JP4345876B2 - 射出成形機からの押出し物巻取り制御方法と射出成形機を備えたタイヤ成形システム - Google Patents

射出成形機からの押出し物巻取り制御方法と射出成形機を備えたタイヤ成形システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機からの押出し物巻取り制御方法と射出成形機を備えたタイヤ成形システムに関するものであり、より詳細には、タイヤ成形ドラムの回転速度の設定及び制御の工夫によって、射出初期段階の押出し物の出始めの部分を安定して精度良く巻き付けることを可能とした射出成形機からの押出し物巻取り制御方法と射出成形機を備えたタイヤ成形システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ製造においては、射出成形機から未加硫の帯状ゴム材料(押出し物)を連続的に射出供給すると共に、この帯状ゴム材料をタイヤ成形ドラムに巻付け、その積層構造に基づいて、キャップトレッド、アンダートレッド、サイドトレッド、リムクッションゴム等のタイヤ構成部材を直接成形し、タイヤの製造効率を高めると共に、省スペース化を図り、製造コストを低減している。
【0003】
これらのタイヤ成形方法では、タイヤ構成部材の重量及び形状を精度良く製造するために、巻取りに際しては、射出成形機で射出された帯状ゴム材料の移動速度にタイヤ成形ドラムの表面速度を一致させる制御をしたり、張力(テンション)制御したりしている。
【0004】
この制御では、帯状ゴム材料の弛み変位量を検出し、この弛み変位量の検出値と予め設定した目標値と比較して偏差を算出し、この偏差によってタイヤ成形ドラムの回転速度を補正しながら巻き取ることにより、弛み変位量が目標値となるような制御、つまり、弛み量が一定になるような制御を行い、帯状ゴム材料の移動速度とドラム表面速度を一致させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、射出された帯状ゴム材料を一定量弛ませながら巻き付ける巻取り制御方法では、帯状ゴム材料が出始める射出初期において、射出成形機の射出ノズルとタイヤ成形ドラム表面との間で帯状ゴム材料がシュリンクして、実際に巻き付けられた帯状ゴム材料が厚くなってしまうという問題が生じる。
【0006】
この帯状ゴム材料の出方は、プランジャー速度など機械的に制御可能なものと違い、ゴムの種類、物性及び射出容量等によって多様な状態となるので、プランジャー速度の制御だけで、帯状ゴム材料の出方を一定にするのことは非常に難しく、この射出初期における巻き付けを精度良く行うことが重要な課題となっている。
【0007】
本発明の目的は、帯状ゴム材料等の押出し物の射出初期において、タイヤ成形ドラムの回転を、押出し物の種類、物性及び射出容量に応じて予め設定された目標曲線に一致するように制御することにより、押出し物を安定して、精度良くタイヤ成形ドラムに巻き付けることができる射出成形機からの押出し物巻取り制御方法と射出成形機を備えたタイヤ成形システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための射出成形機からの押出し物巻取り制御方法は、射出成形機から連続的に射出される帯状の押出し物をタイヤ成形ドラムに巻き付ける押出し物巻取り制御方法において、前記タイヤ成形ドラムの回転及び前記射出成形機のプランジャの射出速度を運転開始からそれぞれ複数の段階を経て上昇させるに際し押出し物の種類、物性及び射出容量に対して、プランジャーの射出速度に関する第1段階における最適な加速時間と第1段階の到達速度である第1定速度と、タイヤ成形ドラムの回転速度に関する第1段階における最適な加速時間と前記第1定速度と同一速度となる第1段階の到達回転速度である第1定回転速度と、その時の押出し物の射出が開始されたと判断する第1判定値となる射出成形機とタイヤ成形ドラムの間の押出し物の弛み変位量とをデータベースとして予め記憶しておき、押出し物を押出す際に、前記データベースから、その押出し物の種類、物性及び射出容量に対応する第1段階におけるプランジャーの最適な加速時間、第1定速度、タイヤ成形ドラムの最適な加速時間、第1定回転速度を選定して、第1段階のプランジャーの射出速度の加速目標曲線とタイヤ成形ドラムの回転速度の加速目標曲線を設定し、前記プランジャーを始動させて、前記射出速度の加速目標曲線に基づいて一定加速度で増速制御して前記第1定速度に到達させるとともに、前記射出成形機とタイヤ成形ドラムの間に設けた変位センサーで検出した押出し物の弛み変位量が所定の第1判定値に到達した時に、タイヤ成形ドラムの回転を開始し、前記回転速度の加速目標曲線に沿って上昇させる制御を行なって前記第1定回転速度に到達させ、第1定回転速度に到達以後は、タイヤ成形ドラムの回転速度をプランジャーの射出速度に同期させる制御を行なうことを特徴とする。
【0009】
本発明においては、2段階で加速する場合には、射出成形機のプランジャーの速度を、第1加速期、第1定速度、第2加速期を経て、定常運転である第2定速度に到達させる制御を行うが、それに対応して、タイヤ成形ドラムも第1加速期、第1定回転速度、第2加速期を経て、定常運転である第2定回転速度に到達させる。なお、2段階以上の複数の段階で行う場合には、この第2定速度、第2定回転速度の後に、必要な数の加速期と定速度、定回転速度が設けられる。
【0010】
この押出し物が射出開始される射出初期である第1加速期において、タイヤ成形ドラムの回転を、プランジャーの射出速度に同期させずに、押出し物の種類、物性及び射出容量に対応して選択され、予め設定された加速目標曲線で上昇するように制御する。
【0011】
この加速目標曲線の選定及び設定は、予め行われた押出し物の種類、物性及び射出容量毎の実験等でケーススタディして求めたデータ等に基づいて設定された加速目標曲線のデータから、実際に使用される押出し物の種類、物性及び射出容量に対応した加速目標曲線が選定され、制御装置に設定される。データが無い場合には新たに実験等のケーススタディをして求める。なお、この加速目標曲線は、単純なものでは、加速時間と第1定回転速度で決まる。
【0012】
この方法により、射出初期段階において、押出し物の種類、物性及び射出容量に応じて押出し物の出方にタイヤ成形ドラムの回転を合わせることができ、押出し物の種類、物性及び射出容量に関わらず、押出し物をタイヤ成形ドラムに安定して、精度良く巻き付けることができる。
【0013】
そして、本発明において、第1加速期が終了し、第1定回転速度に到達した後は、前記プランジャーに設置したプランジャー速度測定器で検出したプランジャー速度を、前記射出成形機のダイス開口断面積と前記プランジャーの断面積で補正換算した換算押出速度に、前記タイヤ成形ドラムの回転速度を同期させる。
【0014】
つまり、第1加速期が終了した後の、第1定回転速度期、第2加速期及び第2定回転速度期においては、タイヤ成形ドラムの回転をプランジャーの射出速度に同期させた制御を行う。
【0015】
また、本発明において、前記タイヤ成形ドラムを回転し始める時期を、前記射出成形機と前記タイヤ成形ドラムの間に設けた変位検出センサーで検出した前記押出し物の弛み変位量が、所定の第1判定値に到達した時とする。
【0016】
つまり、タイヤ成形ドラムの回転開始時期を、成形射出機のノズルからの弾性押出し物の出始めを検出した時とし、この出始めの時期を変位検出センサーで検出された押出し物の弛み変位量で判断する。
【0017】
更に、本発明において、前記タイヤ成形ドラムの回転の第1加速期において、前記射出成形機と前記タイヤ成形ドラムの間に設けた変位検出センサーで検出した前記押出し物の弛み変位量が、所定の第2判定値以上になった時に、前記タイヤ成形ドラムの加速を大きくする制御を行う。この制御により、外乱により押出し物の弛み変位量が大きくなった場合に対応する。
【0018】
そして、上記の射出成形機からの押出し物巻取り制御方法を実施するため射出成形機を備えたタイヤ成形システムは、帯状の押出し物を連続的に射出する射出成形機と、該射出成形機から射出される前記押圧物を巻き付けるタイヤ成形ドラムと、前記射出成形機と前記タイヤ成形ドラムを制御する制御装置と、前記射出成形機と前記タイヤ成形ドラムの間に設けた変位検出センサーとを備えたタイヤ成形システムであって、前記制御装置が、押出し物の種類、物性及び射出容量に対して、プランジャーの射出速度に関する第1段階における最適な加速時間と第1段階の到達速度である第1定速度と、タイヤ成形ドラムの回転速度に関する第1段階における最適な加速時間と前記第1定速度と同一速度となる第1段階の到達回転速度である第1定回転速度と、その時の押出し物の射出が開始されたと判断する第1判定値となる射出成形機とタイヤ成形ドラムの間の押出し物の弛み変化量とをデータベースとして予め記憶しておき、押出し物を押出す際に、前記データベースから、その押出し物の種類、物性及び射出容量に対応する第1段階におけるプランジャーの最適な加速時間、第1定速度、タイヤ成形ドラムの最適な加速時間、第1定回転速度を選定して、第1段階のプランジャーの射出速度の加速目標曲線とタイヤ成形ドラムの回転速度の加速目標曲線を設定し、前記プランジャーを前記射出速度の加速目標曲線に基づいて一定加速度で増速制御して前記第1定速度に到達させるとともに、前記射出成形機とタイヤ成形ドラムの間に設けた変位センサーで検出した押出し物の弛み変位量が所定の第1判定値に到達した時に、タイヤ成形ドラムの回転を開始させ、前記回転速度の加速目標曲線に沿って上昇させる制御を行なって前記第1定回転速度に到達させ、第1定回転速度に到達以後は、タイヤ成形ドラムの回転速度をプランジャーの射出速度に同期させる制御を行なう構成にしたことを特徴とする。
【0019】
この射出成形機を備えたタイヤ成形システムでは、変位検出センサーで押出し物の弛み変位量を測定し、この変位量によりタイヤ成形ドラムの回転開始時点となる押出し物の出始めを検出し、また、第1加速期におけるドラムの回転速度と押出し物の押出速度とのずれを検出してタイヤ成形ドラムの回転を制御する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、巻取り初期における押出し物巻取り制御方法に特徴があるので、主に巻取り初期の段階について説明する。
【0021】
図1に示すように、この射出成形機からの押出し物巻取り制御方法を実施するための射出成形機を備えたタイヤ成形システム10は、タイヤ成形ドラム1と、帯状ゴム材料の押出し物Wを射出する射出成形機3と、制御回路を備えた制御装置(サーボコントローラ)4を備えて構成される。
【0022】
また、押出し物Wの弛み変位量Dを検出する非接触式の変位検出センサー5が、射出成形機3のヘッド部に配置され、射出成形機3のダイス開口部3aとタイヤ成形ドラム1との間における弛み変位量を検出し、この変位検出センサー5の出力は制御装置4に変位データ(弛み変位量)Dとして入力される。
【0023】
そして、制御装置4では、射出速度Vpが設定され入力されると、この射出速度Vpの信号がアンプ3aで増幅されてサーボバルブ3bに入力され、射出成形機3のプランジャー速度Vがこの射出速度Vpになるように制御される。なお、プランジャー速度Vはエンコーダ等で形成されるプランジャー速度測定器6によって検出され、この検出信号Vmがアンプ3aに入力され、フィードバック制御される。
【0024】
また、制御装置4では、変位検出センサー5からの変位データDを基に速度データ演算回路4aとドラム表面速度演算回路4bで演算した結果と、射出速度Vpからドラム表面速度演算回路4cで演算した結果とを加えて、ドラム回転数Rを算出する。
【0025】
このドラム回転数Rの信号はアンプ2aで増幅されて、サーボ駆動モータ2に入力され、タイヤ成形ドラム1をドラム回転数Rで回転させる。
【0026】
また、このドラム回転数Rの信号に伝達データ(比率設定)Kの数値を乗じてアンプ7aで増幅し、トラバース用駆動モータ7を駆動して、射出成形機3が設置されたトラバース装置8をタイヤ成形ドラム1の幅方向(X方向)に所定の速度で往復移動する。
【0027】
つまり、設定された射出速度Vpに基づいて、射出成形機3のプランジャー速度Vが制御されると共に、タイヤ成形ドラム1は、変位検出センサー5で検出された変位データDに基づいたデータと、射出速度Vpとから算出されるドラム回転数Rで回転制御される。それと同時に、射出成形機3は、このドラム回転数Rに同期してタイヤ成形ドラム1の幅方向(X方向)に所定の速度で往復移動制御される。
【0028】
このタイヤ成形システム10において、射出成形機3から押し出された押出し物Wは、サブローラ1aとタイヤ成形ドラム1の間に挟まれた後、タイヤ成形ドラム1に巻き付けられる。
【0029】
次に、このタイヤ成形システム10における射出成形機からの押出し物巻取り制御方法について、図2に示す制御フローと図3に示す時系列図を参照しながら説明する。
【0030】
最初のステップS10で、このタイヤ成形システム10で射出成形機3から射出するゴム材料等の押出し物Wに関して、予め、押出し物Wの種類、物性及び射出容量毎に、射出条件や射出状態を実験等でケーススタディして、これらの押出し物Wの種類、物性及び射出容量に対して、プランジャーの射出速度Vに関する最適な加速時間tp1と第1段階の到達速度である第1定速度V1と、タイヤ成形ドラム1の回転速度Rに関する最適な加速時間td1と第1段階目の到達回転速度である第1定回転速度R1を設定し、その時の弛み量変位量D1,D2をデータベースとして記憶しておく。
【0031】
なお、第1定速度V1が決まれば第1定回転速度R1が決まり、第1定回転速度R1が決まれば第1定速度V1が決まる関係にあり、また、弛み量変位量D1は押出し物Wの射出が開始されたと判断する時の第1の判定値であり、弛み量変位量D2は、第1加速期における押出し物Wの実際の移動速度とタイヤ成形ドラム1の回転速度のずれを修正するための第2の判定値である。
【0032】
そして、次のステップS20では、押出し物Wの種類、物性及び射出容量が決まった段階で、蓄積されたデータベースから第1段階における最適な加速時間tp1、td1と、第1定速度V1、第1定回転速度R1を選定し、第1段階のプランジャーの射出速度Vpの加速目標曲線(マスターカーブ)Cpとタイヤ成形ドラム1の回転速度Rの加速目標曲線(マスターカーブ)Cdを設定する。
【0033】
次のタイヤ成形作業においては、射出成形機3のプランジャーの制御(ステップS30)と、タイヤ成形ドラム1の回転制御(ステップS40)とが相互に関連しながら並行して行われる。
【0034】
最初に、ステップS30の射出成形機3のプランジャーの制御について説明する。先ず、ステップS31で、射出成形機3のプランジャーを始動し、射出を開始する。この射出は射出速度の加速目標曲線Cpに基づいて、第1加速運転Cp1で第1到達速度V1まで加速運転する。
【0035】
そして、所定の第1設定時間(最適な加速時間)tp1を経過して第1定速度Vp1に到達したら、ステップS32で所定の第2設定時間tp2の間、第1定速度運転Cp2を行う。
【0036】
この第1定速度運転Cp2を終了したら、ステップS33で第2加速運転Cp3を行い、所定の第3設定時間tp3を経過して第2定速度Vp2に到達したら、ステップS34で所定の通常運転である第2定速度運転Cp4を行う。そして、所定の巻付け作業を終了したら、ステップS50で終了運転を行う。
【0037】
次に、ステップ40のタイヤ成形ドラム1の制御について説明する。
【0038】
ステップS41で、変位検出センサー5で検出した弛み変位量Dが所定の第1の判定値D1を超えた時に、押出し物Wの出始めであるとして、タイヤ成形ドラム1の回転を開始し、タイヤ成形ドラム1の回転速度RがステップS20で選択した回転速度Rの加速目標曲線Cdに一致するようにしながら、即ち、最適な加速時間td1で第1定回転速度R1まで第1加速運転Cd1を行う。
【0039】
このステップS41の第1加速運転Cd1においては、変位検出センサー5で押出し物Wの弛み変位量Dを検出しながら、弛み変位量Dが所定の第2の判定値D2を超えていれば加速量を増加し、タイヤ成形ドラム1の回転の加速を微調整する。なお、このステップS41の途中で、射出成形機3のプランジャーの射出速度Vは第1到達速度V1に到達し、第1定速運転Cp2に移行する。
【0040】
そして、タイヤ成形ドラム1の回転速度Rが第1定回転速度R1に到達したら、ステップS42で、第1定回転速度R1で第1定速度運転Cd2をステップS32の第1定速度運転Cp2が終了するまでの間行う。この第1定速度運転Cd2ではタイヤ成形ドラム1の回転速度Rとプランジャーの射出速度Vは一定であり、同期制御される。
【0041】
この第1定速度運転Cd2が終了すると、次のステップS43で、プランジャーの射出速度Vの加速と同期制御してタイヤ成形ドラム1の回転速度Rの加速を行う第2加速運転Cd3を、ステップS33の第2加速運転Cp3と並行して行う。
【0042】
この第2加速運転Cd3が終了すると、次のステップS44で、プランジャーの射出速度Vと同期制御してタイヤ成形ドラム1の回転速度Rを一定に維持する第2定回転速度運転Cd4を、ステップS34の第2定速度運転Cp4と並行して行う。
【0043】
この第1定速度運転Cd2以後のタイヤ成形ドラム1の回転速度Rの制御は、プランジャー速度測定器6で検出したプランジャー速度をダイス開口断面積とプランジャー断面積で補正換算した換算押出速度(押出し物の速度)にタイヤ成形ドラム1の回転速度Rを同期させる制御とする。
【0044】
なお、ステップS41〜44の間、タイヤ成形ドラム1の回転と同期させて、射出成形機3のトラバース装置8が駆動制御され、射出成形機3は図1に示すX方向に所定の速度で往復移動する。
【0045】
そして、第2定速度運転Cp4及び第2定回転速度運転Cp4に移行した後は、所定の時間の間、又は、巻取りの終了を検出するまでの間、運転を継続し、その後は、ステップS50の終了処理で従来技術の制御に従って処理される。
【0046】
このステップS50の終了処理は、例えば、サブローラ1aをタイヤ成形ドラム1から離して隙間を形成し、図示しない切断装置をサブローラ1aの外周部に沿って回転して、切断装置のワイヤにより押出し物Wを切断する。この押出し物Wの切断端が乱れるのを防止するために、図示しないプレスローラで押出し物Wの切断端をタイヤ成形ドラム1に押し付けて、一連の巻取り作業を停止する。
【0047】
この射出成形機からの押出し物巻取り制御方法及び射出成形機を備えたタイヤ成形システムによれば、射出初期のゴム材料等の押出し物Wの出始めにおいて、射出する押出し物Wの種類、物性及び射出容量に応じた押出し物Wの出方に、タイヤ成形ドラム1の回転を適合させることにより、押出し物Wをタイヤ成形ドラム1に安定して、精度良く巻き付けることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の射出成形機からの押出し物巻取り制御方法及び射出成形機を備えたタイヤ成形システムによれば、次のような効果を奏することができる。
【0049】
射出成形機から連続的に押出し物を射出押出しつつ、タイヤ成形ドラムに巻き付ける押出し物巻取り制御方法において、タイヤ成形ドラムの回転が最初の段階の第1定回転速度に到達するまでは、射出成形機のプランジャーの射出制御を特定の条件にした上で、射出する押出し物の種類、物性及び射出容量に応じて、予め実験等のケーススタディをして取得した押出し物の速度の立ち上がり時間や到達速度のデータに基づき、タイヤ成形ドラムの回転速度を制御するので、押出し物の出始めにおいて、射出する押出し物の種類、物性及び射出容量によって変化する押出し物の出方に、タイヤ成形ドラムの回転を適合させることができ、押出し物をタイヤ成形ドラムに安定して、精度良く巻き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の射出成形機を備えたタイヤ成形システムの概略構成図を示す。
【図2】本発明の実施の形態の射出成形機からの押出し物巻取り制御方法の制御フローの一例を示す図である。
【図3】射出成形機のプランジャーの射出速度とタイヤ成形ドラムの回転速度の時系列の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 タイヤ成形ドラム
3 射出成形機
5 変位検出センサー
6 プランジャー速度測定器
10 射出成形機を備えたタイヤ成形システム
D 弛み変位量
W 押出し物

Claims (4)

  1. 射出成形機から連続的に射出される帯状の押出し物をタイヤ成形ドラムに巻き付ける押出し物巻取り制御方法において、
    前記タイヤ成形ドラムの回転及び前記射出成形機のプランジャの射出速度を運転開始からそれぞれ複数の段階を経て上昇させるに際し
    押出し物の種類、物性及び射出容量に対して、プランジャーの射出速度に関する第1段階における最適な加速時間と第1段階の到達速度である第1定速度と、タイヤ成形ドラムの回転速度に関する第1段階における最適な加速時間と前記第1定速度と同一速度となる第1段階の到達回転速度である第1定回転速度と、その時の押出し物の射出が開始されたと判断する第1判定値となる射出成形機とタイヤ成形ドラムの間の押出し物の弛み変位量とをデータベースとして予め記憶しておき、
    押出し物を押出す際に、前記データベースから、その押出し物の種類、物性及び射出容量に対応する第1段階におけるプランジャーの最適な加速時間、第1定速度、タイヤ成形ドラムの最適な加速時間、第1定回転速度を選定して、第1段階のプランジャーの射出速度の加速目標曲線とタイヤ成形ドラムの回転速度の加速目標曲線を設定し、
    前記プランジャーを始動させて、前記射出速度の加速目標曲線に基づいて一定加速度で増速制御して前記第1定速度に到達させるとともに、前記射出成形機とタイヤ成形ドラムの間に設けた変位センサーで検出した押出し物の弛み変位量が所定の第1判定値に到達した時に、タイヤ成形ドラムの回転を開始し、前記回転速度の加速目標曲線に沿って上昇させる制御を行なって前記第1定回転速度に到達させ、第1定回転速度に到達以後は、タイヤ成形ドラムの回転速度をプランジャーの射出速度に同期させる制御を行なう射出成形機からの押出し物巻取り制御方法。
  2. 前記第1定回転速度に到達した後は、前記プランジャーに設置したプランジャー速度測定器で検出したプランジャー速度を、前記射出成形機のダイス開口断面積と前記プランジャーの断面積で補正換算した換算押出速度に、前記タイヤ成形ドラムの回転速度を同期させる請求項1に記載の射出成形機からの押出し物巻取り制御方法。
  3. 前記タイヤ成形ドラムの始動から前記第1定回転速度に到達するまでの間において、前記変位検出センサーで検出した前記押出し物の弛み変位量が、所定の第2判定値以上になった時に、前記タイヤ成形ドラムの加速を大きくする制御を行う請求項1または2に記載の射出成形機からの押出し物巻取り制御方法。
  4. 帯状の押出し物を連続的に射出する射出成形機と、該射出成形機から射出される前記押圧物を巻き付けるタイヤ成形ドラムと、前記射出成形機と前記タイヤ成形ドラムを制御する制御装置と、前記射出成形機と前記タイヤ成形ドラムの間に設けた変位検出センサーとを備えたタイヤ成形システムであって、
    前記制御装置が、押出し物の種類、物性及び射出容量に対して、プランジャーの射出速度に関する第1段階における最適な加速時間と第1段階の到達速度である第1定速度と、タイヤ成形ドラムの回転速度に関する第1段階における最適な加速時間と前記第1定速度と同一速度となる第1段階の到達回転速度である第1定回転速度と、その時の押出し物の射出が開始されたと判断する第1判定値となる射出成形機とタイヤ成形ドラムの間の押出し物の弛み変位量とをデータベースとして予め記憶しておき、
    押出し物を押出す際に、前記データベースから、その押出し物の種類、物性及び射出容量に対応する第1段階におけるプランジャーの最適な加速時間、第1定速度、タイヤ成形ドラムの最適な加速時間、第1定回転速度を選定して、第1段階のプランジャーの射出速度の加速目標曲線とタイヤ成形ドラムの回転速度の加速目標曲線を設定し、前記プランジャーを前記射出速度の加速目標曲線に基づいて一定加速度で増速制御して前記第1定速度に到達させるとともに、前記射出成形機とタイヤ成形ドラムの間に設けた変位センサーで検出した押出し物の弛み変位量が所定の第1判定値に到達した時に、タイヤ成形ドラムの回転を開始させ、前記回転速度の加速目標曲線に沿って上昇させる制御を行なって前記第1定回転速度に到達させ、第1定回転速度に到達以後は、タイヤ成形ドラムの回転速度をプランジャーの射出速度に同期させる制御を行なう構成にしたタイヤ成形システム。
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