JP4344823B2 - パーフルオロフェニレン化合物の製造方法 - Google Patents

パーフルオロフェニレン化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、直線状及び分枝状のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、液晶材料や有機EL素子などの有機電子材料としての利用が注目されているパーフルオロ置換体及びその合成方法の技術分野において、従来のパーフルオロ置換体の合成反応法では、反応が多段階に渡っているため、全体の総収率は低いものになるという問題があったことを踏まえ、それらの問題を解決することを可能とする新しいパーフルオロ置換体の合成方法と、液晶材料や有機EL素子などの有機電子材料として有用なパーフルオロフェニレン化合物を提供するものである。
ポリフェニレン化合物は、主鎖中にフェニル基を含む高分子の総称であり、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、及びポリアニリンなどと同様に、導電性ポリマーとして知られている。これらの導電性ポリマーは、例えば、プラスチック二次電池の電極、帯電防止材料、固体電解コンデンサーなどの用途があるが、最近では、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と記す。)を目的とした応用について、盛んに研究が行われている。
有機EL素子は、主に発光層、正孔輸送層及び電子輸送層から形成される。この内、発光層及び正孔輸送層については、数多くの優れた材料が開発されているが、電子輸送層として利用できる材料に関しては、高性能なものは少ない。
フッ素原子は、強い電子求引性を持つことから、電子輸送層の素材にフッ素原子を導入することで電気親和性が向上し、電子輸送層において金属電極から発光体への電子移動が滑らかになると予想される。特に、主鎖の全ての水素原子をフッ素原子に置換することによって得られるパーフルオロ置換体においては、更に電気親和性が向上するとともに、耐久性も向上し、電子輸送素子としての用途のみならず、n型(電子移動)の有機半導体への応用も期待できる。
このようなパーフルオロ置換体を有機EL素子として利用した例として、3,4−チオフェン骨格を持つパーフルオロオリゴマー(以下、「フッ化チオフェン」と記す。)について報告がある。このフッ化チオフェンは、化学的に安定であり、高い電子移動度を持った有機n型半導体になるとともに、電子輸送層として用いることにより、耐久性に優れた有機EL素子として利用ができる(特許文献1参照)。
また、同様のパーフルオロ置換体として、1,4−フェニレン骨格を持つパーフルオロデンドリマー及び直線状パーフルオロオリゴマー(以下、「フッ化フェニレン」と記す。)が報告されている。このフッ化フェニレンは、先述のフッ化チオフェンと同様に、有機n型半導体及び有機EL素子の電子輸送層としての応用を目的として研究が行われている(非特許文献1、2参照)。
有機電子材料として利用が期待されているこれらのパーフルオロ置換体は、例えば、フッ化チオフェンにおいては、有機スズ化合物を用いたクロスカップリング反応で、また、フッ化フェニレンにおいては、有機銅を用いたクロスカップリング反応で合成することができる。しかしながら、これらの有機金属化合物を用いた合成法では、反応が多段階に渡っているため、全体の総収率は低いものとなっている。
特開2002−322173号公報 Y.Sakamoto,他、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ、122巻、1832−1833ページ、2000年 S.B.Heidenhain,他、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ、122巻、10240−10241ページ、2000年
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来法の諸問題を解決することが可能な新しいパーフルオロ置換体の合成方法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、有機電子材料として有用なパーフルオロフェニレン化合物の合成方法を開発することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、上記現状に鑑み、有機EL素子や有機半導体素子としての用途が有望である直線状並びに分枝状のパーフルオロフェニレン化合物を、簡便に高収率で製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
下記一般式
Figure 0004344823
(式中のnは2〜20の整数を示し、Xはトリフルオロメチル基の置換基を示す)で表される直線状パーフルオロフェニレン化合物を製造する方法であって、下記一般式
Figure 0004344823
(式中、Xはトリフルオロメチル基の置換基を示す)で表されるパーフルオロアリール化合物と、下記一般式
Figure 0004344823
(式中、R、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランとを非プロトン性極性溶媒中でフッ化物イオンを触媒として反応させることを特徴とするパーフルオロフェニレン化合物の製造方法。
下記一般式
Figure 0004344823
(式中のp、q及びrはそれぞれ同一又は異なって、0〜15の範囲にある整数を示す。但し、p、q及びrが全てが0の場合を除く。Xはニトロ基、又はニトリル基の置換基を示す)で表されることを特徴とする分枝状パーフルオロフェニレン化合物を製造するための製造方法であって、下記一般式
Figure 0004344823
(式中、Xはニトロ基、又はニトリル基の置換基を示す)で表されるパーフルオロアリール化合物と、下記一般式
Figure 0004344823
(式中、R、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランとを非プロトン性極性溶媒中でフッ化物イオンを触媒として反応させることを特徴とするパーフルオロフェニレン化合物の製造方法。
本発明は、トリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランが、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランである上記パーフルオロフェニレン化合物の製造方法である。
次に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、上記一般式で表されるパーフルオロフェニレン化合物を提供することを可能とするものである。
本発明のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法は、上記直線状並び分枝状のパーフルオロフェニレン化合物を製造するためのものであって、上記一般式で表されるパーフルオロアリール化合物又は上記一般式で表されるパーフルオロフェニレン化合物と上記一般式で表されるトリアルキル(パーフルオロアリール)シランとを、非プロトン性極性溶媒中でフッ化物イオンを触媒として反応させることを特徴とするものである。
上記一般式で表されるトリアルキル(パーフルオロアリール)シランにおけるR、R又はRは、同一あるいは異なる炭素数1〜3のアルキル基であれば差し支えないが、いずれもメチル基であることが好ましい。上記トリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランとしては、特に限定されるものではないが、反応性が高く、副産物が比較的少ない点から、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランが好ましい。
本発明のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法に用いられる非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されず、例えば、グライム系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等が挙げられる。上記グライム系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、これらの更に高次の同族体であってもよい。
上記非プロトン性極性溶媒としては、一般に、反応速度が速い点から、ジメチルホルムアミド(DMF)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)が好ましい。
本発明のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法において、原料のパーフルオロアリール化合物に対して使用される非プロトン性極性溶媒の容積比は、反応温度やトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比などに依存する。トリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比が1〜2倍と小さい場合には、通常、1:5〜1:0.01であることが好ましく、1:2〜1:0.5であることが特に好ましい。一方、(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比が5倍以上と大きい場合には、反応生成物が高分子量となり反応溶媒に対して溶解度が減少するため、より大量の反応溶媒を要し、1:10〜1:0.5であることが好ましく、1:5〜1:2であることが特に好ましい。
本発明のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法は、フッ化物イオンを触媒とするものである。上記フッ化物イオンは、フッ化物イオンを発生する化合物を用いることにより、触媒として機能させることができる。
このような化合物としては、フッ化物イオンを発生し得るものであれば特に限定されず、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、酸性フッ化カリウム、フッ化セシウム、テトラブチルアンモニウムフルオライド、テトラメチルアンモニウムフルオライド、トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムトリメチルシリルジフルオライド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスタネイト、ピリジニウム(ポリフッ化水素)、トリエチルアミン(3フッ化水素)等が挙げられる。この内、ピリジニウム(ポリフッ化水素)は、Olah試薬とも称される。
本発明のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法において、通常、反応温度の下限は−80℃、上限は100℃であり、好ましい下限は0℃、好ましい上限は50℃であり、一般に、室温で反応を行うことができるので、加熱する必要は特になく、簡便で、省エネルギー化を図ることができるが、特にこれらの温度に限定されるものではない。
本発明のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法における反応時間は、反応温度やトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比などに依存する。トリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比が1〜3倍と小さい場合には、30分〜数時間あれば、反応はほとんど完結する。しかしながら、収率及び副生成物の発生を考えると、1〜10時間の範囲が好ましく、2時間〜4時間の範囲が特に好ましい。一方、(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比が10倍以上と大きい場合には、反応が完結するために3時間〜5時間程度必要であり、反応時間は12〜48時間の範囲が好ましく、18時間〜36時間の範囲が特に好ましい。
本発明のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法において、パーフルオロアリール化合物に対して用いられるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランの仕込みモル比は、一般式(1)における式中のn、或いは、一般式(4)における式中のp、q、及びrを決定する重要な要素となる。
本発明で得られるパーフルオロフェニレン化合物は、フッ素原子の持つ電子求引性により、電子輸送能などの優れた電子性能を発現し、電子輸送材料として有用であり、例えば、有機EL素子や有機半導体素子などの電子材料としての用途に利用することができる。更に、本発明で得られるパーフルオロフェニレン化合物は、撥水撥油を保持するような適当な修飾を行うことが可能であり、例えば、不活性媒体、カラム充填剤、表面処理剤等としての用途に利用することができる。
本発明により、(1)新規な直線状並びに分枝状のパーフルオロフェニレン化合物を提供することができる、(2)上記パーフルオロフェニレン化合物を簡便に高収率で製造することが可能なパーフルオロフェニレン化合物の製造方法を提供することができる、(3)本発明で得られるパーフルオロフェニレン化合物は、電子輸送機能などの優れた電子性能を発揮し、例えば、有機EL素子や有機半導体素子などの電子材料として有用である、(4)本発明で得られるパーフルオロフェニレン化合物は、撥水撥油を保持するような適当な修飾を行うことで、例えば、不活性媒体、カラム充填剤、表面処理剤等としての用途に使用することができる、という効果が奏される。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例中に記載の19F−NMR(282.24MHz)は、重水素化クロロホルムを溶媒として用い、フルオロホルム(CFCl)を内部標準として測定したものである。19F−NMRにおける化学シフト値は、フルオロホルムより高磁場での吸収をマイナスとし、δppmで表した。質量分析スペクトル(MS)は、直接導入−四重極質量分析計(QP−MS)を用いて電子衝撃法(EI)による方法、及び、飛行時間型質量分析計(TOF−MS)を用いてレーザー脱離法(LD)による方法により測定を行った。
オクタフルオロトルエンの0.542mmol(128mg)、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの1.68mmol(404mg)、1mlのジメチルホルムアミドを含む均一な溶液を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに8mmgの酸性フッ化カリウム(KHF)を加えた。テフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で3時間激しく攪拌した。次第に、溶液は白濁し、白色の沈殿が生成した。反応混合物を氷で冷却しながらこの白色沈殿を吸引濾過し、クー・ゲル・ロールによる分離精製を行うことで、パーフルオロ−(4−メチルビフェニル)が14%、パーフルオロ−(4−メチルターフェニル)が30%、パーフルオロ−(4−メチルクアターフェニル)が18%の収率で得られた。
パーフルオロ−(4−メチルターフェニル)の19F−NMR、13C−NMR及びQP−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−56.96(3F,triplet,J=22.4Hz),−135.52(2F,multiplet),−136.65(2F,multiplet),−136.77(2F,multiplet),−137.34(2F,multiplet),−139.07(2F,multiplet),−149.57(1F,triplet multiplet,J=19.8Hz),−160.55(2F,multiplet)
13C−NMR:101.74,108.15,109.30,110.93,112.10,114.60,120.56,138.09,142.93,144.15,144.44,144.44,144.52
QP−MS(m/z,%):532(M,100)513(M−F,13),482(M−CF,16),266(13),241(19),69(18)
パーフルオロ−(4−メチルクアターフェニル)の19F−NMR、13C−NMR及びQP−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−56.94(3F,triplet,J=21.7Hz),−135.42(2F,multiplet),−136.20(2F,multiplet),−136.50(2F,multiplet),−136.75(2F,multiplet),−136.78(2F,multiplet),−137.31(2F,multiplet),−139.00(2F,multiplet),−149.49(1F,triplet multiplet,J=21.5Hz),−160.40(2F,multiplet)
13C−NMR:101.61,108.38,108.66,109.01,109.54,110.87,112.11,117.35,120.52,138.06,142.87,114.18,144.24,144.33,144.42,144.50,144.59
QP−MS(m/z,%):680(M ,100),340(43),330(17),315(30),298(12),69(18)
オクタフルオロトルエンの0.237mmol(56mg)、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの2.36mmol(567mg)、3mlのジメチルホルムアミドを含む均一な溶液を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに5mmgの酸性フッ化カリウム(KHF)を加えた。テフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で激しく攪拌した。1時間後溶液は白濁し始め、3時間で白色の懸濁液となった。24時間撹拌を継続した後、白色沈殿を吸引濾過し、洗浄、乾燥すると、白色固体を160mgの収量で得た。
白色固体の19F−NMR及びTOF−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−56.90(3F,triplet,J=21.5Hz),−135.5〜−138.0(28F,multiplet),−149.63(1F,multiplet),−160.50(2F,multiplet)
TOF−MS(M):680(C2520,n=3),828(C3124,n=4),976(C3728,n=5),1124(C4332,n=6),1272(C4936,n=7),1420(C5540,n=8),1568(C6144,n=9),1716(C6748,n=10),1864(C7352,n=11),2012(C7956,n=12),2160(C8560,n=13),2308(C9164,n=14)
上記の19F−NMRデータから、実施例2で得られた白色固体は、一般式(1)において、nの平均が6.5であるパーフルオロフェニレンであることがわかった。
ペンタフルオロベンゾニトリルの0.782mmol(151mg)、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの1.57mmol(378mg)、3mlのジメチルホルムアミドを含む均一な溶液を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに12mmgの酸性フッ化カリウム(KHF)を加えた。テフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で3時間激しく攪拌した。1時間で淡オレンジ色に着色し始め、3時間後にはオレンジ色の溶液になった。この溶液から溶媒を留去して、クー・ゲル・ロールによる分離精製を行うことで、パーフルオロ−(4−フェニルベンゾニトリル)が63%、パーフルオロ−(2,4−ジフェニルベンゾニトリル)が20%、パーフルオロ−(2,4,6−トリスフェニルベンゾニトリル)が9.1%の収率で得られた。
パーフルオロ−(2,4−ジフェニルベンゾニトリル)の19F−NMR及びQP−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−109.08(1F,multiplet),−124.85(1F,multiplet),−130.15(1F,multiplet),−137.01(2F,multiplet),−137.82(2F,multiplet),−148.29(1F,triplet multiplet,J=19.4Hz),−148.35(1F,triplet multiplet,J=21.45Hz),−159.61(2F,multiplet),−159.86(2F,multiplet)
QP−MS(m/z,%):489(M,100),420(M−CF,11),244(15)
パーフルオロ−(2,4,6−トリスフェニルベンゾニトリル)の19F−NMR及びQP−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−100.54(2F,multiplet),−136.85(2F,multiplet),−137.61(4F,multiplet),−148.38(1F,triplet multiplet,J=19.5Hz),−148.50(2F,triplet multiplet,J=21.5Hz),−159.68(4F,multiplet),−159.81(2F,multiplet)
QP−MS(m/z,%):637(M,100),568(M−CF,10),318(39),284(16)
ペンタフルオロベンゾニトリルの0.254mmol(49mg)、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの2.54mmol(610mg)、3mlのジメチルホルムアミドを含む均一な溶液を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに5mmgの酸性フッ化カリウム(KHF)を加えた。テフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で激しく攪拌した。30分でオレンジ色に着色し始め、3時間後にはオレンジ色の溶液になった。24時間撹拌を継続した後、溶液から溶媒を留去し、乾燥すると、淡オレンジ固体を498mgの収量で得た。
淡オレンジ固体の19F−NMR及びTOF−MSは、以下の通りである。
19F−NMR:−99.0〜−110.0(2F,multiplet),−134.0〜−139.0(24F,multiplet),−149.13(1F,multiplet),−149.53(2F,multiplet),−160.21(2F,multiplet),−160.36(4F,multiplet)
TOF−MS(M):933(C3725N,p+q+r=5),1081(C4329N,p+q+r=6),1229(C4933N,p+q+r=7),1377(C5537N,p+q+r=8),1525(C6141N,p+q+r=9),1673(C6745N,p+q+r=10),1821(C7349N,p+q+r=11),1969(C7953N,p+q+r=12),2117(C8557N,p+q+r=13),2265(C9161N,p+q+r=14),2413(C9765N,p+q+r=15),2561(C10369N,p+q+r=16),2709(C10973N,p+q+r=17),2857(C11577N,p+q+r=18)
上記のTOF−MSデータから、実施例4で得られた白色固体は、一般式(4)において、p+q+rの平均が8.5であるパーフルオロフェニレンであることがわかった。
ペンタフルオロニトロベンゼンの0.732mmol(156mg)、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの1.49mmol(359mg)、3mlのジメチルホルムアミドを含む均一な溶液を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに12mmgの酸性フッ化カリウム(KHF)を加えた。テフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で3時間激しく攪拌した。1時間でオレンジ色に着色し始め、3時間後にはオレンジ色の溶液になった。この溶液から溶媒を留去して、クー・ゲル・ロールによる分離精製を行うことで、パーフルオロ−(4−フェニルニトロベンゼン)が49%、パーフルオロ−(2,4−ジフェニルニトロベンゼン)が22%、パーフルオロ−(2,4,6−トリフェニルニトロベンゼン)が14%の収率で得られた。
パーフルオロ−(2,4−ジフェニルニトロベンゼン)の19F−NMR及びQP−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−109.96(1F,multiplet),−123.04(1F,multiplet),−137.06(2F,multiplet),−138.31(2F,multiplet),−144.93(1F,multiplet),−148.33(1F,triplet multiplet,J=21.5Hz),−148.88(1F,triplet multiplet,J=21.5Hz),−159.82(2F,multiplet),−159.89(2F,multiplet)
QP−MS(m/z,%):509(M,100),434(59),413(52),403(67),296(50),265(20),140(37),93(44),69(52)
パーフルオロ−(2,4,6−トリフェニルニトロベンゼン)の19F−NMR及びQP−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−99.23(2F,multiplet),−136.83(2F,multiplet),−138.17(4F,multiplet),−148.44(1F,triplet multiplet,J=21.5Hz),−148.93(2F,triplet multiplet,J=21.5Hz),−159.86(4F,multiplet),−159.94(2F,multiplet)
QP−MS(m/z,%):657(M,71),582(69),532(48),492(45),246(36),140(82),93(58),69(62)
ペンタフルオロニトロベンゼンの0.211mmol(45mg)、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの2.13mmol(512mg)、3mlのジメチルホルムアミドを含む均一な溶液を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに5mmgの酸性フッ化カリウム(KHF)を加えた。テフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で激しく攪拌した。最初、淡黄色の溶液であったが、次第に着色が強くなり、2時間でオレンジ色に、24時間後には青紫色の溶液になった。24時間撹拌を継続した後、溶液から溶媒を留去し、乾燥すると、淡黄固体を498mgの収量で得た。
淡オレンジ固体の19F−NMR及びTOF−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−98.0〜−104.0(2F,multiplet),−134.0〜−140.0(22F,multiplet),−148.96(2F,multiplet),−149.41(1F,multiplet),−160.17(2F,multiplet),−160.46(4F,multiplet)
TOF−MS(M−F):786(C3020NO,p+q+r=4),934(C3624NO,p+q+r=5),1082(C4228NO,p+q+r=6),1230(C4832NO,p+q+r=7),1378(C5436NO,p+q+r=8),1526(C6040NO,p+q+r=9),1674(C6644NO,p+q+r=10),1822(C7248NO,p+q+r=11),1970(C7852NO,p+q+r=12),2118(C8456NO,p+q+r=13)
上記のTOF−MSデータから、実施例4で得られた白色固体は、一般式(4)において、p+q+rの平均が8.0であるパーフルオロフェニレンであることがわかった。
デカフルオロビフェニルの0.649mmol(217mg)、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの1.95mmol(468mg)、3mlのジメチルホルムアミドを含む均一な溶液を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに8mmgの酸性フッ化カリウム(KHF)を加えた。テフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で3時間激しく攪拌した。次第に溶液は白濁し、白色の沈殿が生成した。この白色沈殿を吸引濾過し、クー・ゲル・ロールによる分離精製を行うことで、オクタデカフルオロクアターフェニルが19%、ドコサフルオロクインクエフェニルが73%の収率で得られた。
オクタデカフルオロクアターフェニルの19F−NMR、13C−NMR及びQP−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−136.79(4F,multiplet),−136.92(4F,multiplet),−137.31(4F,multiplet),−149.69(2F,triplet,J=21.5Hz),−160.62(4F,multiplet)
13C−NMR:101.85,108.84,108.85,138.04,142.84,144.25,144.38,144.58
QP−MS(m/z,%):630(M,100),315(48)
ドコサフルオロクインクエフェニルの19F−NMR、13C−NMR及びTOF−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−136.51(4F,multiplet),−136.71(4F,multiplet),−136.86(4F,multiplet),−137.23(4F,multiplet),−149.60(2F,triplet,J=19.5Hz),−160.45(4F,multiplet)
13C−NMR:101.82,108.84,108.90,109.12,138.05,142.84,144.26,144.30,144.38,144.59
TOF−MS(M):778(C3022,n=4)
デカフルオロビフェニルの0.233mmol(78mg)、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランの2.39mmol(574mg)、3mlのジメチルホルムアミドを含む均一な溶液を、10ml容のテフロン(登録商標)製反応容器に取り、これに5mmgの酸性フッ化カリウム(KHF)を加えた。テフロン(登録商標)製マグネット攪拌子を入れ、室温で激しく攪拌した。10分で淡紫色の溶液になったが、次第に色が薄くなったが白濁し始め、5時間で白色の懸濁液となった。24時間撹拌を継続した後、白色沈殿を吸引濾過し、洗浄、乾燥すると、白色固体を421mgの収量で得た。
白色固体の19F−NMR及びTOF−MSデータは、以下の通りである。
19F−NMR:−136.0〜−137.0(22F,multiplet),−149.66(2F,multiplet),−160.51(4F,multiplet)
TOF−MS(M−F):630(C2418,n=3),778(C3022,n=4),926(C3626,n=5),1074(C4230,n=6)1222(C4834,n=7),1369(C5438,n=8)
上記の19F−NMRデータから、実施例8で得られた白色固体は、一般式(1)において、nの平均が4.5であるパーフルオロフェニレンであることがわかった。
以上詳述したように、本発明は、パーフルオロフェニレン化合物の製造方法に係るものであり、本発明のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法により、直線状及び分子状のパーフルオロフェニレン化合物を、簡便な方法で、収率良く得ることができる。本発明で得られるパーフルオロフェニレン化合物は、フッ素原子の持つ電子求引性により、電子移動能を有するようになるため、例えば、液晶材料や有機ELなどの電子材料として用いることができる。更に、本発明で得られるパーフルオロフェニレン化合物は、例えば、不活性媒体、カラム充填剤、表面処理剤等としての用途を有する。

Claims (3)

  1. 下記一般式
    Figure 0004344823
    (式中のnは2〜20の整数を示し、Xはトリフルオロメチル基の置換基を示す)で表される直線状パーフルオロフェニレン化合物を製造する方法であって、下記一般式
    Figure 0004344823
    (式中、Xはトリフルオロメチル基の置換基を示す)で表されるパーフルオロアリール化合物と、下記一般式
    Figure 0004344823
    (式中、R、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランとを非プロトン性極性溶媒中でフッ化物イオンを触媒として反応させることを特徴とするパーフルオロフェニレン化合物の製造方法。
  2. 下記一般式
    Figure 0004344823
    (式中のp、q及びrはそれぞれ同一又は異なって、0〜15の範囲にある整数を示す。但し、p、q及びrが全てが0の場合を除く。Xはニトロ基、又はニトリル基の置換基を示す)で表されることを特徴とする分枝状パーフルオロフェニレン化合物を製造するための製造方法であって、下記一般式
    Figure 0004344823
    (式中、Xはニトロ基、又はニトリル基の置換基を示す)で表されるパーフルオロアリール化合物と、下記一般式
    Figure 0004344823
    (式中、R、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるトリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランとを非プロトン性極性溶媒中でフッ化物イオンを触媒として反応させることを特徴とするパーフルオロフェニレン化合物の製造方法。
  3. トリアルキル(ペンタフルオロフェニル)シランが、トリメチル(ペンタフルオロフェニル)シランである請求項1又は2に記載のパーフルオロフェニレン化合物の製造方法。
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