JP4354745B2 - 紙製緩衝材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密機器などの商品を外箱に梱包する際に使用する紙製緩衝材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の紙製緩衝材は、底壁の四辺から側壁および端壁を突設した一枚のブランクからなり、底壁に対して各壁を折り曲げた状態で、梱包用の外箱の内部に配置される。そして、4つの壁により囲繞された内部に商品を配置することにより、この商品を外箱の各壁と所定間隔をもった位置に支持し、搬送時の衝撃が商品に直接的に加わることを防止するように構成している。
【0003】
この緩衝材としては、前記側壁と端壁とに係止構造を設けずに、外箱内に配置することにより組立状態を維持する簡易タイプと、側壁と端壁との係止構造を設け、外箱に収容することなく組立状態を維持できるようにした組込タイプとを有する。
【0004】
そのうち、前記組込タイプの緩衝材の係止構造としては、側壁の両側に上端から下向きに延びる第1係合溝を設けるとともに、端壁の先端に前記第1係合溝と噛み合わせるように係合させる第2係合溝を設け、この端壁を略逆U字形状に折り曲げて第2係合溝を第1係合溝に係合させることにより、組立状態を維持できるようにしたものが提供されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記紙製緩衝材のうち簡易タイプのものは、係止構造を設けていないためブランクの面積が小さく、コストダウンを図ることができるが、組立状態を維持できないため、所謂作り貯めができず、外箱内に配置する作業性が悪いという問題がある。また、組込タイプのものは、略逆U字形状に巻き込むようにして係合させるため、ブランクの面積が大きくなり、コスト高になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、ブランクの面積が大きくなることなく、組立状態を維持できる紙製緩衝材を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の紙製緩衝材は、矩形状の外箱内に配置して収容する商品を支持するための紙製緩衝材において、前記外箱の底より小さい底壁と、該底壁の対向する一対の側辺に連設され両端に係止部を設けた側壁と、前記底壁の対向する一対の端辺に連設される端壁とを備え、前記端壁は、前記底壁に連続し、両端を前記側壁より突出させて前記係止部が係止する係止受部を設けるとともに、略中央に係止穴を設けた第1壁部と、該第1壁部の上端両側に連設される一対の第2壁部と、一対の第2壁部の外端に連設される略凹字形状の第3壁部と、前記第3壁部の略凹字形状の底縁に連設され、前記第1壁部の係止穴に挿入係止する係止爪を設けた支持壁部とを備えた構成としている。
【0008】
この緩衝材によれば、側壁および端壁に係止構造を設け、作り貯めできるようにしているため、商品の梱包時の作業性を向上することができる。また、その係止構造は、従来のように、端壁を略U字形状に巻き込むように折り曲げて係止するものではないため、ブランクの面積も大きくはなく、係止構造を設けていない簡易タイプのものと略同一とすることができる。そのため、コスト高になることを防止できる。
【0009】
この紙製緩衝材では、前記側壁における係止部の上側縁と、前記端壁の第1壁部における係止受部の下端外側を連続させる連続部を設けることが好ましい。このようにすれば、組立時に側壁を底壁に対して折り曲げることにより、端壁を連動させて起き上げることができるため、組立作業性を向上できる。
【0010】
また、前記支持壁部は、前記第3壁部に連続する第1支持部と、前記第1壁部の上端中央に連続する第2支持部とからなり、該第2支持部を切り抜いて前記係止爪を形成したものであることが好ましい。このようにすれば、組立時に第1支持部と第2支持部とを折り曲げるだけで、係止穴に係止爪を位置させることができるため、組立作業性を更に向上することができる。
【0011】
さらに、前記端壁における第3壁部の下端を、前記底壁より下方に突出させるとともに、前記側壁に、前記第3壁部の下端と略同一高さまで突出する第1突出部を設けることが好ましい。このようにすれば、側壁と端壁とで囲繞された内部に収容した商品に衝撃が直接加わることを確実に防止できる。
【0012】
さらにまた、前記端壁における第3壁部の下端を、前記底壁より下方に突出させるとともに、前記端壁の第1壁部に、前記第3壁部の下端と略同一高さまで突出する第2突出部を設けることが好ましい。このようにすれば、収容した商品に衝撃が直接加わることを更に確実に防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1から図4は、本発明の実施形態に係る緩衝材10を示す。この緩衝材10は、略矩形状をなす外箱1の内部に配設するもので、紙器打抜装置(図示せず)によって段ボール紙を図4に示す連続した一枚の展開状態で打ち抜き、そのブランクを所定位置で折り曲げることにより形成される。ここで、前記段ボール紙は、一対の表紙および裏紙の間に波状の中しんを配設したものである。また、外箱1は、図示では蓋を別体とした上端開口のものを適用しているが、蓋を一体に形成したものなど、種々の変更が可能である。
【0014】
ブランクは、図4に示すように、大略、底壁11と、該底壁11の対向する一対の側辺に連設された側壁13A,13Bと、前記底壁11の対向する一対の端辺に連設される端壁21A,21Bとを備えている。
【0015】
前記底壁11は、前記外箱1の底より小さく、収容する商品より若干大きい矩形状をなし、その四辺の各中央には3つの切断線12が設けられる。この切断線12は、後述する側壁13A,13Bおよび第1壁部22に略台形状の突出部15,24を形成するためのものである。また、切断線12において、対称に位置する二辺は、側壁13A,13Bの内部まで延びるように設けられている。
【0016】
前記側壁13A,13Bは、前記底壁11における長辺に連続するもので、前記切断線12の間を除く境界部分には、段ボール紙に罫を入れて形成した折曲線14aと、該折曲線14aに沿って所定間隔をもってミシン目状に切断部14bを設けたリード罫14が設けられている。このように構成した側壁13A,13Bは、前記リード罫14に沿って折り曲げると、前記切断線12により囲まれた台形状部分が前記底壁11より下向きに突出する。そして、この第1突出部15は、その先端が後述する端壁21における第3壁部30の下端と同一高さになるように設定されている。
【0017】
前記側壁13A,13Bの両端下部には、外向きに突出する係止部16が設けられている。この係止部16は、端部から上向きに傾斜する斜部16aと、下向きに切り欠いた係止溝部16bとを備えた形状をなす。また、前記側壁13A,13Bにおける係止部16の上側縁には、後述する端壁21の第1壁部22と連続させる連続部17が連設されている。この連続部17と側壁13A,13Bとの境界部分には、罫を入れて形成した垂直方向に延びる折曲線18が設けられている。また、連続部17と第1壁部22との境界部分には、45度の傾斜角で延びる折曲線19が設けられている。なお、この連続部17と前記係止部16とは、該係止部16の形状に沿った所定幅のスリット20によって区画されている。
【0018】
前記端壁21A,21Bは、前記底壁11における短辺に連続するもので、大略、前記底壁11に連続する第1壁部22と、該第1壁部22の上端両側に連設した一対の第2壁部28と、これら第2壁部28の外端に連設される略凹字形状の第3壁部30と、前記第1壁部22と第3壁部30との間に連設した支持壁部32とからなる二重壁である。
【0019】
前記第1壁部22は、展開状態の側壁13A,13Bの先端に向けて延びる略逆凸字形状をなし、前記切断線12の間を除く前記底壁11との境界部分にはリード罫23が設けられている。このように構成した第1壁部22は、側壁13A,13Bと同様に、前記リード罫23に沿って折り曲げると、前記切断線12により囲まれた台形状部分が前記底壁11より下向きに突出する。そして、この第2突出部24は、その先端が後述する第3壁部30の下端と同一高さになるように設定されている。
【0020】
また、第1壁部22は、その両側が側壁13A,13Bより外向きに突出され、その突出部分により前記側壁13A,13Bの係止部16を係止する係止受部25を構成している。この係止受部25の下端外側は、前記連続部17と折曲線19を介して連続されている。また、この係止受部25と前記係止部16の先端とは、1つの切断線により区画され、小さな打ち抜き屑が発生しないように構成されている。さらに、第1壁部22において、略中央部分には長楕円形状に打ち抜かれた係止穴26が設けられている。この係止穴26の両端中央には、外向きに延びる切断線27が設けられている。
【0021】
前記第2壁部28は、組立状態において、前記側壁13A,13Bの上端縁と面一に延びるもので、前記第1壁部22との境界部分には折曲線29が設けられている。
【0022】
前記第3壁部30は、一対の第2壁部28を連続させる略凹字形状のもので、その境界部分には折曲線31が設けられている。この第3壁部30の下端は、前記底壁11より下方に突出され、前記底壁11が外箱1の底から直接干渉されないように構成している。また、この第3壁部30において、その略凹字形状の底縁30aは前記第1壁部22の係止穴26と同一高さに形成されている。また、この第3壁部30の下端両側は、底箱への装着作業性を向上するために面取りされている。
【0023】
前記支持壁部32は、該第3壁部30の底縁30aに連設される第1支持部34と、前記第1壁部22の上端中央に連続する第2支持部38とからなる。言い換えれば、前記端壁21A,21Bにおいて、第2壁部28と第3壁部30にかけて延びる一対のスリット33を設け、これらの間に壁部28,30と区画した支持壁部32を形成している。
【0024】
前記第1支持部34は矩形状をなし、前記第3壁部30との境界部分である底縁30aにはリード罫35が設けられている。この第1支持部34の先端には、前記第1壁部22の係止穴26に挿入係止する係止爪36が設けられている。具体的には、この係止爪36は、後述する第2支持部38に一対に延びる切断線と、略半円形状に延びる切断線とを設けることにより、該第2支持部38を切り抜いて形成されている。この係止爪36において、略半円形状をなし、側壁13A,13Bおよび第1壁部22に囲繞される内部に突出する部分には、リード罫37が設けられている。
【0025】
前記第2支持部38は矩形状をなし、前記係止爪36を除く第1支持部34との境界部分にはリード罫39が設けられている。また、第2支持部38において、第1支持部34との連続端は半円形状に切り抜かれている。さらに、第2支持部38と第1壁部22との境界部分には、段ボール紙の肉厚より若干大きい間隔をもって平行に位置するリード罫40が設けられている。
【0026】
次に、前記緩衝材10の使用方法について具体的に説明する。
まず、この緩衝材10は、図4に示すブランクの状態で希望のメーカーに搬送され、この状態で積み重ねて保管される。
【0027】
ついで、所定の商品を収容する際には、予め所定数のブランクを図1および図2に示すように組み立てる。そして、この組み立てた緩衝材10を外箱1に収容し、その内部に所定の商品を収容させて梱包する。
【0028】
緩衝材10を組み立てる際には、例えば、図3に示すように、まず、底壁11に対して側壁13A,13Bを折り曲げる。そうすると、これら側壁13A,13Bの折り曲げに引っ張られ、連続部17によって連続した端壁21A,21Bが連動して起き上がる。そして、係止受部25の下端縁が係止部16の斜部16aと干渉し、係止溝部16bの上端近傍に位置する。この状態で、端壁21A,21Bの第1壁部22をそれぞれ内向きに押圧することにより、係止部16と係止受部25とを係止することができる。
【0029】
ついで、第1壁部22に対して第2壁部28および第2支持部38を折り曲げた後、第2壁部28に対して第3壁部30を折り曲げながら、第3壁部30に対して第1支持部34を折り曲げる。そうすると、第1支持部34の係止爪36が第1壁部22の係止穴26に位置する。そのため、第3壁部30における第1支持部34との境界部分近傍を把持して内向きに押圧することにより、係止爪36を係止穴26に挿入係止する。
【0030】
なお、この緩衝材10の組立方法は作業者の希望に応じて種々の変更が可能である。また、このように組み立てた緩衝材10において、側壁13A,13Bおよび端壁21A,21Bにより囲繞された内部に所定の商品を収容すると、その内部に突出している係止爪36に商品が干渉することにより、リード罫37に沿って該係止爪36が下向きに折り曲げられる。
【0031】
このように、本実施形態の緩衝材10は、側壁13A,13Bの係止部16および端壁21A,21Bの係止受部25とからなるの係止構造を設けるとともに、第1壁部22の係止穴26および支持壁部32の係止爪36からなる係止構造を設け、作り貯めできるようにしているため、商品の梱包時の作業性を向上することができる。また、その係止構造は、従来のように、端壁を略U字形状に巻き込むように折り曲げて係止するものではないため、ブランクの面積も大きくはなく、係止構造を設けていない簡易タイプのものと略同一とすることができる。そのため、コスト高になることを防止できる。
【0032】
また、前記側壁13A,13Bと端壁21A,21Bの第1壁部22とを連続部17によって連続させているため、組立時には、側壁13A,13Bを底壁11に対して折り曲げることにより、端壁21A,21Bを連動させて起き上げることができるため、組立作業性を向上できる。さらに、前記支持壁部32は、前記第3壁部30に連続する第1支持部34と、前記第1壁部22の上端中央に連続する第2支持部38とからなる構成としているため、これらを折り曲げるだけで、第1壁部22の係止穴26に第1支持部34の係止爪36を位置させることができるため、組立作業性を更に向上することができる。
【0033】
さらにまた、端壁21A,21Bの第3壁部30の下端を底壁11より下方に突出させているため、側壁13A,13Bと端壁21A,21Bとで囲繞された内部に収容した商品に衝撃が直接加わることを確実に防止できる。しかも、側壁13A,13Bおよび端壁21A,21Bの第1壁部22には、第3壁部30と略同一高さまで突出する突出部15,24を設けているため、緩衝材10の外箱1内に収容した状態での安定性を向上することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の紙製緩衝材では、側壁の係止部および端壁の係止受部からなる係止構造を設けるとともに、第1壁部の係止穴および支持壁部の係止爪からなる係止構造を設け、作り貯めできるようにしているため、商品の梱包時の作業性を向上することができる。また、その係止構造は、従来のように、端壁を略U字形状に巻き込むように折り曲げて係止するものではないため、ブランクの面積も大きくはなく、係止構造を設けていない簡易タイプのものと略同一とすることができる。そのため、コスト高になることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の緩衝材を示す斜視図である。
【図2】 図1の緩衝材を下方から見た状態を示す斜視図である。
【図3】 緩衝材の組立工程の1状態を示す斜視図である。
【図4】 緩衝材のブランクを示す平面図である。
【符号の説明】
1…外箱 10…緩衝材
11…底壁 13A,13B…側壁
15…第1突出部 16…係止部
17…連続部 21A,21B…端壁
22…第1壁部 24…第2突出部
25…係止受部 26…係止穴
28…第2壁部 30…第3壁部
30a…底縁 32…支持壁部
34…第1支持部 36…係止爪
38…第2支持部
Claims (5)
- 矩形状の外箱内に配置して収容する商品を支持するための紙製緩衝材において、
前記外箱の底より小さい底壁と、該底壁の対向する一対の側辺に連設され両端に係止部を設けた側壁と、前記底壁の対向する一対の端辺に連設される端壁とを備え、
前記端壁は、
前記底壁に連続し、両端を前記側壁より突出させて前記係止部が係止する係止受部を設けるとともに、略中央に係止穴を設けた第1壁部と、
該第1壁部の上端両側に連設される一対の第2壁部と、
一対の第2壁部の外端に連設される略凹字形状の第3壁部と、
前記第3壁部の略凹字形状の底縁に連設され、前記第1壁部の係止穴に挿入係止する係止爪を設けた支持壁部と
を備えたことを特徴とする紙製緩衝材。 - 前記側壁における係止部の上側縁と、前記端壁の第1壁部における係止受部の下端外側を連続させる連続部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の紙製緩衝材。
- 前記支持壁部は、前記第3壁部に連続する第1支持部と、前記第1壁部の上端中央に連続する第2支持部とからなり、該第2支持部を切り抜いて前記係止爪を形成したものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紙製緩衝材。
- 前記端壁における第3壁部の下端を、前記底壁より下方に突出させるとともに、前記側壁に、前記第3壁部の下端と略同一高さまで突出する第1突出部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の紙製緩衝材。
- 前記端壁における第3壁部の下端を、前記底壁より下方に突出させるとともに、前記端壁の第1壁部に、前記第3壁部の下端と略同一高さまで突出する第2突出部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の紙製緩衝材。
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