JP4080104B2 - 多層射出式中空成形方法および装置 - Google Patents

多層射出式中空成形方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多層射出式中空成形方法および装置に関し、更に詳しくは、副材の押出機の押出速度の設定作業が不要であり、射出開始時に副材が薄くなってしまうことを防止でき、さらに主材と副材の厚さ比率を高精度に一定にできる多層射出式中空成形方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のアキュムレータヘッドから射出した樹脂を多層に合流させて成形する多層射出式中空成形装置は、主材となる樹脂を押し出す主材押出機と、副材となる樹脂を押し出す副材押出機と、各押出機から押し出される樹脂をそれぞれ充填し次いで射出する複数のアキュムレータヘッドと、主材のアキュムレータヘッドに設けられ且つ各アキュムレータヘッドから射出される樹脂を合流させる多層リングとを備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の多層射出式中空成形装置には、次の問題点がある。
(1)各アキュムレータヘッドの樹脂充填量は、各層の厚さ比率によって異なる。一方、各アキュムレータヘッドの樹脂充填は、ほぼ同時に完了することが望ましい。そこで、充填時間を決定する各押出機の回転数を、対応するアキュムレータヘッドの樹脂充填量に応じて、それぞれ適切に設定する必要がある。
しかし、この設定作業が煩雑であり、特に厚さ比率を変更した場合などでは再設定の負担が大きくなる。
(2)副材のアキュムレータヘッドから射出された樹脂は、メルトチューブを通り、主材のアキュムレータヘッドに設けられた多層リングに入り、主材の樹脂と合流する。つまり、主材のアキュムレータヘッドから多層リングまでの流路長よりも、副材のアキュムレータヘッドから多層リングまでの流路長の方が長い。このため、流路における樹脂の圧縮等の影響が主材に対するよりも副材に対して大きくなり、主材のアキュムレータヘッドと副材のアキュムレータヘッドとで同時に射出を開始すると、少しの間、主材に対する副材の厚さ比率が小さくなってしまう(副材が薄くなってしまう)。
(3)主材と副材の厚さ比率は、各アキュムレータヘッドの射出速度に依存する。そこで、各アキュムレータヘッドの射出速度を、厚さ比率に応じて、それぞれ適切に設定する必要がある。
しかし、この設定作業が煩雑であり、特に厚さ比率を変更した場合などでは再設定の負担が大きくなる
【0004】
そこで、本発明の第1の目的は、副材の押出機の押出速度の設定作業を不要にできる多層射出式中空成形方法および装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、射出開始時に副材が薄くなってしまうことを防止できる多層射出式中空成形方法および装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、主材と副材の厚さ比率を高精度に一定にできる多層射出式中空成形方法および装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、主材(S)となる樹脂および副材(F)となる樹脂を、対応する押出機(4,8)により押し出して、対応するアキュムレータヘッド(3,10)に充填し、次いで各アキュムレータヘッド(3,10)から射出し合流させて、多層成形体を得る多層射出式中空成形方法であって、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)での実測充填割合に応じて副材(F)の押出機(8)の押出速度を制御し、主材(S)の充填割合に副材(F)の充填割合を同期させることを特徴とする多層射出式中空成形方法を提供する。
上記第1の観点の多層射出式中空成形方法では、主材のアキュムレータヘッドの実測充填割合を目標値とし、副材のアキュムレータヘッドの充填割合を制御値とし、目標値に制御値を追従させるように副材の押出機の押出速度を制御する。このため、主材の押出機の押出速度さえ適切に設定すれば、副材の押出機の押出速度は自動的に適切に調整される。従って、操作者による設定は不要となる。
【0006】
第2の観点では、本発明は、主材(S)となる樹脂および副材(F)となる樹脂を、対応する押出機(4,8)により押し出して、対応するアキュムレータヘッド(3,10)に充填し、次いで各アキュムレータヘッド(3,10)から射出し、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)に設けた合流部(5)にて合流させて、多層成形体を得る多層射出式中空成形方法であって、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)からは射出せずに副材(F)のアキュムレータヘッド(10)から射出し、合流部(5)に流入する副材(F)の圧力が所定値以上になった時点で主材(S)のアキュムレータヘッド(3)からの射出を開始することを特徴とする多層射出式中空成形方法を提供する。
上記第2の観点の多層射出式中空成形方法では、主材のアキュムレータヘッドと副材のアキュムレータヘッドとで同時に射出を開始せずに、副材のアキュムレータヘッドでの射出を先行させる。このため、流路における樹脂の圧縮等の影響が主材と副材とでは差があるが、その影響の差を射出開始タイミングの差で打ち消すことが出来る。よって、射出開始時に副材が薄くなってしまうことを防止できる。
【0007】
第3の観点では、本発明は、主材(S)となる樹脂および副材(F)となる樹脂を、対応する押出機(4,8)により押し出して、対応するアキュムレータヘッド(3,10)に充填し、次いで各アキュムレータヘッド(3,10)から射出し合流させて、多層成形体を得る多層射出式中空成形方法であって、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)での実測射出割合に応じて副材(F)のアキュムレータヘッド(10)の射出速度を制御し、主材(S)の射出割合に副材(F)の射出割合を同期させることを特徴とする多層射出式中空成形方法を提供する。
上記第3の観点の多層射出式中空成形方法では、主材のアキュムレータヘッドの実測射出割合を目標値とし、副材のアキュムレータヘッドの射出割合を制御値とし、目標値に制御値を追従させるように副材のアキュムレータヘッドの射出速度を制御する。このため、主材の押出量に対して副材の押出量が自動的に適切に調整される。従って、主材と副材の厚さ比率を高精度に一定にできる。
【0008】
第4の観点では、本発明は、主材(S)となる樹脂を押し出す主材押出機(4)と、副材(F)となる樹脂を押し出す副材押出機(8)と、各押出機(4,8)から押し出される樹脂をそれぞれ充填し次いで射出する複数のアキュムレータヘッド(3,10)と、各アキュムレータヘッド(3,10)から射出される樹脂を合流させる合流手段(5)と、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)での実測充填割合に応じて副材(F)の押出機(8)の押出速度を制御し主材(S)の充填割合に副材(F)の充填割合を同期させる充填制御手段(9)とを具備することを特徴とする多層射出式中空成形装置(1)を提供する。
上記第4の観点の多層射出式中空成形装置では、上記第1の観点の多層射出式中空成形方法を好適に実施できる。
【0009】
第5の観点では、本発明は、主材(S)となる樹脂を押し出す主材押出機(4)と、副材(F)となる樹脂を押し出す副材押出機(8)と、各押出機(4,8)から押し出される樹脂をそれぞれ充填し次いで射出する複数のアキュムレータヘッド(3,10)と、主材のアキュムレータヘッド(3)に設けられ且つ各アキュムレータヘッド(3,10)から射出される樹脂を合流させる合流手段(5)と、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)からは射出せずに副材(F)のアキュムレータヘッド(10)から射出し合流手段(5)に流入する副材(F)の圧力が所定値以上になった時点で主材(S)のアキュムレータヘッド(3)からの射出を開始する射出制御手段(9)とを具備することを特徴とする多層射出式中空成形装置(1)を提供する。
上記第5の観点の多層射出式中空成形装置では、上記第2の観点の多層射出式中空成形方法を好適に実施できる。
【0010】
第6の観点では、本発明は、主材(S)となる樹脂を押し出す主材押出機(4)と、副材(F)となる樹脂を押し出す副材押出機(8)と、各押出機(4,8)から押し出される樹脂をそれぞれ充填し次いで射出する複数のアキュムレータヘッド(3,10)と、各アキュムレータヘッド(3,10)から射出される樹脂を合流させる合流手段(5)と、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)での実測射出割合に応じて副材(F)のアキュムレータヘッド(10)の射出速度を制御し主材(S)の射出割合に副材(F)の射出割合を同期させる射出制御手段(9)とを具備することを特徴とする多層射出式中空成形装置(1)を提供する。
上記第6の観点の多層射出式中空成形装置では、上記第3の観点の多層射出式中空成形方法を好適に実施できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を説明する。なお、これによりこの発明が限定されるものではない。
図1は、この発明にかかる多層射出式中空成形装置の一つの実施の形態を示す構成説明図である。
この多層射出式中空成形装置1は、主材射出シリンダ2を備えた主材アキュムレータヘッド3と、その主材アキュムレータヘッド3へ主材Sを押し出す主材押出機4と、その主材押出機4のスクリューモータ11を駆動する駆動回路12と、前記主材アキュムレータヘッド3での主材充填量を検出する計量位置検出センサ13と、前記主材アキュムレータヘッド3の下方に設けられた多層リング5と、その多層リング5の下方に設けられ且つ多層パリソンPを射出するダイス6と、副材射出シリンダ17を備えた副材アキュムレータヘッド10と、その副材アキュムレータヘッド10へ副材Fを押し出す副材押出機8と、その副材押出機8のスクリューモータ15を駆動する駆動回路16と、前記副材アキュムレータヘッド10での副材充填量を検出する計量位置検出センサ18と、前記副材アキュムレータヘッド10から射出した副材Fを前記多層リング5へ導くメルトチューブ7と、そのメルトチューブ7から多層リング5に流入する副材Fの圧力を検出する樹脂圧力検出センサ14と、前記センサ13,18,14の信号に基づいて前記射出シリンダ2,17および前記駆動回路12,16を制御する制御回路9とを具備している。
なお、前記多層パリソンPは、金型K1,K2で挟まれ(Bで示す状態)、ブロー成形され、中空成型品となる。
【0012】
図2は、図1の多層リング5およびダイス6の近傍の拡大図である。
【0013】
次に、上記多層射出式中空成形装置1の動作を説明する。
(1)充填(計量)工程
図3は、充填(計量)工程における制御動作の説明図である。
操作者は、主材押出機回転数を設定し(9r)、充填(計量)開始を指示する。
すると、制御回路9は、主材押出機4のスクリューモータ11を前記主材押出機回転数にて回転させるよう駆動回路12に指令する(9d)。同時に、計量位置検出センサ13により、主材アキュムレータヘッド3への主材Sの充填割合(%)を監視する(9s)。そして、計量位置検出センサ18により副材アキュムレータヘッド10への副材Sの充填割合(%)を監視し(9f)、主材Sの実測充填割合に副材Fの充填割合が追従するような回転数で副材押出機8のスクリューモータ15を回転させるよう駆動回路16に指令する(9e)。
その後、制御回路9は、主材アキュムレータヘッド3への主材Sの充填割合が100%になり且つ副材アキュムレータヘッド10への副材Sの充填割合が100%になると、次に説明する予備射出工程に移行する。
以上により、操作者が主材押出機回転数を設定するだけで、副材押出機回転数が自動調整され、主材Sと副材Fとが各アキュムレータヘッド3,10に同期して充填される。従って、操作者による副材押出機回転数の設定が不要となり、作業負担が軽減される。
【0014】
(2)予備射出工程
図4は、予備射出工程における制御動作の説明図である。
操作者は、主材射出圧力、主材射出速度および副材射出圧力を予め設定しておく(9v)。さらに、予備射出速度および予備射出完了樹脂圧力を予め設定しておく(9p)。
制御回路9は、主材アキュムレータヘッド3への主材Sの充填割合が100%になり且つ副材アキュムレータヘッド10への副材Sの充填割合が100%になると、スイッチ91をオンとし、スイッチ92をオフとする。そして、主材射出シリンダ2は駆動せず、副材射出シリンダ17を前記副材射出圧力および予備射出速度で駆動し、同時に、樹脂圧力検出センサ14により、多層リング5の入口での副材Fの圧力を監視する(9s)。
制御回路9は、多層リング5の入口での副材Fの圧力が前記予備射出完了樹脂圧力に達すると、次に説明する射出工程に移行する。
以上にように、主材Sの射出を開始する前に、副材Fを予備射出して多層リング5の入口での副材Fの圧力を規定値以上にしておくため、射出開始時の副材Fの層が薄くなる現象が防止される。
【0015】
(3)射出工程
図4は、射出工程における制御動作の説明図である。
制御回路9は、多層リング5の入口での副材Fの圧力が前記予備射出完了樹脂圧力に達すると、スイッチ91をオフとし、スイッチ92をオンとする。そして、主材射出シリンダ2を前記主材射出圧力および主材射出速度で駆動する(9a)。同時に、計量位置検出センサ13により、主材アキュムレータヘッド3からの主材Sの射出割合(%)を監視する(9b)。また、計量位置検出センサ18により副材アキュムレータヘッド10からの副材Sの射出割合(%)を監視し(9g)、主材Sの実測射出割合に副材Fの射出割合が追従するような副材射出速度および前記副材射出圧力で副材射出シリンダ17を駆動する(9i)。
その後、制御回路9は、主材アキュムレータヘッド3からの主材Sの射出割合が100%になり且つ副材アキュムレータヘッド10からの副材Sの射出割合が100%になると、処理を終了する。
以上により、副材Fの射出速度が自動調整され、主材Sと副材Fとが各アキュムレータヘッド3,10から同期して射出される。従って、各層の厚さ比率が高精度に一定の多層パリソンPが得られる。
【0016】
図5は、上記充填(計量)工程における主材と副材の充填割合の変化、上記予備射出工程における主材と副材の射出割合の変化、上記射出工程における主材と副材の射出割合の変化および各工程を通じての多層リング5の入口での副材の樹脂圧力の変化を示すグラフである。
【0017】
【発明の効果】
この発明の多層射出式中空成形方法および装置によれば、次の効果が得られる。
(1)主材の充填割合に副材の充填割合を自動追従させるから、副材の押出機の押出速度の設定作業を不要にできる。よって、操作者の作業負担を軽減することが出来る。
(2)主材の射出よりも副材の射出を先行させるから、主材の流路と副材の流路における樹脂の圧縮等の影響の差が解消され、射出開始時に副材が薄くなってしまうことを防止できる。
(3)主材の射出割合に副材の射出割合を自動追従させるから、主材と副材の厚さ比率を高精度に一定にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る多層射出式中空成形装置の一実施形態を示す構成説明図である。
【図2】図1の多層リングおよびダイス近傍の拡大図である。
【図3】図1の制御回路による充填(計量)工程の制御内容を示す説明図である。
【図4】図1の制御回路による予備射出工程および射出工程の制御内容を示す説明図である。
【図5】充填(計量)工程における充填割合の変化、予備射出工程における射出割合の変化、射出工程における射出割合の変化および各工程を通じての副材の樹脂圧力の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 多層射出式中空成形機
2 主材射出シリンダ
3 主材アキュムレータヘッド
4 主材押出機
5 多層シリンダ
6 ダイス
7 メルトチューブ
8 副材押出機
9 制御回路
10 副材アキュムレータヘッド
11 スクリューモータ
12 モータ駆動回路
13 充填位置検出検出器
14 樹脂圧力検出検出器
15 スクリューモータ
16 モータ駆動回路
17 副材射出シリンダ
18 充填位置検出検出器

Claims (4)

  1. 主材(S)となる樹脂および副材(F)となる樹脂を、対応する押出機(4,8)により押し出して、対応するアキュムレータヘッド(3,10)に充填し、次いで各アキュムレータヘッド(3,10)から射出し合流させて、多層成形体を得る多層射出式中空成形方法であって、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)での実測充填割合に応じて副材(F)の押出機(8)の押出速度を制御し、主材(S)の充填割合に副材(F)の充填割合を同期させることを特徴とする多層射出式中空成形方法。
  2. 主材(S)となる樹脂および副材(F)となる樹脂を、対応する押出機(4,8)により押し出して、対応するアキュムレータヘッド(3,10)に充填し、次いで各アキュムレータヘッド(3,10)から射出し、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)に設けた合流部(5)にて合流させて、多層成形体を得る多層射出式中空成形方法であって、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)からは射出せずに副材(F)のアキュムレータヘッド(10)から射出し、合流部(5)に流入する副材(F)の圧力が所定値以上になった時点で主材(S)のアキュムレータヘッド(3)からの射出を開始することを特徴とする多層射出式中空成形方法。
  3. 主材(S)となる樹脂を押し出す主材押出機(4)と、副材(F)となる樹脂を押し出す副材押出機(8)と、各押出機(4,8)から押し出される樹脂をそれぞれ充填し次いで射出する複数のアキュムレータヘッド(3,10)と、各アキュムレータヘッド(3,10)から射出される樹脂を合流させる合流手段(5)と、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)での実測充填割合に応じて副材(F)の押出機(8)の押出速度を制御し主材(S)の充填割合に副材(F)の充填割合を同期させる充填制御手段(9)とを具備することを特徴とする多層射出式中空成形装置(1)
  4. 主材(S)となる樹脂を押し出す主材押出機(4)と、副材(F)となる樹脂を押し出す副材押出機(8)と、各押出機(4,8)から押し出される樹脂をそれぞれ充填し次いで射出する複数のアキュムレータヘッド(3,10)と、主材のアキュムレータヘッド(3)に設けられ且つ各アキュムレータヘッド(3,10)から射出される樹脂を合流させる合流手段(5)と、主材(S)のアキュムレータヘッド(3)からは射出せずに副材(F)のアキュムレータヘッド(10)から射出し合流手段(5)に流入する副材(F)の圧力が所定値以上になった時点で主材(S)のアキュムレータヘッド(3)からの射出を開始する射出制御手段(9)とを具備することを特徴とする多層射出式中空成形装置(1)
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