JP5682920B2 - プロトン伝導性ポリマーおよびその製造方法 - Google Patents

プロトン伝導性ポリマーおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池等に用いられる電解質原料としてのプロトン伝導性ポリマー、およびその工業的製造方法に関する。
通常の固体高分子形燃料電池(PEFC)は、発電セルの動作温度として80℃程度で動作し、発電セルへ供給するガスとして、アノード(燃料極)へ水素を含む改質ガス、カソード(空気極)へ空気を酸化剤として導入することが一般的である。この際、アノードとカソードを隔てる電解質膜は、両極へ導入されるガスが混合しないように分離する働き(ガスバリア性)を有しながら、アノードに導入された水素が電極上で酸化されて生成するプロトンをカソード側へ輸送し、カソード極上で空気中の酸素を還元する反応に供する働き(プロトン伝導性)を同時に担っている。従来のPEFCにおいては、この電解質膜の材料としてデュポン社のNafion(登録商標)に代表される、側鎖にスルフォン酸基を有するパーフルオロ炭化水素系ポリマーが,上述の高いガスバリア性能と高いプロトン伝導性能を併せ持つ材料として好適に用いられてきた。
しかしながら、このスルフォン酸基含有パーフルオロ炭化水素系ポリマーは、スルフォン酸基がプロトンに水分子を伴い、ヒドロニウムイオンとしてプロトンを伝導するメカニズムゆえ、供給するガスを相対湿度100%近くまで加湿する必要がある。またこの必要条件により、100℃以上のセル温度で動作させることは原理的に困難であった。また、スルフォン酸基に隣接するフルオロカーボン、フルオロ炭化水素主鎖や側鎖、分岐点において、フッ素化されていないカーボン原子や、製造過程で残留するカルボキシル基などをきっかけに、発電セル中で副生するOHラジカル等の活性種により徐々に分解されることが最近明らかになってきている。このため、燃料電池の長期使用、広範囲なセル温度やガス加湿条件で動作するロバスト性という観点からも、改善が求められるようになってきた。
PEFCの発電セルに求められるもうひとつの改善点としては、発電セル動作温度が高温化した際にも、安定した発電状態が保持できるようにすることである。これは、特に車載用途において、発電中の冷却が追いつかずにセルが一時的に高温化することが避けられず、セルの材料自体に高温耐性が求められていることに加え、さらに冷却系を小型化・簡素化する上で、セルの高温耐性を上げることが大きなメリットにつながるためである。一方、定置式燃料電池システムにおいても、発電セルのアノード極に供せられる改質ガス中COのPt電極への影響が高温化により軽減できる点、熱回収水の温度が高温化することにより、貯湯タンクなどの廃熱回収機構が小型・軽量化できる点など、セル動作温度を高温化することの優位性が謳われている。
現行のPEFCにおけるこれら問題点を克服するために、セルに供給するガスの加湿機構を軽減でき、またセル動作温度が高温化した際にも安定して発電できるセルが必要であった。このセルを実現するためには、セル動作温度条件、加湿条件を支配している固体高分子電解質の改良が必須である。
100℃以上かつ300℃以下の温度域(以下、中温域という。また、この温度域まで発電セル動作温度の最高点が到達する固体高分子形燃料電池を「中温型セル」と称する。)で動作する電解質膜の材料としては、プロトンが水分子を伴ったヒドロニウムイオンを介さなくても、プロトンの状態で伝導できる物質であることが必須であり、その代表的な物質として、リン酸形燃料電池に用いられてきたリン酸が挙げられる。また、ポリベンズイミダゾール(PBI)等の塩基性ポリマーにリン酸をドープした電解質膜も知られており、一般に中温型セルにはこのリン酸−PBI膜が用いられている。
特表平11−503262号公報
液体のリン酸、ないしはリン酸−PBIを用いる系においては、リン酸の系外への流出により電解質性能が損なわれる点、流出したリン酸によるシステム腐食の問題、Pt系電極を用いる場合にPtへのリン酸の特異吸着により電極性能が低い点など、リン酸系特有の問題点が多かった。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の固体高分子形燃料電池に専ら用いられてきたスルフォン基含有パーフルオロ炭化水素系ポリマーの弱点であった中温・低加湿条件下でも高いプロトン伝導性能を有するプロトン伝導性ポリマーおよびその製造方法の提供にある。
本発明の第1の態様は、プロトン伝導性ポリマーである。当該プロトン伝導性ポリマーは、下記一般式(1)で表される。
−{O−R1(X)l−L1−R1(X)l−O−R2(Y)m−L2−R2(Y)m−}n (1)
(1)式中、R1(X)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。
Xは−P(=O)(OH)2または−CH2−P(=O)(OH)2示す。
lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。
L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。
R2(Y)mは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
Yは−SO3Hを示す。
mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。
L2は結合基であり、−C(=O)−、−SO2−より選択される結合を示す。
nはポリマーの平均的な繰り返し単位数を示し、別途定める重量平均分子量によりその平均値が定まる。
本発明の第2の態様は、プロトン伝導性ポリマーである。当該プロトン伝導性ポリマーは、下記一般式(2)で表される。
−{O−R1−C(CH3)(R3(X)k)−R1−O−R2(Y)m−L2−R2(Y)m−}n (2)
(2)式中、R1は、パラ位置換ベンゼン環を示す。
R3(X) k は、C原子との結合に対して3、4、5位の少なくとも一部が置換基Xにより置換されたベンゼン環を示す。
Xは−P(=O)(OH)2または−CH2−P(=O)(OH)2示す。
kはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<k≦3である。
R 2 (Y)mは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
Yは−SO3Hを示す。
mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。
L2は結合基であり、−C(=O)−、−SO2−より選択される結合を示す。
nはポリマーの平均的な繰り返し単位数を示し、別途定める重量平均分子量によりその平均値が定まる。
本発明の第3の態様は、プロトン伝導性ポリマーの製造方法である。当該プロトン伝導性ポリマーの製造方法は、一般式(3)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物との反応により一般式(1)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得ることを特徴とする。
HO−R1(X)l−L1−R1(X)l−OH (3)
Z−R2(Y)m−L2−R2(Y)m−Z (4)
(3)式中、R1(X)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、OH基に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。
Xは−P(=O)(OH)2または−CH2−P(=O)(OH)2示す。ポリマー合成反応に際しては、これらはNa、K、NH4、NR4等(RはHまたはアルキル基)のアルカリ塩、アンモニウム塩、アミン塩、またはMe、Et等のエステル化合物、部分エステル化合物であってもよい。
lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。これらについても、複数の結合基を有する化合物を組成物として用いてもよい。
(4)式中、R2(Y)mは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
Yは−SO3Hを示す。ポリマー合成反応に際しては、これらはNa、K、NH4、NR4等(RはHまたはアルキル基)のアルカリ塩、アンモニウム塩、またはアミン塩であってもよい。
mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
L2は結合基であり、−C(=O)−、−SO2−より選択される結合を示す。
Zは−F、−Cl、−NO2より選択される末端基を示す。
本発明の第4の態様は、プロトン伝導性ポリマーの製造方法である。当該プロトン伝導性ポリマーの製造方法は、一般式(6)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物とを反応させてポリマーを得たのち、得られたポリマーをBr化剤によりBr基を導入、ついでBr基を3価のリン化合物と反応させることにより一般式(1)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得ることを特徴とする。
HO−R1(Me)l−L1−R1(Me)l−OH (6)
(6)式中、R1(Me)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、OH基に対するオルト位が全てHであるか、一部または全部がMe基であることを示す。
lはベンゼン環1つ当たりの平均Me基数であり、0≦l≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。これらについても、複数の結合基を有する化合物を組成物として用いてもよい。
本発明の第5の態様は、プロトン伝導性ポリマーの製造方法である。当該プロトン伝導性ポリマーの製造方法は、一般式(7)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物とを反応させてポリマーを得たのち、得られたポリマーに残留するBr基を3価のリン化合物と反応させることにより一般式(2)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得ることを特徴とする。
HO−R1−C(CH3)(R3(Br)k)−R1−OH (7)
(7)式中、R1は、パラ位置換ベンゼン環を示す。
R3(Br) k は、C原子との結合に対して3、4、5位の少なくとも一部がBrにより置換されたベンゼン環を示す。
kはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0.01から3の間の数値を取る。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
本発明によれば、中温・低加湿条件下でも高いプロトン伝導性能を有するプロトン伝導性ポリマーが提供される。
プロトン伝導性能の測定に用いた基本セルの概略構成を示す分解斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
(ポリマーの化学構造)
本発明の実施の形態に係るプロトン伝導性ポリマーは、下記一般式(1)または(2)で表される。
−{O−R1(X)l−L1−R1(X)l−O−R2(Y)m−L2−R2(Y)m−}n (1)
−{O−R1−C(CH3)(R3(X)k)−R1−O−R2(Y)m−L2−R2(Y)m−}n (2)
ただし、R1、R1(X)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、一般式(1)におけるR1(X)lはO原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。
Xは−P(=O)(OH)2または−CH2−P(=O)(OH)2示す。
lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。
L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。
R2(Y)mは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
Yは−SO3Hを示す。
mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。
L2は結合基であり、−C(=O)−、−SO2−より選択される結合を示す。
nはポリマーの平均的な繰り返し単位数を示し、別途定める重量平均分子量によりその平均値が定まる。
一般式(2)におけるR3(X) k は、C原子との結合に対して3、4、5位の少なくとも一部が置換基Xにより置換されたベンゼン環を示す。
kはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<k≦3である。
(ポリマー骨格形成)
本実施の形態において上記プロトン伝導性ポリマーは、芳香族ジオールと芳香族ジハライドの塩基共存下でのエーテル結合生成反応により、その基本骨格が形成される。この際、最終的にポリマーに残る2種類の官能基(スルフォン酸基、フォスフォン酸基)のうち、スルフォン酸基は芳香族ジハライドへ原料モノマーの段階で導入し、必要に応じてNa塩、K塩等の状態でポリマー形成反応に供される。一方、フォスフォン酸基に関しては、芳香族ジオール側へ導入されるが、スルフォン酸基と同様にフォスフォン酸、フォスフォン酸塩、フォスフォン酸エステルなどの形で予め導入されたモノマーを用いてもよいが、ポリマー主鎖形成後に官能基導入または変換反応を用いてフォスフォン酸へ導入してもよい。
(基本的調製方法)
以下,本発明における様々な形態の芳香族ジオールと芳香族ジハライドとによるポリマー形成反応に関して、代表的な合成手段を記載する。最終的なポリマー構造を得るための具体的な芳香族ジオール/芳香族ジハライドの組合せに関しては後述する。
本発明においては、芳香族ジオール1モルに対して、芳香族ジハライドを約1モル用いる。PESやPEEKなどの骨格をエーテル結合形成による縮合反応により形成する場合には、一般的にジオール成分とジハライド成分は等モル付近で行われる場合が多いが、本発明においてもこのモル比は1:1近傍が好ましく、ジオールに対するジハライドモル比が0.9~1.1の範囲が好ましい。この範囲を外れる仕込み量では、十分な分子量のポリマーが得られない懸念がある。
ジハライドとしては、一般にフルオライド、クロライドが用いられる。また、ハライドに限らず、ニトロ化合物も反応できることが知られている。本発明においては、フルオライド、クロライドが好ましく用いられ、特にフルオライドを用いた場合に高分子量のポリマーが得られ易い。
エーテル結合生成によるポリマー化反応に際しては、これらの原料から脱水縮合させるための塩基を用いる。塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の炭酸アルカリまたは水酸化アルカリが好ましく用いられる。これらの塩基を用いる量については、炭酸カリウムなどの2価の塩基を例に取った場合、芳香族ジオールのモル数に対して通常2〜10倍、好ましくは2〜4倍の範囲である。10倍を超える塩基を用いると、反応系に不溶物が多くなるために反応器当たりのポリマー収量が低下するため工業的に好ましくなく、また2倍よりも低いと十分な結合形成反応が進行せず、ポリマー分子量が増大しない傾向がある。ただし、芳香族ジハライドに導入したスルフォン酸基は予めアルカリ塩などで中和しておく必要があり、当該範囲にはこの中和に必要な塩基量は含まれないものとする。同様に、ジオールに予めフォスフォン酸基を導入する場合にも、フォスフォン酸をアルカリ塩等で中和しておく必要があり、この分量も当該範囲には含まれないものとする。
これらの原料化合物をフラスコ等の反応器に入れ、溶媒を加えて有機モノマーを一部または全部溶解させる。塩基成分は不溶な場合が多いため、これを懸濁させる。溶媒としてはN-メチルピロリドン(NMP)、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)等の極性溶媒が好ましく用いられる。またこれらの溶媒に水を添加して用いてもよい。これらの溶媒は、溶媒添加後の全重量に対する溶媒以外の反応物(芳香族ジオール、芳香族ジハライド、塩基)重量が3〜80%、好ましくは5〜60%となる分量を用いる。溶媒量が3%未満の場合、反応器に占める反応物の割合が相対的に低下し、リアクターに対する収量が低くなるため工業的でない。溶媒量が80%を超える場合には、未溶解の固形分により攪拌が困難になったり、また得られるポリマーが析出するなどして反応系の不均一さが増大するため好ましくない。
これらの反応物、溶媒が導入された反応器を、メカニカルスターラー等で攪拌しながら反応温度を上げてポリマー合成を行う。反応温度は、用いる芳香族ジオール/芳香族ジハライド原料の反応性や、用いる塩基、溶媒、濃度などの条件によるため一概には言えないが、通常100〜300℃、好ましくは120〜250℃の範囲で行われる。100℃よりも低い場合には、副生する水が留去しにくく反応の進行が著しく遅くなる虞があり、また300℃を超える場合には、スルフォン酸官能基の脱離反応など副反応が進行する虞があり、いずれの条件も好ましくない。
なお、反応の初期に多く生成する水をディーンシュタークトラップを用いてより効率的に留去するため、上記溶媒とは別にトルエン等の水と共沸する溶媒を添加することが好ましい場合がある。この際には、反応をまずトルエンと水の共沸温度近傍で行い、水があらかた留去されたのちに上記反応温度まで上昇させる方法も好ましく用いられる。
反応時間は、用いるモノマーの反応性や最終的に目指すポリマー分子量によって変わるため一概には言えないが、通常30分〜120時間、好ましくは2時間〜72時間の範囲である。30分よりも短い場合、縮合反応が十分に進行せず低分子量のポリマーしか得られない虞があり、また120時間を越える条件は生産性が低く工業的な利用価値が低くなるため、いずれの場合も好ましくない。なお、反応の進行は反応液の粘度測定や、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等の手段により、ポリマーのインヘレント粘度(ηinh)や換算重量平均分子量(Mw)として追跡できる。
こうして得られた反応液からポリマーを取り出す工程について説明する。反応終了後の反応液は、ポリマー成分が溶媒に溶解し、過剰の塩基成分が懸濁した状態である場合が多く、ここからポリマーのみを抽出する必要がある。まず、反応液に不溶物がある場合には、これを濾紙、濾布、遠心沈降法などにより分別し、ポリマーを含む溶液として単離する。これを濃縮して粗ポリマーを得た後、塩基成分等が残留している場合には、熱水等を加えて攪拌して除去する。あるいは、ポリマーの溶解液を水、メタノール、エタノールあるいはこれらの混合物等の貧溶媒中へ滴下し、ポリマーを再沈殿させる方法も用いられる。得られたポリマー沈殿を加熱、あるいは減圧加熱条件下で乾燥させ、粉末またはフレーク状、あるいは一部凝集した半固体状のポリマーとして得ることが出来る。
(詳細合成法1:フォスフォン酸導入芳香族ジオールを用いた反応)
下記一般式(3)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物との反応により、一般式(1)のプロトン伝導性ポリマーを得ることができる。
HO−R1(X)l−L1−R1(X)l−OH (3)
Z−R2(Y)m−L2−R2(Y)m−Z (4)
ただし、R1(X)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、OH基に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。Xは−P(=O)(OH)2または−CH2−P(=O)(OH)2示す。ポリマー合成反応に際しては、これらはNa、K、NH4、NR4等(RはHまたはアルキル基)のアルカリ塩、アンモニウム塩、アミン塩、またはMe、Et等のエステル化合物、部分エステル化合物であってもよい。
lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。これらについても、複数の結合基を有する化合物を組成物として用いてもよい。
R2(Y)mは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
Yは−SO3Hを示す。ポリマー合成反応に際しては、これらはNa、K、NH4、NR4等(RはHまたはアルキル基)のアルカリ塩、アンモニウム塩、またはアミン塩であってもよい。
mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
L2は結合基であり、−C(=O)−、−SO2−より選択される結合を示す。
Zは−F、−Cl、−NO2より選択される末端基を示す。
これらの要件を満たすモノマーの中で、一般式(3)の芳香族ジオールとしては2、2’位にフォスフォン酸を導入した2置換ビスフェノールA化合物、2、6、2’、6’位にフォスフォン酸基を導入した4置換ビスフェノールA化合物などを好ましく例示できる。また、一般式(4)の芳香族ジハライドとしては、3、3’位にスルフォン酸Na塩を導入した4、4’ジフルオロジフェニルスルフォン、3、3’位にスルフォン酸Na塩を導入した4、4’ジフルオロベンゾフェノン等が好ましく例示できる。
上記芳香族ジオール、芳香族ジハライドを用いて、上述の基本的調製方法に従ってポリマー合成を行う。スルフォン酸導入芳香族ジハライドは予めNa塩またはK塩にして十分に乾燥を行った後に反応に供されることが望ましい。また、フォスフォン酸導入芳香族ジオールも同様にNa塩またはK塩として用いてもよいが、これに関しては遊離のフォスフォン酸化合物の状態で反応を仕込み、塩基を過剰に加えて系内でアルカリ塩として用いてもよい。
こうして得られるスルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリマーは、ポリマー合成直後はスルフォン酸、フォスフォン酸それぞれの官能基はアルカリ塩となっているため、これらアルカリ当量より過剰の塩酸、硫酸、希硝酸等で中和したのち、水洗等の方法でアルカリ成分を洗浄することで、有機酸を再生することが必要である。
(詳細合成法2:ブロモ基導入芳香族ジオールを用いた反応1)
一般式(5)で表される芳香族ジオールと、前述一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物とを反応させてポリマーを得たのち、得られたポリマーに残留するBr基を3価のリン化合物と反応させることにより一般式(1)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得る。
HO−R1(W)l−L1−R1(X)l−OH (5)
ただし、R1(W)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、OH基に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Wによって置換されていることを示す。
Wは−Brまたは−CH2−Br示す。
lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。これらについても、複数の結合基を有する化合物を組成物として用いてもよい。
これらの要件を満たす一般式(5)で示されるモノマーとしては、2、2’ジブロモビスフェノールA化合物、2、2’、6、6’テトラブロモビスフェノールA化合物、2、2’ビス(α−ブロモメチル)ビスフェノールA化合物、2、2’、6、6’テトラキス(α−ブロモメチル)ビスフェノールA化合物などを好ましく例示できる。
上記芳香族ジオールと前述の芳香族ジハライドを用いて、前述の基本的調製方法に従ってポリマー合成を行う。スルフォン酸導入芳香族ジハライドは予めNa塩またはK塩にして十分に乾燥を行った後に反応に供されることが望ましい。
こうして得られるスルフォン酸/ブロモ基導入ポリマーを、ポリマー合成後に官能基変換して、フォスフォン酸誘導体へ変換する。ブロモ化合物からフォスフォン酸誘導体への変換は、スルフォン酸/ブロモ基導入ポリマーを、ジエチルフスファイト、トリメチルフォスファイト、トリエチルフォスファイト等3価の有機リン化合物と反応させることにより行う。有機リン化合物は、ポリマー中に含まれるBr基のモル数に対して通常1.0〜20倍、好ましくは1.2〜10倍モルを用いる。1.0倍よりも少ない場合には、ポリマーに含まれるBr基が十分にフォスフォン酸誘導体に変換されず、Br基として残留するため好ましくなく、また20倍よりも多い場合には、未反応の有機リン化合物が大量に残留することになり、工業的に好ましくない。
上記官能基変換反応に際しての溶媒として、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロベンゼン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノンなどが好ましく用いられる。反応温度は、用いるブロモ化合物の反応性や導入すべき官能基量により一概には言えないが、通常室温〜200℃、好ましくは40〜180℃の範囲で行われる。室温よりも低い場合には反応の進行が極端に遅くなる虞があり、また200℃以上の温度では分解副生成物が生じる虞があり、いずれの場合も好ましくない。
一般式(5)で表される原料モノマーを用いたポリマーを当該官能基変換する場合、モノマー(5)における置換基Wが−CH2−Brである場合には無触媒でも反応が進行するが、置換基Wが芳香環に直結した−Brである場合には、塩化鉄(II)、塩化コバルト(II)、塩化ニッケル(II)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム触媒などの触媒を用いなければ反応の進行が遅い場合が多い。この場合、これら触媒をポリマー中のBr基モル数に対して0.01倍から10倍、好ましくは0.05倍から5倍、最も好ましくは0.1から1倍の範囲の量を添加する。0.01倍に満たない場合、触媒作用が不十分で反応時間を伸ばしても反応が完結しない虞があり、また10倍を超える量では、後から触媒を分離・除去する負荷が大きく、いずれの場合にも好ましくない。
このようにして官能基変換されたポリマーは、Br基の部分がフォスフォン酸エステルの状態になっているため、次にこれを加水分解してフォスフォン酸基を再生する。加水分解には、通常塩酸、硫酸、臭化水素酸などの無機酸が用いられ、通常フォスフォン酸エステル基当量に対して大過剰の酸が用いられる。またトリメチルシリルブロマイドを用いた後に無機酸で処理を行ってもよい。また酸の濃度については、通常0.01規定から10規定の濃度で使用される。0.01規定未満では酸性が弱く加水分解の進行が遅い虞があり、10規定を超える濃度では反応器の腐食などの虞があり、いずれの場合にも好ましくない。加水分解は通常室温〜120℃の温度範囲で行われ、反応時間としては通常5分から24時間の範囲である。これらの反応温度、反応時間は、用いるポリマー骨格、導入官能基量、用いる酸の種類により最適化されるべき条件である。
以上のようにして得られるスルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリマーは、フォスフォン酸導入芳香族ジオールを用いた反応の場合に同じく、濃縮後の水洗や再沈殿により精製され、固体のポリマーとして単離される。上述の官能基変換において金属含有触媒を用いた場合には、加水分解後の水洗を複数回繰り返すことにより触媒成分を除去することが好ましい場合が多い。
(詳細合成法3:ブロモ基導入芳香族ジオールを用いた反応2)
一般式(7)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物とを反応させてポリマーを得たのち、得られたポリマーに残留するBr基を3価のリン化合物と反応させることにより一般式(2)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得る。
HO−R1−C(CH3)(R3(Br)k)−R1−OH (7)
ただし、R1は、パラ位置換ベンゼン環を示す。
R3(Br) k は、C原子との結合に対して3、4、5位の少なくとも一部がBrにより置換されたベンゼン環を示す。
kはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、1<k≦3である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
これらの要件を満たす一般式(7)で示されるモノマーとしては、下記構造式で表される化合物を好ましく例示できる。
Figure 0005682920
本方法は、詳細合成法2:ブロモ基導入芳香族ジオールを用いた反応1と同様に行うことができる。
(詳細合成法4:官能基未導入芳香族ジオールを用いた反応)
一般式(6)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物とを反応させてポリマーを得たのち、得られたポリマーをBr化剤によりBr基を導入、ついでBr基を3価のリン化合物と反応させることにより一般式(1)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得る。
HO−R1(Me)l−L1−R1(Me)l−OH (6)
ただし、R1(Me)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、OH基に対するオルト位が全てHであるか、一部または全部がMe基であることを示す。
lはベンゼン環1つ当たりの平均Me基数であり、0≦l≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。これらについても、複数の結合基を有する化合物を組成物として用いてもよい。
上記芳香族ジオールと前述の芳香族ジハライドを用いて、前述の基本的調製方法に従ってポリマー合成を行う。得られたポリマーは、下記手法によりポリマーの特定部位をBr化したのちに、詳細合成法2:ブロモ基導入芳香族ジオールを用いた反応1と同様の方法によりフォスフォン酸基に変換される。
一般式(6)のモノマーから生成されるポリマーにおいて、(6)に存在する芳香環に直結したMe基をαブロモメチル基に変換する場合には、N-ブロモスクシンイミド(NBS)等のブロモ化剤が好ましく用いられる。この場合、NBSはポリマー中の反応性Me基のモル数に対して通常1.0から5倍、好ましくは1.0から3倍の量が用いられる。1.0倍よりも少ない場合、十分なBr基導入が行えない虞があり、また5倍を超える場合には、一旦生成したαブロモメチル基がさらにBr化され、α、α’ジブロモメチル基に変換されるため好ましくない。また反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いてもよい。反応溶媒としては、通常ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒が好ましく用いることができる。反応温度は通常室温から150℃の範囲で行われる。また、反応時間は通常5分から24時間の範囲で行われる。これら反応温度、反応時間に関しては、用いるポリマー原料や反応溶媒により著しく異なるため、最適化すべき因子である。
一般式(6)のモノマーから生成されるポリマーにおいて、(6)に存在する芳香環に直結したMe基がなく(l=0の場合)、芳香環の水素原子を直接ブロモ基に変換する場合には、ブロモ化剤として臭素が用いられる。この場合、芳香族ジオール成分がポリマー形成した際に生成するエーテル結合のオルト位の水素原子が優先的にBr化されることになるが、反応剤としての臭素は、当該水素原子のモル数に対して通常1.0から20倍、好ましくは1.2から10倍量を用いる。1.0倍よりも少ない場合には十分なBr化が進行しない虞があり、また20倍を超える場合には、残留する未反応の臭素を除去する負荷が大きく、どちらの場合にも好ましくない。この反応は、臭素自身を溶媒として、他の溶媒添加をせずに進行させる場合もあるが、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒を用いてもよい。
このようにして得られるBr基を有したポリマーは、詳細合成法2:ブロモ基導入芳香族ジオールを用いた反応1と同様にフォスフォン酸基に変換され、目的生成物である一般式(1)のポリマーを得ることができる。
(ポリマーの分子量、官能基量)
以上説明してきたような各手法により得られるスルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリマーは、通常のPESやPEEKポリマーと同様に溶液粘度測定やGPCによって分子量が測定される。本発明においては、溶液粘度測定によるインヘレント粘度、もしくは、GPCで計測される重量平均分子量Mwを用いることとする。
インヘレント粘度を用いると、本発明のポリマーは、いずれの系であっても、インヘレント粘度が通常0.3から3.0、好ましくは0.35から2.5の範囲である。0.3を下回る場合には、ポリマーとして十分な強度がなく、製膜できない虞があり、また3.0を超える場合には、溶媒に溶解した際の粘度が高く、製膜に必要な濃度のポリマー溶液が調製できない虞があり、いずれの場合にも好ましくない。Mwを用いた場合には、本発明のポリマーは、いずれの系であっても、Mwが通常5,000から10,000,000、好ましくは10,000から5,000,000の範囲である。5,000を下回る場合には、ポリマーとして十分な強度がなく、製膜できない虞があり、また10,000,000を超える場合には、溶媒に溶解した際の粘度が高く、製膜に必要な濃度のポリマー溶液が調製できない虞があり、いずれの場合にも好ましくない。
また、本発明のポリマーにはスルフォン酸、フォスフォン酸という2種類の酸性官能基が導入されており、それぞれに対してイオン交換容量(IEC)を定義することができる。ここで、フォスフォン酸は本来2価の酸基であるが、2段目の解離定数が非常に小さいため、便宜上ここでは1価の酸基として扱うこととする。
スルフォン酸起因の酸基量をIEC(S)とすると、IEC(S)は0.5から4.0meq/gの範囲が好ましく、1.0から3.0meq/gがさらに好ましい。IEC(S)が0.5未満の場合には、プロトン伝導性が低く電解質として用いることが出来ない虞があり、また4.0を超える場合には、水に対する溶解性が上がり、電解質膜として用いた場合に凝縮水に溶解してしまう虞があり、どちらの場合にも好ましくない。一方、フォスフォン酸起因の酸基量をIEC(P)とすると、IEC(P)は0.1から7.0meq/gが好ましく、0.5から5meq/gがさらに好ましい。IEC(P)が0.1未満の場合、導入されたフォスフォン酸の効果である低加湿条件下でのプロトン伝導性に寄与できない虞があり、また7.0を超える場合には、スルフォン酸の場合と同じく水に対する溶解性が上昇するため好ましくない。
(薄膜化してのプロトン伝導度評価)
本発明のある態様のプロトン伝導性ポリマーのプロトン伝導度を評価するため、薄膜化してプロトン伝導度を測定する手段について以下に記載する。
(塗布溶剤)
本発明のある態様のポリマーは、例えばキャスト法などにより薄膜へ加工することができる。薄膜をキャスト法により作成するための溶媒としては、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N、N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)等のアミド系溶媒、あるいはジメチルスルフォキシド(DMSO)などが好ましく用いられる。ポリマーに対して用いる溶媒量は、目的とする溶液の濃度、粘度によって組成比が変わってくるが、通常ポリマーの固形分総量が全溶液量に対して3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%になるように溶媒を用いることが好ましい。
(添加物)
キャストで膜を作成する上で、溶液には、均等な分散、塗布時の均一性、キャストフィルムからの剥離性などが要求される。この目的で、本発明に界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が特に好ましく用いられ、溶液重量に対して0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%を添加すると得られる膜の均一性が向上する。
(塗布方法・基板)
キャスト法を用いる場合は、スピンコーターやバー塗布などが好ましく用いられる。この際、基板としてガラス等を用いてもよいが、耐熱性、剥離性の良いポリマーフィルムを用いてもよく、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリテトラフルオロエタン(PTFE)フィルムなどが好ましく用いられる。また、フィルム表面にポリビニルアルコール、ポリイミド等の薄膜を形成し、剥離性を改善したフィルムを用いることも出来る。
(乾燥・熱処理)
このようにしてキャストされた溶液は、乾燥工程によって溶媒成分をあらかた除去される。乾燥はホットプレート、熱風乾燥機、真空乾燥機により通常行われ、乾燥温度としては、用いる溶媒や作成する膜の性状により異なるため一概には言えないが、通常室温〜200℃、好ましくは40℃〜150℃の範囲で行われる。乾燥時間としては、通常10秒〜10時間、好ましくは30秒〜5時間の範囲である。また、低温である程度溶媒を除去したのちに、温度を上げて追加熱処理する手法も好ましく用いられる。
(プロトン伝導率測定用基本セル構成)
上記ポリマー膜のプロトン伝導性能を測定する方法を以下に記載する。当該手法は、固体高分子形燃料電池の基本セル構造に類似し、図1に示すように、プロトン伝導性能測定用の基本セルは、膜10と、一対のガスシール材20a、20b、一対の電極12a、12bおよび一対のセパレータ30a、30bを含む。ガスシール材20a、20bは、膜10を挟んで配設されている。ガスシール材20aには、膜10側からセパレータ30a側に貫通する電極12aが設けられている。同様に、ガスシール材20bには、膜10側からセパレータ30b側に貫通する電極12bが設けられている。電極12a、12bとしては、繊維状炭素からなるカーボンペーパーなどが好ましく用いられる。セパレータ30a、30bは、それぞれ、ガスシール材20a、20bの外側に設けられており、セパレータ30a、30bに挟まれた部分が密閉領域となっている。セパレータ30a、30bは、それぞれ、ガス流路と集電板の機能を果たす。セパレータ30a、30bの内側に、さらにガスシール材20a、20bを配設することにより、ガスシール性が高められている。
このセルは、膜10を隔てた両極に差が無いため無極性であるが、便宜上アノード/カソードを定義する。セルの温度はセパレーター内やセル外周に設置されたヒーターで温度制御される。また、アノード/カソード両極へ加湿した窒素ガスを供給し、これにより内部のプロトン伝導性ポリマー膜の加湿状態を制御する。アノード/カソードへ供給されるガスの加湿度は、例えばバブラーなどを通じてガスが加湿される際の露点として制御され、本発明の膜を評価する際にはアノード/カソードガスの露点は略同一とする。また、セル制御温度に対してガスの加湿温度(露点)はセル内の相対湿度(RH)として示される。プロトン伝導率は、これらのセル温度と相対湿度を変えて複数点計測する場合が多い。
(プロトン伝導率測定方法)
このセルを、交流インピーダンス法を用いてインピーダンス測定を行い、得られた結果からプロトン伝導に起因する抵抗成分を分離する。具体的には、例えば100kHzから0.1Hzまでの交流正弦波をセルに印加し、得られたインピーダンスの実数成分、虚数成分をX-Y軸にプロットし(ナイキストプロット)、虚数成分が発散したところの実軸成分をRmとする方法である。このRmと、電極と接する長さL1、電極間の距離L2、膜の厚みdとセルの電極間に生じるプロトン移動抵抗Rmより、プロトン伝導度が下記式より計算できる。
プロトン伝導度σ(S/cm)=L2(cm)/(Rm(Ω)×d(cm)×L1(cm))
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[参考例1] フォスフォン酸導入ポリエーテルスルフォンの合成
(重合)2、2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)プロパン 2.70g、ビス(4−フルオロフェニル)スルフォン 2.41g、炭酸カリウム 2.62gを50mL一口ナスフラスコに加えた後、あらかじめ蒸留により脱水したDMAc 20mLとトルエン 10mLを加えた。反応容器内を真空ポンプで脱気した後、窒素置換を行った。この操作を3回繰り返した。この溶液を170℃のオイルバスを用いて加熱し、ディーンスタークトラップにより6時間脱水を行った後、バス温度を190℃に上げ、さらに24時間加熱攪拌し、重合反応を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、この溶液をメタノールと水の混合溶液(7:1)に滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は95%(5.00g)であった。1H-NMRにより同定を行った。
上記1H-NMRにおいて、芳香族プロトン(12H)に由来するピークが高周波数側(6.5〜8.0ppm)に、芳香族環に置換された4つのメチル基のプロトン(12H)に由来するピークが約2.0ppmに、プロパンのプロトン(6H)が約1.7ppmに観測され、目的のポリマーが合成されていることを確認した。
(臭素化反応)得られたポリマー 4.60g、アゾビスイソブチロニトリル 0.152g、NBS 9.86gを窒素ガスで充填した50mL二口フラスコに加えた後、あらかじめ蒸留により脱水したクロロホルム 40mLを加え、76℃にて24時間加熱攪拌を行った。反応後、クロロホルムを除去した後、THFを加えポリマーを溶解させた。この溶液を2−プロパノールに滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下100℃にて10時間乾燥させた。1H-NMRにより生成物の同定を行った。
上記1H-NMRにおいて、芳香族プロトン(12H)に由来するピークが高周波数側(6.5〜8.0ppm)に、ベンジル位のプロトン(-CH2-Br)(5.6H)に由来するピークが約4.3ppmに、芳香族環に置換された4つのメチル基のプロトンに由来するピーク(3.6H)が約2.0ppmに、プロパンのプロトン(6H)が約1.7ppmに観測され、目的のポリマーが合成されていることを確認した。芳香族のプロトン数を12Hとしたときのベンジル位のプロトン数から臭素化率を算出した結果、臭素化率は70%であった。
(フォスフォン酸エステル導入)得られたポリマー 1.34g、亜リン酸トリエチル 3.3mL、アセトニトリル 20mLを窒素ガスで充填した100mLナスフラスコに加えた。この溶液を130℃までゆっくり加熱し、その後12時間加熱攪拌を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、2−プロパノールに滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は90%(1.3g)であった。1H-NMRにより生成物の同定を行った。
上記1H-NMRにおいて、芳香族プロトン(12H)に由来するピークが高周波数側(6.5〜8.0ppm)に、フォスフォン酸エチル基のメチレンのプロトンに由来するピーク(11.2H)が約4.0ppmに、ベンジル位のプロトン(-CH2-PO(OEt)2)(5.6H)に由来するピークが約4.3ppmに、芳香族環に置換された4つのメチル基のプロトンに由来するピーク(3.6H)が約2.0ppmに、プロパンのプロトン(6H)が約1.7ppmに、フォスフォン酸エチル基のメチルのプロトンに由来するピーク(16.8H)が約1.2ppmに観測され、目的のポリマーが合成されていることを確認した。
フォスフォン酸エステル基導入後、ベンジル位のプロトンに由来するピークが3ppm付近にシフトし、4.0ppmと1.2ppmにフォスフォン酸エチル基のメチレン、メチルに由来するピークがそれぞれ観測された。臭素化率算出時と同様に芳香族プロトンを基準として、フォスフォン酸エチル基のプロトン数から導入量を算出した結果、導入量は70%、すなわち全ての臭素がフォスフォン酸エステルに置換されたことを確認した。
(加水分解)得られたポリマー 1.2g、臭化水素酸 20mL、DMAc 100mLを窒素ガスで充填した200mLナスフラスコに加え、100℃にて12時間還流を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、水を加え、ろ過を行い、ろ物を大量の水で洗浄した。得られたポリマーを減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は90%(1.00g)であった。インヘレント粘度は1.18であった。下記構造の最終生成物は1H-NMRにより同定を行った。
上記1H-NMRにおいて、芳香族プロトン(12H)に由来するピークが高周波数側(6.5〜8.5ppm)に、ベンジル位のプロトン(-CH2-PO(OEt)2)(5.6H)に由来するピークが約3.8ppmに、芳香族環に置換された4つのメチル基のプロトンに由来するピーク(3.6H)が約2.0ppmに、プロパンのプロトン(6H)が約1.7ppmに観測され、目的のポリマーが合成されていることを確認した。
Figure 0005682920
加水分解後、フォスフォン酸エステル基に由来するピークが消失し、加水分解反応が完全に進行したことを確認した。なお、ベンジル位のプロトンに由来するピークは、3.8ppm付近にシフトした。
[参考例2] スルフォン酸導入ポリエーテルスルフォンの合成
2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 1.16g、3、3−ジスルフォン酸ナトリウム−4、4’−ジクロロジフェニルスルフォン 1.30g、ビス(4−フルオロフェニル)スルフォン 0.622g、炭酸カリウム 1.41gを窒素ガスで充填した50mL三口フラスコに加えた後、あらかじめ蒸留により脱水したDMAc 9mLとトルエン 7mLを加えた。この溶液を170℃のオイルバスを用いて加熱し、ディーンスタークトラップにより6時間脱水を行った後、バス温度を180℃に上げ、さらに48時間加熱攪拌し、重合反応を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、メタノールと水(7:1 v/v)の混合溶媒に滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下140℃にて6時間乾燥させた。下記構造式で表されるスルフォン酸導入ポリエーテルスルフォンの収率は80%(2.70g)であった。インヘレント粘度は0.98であった。1H-NMRにより同定を行った。
上記1H-NMRにおいて、芳香族プロトン(約15H)に由来するピークが高周波数側(6.5〜8.5ppm)に、プロパンのプロトン(6H)が約1.7ppmに観測され、目的のポリマーが合成されていることを確認した。
Figure 0005682920
芳香族プロトンに由来するピークが高周波数側(6.5〜8.0ppm)に、プロパンのプロトンが約1.7ppmに観測され、目的のポリマーが合成されていることを確認した。また、プロパンのプロトン数を基準として、芳香族プロトン数からスルフォン酸基の導入量を算出した結果、上記構造式で示される量のスルフォン酸基が導入されていることを確認した。
[実施例1] フォスフォン酸基導入芳香族ジオールを用いた、スルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリエーテルスルフォン(1)の合成
(重合)1、1-ビス(4―ヒドロキシフェニル)−1−(4−フォスフォン酸フェニル)エタン 0.448g、2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 0.644g、3、3−ジスルフォン酸ナトリウム−4、4’−ジクロロジフェニルスルフォン 0.872g、ビス(4−フルオロフェニル)スルフォン 0.574g、炭酸カリウム 1.11gを窒素ガスで充填した50mL三口フラスコに加えた後、あらかじめ蒸留により脱水したDMAc 10mLとトルエン 8mLを加えた。この溶液を170℃のオイルバスを用いて加熱し、ディーンスタークトラップにより6時間脱水を行った後、バス温度を190℃に上げ、さらに48時間加熱攪拌し、重合反応を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、メタノールと水(7:1 v/v)の混合溶媒に滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下140℃にて6時間乾燥させた。
(酸処理)得られたポリマーに6規定の塩酸を加え、室温にて30分間攪拌した。ろ過によりポリマーを回収し、大量の水で洗浄した。インヘレント粘度は0.35であった。参考例と同様に1H-NMRにより同定を行った。
上記1H-NMRにおいて、芳香族プロトン(約8.2H)に由来するピークが高周波数側(6.5〜8.5ppm)に、フォスフォン酸の酸基(-OH)のプロトンに由来するピークが約4.8ppmに、エタンのプロトン(0.45H)が約2.2ppmに、プロパンのプロトン(2.1H)が約1.7ppmに観測され、目的のポリマーが合成されていることを確認した。
Figure 0005682920
[実施例2] ブロモ基導入芳香族ジオールを用いた、スルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリエーテルスルフォン(1)の合成
(重合)1-(4−ブロモフェニル)−1、1-ビス(4―ヒドロキシフェニル)エタン 2.12g、2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 1.31g、3、3−ジスルフォン酸ナトリウム−4、4’−ジクロロジフェニルスルフォン 2.63g、ビス(4−フルオロフェニル)スルフォン 1.46g、炭酸カリウム 3.18gを窒素ガスで充填した50mL三口フラスコに加えた後、あらかじめ蒸留により脱水したDMAc 30mLとトルエン 10mLを加えた。この溶液を170℃のオイルバスを用いて加熱し、ディーンスタークトラップにより6時間脱水を行った後、バス温度を190℃に上げ、さらに24時間加熱攪拌し、重合反応を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、DMAcを加え希釈し、ろ過をすることで残留した不溶の炭酸カリウムを取り除いた。ろ過した溶液をロータリーエバポレーターにより濃縮した後、この溶液を2-プロパノールに滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は95%(6.70g)であった。
(フォスフォン酸エステル導入)得られたポリマー 2.04g、亜リン酸ジエチル 8.55mL、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム 1.03g、トリエチルアミン 9.26mL、DMF 20mLを窒素ガスで充填した二口フラスコに加えた。この溶液を120℃のオイルバスにて72時間加熱攪拌を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、2−プロパノールに滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は90%(2.2g)であった。
(加水分解)得られたポリマー 1.9g、臭化水素酸 25mLを50mLフラスコに加え、100℃にて12時間還流を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、ろ過を行い、ろ物を大量の水で洗浄した。得られたポリマーを減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は90%(1.4g)であった。インヘレント粘度は2.0であった。GPC測定の結果、重量平均分子量は339、000であった。参考例と同様に1H-NMRから酸基の導入量を確認したところ、下記の構造のようであることを確認した。
Figure 0005682920
[実施例3] メチル基を含む芳香族ジオールを用いた、スルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリエーテルスルフォン(1)の合成
(重合)2、2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)プロパン 1.40g、3、3−ジスルフォン酸−4、4’−ジクロロジフェニルスルフォン 1.13g、ビス(4−フルオロフェニル)スルフォン 0.624g、炭酸カリウム 2.38gを窒素ガスで充填した50mL三口フラスコに加えた後、あらかじめ蒸留により脱水したDMAc 12mLとトルエン 8mLを加えた。この溶液を170℃のオイルバスを用いて加熱し、ディーンスタークトラップにより12時間脱水を行った後、バス温度を190℃に上げ、さらに48時間加熱攪拌し、重合反応を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、DMAcを加え希釈し、ろ過をすることで残留した不溶の炭酸カリウムを取り除いた。ろ過した溶液をロータリーエバポレーターにより濃縮した後、この溶液を2-プロパノールに滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は95%(3.00g)であった。
(臭素化反応)得られたポリマー 0.52g、アゾビスイソブチロニトリル 0.043g、NBS 0.93gを窒素ガスで充填した50mL二口フラスコに加えた後、あらかじめ蒸留により脱水したクロロホルム 3mLを加え、76℃にて15時間加熱攪拌を行った。反応後、クロロホルムを除去した後、DMAcを加えポリマーを溶解させた。この溶液を2−プロパノールに滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下100℃にて10時間乾燥させた。臭素化率は50%であった。
(フォスフォン酸エステル導入)得られたポリマー 0.88g、亜リン酸ジエチル 2.98mL、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム 0.36g、トリエチルアミン 3.18mL、DMAc 10mLを窒素ガスで充填した二口フラスコに加えた。この溶液を100℃のオイルバスにて24時間加熱攪拌を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、2−プロパノールに滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は90%(0.8g)であった。
(加水分解)得られたポリマー 0.8g、臭化水素酸 10mLを50mLフラスコに加え、100℃にて24時間還流を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、ろ過を行い、ろ物を大量の水で洗浄した。得られたポリマーを減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は90%(0.75g)であった。インヘレント粘度は0.95であった。参考例と同様に1H-NMRから酸基の導入量を確認したところ、下記の構造のようであることを確認した。
Figure 0005682920
[実施例4] ブロモ基導入芳香族ジオールを用いた、スルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリエーテルスルフォン(2)の合成
(重合)1-(3、5−ジブロモフェニル)−1、1-ビス(4―ヒドロキシフェニル)エタン 2.27g、3、3−ジスルフォン酸ナトリウム−4、4’−ジクロロジフェニルスルフォン 1.16g、ビス(4−フルオロフェニル)スルフォン 0.644g、炭酸カリウム 1.40gを窒素ガスで充填した25mLナスフラスコに加えた後、あらかじめ蒸留により脱水したDMAc 12mLとトルエン 8mLを加えた。反応容器内を真空ポンプで脱気した後、窒素置換を行った。この操作を3回繰り返した。この溶液を170℃のオイルバスを用いて加熱し、ディーンスタークトラップにより6時間脱水を行った後、バス温度を180℃に上げ、さらに12時間加熱攪拌し、重合反応を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、DMAcを加え希釈し、ろ過をすることで残留した不溶の炭酸カリウムを取り除いた。ろ過した溶液をロータリーエバポレーターにより濃縮した後、この溶液を2-プロパノールに滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は95%(4.0g)であった。
(フォスフォン酸エステル導入)得られたポリマー 1.52g、亜リン酸ジエチル 5.12mL、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム 1.24g、トリエチルアミン 5.55mL、DMF 15mLを窒素ガスで充填した二口フラスコに加えた。この溶液を100℃のオイルバスにて72時間加熱攪拌を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、2−プロパノールに滴下することで再沈殿を行った。ろ過により沈殿物を回収した後、減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は94%(1.78g)であった。
(加水分解)得られたポリマー 1.5g、1、4−ジオキサン 10mL、臭化水素酸 14mLを50mLフラスコに加え、100℃にて20時間還流を行った。反応溶液を室温まで冷却した後、ろ過を行い、ろ物を大量の水で洗浄した。得られたポリマーを減圧下120℃にて10時間乾燥させた。収率は95%(1.1g)であった。インヘレント粘度は2.0であった。参考例と同様に1H-NMRから酸基の導入量を確認したところ、下記の構造のようであることを確認した。
Figure 0005682920
(プロトン伝導度の評価)
<キャスト法を用いたスルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリエーテルスルフォン()薄膜の形成>
実施例4で合成したポリマー 1gをDMSO 5.7mLに溶解させ、約15重量%のポリマー溶液を調製した。調製した溶液を10μmのフィルターでろ過した後、ガラス基板にキャストし、バー塗布を行った。減圧下、60℃にて2時間乾燥させた後、温度を100℃に上げさらに3時間乾燥させた。乾燥後、水に浸漬し、膜を剥離し自立膜を得た。
得られたスルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリエーテルスルフォン()薄膜について、上述したプロトン伝導率測定方法によってプロトン伝導度を測定した。
参考例1のポリエーテルスルフォンおよび参考例2のスルフォン酸導入ポリエーテルスルフォンについても上記と同様に薄膜を形成し、上述したプロトン伝導率測定方法によってプロトン伝導度を測定した。
実施例4、参考例1および参考例2について得られた結果を表1に示す。
Figure 0005682920
この結果から実施例4のスルフォン酸/フォスフォン酸導入ポリエーテルスルフォン(1)薄膜は、中温・低加湿条件下において高いプロトン伝導性能を示すことが確認された。
10 膜、12a,12b 電極、20a,20b ガスシール材、30a,30b セパレータ

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表されるプロトン伝導性ポリマー。
    −{O−R1(X)l−L1−R1(X)l−O−R2(Y)m−L2−R2(Y)m−}n (1)
    (1)式中、R1(X)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。
    Xは−P(=O)(OH)2または−CH2−P(=O)(OH)2示す。
    lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。
    L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。
    R2(Y)mは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO3Hを示す。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。
    L2は結合基であり、−C(=O)−、−SO2−より選択される結合を示す。
    nはポリマーの平均的な繰り返し単位数を示し、別途定める重量平均分子量によりその平均値が定まる。
  2. 重量平均分子量が5,000乃至10,000,000の範囲である請求項1に記載のプロトン伝導性ポリマー。
  3. インヘレント粘度が0.3乃至3.0の範囲である請求項1または2に記載のプロトン伝導性ポリマー。
  4. 置換基XまたはYを1価の酸基とみなした場合のポリマー重量当たり酸価が、それぞれ0.1から5meq/g、0.5から4meq/gの範囲である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロトン伝導性ポリマー。
  5. 下記一般式(2)で表されるプロトン伝導性ポリマー。
    −{O−R1−C(CH3)(R3(X)k)−R1−O−R2(Y)m−L2−R2(Y)m−}n (2)
    (2)式中、R1は、パラ位置換ベンゼン環を示す。
    R3(X) k は、C原子との結合に対して3、4、5位の少なくとも一部が置換基Xにより置換されたベンゼン環を示す。
    Xは−P(=O)(OH)2または−CH2−P(=O)(OH)2示す。
    kはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<k≦3である。
    R 2 (Y)mは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO3Hを示す。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。
    L2は結合基であり、−C(=O)−、−SO2−より選択される結合を示す。
    nはポリマーの平均的な繰り返し単位数を示し、別途定める重量平均分子量によりその平均値が定まる。
  6. 重量平均分子量が5,000乃至10,000,000の範囲である請求項5に記載のプロトン伝導性ポリマー。
  7. インヘレント粘度が0.3乃至3.0の範囲である請求項5または6に記載のプロトン伝導性ポリマー。
  8. 置換基XまたはYを1価の酸基とみなした場合のポリマー重量当たり酸価が、それぞれ0.1から5meq/g、0.5から4meq/gの範囲である請求項5乃至7のいずれか1項に記載のプロトン伝導性ポリマー。
  9. 一般式(3)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物との反応により一般式(1)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得る、プロトン伝導性ポリマーの製造方法。
    −{O−R 1 (X) l −L 1 −R 1 (X) l −O−R 2 (Y) m −L 2 −R 2 (Y) m −} n (1)
    HO−R1(X)l−L1−R1(X)l−OH (3)
    Z−R2(Y)m−L2−R2(Y)m−Z (4)
    (1)式中、R 1 (X) l は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。
    Xは−P(=O)(OH) 2 または−CH 2 −P(=O)(OH) 2 示す。
    lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。
    L 1 は結合基であり、−(単結合)、−CH 2 −、−CF 2 −、−C(CH 3 2 −、−C(CF 3 2 −より選択される結合を示す。
    R 2 (Y) m は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO 3 Hを示す。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。
    L 2 は結合基であり、−C(=O)−、−SO 2 −より選択される結合を示す。
    nはポリマーの平均的な繰り返し単位数を示し、別途定める重量平均分子量によりその平均値が定まる。
    (3)式中、R1(X)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、OH基に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。
    Xは−P(=O)(OH)2または−CH2−P(=O)(OH)2示す。ポリマー合成反応に際しては、これらはNa、K、NH4、NR4等(RはHまたはアルキル基)のアルカリ塩、アンモニウム塩、アミン塩、またはMe、Et等のエステル化合物、部分エステル化合物であってもよい。
    lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
    L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。これらについても、複数の結合基を有する化合物を組成物として用いてもよい。
    (4)式中、R2(Y)mは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO3Hを示す。ポリマー合成反応に際しては、これらはNa、K、NH4、NR4等(RはHまたはアルキル基)のアルカリ塩、アンモニウム塩、またはアミン塩であってもよい。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
    L2は結合基であり、−C(=O)−、−SO2−より選択される結合を示す。
    Zは−F、−Cl、−NO2より選択される末端基を示す。
  10. 一般式(5)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物とを反応させてポリマーを得たのち、得られたポリマーに残留するBr基を3価のリン化合物と反応させることにより一般式(1)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得る、プロトン伝導性ポリマーの製造方法。
    −{O−R 1 (X) l −L 1 −R 1 (X) l −O−R 2 (Y) m −L 2 −R 2 (Y) m −} n (1)
    Z−R 2 (Y) m −L 2 −R 2 (Y) m −Z (4)
    HO−R1(W)l−L1−R1(X)l−OH (5)
    (1)式中、R 1 (X) l は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。
    Xは−P(=O)(OH) 2 または−CH 2 −P(=O)(OH) 2 示す。
    lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。
    L 1 は結合基であり、−(単結合)、−CH 2 −、−CF 2 −、−C(CH 3 2 −、−C(CF 3 2 −より選択される結合を示す。
    R 2 (Y) m は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO 3 Hを示す。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。
    L 2 は結合基であり、−C(=O)−、−SO 2 −より選択される結合を示す。
    nはポリマーの平均的な繰り返し単位数を示し、別途定める重量平均分子量によりその平均値が定まる。
    (4)式中、R 2 (Y) m は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO 3 Hを示す。ポリマー合成反応に際しては、これらはNa、K、NH 4 、NR 4 等(RはHまたはアルキル基)のアルカリ塩、アンモニウム塩、またはアミン塩であってもよい。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
    L 2 は結合基であり、−C(=O)−、−SO 2 −より選択される結合を示す。
    Zは−F、−Cl、−NO 2 より選択される末端基を示す。
    (5)式中、R 1 (X) l は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、OH基に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。
    Xは−P(=O)(OH) 2 または−CH 2 −P(=O)(OH) 2 示す。
    lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。
    R1(W)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、OH基に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Wによって置換されていることを示す。
    Wは−Brまたは−CH2−Br示す。
    lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
    L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。これらについても、複数の結合基を有する化合物を組成物として用いてもよい。
  11. 一般式(6)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物とを反応させてポリマーを得たのち、得られたポリマーをBr化剤によりBr基を導入、ついでBr基を3価のリン化合物と反応させることにより一般式(1)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得る、プロトン伝導性ポリマーの製造方法。
    −{O−R 1 (X) l −L 1 −R 1 (X) l −O−R 2 (Y) m −L 2 −R 2 (Y) m −} n (1)
    Z−R 2 (Y) m −L 2 −R 2 (Y) m −Z (4)
    HO−R1(Me)l−L1−R1(Me)l−OH (6)
    (1)式中、R 1 (X) l は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Xによって置換されていることを示す。
    Xは−P(=O)(OH) 2 または−CH 2 −P(=O)(OH) 2 示す。
    lはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<l≦2である。
    L 1 は結合基であり、−(単結合)、−CH 2 −、−CF 2 −、−C(CH 3 2 −、−C(CF 3 2 −より選択される結合を示す。
    R 2 (Y) m は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO 3 Hを示す。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。
    L 2 は結合基であり、−C(=O)−、−SO 2 −より選択される結合を示す。
    nはポリマーの平均的な繰り返し単位数を示し、別途定める重量平均分子量によりその平均値が定まる。
    (4)式中、R 2 (Y) m は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO 3 Hを示す。ポリマー合成反応に際しては、これらはNa、K、NH 4 、NR 4 等(RはHまたはアルキル基)のアルカリ塩、アンモニウム塩、またはアミン塩であってもよい。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
    L 2 は結合基であり、−C(=O)−、−SO 2 −より選択される結合を示す。
    Zは−F、−Cl、−NO 2 より選択される末端基を示す。
    (6)式中、R1(Me)lは、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、OH基に対するオルト位が全てHであるか、一部または全部がMe基であることを示す。
    lはベンゼン環1つ当たりの平均Me基数であり、0≦l≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
    L1は結合基であり、−(単結合)、−CH2−、−CF2−、−C(CH32−、−C(CF32−より選択される結合を示す。これらについても、複数の結合基を有する化合物を組成物として用いてもよい。
  12. 一般式(7)で表される芳香族ジオールと、一般式(4)で表される芳香族ジハライドまたはジニトロ化合物とを反応させてポリマーを得たのち、得られたポリマーに残留するBr基を3価のリン化合物と反応させることにより一般式(2)で表されるプロトン伝導性ポリマーを得る、プロトン伝導性ポリマーの製造方法。
    −{O−R 1 −C(CH 3 )(R 3 (X) k )−R 1 −O−R 2 (Y) m −L 2 −R 2 (Y) m −} n (2)
    Z−R 2 (Y) m −L 2 −R 2 (Y) m −Z (4)
    HO−R1−C(CH3)(R3(Br)k)−R1−OH (7)
    (2)式中、R 1 は、パラ位置換ベンゼン環を示す。
    R 3 (X) は、C原子との結合に対して3、4、5位の少なくとも一部が置換基Xにより置換されたベンゼン環を示す。
    Xは−P(=O)(OH) 2 または−CH 2 −P(=O)(OH) 2 示す。
    kはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<k≦3である。
    R 2 (Y) m は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO 3 Hを示す。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。
    L 2 は結合基であり、−C(=O)−、−SO 2 −より選択される結合を示す。
    nはポリマーの平均的な繰り返し単位数を示し、別途定める重量平均分子量によりその平均値が定まる。
    (4)式中、R 2 (Y) m は、パラ位がポリマー主鎖となるベンゼン環を示し、O原子結合に対してオルト位の少なくとも一部が、置換基Yによって置換されていることを示す。
    Yは−SO 3 Hを示す。ポリマー合成反応に際しては、これらはNa、K、NH 4 、NR 4 等(RはHまたはアルキル基)のアルカリ塩、アンモニウム塩、またはアミン塩であってもよい。
    mはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0<m≦2である。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
    L 2 は結合基であり、−C(=O)−、−SO 2 −より選択される結合を示す。
    Zは−F、−Cl、−NO 2 より選択される末端基を示す。
    (7)式中、R1は、パラ位置換ベンゼン環を示す。
    R3(Br) k は、C原子との結合に対して3、4、5位の少なくとも一部がBrにより置換されたベンゼン環を示す。
    kはベンゼン環1つ当たりの平均置換基数であり、0.01から3の間の数値を取る。また、複数の置換数を有する原料を組成物として用いてもよい。
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