JPH0753681A - カルバゾール化合物およびその酸化重合物 - Google Patents

カルバゾール化合物およびその酸化重合物

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JPH0753681A
JPH0753681A JP8067794A JP8067794A JPH0753681A JP H0753681 A JPH0753681 A JP H0753681A JP 8067794 A JP8067794 A JP 8067794A JP 8067794 A JP8067794 A JP 8067794A JP H0753681 A JPH0753681 A JP H0753681A
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JP
Japan
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carbazole
polymer
oxidative polymerization
compound
general formula
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JP8067794A
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English (en)
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Shigeru Okita
茂 沖田
Yoshio Himeshima
義夫 姫島
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】下記一般式(1)で表わされる新規なビスカル
バゾール化合物およびこれらビスカルバゾール化合物を
酸化条件下で重合することにより得られる新規なカルバ
ゾール系重合体。 【化1】 【効果】本発明の新規なビスカルバゾール化合物は高い
酸化重合性を有しており、酸化重合することによって得
られる重合体は高い分子量を有し、有機薄膜発光素子用
材料などに有用な重合体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なビスカルバゾー
ル化合物およびそれを酸化重合して得られる新規なカル
バゾール系重合体に関するものである。
【0002】さらに詳しくは、有機薄膜発光素子の正孔
輸送物質や絶縁物質の導電性付与剤などに有用な新規な
ビスカルバゾール化合物およびそれを酸化重合して得ら
れる新規なカルバゾール系重合体に関するものである。
【0003】
【従来の技術】カルバゾール構造を分子内に有するポリ
マーは既に知られており、その代表的なものとしてはポ
リビニルカルバゾールがある。
【0004】ポリビニルカルバゾールは有機光導電性材
料として開発されたポリマーであるが、カルバゾール骨
格を側鎖に有するオレフィン系ポリマーであるため耐熱
性および光導電特性が低い。これを改善する目的で主鎖
にカルバゾール骨格を有する種々の重合体の製造方法が
提案されている。
【0005】たとえば9−アルキルカルバゾールをB、
Si、As、P化合物の存在下で化学重合することによ
ってポリ(9−アルキルカルバゾール)を製造する方法
(特開昭61−4725号公報)、9−アルキルカルバ
ゾールを3価のFe化合物の存在下で化学的に酸化重合
する方法(特開昭61−141725号公報)、9−ア
ルキルカルバゾールを電気化学的に酸化重合する方法
(特開昭61−4723号公報)、9−アルキル−3,
6−ジハロカルバゾールのカップリング反応によってポ
リ(9−アルキル−3,6−カルバゾリレン)を製造す
る方法(特開昭56−88422号公報)などが開示さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら9−アル
キルカルバゾールを化学的酸化重合することによって得
られるカルバゾール系重合体や9−アルキル−3,6−
ジハロカルバゾールのカップリング反応によって得られ
るポリ(9−アルキル−3,6−カルバゾリレン)は分
子量が極めて低く、それ自体を成形加工して成形物品と
して使用することは不可能であり、また導電性材料等に
使用してもその性能は低く、実用性に乏しいという問題
点を有していた。
【0007】一方、9−アルキルカルバゾールを電気化
学的酸化重合した場合には自己支持性のフィルムが得ら
れるものの、この重合体は架橋構造を有しているために
他の形態に賦形することが不可能であり、また導電性材
料などに使用してもその性能は低く、実用性に乏しいと
いった問題点を有していた。
【0008】そこで本発明者はカルバゾール骨格を主鎖
に有し、有機薄膜発光素子や導電性材料などに有用な高
重合度の高耐熱性重合体を与え得るカルバゾール化合物
およびそれらから誘導される重合体の提供を課題とし
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは以上の状況
を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、分子内に2つの9−カ
ルバゾリル基を有するビスカルバゾール化合物が極めて
高い酸化重合性を有し、しかもこれらの化合物を酸化重
合して得られる重合体は分子量も高く、しかも有機薄膜
発光素子や導電性材料などに有用な材料となることを見
出し本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は一般式(1)で表わされ
るビスカルバゾール化合物および一般式(1)で表わさ
れるビスカルバゾール化合物を酸化重合して得られるカ
ルバゾール系重合体を提供するものである。
【0011】
【化3】 (ただし上式においてR1 〜R2 は各々同一または相異
なる水素または炭素数1〜5のアルキル基を表わし、R
3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)
一般式(1)の構造中、R1 〜R2 は各々同一または相
異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基を表わし、
3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基を表わす。
ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例としてはメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、
n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、ネ
オペンチル基などが挙げられるが、水素、メチル基、エ
チル基が好ましく、とりわけ水素が好ましい。
【0012】一般式(1)で表わされるビスカルバゾー
ル化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定される
ものではない。
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】上記ビスカルバゾール化合物の中でもとり
わけ(A)〜(C)が好ましい。
【0019】一般式(1)で表わされるビスカルバゾー
ル化合物は一般式(2)で表わされるカルバゾール誘導
体と一般式(3)で表わされるキシリレン誘導体との縮
合反応によって合成される。
【0020】
【化9】 (ただし、上式においてR1 〜R3 は、一般式(1)中
のR1 〜R3 と同様のものを現し、Xはハロゲンまたは
有機スルホニルオキシ基を表わす。)上記縮合反応は、
一般には塩基性条件下で行われる。
【0021】たとえば、一般式(2)で表わされるカル
バゾール誘導体をエチルエーテル、テトラヒドロフラン
(THF)、ジグライム、1,4−ジオキサン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタンなどの無水溶媒中でメチルリチ
ウム、ブチルリチウム、カリウムブトキシド、カリウム
エトキシド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグ
ネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミドなど
の塩基性化合物と反応させた後、これに一般式(3)で
表わされるキシリレン誘導体を加えて縮合させる方法を
用いることができる。
【0022】一般式(3)の構造においてXはハロゲン
または有機スルホニルオキシ基を表わす。ここでXの具
体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メタンス
ルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、プロパ
ンスルホニルオキシ基、ブタンスルホニルオキシ基、ベ
ンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオ
キシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基、m−
トルエンスルホニルオキシ基、m−ブロモベンゼンスル
ホニルオキシ基、o−トルエンスルホニルオキシ基、o
−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基などが挙げられる
が、塩素、臭素、メタンスルホニルオキシ基、p−トル
エンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニ
ルオキシ基が好ましく、とりわけ塩素、臭素、p−トル
エンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0023】また、別の方法としては相間移動触媒を用
いる方法であり、たとえば日本化学会誌、1988年、
No.6、p.970-974 あるいはBull.Chem.Soc.Jpn.,Vol.54,
1897〜1898(1981)に記載されている9−アルキルカルバ
ゾールの合成方法を応用することができる。その場合、
一般式(2)で表わされるカルバゾール誘導体を水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強
アルカリの水溶液およびベンジルトリエチルアンモニウ
ムクロリドに代表される4級アンモニウム塩あるいはベ
ンジルトリフェニルホスホニウムクロリドに代表される
4級ホスホニウム塩などの相間移動触媒と混合し、これ
に一般式(3)で表わされるキシリレン誘導体を加えて
激しく撹拌しながら反応させる。
【0024】一般式(1)で表わされるビスカルバゾー
ル化合物を酸化重合して得られる重合体としては重合度
2以上のものを意味する。また、該ビスカルバゾール化
合物を酸化重合する方法としては化学的酸化重合、電気
化学的酸化重合、いずれも用いることができるが、化学
的酸化重合の方が生産効率が高く、一度に多量の重合体
を製造することができるので経済的に有利であり好まし
い。一方、電気化学的酸化重合の場合には目的とする重
合体がフィルム状で得られるため、重合体の分離・回収
が容易であるという利点がある。
【0025】本発明において化学的酸化重合は一般に酸
化剤の存在下に重合反応を行うものであり、酸化カップ
リングによってカルバゾール環どうしが連結した構造を
有する重合体が得られる。その構造は主として3位ある
いは6位でカップリングした構造であるが、他の部位で
連結した構造が含まれることもあり、その割合は重合に
使用するカルバゾール化合物の構造、酸化剤、あるいは
反応条件によって変化する。
【0026】本発明で用いられる酸化剤は最高原子価の
状態にある多価金属のハロゲン化物であり、その具体例
としてはTiCl4 、ZrCl4 、FeCl3 、AlC
3、AlBr3 、CuF2 、CuCl2 、CuB
2 、CuI2 、MoCl5 、SbF5 、SbCl5
CoCl2 、NiCl2 、ZnCl2 、CdCl2 から
選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられるが、
好ましくはFeCl3 、AlCl3 、AlBr3 、Cu
2 、CuCl2 、CuBr2 、CuI2 、MoC
5 、SbF5 、SbCl5 から選ばれる1種または2
種以上の混合物、さらに好ましくはFeCl3 である。
【0027】ここでカルバゾール化合物1モルに対して
用いる酸化剤の量は通常0.001〜10モルであり、
好ましくは0.1〜10モル、さらに好ましくは1〜5
モルである。酸化剤量が10モルを超えても酸化効果は
大きくならず、経済的に不利である。
【0028】反応温度は一般的に−10〜250℃であ
り、好ましくは0〜200℃、さらに好ましくは5〜1
50℃である。
【0029】反応時間はモノマーおよび酸化剤の種類や
仕込比、反応温度、溶剤の種類、溶剤量などの反応条件
や目的とする分子量によって変わるが、一般的には0.
1〜200時間、好ましくは0.3〜100時間、さら
に好ましくは0.5〜50時間である。
【0030】重合反応は無溶媒であっても溶媒を用いて
もかまわないが、均一に重合を進めるためには溶媒を用
いて行うことが好ましい。その場合、使用する溶媒とし
ては酸化剤、モノマー、酸化反応時に発生する活性中間
体と反応せず、生成してくるポリマーを溶解し得る非プ
ロトン性溶媒が用いられる。その具体例としてはアセト
ン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、アセトニ
トリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、ニトロ
ベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ系溶媒、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族
炭化水素系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル
などのエステル系溶媒、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル
ピロリドン(NMP)などのアミド系溶媒、ジクロロメ
タン、クロロホルム、テトラクロロエタン、クロロベン
ゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、ジエチ
ルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン
(THF)、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)、スルホランなどのイオウ
系溶媒、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの
中でも特にニトロ系溶媒が好ましく、とりわけニトロベ
ンゼンが好ましい。
【0031】生成する重合体はたとえばメタノール、ア
セトン、水などによって沈澱させ、続いて濾過、洗浄し
た後、乾燥する。精製が必要な場合にはいったん重合体
を溶剤に溶解させ、不溶物を濾過によって除去した後、
濾液をメタノール、アセトン、水などによって再沈澱さ
せて精製することができる。
【0032】本発明において電気化学的にカルバゾール
系重合体を製造する方法としては有機溶媒中に支持電解
質と一般式(1)で表わされるカルバゾール化合物を溶
解し、この電解液に正極および負極の電極を挿入してセ
ルを構成し、外部から所定の電位をかけることによって
カルバゾール系重合体を正極に生成させる方法が適用さ
れる。
【0033】ここで支持電解質としてはPF6-、SbC
6-のようなVa族ハロゲン化物アニオン、I-
3-、Br- 、Cl- のようなハロゲンアニオン、過塩
素酸イオンなどのアニオンとLi+ 、Na+ 、K+ のよ
うなアルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオン等の
カチオンから成る塩を挙げることができる。
【0034】また電解液としては水溶液、非水溶液、い
ずれも用いることができるが、非水溶媒に前記電解質を
溶解したものが好ましい。その際、非水溶媒としては酸
化重合で生成する活性中間体や酸化剤、モノマーと反応
せず、かつ生成するポリマーを溶解するものが用いられ
る。非水溶媒の具体例としてはアセトン、メチルエチル
ケトンなどのケトン系溶媒、アセトニトリル、ベンゾニ
トリルなどのニトリル系溶媒、ニトロベンゼン、ニトロ
メタンなどのニトロ系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシ
レンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系
溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセ
トアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NM
P)などのアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホル
ム、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、ジブ
チルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキ
サンなどのエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド(D
MSO)、スルホランなどのイオウ系溶媒、およびこれ
らの混合物が挙げられるが、好ましくはニトリル系溶媒
であり、特に好ましくはアセトニトリルである。
【0035】支持電解質およびビスカルバゾール化合物
の濃度は用いる正極、負極の種類、温度、支持電解質の
種類、有機溶媒の種類等によって異なるが、通常はそれ
ぞれ0.001〜10mol/Lの範囲、好ましくは
0.01〜8mol/L、更に好ましくは0.1〜5m
ol/Lである。
【0036】反応時間はモノマーの種類、反応温度、溶
媒の種類や量などによって著しく異なる。通常は0.1
〜100時間、好ましくは0.2〜50時間、さらに好
ましくは0.5〜30時間である。
【0037】本発明のビスカルバゾール化合物は酸化条
件下で重合することによって好ましくは数平均分子量
1,000以上、より好ましくは3,000以上の高分
子量のカルバゾール系重合体とすることもできる。この
ようなカルバゾール系重合体は高耐熱性の高分子量カル
バゾール系重合体であるばかりでなく、たとえば有機薄
膜発光素子における正孔輸送物質等としても有用であ
る。
【0038】また、本発明のカルバゾール系重合体は高
耐熱性ポリマーとして、たとえば自動車部品、電気・電
子部品、機械・機構部品、構造材料に使用できるばかり
でなく、導電性材料、あるいは帯電防止剤などにも有用
である。
【0039】さらに本発明のビスカルバゾール化合物お
よびカルバゾール系重合体は必要に応じて公知のドーパ
ントであるヨウ素などのハロゲン、AsF5 、SbF5
などの金属ハロゲン化物でドーピングすることにより高
い導電性を賦与させることができる。
【0040】
【実施例】以下実施例により本発明の効果を更に詳細に
説明する。ただし本発明はこれらの例によってなんら限
定されるものではない。
【0041】実施例および比較例中で述べられている平
均分子量、ガラス転移点はそれぞれGPC(ゲル浸透ク
ロマトグラフィー)、DSC(示差走査熱量計)を用い
て測定した。以下に測定装置、条件を記す。
【0042】GPC:装置 Waters、カラム:S
hodex KD−80M、溶媒:NMP(0.02N
LiCl)、検量線:ポリスチレン DSC:装置 Perkin−Elmer DSC−
7、昇温速度:20℃/分、雰囲気:窒素
【0043】実施例1 1,3−ビス[(9−カルバゾ
リル)メチル]ベンゼンの製造 16.86g(100.8mol)のカルバゾール、6
0gの50%水酸化カリウム水溶液、1.35g(5.
93mmol)のベンジルトリエチルアンモニウムクロ
リドを混合し、さらに8.83g(50.4mol)の
α,α’−m−キシリレンジクロリド、60mLのトル
エンを添加し、6時間還流下で激しく撹拌した。反応混
合物を室温まで冷却し、一晩放置すると目的物が結晶と
して析出しているので吸引濾過により濾別し、これを十
分に水洗した。この粗生成物をエタノール/クロロホル
ム混合溶剤から再結晶すると目的のカルバゾール化合物
が無色針状結晶として得られた。収率18.85g(8
5.6%)。融点213〜215℃。 1H−NMRデー
タおよび元素分析値を以下に示すが、目的とする1,3
−ビス[(9−カルバゾリル)メチル]ベンゼンの構造
と矛盾しない。また、赤外吸収スペクトルを図1に示
す。
【0044】1H−NMR(90MHz、CDCl3、T
MS基準、ppm) 5.47(s,4H) 6.71〜7.40(m,12H) 7.92〜8.09(m,4H) 元素分析値 計算値(%) C:88.04 、H:5.54、N:6.42 実測値(%) C:87.91 、H:5.70、N:6.39
【0045】実施例2 1,4−ビス[(9−カルバゾ
リル)メチル]ベンゼンの製造 16.71g(0.100mol)のカルバゾール、6
0gの50%水酸化カリウム水溶液、1.34g(5.
88mmol)のベンジルトリエチルアンモニウムクロ
リド、8.83g(0.050mol)のα,α’−p
−キシリレンジクロリド、60mLのトルエンから実施
例1と同様にして目的物を製造し、トルエン/DMAc
混合溶剤から再結晶することにより精製した。収率1
6.74g(76.8%)。融点262〜275℃(分
解)。 1H−NMRデータおよび元素分析値を以下に示
すが、目的とする1,4−ビス[(9−カルバゾリル)
メチル]ベンゼンの構造と矛盾しない。また、赤外吸収
スペクトルを図2に示す。
【0046】1H−NMR(90MHz、CDCl3、T
MS基準、ppm) 5.36(s,4H) 6.94(s,4H) 7.04〜7.44(m,8H) 7.74〜8.11(m,4H) 元素分析値 計算値(%) C:88.04 、H:5.54、N:6.42 実測値(%) C:87.98 、H:5.64、N:6.38
【0047】実施例3 1,2−ビス[(9−カルバゾ
リル)メチル]ベンゼンの製造 16.75g(0.100mol)のカルバゾール、6
0gの50%水酸化カリウム水溶液、1.35g(5.
93mmol)のベンジルトリエチルアンモニウムクロ
リド、8.87g(0.051mol)のα,α’−o
−キシリレンジクロリド、60mLのトルエンから実施
例1と同様にして目的物を製造し、エタノール/クロロ
ホルム混合溶剤から再結晶することにより精製した。収
率19.35g(88.5%)。融点235〜237
℃。 1H−NMRデータおよび元素分析値を以下に示す
が、目的とする1,2−ビス[(9−カルバゾリル)メ
チル]ベンゼンの構造と矛盾しない。また、赤外吸収ス
ペクトルを図3に示す。
【0048】1H−NMR(90MHz、CDCl3、T
MS基準、ppm) 5.29(s,4H) 6.51〜6.71(m,2H) 6.81〜7.44(m,14H) 7.96〜8.14(m,2H) 元素分析値 計算値(%) C:88.04 、H:5.54、N:6.42 実測値(%) C:88.00 、H:5.54、N:6.46
【0049】実施例4 実施例1で製造した1,3−ビス[(9−カルバゾリ
ル)メチル]ベンゼン2.18g(5.00mmol)
を、水素化カルシウムで乾燥した後に減圧蒸留して精製
したニトロベンゼン20mLに添加し、窒素気流下で激
しく撹拌した。この混合物中に無水塩化鉄1.78g
(11.16mmol)を精製ニトロベンゼン20mL
に溶解した溶液を約20分かけて滴下した。室温で3時
間撹拌した後、この反応混合物を500mLのメタノー
ル中に投入し、沈澱したポリマーを吸引濾過して集め
た。さらに多量のメタノールで洗浄した後、真空乾燥し
た。収量1.94g、収率89%。数平均分子量190
0、重量平均分子量3500。
【0050】この粗重合体をNMPに溶解し、いったん
濾過して不溶物、ゴミ等を除去し、メタノール中に投入
して再沈澱精製した。精製収率15%。数平均分子量4
700、重量平均分子量17400。この精製重合体は
199℃にガラス転移温度を示した。
【0051】また、元素分析値を以下に示すが、カルバ
ゾール環どうしがカップリングして生成する重合体構造
に矛盾しない。
【0052】元素分析値 計算値(%) C:88.45 、H:5.10、N:6.45 実測値(%) C:88.39 、H:5.17、N:6.44
【0053】実施例5〜9 無水塩化鉄の量、反応時間を変えて実施例4と同様に
1,3−ビス[(9−カルバゾリル)メチル]ベンゼン
の重合を行なった。反応条件と重合結果を表1にまとめ
て示す。また実施例6で得られた重合体の赤外吸収スペ
クトルを図4に示す。このスペクトルはカルバゾール環
どうしがカップリングして生成する重合体構造を示して
いる。また各重合体について元素分析を行ったが、カル
バゾール環どうしがカップリングして生成する重合体構
造に矛盾しない値が得られた。
【0054】また、実施例6で得られたポリマーを用
い、次のようにして有機薄膜発光素子を作製した。
【0055】表面を良く洗浄した無アルカリほう珪酸ガ
ラス板上に電子ビーム蒸着によりITO薄膜からなる正
極を形成し、次にこの正極上に実施例6で得られた重合
体をNMP溶液からスピンコートして正孔輸送層を形成
した。次いでこの正孔輸送層上に8−ヒドロキシキノリ
ンアルミニウムを蒸着して発光層を形成し、ペリレンテ
トラカルボン酸をその上に蒸着させて電子注入層を形成
した。最後にマグネシウム/銀を負極として蒸着し有機
薄膜発光素子を作製した。正極および負極よりリード線
を引出し、直流電源に接続して直流電圧を印加したとこ
ろ、強い発光が認められた。
【0056】実施例10〜13 反応条件を若干変更する以外は実施例4と同様にして
1,4−ビス[(9−カルバゾリル)メチル]ベンゼン
の重合を行なった。反応条件と重合結果を表1にまとめ
て示す。また実施例12で得られた重合体の赤外吸収ス
ペクトルを図5に示す。このスペクトルはカルバゾール
環どうしがカップリングして生成する重合体構造を示し
ている。また各重合体について元素分析を行ったが、カ
ルバゾール環どうしがカップリングして生成する重合体
構造に矛盾しない値が得られた。
【0057】実施例6で得られた重合体の代わりに実施
例12で得られた重合体を用いて、前記有機薄膜発光素
子を作製し、直流電圧を印加したところ強い発光が認め
られた。
【0058】実施例14〜17 反応条件を若干変更する以外は実施例4と同様にして
1,2−ビス[(9−カルバゾリル)メチル]ベンゼン
の重合を行なった。結果を表1にまとめて示す。また実
施16で得られた重合体の赤外吸収スペクトルを図6に
示す。このスペクトルはカルバゾール環どうしがカップ
リングして生成する重合体構造を示している。また各重
合体について元素分析を行ったが、カルバゾール環どう
しがカップリングして生成する重合体構造に矛盾しない
値が得られた。
【0059】実施例6で得られた重合体の代わりに実施
例12で得られた重合体を用いて、前記有機薄膜発光素
子を作製し、直流電圧を印加したところ強い発光が認め
られた。
【0060】実施例18 アセトニトリル100mLに支持電解質としてテトラエ
チルアンモニウムパークロレート23gを溶解させた
後、1,3−ビス[(9−カルバゾリル)メチル]ベン
ゼン6.54g(15.0mmol)を溶解させた。こ
の溶液中に正極および負極の電極として長さ5cm、幅
1cm、厚さ1mmの白金板を入れて室温下、窒素雰囲
気、1mA/cmの一定電流で2時間電解酸化重合を
行った。重合開始と同時に正極上に暗緑色の重合体が膜
状に析出し始めた。重合終了後、得られたフィルム状重
合体を塩化メチレンで洗浄した。このフィルムは非常に
強靭であった。またこのフィルムの元素分析値を以下に
示すが、カルバゾール環どうしがカップリングして生成
する重合体構造に矛盾しない。
【0061】元素分析値 計算値(%) C:88.45 、H:5.10、N:6.45 実測値(%) C:88.50 、H:5.12、N:6.38
【0062】実施例19〜20 1,3−ビス[(9−カルバゾリル)メチル]ベンゼン
の代わりに1,4−ビス[(9−カルバゾリル)メチ
ル]ベンゼン、1,2−ビス[(9−カルバゾリル)メ
チル]ベンゼンを使用する以外は実施例18と同様にし
て電解重合を行った。いずれの場合も実施例18と同様
に強靭なフィルム状の重合体が得られた。また各フィル
ムについて元素分析を行ったが、いずれもカルバゾール
環どうしがカップリングして生成する重合体構造に矛盾
しない値が得られた。
【0063】
【表1】
【0064】比較例1 1,3−ビス[(9−カルバゾリル)メチル]ベンゼン
2.18g(5.00mmol)の代わりにN−ブチル
カルバゾールを使用する以外は実施例4と同様にして酸
化重合を行った。得られた重合体は淡灰色であり、収量
は1.51g(収率53%)であった。数平均分子量は
450、重量平均分子量は550であった。
【0065】比較例2 N−プロピル−3,6−ジブロモカルバゾール3.67
g(0.01mol)、金属マグネシウム0.24g
(0.01mol)、モレキュラーシーブによって繰り
返し脱水したTHF(テトラヒドロフラン)30mLを
還流下に1時間反応させた後、ビス(トリフェニルホス
フィン)ジクロロニッケル0.015gを加えてさらに
12時間還流下で反応を続けた。反応混合物をメタノー
ル/水=150mL/350mL中に投入し、生成した
重合体を濾別し、メタノールで洗浄後、真空乾燥した。
得られた重合体の収量は1.01g(収率47%)であ
った。数平均分子量は490、重量平均分子量は570
であった。
【0066】
【発明の効果】本発明のカルバゾール化合物は酸化重合
性が高く、酸化重合により主鎖にカルバゾール骨格を有
する高分子量の重合体を与える。また、酸化重合によっ
て得られる重合体は有機薄膜発光素子における正孔輸送
体などに有用な重合体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で得られた1,3−ビス
[(9−カルバゾリル)メチル]ベンゼンの赤外吸収ス
ペクトルである。
【図2】本発明の実施例2で得られた1,4−ビス
[(9−カルバゾリル)メチル]ベンゼンの赤外吸収ス
ペクトルである。
【図3】本発明の実施例3で得られた1,2−ビス
[(9−カルバゾリル)メチル]ベンゼンの赤外吸収ス
ペクトルである。
【図4】本発明の実施例6で得られた酸化重合体の赤外
吸収スペクトルである。
【図5】本発明の実施例12で得られた酸化重合体の赤
外吸収スペクトルである。
【図6】本発明の実施例16で得られた酸化重合体の赤
外吸収スペクトルである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表わされるビスカルバゾ
    ール化合物。 【化1】 (ただし上式においてR1 〜R2 は各々同一または相異
    なる水素または炭素数1〜5のアルキル基を表わし、R
    3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)
  2. 【請求項2】 一般式(1)におけるR1 〜R3 がすべ
    て水素である請求項1記載のビスカルバゾール化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(1)で表わされるビスカルバゾ
    ール化合物を酸化条件下で重合して得られる重合度2以
    上のカルバゾール系重合体。 【化2】
  4. 【請求項4】 一般式(1)におけるR1 〜R3 がすべ
    て水素である請求項3記載のカルバゾール系重合体。
  5. 【請求項5】 酸化重合を化学的酸化重合で行なうこと
    により得られる請求項3記載のカルバゾール系重合体。
  6. 【請求項6】 酸化剤として最高原子価の状態にある多
    価金属のハロゲン化物を用いることにより得られる請求
    項5記載のカルバゾール系重合体。
  7. 【請求項7】 最高原子価の状態にある多価金属のハロ
    ゲン化物がFeCl3 、AlCl3 、AlBr3 、Cu
    2 、CuCl2 、CuBr2 、CuI2 、MoC
    5 、SbF5 、SbCl5 から選ばれる1種または2
    種以上の混合物である請求項6記載のカルバゾール系重
    合体。
  8. 【請求項8】 最高原子価の状態にある多価金属のハロ
    ゲン化物がFeCl3 である請求項6記載のカルバゾー
    ル系重合体。
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