JP4347968B2 - 棟内catvシステム用アップコンバータ及びダウンコンバータ並びに棟内catvシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部の双方向CATVシステムからの引込線を建造物内に引き込み、建造物内の伝送線を介して、建造物内の加入者側の複数の端末端子と双方向CATVシステムの伝送路とを接続する棟内CATVシステムにおいて、加入者側端末装置から出力された上り信号を外部の双方向CATVシステムまで伝送するのに好適な棟内CATVシステム用アップコンバータ及びダウンコンバータ、並びにこれらのコンバータを備えた棟内CATVシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、外部の双方向CATVシステムからの引込線を建造物内に引き込み、建造物内の伝送線を介して、建造物内の複数の端末端子と双方向CATVシステムとを接続し、双方向CATVシステムからの下り信号及び端末端子に入力された端末装置からの上り信号を双方向に伝送する棟内CATVシステムでは、建造物内の各部で発生した雑音が加入者側の端末端子等を介して伝送線に重畳され、これが流合雑音として、上り信号と一緒に外部の双方向CATVシステムに出力されてしまうことがある。
【0003】
そこで、従来では、外部の双方向CATVシステムへ流出する流合雑音を低減するため、ケーブルモデム等の加入者側端末装置にて生成された上り信号(双方向CATVシステムで伝送可能な周波数帯(例えば10〜55MHz)の信号)を、アップコンバータにて、元の周波数よりも高く、しかも、下り信号の伝送周波数(例えば70〜770MHz)と重複することのない、UHF帯(例えば821MHz〜866MHz)の上り信号(以下、棟内上り信号という)に周波数変換して、引込線まで伝送し、棟内の伝送線から引込線へ上り信号を出力する直前で、ダウンコンバータを用いて棟内上り信号を元の周波数(換言すれば、双方向CATVシステムでの上り信号の伝送周波数)に変換することが考えられている。
【0004】
ところで、このように、棟内CATVシステムの端末側で、上り信号を棟内上り信号に周波数変換し、棟内CATVシステムと外部の双方向CATVシステムとの接続点で、棟内上り信号を元の上り信号に周波数変換するようにした場合、棟内CATVシステムから外部の双方向CATVシステムに出力される流合雑音を低減することはできるものの、端末側で周波数変換に用いられるアップコンバータと、棟内CATVシステムと外部の双方向CATVシステムとの接続点で周波数変換に用いられるダウンコンバータとが、夫々、専用の発振回路からの出力を用いて周波数変換を行うように構成すると、各発振回路で得られる周波数変換用の基準信号の周波数にずれが生じ、ダウンコンバータにおいて、棟内上り信号を、端末装置が生成した元の上り信号に変換することができなくなる虞がある。
【0005】
そこで、従来では、ダウンコンバータにて、棟内上り信号から元の上り信号を正確に復元できるようにするため、アップコンバータ及びダウンコンバータが周波数変換に用いる基準信号として、双方向CATVシステムで下り信号のレベル調整等のために使用されるパイロット信号を用いることも考えられている。つまり、アップコンバータ及びダウンコンバータが、双方向CATVシステム側のパイロット信号を基準信号として各上り信号を周波数変換するように構成することで、各コンバータで周波数変換に用いる基準信号の周波数を一致させ、ダウンコンバータ側で、棟内上り信号を元の上り信号に正確に復元できるようにするのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように、アップコンバータ及びダウンコンバータが、周波数変換用の基準信号として、下り信号に含まれるパイロット信号を用いるように構成すると、双方向CATVシステム側で保守点検等のために一時的にパイロット信号の送信を停止した場合や、棟内CATVシステムがパイロット信号を伝送しない双方向CATVシステムに接続された場合に、アップコンバータ及びダウンコンバータが正常動作しなくなり、棟内CATVシステムの端末装置側で生成された上り信号を、双方向CATVシステムのセンタ装置側に伝送できなくなってしまうという問題があった。
【0007】
また、従来の棟内CATVシステムでは、各コンバータに上り信号或いは棟内上り信号が入力された際に各信号を周波数変換できるように、アップコンバータ及びダウンコンバータを常時動作させていた。このため、棟内CATVシステムの伝送線には、システム内の多数の端末端子に接続された全てのアップコンバータから、アップコンバータの内部で発生した熱雑音等が送出され、これが流合雑音として、ダウンコンバータを介して、外部の双方向CATVシステムの伝送線上に漏出してしまうといった問題もあった。
【0008】
本発明はこうした問題に鑑みなされたものであり、端末側ではアップコンバータを用いて上り信号を周波数が高い棟内上り信号に周波数変換し、外部の双方向CATVシステムに接続される引込線側では、ダウンコンバータを用いて棟内上り信号を元の上り信号に周波数変換するようにした棟内CATVシステムにおいて、外部の双方向CATVシステムからの下り信号に重畳されたパイロット信号を周波数変換用の基準信号として使用することなく、ダウンコンバータにて元の上り信号を正確に復元でき、しかも、外部の双方向CATVシステムに出力される流合雑音をより確実に低減できるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の棟内CATVシステム用アップコンバータにおいては、端末装置から出力された上り信号を棟内上り信号に周波数変換するための一定周波数の基準信号を発生する基準信号発生手段を備え、端末装置から上り信号が入力された際には、第1周波数変換手段が、その上り信号と、基準信号発生手段が発生した基準信号とを混合することにより、上り信号を棟内上り信号に周波数変換する。
【0010】
また、本発明のアップコンバータにおいては、第1判定手段が、端末装置から上り信号が入力されているか否かを判定し、第1判定手段にて上り信号が入力されていると判定されると、第1信号経路断続手段が、第1周波数変換手段にて周波数変換された棟内上り信号を基準信号と共に端末端子側に出力する第1信号経路を形成して、周波数変換後の棟内上り信号及び基準信号を、端末端子から伝送線上に送出させる。
【0011】
また、第1信号経路断続手段は、第1判定手段にて上り信号が入力されていないと判定されると、第1信号経路を遮断する。つまり、端末装置から上り信号が入力されておらず、第1周波数変換手段が上り信号を棟内上り信号に周波数変換しないときには、第1信号経路を遮断することにより、第1周波数変換手段の動作によって生じる熱雑音や基準信号発生手段が発生した基準信号が、端末端子から伝送線上に送出されるのを防止する。
【0012】
このため、本発明のアップコンバータによれば、棟内CATVシステムの多数の端末端子に夫々設けたとしても、端末装置から上り信号が入力されて、これを棟内上り信号に周波数変換しているアップコンバータだけが、棟内CATVシステムの伝送線上に、棟内上り信号と基準信号とを送出することになり、それ以外のアップコンバータから伝送線上に熱雑音や基準信号が送出されることはない。
【0013】
また、双方向CATVシステムにおける双方向のデータ通信は、通常、センタ装置が時分割で通信相手となる端末装置を選択することにより行われることから、端末端子を介して多数のアップコンバータが伝送線に接続されたとしても、第1信号経路断続手段により第1信号経路が形成されるアップコンバータは、棟内CATVシステム内で一つである。
【0014】
従って、本発明のアップコンバータによれば、棟内CATVシステムのアップコンバータ内で発生した雑音や基準信号が不必要に伝送線上に送出されて、これが流合雑音として、外部の双方向CATVシステムに出力されるのを防止することができる。
【0015】
ここで、本発明のアップコンバータにおいては、第1判定手段にて上り信号が入力されていると判定されると、第1信号経路断続手段が第1信号経路を形成することにより、第1周波数変換手段にて周波数変換された棟内上り信号に加えて、第1周波数変換手段が上り信号を棟内上り信号に周波数変換するのに用いた基準信号をも、端末端子から伝送線上に送出させる。
【0016】
これは、棟内CATVシステムと外部の双方向CATVシステムとの接続点(換言すれば伝送線と引込線との間)に設けられるダウンコンバータが棟内上り信号を上り信号に周波数変換するのに用いる基準信号と、棟内上り信号を出力したアップコンバータが上り信号を周波数変換するのに用いた基準信号とを一致させて、ダウンコンバータ側で、棟内上り信号を元の上り信号に正確に周波数変換できるようにするためである。
【0017】
そして、このためには、ダウンコンバータを請求項2に記載のように構成すればよい。
即ち、請求項2に記載のダウンコンバータには、アップコンバータから端末端子及び伝送線を介して棟内上り信号と共に伝送されてきた基準信号を抽出する基準信号抽出手段が設けられており、アップコンバータから棟内上り信号が伝送されてくると、第2周波数変換手段が、この棟内上り信号と基準信号抽出手段にて抽出された基準信号とに基づき、棟内上り信号を上り信号に周波数変換するようにされている。
【0018】
このため、請求項1に記載のアップコンバータと請求項2に記載のダウンコンバータとを用いて、棟内CATVシステムを構築するようにすれば、ダウンコンバータにて棟内上り信号を上り信号に周波数変換するのに使用される基準信号を、棟内上り信号を生成したアップコンバータが使用した基準信号とすることができ、ダウンコンバータでは、棟内上り信号を元の上り信号に極めて正確に周波数変換することが可能となる。
【0019】
また、請求項1に記載のアップコンバータと請求項2に記載のダウンコンバータとを用いた棟内CATVシステムでは、これら各コンバータが上り信号を周波数変換するのに使用する基準信号の周波数を一致させるために、外部の双方向CATVシステムからの下り信号に含まれるパイロット信号を使用する必要がないので、外部の双方向CATVシステムからのパイロット信号の送信状況に関係なく、端末装置から出力された上り信号を外部の双方向CATVシステムへ確実に伝送することが可能となる。
【0020】
ここで、ダウンコンバータは、伝送線及び端末端子を介して多数のアップコンバータに接続され、各アップコンバータから伝送されてくる棟内上り信号を上り信号に周波数変換するものであることから、アップコンバータに比べて周波数変換動作の頻度が高い。このため、ダウンコンバータにおいては、周波数変換後の上り信号を出力する信号経路を常時接続するようにしてもよいが、外部の双方向CATVシステムに出力される流合雑音をより低減するには、上り信号出力用の信号経路をアップコンバータと同様に断続させることが望ましい。
【0021】
そして、このようにするには、請求項3に記載のように、ダウンコンバータに、基準信号抽出手段にて基準信号が抽出されたか否かを判定する第2判定手段と、第2信号経路断続手段とを設け、第2判定手段にて基準信号が抽出されたと判定されると、第2信号経路断続手段が、第2周波数変換手段にて周波数変換された上り信号を引込線側に出力する第2信号経路を形成し、第2判定手段にて基準信号が抽出されていないと判断されると、第2信号経路断続手段が、第2信号経路を遮断するように構成するとよい。
【0022】
つまり、ダウンコンバータをこのように構成すれば、第2周波数変換手段が棟内上り信号を上り信号に周波数変換していないときに、棟内CATVシステムで発生した各種雑音が流合雑音として外部の双方向CATVシステムに送出されるのを遮断することができ、延いては、外部の双方向CATVシステムでの信号の伝送品質を向上できる。
【0023】
次に、請求項4記載の棟内CATVシステムは、加入者側の端末装置と端末端子との間に設けられるアップコンバータとして、上述した本発明(請求項1)の棟内CATVシステム用アップコンバータを備え、伝送線と引込線との間に設けられるダウンコンバータとして、上述した本発明(請求項2又は請求項3)の棟内CATVシステム用ダウンコンバータを備えたことを特徴とする。
【0024】
そして、この棟内CATVシステムにおいては、各端末端子に接続されたアップコンバータが、基準信号発生手段が発生した基準信号を用いて、端末装置から出力された上り信号を棟内上り信号に周波数変換して、ダウンコンバータ側に棟内上り信号を送出し、ダウンコンバータ側では、その棟内上り信号を送信してきたアップコンバータと同じ基準信号を用いて、棟内上り信号を上り信号に周波数変換することから、外部の双方向CATVシステムには、加入者が所有する端末装置から出力された上り信号を、信号形態を変化させることなくそのまま出力できる。よって、本発明の棟内CATVシステムによれば、外部の双方向CATVシステムに送出される流合雑音を極めて低レベルに抑えることができ、しかも、加入者側の端末装置から出力された上り信号を、外部の双方向CATVシステムに良好に送出することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された実施例の棟内CATVシステム全体の構成を表す構成図である。
【0026】
図1に示す如く、本実施例の棟内CATVシステムは、外部の双方向CATVシステムの伝送線(CATV伝送線)2から分岐装置4を介して分岐された引込線6を、保安器8を介して、マンション,アパート等の建造物内に引き込み、その建造物内に配線された同軸ケーブルからなる伝送線L、及び、この伝送線Lに設けられた双方向増幅器12,分岐器14,分配器16等を介して、引込線6から入力された双方向CATVシステムの下り信号(周波数:70MHz〜770MHz)を、建造物内の各加入者宅に設置された直列ユニット等からなる複数の端末端子18まで伝送すると共に、加入者側の各種端末装置から後述のアップコンバータ20を介して端末端子18に入力された棟内上り信号を、引込線6まで伝送するものである。
【0027】
そして、本実施例の棟内CATVシステムでは、加入者側で、外部の双方向CATVシステムのセンタ装置を介してインタネットを楽しむ場合や、センタ装置に対して有料番組の視聴予約やテレビショッピング等のためのデータを送信する際には、その加入者側の端末端子18に、アップコンバータ20及びケーブルモデム22を介して、データ通信用の情報端末装置(パーソナルコンピュータ等)24を接続する。
【0028】
この結果、情報端末装置24から出力されたデータ通信用の送信データは、ケーブルモデム22にて、外部の双方向CATVシステムで伝送可能な所定周波数帯(本実施例では、10MHz〜55MHz)の上り信号に変換され、更に、この上り信号は、アップコンバータ20にて、所定周波数帯(本実施例では、821MHz〜866MHz)の棟内上り信号に周波数変換されて、端末端子18に入力される。
【0029】
このため、棟内CATVシステムの伝送線Lと、外部の双方向CATVシステムからの引込線6との接続部分には、各端末端子18から伝送線Lを介して伝送されてきた棟内上り信号を、外部の双方向CATVシステムで伝送可能な元の上り信号に周波数変換するためのダウンコンバータ10が設けられている。
【0030】
尚、図1において、符号26は、アップコンバータ20が接続されない端末端子18に接続され、伝送線Lを介して伝送されてきた外部の双方向CATVシステムからの下り信号を受信して、所望チャンネルのテレビ放送を復調・再生するテレビ受信機を表す。
【0031】
次に、本実施例の棟内CATVシステムで用いられるダウンコンバータ10及びアップコンバータ20の夫々の構成を、図2を用いて説明する。
[アップコンバータ]
図2(a)に示すように、アップコンバータ20には、同軸ケーブル等を介して端末端子18に接続するための第1接続端子T1と、上り信号を出力してくるケーブルモデム22等の通信用端末装置に接続するための第2接続端子T2とが備えられている。
【0032】
そして、端末端子18から第1接続端子T1に入力された下り信号は、ローパスフィルタ(以下LPFと記載する)32を介してアップコンバータ20内に取り込まれ、アップコンバータ20内の下り信号通過経路,ハイパスフィルタ(以下HPFと記載する)34,及び第2接続端子T2を介して、ケーブルモデム22等の通信用端末装置に出力される。
【0033】
尚、LPF32は、後述の周波数変換後の棟内上り信号や基準信号が下り信号通過経路内に侵入するのを防止し、第1接続端子T1に入力された下り信号のみを下り信号通過経路内に取り込むためのものであり、カットオフ周波数が例えば770MHzに設定されている。
【0034】
また、HPF34は、外部の通信用端末装置から第2接続端子T2に入力された周波数変換前の上り信号が下り信号通過経路内に侵入するのを防止し、下り信号通過経路を通過してきた下り信号のみを第2接続端子T2側に通過させるためのものであり、カットオフ周波数が例えば70MHzに設定されている。
【0035】
一方、第2接続端子T2に入力された通信用端末装置からの出力信号(上り信号)は、LPF42を介してアップコンバータ20内に取り込まれ、分岐回路44を介して、第1周波数変換手段としてのミキサ回路46に入力される。
分岐回路44は、LPF42を介して入力された上り信号をそのままミキサ回路46側に通過させると共に、その上り信号の一部を分岐させるためのものであり、周知の方向性結合器から構成されている。
【0036】
また、ミキサ回路46は、基準信号発生手段としての発振回路48から出力される一定周波数(例えば876MHz)の基準信号を受けて、この基準信号と上り信号とを混合することにより、上り信号を棟内上り信号に周波数変換するものである。
【0037】
そして、このミキサ回路46にて周波数変換された棟内上り信号は、バンドパスフィルタ(以下BPFと記載する)50を介して、棟内上り信号増幅用の増幅回路52に入力され、増幅回路52で所定レベルまで増幅された後、第1信号経路断続手段としての高周波スイッチ(高周波SW)54、HPF56,第1接続端子T1を介して、端末端子18側に送出される。
【0038】
次に、分岐回路44により分岐された上り信号は、上り信号検出回路58に入力される。上り信号検出回路58は、例えば、分岐回路44からの入力信号を検波して、検波後の信号レベルが所定レベル以上か否かを判定することにより、アップコンバータ20に接続されたケーブルモデム22等の通信用端末装置から上り信号が入力されているか否かを判断するものであり、本発明の第1判定手段として機能する。
【0039】
そして、上り信号検出回路58は、上り信号が入力されていると判断すると、高周波スイッチ54をONして増幅回路52とHPF56との間の棟内上り信号の通過経路を接続し、上り信号が入力されていないと判断すると、高周波スイッチ54をOFFして増幅回路52とHPF56との間の棟内上り信号の通過経路を遮断する。
【0040】
尚、LPF42は、HPF34から第2接続端子T2側に出力された下り信号が分岐回路44側の上り信号通過経路内に侵入するのを防止し、第2接続端子T2に入力された上り信号のみを上り信号通過経路内に取り込むためのものであり、カットオフ周波数が例えば55MHzに設定されている。
【0041】
また、BPF50は、ミキサ回路46からの出力の内、基準信号と上り信号とを混合することにより得られる所定周波数帯(821MHz〜866MHz)の棟内上り信号と、発振回路48が発生した一定周波数(876MHz)の基準信号とを選択的に通過させ、それ以外の信号の通過を阻止するためのものであり、信号通過帯域が例えば821MHz〜876MHzに設定されている。
【0042】
また、HPF56は、端末端子18から第1接続端子T1に入力された下り信号が高周波スイッチ54が設けられた棟内上り信号の通過経路内に侵入するのを防止し、高周波スイッチ54を通過した棟内上り信号(詳しくは棟内上り信号と基準信号)を第1接続端子T1側に通過させるためのものであり、カットオフ周波数が例えば821MHzに設定されている。
[ダウンコンバータ]
図2(b)に示すように、ダウンコンバータ10には、外部の双方向CATVシステムからの引込線6を接続するための外部接続端子T3と、建造物10内の伝送線Lを接続するための内部接続端子T4とが備えられている。
【0043】
そして、外部接続端子T3に入力された下り信号は、HPF62を介してダウンコンバータ10内に取り込まれ、ダウンコンバータ10内の下り信号通過経路,LPF64,及び内部接続端子T4を介して、伝送線L上に送出される。
尚、HPF62は、後述の周波数変換後の上り信号が下り信号通過経路内に侵入するのを防止し、外部接続端子T3に入力された下り信号のみを下り信号通過経路内に取り込むためのものであり、カットオフ周波数が例えば70MHzに設定されている。
【0044】
また、LPF64は、伝送線Lから内部接続端子T4に入力された棟内上り信号及び基準信号が下り信号通過経路内に侵入するのを防止し、下り信号通過経路を通過してきた下り信号のみを内部接続端子T4側に通過させるためのものであり、カットオフ周波数が例えば770MHzに設定されている。
【0045】
一方、伝送線Lを介して内部接続端子T4に入力された上り方向の伝送信号(詳しくは棟内上り信号及び基準信号)は、HPF72を介してダウンコンバータ10内に取り込まれ、分岐回路74を介してミキサ回路76に入力される。
分岐回路74は、HPF72を介して入力された上り方向の伝送信号をそのままミキサ回路76側に通過させると共に、その伝送信号の一部を分岐させるものである。そして、この分岐回路74にて分岐された伝送信号は、基準信号のみを通過させる狭帯域のBPF82に入力され、このBPF82を通過した基準信号は、PLL回路80に入力される。
【0046】
尚、HPF72は、LPF64から内部接続端子T4側に出力された下り信号が分岐回路74側に侵入するのを防止し、内部接続端子T4に入力された上り方向の伝送信号のみを分岐回路74側に取り込むためのものであり、カットオフ周波数が例えば821MHzに設定されている。
【0047】
また、BPF82は、端末側のアップコンバータ20から棟内上り信号と共に伝送されてきた基準信号のみを通過させるためのものであるが、その信号通過帯域幅は、各端末端子18に接続される多数のアップコンバータ20での発振回路48の発振周波数のばらつきを考慮して、例えば基準周波数(876MHz)±5MHzに設定されている。そして、本実施例では、このBPF82と分岐回路74とにより、本発明の基準信号抽出手段としての機能が実現される。
【0048】
次に、ミキサ回路76は、周波数可変型の発振回路78からの出力(基準信号)と分岐回路74を通過した上り方向の伝送信号とを混合することにより、その伝送信号に含まれる棟内上り信号を元の上り信号に周波数変換するものである。
そして、このミキサ回路76に周波数変換用の基準信号を入力する発振回路78の発振周波数は、PLL回路80の動作によって、分岐回路74及びBPF82により抽出した基準信号と同一周波数に制御される。
【0049】
即ち、PLL回路80は、分岐回路74及びBPF82により抽出した基準信号と発振回路78からの出力とを夫々同じ分周比にて分周し、その分周後の各信号の位相を比較して、その位相差に応じた制御信号を発振回路78に出力することにより、発振回路78の発振周波数を、分岐回路74及びBPF82により抽出した基準信号と一致させる。
【0050】
この結果、発振回路78からミキサ回路76に入力される周波数変換用の基準信号は、棟内上り信号を送信してきたアップコンバータ20が棟内上り信号を生成するのに使用した基準信号と同一周波数となり、ミキサ回路76により、棟内上り信号から通信用端末装置が出力した元の上り信号を極めて正確に復元することが可能となる。尚、本実施例では、ミキサ回路76と、発振回路78と、PLL回路80とにより、本発明の第2周波数変換手段としての機能が実現される。
【0051】
そして、上記のようにミキサ回路76にて周波数変換された上り信号は、BPF84を介して、上り信号増幅用の増幅回路86に入力され、増幅回路86で所定レベルまで増幅された後、第2信号経路断続手段としての高周波スイッチ(高周波SW)88、LPF90,外部接続端子T3を介して、引込線6側に送出される。
【0052】
尚、BPF84は、ミキサ回路76からの出力の内、基準信号と棟内上り信号とを混合することにより得られる所定周波数帯(10MHz〜55MHz)の信号(周波数変換後の上り信号)を選択的に通過させ、それ以外の信号の通過を阻止するためのものであり、信号通過帯域が例えば10MHz〜55MHzに設定されている。
【0053】
また、LPF90は、外部接続端子T3に入力された下り信号が高周波スイッチ88が設けられた上り信号の通過経路内に侵入するのを防止し、高周波スイッチ88を通過した上り信号を外部接続端子T3側に通過させるためのものであり、カットオフ周波数が例えば55MHzに設定されている。
【0054】
また次に、本実施例のダウンコンバータ10には、本発明の第2判定手段として、BPF82を通ってPLL回路80に入力される基準信号を検出する基準信号検出回路92が設けられている。
この基準信号検出回路92は、例えば、BPF82からPLL回路80に入力される信号を取り込み、これを検波して、検波後の信号レベルが所定レベル以上か否かを判定することにより、BPF82からPLL回路80に基準信号が入力されているか否かを判定する。
【0055】
そして、PLL回路80に基準信号が入力されていると判断すると、高周波スイッチ88をONして増幅回路86とLPF90との間の上り信号の通過経路を接続し、基準信号が入力されていないと判断すると、高周波スイッチ88をOFFして増幅回路86とLPF90との間の上り信号の通過経路を遮断する。
【0056】
以上説明したように、本実施例のアップコンバータ20においては、建造物内の伝送線Lを介して端末端子18まで伝送されてきた下り信号を、LPF32及びHPF34を介して、そのまま外部の通信用端末装置側に送出すると共に、外部の通信用端末装置から出力された上り信号を、ミキサ回路46で棟内上り信号に周波数変換して、端末端子18から建造物内の伝送線上に送出する。
【0057】
また、ミキサ回路46で上り信号を棟内上り信号に周波数変換した際には、ミキサ回路46からの出力をBPF50に通すことにより、棟内上り信号だけでなく、棟内上り信号を生成するのに用いた基準信号をも、棟内上り信号と同一の信号経路で建造物内の伝送線上に送出し、しかも、外部の通信用端末装置から上り信号が入力されていないときには、高周波スイッチ54をOFFすることにより、棟内上り信号と基準信号とを端末端子18側に送出する信号経路を遮断するようにされている。
【0058】
従って、本実施例のアップコンバータ20によれば、外部の通信用端末装置から上り信号が入力されて、これを基準信号を用いて棟内上り信号に周波数変換したときにだけ、棟内上り信号送出用の信号経路が形成され、この信号経路を介して、アップコンバータ20内の増幅回路52や発振回路48で発生した熱雑音が建造物内の伝送線Lに漏出することになる。よって、本実施例のアップコンバータ20によれば、棟内上り信号送出用の信号経路を遮断しない従来のアップコンバータに比べて、伝送線L上に漏出する雑音量を大幅に低減することができ、延いては、棟内CATVシステムから外部の双方向CATVシステムに出力される流合雑音を極めて少なくすることができる。
【0059】
一方、本実施例のダウンコンバータ10においては、引込線6を介して外部の双方向CATVシステムから入力された下り信号をそのまま建造物内の伝送線L上に送出すると共に、伝送線Lを介して端末側から伝送されてきた棟内上り信号をミキサ回路76にて周波数変換し、所定周波数に変換された上り信号のみを、BPF84等を介して、引込線6側に送出する。
【0060】
また、ミキサ回路76にて棟内上り信号を上り信号に周波数変換する際には、周波数変換用の基準信号を発生する発振回路78の発振周波数を、アップコンバータ20側から棟内上り信号と共に送信されてきた基準信号と一致させ、しかも、BPF82にて基準信号を抽出できないとき(換言すれば棟内上り信号を送信しているアップコンバータ20が存在しないとき)には、高周波スイッチ88をOFFすることにより、上り信号を引込線6側に送出する信号経路を遮断する。
【0061】
従って、本実施例のダウンコンバータ10によれば、端末側より棟内上り信号が入力されて、これを上り信号に周波数変換したときにだけ、上り信号送出用の信号経路が形成され、この信号経路を介して、建造物内で発生した雑音が流合雑音として外部の双方向CATVシステムの伝送線2上に送出されることになる。よって、本実施例のダウンコンバータ10によれば、上り信号送出用の信号経路を遮断しない従来のダウンコンバータに比べて、外部の双方向CATVシステムに出力される流合雑音を低減できる。
【0062】
また本実施例の棟内CATVシステムにおいては、上記のように構成されたアップコンバータ20が、通信用端末装置を所有する加入者側の各端末端子18に夫々接続され、これら各アップコンバータ20は、内蔵した発振回路48からの出力(基準信号)を用いて上り信号を棟内上り信号に周波数変換することになるが、ダウンコンバータ10側では、常に、棟内上り信号を送信してきたアップコンバータ20と同じ周波数の基準信号を用いて、棟内上り信号を上り信号に周波数変換できることから、外部の双方向CATVシステムには、加入者が所有する各種通信用端末装置から出力された上り信号を、信号形態を変化させることなくそのまま出力できる。
【0063】
よって、本実施例の棟内CATVシステムによれば、外部の双方向CATVシステムに送出される流合雑音を極めて低レベルに抑えることができ、しかも、加入者側の端末装置から出力された上り信号を、外部の双方向CATVシステムに良好に送出することが可能となる。
【0064】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、ダウンコンバータ10において、棟内上り信号をアップコンバータ20と同じ基準信号で周波数変換できるようにするために、BPF82を通過したアップコンバータ20からの基準信号をPLL回路80に入力し、PLL回路80の動作によって、ミキサ回路76に周波数変換用の基準信号を入力する発振回路78の発振周波数を、アップコンバータ20側の基準信号と一致させるものとして説明したが、例えば、図3に示すように、ダウンコンバータ10を、BPF82を通過した基準信号を増幅回路94にて増幅し、その増幅後の基準信号を、そのままミキサ回路76に入力するように構成してもよい。
【0065】
そして、ダウンコンバータ10をこのように構成すれば、ダウンコンバータ10側で、アップコンバータ20と同じ基準信号を用いて棟内上り信号を周波数変換することができるだけでなく、ダウンコンバータ10内に基準信号発生用の発振回路78やPLL回路80を設ける必要がないので、ダウンコンバータ10の構成を簡素化して、ダウンコンバータ10を安価に実現できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の棟内CATVシステムの構成を表す構成図である。
【図2】 実施例のダウンコンバータ及びアップコンバータの構成を夫々表すブロック図である。
【図3】 実施例のダウンコンバータの他の構成例を表すブロック図である。
【符号の説明】
6…引込線、8…保安器、L…伝送線、10…ダウンコンバータ、12…双方向増幅器、14…分岐器、16…分配器、18…端末端子、20…アップコンバータ、22…ケーブルモデム、24…情報端末装置、26…テレビ受信機、44,74…分岐回路、46,76…ミキサ回路、48,78…発振回路、52,86…増幅回路、54,88…高周波スイッチ、58…上り信号検出回路、80…PLL回路、92…基準信号検出回路、50,82,84…BPF(バンドパスフィルタ)、32,42,64,90…LPF(ローパスフィルタ)、34,56,62,72…HPF(ハイパスフィルタ)。
Claims (4)
- 外部の双方向CATVシステムからの引込線を建造物内に引き込み、該建造物内の伝送線を介して、前記引込線から入力された下り信号を建造物内の複数の端末端子まで伝送すると共に、該端末端子より入力された前記下り信号よりも周波数が高い棟内上り信号を前記引込線側まで伝送し、更に、その伝送された棟内上り信号を、前記伝送線と前記引込線との間に設けられたダウンコンバータにて、前記下り信号よりも周波数が低い前記双方向CATVシステム用の上り信号に周波数変換した後、前記引込線から前記双方向CATVシステムの伝送線上に送出するように構成された棟内CATVシステムにおいて、
前記端末端子と加入者側の端末装置との間に設けられ、前記伝送線を介して前記端末端子まで伝送されてきた前記下り信号を前記端末装置側に出力すると共に、前記端末装置から出力された上り信号を前記棟内上り信号に周波数変換して、前記端末端子側に出力するアップコンバータであって、
前記上り信号を前記棟内上り信号に周波数変換するための一定周波数の基準信号を発生する基準信号発生手段と、
前記端末装置から出力された上り信号を取り込み、前記基準信号発生手段が発生した基準信号と混合することにより、前記上り信号を前記棟内上り信号に周波数変換する第1周波数変換手段と、
前記端末装置から前記上り信号が入力されているか否かを判定する第1判定手段と、
該第1判定手段にて前記上り信号が入力されていると判定されると、前記第1周波数変換手段にて周波数変換された前記棟内上り信号を前記基準信号と共に前記端末端子側に出力する第1信号経路を形成し、前記第1判定手段にて前記上り信号が入力されていないと判定されると、前記第1信号経路を遮断する第1信号経路断続手段と、
を備えたことを特徴とする棟内CATVシステム用アップコンバータ。 - 外部の双方向CATVシステムからの引込線を建造物内に引き込み、該建造物内の伝送線を介して、前記引込線から入力された下り信号を建造物内の複数の端末端子まで伝送すると共に、請求項1記載のアップアップコンバータを介して前記端末端子に入力された前記下り信号よりも周波数が高い棟内上り信号を前記引込線まで伝送する棟内CATVシステムにおいて、
前記引込線と前記建造物内の伝送線との間に設けられ、前記引込線を介して入力された前記下り信号を前記伝送線側に出力すると共に、前記伝送線を介して入力された前記棟内上り信号を、前記アップコンバータが周波数変換する前の元の上り信号に周波数変換して、前記引込線側に出力するダウンコンバータであって、
前記アップコンバータから前記端末端子及び前記伝送線を介して前記棟内上り信号と共に伝送されてきた基準信号を抽出する基準信号抽出手段と、
前記アップコンバータから前記端末端子及び前記伝送線を介して伝送されてきた前記棟内上り信号と、前記基準信号抽出手段にて抽出された基準信号とに基づき、前記棟内上り信号を前記上り信号に周波数変換する第2周波数変換手段と、
を備えたことを特徴とする棟内CATVシステム用ダウンコンバータ。 - 前記基準信号抽出手段にて前記基準信号が抽出されたか否かを判定する第2判定手段と、
該第2判定手段にて前記基準信号が抽出されたと判定されると、前記第2周波数変換手段にて周波数変換された前記上り信号を前記引込線側に出力する第2信号経路を形成し、前記第2判定手段にて前記基準信号が抽出されていないと判断されると、前記第2信号経路を遮断する第2信号経路断続手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の棟内CATVシステム用ダウンコンバータ。 - 外部の双方向CATVシステムからの引込線を建造物内に引き込み、該建造物内の伝送線を介して、前記引込線から入力された下り信号を建造物内の複数の端末端子まで伝送すると共に、加入者側の端末装置と前記端末端子との間に設けられたアップコンバータを介して前記端末端子に入力された、前記下り信号よりも周波数が高い棟内上り信号を、前記伝送線を介して前記引込線まで伝送し、該棟内上り信号を、前記伝送線と前記引込線との間に設けられたダウンコンバータを介して、前記端末装置が出力した元の周波数帯の上り信号に周波数変換して、前記引込線上に送出する棟内CATVシステムにおいて、
前記アップコンバータとして、請求項1記載の棟内CATVシステム用アップコンバータを備え、前記ダウンコンバータとして、請求項2又は請求項3記載の棟内CATVシステム用ダウンコンバータを備えたことを特徴とする棟内CATVシステム。
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