JP4346841B2 - 薄膜トランジスタ、液晶表示装置及び薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタ、液晶表示装置及び薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置及び有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に使用される薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTともいう) 、その薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置及び薄膜トランジスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクティブマトリクス方式の液晶表示装置や有機EL表示装置では、画素の非選択時にオフ状態になって信号を遮断するスイッチ素子としてTFTが設けられている。
図9は液晶表示装置の一例を示す断面図、図10は同じくその液晶表示装置の平面図である。なお、図9は、図10のA−A線における断面である。
【0003】
この液晶表示装置は、TFT(薄膜トランジスタ)基板50と、CF(カラーフィルタ)基板60と、これらの基板50,60の間に封入された液晶70とにより構成されている。また、TFT基板50の下及びCF基板60の上にはそれぞれ偏光板(図示せず)が偏光軸を直交させて配置されている。
TFT基板50は、以下のように構成されている。すなわち、透明ガラス基板51の一方の面(図9では上面)上には複数のゲート配線52aが相互に平行に形成されている。また、各ゲート配線52aの間には、蓄積容量配線52bがゲート配線52aに平行に形成されている。
【0004】
これらのゲート配線52a及び蓄積容量配線52bは絶縁膜53に覆われている。ゲート配線52aの上方の絶縁膜53の上には、TFT75の動作層である半導体膜(図示せず)が選択的に形成されており、その半導体膜の上には、チャネル保護膜55aが形成されている。また、チャネル保護膜55aを挟んで、TFT75のソース電極57a及びドレイン電極57bが形成されている。これらのソース電極57a及びドレイン電極57bは、TFT75の動作層である半導体膜に電気的に接続している。
【0005】
絶縁膜53上には、蓄積容量電極57c及びデータ配線57dが形成されている。ドレイン電極57bはデータ配線57dに接続され、蓄積容量電極57cは絶縁膜53及び蓄積容量配線52bとともに蓄積容量を構成している。
これらのソース電極57a、ドレイン電極57b、蓄積容量電極57c及びデータ配線57dは、層間絶縁膜58に覆われている。この層間絶縁膜58上には透明画素電極59が形成されている。この画素電極59は、層間絶縁膜58に形成されたコンタクトホールを介してソース電極57a及び蓄積容量電極57cに電気的に接続されている。画素電極59の上には、電圧無印加時の液晶分子の配向方向を決める配向膜(図示せず)が形成されている。
【0006】
ゲート配線52aとデータ配線57dとにより区画される矩形の領域が画素領域であり、1つの画素毎に、1つの画素電極59と、1つのTFT75と、1つの蓄積容量とが設けられている。
CF基板60は以下に示すように構成されている。透明ガラス基板61の一方の面(図では下面)には、各画素間の領域、蓄積容量形成領域及びTFT形成領域等を遮光するブラックマトリクス62が形成されている。また、ガラス基板61の下には、各画素毎に、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のいずれか一色のカラーフィルタ63が形成されている。
【0007】
カラーフィルタ63の下には、透明導電体からなるコモン電極64が形成されている。このコモン電極64の下には、電圧無印加時の液晶分子の配向方向を決める配向膜(図示せず)が形成されている。
このように構成された液晶表示装置において、コモン電極64と画素電極59との間に電圧を印加すると、液晶分子の配向方向が変化し、光の透過率が変化する。従って、各画素毎に画素電極59に印加する電圧を制御することにより、液晶表示装置に所望の画像を表示することができる。
【0008】
図11〜図13は、TFT基板の製造方法を工程順に示す断面図である。これらの図を参照して、従来のTFTの製造方法について説明する。
まず、図11(a)に示すように、透明ガラス基板51の上にCr(クロム)等の導電体からなる導電体膜を形成し、導電体膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、ゲート配線52a及び蓄積容量配線52bを形成する。その後、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )法により、基板51の上側全面に、ゲート絶縁膜となるSiN膜53、TFTの動作層となるアモルファスシリコン膜54及びチャネル保護膜となるSiN膜55を、この順序で形成する。
【0009】
次に、図11(b)に示すように、フォトリソグラフィ法によりSiN膜55をパターニングして、TFT形成領域にゲート配線52aとほぼ等しい幅のチャネル保護膜55aを形成する。そして、このチャネル保護膜55aの両側部分のアモルファスシリコン膜53に不純物を注入して、ソース・ドレイン領域を形成する。
【0010】
次に、図12(a)に示すように、プラズマCVD法により、ガラス基板51の上側全面に、オーミックコンタクト層となるn+ 型アモルファスシリコン膜56を形成する。
その後,図12(b)に示すように、PVD(Physical Vapor Deposition )法により、n+ 型アモルファスシリコン膜56の上に導電体膜57を形成する。
【0011】
次に、図13(a)に示すように、フォトリソグラフィ法により、導電体膜57、n+ 型アモルファスシリコン膜56及びアモルファスシリコン膜54をパターニングして、TFT形成領域に、TFTの動作層(アモルファスシリコン膜54)と、ソース電極57a及びドレイン電極57bと、オーミックコンタクト層(電極57a,57bの下方のn+ 型アモルファスシリコン膜56)とを形成するとともに、蓄積容量配線52bの上方に蓄積容量電極57cを形成する。また、このとき同時にデータ配線57d(図10参照)も形成する。
【0012】
次いで、図13(b)に示すように、CVD法により、基板51の上側全面に層間絶縁膜としてSiN膜58を形成し、このSiN膜58でソース電極57a、ドレイン電極57b及び蓄積容量電極57cを覆う。その後、SiN膜58に、ソース電極57a及び蓄積容量電極57cに通じるコンタクトホールをそれぞれ形成する。
【0013】
更に、基板51の上側全面にITO(Indium-Tin Oxide)膜を形成し、このITO膜をパターニングして、画素電極59を形成する。この画素電極59は、コンタクトホールを介してソース電極57a及び蓄積容量電極57cに電気的に接続される。
このようにして、画素毎にTFTを備えた液晶表示装置が形成される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来のTFTでは、図14に示すように、ソース電極57a及びドレイン電極57bの先端部分がいずれもチャネル保護膜55a上に位置している。このため、TFTのゲートとソースとの間に比較的大きな寄生容量Cgsが発生する。しかも、ソース電極57a及びドレイン電極57bを形成する際に、ステッパの1ショット毎の位置ずれにより、ソース電極57a及びドレイン電極57bとチャネル保護膜55aとの重なり量が変化するので、寄生容量Cgsのばらつきも大きい。
【0015】
図15は、ゲート配線に供給される走査信号Vg、データ配線に供給される表示信号Vd、画素電極の電圧Vpxを示す波形図である。
この図15に示すように、走査信号Vgが“H”レベルのときにTFT75がオンになって画素電極59に表示信号Vdが書き込まれる。その後、走査信号Vgが“L”レベルになると、TFT75がオフになって、画素電極59に書き込まれた表示信号Vdが保持される。しかし、TFT75がオフになった直後に、図15に示すように、画素電極59の電圧VpxがΔVだけ降下する。この電圧降下量ΔVは寄生容量Cgsの大きさに関係し、寄生容量Cgsが大きいほど電圧降下量ΔVも大きくなる。
【0016】
データ配線57dには一定の周期で極性が変化する表示信号Vdが供給されるが、寄生容量Cgsによる電圧降下により、画素電圧の対称性(極性に対する対称性)が崩れ、焼き付きや残像及びフリッカが発生する。また、画素毎の寄生容量Cgsのばらつきにより、画像の表示品質が低下する。
以上から、本発明は、ゲートとソースとの間の寄生容量Cgsが極めて小さく、且つ特性が均一な薄膜トランジスタ、その薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置及び薄膜トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決する手段】
本発明の薄膜トランジスタは、チャネル保護膜が、上側が広く下側が狭い逆テーパ状であり、且つ、半導体膜の上面からソース電極の上面までの高さよりも厚く形成されている。
ソース電極及びドレイン電極は、通常、チャネル保護膜を形成した後、PVD法により金属膜を形成し、この金属膜をパターニングすることにより形成される。本発明のようにチャネル保護膜を逆テーパ状にしておくと、金属膜を形成する際に、チャネル保護膜の側壁部に金属が付着しにくく、チャネル保護膜上の金属膜と、その他の部分の金属膜とが電気的に分離された状態となる。
【0018】
従って、この金属膜をパターニングして形成されたソース電極及びドレイン電極は、従来と異なってチャネル保護膜の上の金属膜と電気的に分離されている。このため、ソースとゲートとの間の寄生容量Cgsが小さく、且つ寄生容量Cgsのばらつきも小さくなる。
逆テーパ状のチャネル保護膜は、例えば以下のようにして形成することができる。すなわち、チャネル保護膜となる絶縁膜を形成する際に、この絶縁膜を複数の絶縁層で構成する。各絶縁層は成膜条件を変えて形成し、下側の絶縁層ほどエッチングレートを大きくする。これにより、絶縁膜をパターニングする際に、下側の絶縁層ほどオーバーエッチングになり、逆テーパ状のチャネル保護膜を形成することができる。
【0019】
また、本発明の他の薄膜トランジスタは、チャネル保護膜が、1.0乃至3.0μmと厚く形成されている。
ソース電極及びドレイン電極となる金属膜は、通常、150nm程度の厚さに形成される。従って、チャネル保護膜の厚さを1.0μm以上とすると、チャネル保護膜の形状が逆テーパ状でなくても、チャネル保護膜上の金属膜とその他の部分の金属膜とが電気的に分離された状態となる。これにより、ソースとゲートとの間の寄生容量Cgsが小さく、且つ寄生容量Cgsのばらつきも小さい薄膜トランジスタが得られる。但し、チャネル保護膜の厚さが3.0μmを超えると、素子の上に大きな突起が形成される。液晶表示装置の場合は、チャネル保護膜が3.0μmを超えると、必然的にセルギャップが大きくなって、表示性能が低下する。このため、チャネル保護膜の厚さは1.0乃至3.0μmとする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態の薄膜トランジスタを示す断面図である。
絶縁性ガラス基板11の上にはゲート電極12aが選択的に形成されており、ガラス基板11及びゲート電極12aの上にはゲート絶縁膜としてSiN膜13が形成されている。SiN膜13の上には、TFTの動作層であるアモルファスシリコン膜14が選択的に形成されている。
【0021】
ゲート電極12aの上方のアモルファスシリコン膜14の上には、絶縁材料からなるチャネル保護膜15aが形成されている。本実施の形態では、チャネル保護膜15aが、上側が広く下側が狭い逆テーパ状に形成されている。
チャネル保護膜15aの両側部分のアモルファスシリコン膜14の上には、オーミックコンタクト層であるn+ 型アモルファスシリコン膜16がそれぞれ形成されている。また、これらのn+ 型アモルファスシリコン膜16の上には、金属膜からなるソース電極17a及びドレイン電極17bが形成されている。
【0022】
なお、チャネル保護膜15a上のソース電極17a側及びドレイン電極17b側の縁部には、n+ 型アモルファスシリコン膜16a及び電極17a,17bをパターニングする際にチャネル保護膜15a上に残った導電体膜17dが存在する。本実施の形態では、チャネル保護膜15aが逆テーパ状に形成されており、且つ、チャネル保護膜15aの厚さが、n+ 型アモルファスシリコン膜16と電極17a,17bを構成する金属膜との合計の厚さよりも厚く形成されているため、導電体膜17dはソース電極17a及びドレイン電極17bと電気的に分離されている。
【0023】
本実施の形態の薄膜トランジスタは、上述の如く、チャネル保護膜15a上の導電体膜17dがソース電極17a及びドレイン電極17bと電気的に分離されているので、ゲートとソースとの間の寄生容量Cgsが小さい。
図2〜図4は、本発明の第1の実施の形態の薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す断面図である。なお、以下の説明では、本発明を液晶表示装置のTFT基板に適用した例について説明している。
【0024】
まず、図2(a)に示すように、透明ガラス基板11の上に、厚さが約150nmのCr(クロム)膜を形成し、このCr膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、ゲート配線12a及び蓄積容量配線12bを形成する。なお、ガラス基板11とゲート配線12a及び蓄積容量配線12bとの間に、バッファ層としてSiO2 膜及びSiN膜等を形成してもよい。
【0025】
その後、プラズマCVD法により、ガラス基板11の上側全面に、ゲート絶縁膜となる厚さが約400nmのSiN膜13と、TFTの動作層となる厚さが約15nmのアモルファスシリコン膜14とを順番に形成する。
次に、アモルファスシリコン膜14の上に、チャネル保護膜となる厚さが約120nmのSiN膜15を形成する。このSiN膜15は、膜質(エッチングレート)の異なる複数のSiN層を積層して構成する。これらのSiN層は、下側からエッチングレートが大きい順番で積層される。
【0026】
例えば、2層のSiN層でSiN膜15を構成する場合、下側のSiN層の成膜条件は、ガス種及び流量がSiH4 /NH3 /N2 =150/1000/2000sccm、ガス圧が213Pa、RFパワーが2100Wとし、上側のSiN層の成膜条件は、ガス種及び流量がSiH4 /NH3 /N2 =250/900/3000sccm、ガス圧が213Pa、RFパワーが2100Wとする。
【0027】
次に、図2(b)に示すように、SiN膜15上に所定のパターンのレジスト膜(図示せず)を形成した後、SiN膜15をドライエッチングして、ゲート配線12aとほぼ等しい幅のチャネル保護膜を形成する。SiN膜15のエッチング条件は、例えば、エッチングガスのガス種及び流量がSF6 /O2 =70/430sccm、ガス圧が37.5Pa、RFパワーが600Wとする。
【0028】
このエッチングにより、図2(b)に示すように、上側が広く下側が狭い逆テーパ状のチャネル保護膜15aが形成される。
次に、図3(a)に示すように、プラズマCVD法により、ガラス基板11の上側全面に、オーミックコンタクト層となるn+ 型アモルファスシリコン膜16を約30nmの厚さに形成する。この場合、チャネル保護膜15aが逆テーパ状に形成されており、且つn+ 型アモルファスシリコン膜16に比べて膜厚が厚いので、チャネル保護膜15a上のn+ 型アモルファスシリコン膜16は、他の部分のn+ 型アモルファスシリコン膜16と電気的に分離される。
【0029】
その後、図3(b)に示すように、PVD法により、n+ 型アモルファスシリコン膜16の上に、導電体膜17を形成する。この導電体膜17は、例えば、厚さが約20nmのTi層と、厚さが約50nmのAl層と、厚さが約80nmのTi層との3層構造とする。この場合も、チャネル保護膜15aが逆テーパ状に形成されており、且つ、チャネル保護膜15aの厚さがn+ 型アモルファスシリコン幕16と導電体膜17との合計の厚さよりも大きいので、チャネル保護膜15a上の導電体膜17は、他の部分の導電体膜17と電気的に分離される。
【0030】
次に、図4(a)に示すように、フォトリソグラフィ法により、導電体膜17、n+ 型アモルファスシリコン膜16及びアモルファスシリコン膜14をパターニングして、TFT形成領域に、TFTの動作層(アモルファスシリコン膜14)と、ソース電極17a及びドレイン電極17bと、オーミックコンタクト層(電極17a,17bの下方のn+ 型アモルファスシリコン膜16)とを形成するとともに、蓄積容量配線12bの上方に蓄積容量電極17cを形成する。また、このとき同時に、データ配線(図示せず)も形成する。このようにして、チャネル保護膜17aの上に重ならないソース電極17a及びドレイン電極17bが形成される。本実施の形態では、チャネル保護膜15a上の縁部に、ソース電極17a及びドレイン電極17bと電気的に分離された導電体膜17dが残る。
【0031】
なお、ソース電極17a及びドレイン電極17bを形成した後、再度エッチングを行い、チャネル保護膜15aの側壁部に付着している導電体膜17の残渣を除去することが好ましい。
次いで、図4(b)に示すように、CVD法により、基板11の上側全面に、層間絶縁膜としてSiN膜18を約300nmの厚さに形成し、このSiN膜18でソース電極17a、ドレイン電極17b及び蓄積容量電極17cを被覆する。その後、SiN膜18に、ソース電極17a及び蓄積容量電極17cに通じるコンタクトホールを形成する。
【0032】
そして、基板11の上側全面にITO膜を約70nmの厚さに形成し、このITO膜をパターニングして、ソース電極17a及び蓄積容量電極17cに電気的に接続された画素電極19を形成する。
このようにして形成されたTFT基板をCF基板を重ね合わせ、両者の間に液晶を封入することにより、液晶表示装置が完成する。
【0033】
本実施の形態においては、チャネル保護膜15aとなるSiN膜15を形成するときに、成膜条件を変化させてエッチングレートの異なる複数の層を形成する。これにより、上側が広く下側が狭い逆テーパ状のチャネル保護膜15aが形成される。この逆テーパ状のチャネル保護膜15aにより、ソース電極17a及びドレイン電極17bとなる導電体膜17が、チャネル保護膜15aの上とその他の部分とで電気的に分離される。従って、ゲートとソースとの間の寄生容量Cgsが小さい。また、ソース電極17a及びドレイン電極17bのパターニング時にマスクの位置ずれが発生しても、ゲートとソースとの間の寄生容量Cgsが一定となり、寄生容量Cgsのばらつきによる表示品質の劣化が回避される。これにより、表示品質の優れた液晶表示装置が得られる。
【0034】
(第2の実施の形態)
図5は本発明の第2の実施の形態の薄膜トランジスタを示す断面図である。
絶縁性ガラス基板31の上にはゲート電極32aが選択的に形成されており、ガラス基板31及びゲート電極32aの上にはゲート絶縁膜としてSiN膜33が形成されている。SiN膜33の上には、TFTの動作層であるアモルファスシリコン膜34が選択的に形成されている。
【0035】
ゲート電極32aの上方のアモルファスシリコン膜34の上には、絶縁材料からなるチャネル保護膜35aが形成されている。本実施の形態では、チャネル保護膜35aの高さが1.0〜3.0μmであり、従来より厚く形成されている。
チャネル保護膜35aの両側のアモルファスシリコン膜34の上には、オーミックコンタクト層であるn+ 型アモルファスシリコン膜36がそれぞれ形成されている。また、これらのn+ 型アモルファスシリコン膜36の上には、金属膜からなるソース電極37a及びドレイン電極37bが形成されている。
【0036】
なお、チャネル保護膜35a上のソース電極37a側及びドレイン電極37b側の縁部には、n+ 型アモルファスシリコン膜36a及び電極37a,37bをパターニングする際にチャネル保護膜35a上に残った導電体膜37dが存在する。本実施の形態では、チャネル保護膜35aが1.0〜3.0μmと十分厚く形成されているため,導電体膜37dはソース電極37a及びドレイン電極13bと電気的に分離されている。
【0037】
本実施の形態の薄膜トランジスタにおいても、チャネル保護膜35a上の導電体膜37dがソース電極37a及びドレイン電極37bと電気的に分離されているので、ゲートとソースとの間の寄生容量Cgsが小さい。
図6〜図8は、本発明の第2の実施の形態の薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す断面図である。なお、以下の説明では、本発明を液晶表示装置のTFT基板に適用した例について説明している。
【0038】
まず、図6(a)に示すように、透明ガラス基板31の上に、厚さが150nmのCr膜を形成し、このCr膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、ゲート配線32a及び蓄積容量配線32bを形成する。
その後、プラズマCVD法により、ガラス基板31の上側全面に、ゲート絶縁膜となる厚さが約400nmのSiN膜34と、TFTの動作層となる厚さが約15nmのアモルファスシリコン膜34と、チャネル保護膜となる厚さが1.0μmのSiN膜35とを順番に形成する。
【0039】
次に、図6(b)に示すように、SiN膜35上に所定のパターンのレジスト膜(図示せず)を形成した後、SiN膜35をドライエッチングして、ゲート配線32aとほぼ等しい幅のチャネル保護膜35aを形成する。
次に、図7(a)に示すように、プラズマCVD法により、ガラス基板31の上側全面に、オーミックコンタクト層となるn+ 型アモルファスシリコン膜36を約30nmの厚さに形成する。この場合、チャネル保護膜35aが1.0μmと厚く形成されているので、チャネル保護膜35a上のn+ 型アモルファスシリコン膜36は、他の部分のn+ 型アモルファスシリコン膜36と電気的に分離される。
【0040】
その後、図7(b)に示すように、PVD法により、n+ 型アモルファスシリコン膜36の上に、導電体膜37を形成する。この導電体膜は、例えば、厚さが約20nmのTi層と、厚さが約50nmのAl層と、厚さが約80nmのTi層との3層構造とする。この場合も、チャネル保護膜35aが厚く形成されているので、チャネル保護膜35a上の導電体膜37は、他の部分の導電体膜37と電気的に分離される。
【0041】
次に、図8(a)に示すように、フォトリソグラフィ法により、導電体膜37、n+ 型アモルファスシリコン膜36及びアモルファスシリコン膜34をパターニングして、TFT形成領域に、TFTの動作層(アモルファスシリコン膜34)と、ソース電極37a及びドレイン電極37bと、オーミックコンタクト層(電極37a,37bの下方のn+ 型アモルファスシリコン膜36)とを形成するとともに、蓄積容量配線32bの上方に蓄積容量電極37cを形成する。また、このとき同時に、データ配線(図示せず)も形成する。このようにして、チャネル保護膜37aの上に重ならないソース電極37a及びドレイン電極37bが形成される。なお、チャネル保護膜35a上の縁部には、ソース電極37a及びドレイン電極37bと電気的に分離された導電体膜37dが残る。
【0042】
次いで、図8(b)に示すように、CVD法により、基板31の上側全面に、層間絶縁膜としてSiN膜38を約300nmの厚さに形成し、このSiN膜38でソース電極37a、ドレイン電極37b及び蓄積容量電極37cを被覆する。その後、SiN膜38に、ソース電極37a及び蓄積容量電極37cに通じるコンタクトホールを形成する。
【0043】
そして、基板31の上側全面にITO膜を約70nmの厚さに形成し、このITO膜をパターニングして、ソース電極37a及び蓄積容量電極37cに電気的に接続された画素電極39を形成する。
このようにして形成されたTFT基板をCF基板を重ね合わせ、両者の間に液晶を封入することにより、液晶表示装置が完成する。
【0044】
本実施の形態においては、チャネル保護膜35aを1.0〜3.0μmと厚く形成する。このため、ソース電極37a及びドレイン電極37bとなる導電体膜37が、チャネル保護膜35aの上とその他の部分とで電気的に分離される。従って、ゲートとソースとの間の寄生容量Cgsが小さい。また、ソース電極37a及びドレイン電極37bのパターニング時にマスクの位置ずれが発生しても、ゲートとソースとの間の寄生容量Cgsが一定となり、寄生容量Cgsのばらつきによる表示品質の劣化が回避される。これにより、表示品質の優れた液晶表示装置が得られる。
【0045】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、いずれも本発明を液晶表示装置のTFTに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、TFTを使用した種々の装置に適用することができる。
(付記1)基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成された半導体膜と、前記半導体膜のチャネル領域上に形成されたチャネル保護膜と、前記チャネル保護膜の両側にそれぞれ形成され、前記半導体膜に電気的に接続されたソース電極及びドレイン電極とを有する薄膜トランジスタにおいて、前記チャネル保護膜が、上側が広く下側が狭い逆テーパ状であり、且つ前記半導体膜の上面から前記ソース電極の上面までの高さよりも厚く形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【0046】
(付記2)前記チャネル保護膜の上に、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と電気的に分離された導電体膜を有することを特徴とする付記1に記載の薄膜トランジスタ。
(付記3)基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成された半導体膜と、前記半導体膜のチャネル領域上に形成されたチャネル保護膜と、前記チャネル保護膜の両側にそれぞれ形成され、前記半導体膜に電気的に接続されたソース電極及びドレイン電極とを有する薄膜トランジスタにおいて、前記チャネル保護膜の厚さが1.0乃至3.0μmであることをことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【0047】
(付記4)前記チャネル保護膜の上に、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と電気的に分離された導電体膜を有することを特徴とする付記3に記載の薄膜トランジスタ。
(付記5)基板上にゲート電極を形成する工程と、前記基板上に前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上の前記ゲート電極を跨ぐ領域に半導体膜を形成する工程と、前記ゲート電極の直上の前記半導体膜の上に、上側が広く下側が狭い逆テーパ状の絶縁性チャネル保護膜を形成する工程と、前記基板の上側全面に導電膜を形成する工程と、前記導電膜をパターニングして、前記チャネル保護膜の両側に前記半導体膜と電気的に接続したソース電極及びドレイン電極を形成する工程とを有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【0048】
(付記6)前記チャネル保護膜は、成膜条件を変化させることにより、上部と下部とでエッチングレートの異なる絶縁膜を形成し、該絶縁膜をエッチングして形成することを特徴とする付記5に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
(付記7)基板上にゲート電極を形成する工程と、前記基板上に前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上の前記ゲート電極を跨ぐ領域に半導体膜を形成する工程と、前記ゲート電極の直上の前記半導体膜の上に、厚さが1.0乃至3.0μmの絶縁性チャネル保護膜を形成する工程と、前記基板の上側全面に導電膜を形成する工程と、前記導電膜をパターニングして、前記チャネル保護膜の両側に前記半導体膜と電気的に接続したソース電極及びドレイン電極を形成する工程とを有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【0049】
(付記8)画素毎に薄膜トランジスタが設けられた液晶表示装置において、前記薄膜トランジスタのチャネル保護膜が、上側が広く下側が狭い逆テーパ状であり、且つソース電極及びドレイン電極よりも厚く形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
(付記9)画素毎に薄膜トランジスタが設けられた液晶表示装置において、前記薄膜トランジスタのチャネル保護膜が1.0乃至3.0μmであることを特徴とする液晶表示装置。
【0050】
【発明の効果】
上述したように、本発明の薄膜トランジスタによれば、チャネル保護膜が、上側が広く下側が狭い逆テーパ状であり、且つ、半導体膜の上面からソース電極の上面までの高さよりも厚く形成されているので、ソース電極及びドレイン電極がチャネル保護膜の上の金属膜と電気的に分離されている。このため、ソースとゲートとの間の寄生容量Cgsが小さく、且つ寄生容量Cgsのばらつきも小さくなる。
【0051】
また、本発明の他の薄膜トランジスタによれば、チャネル保護膜が、1.0乃至3.0μmと厚く形成されているので、ソース電極及びドレイン電極がチャネル保護膜の上の金属膜と電気的に分離されている。このため、ソースとゲートとの間の寄生容量Cgsが小さく、且つ寄生容量Cgsのばらつきも小さくなる。
従って、本発明によれば、焼き付きやフリッカのない表示品質が優れた液晶表示装置の作製が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態の薄膜トランジスタを示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態の薄膜トランジスタの製造方法を工程を示す断面図(その1)である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態の薄膜トランジスタの製造方法を工程を示す断面図(その2)である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態の薄膜トランジスタの製造方法を工程を示す断面図(その3)である。
【図5】図5は本発明の第2の実施の形態の薄膜トランジスタを示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態の薄膜トランジスタの製造方法を工程を示す断面図(その1)である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態の薄膜トランジスタの製造方法を工程を示す断面図(その2)である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態の薄膜トランジスタの製造方法を工程を示す断面図(その3)である。
【図9】図9は液晶表示装置の一例を示す断面図である。
【図10】図10は同じくその液晶表示装置の平面図である。
【図11】図11は、従来の液晶表示装置における薄膜トランジスタの製造方法の工程を示す断面図(その1)である。
【図12】図12は、従来の液晶表示装置における薄膜トランジスタの製造方法の工程を示す断面図(その2)である。
【図13】図13は、従来の液晶表示装置における薄膜トランジスタの製造方法の工程を示す断面図(その3)である。
【図14】図14は、従来の薄膜トランジスタのゲートとソースとの間の寄生容量を示す模式図である。
【図15】図15は、従来の問題点を示す図であり、寄生容量Cgsによる画素電極の電圧降下を示す波形図である。
【符号の説明】
11,31…ガラス基板、
12a,32a…ゲート電極、
12b,32b…蓄積容量配線、
13,15,18,33,35,38…SiN膜、
14,34…アモルファスシリコン膜、
15a,35a,55a…チャネル保護膜、
16,36…n+ 型アモルファスシリコン膜、
17,37…導電体膜、
17a,37a,57a…ソース電極、
17b,37b,57b…ドレイン電極、
17c,37c…蓄積容量電極、
19,39,59…画素電極、
50…TFT基板、
52a…ゲート配線、
52b…蓄積容量配線、
57c…蓄積容量電極、
57d…データ配線、
60…CF基板、
62…ブラックマトリクス、
63…カラーフィルタ、
64…コモン電極、
70…液晶、
75…TFT。

Claims (5)

  1. 基板上に形成されたゲート電極と、
    前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成された半導体膜と、
    前記半導体膜のチャネル領域上に形成された厚さが1.0乃至3.0μmの上部の幅が底部の幅よりも狭いテーパ状のチャネル保護膜と、
    前記チャネル保護膜の両側にそれぞれ形成され、前記半導体膜に電気的に接続されたソース電極及びドレイン電極と、
    前記チャネル保護膜上に形成され、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と電気的に分離された導電体膜と、
    を有することを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 前記チャネル保護膜はSiN膜からなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記チャネル保護膜上の導電体膜の厚さが150nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタ。
  4. 基板上にゲート電極を形成する工程と、
    前記基板上に前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上の前記ゲート電極を跨ぐ領域に半導体膜を形成する工程と、
    前記ゲート電極の直上の前記半導体膜の上に、厚さが1.0乃至3.0μmの上部の幅が底部の幅よりも狭いテーパ状のチャネル保護膜を形成する工程と、
    前記基板の上側全面に導電体膜を形成する工程と、
    前記導電体膜をパターニングして、前記チャネル保護膜の両側に前記半導体膜と電気的に接続したソース電極及びドレイン電極を形成する工程とを有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
    前記導電体膜を形成する工程で形成される前記絶縁性チャネル保護膜上の導電体膜は、他の部分の導電体膜と電気的に分離されていることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 画素毎に薄膜トランジスタが設けられた液晶表示装置において、
    前記薄膜トランジスタは、
    基板上に形成されたゲート電極と、
    前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成された半導体膜と、
    前記半導体膜のチャネル領域上に形成された厚さが1.0乃至3.0μmの上部の幅が底部の幅よりも狭いテーパ状のチャネル保護膜と、
    前記チャネル保護膜の両側にそれぞれ形成され、前記半導体膜に電気的に接続されたソース電極及びドレイン電極と、
    前記チャネル保護膜上に形成され、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と電気的に分離された導電体膜と、を有すること
    を特徴とする液晶表示装置。
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