JP2002121164A - ビス[(ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル類およびその製造方法 - Google Patents

ビス[(ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル類およびその製造方法

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JP2002121164A
JP2002121164A JP2000312484A JP2000312484A JP2002121164A JP 2002121164 A JP2002121164 A JP 2002121164A JP 2000312484 A JP2000312484 A JP 2000312484A JP 2000312484 A JP2000312484 A JP 2000312484A JP 2002121164 A JP2002121164 A JP 2002121164A
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正自 伊藤
Yasunori Okumura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な4,4’−ビス[(2,3,4,5,
6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル
化合物、および副生成物であるモノ体の生成を抑制し、
高い選択率で目的とする4,4’−ビス[(2,3,
4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジ
フェニル化合物を製造する方法を提供する。 【解決手段】 下記式(I): 【化1】 ただし、Xは、存在しないか、または硫黄原子若しくは
2価の有機基を表わす、で表される4,4’−ビス
[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カ
ルボニル]ジフェニル化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4,4’−ビス
[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カ
ルボニル]ジフェニル化合物およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】高性能を有する含フッ素重合体は、フィ
ルム、光学またはマイクロエレクトロニクス用被覆剤、
ガス分離用膜等として利用される先端材料として極めて
注目をあびている(Cassidy, P.E., Aminabbai, T.M.
及び Farley, J.M., J. Macromol. Sci.-Rev. Macromo
l. Chem. Phys., C29 (2&3), pp.365-429 (1989))。重
合鎖へのフッ素原子の導入は、重合体の溶解度、耐炎
性、熱安定性およびガラス転移温度の増加をもたらし、
さらに着色、結晶性、誘電率および吸湿性をも低下させ
る。このような利点があるので、ヘキサフルオロイソプ
ロピリデン基含有ポリ(アリールエーテルケトン)(P
EK)は、宇宙ならびにエレクトロニクス用に製造され
かつ研究された(Tullos, G.L. 及び Cassidy, P.E., M
acromolecules., 24 , p. 6059-6064 (1991))。最近、
パーフルオロフェニレン基含有ポリ(アリールエーテル
ケトン)が、パーフルオロベンゾフェノンから合成され
た(Mercer, F.W., Fone, M.M., Reddy, V.N. 及び Goo
dwin, A.A., Polymer, 38(8), 1989-1995 (1997))。
【0003】しかしながら、これらの重合体は、未だ溶
解度ならびに耐炎性が充分ではないという欠点がある。
このため、このような特性を有する重合体に対する要
求、さらにはこのような高い機械的強度及び強靭性を有
し、電気的特性、熱酸化安定性及び溶解性に優れる重合
体を製造するための原料に対する要求が強くなされてい
るものの、依然としてこのような重合体や原料は存在し
ていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、高い機械的強度及び強靭性を有し、電気的特
性、熱酸化安定性及び溶解性に優れる新規な4,4’−
ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ
ル)カルボニル]ジフェニル化合物を提供することにあ
る。
【0005】また、本発明の他の目的は、副生成物であ
るモノ体の生成を抑制し、高い選択率で目的とするビス
体である4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペン
タフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物を
製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】これらの諸目的は、下記
(1)〜(6)により達成される。
【0007】(1) 下記式(I):
【0008】
【化3】
【0009】ただし、Xは、存在しないか、または硫黄
原子若しくは2価の有機基を表わす、で表される4,
4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフ
ェニル)カルボニル]ジフェニル化合物。
【0010】(2) 上記2価の有機基はメチレン(−
CH2−)、イソプロピレン(−C(CH32−)、ト
リフルオロイソプロピレン(−C(CF32−)、p−
フェニレン基、または1,4−ジヒドロキシフェニレン
基である、前記(1)に記載の4,4’−ビス[(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニ
ル]ジフェニル化合物。
【0011】(3) 上記Xは存在しないまたは硫黄原
子である、前記(1)に記載の4,4’−ビス[(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニ
ル]ジフェニル化合物。
【0012】(4) 下記式(II):
【0013】
【化4】
【0014】ただし、Xは、存在しないか、または酸素
原子、硫黄原子若しくは2価の有機基を表わす、で表さ
れるジフェニル化合物を2,3,4,5,6−ペンタフ
ルオロベンゾイルクロライド中に添加した後、反応する
ことからなる、4,4’−ビス[(2,3,4,5,6
−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化
合物の製造方法。
【0015】(5) 上記反応は、有機溶剤中でフリー
デルクラフツ触媒の存在下で行われる、前記(4)に記
載の方法。
【0016】(6) 該4,4’−ビス[(2,3,
4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジ
フェニル化合物は下記式(III):
【0017】
【化5】
【0018】で示される化合物である、前記(4)また
は(5)に記載の方法。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】第一の態様によると、本発明は、4,4’
−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ
ル)カルボニル]ジフェニル化合物は、前記式(I)で
表される新規な化合物(本明細書中では、単に「4,
4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフ
ェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(1)」とも称
する。)を提供するものである。
【0021】前記式(I)において、Xは、存在しない
または硫黄原子若しくは2価の有機基を表わす。なお、
本明細書において、「Xが存在しない」とは、4,4’
−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ
ル)カルボニル]ジフェニル化合物(1)が、ビフェニ
ルの4、4’の位置に2,3,4,5,6−ペンタフル
オロベンゾイル基がそれぞれ結合した化合物、即ち、下
記式:
【0022】
【化6】
【0023】で表される化合物であることを意味する。
また、上記式(I)において、Xは、2価の有機基を表
わすが、具体的には、メチレン(−CH2−)、エチレ
ン(−CH2CH2−)、プロピレン(−CH2CH(C
3)−)、イソプロピレン(−C(CH32−)、ト
リメチレン(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン
(−CH2(CH22CH2−)、ペンタメチレン(−C
2(CH23CH2−)、ヘキサメチレン(−CH
2(CH24CH2−)、プロペニレン(−CH2CH=
CH−)、及びビニレン(−CH=CH−)等の、炭素
原子数が、通常、1〜6、好ましくは1〜3の直鎖若し
くは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のアルキレン基;ヘ
キサフルオロイソプロピレン(−C(CF32−)、
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキ
サメチレン(−CH2(CF24CH2−)、及び2,
2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカ
フルオロオクタメチレン(−CH2(CF26CH2−)
等の、炭素原子数が、通常、1〜6、好ましくは1〜3
の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和のハロゲ
ン化されたアルキレン基;式:−CH2−CH2−O−C
2−CH2−で表わされる基;ならびにo−、m−及び
p−フェニレン基及び1,4−ジヒドロキシフェニレン
基などが挙げられる。なお、本発明による2価の有機基
において、炭素原子に直接結合する水素がハロゲン原
子、低級アルキル基または低級アルコキシル基でさらに
置換されていてもよい。これらのうち、メチレン(−C
2−)、イソプロピレン(−C(CH32−)、ヘキ
サフルオロイソプロピレン(−C(CF32−)、p−
フェニレン基及び1,4−ジヒドロキシフェニレン基が
Xとしての2価の有機基として好ましい。
【0024】第一の態様において、式(I)中のXは、
存在しない、硫黄原子、メチレン、イソプロピレン、ヘ
キサフルオロイソプロピレン、p−フェニレン基及び
1,4−ジヒドロキシフェニレン基より好ましくは、存
在しないまたは硫黄原子を表わす。
【0025】第二の態様によると、本発明は、前記式
(II)で表されるジフェニル化合物(本明細書中で
は、単に「ジフェニル化合物」とも称する。)を2,
3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド
中に添加した後、反応することからなる、4,4’−ビ
ス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)
カルボニル]ジフェニル化合物(本明細書中では、単に
「4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフル
オロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(2)」
とも称する。)、特に前記式(III)で表わされる
4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオ
ロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物の製造方法
を提供するものである。本発明は、従来のようにジフェ
ニル化合物中に2,3,4,5,6−ペンタフルオロベ
ンゾイルクロライド中にジフェニル化合物を添加して反
応を行なうと、ジフェニル化合物の4、4’の位置の一
方にのみ2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイ
ルクロライドが結合するモノ体、即ち下記式:
【0026】
【化7】
【0027】で表される化合物が副生成物として多量に
生成してしまい、目的とする4,4’−ビス[(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニ
ル]ジフェニル化合物(2)の選択率および収率が許容
できない程度にまで低くなってしまうという事情を鑑み
てなされたものであり、本発明の方法によるように、
2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロラ
イド中にジフェニル化合物を添加して反応を行なうこと
によって、副生成物であるモノ体の生成が有意に抑制さ
れ、目的とするビス体、即ち4,4’−ビス[(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニ
ル]ジフェニル化合物(2)が高い選択率でかつ効率よ
く製造できることを知得し、これにより本発明を完成す
るに至った。
【0028】上記式(II)及び(III)において、
Xは、存在しないまたは酸素原子、硫黄原子若しくは2
価の有機基を表わし、2価の有機基に関しては、上記第
一の態様における定義と同様である。
【0029】第二の態様において、式(II)及び(I
II)中のXは、存在しない、酸素原子、硫黄原子、メ
チレン、イソプロピレン、ヘキサフルオロイソプロピレ
ン、p−フェニレン基及び1,4−ジヒドロキシフェニ
レン基、より好ましくは、存在しないまたは酸素原子若
しくは硫黄原子を表わす。
【0030】第二の態様による製造方法は、2,3,
4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド中に
ジフェニル化合物を添加することを必須要件とする以外
は、公知の方法と同様にして行なわれる。第二の態様に
よる製造方法の一実施態様によると、4,4’−ビス
[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カ
ルボニル]ジフェニル化合物(2)は、有機溶剤中でフ
リーデルクラフツ触媒の存在下で、ジフェニル化合物を
2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロラ
イド中に添加して、この反応混合物を反応させることよ
って得られる。この際、2,3,4,5,6−ペンタフ
ルオロベンゾイルクロライド中にジフェニル化合物を仕
込んで反応させる方法は、2,3,4,5,6−ペンタ
フルオロベンゾイルクロライド中にジフェニル化合物を
添加する工程を含むものであれば、特に制限されること
ない。より具体的には、(1)予め2,3,4,5,6
−ペンタフルオロベンゾイルクロライドならびにフリー
デルクラフツ触媒および/または有機溶剤を混合し、混
合溶液を調製し、この溶液中に、ジフェニル化合物を、
必要であれば有機溶剤に溶解した後、一括若しくは連続
的に(例えば、滴下して)仕込んで反応させる方法;
(2)2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル
クロライドを有機溶剤に溶解し、この溶液中に、フリー
デルクラフツ触媒を、必要であれば有機溶剤に混合した
溶液として、およびジフェニル化合物を、必要であれば
有機溶剤に溶解した溶液として、それぞれ、一括して、
順次若しくは連続的に(例えば、滴下して)仕込んで反
応させる方法;(3)フリーデルクラフツ触媒を有機溶
剤に混合し、この溶液中に、2,3,4,5,6−ペン
タフルオロベンゾイルクロライドを、必要であれば有機
溶剤に溶解した溶液として、一括若しくは連続的に(例
えば、滴下して)仕込み、さらに、この混合溶液中に、
ジフェニル化合物を、必要であれば有機溶剤に溶解した
溶液として、それぞれ、一括若しくは連続的に(例え
ば、滴下して)仕込んで反応させる方法;ならびに
(4)2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル
クロライド中に、フリーデルクラフツ触媒を、必要であ
れば有機溶剤に溶解した溶液として、およびジフェニル
化合物を、必要であれば有機溶剤に溶解した溶液とし
て、それぞれ、一括して、順次若しくは連続的に(例え
ば、滴下して)仕込んで反応させる方法などが挙げられ
る。これらの方法のうち、製造工程の煩雑さ、生産性、
設備面及びコスト面などを考慮すると、上記(1)の方
法が好ましく使用される。
【0031】上記(1)の方法において、操作の手間な
どを考慮すると、予め、2,3,4,5,6−ペンタフ
ルオロベンゾイルクロライド、フリーデルクラフツ触媒
及び有機溶剤をすべて所定量仕込んで、混合して、混合
溶液を調製することが好ましい。この際、各成分を所定
量仕込んだ後、−20〜100℃、好ましくは0〜50
℃で、均一な溶液になるまで、攪拌しながら混合するこ
とによって、混合溶液を調製することがより好ましい。
【0032】この際、有機溶剤としては、特に制限され
るものではないが、2,3,4,5,6−ペンタフルオ
ロベンゾイルクロライドと反応しない溶剤が好ましく使
用される。このような有機溶剤としては、例えば、塩化
メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、二硫
化炭素及びニトロベンゼン、及びベンゾニトリル等が挙
げられる。これらのうち、塩化メチレン及び1,2−ジ
クロロエタンが好ましく使用される。有機溶剤の使用量
は、有機溶剤における2,3,4,5,6−ペンタフル
オロベンゾイルクロライドの濃度が5〜60質量%、好
ましくは10〜40質量%となるような量である。
【0033】上記態様において使用できるフリーデルク
ラフツ触媒は、特に制限されず、公知のフリーデルクラ
フツ触媒が使用できるが、例えば、塩化アルミニウム、
塩化アンチモン、塩化第二鉄、塩化第一鉄、四塩化チタ
ン、三フッ化ホウ素、四塩化錫、塩化ビスマス、塩化亜
鉛、塩化水銀、硫酸及びポリリン酸等が挙げられる。こ
れらのうち、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化第一
鉄、四塩化錫、及び塩化亜鉛が好ましく使用される。ま
た、フリーデルクラフツ触媒の使用量は、2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド1モルに
対して、0.1〜10モル、好ましくは0.5〜5モル
である。
【0034】また、上記(1)の方法によると、このよ
うにして調製された混合溶液中に、ジフェニル化合物
を、必要であれば有機溶剤に溶解した後、一括若しくは
連続的に(例えば、滴下して)仕込んで反応させるが、
好ましくはこのようにして調製された混合溶液中に、ジ
フェニル化合物を所定量有機溶剤中に溶解した溶液を、
連続的に、より好ましくは滴下することにより、添加す
ることが好ましい。この際、使用できる有機溶剤の例示
及び好ましい例示は、上記混合溶液の調製について述べ
たのと同様であり、後工程の分離の工程の必要性などを
考慮すると、より好ましくは、上記混合溶液の調製で使
用されるのと同じ種類の有機溶剤を使用する。また、有
機溶剤の使用量は、有機溶剤におけるジフェニル化合物
の濃度が5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%
となるような量である。
【0035】なお、第二の態様において、ジフェニル化
合物の溶液の滴下量(速度)は、混合溶液中の2,3,
4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド、有
機溶剤中のジフェニル化合物の濃度や反応条件などによ
って異なる。
【0036】第二の態様において、ジフェニル化合物と
2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロラ
イドとの混合比率は、化学量論的には1:2(モル比)
であるが、実際には、ジフェニル化合物と2,3,4,
5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライドとの反応
が効率良く進行する範囲であれば特に制限されるもので
はないが、通常、ジフェニル化合物の使用量は、2,
3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルクロライド
1モル当たり、0.1〜0.6モル、好ましくは0.4
〜0.55モルとなるような量である。すなわち、ジフ
ェニル化合物の使用量が0.1モル未満では、過剰な
2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイルが反応
に使用されず、好ましくない。これに対して、ジフェニ
ルエーテルの使用量が0.6モルを越えると、未反応の
ジフェニル化合物や副生成物たるモノ体が多量に残り、
目的とする4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペ
ンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物
(2)の選択率や収率が低下し、生産性の面で好ましく
ない。
【0037】また、第二の態様において、ジフェニル化
合物と2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル
クロライドとの反応は、−20〜100℃、より好まし
くは0〜50℃の温度で、通常、1〜24時間、好まし
くは1〜12時間、行なわれることが好ましい。このよ
うな反応によって得られる目的生成物は、(ア)反応混
合物を氷にあけ、析出した沈殿を瀘過して集め、集めら
れた沈殿を水、メタノール、エタノールなどの溶媒で洗
浄した後、乾燥することによって;(イ)反応混合物を
氷にあけ、目的産物が含まれる有機層を分液し、この有
機層を硫酸マグネシウムなどで乾燥・濃縮した後、濃縮
液を水、メタノール、エタノールなどの溶媒で析出さ
せ、沈殿を瀘過し、集められた沈殿を乾燥することによ
って;または(ウ)反応混合物に水を注加し、ジクロロ
メタン、ジクロロエタンまたは四塩化炭素等の抽出剤で
抽出した後、有機層を抽出物から分離し、抽出剤を留去
することによって、得られる。さらに、この生成物を、
必要であれば、メタノール、エタノールなどで再結晶化
することなどによって、さらに精製してもよい。
【0038】このようにして得られた4,4’−ビス
[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カ
ルボニル]ジフェニル化合物(2)は、高い機械的強度
及び強靭性を有し、電気的特性、熱酸化安定性及び溶解
性に優れるため、このような特性が要求される重合体の
原料として好適に使用される。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0040】なお、下記実施例において、物性の評価
は、つぎのようにして行なった。
【0041】NMRスペクトルは、Varian Me
rcury 200を用いて記録した。なお、19F−N
MRスペクトルは、重アセトンを希釈溶媒として、また
トリフルオロ酢酸を内部標準として用いて、記録され
た。
【0042】また、質量分析は、Thermo Que
st GCQを用いて、EIモードで直接導入法によっ
て行なった。
【0043】実施例1 攪拌装置、還流管及び滴下ロートを備えた200ml容
の3つ口フラスコに、塩化アルミニウム13.3g
(0.10モル)、2,3,4,5,6−ペンタフルオ
ロベンゾイルクロライド23.0g(0.10モル)、
塩化メチレン60mlを仕込み、アルゴン気流下で、2
0℃にて、オレンジ色の均一な溶液になるまで、およそ
30分間攪拌した。次に、このフラスコに、ビフェニル
7.70g(0.050モル)を塩化メチレン10ml
に溶解した溶液を1時間かけて滴下した。その後、この
反応混合液を20℃にて5時間攪拌しながら反応させ
た。得られた赤色溶液を、100gの氷にあけ、析出し
た白色沈殿を瀘過して、集めた。この沈殿を水洗、メタ
ノール洗浄した後、乾燥することによって、12.0g
の4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオ
ロベンゾイル)ビフェニルを得た(収率:45%)。
【0044】なお、このようにして得られた4,4’−
ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイ
ル)ビフェニルの19F−NMR化学シフトは、−66.
00ppm(1F)、−76.61ppm(2F)、−
85.55ppm(2F)であり、また、質量分析した
ところ、488(M+)であった。
【0045】実施例2 攪拌装置、還流管及び滴下ロートを備えた200ml容
の3つ口フラスコに、塩化アルミニウム13.3g
(0.10モル)、2,3,4,5,6−ペンタフルオ
ロベンゾイルクロライド23.0g(0.10モル)、
塩化メチレン60mlを仕込み、アルゴン気流下で、2
0℃にて、オレンジ色の均一な溶液になるまで、およそ
30分間攪拌した。次に、このフラスコに、ジフェニル
スルフィド9.30g(0.050モル)を塩化メチレ
ン10mlに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。そ
の後、この反応混合液を20℃にて5時間攪拌しながら
反応させた。得られた赤色溶液を、100gの氷にあ
け、有機層を分液し、この有機層を硫酸マグネシウムで
乾燥した後、濃縮した。これにメタノールを加えて、淡
黄色沈殿を析出させ、これを瀘過して、集めた。さら
に、この沈殿をエタノールで再結晶することによって、
12.6gの4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペ
ンタフルオロベンゾイル)ジフェニルスルフィドを得た
(収率:44%)。
【0046】なお、このようにして得られた4,4’−
ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイ
ル)ジフェニルスルフィドの19F−NMR化学シフト
は、−65.94ppm(1F)、−76.62ppm
(2F)、−85.59ppm(2F)であり、また、
質量分析したところ、520(M+)であった。
【0047】実施例3 攪拌装置、還流管及び滴下ロートを備えた200ml容
の3つ口フラスコに、塩化アルミニウム13.3g
(0.10モル)、2,3,4,5,6−ペンタフルオ
ロベンゾイルクロライド23.0g(0.10モル)、
塩化メチレン60mlを仕込み、アルゴン気流下で、2
0℃にて、オレンジ色の均一な溶液になるまで、およそ
30分間攪拌した。次に、このフラスコに、ジフェニル
エーテル8.75g(0.050モル)を塩化メチレン
10mlに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。その
後、この反応混合液を20℃にて5時間攪拌しながら反
応させた。得られた赤色溶液を、100gの氷にあけ、
有機層を分液し、この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥
した後、濃縮した。これにメタノールを加えて、淡黄色
沈殿を析出させ、これを瀘過して、集めた。さらに、こ
の沈殿をエタノールで再結晶することによって、18.
4gの4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフ
ルオロベンゾイル)ジフェニルエーテルを得た(収率:
64%)。
【0048】
【発明の効果】上述したように、本発明の(2,3,
4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニル化
合物は、新規な化合物であり、高い機械的強度及び強靭
性を発揮し、電気的特性、熱酸化安定性及び溶解性に優
れた含フッ素アリールエーテルケトン重合体を提供する
ことができ、このようにして製造された含フッ素アリー
ルエーテルケトン重合体は、高い機械的強度及び強靭
性、優れた電気的特性を有し、通常使用される種々の溶
媒に対して優れた溶解度、ならびに耐熱性、耐炎性等の
優れた熱安定性、ならびに優れた被覆形成性を有するの
で、電子部品に対する被覆剤としてでなく、注型品にも
好適であることが期待される。
【0049】また、本発明の4,4’−ビス[(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニ
ル]ジフェニル化合物の製造方法は、式(II)のジフ
ェニル化合物を2,3,4,5,6−ペンタフルオロベ
ンゾイルクロライド中に添加した後、反応することを特
徴とするものである。この方法により、副生成物たるモ
ノ体の生成が有意に抑制され、目的とするビス体、即ち
4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフルオ
ロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物(2)が高
い選択率でかつ効率よく製造できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08G 65/34 C08G 65/34

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I): 【化1】 ただし、Xは、存在しないか、または硫黄原子若しくは
    2価の有機基を表わす、で表される4,4’−ビス
    [(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)カ
    ルボニル]ジフェニル化合物。
  2. 【請求項2】 該2価の有機基はメチレン(−CH
    2−)、イソプロピレン(−C(CH32−)またはト
    リフルオロイソプロピレン(−C(CF32−)であ
    る、請求項1に記載の4,4’−ビス[(2,3,4,
    5,6−ペンタフルオロフェニル)カルボニル]ジフェ
    ニル化合物。
  3. 【請求項3】 下記式(II): 【化2】 ただし、Xは、存在しないか、または酸素原子、硫黄原
    子若しくは2価の有機基を表わす、で表されるジフェニ
    ル化合物を2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾ
    イルクロライド中に添加した後、反応することからな
    る、4,4’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフ
    ルオロフェニル)カルボニル]ジフェニル化合物の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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