JP4350406B2 - 鞍乗型車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車等の鞍乗型車両に係り、特に、下肢障害者の乗降を容易にするのに用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、障害者の社会進出が急速に進んでおり、これを積極的に支援することが求められている。このような背景から、下肢障害者が自動二輪車等の鞍乗型車両に乗車し、自力で運転を楽しめるようにすることが望まれている。
【0003】
従来の一般的な鞍乗型車両であるバイク等の自動二輪車は、車体を跨ぐようにしてシートに着座する構造となっているため、乗降時には一方の足が車体の上部を乗り越えて反対側へ移動する動作を必要とする。
また、自動二輪車の車体には、ライダーの安全確保、高速走行時における空気抵抗の低減及び風防効果を狙って、カウルやガードと呼ばれる車体カバー部品が設けられている。
【0004】
上述した従来の車体カバーには、これを設けることにより形成される空間を収納スペースとして有効利用するため、前端部を回動可能に支持して開閉式に構成したものがある。(たとえば、特許文献1参照)
また、バルブ交換等ヘッドライトのメンテナンスを容易にするため、ウインドシールドを回動可能に取り付けたものが提案されている。(たとえば、特許文献2参照)
【0005】
【特許文献1】
特開平03−61189号公報(図1)
【特許文献2】
特公昭62−18388号公報(第1−2頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の鞍乗型車両では、ライダーが車体を跨ぐようにして車両上部に設けられている座席のシートに着座する構造となっているため、足の動作に制約を受ける下肢障害者にとっては乗降時に車体を跨ぐ動作が大きな問題となる。すなわち、下肢障害者が自力で乗車する場合、車椅子で車体に横付けした後、いったんシート上に横向きに着座してから略90度回転するようにして前向きになる。なお、降車時の動作は乗車時と逆の順序になる。
このため、横向きに着座する時にはシート近傍の構造物(たとえばシートのサイドサポート)が着座の障害となり、また、横向きの着座姿勢から前向きに回転する時には、シート(着座位置)前方の構造物(たとえばカウル、ガード及びハンドル)が移動の障害となる。特に、横向きから前向きに回転する時には、シート前方の障害物を自力で上方へ乗り越える足の移動が極めて困難になる。
【0007】
従って、少なくとも乗降時においては、シート近傍の構造物やシート前方の構造物を除去または移動させることにより、着座及び足の移動を妨げる障害物をなくすかあるいはできるだけ低くして、乗降性を向上させることが望まれる。
しかも、シート前方に設けられる車体カバー(カウル、ガード)及びハンドル等の構造物、そして着座位置近傍に設けられるシートのサイドサポートについては、車両の構造上設置が好ましいものであり、また、機能確保の観点から設置位置の変更も困難である。
【0008】
また、乗降時に操向用のハンドルが操向方向へ自由に回動できる鞍乗型車両においては、下肢障害者が乗降する際には、車両を保持する介助者が必要となる。特に、下肢障害者用の鞍乗型車両では、乗降時にハンドルが自由に回動することは乗降スペースを確保しやすいため乗降性の面で有利になる反面、乗降による車両のふらつきを発生させる場合がある。
このような背景から、乗降時にハンドルを操向方向の所定位置に固定することが望まれており、この固定手段は、極力小型化され、かつ最小限の改良で配設されることが望ましい。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、下肢障害者が乗車して運転する自動二輪車等の鞍乗型車両において、その乗降性を向上させた車両構造の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の鞍乗型車両は、車両上部に設けられて乗員が着座する座席と、該座席の前方に設けられて側面視が前記乗員と重なる部分を含む車体カバーを備えている鞍乗型車両において、前記車体カバーの少なくとも一部、所定の走行固定位置と前記座席の前方に乗降空間を形成する乗降性確保位置との間で移動可能に構成されるとともに、車両の操向ハンドルを操向方向の所定位置に保持するハンドル固定手段が操向ハンドル支持部材に設けられ、前記ハンドル固定手段が、前記乗降性確保位置にある車体カバーにより固定されることを特徴とするものである。
【0011】
このような鞍乗型車両とすれば、車体カバーの少なくとも一部を、所定の走行固定位置と座席の前方に乗降空間を形成する乗降性確保位置との間で移動可能に構成したので、乗降時には座席の前方に広い乗降空間を形成する位置に移動した車体カバーが乗降の妨げとなることはなく、また、走行時には車体カバーが本来の機能を発揮する位置に移動して固定される。また、ハンドル固定手段が乗降性確保位置にある車体カバーにより固定されるので、ライダーが独力で操向ハンドルの固定を容易に行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る鞍乗型車両の実施形態を図面に基づいて説明する。
<参考例>
最初に、本発明の実施形態に類似する参考例を図1ないし図5に基づいて説明する。
図1に示す鞍乗型車両は、足に障害のある下肢障害者の運転を可能にした自動二輪車(バイク)である。この下肢障害者用自動二輪車(以下、「バイク」と呼ぶ)は、たとえば低車高フレームの採用や燃料タンク位置の変更など従来の自動二輪車(バイク)を改良することにより、足に障害のある下肢障害者が自力でバイクの運転をできるようにしたものである。
【0019】
このバイクは、通常の自動二輪車と同じく、フレーム1の内側にエンジン2を抱き、フレーム1の前部にはフロントフォーク3を介して前輪4が取り付けられ、フレーム1の後部にはリアアーム5を介して後輪6が取り付けられている。
フロントフォーク3にはテレスコピック型のサスペンション機構(図示略)が内蔵されている。リアアーム5は基端をフレーム1に軸支されて揺動自在であり、さらにフレーム1とリアアーム5との間にはクッションユニット7が介装されることによってリンク型のサスペンション機構が構成されている。
【0020】
フレーム1下部のエンジン2後方には、前後輪4,6とは別に、必要に応じて路面に接する二つの補助輪8,9が、車幅方向に振り分けられて車体(フレーム1と一体構造と見なせる部分)の両側に配設されている。
また、このバイクには、乗降時に走行時よりも車高を下げることにより、車椅子からシート50へ乗り移る乗車及びシート50から車椅子へ乗り移る降車を容易にするための車高調整機構(図示略)と、停止時及び低速走行時に補助輪8,9を下降させて車体の自立を可能とし、所定値以上の走行速度で補助輪を上昇させてコーナリング時の妨げとならないようにしたアウトリガー機構(図示略)とが設けられている。
【0021】
ここで使用するシート50は、左右にサイドサポート51を備えた可動フォールディングバケットシートが好ましい。この場合のサイドサポート51には、貫通部51aが設けられている。
サイドサポート51は、図2に示すように、走行時(図2に想像線で示す)には走行固定位置にあってライダーの腰部を左右から支える機能を有しており、少なくとも一方(図示の例では進行方向左側)のサイドサポート51が、図2に白抜矢印52で示したように略90度程度外側に開いた乗降性向上位置(図2に実線で示す)に移動する可動式となっている。すなわち、乗降時にサイドサポート51を走行固定位置から乗降性確保位置に開いて背もたれ部分と略同一面上に位置させることにより、下肢障害者の乗降性を向上させている。
なお、他方のサイドサポート51については、走行時の状態にしておくことにより、貫通部51aを乗降時のハンドルグリップとして使用することが可能となり、これによっても乗降性が向上する。
【0022】
図中の符号30は操向操作を行うバーハンドル(操向ハンドル)であり、上述したフロントフォーク3の上端部に連結固定されて一体に回動し、前輪4を所望の進行方向へ向けることができるようになっている。
このバーハンドル30は、図3に示すように、中央部より突出する左右一対のハンドルバー31L,31Rよりなり、シート50に着座したライダー(乗員)がハンドルバー31L,31Rの両先端部近傍にそれぞれ取り付けられたグリップ部32L,32Rを握って操向等の各種運転操作を行うようになっている。
【0023】
左右一対のハンドルバー31L,31Rのうち、左側のハンドルバー31Lには、グリップ部32Lと所定の間隔をもって略平行に配置したクラッチ操作手段のクラッチレバー33が設けられている。このクラッチレバー33は、手動で駆動系に設けられたクラッチ(図示略)の断続操作を行うものである。
また、グリップ部32Lの近傍となるハンドルバー31Lには、ウインカースイッチ34等のスイッチ類(図示略)が設置されている。
【0024】
一方、右側のハンドルバー31Rには、グリップ部32Rと所定の間隔をもって略平行に配置したブレーキ操作手段のブレーキレバー35が設けられている。このブレーキレバー35には、一つのレバーで前後輪4,6を連動させて操作する前後輪連動ブレーキレバーを採用している。
また、グリップ部32Rの近傍となるハンドルバー31Rには、変速操作手段となる一対の変速スイッチ36A,36Bが設けられている。これらの変速スイッチ36A,36Bはプッシュ式であり、一方の変速スイッチ36Aがシフトアップ用で、他方の変速スイッチ36Bがシフトダウン用である。この場合の変速スイッチ36A,36Bは、指での操作性を考慮して、ハンドルバー31Rの周方向(上下方向)に配置するのが好ましい。
【0025】
さらに、右側のハンドルバー31R先端部に取り付けられたグリップ部32Rは、エンジン2の出力を制御するスロットルグリップ(アクセル)としての機能を有している。すなわち、このグリップ32Rを所望の方向へ回動操作することにより、燃料供給量を調整してエンジン回転数及び出力の制御がなされるようになっている。
【0026】
また、このバーハンドル30は、乗降時における下肢障害者の乗降性を向上させるため、フロントフォーク3の上端部に対して上下方向へ回動可能に支持されている。すなわち、バーハンドル30は、たとえばヒンジ(図示略)等を介してフロントフォーク3の上端部に支持され、乗降時以外に選択される図3に実線で示した走行固定位置(通常位置)と、乗降時に選択されて走行固定位置から上方へ持ち上げられ、シート50前方の空間を広げる乗降性確保位置(図3に想像線で表示)との間で、ヒンジを支点とする上下方向(白抜矢印37で表示)の揺動が可能になっている。
なお、バーハンドル30は、走行固定位置及び乗降性確保位置のそれぞれにおいて、優れた操作性及び信頼性を有する適当な位置固定手段(図示略)を備えている。
【0027】
また、この身障者用バイクには、シート50に着座したライダーの前方に、側面視でライダーと重なる部分を含むカウル60やガード70のような車体カバー(前方構造物)が設けられている。この車体カバーは、走行時に大きな減速加速度が作用した場合などライダーが前方へ移動するのを防止する第1の機能と、高速走行時の空気抵抗を低減する第2の機能とを有している。
【0028】
上述した第1の機能は、主としてシート50の前方に位置するカウル60の機能である。また、カウル60の下方でかつシート50の前方両側面に配設された一対のガード70についても、上述したカウル60と協働してライダーが前方へ移動するのを防止する機能を有している。すなわち、このガード70を設けたことにより、ライダーの上半身がカウル60に当たって前方への移動が阻止され、これと同時に、カウル60とガード70との間に形成された空間部にライダーの脚部が存在して車体両側面側への移動が阻止されるようになっている。
上述した第2の機能は、カウル60及びガード70が協働することにより得られるものである。この場合、カウル60は主としてライダーに当たる風圧を低減する風防作用と共に車体上部の整流作用を発揮し、ガード70は主として車体側部の整流作用を発揮する。
【0029】
上述したカウル60は、たとえばフレーム1の先端部近傍にヒンジ(図示略)等を介して移動可動に支持され、バーハンドル30の中央部上方を通ってシート50の前端部に至る一体構造の部品である。このカウル60は、カウル本来の機能を発揮する走行固定位置(通常位置:図2に想像線で示す)と、乗降時においてシート前方の乗降空間を広くする乗降性確保位置(図2に実線で示す)との間で、ヒンジを支点として上下方向(図2の白抜矢印61参照)に揺動可能に構成されている。
【0030】
図中に想像線で示された走行固定位置のカウル60は、乗降時以外の状況で選択されるものであり、適当な公知の固定手段(図示省略)を用いて車体の所定位置に固定されている。ここで採用する固定手段は、確実な固定が可能で優れた操作性を有するものが好ましい。
図中に実線で示された乗降性確保位置のカウル60は、乗降時に選択されるものであり、その後端部がシート50の前端部から上方へ旋回するようにして移動することにより、ライダーの着座位置前方には障害物のない大きな空間が形成されている。この場合、カウル60が乗降性確保位置を確実に維持できるようにするため、操作が容易な公知の保持手段を設けておくことが好ましい。
【0031】
上述したガード70は、その前端部が車体の適所、たとえばフレーム1に支持された前照灯後端部にヒンジ(図示略)等を介して移動可能に支持されている略板状の部材である。このガード70は、ガード本来の機能を発揮する走行固定位置(通常位置:図2に想像線で示す)と、乗降時においてシート前方の乗降空間を広くする乗降性確保位置(図2に実線で示す)との間で、ヒンジを支点として水平方向(図2の白抜矢印71参照)へ揺動(開閉)可能に構成されている。
【0032】
図中に想像線で示された走行固定位置のガード70は、乗降時以外の状況で選択されるものであり、適当な公知の固定手段(図示省略)を用いて車体の所定位置に固定されている。この場合、ガード70の外表面は、前照灯部62の外表面と一体的に連続して滑らかな曲面を形成するようになっている。また、ここで採用する固定手段は、確実な固定が可能で優れた操作性を有するものが好ましい。
図中に実線で示された乗降性確保位置のガード70は、乗降時に選択されるものである。この乗降性確保位置では、ガード70の後端部がシート50の前端部から離間するようにして車体外側へ開くことにより、ライダーの着座位置前方には障害物のない大きな空間が形成されている。この場合、ガード70が乗降性確保位置を確実に維持できるようにするため、操作が容易な公知の保持手段を設けておくことが好ましい。
【0033】
上述した身障者用バイクは、図4及び図5に示すように、走行時にライダーの不自由な脚部を固定して保護するため、車体の適所に設けた足載台80及びベルト81を備えている。なお、図4は乗降時の状態を示し、図5は走行時の状態を示している。
足載台80は、下肢障害者が容易に足先を拘束できるスリッパ状を採用し、車体に対して前後方向のスライド(白抜矢印83参照)が可能となっている。このスライドにより、足載台80の位置を調整できるので、ライダーの体格差にも対応可能である。
また、ベルト81は、たとえば面ファスナー等を使用して大腿部を車体に固定するものであり、一端を車体の適所に固定しておき、大腿部に巻き付けるようにして持ち上げて他端を粘着させれば(白抜矢印84参照)、容易に固定することができる。
【0034】
以下、上述した構成のバイクについて、その作用をライダーの乗降と共に説明する。
ライダーがバイクに乗車する時には、ライダーが乗った車椅子を車体に横付けし、キーを差し込んでイグニッションをONにする。この時、バイクは、車高調整機構の作動により車高が下げられ、補助輪8,9により自立している。そして、キー操作により、バーハンドル30、サイドサポート51、カウル60及びガード70のロックが解除され、走行固定位置から乗降性確保位置への移動が可能になる。なお、走行固定位置から乗降性確保位置への移動は、手動またはアクチュエータを用いた自動のいずれでもよい。
【0035】
手動または自動による全ての移動が完了すると、シート50の前方及び近傍には大きな移動用の空間が形成される。
この状態で、ライダーは車椅子からシート50へ移動するが、最初はシート50に対して横向きに着座する。この時、サイドサポート51が乗降性確保位置にあるため、車椅子からシート50への移動は比較的容易である。また、車椅子を横付けしたのとは反対側のサイドサポート51をグリップとして使用することができるので、シート50への移動はより一層容易になる。
【0036】
シート50に横向きに着座したライダーは、続いて略90度方向転換して前向きに座り直す必要がある。この時、一方の脚部は、車体を乗り越えて反対側へ移動する必要がある。しかし、正規の乗車位置にあるライダーと側面視で重なるような位置関係にあるカウル60、ガード70及びバーハンドル30が乗降性確保位置に移動しているため、これらが不自由な足の移動を妨げる障害となるようなことはない。また、車体構造も工夫されてフレーム1が比較的低くなっているため、脚部をそれほど高く持ち上げる必要がなく、この点でも比較的スムーズな移動が可能になる。
【0037】
こうしてシート50に跨った後、両方の足先を足載台80に挿入して拘束し、さらにベルト81で大腿部を車体に固定する。
こうしてライダーの着座が完了すると、手動または自動によりバーハンドル30、サイドサポート51、カウル60及びガード70を走行固定位置へ戻し、所定位置に確実に固定することで全ての乗車が完了し、走行可能な状態となる。
なお、降車時においては、上述した乗車時と逆の順序により降車して車椅子に移動すればよい。
【0038】
このようにして、足の動作に制約がある下肢障害者であっても、シート50の前方及び近傍の障害物が乗降時に移動可能に構成されたことにより、広い空間を形成して足の移動を妨げることが最小限となるため、車椅子とシート50との間で自力による乗降を容易に行うことが可能になる。
【0039】
本発明の実施形態>
続いて、本発明の実施形態を図5ないし図9に基づいて説明するが、上述した参考例と同様の部材には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
さて、上述した参考例では、乗降時において、操向操作を行うバーハンドル30の操向方向への回動(すなわち、操向操作)を阻止する装置は備えておらず、従って、通常は前輪4が直進方向から45度程度操向された位置で停車している。このようなハンドル位置は、乗降空間を確保する上で好ましいことではあるが、ライダーによっては乗降時に固定されたバーハンドル30を利用して乗降する方が容易に行える場合もあり、このような場合には、バーハンドル30が容易に固定されることが望ましい。
【0040】
そこで、本実施形態では、乗降時にバーハンドル30及び操舵機構を操向方向の所定位置に保持し、操向操作を阻止するためのハンドル固定手段40を設けてある。このハンドル固定手段40は、図8に示すように、操向ハンドル支持部材41に設けられた係止ピン42と、可動の車体カバー側、すなわちカウル60Aに固定されて一体に回動するフック部材43とにより構成される。
【0041】
操向ハンドル支持部材41は、フレーム1の一部であるメインパイプ1a内に配設された操向軸部Sと一体に回動する部材であり、上面にはバーハンドル30が取り付けられる。また、操向ハンドル支持部材41は、操向軸部Sを挟むように左右両側でフロントフォーク3の上端部を支持している。従って、ライダーがバーハンドル30を操作すると、操向ハンドル支持部材41を介して操向軸部S及びフロントフォーク3が一体に回動し、フロントフォーク3を介して取り付けられている前輪4を所望の方向へ操舵することができる。
【0042】
このような操向ハンドル支持部材41の上面には、左右一対の係止ピン42を備えた係止部44がボルトや溶接等により固定されている。この場合の係止ピン42は、バーハンドル30及び前輪4を直進位置に保持するため、後述するロック位置において、バイクの直進方向と直交する方向に突出した状態で固定されている。従って、係止部44及び係止ピン42は、バーハンドル30と一体に操向方向へ回動する。
【0043】
一方、フック部材43は、カウル60Aの裏面側適所に固定して設けられている。カウル60Aは、走行固定位置(通常位置)と乗降性確保位置との間を移動可能であり、ヒンジ機構45のヒンジピン45aを介して揺動可能に支持されている。この場合のカウル60Aは、バーハンドル30よりやや前方の位置で前後に分割され、ライダーが乗車する後方(シート50)側を揺動可能にしてある。なお、ヒンジ機構45は、カウル60Aの前方固定側の裏面に、必要に応じて補強部材と共に取り付けてもよいし、あるいは、フレーム1の適所に取り付けてもよい。
【0044】
図示の構成では、略円弧状とした一対のアーム部材46がヒンジ機構45に回動可能に支持され、同アーム部材46の端部46aは、揺動するカウル60Aの前端部近傍となる裏面に固定されている。また、アーム部材46には、左右一対のフック部材43が取り付けられている。このフック部材43は、後述するロック位置において、上述した係止ピン42が入り込む凹部43aを備えている。
【0045】
このように構成されたハンドル固定手段40は、フック部材43が揺動するカウル60Aと一体に回動することにより、バーハンドル30の操向操作が可能な通常位置(図9(a)参照)と、バーハンドル30を所定位置に保持するロック位置(図9(b)参照)との範囲を移動する。そして、フック部材43の凹部43aが移動(回動)する経路に、具体的には通常位置からロック位置へ移動する経路に係止ピン42を配設しておけば、係止ピン42が凹部43a内に完全に入り込んだ時点で、カウル60Aは乗降性確保位置方向への移動が阻止される。図示の例では、凹部43aがヒンジピン45aを支点として時計回り方向に回転する経路上に係止ピン42を配設することで、両者の係合が行われる。
すなわち、係止ピン42とフック部材43の凹部43aとの係合により、カウル60Aは乗降性確保位置に位置決めされる。
【0046】
このように、ハンドル固定手段40がロック位置になると、操向ハンドル支持部材44に固定されている係止部44は、操向軸部Sの両側で左右一対の係止ピン42が凹部43aと係合しているので、操向方向への回動を阻止される。すなわち、バーハンドル30により操作される操舵機構は、前輪4を直進方向へ向けた状態に保持される。
また、上述したバーハンドル(操向ハンドル)30を所定位置の直進方向に保持する場合は、バーハンドル30を操作しておおよその位置決めをした後に実施すればよく、最終的な位置は凹部43aが係合する時に補正される。
【0047】
従って、ハンドル固定手段40をロック位置にすると、前輪4及び後輪6が略一直線に直進方向を向き、左右一対の補助輪8,9が左右の車幅方向へ開いてバイクを安定した状態で自立させる。このため、前輪4が揺動して不安定なことに起因する乗降時のふらつきが解消され、ライダーは安心して乗降することができる。なお、ロック位置から通常位置へ戻す場合には、カウル60Aを逆向きに回動させて乗降性確保位置から走行固定位置へ移動させればよい。
このようなハンドル固定手段40の操作は、カウル60Aを回動させるという簡単な操作ですむため、車椅子等にのったライダーがバイク近傍で容易に行うことができる。
【0048】
また、係止ピン42を備えた係止部44を操向ハンドル支持部材41に固定しておき、カウル60Aの裏面に固定したフック部43の凹部43aを係止ピン42に係合させる構成としたので、基本的なバイク構造を大幅に変更する必要はなく、比較的容易にハンドル固定手段40を装着することができる。
特に、カウル60Aをバーハンドル30よりやや前方の近傍位置で分割したので、操向ハンドル支持部材41から比較的近い位置にヒンジ機構45を配置することができるようになる。このため、操向ハンドル支持部材41側に固定された係止ピン42と係合させる凹部43aを設けるフック43は比較的短くてすむため、フック43が回動するスペースの確保が容易になって小型化でき、しかも、既存の操向ハンドル支持部材41を有効利用し、大幅な改造をしなくてもハンドル固定手段40を設けることができる。
【0049】
ところで、本発明における鞍乗型車両は、上記実施形態の自動二輪車(バイク等)に限定されることはなく、鞍乗型車両全般を包含するのは勿論である。
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0050】
【発明の効果】
上述した請求項1に記載の鞍乗型車両によれば、車体カバーの少なくとも一部を、所定の走行固定位置と座席の前方に乗降空間を形成する乗降性確保位置との間で移動可能に構成したので、乗降時には座席の前方に広い乗降空間を形成する位置に移動した車体カバーが乗降の妨げとなることはなく、また、走行時には車体カバーが本来の機能を発揮す位置に移動して固定される。このため、特に足の動作に制約を受ける下肢障害者の乗降時においては、座席前方に下肢を移動させる広い空間が確保されるので、乗員の乗降性が向上するという顕著な効果が得られる。
【0054】
また、請求項1に記載の鞍乗型車両によれば、操向ハンドルを操向方向の所定位置に保持するハンドル固定手段を備えているので、操向ハンドルを直進方向など所定の操向方向に保持して乗降時における車両のふらつきを低減することができる。このため、バイクは安定した自立が可能になるので、ライダーは介助者がいなくても一人で安心して乗降することが可能になる。
【0055】
また、請求項1に記載の鞍乗型車両によれば、ハンドル固定手段を操向ハンドル支持部材に設けることにより、車両構造の大幅な変更を伴うことなくハンドル固定手段を容易に配設することができる。このため、比較的低コストで小型のハンドル固定手段を設けることができる。
【0056】
また、請求項1に記載の鞍乗型車両によれば、ハンドル固定手段が乗降性確保位置にある車体カバーにより固定されるようにしたので、ライダーが独力で操向ハンドルの固定及び解除を容易に行うことができる。従って、乗降時に介助者が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に類似する鞍乗型車両の参考例として下肢障害者用自動二輪車(バイク)を示す側面図である。
【図2】 図1の鞍乗型車両について、乗降時の状態を示す要部拡大図である。
【図3】 図1の鞍乗型車両に設けられる操向ハンドルの構成例を示す斜視図である。
【図4】 乗降時の操作を示す図1の要部拡大図である。
【図5】 走行時の状態を示す図1の要部拡大図である。
【図6】 本発明に係る鞍乗型車両の実施形態として下肢障害者用自動二輪車(バイク)を示す斜視図である。
【図7】 図6に示した鞍乗型車両のハンドル固定手段により操向ハンドルを所定位置に保持した状態を示す要部斜視図である。
【図8】 図7に示したハンドル固定手段の構成例を示す要部拡大斜視図である。
【図9】 図8に示したハンドル固定手段の動作を示す側面図で、(a)はハンドル操作が可能な通常位置、(b)は操向ハンドルを所定位置に保持したロック位置である。
【符号の説明】
1フレーム 3フロントフォーク 5リアアーム 30バーハンドル(操向ハンドル) 31L,31Rハンドルバー 32Lグリップ部 32Rグリップ部(スロットルグリップ) 33クラッチレバー(クラッチ操作手段) 34ウインカースイッチ 35ブレーキレバー(ブレーキ操作手段) 36A,36B変速スイッチ(変速操作手段) 40ハンドル固定手段 41操向ハンドル支持部材 42係止ピン 43フック部材 43a凹部 44係止部 45ヒンジ機構 45aヒンジピン 46アーム部材 50シート(座席) 51サイドサポート 60,60Aカウル(車体カバー) 70ガード(車体カバー) 80足載台 81ベルト S操向軸

Claims (1)

  1. 車両上部に設けられて乗員が着座する座席と、該座席の前方に設けられて側面視が前記乗員と重なる部分を含む車体カバーを備えている鞍乗型車両において、
    前記車体カバーの少なくとも一部、所定の走行固定位置と前記座席の前方に乗降空間を形成する乗降性確保位置との間で移動可能に構成されるとともに、
    車両の操向ハンドルを操向方向の所定位置に保持するハンドル固定手段が操向ハンドル支持部材に設けられ、
    前記ハンドル固定手段が、前記乗降性確保位置にある車体カバーにより固定されることを特徴とする鞍乗型車両。
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