JP3822945B2 - グリーンタイヤの成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリーンタイヤの成形方法に関し、更に詳しくは、ストリップワインド法により高生産性を維持しつつ、高い寸法精度でタイヤ構成部を成形可能にしたグリーンタイヤの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にグリーンタイヤにおいてキャップトレッド、サイドトレッド等のタイヤ構成部を成形するには、そのタイヤ構成部の横断面形状に近似した形状をもつ口金から未加硫のゴム板材を押し出し、そのゴム板材をタイヤ周長に相当する長さに切断して成形ドラム上に巻き付け、その両端部同士をスプライスするようにして行われている。
【0003】
このような一般的な成形方法に対して、押出機から未加硫ゴムを細い帯状のストリップに押し出し、それを成形ドラム又は成形中子に連続的に複数回にわたり巻き付けて、その集積された全体の断面形状を上記タイヤ構成部に相当する形状にする所謂ストリップワインド法が別途提案されている。後者のストリップワインド法は、前者の成形方法のようにタイヤ寸法が異なる毎に高価な口金を用意する必要がなく、タイヤ寸法にかかわらず押出機の吐出口をトラバースさせたり、ゴムストリップを巻き重ねるだけで所定寸法のタイヤ構成部を成形することができるため、生産性も高く、コスト上非常に有利であると言える。
【0004】
しかしながら、ストリップワインド法は、上記のような利点を有する反面で、ゴムストリップを押出機から連続して押し出すようにしているため、成形ドラム或いは成形中子の回転に同期させながら正確な量を安定供給する操作が非常に難しく、特に押出開始時や押出終期において押出量が一定せずに不安定になるため、寸法精度の高いタイヤ構成部を成形することが難しいという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ストリップワインド法による高生産性を阻害することなく、タイヤ構成部を高い寸法精度で成形することを可能にするグリーンタイヤの成形方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のグリーンタイヤの成形方法は、押出機から未加硫のゴムストリップをタイヤ構成部に相当する長さだけ連続的に押し出す一方、補助ドラムを補助ドラム軸方向に移動させながら前記ゴムストリップを前記補助ドラムに螺旋状に一旦巻き取り、次いで前記補助ドラムを補助ドラム軸方向に移動させつつ該補助ドラムから前記ゴムストリップを巻き戻しながら成形ドラム又は成形中子に連続的に複数回巻き付けて前記タイヤ構成部を成形することを特徴とする。
【0007】
このように押出機から押し出したゴムストリップを成形ドラム又は成形中子に直接巻き付けるようにせず、一旦補助ドラム上にタイヤ構成部に必要なゴム量だけを巻き付けた後、それを成形ドラム又は成形中子に巻き付けてタイヤ構成部を成形するので、押出機からの押出速度と成形ドラム等に対する巻付け速度とを同期させる必要が全くなくなり、それによって特に押出機の押出開始時や押出終期で押出量が変動しても補助ドラムに巻き取られたゴムストリップの変動量が予め判っているので、それに合わせて補助ドラムと成形ドラムとを同期回転させることができ、ストリップワインド法による高生産性を阻害することなく、高い寸法精度のタイヤ構成部を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明のグリーンタイヤの成形方法の一例を示し、1は未加硫のゴムストリップSを帯状に連続して押し出す押出機、2はそのゴムストリップSを巻き取る回転駆動可能な補助ドラムであり、この補助ドラム2はその軸方向に沿って移動可能になっている。3はグリーンタイヤを成形する回転駆動可能な成形ドラムである。
【0009】
本発明のグリーンタイヤの成形方法によれば、図1(a)に示すように、押出機1から帯状に連続して押し出した未加硫のゴムストリップSを一旦補助ドラム2上に、その補助ドラム2を矢印Aのように回転させると共に、矢印Bのように補助ドラム軸方向の一方向に移動させながら一定のピッチPで螺旋状に巻き上げる。この時、押出機1からは、1本のグリーンタイヤにおいて使用されるタイヤ構成部のゴム量に相当する長さだけ、帯状のゴムストリップSが押し出される。
【0010】
次いで、補助ドラム2に巻き取られたゴムストリップSを、図1(b)に示すように、対向させた成形ドラム3と補助ドラム2とをそれぞれ矢印C,Eの方向に同期して回転させると共に、補助ドラム2を矢印Fの方向(補助ドラム軸方向)に移動させることにより、補助ドラム2から巻き戻しながら成形ドラム3上で既に成形されたタイヤ中間成形物X上に連続して複数回巻き付けて、タイヤ構成部を成形する。このタイヤ構成部としては、例えば、キャップトレッド、アンダートレッド、サイドトレッド、ビードフィラー等を好ましく挙げることができる。
【0011】
本発明では、サイドトレッドやビードフィラー等のように成形ドラム3の左右に対称的に配置されるタイヤの左右同一のタイヤ構成部を成形する場合には、特に図2に示すように行うのが生産性向上及び設備費低減の点から一層有効である。
即ち、図2(a)に示すように、左右2台の補助ドラム2,2を使用し、それに各タイヤ構成部のゴム量に相当する長さを有するゴムストリップSを1台の押出機1で上記と同様にして螺旋状にそれぞれ巻き付け、左右の補助ドラム2,2に一旦巻き取っておく。
【0012】
次いで、左右の補助ドラム2,2にそれぞれ巻き上げられたゴムストリップSを、図2(b)に示すように、成形ドラム3と補助ドラム2,2とをそれぞれ矢印C,Eの方向に同期回転させ、かつ補助ドラム2,2を矢印Fの方向にそれぞれ移動させることにより、成形ドラム3上に連続して複数回巻き付けて左右のタイヤ構成部を同時に成形するのである。図2(c)に、帯状のゴムストリップSにより右側に成形されたタイヤ構成部Mの一例を拡大断面にして示す。
【0013】
このように本発明では、押出機1から押し出したゴムストリップSを成形ドラム3に直接供給せずに、一旦補助ドラム2上にタイヤ構成部に相当する長さだけ巻き上げた後、それを成形ドラム3上に巻き付けてタイヤ構成部を成形するため、特に押出機1の押出初期や押出終期で押出量が変動しても補助ドラム2に巻き取られたゴムストリップSの変動量が予め判っているので、それに対応して補助ドラム2と成形ドラム3とを同期運転させることが容易にでき、従って、ストリップワインド法による高い生産性を維持しながら、タイヤ構成部を高い寸法精度で成形することができる。
【0014】
また、予め補助ドラム2に巻き取っておいたゴムストリップSを使用するので、タイヤ構成部を成形する速度が押出機1の押出速度に全く影響されることがないため、常に生産サイクルを高く保つことができる。
また更に、ゴムストリップSを巻き取る補助ドラム2の使用により、左右に同時に巻き付けられる同一のタイヤ構成部であっても、1台の押出機1により左右の補助ドラム2,2に予めゴムストリップSを巻き上げ、それを同時に巻き戻して成形ドラム3上に巻き付けることができるので、高価な押出機の数を最低限にし、設備コストを抑えることができる。
【0015】
その上、タイヤ構成部毎に使用されるゴムストリップSを補助ドラム別に巻き取ることができるため、温度調節機能を付与した補助ドラム2を介してそのゴムストリップSの温度を成形ドラム3に巻き付ける時に最も適した温度に容易に調節することができる。
【0016】
本発明において、ゴムストリップSを補助ドラム2に巻き取る時に、図3に示すように、ゴムストリップSの肉厚と幅の寸法を検出する肉厚検出器4と幅検出器5をそれぞれ設置し、それにより計測したゴムストリップSの肉厚と幅の寸法情報をコンピュータCに内設されたメモリ部に記憶させると共に、成形ドラム3の直径D、巻き付けピッチP、及び巻き付け回数nのデータからゴムストリップSの長さLをL=((πD)2 +P2 )1/2 ×nの式によりコンピュータCの演算部で算出し、補助ドラム2を成形ドラム3に対して移動させながらゴムストリップSを成形ドラム3上に連続して巻き付ける時に、そのゴムストリップSの肉厚、幅、及び長さの寸法情報に基づいて、コンピュータCにより補助ドラム2と成形ドラム3の回転速度、及び補助ドラム2の移動速度を制御するのが好ましい。このようにゴムストリップSを成形ドラム3に巻き付ける成形速度を制御することにより、押し出されたゴムストリップSの肉厚、幅のバラツキ変動に対応した補助ドラム2と成形ドラム3の速度差制御を精度良く行いながらゴムストリップSを巻き付けることができるので、より高い精度でタイヤ構成部の成形が可能になる。
【0017】
本発明では、押出機1は、ゴムストリップSを連続して押し出すことができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、定容量を連続して押し出すインジェクション式押出機や、スクリュー式押出機等を好ましく用いることができる。また、成形ドラム3は、剛性を有する成形中子であってもよい。
本発明は、特に押出量の変動に対して寸法精度が大きく影響を受けやすい幅狭や薄肉のタイヤ構成部を成形するのに好適に用いることができる。
【0018】
【発明の効果】
上述したように本発明は、押出機から未加硫のゴムストリップをタイヤ構成部のゴム量に相当する長さだけ押し出して補助ドラムに一旦巻き取り、次いで該補助ドラムから前記ゴムストリップを巻き戻しながら成形ドラム又は成形中子に連続的に複数回巻き付けて前記タイヤ構成部を成形するので、ストリップワインド法による高い生産性を維持しながら、タイヤ構成部を高い寸法精度で成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は、それぞれ本発明のグリーンタイヤの成形方法の一例を示す説明図である。
【図2】(a),(b)は、それぞれ本発明のグリーンタイヤの成形方法の他の例を示す説明図、(c)は右側に成形されたタイヤ構成部の一例を示す拡大断面図である。
【図3】補助ドラムにゴムストリップを巻き取る際に、ゴムストリップの寸法情報を計測しながら巻き取る工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 押出機 2 補助ドラム
3 成形ドラム 4,5 検出器
M タイヤ構成部 S ゴムストリップ
Claims (3)
- 押出機から未加硫のゴムストリップをタイヤ構成部に相当する長さだけ連続的に押し出す一方、補助ドラムを補助ドラム軸方向に移動させながら前記ゴムストリップを前記補助ドラムに螺旋状に一旦巻き取り、次いで前記補助ドラムを補助ドラム軸方向に移動させつつ該補助ドラムから前記ゴムストリップを巻き戻しながら成形ドラム又は成形中子に連続的に複数回巻き付けて前記タイヤ構成部を成形するグリーンタイヤの成形方法。
- 前記ゴムストリップを前記補助ドラムに巻き取る時、その寸法情報を計測記憶し、該寸法情報に基づいて前記ゴムストリップを前記成形ドラム又は成形中子に巻き付ける成形速度を制御する請求項1に記載のグリーンタイヤの成形方法。
- 前記ゴムストリップを前記補助ドラムに一定のピッチで螺旋状に巻き取る請求項1または2に記載のグリーンタイヤの成形方法。
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