を表し、該−Ar−は置換基を有していてもよく、y個ある−Ar−は互いに同一であっても異なっていても良い。
【0007】
で示される芳香族系高分子化合物をブロモ化剤でブロモ化した後、有機溶媒中ハロゲン化ニッケル触媒存在下、これに一般式(4)
P(OR)(OR')(OR''') (4)
(R、R'、R'''はそれぞれ独立にアルキル基をあらわす。)
で示される亜リン酸トリアルキルを作用させることを特徴とする前記一般式(2)で示されるホスホン酸ジエステルの製造方法、さらにはこのジエステルを加水分解することを特徴とする遊離酸の形が前記一般式(3)で示されるホスホン酸モノエステル及び/又はホスホン酸の製造方法並びにこれら芳香族系高分子ホスホン酸類の用途を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で使用される芳香族系高分子化合物は、前記一般式(1)で示されるものであり、式中、x、yはそれぞれ繰り返し単位の数を表し、xとyの和が10〜100000の範囲、xに対するyの比が0.01〜100の範囲である。−Z−は−SO2−または−CO−を表し、x個あるzは互いに同一であっても異なっていてもよい。−Ar−は置換されていてもよいフェニレン基又は置換されていてもよいビフェニルジイル基を表し、y個ある−Ar−は互いに同一であっても異なっていても良い。R、R'はそれぞれ独立にアルキル基を表す。m、nはそれぞれ繰り返し単位当りの平均置換基数を表し、mは0〜、nは以下の正の数を表し、mとnの和は以下である。
【0011】
またこれらの基は、置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば次のようなものが例示される。メチル基、エチル基、2−プロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基などの、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状または分岐状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基などの、ハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状または分岐状のアルコキシ基;フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、スルホフェニル基などの、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ハロゲン原子またはスルホン酸基で置換されていてもよいフェニル基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、スルホフェノキシ基などのアルキル基、アルコキシ基またはスルホン酸基で置換されていてもよいフェノキシ基;エトキシカルボニル基などのアルキルオキシカルボニル基;エチルカルボニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基;アミノカルボキシ基またはN−アルキルアミノカルボキシ基;アミノ基、ジメチルアミノ基などの、窒素原子がアルキル基で置換されていてもよいアミノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;ウレイド基;アシルアミノ基;カルボキシル基;ヒドロキシ基;シアノ基;スルホン酸基;アミノスルホニル基などが挙げられる。
【0012】
本発明における −Ar−の好ましい例としては、例えば、o−フェニレン(1,2−フェニレン)基、m−フェニレン(1,3−フェニレン)基、p−フェニレン(1,4−フェニレン)基、3−メチル−1,2−フェニレン基、3−エチル−1,2−フェニレン基、3−メトキシ−1,2−フェニレン基、3−エトキシ−1,2−フェニレン基、3−ブロモ−1,2−フェニレン基、3−クロロ−1,2−フェニレン基、3,6−ジメチル−1,2−フェニレン基、4,5−ジブロモ−1,2−フェニレン基、2−メチル−1,3−フェニレン基、2−エチル−1,3−フェニレン基、2−メトキシ−1,3−フェニレン基、2−エトキシ−1,3−フェニレン基、2−ブロモ−1,3−フェニレン基、2−クロロ−1,3−フェニレン基、5−メチル−1,3−フェニレン基、5−ブロモ−1,3−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、2−エチル−1,4−フェニレン基、2−メトキシ−1,4−フェニレン基、2−エトキシ−1,4−フェニレン基、2−ブロモ−1,4−フェニレン基、2−クロロ−1,4−フェニレン基、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン基、2,6−ジブロモ−1,4−フェニレン基、2−フェニル−1,4−フェニレン基、2,3−ジフェニル−1,4−フェニレン基等の置換されていてもよいフェニレン基、
【0013】
ビフェニル−4,4’−ジイル基、ビフェニル−3,3'−ジイル基、3,3'−ジフェニルビフェニル−4,4'−ジイル基、3,3'−ビスフェノキシビフェニル−4,4'−ジイル基、3,3'−ジクロロビフェニル−4,4'−ジイル基、3,3'−ジブロモビフェニル−4,4'−ジイル基、2,2'−ジクロロビフェニル−3,3'−ジイル基、2,2'−ジブロモビフェニル−3,3'−ジイル基、4,4'−ジクロロビフェニル−3,3'−ジイル基、4,4'−ジブロモビフェニル−3,3'−ジイル基等の置換されていてもよいビフェニルジイル基などが挙げられる。
【0014】
中でも、−Ar−は、置換されていてもよいフェニレン基又は置換されていてもよいビフェニルジイル基であることが好ましく、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ビフェニル−4,4'−ジイル基、ビフェニル−3,3'−ジイル基等が特に好ましい。
【0015】
x、yはそれぞれ繰り返し単位の数を表し、xとyの和は10〜100000の範囲、好ましくは100〜10000の範囲である。またxに対するyの比は0.01〜100の範囲、好ましくは0.05〜10の範囲である。x個ある−z−は、互いに同一であっても異なっていてもよく、すなわち−SO2−、−CO−のいずれか一方のみであっても、両者を含んでいてもよい。またy個ある−Ar−は、互いに同一であっても異なっていてもよく、すなわち複数種から構成されていてもよい。通常、yに対応する−Ar−部位の方が求電子置換反応を受け易いので、yが大きいほど全体としてブロモ化度の高い共重合体を得やすく、即ちホスホン酸基の導入率を高くできる。一般的にはxに対するyの比を0.1から10の範囲で調製して、共重合体の諸物性を所望の範囲に調整することができる。
【0016】
芳香族系高分子化合物(1)は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。これらは、それぞれ対応するコモノマーおよびそれらの比率、重合方法を選び、公知の方法に準じて得ることができる。これらの重合度は、特に制限は無いが、通常10〜10 4 程度、分子量にして通常10 3 〜10 6 程度のものが使用される。重合度が、10未満では機械的強度が低くなる傾向にあり、成膜性に問題が生じる恐れがあり、また10 4 を大きく超えると溶媒への溶解性が低下する傾向にあり、キャスト製膜などの加工性、成形性に問題が生じるおそれがあるので、いずれの場合も好ましくない。
【0017】
次に、芳香族系高分子化合物(1)をブロモ化剤でブロモ化する工程について説明する。
ブロモ化工程は、通常、有機溶媒中、芳香族系高分子化合物(1)に、臭素、N−ブロモこはく酸イミドなどのブロモ化剤を作用させることによって実施される。ここで用いられる有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸やそれらの混合溶媒などが挙げられる。有機溶媒の選択においては、用いる芳香族系高分子化合物(1)の溶解度ができるだけ高いものが好ましい。反応は室温から溶媒の還流温度において実施し得るが、必要に応じて、室温以下に冷却してもよい。また、鉄粉などの触媒を用いてもよい。
【0018】
ブロモ化剤としては、N−ブロモこはく酸イミドを用いることが好ましく、この場合は、強酸を共存させることが好ましい。ここで、強酸としては、例えば硫酸、塩酸などの鉱酸やトリフルオロ酢酸などの有機酸が挙げられるが、硫酸が好ましく使用される。また強酸と有機溶媒の比率としては、通常、強酸に対して有機溶媒を0.3から20重量倍、好ましくは5から10重量倍である。混合溶媒の量は芳香族高分子化合物の5乃至50重量倍が好ましく、中でも10乃至30重量倍が特に好ましい。混合は任意の順序で行える。予め両者を混合しておいたところへ芳香族系高分子化合物およびブロモ化試剤であるN−ブロモこはく酸イミドを加える方法でもよいが、芳香族系高分子化合物およびブロモ化試剤の有機溶媒溶液あるいはスラリーへ強酸、たとえば硫酸を徐々に添加する方法が好ましい。
N−ブロモこはく酸イミドを用いる場合は、ブロモ化は、通常0℃から30℃の範囲で実施される。反応温度が高過ぎると、強酸として硫酸を用いたときには、スルホ化反応が進行してしまうことがある。
【0019】
ブロモ化芳香族系高分子化合物の取り出し精製方法は、通常の方法が使用し得る。例えば、貧溶媒を加えるなどしてブロモ化した芳香族系高分子化合物を析出させ、濾別などにより目的物を取り出したあと、水洗や、良溶媒と貧溶媒を用いての再沈殿精製などを行うことができる。
芳香族系高分子化合物のブロモ化度は、NMR測定、有機元素分析など通常の手段で求めることができる。
【0020】
次に、ブロモ化芳香族系高分子化合物に一般式(4)
P(OR)(OR')(OR''') (4)
(R、R'、R'''はそれぞれ独立にアルキル基をあらわす。)
で示される亜リン酸トリアルキルを作用させてホスホン酸ジエステル(2)を製造する工程について説明する。
本工程は、通常、有機溶媒中ハロゲン化ニッケル触媒存在下で実施されるが、ここで用いる有機溶媒としてはアミド化合物が好ましく、その例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。中でもN,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。有機溶媒の選択においては、基質として用いるブロモ化芳香族系高分子化合物の溶解度ができるだけ高いものが好ましい。有機溶媒は、ブロモ化芳香族系高分子化合物に対して、通常3〜100重量倍程度使用される。好ましくは4〜20重量倍程度である。
またハロゲン化ニッケル触媒としては、ニッケル(II)の化合物が好ましく、中でも、塩化ニッケル(II)が好ましく使用される。ハロゲン化ニッケル触媒は、ブロモ化芳香族系高分子化合物に対して、ブロモ換算で、通常1〜3モル倍程度使用される。好ましくは1.5〜2モル倍程度である。1モル倍を下回ると、ブロモ基の残存が多くなる。
亜リン酸トリアルキル(4)としては、アルキル部分R、R'、 R'''の炭素数が1〜22のものが挙げられる。なかでもアルキル部分は、が炭素数4以下の直鎖状または分枝状のアルキルであるものが好ましく使用され、かかるアルキルは異なっていても、同一であっても良い。より好ましくは、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル等である。亜リン酸トリアルキルは、ハロゲン化ニッケル触媒に対して、通常1.2〜2モル倍程度、ブロモ化芳香族系高分子化合物に対しては、ブロモ換算で1.2〜5モル倍程度使用される。
【0021】
反応は、通常、ブロモ化芳香族系高分子化合物とハロゲン化ニッケルを有機溶媒に加えて、反応混合物が青色を呈するまで加熱攪拌し、次いで亜リン酸トリアルキルを加えることにより実施される。ここで、亜リン酸トリアルキルとの反応温度は、90℃以上で行うのが好ましく、有機溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを用いた場合には還流下に実施するのがさらに好ましい。このような条件を採用することで、ブロモ基からホスホン酸ジエステルへの転化率を向上させることができる。
反応時間は、ブロモ化芳香族系高分子化合物の種類、溶媒、温度などに依存するが、例えば、溶媒として、N,N‐ジメチルホルムアミドを用いて還流下に実施した場合には、通常1〜24時間程度の範囲である。
ホスホン酸ジエステル(2)を反応混合物から取り出す場合、精製する場合は、通常の方法が使用し得る。例えば、貧溶媒を加えるなどしてホスホン酸ジエステル(2)を析出させ、濾別などにより目的物を取り出方法、更に水洗や、良溶媒と貧溶媒を用いての再沈殿などにより精製を行う方法等が挙げられる。
【0022】
次に、ホスホン酸ジエステル(2)を加水分解することにより、一般式(3)で示されるホスホン酸モノエステル及び/又はホスホン酸を製造する工程について説明する。
ホスホン酸ジエステル(2)の加水分解は、反応混合物から該ホスホン酸ジエステルを一旦取り出してから行っても、反応混合物に引き続き加水分解試剤を加えて行ってもよい。加水分解の方法としては、公知の種々の方法に準拠することができる。例えば、▲1▼水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液と、アミド系またはエーテル系の溶媒に溶解または部分的に溶解したホスホン酸ジエステルを混合加熱する方法、▲2▼ホスホン酸ジエステル(2)にトリメチルシリルヨージド等のトリアルキルシリルハライドを作用させた後、水を加えて加水分解する方法(Tetrahedron Lett. No.2, 1977, 155-158, J. C. S. Chem. Comm., 1978, 870-871.)、▲3▼酸の水溶液を用いて加水分解する方法などが挙げられる。▲1▼の方法では主にジエステルのモノ加水分解物(R''がアルキル基の場合、ホスホン酸モノエステル)が、▲2▼、▲3▼の方法では主にホスホン酸(R''が水素の場合)が得られる。
【0023】
▲1▼の加水分解方法の1例として、アルカリを、ホスホン酸エステル基換算で1モル倍以上、通常大過剰含む水溶液と、ホスホン酸ジエステル(2)をアミド系またはエーテル系の溶媒に溶解または部分溶解した混合液を、ホスホン酸ジエステル(2)が少なくとも部分溶解するように混合し、該混合物の還流温度で実施する方法が例示できる。
【0024】
また、の加水分解方法の1例として、ホスホン酸ジエステル(2)をアミド系またはエーテル系の溶媒に溶解または部分溶解した混合液を‐50℃〜室温程度で冷却し、これにトリアルキルハライドをホスホン酸換算で2〜10モル倍程度加え、次いで0〜100℃程度で保温した後、水を加え0〜100℃で保温する方法が例示できる。もちろんトリアルキルシリルハライドを反応させた後、一旦取り出し、水または水と有機溶媒の混合液中で加水分解する方法であってもよい。またの加水分解方法の1例として、ホスホン酸ジエステル(2)を塩酸水溶液を含む溶媒に溶解またはスラリー化した混合液を室温〜還流温度、好ましくは80℃〜還流温度で攪拌する方法が例示できる。塩酸水溶液を含む溶媒としては、10〜35%塩酸水溶液および該水溶液と他の溶媒との混合溶媒が例示され、かかる他の溶媒としては、アルコール類、ケトン類、ジメチルスルホキシドやN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性溶媒などが挙げられる。
【0025】
生成した一般式(3)で示されるホスホン酸モノエステル及び/又はホスホン酸は、通常の方法により、反応混合物から取り出すことができる。例えば、貧溶媒を加えるなどしてホスホン酸類を析出させ、濾別などにより目的物を取り出すことができる。また必要に応じて、更に水洗や、良溶媒と貧溶媒を用いての再沈殿などの通常の精製方法により精製することもできる。
尚、一般式(3)で示されるホスホン酸モノエステル及び/又はホスホン酸は、塩または部分的に塩であっても良く、この場合、カチオンとしてはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンが挙げられ、特にリチウム、ナトリウム、カリウムが好ましい。
【0026】
かくして、本発明の目的とする一般式(2)で示されるホスホン酸ジエステル及び一般式(3)で示されるホスホン酸モノエステル及び/又はホスホン酸が得られるが、これら芳香族系高分子ホスホン酸類は、高分子電解質等の固体高分子形燃料電池用の材料として有用である。
【0027】
本発明の芳香族系高分子ホスホン酸類を燃料電池に使用する際には、通常、膜の状態で使用される。本発明の芳香族系高分子ホスホン酸類を高分子電解質膜へ転化する方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましい。
具体的には、本発明の芳香族系高分子ホスホン酸類(2)、(3)を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより高分子電解質膜が作成される。製膜に用いる溶媒は、芳香族系高分子ホスホン酸類を溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等がポリマーの溶解性が高く好ましい。
【0028】
本発明の芳香族系高分子ホスホン酸類を燃料電池に使用する際には、芳香族系高分子ホスホン酸類を支持体と複合化する事により得られる高分子電解質複合膜を用いることもできる。
ここで、支持体は、芳香族系高分子ホスホン酸類を含浸する母材となるものであり、主に芳香族系高分子ホスホン酸類の強度や柔軟性、耐久性のさらなる向上のために使用される。そのため、上記使用目的を満たすものであれば、フィブリル形状や多孔膜形状等、その形状や材質によらず用いることができるが、固体高分子電解質型燃料電池の隔膜として良好に使用することを念頭に置いた場合、多孔膜を用いる事が非常に有効である。
【0029】
該目的に用いられる多孔膜の形状としては膜厚が通常1〜100μm、好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜20μm、孔径は通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜7μm、空隙率は通常20〜98%、好ましくは30〜95%である。多孔性支持膜の膜厚が薄すぎると複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果が不十分となり、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しやすくなる。また膜厚が厚すぎると電気抵抗が高くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池の隔膜として好ましくない。孔径が小さすぎると高分子固体電解質の含浸が非常に困難となり、大きすぎると高分子固体電解質への補強効果が弱くなる傾向にある。空隙率が小さすぎると固体電解質膜としての抵抗が大きくなり、大きすぎると一般に多孔膜自体の強度が弱くなり補強効果が減少する。
また、多孔性支持膜の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を鑑みれば、脂肪族系高分子または、含フッ素高分子が好ましい。
【0030】
好適に使用できる脂肪族系高分子としてはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なおここで言うポリエチレンはポリエチレンの結晶構造を有するエチレン系のポリマーであり、例えばエチレンと他のモノマーとの共重合体をも含み、具体的には直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と称されるエチレンとα−オレフィンとの共重合体などを含む。またここでいうポリプロピレンはポリプロピレンの結晶構造を有するプロピレン系のポリマーであり、一般に使用されているプロピレン系ブロック共重合体、ランダム共重合体など(これらはエチレンや1−ブテンなどとの共重合体である)を含むものである。
【0031】
また、含フッ素高分子とは、分子内に炭素−フッ素結合を少なくとも1個有する公知の熱可塑性樹脂が使用される。通常は、脂肪族系高分子の水素原子のすべてまたは大部分がフッ素原子によって置換された構造のものが好適に使用される。
【0032】
好適に使用できる含フッ素高分子を例示すれば、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルエーテル)、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このうち、本発明では、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)が好ましく、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。また、これらのフッ素系樹脂は、機械的強度の良好さから平均分子量が10万以上のものが好ましい。
【0033】
本発明の芳香族系高分子ホスホン酸類からなる膜、あるいは複合膜を燃料電池に使用する場合、膜の厚みに特に制限はないが、3〜200μmが好ましく、4〜100μmがより好ましく、5〜50μmがさらに好ましい。膜厚が薄すぎると膜強度が低下する傾向にあり、膜厚が厚すぎると電気抵抗が高くなり、固体高分子型燃料電池の隔膜として好ましくない。膜厚は、高分子電解質溶液濃度あるいは、高分子電解質溶液の塗工量、多孔性支持膜の厚み、多孔性支持膜への塗布厚を適切に選択することにより制御できる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤などの添加剤も含有し得る。
【0034】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
【0035】
耐ラジカル性評価
3%過酸化水素と0.25ppmの塩化第一鉄(Fe2+0.11ppm)を含む90℃の水溶液中に高分子膜を浸漬し、20分経過後の膜の形状変化を測定することにより耐酸化性の評価を行った。
【0036】
実施例1
Figure 0004356279
メカニカルスターラーを取り付けた500mlフラスコに、上記構造式の交互共重合体(アルドリッチ社製、分子量(ポリスチレン換算):Mn=3.0×104、Mw=6.8×104)15.0g(4,4‘−ビフェノール由来のユニット37.5mmol)、N-ブロモコハク酸イミド35.0g(197mmol) 、塩化メチレン202gを入れ、窒素雰囲気下、攪拌した。氷冷下、この懸濁液に濃硫酸99.6gを75分間かけて滴下したところ、途中から海苔状の生成物が析出した。滴下終了後、氷冷下で1時間半攪拌した後、反応混合物を氷中に注ぎ、亜硫酸ナトリウムを少量加えて攪拌した。エバポレーターで減圧濃縮し、得られた水性スラリーを濾過し、中和操作を入れながら繰り返し水洗した後、減圧乾燥した。得られたポリマーを元素分析したところ、4,4'−ビフェノール由来のユニット1つに対してBrが約2.1個置換していることが判明した。
元素分析値 C: 46.7 % H: 2.6 % S: 5.4 % Br: 29.1 %
2.1 Brでの計算値 C: 50.9 % H: 2.5 % S: 5.6 % Br: 29.6 %
【0037】
実施例2
実施例1で得られたブロモ化ポリマー 7.0g(含有ブロモ基:26.0 mol) をN,N−ジメチルホルムアミド 183g に溶解し、塩化ニッケル(II) 5.11g (39.4mmol) を加えて窒素雰囲気下攪拌した。この混合物を加熱し、油浴温度130℃にて亜リン酸トリエチル 7.71g(46.4mmol) を10分間かけて滴下した。20分間かけて還流温度まで昇温させ、1時間半後、還流下、亜リン酸トリエチル 2.66g(16.0mmol) を追加滴下した。さらに2時間還流下攪拌した後、反応混合物を氷水に注ぎ、濾過、希塩酸洗浄、繰り返し水洗、希炭酸水素ナトリウム水溶液で中和洗浄、最後に水洗した。減圧乾燥して、ポリマーホスホン酸ジエチル 5.63g を得た。以下、このポリマーを(P1)と略記する。
【0038】
1H−NMR(300MHz, DMSO-d6)
0.8 ppm (メチル)
3.6 ppm (メチレン)
7.0-7.4 ppm (芳香族)
7.6-8.2 ppm (芳香族)
【0039】
実施例3
実施例2で得られたポリマーホスホン酸ジエチル 5.43g をN,N−ジメチルホルムアミド 80ml に加えて、窒素雰囲気下、加熱攪拌したところ、飴状の混合物となった。水酸化カリウム8.1g を水41gに溶解した液を、100℃にて加えた後、加熱還流下8時間攪拌した。放冷後、反応混合物を氷水に注ぎ、ポリマーを析出させた。このスラリー液に希塩酸を加えてpH1に調製した。濾過後、ポリマーを繰り返し水洗した。減圧乾燥して得られた乾燥ポリマー 4.62g をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解後、大過剰の10%塩酸を加えることで再沈殿させ、濾過、繰り返し水洗の後、減圧乾燥し、4.08g のポリマーを得た。分析の結果、このポリマーは下記の組成(4,4'−ビフェノール由来のユニット1つに対してBrが約0.2個、ホスホン酸モノエチル基が約1.4個置換)で表される単位構造を有することが判明した。以下、このポリマーを(P2)と略記する。
【0040】
Figure 0004356279
【0041】
元素分析結果
P : 分析値 7.2% (計算値 7.6%)
Br: 分析値 3.1% (計算値 2.8%)
【0042】
1H−NMR(300MHz, DMSO-d6)
1.0 ppm (メチル)
3.9 ppm(メチレン)
7.1-8.1 ppm(芳香族)
【0043】
実施例4
実施例1及び2に準じて製造したポリマーホスホン酸ジエチル10.2gを21%塩酸水溶液200mlに加えて、窒素雰囲気下、加熱還流下8時間攪拌した。
この懸濁液を放冷後、濾過、水洗後、真空乾燥し、得られた粗生成物をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して得た溶液に、大過剰の5%塩酸を加えることにより再沈殿させ、濾過、繰り返し水洗の後、減圧乾燥して、9.1gのポリマーを得た。 分析の結果、このポリマーは下記構造式の組成(4,4'−ビフェノール由来のユニット1つに対してBrが約0.1個、ホスホン酸基が約1.3個置換)で表される単位構造を有することが判明した。P原子は、高分子1g当り2.55mmolと算出され、イオン交換容量は、5.1meq/gと算出された。
以下、このポリマーを(P3)と略記する。
【0044】
Figure 0004356279
【0045】
元素分析結果
P : 分析値 7.6% (計算値 7.9%)
Br: 分析値 1.3% (計算値 1.6%)
【0046】
1H−NMR(300MHz, DMSO-d6)
7.0-8.2 ppm(芳香族)
【0047】
実施例5
実施例2に準拠して製造したポリマーホスホン酸ジエチル2.0gをN,N−ジメチルホルムアミド50mlに加えてアルゴン雰囲気下、室温で撹拌した。この混合物を冷却し、-40℃にてトリメチルシリルヨージド 7.17g(35.7mmol) を7分間かけて滴下した。20分間かけて室温まで昇温させ、30分後、油浴温度80℃まで昇温させた。油浴温度60℃にて5時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応混合物に水4mlを加え2時間撹拌した後、溶媒留去した。ジメチルスルホキシドに溶解後、5%塩酸に注ぎ再沈殿させ、濾過、繰り返し水洗の後、減圧乾燥して、1.42gのポリマーを得た。このものは、実施例4で得られた(P3)と実質的に同じ構造を有していた。
【0048】
1H−NMR(300MHz, DMSO-d6)
7.0-8.2 ppm (芳香族)
【0049】
比較例1 [ホスホン酸基等がメチレン基を介して芳香環に結合したリン系高分子化合物(P4)]
J.Appl.Poly.Sci.,18 1974(1969))の記載に準拠し、下記で表される単位構造を有するポリマーを得た。P原子は、高分子1g当り5.16mmolと算出された。以下、このポリマーを(P4)と略記する。
Figure 0004356279
1H−NMR(300MHz, CDCl3
2.1 ppm(Ar-CH 3 )、3.0 ppm(-CH 2 -P)、3.6 ppm(-OCH 3
6.7-7.1 ppm(Ar-H)
【0050】
実施例6、7、比較例2 [耐ラジカル性評価結果]
実施例及び比較例で得られた高分子をキャスト製膜して得られた膜の耐ラジカル性を試験し、その結果を表1に示した。比較例1の(P4)からの膜は膜形状が大きく変化したのに対し、本発明の芳香族系高分子ホスホン酸類からの膜は、形状変化もなく良好な耐久性を示した。
【表1】
Figure 0004356279
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、ホスホン酸基等が芳香環に直接結合した芳香族系高分子ホスホン酸類を提供し得る。本発明の芳香族系高分子ホスホン酸類は、固体高分子形燃料電池用の材料等として有用であり、特に耐ラジカル性に優れる。

Claims (11)

  1. 一般式(2)
    Figure 0004356279
    (式中、x、yはそれぞれ繰り返し単位の数を表し、xとyの和が10〜100000の範囲、xに対するyの比が0.01〜100の範囲である。−Z−は−SO2−または−CO−を表し、x個ある−Z−は互いに同一であっても異なっていてもよい。−Ar−は置換されていてもよいフェニレン基又は置換されていてもよいビフェニルジイル基を表し、y個ある−Ar−は互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R'はそれぞれ独立にアルキル基を表す。ただし、「−(P(O)(OR)(OR’))n」の表記は、−P(O)(OR)(OR’)で表される基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たりn個(nは2以下の正の数)であることを意味し、「−(Br)m」の表記は、Br基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たり平均m個(mは0〜2の正の数)であることを意味し、n+mは2以下である。)
    又は遊離酸の形が一般式(3)
    Figure 0004356279
    (式中、−Z−、x、y、−Ar−、m、nは前記と同じ意味を表し、R''は水素又はアルキル基を表す。ただし、「−(P(O)(OR’’)(OH))n」の表記は、−P(O)(OR’’)(OH)で表される基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たり平均n個であることを意味し、「−(Br)m」の表記は、Br基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たり平均m個であることを意味する。)
    で示される芳香族系高分子ホスホン酸類を有効成分とする高分子電解質。
  2. 請求項1に記載の高分子電解質を用いてなることを特徴とする高分子電解質膜。
  3. 一般式(1)
    Figure 0004356279
    (式中、x、yはそれぞれ繰り返し単位の数を表し、xとyの和が10〜100000の範囲、xに対するyの比が0.01〜100の範囲である。−Z−は−SO2−または−CO−を表し、x個ある−Z−は互いに同一であっても異なっていてもよい。−Ar−は置換されていてもよいフェニレン基又は置換されていてもよいビフェニルジイル基を表し、y個ある−Ar−は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    で示される芳香族系高分子化合物をブロモ化剤でブロモ化した後、有機溶媒中ハロゲン化ニッケル触媒存在下、これに一般式(4)
    P(OR)(OR')(OR''') (4)
    (R、R'、R'''はそれぞれ独立にアルキル基をあらわす。)
    で示される亜リン酸トリアルキルを作用させることを特徴とする一般式(2)
    Figure 0004356279
    (式中、x、yはそれぞれ繰り返し単位の数を表し、xとyの和が10〜100000の範囲、xに対するyの比が0.01〜100の範囲である。−Z−は−SO 2 −または−CO−を表し、x個ある−Z−は互いに同一であっても異なっていてもよい。−Ar−は置換されていてもよいフェニレン基又は置換されていてもよいビフェニルジイル基を表し、y個ある−Ar−は互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R'はそれぞれ独立にアルキル基を表す。ただし、「−(P(O)(OR)(OR’)) n 」の表記は、−P(O)(OR)(OR’)で表される基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たりn個(nは2以下の正の数)であることを意味し、「−(Br) m 」の表記は、Br基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たり平均m個(mは0〜2の正の数)であることを意味し、n+mは2以下である。)
    で示される芳香族系高分子ホスホン酸類の製造方法。
  4. 前記一般式(1)で示される芳香族系高分子化合物をブロモ化剤でブロモ化した後、有機溶媒中ハロゲン化ニッケル触媒存在下、これに前記一般式(4)で示される亜リン酸トリアルキルを作用させて一般式(2)
    Figure 0004356279
    (式中、x、yはそれぞれ繰り返し単位の数を表し、xとyの和が10〜100000の範囲、xに対するyの比が0.01〜100の範囲である。−Z−は−SO2−または−CO−を表し、x個ある−Z−は互いに同一であっても異なっていてもよい。−Ar−は置換されていてもよいフェニレン基又は置換されていてもよいビフェニルジイル基を表し、y個ある−Ar−は互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R'はそれぞれ独立にアルキル基を表す。ただし、「−(P(O)(OR)(OR’))n」の表記は、−P(O)(OR)(OR’)で表される基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たりn個(nは2以下の正の数)であることを意味し、「−(Br)m」の表記は、Br基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たり平均m個(mは0〜2の正の数)であることを意味し、n+mは2以下である。)
    で示される芳香族系高分子ホスホン酸類を生成せしめ、次いでこれを加水分解することにより、遊離酸の形が一般式(3)
    Figure 0004356279
    (式中、−Z−、x、y、−Ar−、m、nは前記と同じ意味を表し、R''は水素又はアルキル基をあらわす。ただし、「−(P(O)(OR’’)(OH))n」の表記は、−P(O)(OR’’)(OH)で表される基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たり平均n個であることを意味し、「−(Br)m」の表記は、Br基が、Arの水素原子と置換され、−Ar−O−で表される繰り返し単位当たり平均m個であることを意味する。)
    で示される芳香族系高分子ホスホン酸類を製造することを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. ハロゲン化ニッケルとして、塩化ニッケル(II)を使用することを特徴とする請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 有機溶媒として、アミド化合物を使用することを特徴とする請求項3〜5いずれかに記載の製造方法。
  7. 亜リン酸トリアルキルとして、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチルから選ばれる少なくとも1種を使用することを特徴とする請求項3〜6いずれかに記載の製造方法。
  8. 前記一般式(2)で示される芳香族系高分子ホスホン酸類を加水分解することにより遊離酸の形が前記一般式(3)で示される芳香族系高分子ホスホン酸類を製造することを特徴とする請求項4〜7いずれかに記載の製造方法。
  9. 加水分解を、アルカリの存在下に実施することを特徴とする請求項4又は8に記載の製造方法。
  10. 加水分解を、酸の存在下に実施することを特徴とする請求項4又は8に記載の製造方法。
  11. 加水分解を、ホスホン酸ジエステルにトリアルキルシリルハライドを作用させた後に実施することを特徴とする請求項4又は8に記載の製造方法。
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