JP4311871B2 - ビス[(ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル類およびその製造方法 - Google Patents

ビス[(ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル類およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高性能を有する含フッ素重合体は、フィルム、光学またはマイクロエレクトロニクス用被覆剤、ガス分離用膜等として利用される先端材料として極めて注目をあびている(Cassidy, P.E., Aminabbai, T.M. 及び Farley, J.M., J. Macromol. Sci.-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29 (2&3), pp.365-429 (1989))。重合鎖へのフッ素原子の導入は、重合体の溶解度、耐炎性、熱安定性およびガラス転移温度の増加をもたらし、さらに着色、結晶性、誘電率および吸湿性をも低下させる。このような利点があるので、ヘキサフルオロイソプロピリデン基含有ポリ(アリールエーテルケトン)(PEK)は、宇宙ならびにエレクトロニクス用に製造されかつ研究された(Tullos, G.L. 及び Cassidy, P.E., Macromolecules., 24 , p. 6059-6064 (1991))。最近、パーフルオロフェニレン基含有ポリ(アリールエーテルケトン)が、パーフルオロベンゾフェノンから合成された(Mercer, F.W., Fone, M.M., Reddy, V.N. 及び Goodwin, A.A., Polymer, 38(8), 1989-1995 (1997))。
【0003】
しかしながら、これらの重合体は、未だ溶解度ならびに耐炎性が充分ではないという欠点がある。このため、このような特性を有する重合体に対する要求、さらにはこのような高い機械的強度及び強靭性を有し、電気的特性、熱酸化安定性及び溶解性に優れる重合体を製造するための原料に対する要求が強くなされているものの、依然としてこのような重合体や原料は存在していなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、高い機械的強度及び強靭性を有し、電気的特性、熱酸化安定性及び溶解性に優れる新規な4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物を提供することにある。
【0005】
また、本発明の他の目的は、副生成物であるモノ体の生成を抑制し、高い選択率で目的とするビス体である4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これらの諸目的は、下記(1)〜(6)により達成される。
【0007】
(1) 下記式(I):
【0008】
【化3】
Figure 0004311871
【0009】
ただし、Xは、存在しないか、または硫黄原子、炭素原子数が1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のアルキレン基または炭素原子数が1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のハロゲン化されたアルキレン基を表わす、
で表される4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物。
【0010】
(2) 上記はメチレン(−CH−)、イソプロピレン(−C(CH−)、トリフルオロイソプロピレン(−C(CF−)、p−フェニレン基、または1,4−ジヒドロキシフェニレン基である、前記(1)に記載の4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物。
【0011】
(3) 上記Xは存在しないまたは硫黄原子である、前記(1)に記載の4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物。
【0012】
(4) 下記式(II):
【0013】
【化4】
Figure 0004311871
【0014】
ただし、Xは、存在しないか、または硫黄原子、炭素原子数が1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のアルキレン基または炭素原子数が1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のハロゲン化されたアルキレン基を表わす、
で表されるジフェニル化合物を2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中に添加した後、反応することからなる、4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物の製造方法。
【0015】
(5) 上記反応は、有機溶剤中でフリーデルクラフツ触媒の存在下で行われる、前記(4)に記載の方法。
【0016】
(6) 該4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物は下記式(III):
【0017】
【化5】
Figure 0004311871
【0018】
で示される化合物である、前記(4)または(5)に記載の方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
第一の態様によると、本発明は、4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物は、前記式(I)で表される新規な化合物(本明細書中では、単に「4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(1)」とも称する。)を提供するものである。
【0021】
前記式(I)において、Xは、存在しないまたは硫黄原子若しくは2価の有機基を表わす。なお、本明細書において、「Xが存在しない」とは、4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(1)が、ビフェニルの4、4’の位置に2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル基がそれぞれ結合した化合物、即ち、下記式:
【0022】
【化6】
Figure 0004311871
【0023】
で表される化合物であることを意味する。また、上記式(I)において、Xは、2価の有機基を表わすが、具体的には、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、プロピレン(−CH2CH(CH3)−)、イソプロピレン(−C(CH32−)、トリメチレン(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン(−CH2(CH22CH2−)、ペンタメチレン(−CH2(CH23CH2−)、ヘキサメチレン(−CH2(CH24CH2−)、プロペニレン(−CH2CH=CH−)、及びビニレン(−CH=CH−)等の、炭素原子数が、通常、1〜6、好ましくは1〜3の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のアルキレン基;ヘキサフルオロイソプロピレン(−C(CF32−)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサメチレン(−CH2(CF24CH2−)、及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタメチレン(−CH2(CF26CH2−)等の、炭素原子数が、通常、1〜6、好ましくは1〜3の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のハロゲン化されたアルキレン基;式:−CH2−CH2−O−CH2−CH2−で表わされる基;ならびにo−、m−及びp−フェニレン基及び1,4−ジヒドロキシフェニレン基などが挙げられる。なお、本発明による2価の有機基において、炭素原子に直接結合する水素がハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシル基でさらに置換されていてもよい。これらのうち、メチレン(−CH2−)、イソプロピレン(−C(CH32−)、ヘキサフルオロイソプロピレン(−C(CF32−)、p−フェニレン基及び1,4−ジヒドロキシフェニレン基がXとしての2価の有機基として好ましい。
【0024】
第一の態様において、式(I)中のXは、存在しない、硫黄原子、メチレン、イソプロピレン、ヘキサフルオロイソプロピレン、p−フェニレン基及び1,4−ジヒドロキシフェニレン基より好ましくは、存在しないまたは硫黄原子を表わす。
【0025】
第二の態様によると、本発明は、前記式(II)で表されるジフェニル化合物(本明細書中では、単に「ジフェニル化合物」とも称する。)を2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中に添加した後、反応することからなる、4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(本明細書中では、単に「4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(2)」とも称する。)、特に前記式(III)で表わされる4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物の製造方法を提供するものである。本発明は、従来のようにジフェニル化合物中に2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドを添加して反応を行なうと、ジフェニル化合物の4、4’の位置の一方にのみ2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドが結合するモノ体、即ち下記式:
【0026】
【化7】
Figure 0004311871
【0027】
で表される化合物が副生成物として多量に生成してしまい、目的とする4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(2)の選択率および収率が許容できない程度にまで低くなってしまうという事情を鑑みてなされたものであり、本発明の方法によるように、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中にジフェニル化合物を添加して反応を行なうことによって、副生成物であるモノ体の生成が有意に抑制され、目的とするビス体、即ち4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(2)が高い選択率でかつ効率よく製造できることを知得し、これにより本発明を完成するに至った。
【0028】
上記式(II)及び(III)において、Xは、存在しないまたは酸素原子、硫黄原子若しくは2価の有機基を表わし、2価の有機基に関しては、上記第一の態様における定義と同様である。
【0029】
第二の態様において、式(II)及び(III)中のXは、存在しない、酸素原子、硫黄原子、メチレン、イソプロピレン、ヘキサフルオロイソプロピレン、p−フェニレン基及び1,4−ジヒドロキシフェニレン基、より好ましくは、存在しないまたは酸素原子若しくは硫黄原子を表わす。
【0030】
第二の態様による製造方法は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中にジフェニル化合物を添加することを必須要件とする以外は、公知の方法と同様にして行なわれる。第二の態様による製造方法の一実施態様によると、4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(2)は、有機溶剤中でフリーデルクラフツ触媒の存在下で、ジフェニル化合物を2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中に添加して、この反応混合物を反応させることよって得られる。この際、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中にジフェニル化合物を仕込んで反応させる方法は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中にジフェニル化合物を添加する工程を含むものであれば、特に制限されることない。より具体的には、(1)予め2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドならびにフリーデルクラフツ触媒および/または有機溶剤を混合し、混合溶液を調製し、この溶液中に、ジフェニル化合物を、必要であれば有機溶剤に溶解した後、一括若しくは連続的に(例えば、滴下して)仕込んで反応させる方法;(2)2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドを有機溶剤に溶解し、この溶液中に、フリーデルクラフツ触媒を、必要であれば有機溶剤に混合した溶液として、およびジフェニル化合物を、必要であれば有機溶剤に溶解した溶液として、それぞれ、一括して、順次若しくは連続的に(例えば、滴下して)仕込んで反応させる方法;(3)フリーデルクラフツ触媒を有機溶剤に混合し、この溶液中に、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドを、必要であれば有機溶剤に溶解した溶液として、一括若しくは連続的に(例えば、滴下して)仕込み、さらに、この混合溶液中に、ジフェニル化合物を、必要であれば有機溶剤に溶解した溶液として、それぞれ、一括若しくは連続的に(例えば、滴下して)仕込んで反応させる方法;ならびに(4)2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中に、フリーデルクラフツ触媒を、必要であれば有機溶剤に溶解した溶液として、およびジフェニル化合物を、必要であれば有機溶剤に溶解した溶液として、それぞれ、一括して、順次若しくは連続的に(例えば、滴下して)仕込んで反応させる方法などが挙げられる。これらの方法のうち、製造工程の煩雑さ、生産性、設備面及びコスト面などを考慮すると、上記(1)の方法が好ましく使用される。
【0031】
上記(1)の方法において、操作の手間などを考慮すると、予め、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド、フリーデルクラフツ触媒及び有機溶剤をすべて所定量仕込んで、混合して、混合溶液を調製することが好ましい。この際、各成分を所定量仕込んだ後、−20〜100℃、好ましくは0〜50℃で、均一な溶液になるまで、攪拌しながら混合することによって、混合溶液を調製することがより好ましい。
【0032】
この際、有機溶剤としては、特に制限されるものではないが、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドと反応しない溶剤が好ましく使用される。このような有機溶剤としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、二硫化炭素及びニトロベンゼン、及びベンゾニトリル等が挙げられる。これらのうち、塩化メチレン及び1,2−ジクロロエタンが好ましく使用される。有機溶剤の使用量は、有機溶剤における2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドの濃度が5〜60質量%、好ましくは10〜40質量%となるような量である。
【0033】
上記態様において使用できるフリーデルクラフツ触媒は、特に制限されず、公知のフリーデルクラフツ触媒が使用できるが、例えば、塩化アルミニウム、塩化アンチモン、塩化第二鉄、塩化第一鉄、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、四塩化錫、塩化ビスマス、塩化亜鉛、塩化水銀、硫酸及びポリリン酸等が挙げられる。これらのうち、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化第一鉄、四塩化錫、及び塩化亜鉛が好ましく使用される。また、フリーデルクラフツ触媒の使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モルに対して、0.1〜10モル、好ましくは0.5〜5モルである。
【0034】
また、上記(1)の方法によると、このようにして調製された混合溶液中に、ジフェニル化合物を、必要であれば有機溶剤に溶解した後、一括若しくは連続的に(例えば、滴下して)仕込んで反応させるが、好ましくはこのようにして調製された混合溶液中に、ジフェニル化合物を所定量有機溶剤中に溶解した溶液を、連続的に、より好ましくは滴下することにより、添加することが好ましい。この際、使用できる有機溶剤の例示及び好ましい例示は、上記混合溶液の調製について述べたのと同様であり、後工程の分離の工程の必要性などを考慮すると、より好ましくは、上記混合溶液の調製で使用されるのと同じ種類の有機溶剤を使用する。また、有機溶剤の使用量は、有機溶剤におけるジフェニル化合物の濃度が5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%となるような量である。
【0035】
なお、第二の態様において、ジフェニル化合物の溶液の滴下量(速度)は、混合溶液中の2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド、有機溶剤中のジフェニル化合物の濃度や反応条件などによって異なる。
【0036】
第二の態様において、ジフェニル化合物と2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドとの混合比率は、化学量論的には1:2(モル比)であるが、実際には、ジフェニル化合物と2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドとの反応が効率良く進行する範囲であれば特に制限されるものではないが、通常、ジフェニル化合物の使用量は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モル当たり、0.1〜0.6モル、好ましくは0.4〜0.55モルとなるような量である。すなわち、ジフェニル化合物の使用量が0.1モル未満では、過剰な2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルが反応に使用されず、好ましくない。これに対して、ジフェニルエーテルの使用量が0.6モルを越えると、未反応のジフェニル化合物や副生成物たるモノ体が多量に残り、目的とする4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(2)の選択率や収率が低下し、生産性の面で好ましくない。
【0037】
また、第二の態様において、ジフェニル化合物と2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドとの反応は、−20〜100℃、より好ましくは0〜50℃の温度で、通常、1〜24時間、好ましくは1〜12時間、行なわれることが好ましい。このような反応によって得られる目的生成物は、(ア)反応混合物を氷にあけ、析出した沈殿を瀘過して集め、集められた沈殿を水、メタノール、エタノールなどの溶媒で洗浄した後、乾燥することによって;(イ)反応混合物を氷にあけ、目的産物が含まれる有機層を分液し、この有機層を硫酸マグネシウムなどで乾燥・濃縮した後、濃縮液を水、メタノール、エタノールなどの溶媒で析出させ、沈殿を瀘過し、集められた沈殿を乾燥することによって;または(ウ)反応混合物に水を注加し、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたは四塩化炭素等の抽出剤で抽出した後、有機層を抽出物から分離し、抽出剤を留去することによって、得られる。さらに、この生成物を、必要であれば、メタノール、エタノールなどで再結晶化することなどによって、さらに精製してもよい。
【0038】
このようにして得られた4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(2)は、高い機械的強度及び強靭性を有し、電気的特性、熱酸化安定性及び溶解性に優れるため、このような特性が要求される重合体の原料として好適に使用される。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0040】
なお、下記実施例において、物性の評価は、つぎのようにして行なった。
【0041】
NMRスペクトルは、Varian Mercury 200を用いて記録した。なお、19F−NMRスペクトルは、重アセトンを希釈溶媒として、またトリフルオロ酢酸を内部標準として用いて、記録された。
【0042】
また、質量分析は、Thermo Quest GCQを用いて、EIモードで直接導入法によって行なった。
【0043】
実施例1
攪拌装置、還流管及び滴下ロートを備えた200ml容の3つ口フラスコに、塩化アルミニウム13.3g(0.10モル)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド23.0g(0.10モル)、塩化メチレン60mlを仕込み、アルゴン気流下で、20℃にて、オレンジ色の均一な溶液になるまで、およそ30分間攪拌した。次に、このフラスコに、ビフェニル7.70g(0.050モル)を塩化メチレン10mlに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。その後、この反応混合液を20℃にて5時間攪拌しながら反応させた。得られた赤色溶液を、100gの氷にあけ、析出した白色沈殿を瀘過して、集めた。この沈殿を水洗、メタノール洗浄した後、乾燥することによって、12.0gの4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ビフェニルを得た(収率:45%)。
【0044】
なお、このようにして得られた4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ビフェニルの19F−NMR化学シフトは、−66.00ppm(1F)、−76.61ppm(2F)、−85.55ppm(2F)であり、また、質量分析したところ、488(M+)であった。
【0045】
実施例2
攪拌装置、還流管及び滴下ロートを備えた200ml容の3つ口フラスコに、塩化アルミニウム13.3g(0.10モル)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド23.0g(0.10モル)、塩化メチレン60mlを仕込み、アルゴン気流下で、20℃にて、オレンジ色の均一な溶液になるまで、およそ30分間攪拌した。次に、このフラスコに、ジフェニルスルフィド9.30g(0.050モル)を塩化メチレン10mlに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。その後、この反応混合液を20℃にて5時間攪拌しながら反応させた。得られた赤色溶液を、100gの氷にあけ、有機層を分液し、この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。これにメタノールを加えて、淡黄色沈殿を析出させ、これを瀘過して、集めた。さらに、この沈殿をエタノールで再結晶することによって、12.6gの4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルスルフィドを得た(収率:44%)。
【0046】
なお、このようにして得られた4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルスルフィドの19F−NMR化学シフトは、−65.94ppm(1F)、−76.62ppm(2F)、−85.59ppm(2F)であり、また、質量分析したところ、520(M+)であった。
【0047】
実施例3
攪拌装置、還流管及び滴下ロートを備えた200ml容の3つ口フラスコに、塩化アルミニウム13.3g(0.10モル)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド23.0g(0.10モル)、塩化メチレン60mlを仕込み、アルゴン気流下で、20℃にて、オレンジ色の均一な溶液になるまで、およそ30分間攪拌した。次に、このフラスコに、ジフェニルエーテル8.75g(0.050モル)を塩化メチレン10mlに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。その後、この反応混合液を20℃にて5時間攪拌しながら反応させた。得られた赤色溶液を、100gの氷にあけ、有機層を分液し、この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。これにメタノールを加えて、淡黄色沈殿を析出させ、これを瀘過して、集めた。さらに、この沈殿をエタノールで再結晶することによって、18.4gの4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルを得た(収率:64%)。
【0048】
【発明の効果】
上述したように、本発明の(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニル化合物は、新規な化合物であり、高い機械的強度及び強靭性を発揮し、電気的特性、熱酸化安定性及び溶解性に優れた含フッ素アリールエーテルケトン重合体を提供することができ、このようにして製造された含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、高い機械的強度及び強靭性、優れた電気的特性を有し、通常使用される種々の溶媒に対して優れた溶解度、ならびに耐熱性、耐炎性等の優れた熱安定性、ならびに優れた被覆形成性を有するので、電子部品に対する被覆剤としてでなく、注型品にも好適であることが期待される。
【0049】
また、本発明の4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物の製造方法は、式(II)のジフェニル化合物を2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中に添加した後、反応することを特徴とするものである。この方法により、副生成物たるモノ体の生成が有意に抑制され、目的とするビス体、即ち4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(2)が高い選択率でかつ効率よく製造できる。

Claims (3)

  1. 下記式(I):
    Figure 0004311871
    ただし、Xは、存在しないか、または硫黄原子、炭素原子数が1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のアルキレン基または炭素原子数が1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のハロゲン化されたアルキレン基を表わす、
    で表される4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物。
  2. 前記式(I)において、Xは、メチレン(−CH−)、イソプロピレン(−C(CH−)若しくはヘキサフルオロイソプロピレン(−C(CF−)である、請求項1に記載の4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物。
  3. 下記式(II):
    Figure 0004311871
    ただし、Xは、存在しないか、または硫黄原子、炭素原子数が1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のアルキレン基または炭素原子数が1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のハロゲン化されたアルキレン基を表わす、
    で表されるジフェニル化合物を2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中に添加した後、反応することからなる、4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物の製造方法。
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