JP4017698B2 - ロータリーダンパ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はロータリーダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車の前部シート等の背もたれをリクライニング状態から復帰動作させる場合、あるいは洋式トイレの便蓋や便座を開放した状態から閉じる場合等において、それらの動作を緩慢なものにさせて、動作終了時における衝撃を緩和するためにロータリーダンパが用いられる。かかるロータリーダンパは、一般に次のような構造を有している。
【0003】
すなわち、ケースと、このケース内に配設されるロータと、ロータとケースとの間の僅かなクリアランスに充填される粘性液体と、ロータに連結される回転軸とを有して構成されている。そして、ケースを上記した背もたれ等に固定すると共に、回転軸を背もたれ等の回転対象物の回転支軸に連結して、ケースが背もたれと共に回動することに伴って相対的にロータが回転することにより、粘性液体の抵抗が発揮されて回転対象物の動作を緩慢なものにさせている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した背もたれ等に配設する場合、背もたれの側部の適宜位置にロータリーダンパのケースを固定ねじを用いて固定すると共に、背もたれの側部から突出している回転支軸にロータリーダンパの回転軸を連結する。このため、固定ねじの位置が僅かでも所定の位置からずれている場合、回転支軸の軸心と回転軸の軸心とが一直線上に位置しないことになり、回転軸を介してロータの一部がケース内面に押し付けられる力が作用する。従って、そのまま背もたれを動作させた場合には、ロータ、ケース及び回転軸に無理な力が加わったまま動作することになるため、緩衝力が不安定になる。このため、ロータリーダンパを取り付ける際には、作業者が相当慎重に作業を行う必要があり、作業負担が大きいと共に、如何に慎重に作業を行っても、このような取り付け不良を減らすことは困難であった。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、取り付ける際の作業負担を軽減させることができると共に、取り付け不良も少なくすることができるロータリーダンパを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のロータリーダンパは、ケース内に粘性液体を介して相対的に回転可能に配設されるロータと、該ロータに係合して該ロータと共に前記ケースに対して相対的に回転する回転軸とを有するロータリーダンパにおいて、前記回転軸が前記ロータに対して遊びを有して係合し、かつ前記ケースと前記ロータとの間に、前記回転軸に接触しない形で、粘性液体の漏出を防止するOリングが配設されることにより、前記ケースの取付後、その取付位置を変えることなく、前記回転軸の位置ずれを修正可能にしたことを特徴とする。
【0007】
例えば、このロータリーダンパは、前記ケースが、所定深さの環部を有する平面略環状に形成された本体部と、該本体部の開放面を閉塞する平面略環状の蓋部材とを有して構成され、前記ロータが平面略環状で該ケースの本体部を構成する環部内に装填され、前記回転軸が該ロータの中央孔部に挿入されると共に、回転軸に形成された係合部が、ロータに形成された被係合部に係合するように配設され、前記遊びが、ロータの中央孔部と回転軸の外周縁及び回転軸とロータの係合部と被係合部との間に設けられている構成とすることができる。この場合、前記ケースを構成する本体部の環部内に、円周方向に沿う第1の環状突壁が径方向に間隔をおいて複数形成すると共に、前記ロータに該本体部の第1の環状突壁と互い違いにかみ合うように円周方向に沿う第2の環状突壁を形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。図において、1は本実施の形態に係るロータリーダンパであり、ケース2、ロータ3、回転軸4等を有して構成される。
【0009】
ケース2は、本体部21と蓋部材22とを有して構成されている。本体部21は、図1に示すように平面視で略環状に形成されていると共に、図2に示すようにその環部21aが所定深さの断面略凹状に形成され、その一面(開放面)21bが開放されている。但し、後述の回転軸4の配設のため、内周壁21cは、底壁21dからの立ち上げ高さが、外周壁21eの立ち上げ高さよりも低くなるように形成されている。また、環部21a内であって、内周壁21cと外周壁21eとの間には、径方向に所定間隔をおいて円周方向に沿って底壁21dから第1の環状突壁21f,21g,21hが3つ立ち上げ形成されている。なお、図4及び図5に示すように、この第1の環状突壁21f,21g,21hのうち、最内方に設けられる第1の環状突壁21fは、円周の全てに亘って形成されているが、中央と最外方に設けられる第1の環状突壁21g,21hは、成形強度等の関係から部分的に途切れている。
【0010】
蓋部材22は、図1及び図2に示すように、平板を略環状に加工して形成され、上記したケース2の開放されている一面(開口面)21bを閉塞して、粘性液体の漏れや後述のロータ3や回転軸4の脱落を防止するものであり、ロータ3及び回転軸4を装填後に配設される。また、蓋部材22の外周縁は、本体部21の外周壁21eの適宜箇所に突設されたアンダカット部21iと係合し、該本体部21にはめ合わせられる。内周縁22bは、該内周縁22bにより形成される孔部が回転対象物の回転支軸用の挿通孔となるため、該回転支軸を挿入可能な大きさとなるように形成されている。
【0011】
また、蓋部材22の一部には外周縁から外方に延びる取り付け板部22aが突設されており、この取り付け板部22aに形成されたねじ等の取り付け部材用の配置溝22bが設けられている(図1及び図3参照)。
【0012】
ロータ3は、図6及び図8に示すように、平面視で略環状に形成されていると共に、図2,図6及び図7に示すように、その環状基盤部3aには上記した本体部21に形成された内周壁21c、3つの第1の環状突壁21f,21g,21h及び外周壁21eにより形成される間隙にはまり合う厚みで環状に第2の環状突壁3b,3c,3d,3eが4つ突設されている。なお、第2の環状突壁3b,3c,3d,3eのうち、内方側の2つの第2の環状突壁3b,3cは円周全体に亘って設けられているが、外方側の2つの第2の環状突壁3d,3eは、成形強度等の関係から部分的に切り欠かれて途切れている。また、環状基盤部3aと第2の環状突壁3b,3c,3d,3eとを含めたロータ3の全体の高さは、ケース2の本体部21の環部21aの深さ、すなわち、外周壁21eにおける蓋部材22との接触端面から底壁21d内面までの距離とほぼ同じになるように設定されている。
【0013】
また、図2に示すように、環状基盤部3aの内周縁付近であって、蓋部材22との間には、第1のOリング5が配設され、最も内方の第2の環状突壁3bと本体部21を構成する環部21aの底壁21dとの間には第2のOリング6が配設されている。さらに、本体部21の外周壁21eと蓋部材22との間には、第3のOリング7が配設されている。そして、粘性液体は、本体部21とロータ4、ロータ4と蓋部材22との間であって、第1及び第2のOリング5,6の外方と第3のOリングの内方に充填されている。
【0014】
また、このロータ3の環状基盤部3aの中央孔部3gの適宜位置には、内周縁から外周縁に向かって所定幅の切り欠き溝3fが複数形成されている(図1、図6及び図8参照)。この切り欠き溝3fは、後述の回転軸4に設けられた係合部である突片4aに係合する被係合部として機能する。
【0015】
回転軸4は、図1及び図9に示すように、略円盤状に形成され、ケース2を構成する本体部21の内周壁21cの端面と蓋部材22との間に配設される。回転軸4には、円周方向に所定間隔をおいて上記したロータ3の被係合部である切り欠き溝3fに対応する位置に、係合部である突片4aが設けられている。また、この回転軸4の外周縁4b内には、2つの半円状の貫通孔4cが形成されており、この貫通孔4cに回転対象物の回転支軸12が連結される。
【0016】
ここで、回転軸4は、外径がロータ3の中央孔部3gの内径よりも小さく、回転軸4の外周縁4bとロータ3の中央孔部3gとの間に所定の遊び空間41が形成されている。また、突片4aの幅がロータ3の切り欠き溝3fの幅よりも小さい幅で形成され、両者間にも遊び空間41が形成されている。
【0017】
次に、本実施の形態にかかるロータリーダンパ1の作用を説明する。例えば、図11及び図12に示すように、自動車の前部シートの背もたれ11の下方部において、該背もたれ11の側部から突出している背もたれ11用の回転支軸12の端部12aを、回転軸4の貫通孔4cに挿通して連結する。なお、回転支軸12の端部12aは回転軸4の貫通孔4cの形状に合わせて二股に分かれている。また、この端部12aの先端は、車体内の不動部に固定配設されたフレーム14に固定連結されている。
【0018】
次に、取り付け部材であるねじ等を、取り付け部材用の配置溝22bに挿通して締め付け、背もたれ11の側部に対して取り付け板部22aを押し付けるようにして固定する。
【0019】
さらに、コイルスプリング13の一端をロータリーダンパ1の蓋部材22に固定し、他端をフレーム14に固定する。なお、フレーム14には、レバー15が配設されており、このレバー15を持ち上げると背もたれのロック機構(図示せず)が解除されるようになっている。
【0020】
かかる状態で、レバー15を持ち上げ、前部シートに着席している者が背もたれ11に体重をかけると、背もたれ11は回転支軸12を中心として、ケース2と共に後方に回動し、回動した分、コイルスプリング13がねじられる。持ち上げていたレバー15を離すと、ロック機構により背もたれ11がリクライニング状態で保持される。再び、レバー15を持ち上げるとロック機構が解除されて、コイルスプリング13のねじりトルクにより背もたれは前方(ハンドル側)に回転する復帰動作を行う。このとき、ケース2もロータ3及び回転軸4に対して相対的に前方に回動するが、その際に、充填された粘性液体の粘性抵抗が働き、背もたれ11の復帰動作はゆっくりと行われる。
【0021】
上記したように、本実施の形態では、回転軸4とロータ3とは遊び空間41を有して連結されている。従って、背もたれ11に固定する場合、取り付け部材であるねじ等の位置が設定の位置から多少ずれたとしても、回転軸4が回転支軸12の軸心に合わせて遊び空間41の範囲内で位置修正され、軸心位置が一致することになる。
【0022】
また、本実施の形態では、ケース2に複数の第1の環状突壁21f,21g,21hが設けられ、ロータ3にはこれに互い違いにかみ合う複数の第2の環状突壁3b,3c,3d,3eが設けられ、その間に粘性液体が充填されている。従って、ロータ3がケース2に対して相対的に回転することによる粘性液体の粘性抵抗を複数の箇所で生じさせることができると共に、回転軸4の軸心から離れたケース2の外周壁21e付近でも粘性抵抗が働く。このため、小型であっても大きな粘性抵抗を働かせることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明のロータリーダンパによれば、回転対象物の回転支軸に連結される回転軸が、粘性液体の粘性抵抗を発揮させるロータに対して遊びを有して係合している。従って、回転対象物への取り付け位置に多少のズレが生じても回転軸と回転支軸の軸心を一致させることができ、ロータ、ケース及び回転軸に無理な力が加わって緩衝機能が不安定になることを防止できる。その結果、取り付け不良を少なくすることができると共に、ロータリーダンパを取り付ける際の作業者の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のロータリーダンパの一の実施の形態を示す蓋部材側からみた平面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】 図3は、同実施の形態にかかるロータリーダンパを本体部側からみた平面図である。
【図4】図4は、同実施の形態にかかるロータリーダンパのケースを構成する本体部を示す平面図である。
【図5】図5は、図4のB−B線断面図である。
【図6】図6は、同実施の形態にかかるロータリーダンパのロータの平面図である。
【図7】図7は、図6のC−C線断面図である。
【図8】図8は、同実施の形態にかかるロータリーダンパのロータの底面図である。
【図9】図9は、同実施の形態にかかるロータリーダンパの回転軸の平面図である。
【図10】図10は、図9のD−D線断面図である。
【図11】図11は、同実施の形態にかかるロータリーダンパを自動車の前部シートに取り付けたときの状態を示す詳細図である。
【図12】図11は、同実施の形態にかかるロータリーダンパを自動車の前部シートに取り付けたときの状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ロータリーダンパ
2 ケース
21 本体部
22 蓋部材
3 ロータ
4 回転軸

Claims (3)

  1. ケース内に粘性液体を介して相対的に回転可能に配設されるロータと、該ロータに係合して該ロータと共に前記ケースに対して相対的に回転する回転軸とを有するロータリーダンパにおいて、前記回転軸が前記ロータに対して遊びを有して係合し、かつ前記ケースと前記ロータとの間に、前記回転軸に接触しない形で、粘性液体の漏出を防止するOリングが配設されることにより、前記ケースの取付後、その取付位置を変えることなく、前記回転軸の位置ずれを修正可能にしたことを特徴とするロータリーダンパ。
  2. 前記ケースが、所定深さの環部を有する平面略環状に形成された本体部と、該本体部の開放面を閉塞する平面略環状の蓋部材とを有して構成され、前記ロータが平面略環状で該ケースの本体部を構成する環部内に装填され、前記回転軸が該ロータの中央孔部に挿入されると共に、回転軸に形成された係合部が、ロータに形成された被係合部に係合するように配設され、前記遊びが、ロータの中央孔部と回転軸の外周縁及び回転軸とロータの係合部と被係合部との間に設けられている請求項1記載のロータリーダンパ。
  3. 前記ケースを構成する本体部の環部内に、円周方向に沿う第1の環状突壁が径方向に間隔をおいて複数形成されていると共に、前記ロータに該本体部の第1の環状突壁と互い違いにかみ合うように円周方向に沿う第2の環状突壁が形成されている請求項2記載のロータリーダンパ。
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