JP4352629B2 - 自動車シート用のダンパ及びこのダンパを具備した自動車シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の例えば回動自在(跳ね上げ自在)にされたリヤシートの回動エネルギを吸収して、リヤシートの跳ね上げ時又はその戻し時の衝撃、リヤシートのアンロック時の急制動による急激な跳ね上げ及び跳ね上げられたリヤシートの急加速による急激な戻り等をなくし得る自動車シート用のダンパ及びこのダンパを具備した自動車シートに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
自動車シートの背もたれ用のダンパとしては、流体を利用したものが知られているが、斯かる流体を利用したダンパでは、大きな減衰力を得るには大型にならざるを得ない上に、流体の漏出を阻止するための大掛かりなシールを必要とする。特に、大きな車内居住空間を確保するために、背もたれを折り畳み、その後、シートを跳ね上げるようにした自動車シートのダンパでは、背もたれ及びシートの合計荷重に基づく大きな回動エネルギを減衰する必要があるために、単に流体を利用した小型のダンパでは、目的の大きな減衰を得ることが困難である。
【0003】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、大きな減衰力を得ることができる上に小型にでき、特に背もたれを折り畳み、その後、シートを跳ね上げるようにした自動車シートに好適なダンパ及びこのダンパを具備した自動車シートを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様の自動車シート用のダンパは、アーム部及びハウジング本体を一体的に有したハウジングと、ハウジング本体内に回転自在に収容されていると共にハウジング本体の内面と協働して隙間を形成する隙間形成部材と、隙間に配されたシリコン系未加硫ゴムとを具備しており、ここで、ハウジングには、アーム部を介して自動車のシートの回動が伝達されるようになっており、隙間形成部材は、自動車のシートが回動自在に設置されるシャーシに対して固定されるようになっている。
【0005】
本発明の第二の態様の自動車シート用のダンパは、アーム部及びハウジング本体を一体的に有したハウジングと、ハウジング本体内に回転自在に収容されていると共にハウジング本体の内面と協働して隙間を形成する隙間形成部材と、隙間に配されたシリコン系未加硫ゴムとを具備しており、ここで、ハウジングは、自動車のシートが回動自在に設置されるシャーシに対してアーム部を介して固定されるようになっており、隙間形成部材には、自動車のシートの回動が伝達されるようになっている。
【0006】
本発明の第三の態様の自動車シート用のダンパは、鍔部及びハウジング本体を一体的に有したハウジングと、ハウジング本体内に回転自在に収容されていると共にハウジング本体の内面と協働して隙間を形成する隙間形成部材と、隙間に配されたシリコン系未加硫ゴムとを具備しており、ここで、ハウジングには、鍔部を介して自動車のシートの回動が伝達されるようになっており、隙間形成部材は、自動車のシートが回動自在に設置されるシャーシに対して固定されるようになっている。
【0007】
本発明の第四の態様の自動車シート用のダンパは、鍔部及びハウジング本体を一体的に有したハウジングと、ハウジング本体内に回転自在に収容されていると共にハウジング本体の内面と協働して隙間を形成する隙間形成部材と、隙間に配されたシリコン系未加硫ゴムとを具備しており、ハウジングは、自動車のシートが回動自在に設置されるシャーシに対して鍔部を介して固定されるようになっており、隙間形成部材には、自動車のシートの回動が伝達されるようになっている。
【0008】
第一から第四の態様の自動車シート用のダンパによれば、シリコン系未加硫ゴムでもって減衰機能を得るようにしているために、摩耗の虞もない上に、漏出防止のためのシールを省き得て、しかも、軽量且つ小型でも大きな減衰力を容易に得ることができる。
【0009】
シリコン系未加硫ゴムは、本発明の第五の態様の自動車シート用のダンパのように、30以上から420以下の可塑度を有していればよいが、好ましくは、本発明の第六の態様の自動車シート用のダンパのように、60以上から320以下の可塑度を有しており、より好ましくは、本発明の第七の態様の自動車シート用のダンパのように、160以上から320以下の可塑度を有している。
【0010】
本発明における可塑度は、ASTM等により規格化されたウィリアム可塑度計で測定した値であって、具体的には、上下2枚の平行板に直径約1.43cm、高さ1.27cmの円柱形で容積2ccのシリコン系未加硫ゴムをはさみ、70℃〜100℃で5kgの荷重により圧縮し、3分間加圧後のシリコン系未加硫ゴムの高さ(mm/100)により表したものである。
【0011】
本発明においては、シリコン系未加硫ゴムは、上述のように、30以上から420以下の可塑度を有していればよいが、30より小さい可塑度であると、流動し易くなってハウジング本体と隙間形成部材との間の隙間に配されたシリコン系未加硫ゴムに対して漏出を防止するための十分なシールを必要とする上に、大きな減衰力を期待できなくなり、420より大きい可塑度であると、ハウジング本体及び隙間形成部材の接触面とのなじみが殆どなくなり、ハウジング本体及び隙間形成部材の互いの相対的な回転においてシリコン系未加硫ゴムに対してハウジング本体及び隙間形成部材が滑ってシリコン系未加硫ゴムの変形による実質的な減衰力を得られ難くなり、また、滑りを防止するために斯かるシリコン系未加硫ゴムに接するハウジング本体及び隙間形成部材の面を凹凸面としてシリコン系未加硫ゴムを掴むようにしても、420より大きい可塑度のシリコン系未加硫ゴムは極めて脆いために、ハウジング本体及び隙間形成部材の互いの相対的な回転においてシリコン系未加硫ゴムがたやすくせん断(分断)されて、これによってもシリコン系未加硫ゴムの変形に基づく減衰力を得られなくなる。
【0012】
また、シリコン系未加硫ゴムは、ハウジング本体及び隙間形成部材の間の隙間に充填されるのであるが、その可塑度が420より大きいと、ハウジング本体及び隙間形成部材との間に隙間なしにシリコン系未加硫ゴムを充填することが極めて困難となり、シリコン系未加硫ゴムを充填した後に、ハウジング本体及び隙間形成部材とシリコン系未加硫ゴムとの間に隙間が生じていると、所望の減衰を得られなくなる虞がある。
【0013】
斯かるシールの不要性及び得られる減衰力の大きさ、なじみ性、脆性、充填の容易性及び耐久性等の観点からシリコン系未加硫ゴムの可塑度は、好ましくは、上述の通り、60以上から320以下、より好ましくは、160以上から320以下である。可塑度が60以上であると、シリコン系未加硫ゴムの流動性が殆どなくなり、簡単なシール機構でシリコン系未加硫ゴムの漏出を防止でき、可塑度が160以上であると、シール機構をほぼ省略できる上に、比較的大きな減衰力を得られるようになる。一方、シリコン系未加硫ゴムは、その可塑度が420より大きいと、上述のようにハウジング本体及び隙間形成部材の接触面とのなじみ性をなくする上に、脆くなってたやすくせん断されるのであるが、可塑度が320以下であるシリコン系未加硫ゴムでは、ハウジング本体及び隙間形成部材の接触面とのなじみ性が向上して、ハウジング本体及び隙間形成部材の互いの相対的な回転においてハウジング本体及び隙間形成部材の接触面に対してそれ程滑ることなしにシリコン系未加硫ゴムに変形が生じて目的とする減衰が得られ易くなる上に、脆弱性がなくなってハウジング本体及び隙間形成部材の互いの相対的な回転に応じて好ましく可塑変形して、シリコン系未加硫ゴムを掴む凹凸面を形成したハウジング本体及び隙間形成部材を用いても、シリコン系未加硫ゴムがぼろぼろにせん断されるような事態を避けることができる。
【0014】
本発明では、第八の態様の自動車シート用のダンパのように、ハウジング本体は、同心の複数の円弧状の突部を有しており、隙間形成部材は、ハウジング本体の円弧状の突部が隙間をもって配される同心の複数の円筒状の凹部を有している。
【0015】
第八の態様の自動車シート用のダンパによれば、隙間においてシリコン系未加硫ゴムのハウジング本体及び隙間形成部材に接触する面積を大きくでき、而して、小型にしても更に大きなエネルギ吸収能を得ることができる。
【0016】
また本発明では、好ましくは、第九の態様の自動車シート用のダンパのように、隙間形成部材には、径方向に伸びると共に隙間に連通したスリットが形成されている。
【0017】
第九の態様の自動車シート用のダンパによれば、隙間に連通したスリットにもシリコン系未加硫ゴムを充填できるために、スリットによりシリコン系未加硫ゴムの隙間形成部材に対する滑りを防止でき、しかも、シリコン系未加硫ゴムの隙間への充填に際しては斯かるスリットを介してそれを行い得るから、隙間ヘ確実に容易にシリコン系未加硫ゴムを充填でき、シリコン系未加硫ゴムとハウジング本体及び隙間形成部材との間にシリコン系未加硫ゴムが充填されない隙間の生起をなくし得る。
【0018】
本発明においては、ハウジング本体及び隙間形成部材のうちの少なくとも一方は、シリコン系未加硫ゴムに接する凹凸面を有しており、この凹凸面は、ハウジング本体及び隙間形成部材間の相対的な回転において当該凹凸面の近傍のシリコン系未加硫ゴムの凹凸面に対する滑りを阻止するようになっていてもよい。凹凸面は、離散的に配された突起若しくは凹溝又は後述のような連続した突起若しくは凹溝で具体化してもよいが、梨子地状又はしぼ状の凹凸面で具体化してもよい。
【0019】
斯かる凹凸面は、凹凸面の近傍のシリコン系未加硫ゴムを掴むように機能し、これによりハウジング本体及び隙間形成部材間の相対的な回転において当該ハウジング本体及び隙間形成部材とシリコン系未加硫ゴムとの間の滑りを防止でき、シリコン系未加硫ゴムに所望の塑性変形を生じさせて、シリコン系未加硫ゴムに目的のエネルギを吸収させることができる。上述のように、シリコン系未加硫ゴムとこれに接するハウジング本体及び隙間形成部材との面がよく馴染んで、ハウジング本体及び隙間形成部材とシリコン系未加硫ゴムとの間に滑りが生じない場合又はその滑りを許容する場合には、斯かる凹凸面とすることなしに、平滑面としてもよい。
【0020】
本発明の第一の態様の自動車シートは、上記のいずれかの態様のダンパと、自動車のシャーシに対して回動自在に設けられたシートとを具備しており、ここで、ハウジング及び隙間形成部材のうちの一方には、シートの回動が伝達されるようになっており、ハウジング及び隙間形成部材のうちの他方は、シャーシに対して固定されている。
【0021】
斯かる第一の態様の自動車シートによれば、シリコン系未加硫ゴムでもって減衰機能を得るようにしているために、上記のダンパによる効果を得ることができると共に、シート、例えばリアシートの跳ね上げ時又はその戻し時の衝撃、シートのアンロック時の急制動による急激な跳ね上げ及び跳ね上げられたシートの急加速による急激な戻り等をなくし得る。
【0022】
本発明においては好ましくは、シートには、その第二の態様の自動車シートのように、回動自在に背もたれが設けられている。なお、本発明の自動車シートは、このようにシートに回動自在に背もたれが設けられているものに限定されず、また、シートはリヤシートにも限定されず、その他の自動車内のシートであってもよい。
【0023】
次に本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい例を参照して説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1から図4において、本例の自動車シート用のダンパ1は、アーム部2及びハウジング本体3を一体的に有したハウジング4と、ハウジング本体3内にA及びB方向に回転自在に収容されていると共にハウジング本体3の内面5と協働して隙間6を形成する隙間形成部材7と、隙間6に配されたシリコン系未加硫ゴム8と、隙間形成部材7に固着された蓋体9とを具備している。
【0025】
アーム部2には連結用の貫通孔11が形成されており、ハウジング本体3は、円筒体12と、円筒体12の一端面を閉塞していると共に内面に中央凹部13が形成された閉塞部14と、閉塞部14の内面に中央凹部13を中心として設けられた同心の複数の円弧状の突部15とを一体的に有している。
【0026】
隙間形成部材7は、中央凹部13にA及びB方向に回転自在に嵌合された中央突部21と、ハウジング本体3の円弧状の突部15が隙間6をもって配されると共に、中央突部21を中心として設けられた同心の複数の円筒状の凹部22と、中央突部21に形成された中央凹部23と、中央凹部23に連通する孔24とを有しており、孔24において隙間形成部材7には軸方向に伸びるセレーション(凹凸)が形成されており、隙間形成部材7には、径方向に伸びると共に隙間6に連通した複数、本例では円周方向に等角度間隔に配された複数のスリット25が形成されている。
【0027】
30以上から420以下、好ましくは60以上から320以下、より好ましくは160以上から320以下の可塑度を有したシリコン系未加硫ゴム8は、隙間6に、ハウジング本体3及び隙間形成部材7に密に接して充填されてハウジング本体3内に配されている。
【0028】
蓋体9は、隙間形成部材7にねじ26により固着されており、蓋体9と隙間形成部材7との間及び蓋体9と円筒体12との間には、シール部材(Oリング)27及び28が嵌装されている。シリコン系未加硫ゴム8がそれ程流動性を有しない場合には、シールリング27及び28を省き得る。なお、蓋体9の円筒体12からの抜出しの防止は、円筒体12に嵌着されたEリング等のリング29により行われている。
【0029】
本例のダンパ1は、例えば自動車のシートとしてのリヤシート31のA及びB方向の回動と共に回動するシートフレーム32に、貫通孔11に挿入されたねじ又はピン33を介してアーム部2が連結され、リヤシート31のヒンジ機構(図示せず)の固定軸34のセレーション加工された先端部35及び最先端部36が孔24及び中央凹部23に嵌入されて、使用される。
【0030】
したがって、本例では、ハウジング4には、アーム部2を介してリヤシート31のA及びB方向の回動が伝達されるようになっており、隙間形成部材7は、リヤシート31が回動自在に設置されるシャーシ(車台)37に対して固定されるようになっている。リヤシート31に回動自在に連結された背もたれ38は、ヒンジ機構39によりリヤシート31に対してC及びD方向に回動自在になっている。
【0031】
シートフレーム32のA方向の回動は、公知のロック機構40により通常は禁止されており、シートフレーム32は、ロック機構40のロック解除で図6に示すようにA方向に回動できるようになっている。したがって、図5に示すように背もたれ38をC方向に回動後、図6に示すようにリヤシート31をA方向に回動することにより、大きな車内居住空間を確保することができる。
【0032】
斯かるダンパ1と、自動車のシャーシ37に対してA及びB方向に回動自在に設けられたシート、本例ではリヤシート31とを具備し、ハウジング4及び隙間形成部材7のうちの一方、本例ではハウジング4には、リヤシート31のA及びB方向の回動が伝達されるようになっており、ハウジング4及び隙間形成部材7のうちの他方、本例では隙間形成部材7は、シャーシ37に対して固定されている本例の自動車シートは、リヤシート31のA及びB方向の回動におけるアーム部2を介するハウジング本体3の隙間形成部材7に対する同じくA及びB方向の回動で、シリコン系未加硫ゴム8に変形を生じさせてリヤシート31の回転エネルギをシリコン系未加硫ゴム8の変形により吸収して回動時の衝撃を生じないようにでき、また例えば図6に示すようなリヤシート31が跳ね上げられた状態での急発進によるリヤシート31のB方向の戻りを緩衝できると共に、ロック機構40のアンロック時における急制動によるリヤシート31のA方向の跳ね上げを緩衝できる。
【0033】
そしてダンパ1によれば、シリコン系未加硫ゴム8でもって減衰機能を得るようにしているために、摩耗の虞もない上に、漏出防止のためのシールを省き得て、しかも、軽量且つ小型でも大きな減衰力を容易に得ることができ、その上、突部15と突部15が隙間6をもって配される凹部22とを有しているために、隙間6においてシリコン系未加硫ゴム8のハウジング本体3及び隙間形成部材7に接触する面積を大きくでき、而して、小型にしても大きなエネルギ吸収能を得ることができ、隙間形成部材7にスリット25が形成されているために、スリット25によりシリコン系未加硫ゴム8の隙間形成部材7に対する滑りを防止でき、しかも、シリコン系未加硫ゴム8の隙間6への充填に際しては斯かるスリット25を介してそれを行い得るから、隙間6ヘ確実に容易にシリコン系未加硫ゴム8を充填でき、シリコン系未加硫ゴム8とハウジング本体3及び隙間形成部材7との間にシリコン系未加硫ゴム8が充填されない隙間の生起をなくし得る。
【0034】
ところで、上記のダンパ1では、隙間形成部材7を固定する一方、ハウジング4をリヤシート31の回動と共に回転させるようにしたが、これに代えて、シャーシ37に取付け、固着されたブラケット54にねじ又はピン等でもってアーム部2を固着し、リヤシート31のヒンジ機構(図示せず)の固定軸34をリヤシート31のA及びB方向の回転と共に同方向に回転される回転軸とし、この回転軸のセレーション加工された先端部35及び最先端部36を隙間形成部材7の孔24及び中央凹部23に嵌入して、これより、ハウジング4を、リヤシート31が回動自在に設置されるシャーシ37に対してアーム部2を介して固定し、隙間形成部材7にリヤシート31の回動を伝達するようになっていてもよい。
【0035】
更に上記では、アーム部2及びハウジング本体3を一体的に有したハウジング4をもってダンパ1を構成したが、これに代えて、図7及び図8に示すように、環状の鍔部51及びハウジング本体3を一体的に有したハウジング4をもってダンパ1を構成してもよく、この場合には、固定用のねじ又はピン等が挿通される複数の貫通孔52を有した鍔部51は、ハウジング本体3の円筒体12に一体的に設けられている。
【0036】
図7及び図8に示すダンパ1でも、一端がシートフレーム32に固着された連結部材(図示せず)の他端に鍔部51をねじ又はピン等でもって固着し、これにより、ハウジング4に鍔部51を介してリヤシート31のA及びB方向の回動が伝達されるようになって、隙間形成部材7は、リヤシート31がA及びB方向に回動自在に設置されるシャーシ37に対して固定されるようになっていても、これに代えて、シャーシ37に取付け、固着されたブラケット54にねじ又はピン等でもって鍔部51を固着し、リヤシート31のヒンジ機構(図示せず)の固定軸34をリヤシート31のA及びB方向の回転と共に同方向に回転される回転軸とし、この回転軸のセレーション加工された先端部35及び最先端部36を隙間形成部材7の孔24及び中央凹部23に嵌入して、これより、ハウジング4は、リヤシート31がA及びB方向に回動自在に設置されるシャーシ37に対して鍔部51を介して固定されるようになって、隙間形成部材7にリヤシート31のA及びB方向の回動が伝達されるようになっていてもよい。
【0037】
以上の例では、ねじ26より蓋体9を隙間形成部材7に固着したが、これに代えて、図9に示すように、外周面61に雄ねじ部62を有した蓋体9と、ハウジング本体3の内面5に雌ねじ部63を有したハウジング4とを用いて、雄ねじ部62を雌ねじ部63に螺合させて蓋体9をハウジング本体3に固着して、蓋体9をハウジング本体3と共に固定又は回転させるようにしてもよく、この場合には、蓋体9と隙間形成部材7との間にも隙間6に連通した隙間64を設けて、隙間64にもシリコン系未加硫ゴム8を充填すると、更に大きなエネルギ吸収能を得ることができる。また図9に示すダンパ1のように、隙間形成部材7の中央凹部23と固定軸34の最先端部36とを省いてもよく、加えて、シールリング27及び28を省いてシールリング27及び28の代わりに蓋体9と隙間形成部材7との間にラビリンス機構71を設けてもよい。
【0038】
詳細を図10に示す本例のラビリンス機構71は、隙間形成部材7に一体的に形成された同心の円筒状の複数の突起72と、蓋体9に設けられていると共に、各突起72が挿入される同心の複数の凹所73とを具備しており、突起72と凹所73とによりラビリンス74を形成しており、斯かるラビリンス74により蓋体9と隙間形成部材7との間からのシリコン系未加硫ゴム8の外部への漏洩を防止するようにしてもよい。
【0039】
また図11に示すように突起72の一つに環状の傾斜面75を設け、斯かる傾斜面75を蓋体9に当接させて、分断されたラビリンス76及び77をもってラビリンス機構71を構成してもよく、図11に示すラビリンス機構71によればシリコン系未加硫ゴム8の漏洩をより確実に防止できる。
【0040】
上記の例では、隙間形成部材7と別体の蓋体9を設けたが、これに代えて、図12に示すように蓋体9を省いてダンパ1を構成してもよい。この場合にも、上記の円筒体12に嵌着されたEリング等のリング29を用いて隙間形成部材7の円筒体12からの抜出しの防止を行ってもよいが、これに代えて、外周面81に雄ねじ部82を有した隙間形成部材7を用いて、雄ねじ部82をハウジング本体3の雌ねじ部63に螺合させて隙間形成部材7をハウジング本体3内にA及びB方向に回転自在に装着してもよく、この場合には、ハウジング本体3に対する隙間形成部材7のA及びB方向の相対的な回転で隙間形成部材7がハウジング本体3及び固定軸(又は回転軸)34に対して軸心方向、即ちE方向に相対的に移動可能になるように、E方向に関しても隙間形成部材7とハウジング本体3との間に、隙間6に連通してシリコン系未加硫ゴム8が同様に充填された隙間83を設ける一方、固定軸(又は回転軸)34の先端部35と孔24の底部との間にE方向の隙間84を設けると共に固定軸(又は回転軸)34の先端部35を隙間形成部材7の孔24内で隙間形成部材7に対してE方向に摺動可能とする。斯かる雄ねじ部82及び雌ねじ部63を用いた場合には、ハウジング本体3に対する隙間形成部材7のA及びB方向の相対的な回転でハウジング本体3に対して隙間83を含む隙間6の容積が変化するが、雄ねじ部82及び雌ねじ部63のねじピッチ寸法を極めて小さくすると、この容積変化は極めて僅かであって、シリコン系未加硫ゴム8の可圧縮性によってこれを吸収することができる。図12に示すダンパ1では、ハウジング本体3に対する隙間形成部材7のA及びB方向の相対的な回転でシリコン系未加硫ゴム8は捩り変形されることになる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、大きな減衰力を得ることができる上に小型にでき、特に背もたれを折り畳み、その後、シートを跳ね上げるようにした自動車シートに好適なダンパ及びこのダンパを具備した自動車シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の一例の説明図である。
【図2】本発明の好ましい実施の形態の一例を示す断面説明図である。
【図3】図2に示す例のIII−III線矢視図である。
【図4】図2に示す例のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】図1に示す例の動作説明図である。
【図6】図1に示す例の動作説明図である。
【図7】本発明の好ましい実施の形態の他の例を示す説明図である。
【図8】図7に示す例のVIII−VIII線矢視図である。
【図9】本発明の好ましい実施の形態の更に他の例を示す説明図である。
【図10】図9に示す例の一部拡大説明図である。
【図11】本発明の好ましい実施の形態の更に他の例の一部拡大説明図である。
【図12】本発明の好ましい実施の形態の更に他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ダンパ
2 アーム部
3 ハウジング本体
4 ハウジング
5 内面
6 隙間
7 隙間形成部材
8 シリコン系未加硫ゴム
Claims (11)
- アーム部及びハウジング本体を一体的に有したハウジングと、ハウジング本体内に回転自在に収容されていると共にハウジング本体の内面と協働して隙間を形成する隙間形成部材と、隙間に配されたシリコン系未加硫ゴムとを具備しており、ハウジングには、アーム部を介して自動車のシートの回動が伝達されるようになっており、隙間形成部材は、自動車のシートが回動自在に設置されるシャーシに対して固定されるようになっている自動車シート用のダンパ。
- アーム部及びハウジング本体を一体的に有したハウジングと、ハウジング本体内に回転自在に収容されていると共にハウジング本体の内面と協働して隙間を形成する隙間形成部材と、隙間に配されたシリコン系未加硫ゴムとを具備しており、ハウジングは、自動車のシートが回動自在に設置されるシャーシに対してアーム部を介して固定されるようになっており、隙間形成部材には、自動車のシートの回動が伝達されるようになっている自動車シート用のダンパ。
- 鍔部及びハウジング本体を一体的に有したハウジングと、ハウジング本体内に回転自在に収容されていると共にハウジング本体の内面と協働して隙間を形成する隙間形成部材と、隙間に配されたシリコン系未加硫ゴムとを具備しており、ハウジングには、鍔部を介して自動車のシートの回動が伝達されるようになっており、隙間形成部材は、自動車のシートが回動自在に設置されるシャーシに対して固定されるようになっている自動車シート用のダンパ。
- 鍔部及びハウジング本体を一体的に有したハウジングと、ハウジング本体内に回転自在に収容されていると共にハウジング本体の内面と協働して隙間を形成する隙間形成部材と、隙間に配されたシリコン系未加硫ゴムとを具備しており、ハウジングは、自動車のシートが回動自在に設置されるシャーシに対して鍔部を介して固定されるようになっており、隙間形成部材には、自動車のシートの回動が伝達されるようになっている自動車シート用のダンパ。
- シリコン系未加硫ゴムは、30以上から420以下の可塑度を有している請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車シート用のダンパ。
- シリコン系未加硫ゴムは、60以上から320以下の可塑度を有している請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車シート用のダンパ。
- シリコン系未加硫ゴムは、160以上から320以下の可塑度を有している請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車シート用のダンパ。
- ハウジング本体は、同心の複数の円弧状の突部を有しており、隙間形成部材は、ハウジング本体の円弧状の突部が隙間をもって配される同心の複数の円筒状の凹部を有している請求項1から7のいずれか一項に記載の自動車シート用のダンパ。
- 隙間形成部材には、径方向に伸びると共に隙間に連通したスリットが形成されている請求項1から8のいずれか一項に記載の自動車シート用のダンパ。
- 請求項1から9のいずれか一項に記載の自動車シート用のダンパと、自動車のシャーシに対して回動自在に設けられたシートとを具備しており、ハウジング及び隙間形成部材のうちの一方には、シートの回動が伝達されるようになっており、ハウジング及び隙間形成部材のうちの他方は、シャーシに対して固定されている自動車シート。
- シートには、回動自在に背もたれが設けられている請求項10に記載の自動車シート。
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