JP2021178801A - ホウ素系マグネシウム塩の製造方法、電解液の製造方法、ホウ素系マグネシウム塩、電解液、及び、二次電池 - Google Patents

ホウ素系マグネシウム塩の製造方法、電解液の製造方法、ホウ素系マグネシウム塩、電解液、及び、二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】マグネシウム二次電池の電解液に用いた場合に、優れた電気化学活性が得られるホウ素系マグネシウム塩を製造することができる、ホウ素系マグネシウム塩の製造方法の提供。【解決手段】式1:Mg(OR1)2で表されるマグネシウム源化合物と、式2:B(OR2)3で表されるホウ素源化合物と、を反応させて、式3:Mg[B(OR1)(OR2)3]2で表されるホウ素系マグネシウム塩を含む反応生成物を得る、ホウ素系マグネシウム塩の製造方法。(式中、R1及びR2はハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する1価の炭化水素基であり、式2及び式3中のR2はそのいずれか2つ以上が互いに結合して分子内で環を形成してもよい。)【選択図】図1

Description

本発明は、ホウ素系マグネシウム塩の製造方法、電解液の製造方法、ホウ素系マグネシウム塩、電解液、及び、二次電池に関する。
マグネシウム二次電池用の電解液として、ホウ素系マグネシウム塩(Magnesium organo−borate)の利用が期待されている。
ホウ素系マグネシウム塩の製造方法として、非特許文献1には、水素化ホウ素マグネシウム塩を基質として、8当量以上のアルコールと反応させる方法(式A)が記載されている。なお、式A中Rは、フルオロアルキル基を表す。
式A:Mg(BH)+8ROH→Mg[B(OR)
Journal of Materials Chemistry A,(英),2017,vol.5,No.22,p.10815−10820
本発明者は、非特許文献1に記載された方法により製造したホウ素系マグネシウム塩をマグネシウム二次電池の電解液として用いると、所望の電気化学活性を得られない場合があることを知見している。
そこで、本発明は、マグネシウム二次電池の電解液に用いた場合に、優れた電気化学活性が得られるホウ素系マグネシウム塩を製造することができる、ホウ素系マグネシウム塩の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、電解液の製造方法、ホウ素系マグネシウム塩、電解液、及び、二次電池を提供することも課題とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 後述する式1:Mg(ORで表されるマグネシウム源化合物と、後述する式2:B(ORで表されるホウ素源化合物と、を反応させて、後述する式3:Mg[B(OR)(ORで表されるホウ素系マグネシウム塩を含む反応生成物を得る、ホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
[2] 後述する式4:Mg(Rで表される化合物、又は、後述する式5:Mg(ORで表される化合物と、後述する式6:ROHで表される化合物と、を反応させて、上記マグネシウム源化合物を得ることを含む、[1]に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
[3] 上記式4で表される化合物と、上記式6で表される化合物とを反応させて、上記マグネシウム源化合物を得ることを含む、[1]に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
[4] 上記Rが、直鎖状、又は、分岐鎖状であって、炭素数が10個以下のアルキル基である、[2]又は[3]に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
[5] 上記Rが、直鎖状、又は、分岐鎖状であって、炭素数4個以下のアルキル基である、[2]又は[3]に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
[6] ボラン錯体と、後述する式7:ROHで表される化合物、又は、後述する式8:R(OH)で表される化合物と、を反応させて、上記ホウ素源化合物を得ることを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
[7] 上記ボラン錯体と、上記式7で表される化合物とを反応させて、上記ホウ素源化合物を得ることを含む、[6]に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
[8] 上記Rの炭素数が1〜6個である、[1]〜[7]のいずれかに記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
[9] 上記反応生成物を非プロトン性溶媒で洗浄することを含む、[1]〜[8]のいずれかに記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法によりホウ素系マグネシウム塩を製造することと、上記ホウ素系マグネシウム塩と溶媒とを混合して、電解液を得ることとを含む、電解液の製造方法。
[11] 後述する式9:Mg[B(ORで表されるホウ素系マグネシウム塩。
[12] 上記Rで表される基の炭素数が1〜6個である、[11]に記載のホウ素系マグネシウム塩。
[13] 上記Rで表される基の少なくとも1つが後述する式1R:*−L−C(R(CX3−nで表される基である、[11]に記載のホウ素系マグネシウム塩。
[14] [11]〜[13]のいずれかに記載のホウ素系マグネシウム塩と、溶媒とを含有する電解液。
[15] 上記溶媒が後述する式11:R11(OCOR12で表される化合物を含有する、[14]に記載の電解液。
[16] [14]又は[15]に記載の電解液を備える二次電池。
本発明によれば、マグネシウム二次電池の電解液に用いた場合に、優れた電気化学活性が得られるホウ素系マグネシウム塩を製造することができる。
また、本発明によれば、電解液の製造方法、ホウ素系マグネシウム塩、電解液、及び、二次電池も提供できる。
本発明の実施形態に係る二次電池の構成を示す模式図である。 サイクル電圧電流テストの結果である。 サイクル電圧電流テストの結果である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明者は、非特許文献1に記載された方法により製造したホウ素系マグネシウム塩をマグネシウム二次電池の電解液に適用した場合、所望の電気化学活性が得られない場合がある理由について鋭意検討してきた。
具体的には、式Aで表される反応によってホウ素系マグネシウム塩を複数回合成し、得られた生成物について、それぞれに電気化学活性を評価するという、ち密な実験を粘り強く繰り返してきた。
その結果、同一の方法で合成した生成物を用いて、同一の方法で電気化学活性を評価しているにも関わらず、結果にばらつきがあり、所望の電気化学活性が全く得られない場合さえあることを知見した。
本発明者は、上記の原因について検討するため、得られた生成物について様々な観点から分析を行った。その結果、式Aで表される反応によって得られる反応生成物には、ホウ素系マグネシウム塩以外の不純物が含まれる場合があることを知見した。このことから、電気化学活性のばらつきは、反応生成物に含まれる不純物が原因していると本発明者は推測した。
電気化学活性に影響を与える可能性のある上記の不純物の由来を本発明者は更に検討した。その結果、上記不純物は、式Aの反応における基質として使用される水素化ホウ素マグネシウムの製造工程に由来する可能性が高いことを知見した。
上記の知見に基づき、本発明者は、水素化ホウ素マグネシウムによらない(水素化ホウ素マグネシウムを用いない)合成経路によりホウ素系マグネシウム塩を合成すれば、それを電解液に用いた場合に、より優れた電気化学活性が得られるとの着想を得た。
この着想を元に検討した結果、後述する式1で表されるマグネシウム源化合物と、後述する式2で表されるホウ素源化合物とを反応させ、式3で表されるホウ素系マグネシウム塩を得る方法によれば、得られた反応生成物を電解液に用いた場合に優れた電気化学活性が得られることを本発明者は突き止め、本発明を完成させた。
[ホウ素系マグネシウム塩の製造方法]
以下では、本発明の実施形態に係るホウ素系マグネシウム塩の製造方法(以下、「本製造方法」ともいう。)について詳述する。本製造方法は、以下の工程1を含み、後述する工程2、及び/又は、工程3を更に含むことが好ましい。
(工程1)
本発明の実施形態に係るホウ素系マグネシウム塩の製造方法は、式1:Mg(ORで表されるマグネシウム源化合物と、式2:B(ORで表されるホウ素源化合物と、を反応させて、式3:Mg[B(OR)(ORで表されるホウ素系マグネシウム塩を含む反応生成物を得ること(以下、「工程1」ともいう。)を含む。
Figure 2021178801
ここで、式1、及び、式3中、Rはハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する1価の炭化水素基であり、分子内に複数あるRは同一でも異なってもよく、式2、及び、式3中、Rはハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する炭化水素基であり、分子内に複数あるRは同一でも異なってもよく、いずれか2つ以上のRが互いに結合して環を形成してもよい。
ここで、「ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する1価の炭化水素基」とは、例えば、1価の炭化水素基の部分構造としてハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する基が挙げられる。その場合、全体としては1価の炭化水素基であって、その一部にハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を部分構造として有する基を意味し、これには、ハロゲン原子で置換されたアルキル基自体(例えば、パーフルオロアルキル基等)も包含される。
工程1の反応は、典型的には、以下の式S1によって表せる。
式S1:Mg(OR+2B(OR→Mg[B(OR)(OR
Figure 2021178801
上記式S1で表される反応によりホウ素系マグネシウム塩が得られるのは、ホウ素(B(III))は、マグネシウム(Mg(II))よりも強いルイス酸性を有する(正電荷密度が高い)ためであると推測される。
ルイス酸性の異なるイオンが同一系中に併存すると、より強いルイス酸性を有するイオン種が負電荷をより強く引き付ける。従って、より強いルイス酸性を有するホウ素がより強くアニオン種を引き付け、マグネシウムと相互作用しているアニオン種がホウ素化合物側に引き抜かれ、結果として、目的とするホウ素系マグネシウム塩が得られたものと推測される。
式S1で表される反応の反応条件としては、不活性ガス雰囲気(アルゴン雰囲気が好ましい)で、マグネシウム源化合物及びホウ素源化合物を溶媒に溶解させて溶液を調製し、調整した溶液を10〜40℃で30分〜48時間保持すればよい。
この際、使用される溶媒としては、水を含有しなければ特に制限されないが、一般に、鎖状エーテル、及び、環状エーテル等が好ましい。
環状エーテルは、例えば、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル、及び、これらの誘導体が挙げられ、テトラヒドロフランが好ましい。
鎖状エーテルは、例えば、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル、及び、これらの誘導体が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、後述する特定エーテル化合物等が好ましく、なかでも、1,2−ジメトキシエタン(DME)が好ましい。
工程1において、マグネシウム源化合物、及び、ホウ素源化合物の仕込み量は、特に制限されないが、ホウ素系マグネシウム塩の収率がより高まりやすい点で、系中のマグネシウム源化合物の量(仕込み量)に対する、ホウ素源化合物の量(仕込み量)のモル比(ホウ素源化合物/マグネシウム源化合物)が1.80〜2.80が好ましく、2.01〜2.60が好ましい。
ホウ素源化合物の量をマグネシウム源化合物に対して過剰とすると、反応後に、反応生成物から過剰のホウ素源化合物を溶媒洗浄で除去することで、ホウ素系マグネシウム塩をより容易に高純度化できる点で好ましい。
典型的には、ホウ素系マグネシウム塩は水と接触すると分解してしまうため、再結晶により高純度化は難しかった。再結晶は、加熱、冷却、及び、溶媒添加等の操作を必要とし、これらの操作のうちに系中に水が混入してしまう可能性があるからである。
また、従来の水素化マグネシウムを基質とした合成方法では、不純物の多くが水素化マグネシウムの塩等であるため、ホウ素系マグネシウム塩との分離は非常に困難だった。
本製造方法は、上記のとおり、反応生成物を溶媒洗浄するだけで、ホウ素系マグネシウム塩を高純度化できる点も優れている。
式1及び式3中、Rは、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する1価の炭化水素基である。このハロゲン原子としては特に制限されず、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、及び、ヨウ素原子(I)等が挙げられ、より優れた本発明の効果が得られる点で、フッ素原子が好ましい。
の炭化水素基の全体の炭素数としては特に制限されないが、一般に、1個以上、20個以下が好ましく、10個以下がより好ましく、8個以下が更に好ましく、6個以下が特に好ましく、4個以下が最も好ましい。
また、Rの炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれであってもよいが、より優れた本発明の効果を有するホウ素系マグネシウム塩が得られる点で、直鎖状、又は、分岐鎖状が好ましく、直鎖状、又は、分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
の炭化水素基は、全体として炭素数が1〜10個の直鎖状、又は、分岐鎖状であって、水素原子の少なくとも1つ以上がハロゲン原子(フッ素原子が好ましい)で置換されたアルキル基を有することが好ましく;全体として炭素数が1〜8個の直鎖状、又は、分岐鎖状であって、水素原子の少なくとも1つ以上がハロゲン原子(フッ素原子が好ましい)で置換されたアルキル基を有することがより好ましく;全体として炭素数が1〜5個の直鎖状、又は、分岐鎖状であって、水素原子の少なくとも1つ以上がハロゲン原子(フッ素原子が好ましい)で置換されたアルキル基を有することが更に好ましく;全体として炭素数が1〜4個の直鎖状、又は、分岐鎖状であって、ハロゲン原子(フッ素原子が好ましい)で置換されたアルキル基そのものであることが特に好ましい。
の炭素数が1〜5個であると、ホウ素系マグネシウム塩のアニオンのサイズがより小さく、カチオンの運動性がより向上する点で好ましい。
の炭化水素基がハロゲン原子で置換されたアルキル基(ハロゲン化アルキル基)を有している場合、ハロゲン原子の電子を引き寄せる性質により、ホウ素系マグネシウム塩のアニオン中の電子をより非局在化させ、酸化耐性がより向上する。
の炭化水素基が有するハロゲン化アルキル基の数は特に制限されず、1個以上が好ましく、炭素原子に結合した水素原子のすべてがハロゲン化アルキル基で置換されていることがより好ましい。
炭素数が1〜10個の直鎖状、又は、分岐鎖状のアルキル基としては、以下の基が挙げられる。
炭素数が1個のメチル基;
炭素数が2個のエチル基;
炭素数が3個のプロピル基、イソプロピル基;
炭素数が4個のブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基;
炭素数が5個のペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基;
炭素数が6個のヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基;
炭素数が7個のヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、2,3,3−トリメチルブチル基;
炭素数が8個のオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、3−エチル−3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルブチル基、2,2−ジエチルブチル基、1,1,2,2−テトラメチルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2,2,3,3−テトラメチルブチル基、1,1−ジメチル−2−エチルブチル基;
炭素数が9個のノニル基、2−メチルオクチル基、3−メチルオクチル基、4−メチルオクチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,3−ジメチルヘプチル基、2,4ジメチルヘプチル基、2,6ジメチルヘプチル基、3,3ジメチルヘプチル基、3,4ジメチルヘプチル基、3,5ジメチルヘプチル基、4,4ジメチルヘプチル基、3−エチルヘプチル基、4−エチルヘプチル基、2,2,3−トリメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルヘキシル基、2,2,5−トリメチルヘキシル基、2,3,3−トリメチルヘキシル基、2,3,4−トリメチルヘキシル基、2,3,5−トリメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルヘキシル基、3,3,4−トリメチルヘキシル基、2メチル−3−エチルヘキシル基、3−メチル−3−エチルヘキシル基、3−エチル−4−メチルヘキシル基、3−エチル−5−メチルヘキシル基、2,2,3,3−テトラメチルペンチル基、2,2,3,4−テトラメチルペンチル基、2,2,4,4−テトラメチルペンチル基、2,3,3,4−テトラメチルペンチル基、2,2−ジメチル−3−エチルペンチル基、2,3−ジメチル−3−エチルペンチル基、2,4−ジメチル−3−エチルペンチル基、3,3−ジエチルペンチル基;炭素数が10個のデシル基、イソデシル基;等が挙げられる。
が有してもよいハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、上記のアルキル基が有する水素原子の少なくとも1つ以上がハロゲン原子(フッ素原子が好ましい)で置換された基が挙げられ、なかでも、パーフルオロアルキル基が好ましく、炭素数が1〜4個のパーフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
で表される1価の炭化水素基としては、式1R:*−L−C(R(CX3−nで表される基が好ましい。
Figure 2021178801
なお、式1R中、Lは単結合、又は、2価の炭化水素基(好ましくは炭素数が1〜4個のアルキレン基)を表し、Rは水素原子、又は、1価の炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を表し、nは0〜3の整数を表す。なお、*は結合位置を表し、以下、本明細書において同様である。
式1R中、Lは単結合が好ましい。
式1R中、Rの1価の炭化水素基としては炭素数が1〜10個のアルキル基、炭素数が2〜10個のアルケニル基、炭素数が3〜10個のアリール基、及び、炭素数が7〜10個のアラルキル基等が挙げられ、いずれもハロゲン原子で置換されていないことが好ましい。
の炭素数が1〜10個のアルキル基は、例えば、Rの説明で例示した直鎖状、又は、分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
また、Rは環状のアルキル基であってもよく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[3.3.1]ノニル基、ビシクロ[3.2.2]ノニル基、及び、アダマンチル基等であってもよい。
の炭素数が1〜10個のアルケニル基としては、例えば、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−3−ブチニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、2−ヘプチニル基、3−ヘプチニル基、4−ヘプチニル基、5−ヘプチニル基、6−ヘプチニル基、2−オクチニル基、3−オクチニル基、4−オクチニル基、5−オクチニル基、6−オクチニル基、7−オクチニル基、2−ノニニル基、8−ノニニル基、2−デシニル基、及び、9−デシニル基等が挙げられる。
の炭素数が3〜10のアリール基としては、例えば、フェニル、o−トリル、m−トリル、及び、p−トリル等が挙げられる。
の炭素数が7〜10個のアラルキル基としては、ベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル、1−メチル−2−フェネチル、1−メチル−1−フェネチル、1,1−ジメチル−2−フェネチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、1−メチル−2−フェニルプロピル、2−メチル−2−フェニルプロピル、1−フェニルブチル、2−フェニルブチル、3−フェニルブチル、及び、4−フェニルブチル等が挙げられる。
式1で表されるマグネシウム源化合物を得る方法は特に制限されず、市販品を購入してもよいし、公知の方法を用いて合成してもよい。公知の方法としては、例えば、Chemistry of Materials,(米),2010,vol.22,No.4,p.1376−1385に記載された方法等が挙げられる。
なかでも、より簡便にマグネシウム源化合物が得られる点で、後述する式4で表されるジアルキルマグネシウム、又は、後述する式5で表されるジアルコキシマグネシウムと、後述する式6で表されるアルコールとを反応させてマグネシウム源化合物を得る方法が好ましい。
本製造方法は、上記工程(以下、「工程2」ともいう。)を含むことが好ましい。
(工程2)
本製造方法は工程2を含むことが好ましい。工程2は、式4:Mg(Rで表される化合物、又は、式5:Mg(ORで表される化合物と、式6:ROHで表される化合物と、を反応させて、マグネシウム源化合物を得ること(工程)である。
Figure 2021178801
なお、式4及び5中、Rはアルキル基(好ましくは炭素数が1〜10個のアルキル基)を表し、複数あるRは同一でも異なってもよく、式6中、Rは、式1のRと同一の基を表す。
上記反応は、典型的には、式4で表される化合物を基質とする以下の式S2−1、又は、式5で表される化合物を基質とする以下の式S2−2でそれぞれ表すことができる。
式S2−1:Mg(R+2ROH → Mg(OR+2HR
式S2−2:Mg(OR+2ROH → Mg(OR+2HOR
Figure 2021178801
なかでも、マグネシウム源化合物の精製がより容易である点で、式S2−1で表される方法が好ましい。
なお、上記反応は、例えば、不活性ガス雰囲気下において式4、又は、式5で表される化合物の溶液を撹拌しながら式6で表されるアルコールを滴下することで進行する。この際の反応温度としては特に制限されないが、式6で表されるアルコールを滴下した後、0〜40℃に維持することが好ましく、式6で表されるアルコールの揮発がより抑制される点で、滴下時に0〜10℃に維持した後、その後、温度を上げて、10〜40℃に維持することがより好ましい。
また、反応溶媒としては、水を含有しなければ特に制限されないが、なかでも、鎖状エーテル、及び、環状エーテル等が好ましい。
環状エーテルは、例えば、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル、及び、これらの誘導体が挙げられ、テトラヒドロフランが好ましい。
鎖状エーテルは、例えば、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル、及び、これらの誘導体が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、後述する特定エーテル化合物等が好ましく、なかでも、1,2−ジメトキシエタン(DME)が好ましい。
本製造方法が工程2を含む場合、工程2の後、工程1を実施してもよいし、工程2と工程1とを連続又は同時に行ってもよい。また、本製造方法が後述する工程3を更に含む場合、工程1〜3の順番としては特に制限されないが、工程2及び3を実施したあと、工程1を実施するのが好ましい。また、工程2を実施した後、工程1と3を併せて実施してもよい。
式4中、Rはアルキル基を表し、HRで表される化合物の蒸気圧がより高くなりやすく、その結果、生成したマグネシウム源化合物との分離がより容易になりやすい点で、炭素数が10個以下の直鎖状、又は、分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数が8個以下の直鎖状、又は、分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数が6個以下の直鎖状、又は、分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、炭素数が5個以下の直鎖状、又は、分岐鎖状のアルキル基が特に好ましく、炭素数が4個以下の直鎖状、又は、分岐鎖状のアルキル基が最も好ましい。なお、炭素数は1個以上であればよい。
なお、炭素数が1〜10個の直鎖状、及び、分岐鎖状アルキル基は、Rの説明において例示したとおりである。
更に、式S2−1における副生成物であるHRは常温、常圧下で気体であると、典型的には固体であるマグネシウム源化合物との分離がより容易になるため、Rは炭素数が4個以下の直鎖状、又は、分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。
なお、Rのアルキル基の炭素数の下限は、直鎖状の場合1個以上であり、分岐鎖状、及び、環状の場合3個以上である。
本製造方法が工程2を含む場合、より高純度のマグネシウム源化合物を容易に得ることができ、結果として、本製造方法により得られるホウ素系マグネシウム塩を含む電解液をマグネシウム二次電池に適用した際、より優れた電気化学活性が得られる点で好ましい。
式S1の反応(工程1)の説明に戻り、次に、この反応で使用される式2:B(ORで表されるホウ素源化合物について詳述する。
式2中、Rはハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する1価の炭化水素基であり、分子内に複数あるRは同一でも異なってもよく、いずれか2つ以上のRが互いに結合して環を形成してもよい。
の炭化水素基としては、式1中のRの1価の炭化水素基と同様の基が挙げられ、好適形態も同様である。Rで表される基は、ホウ素源化合物の分子内に3個含まれ、そのそれぞれは同一でも異なってもよく、そのうち1〜3個が式1中のRで表される基と同一の基であってもよい。
で表される基(後述する式3中のRで表される基に対応する。)の3個と、式1のRで表される基(後述する式3中のRで表される基に対応する。)とがすべて同一の基である場合、得られるホウ素系マグネシウム塩のアニオン[B(OR)(ORは対称構造となる。
一方、Rで表される基のいずれか1個以上が、式1のRで表される基と異なる場合、及び、Rで表される基の2つ以上が互いに異なる場合、ホウ素系マグネシウム塩のアニオン[B(OR)(ORは非対称構造となる。
本製造方法によれば、マグネシウム源化合物のORで表される基と、ホウ素源化合物のORで表される基とをそれぞれ調整することで、得られるホウ素系マグネシウム塩のアニオンの対称性を容易に制御できる。従来の水素化ホウ素マグネシウムを基質とした製造方法においては、非対称アニオンを含むホウ素系マグネシウム塩を得ることは非常に困難だった。すなわち、非対称アニオンの構造制御はできなかった。
ここで、ホウ素源化合物を得る方法は特に制限されず、市販品を購入してもよいし、公知の方法を用いて合成してもよい。公知の合成方法としては、例えば、Journal of the Electrochemical Society,(米),1998,vol.145,No.8,2813−2817に記載された方法等が挙げられる。
なかでも、より簡便にホウ素源化合物が得られる点で、ボラン錯体と、後述する式7で表される化合物、又は、後述する式8で表される化合物と、を反応させてホウ素源化合物を得る方法が好ましい。
本製造方法は、上記工程(以下「工程3」ともいう。)を含むことが好ましい。
(工程3)
本製造方法は工程3を含むことが好ましい。工程3は、ボラン錯体と、式7:ROHで表される化合物、又は、式8:R(OH)表される化合物と、を反応させて、ホウ素源化合物を得ることである。
Figure 2021178801
式7中、Rは式2のRと同一の基を表し、好適形態も同様である。
式8中、Rはハロゲン原子で置換されていてもよいm価の炭化水素基を表し、mは2又は3を表す。
のm価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、又は、芳香族炭化水素基のみからなってもよく、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合してなる基であってもよく、これらの基の繰り返しであってもよい。
2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、及び、デカメチレン基等の鎖状脂肪族炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロテトラメチレン基、シクロペンタメチレン基、シクロヘキサメチレン基、シクロヘプタメチレン基、シクロオクタメチレン基、シクロノナメチレン基、及び、シクロデカメチレン基等の脂環式脂肪族炭化水素基;芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、及び、ナフタレン−ジイル基等が挙げられる。
の3価の炭化水素基はとしては、プロパン−1,2,3−トリイル基、ブタン−1,2,3−トリイル基、2−メチルプロパン−1,2,3−トリイル基、ブタン−1,2,4−トリイル基、ペンタン−1,2,3−トリイル基、ペンタン−1,3,5−トリイル基、及び、ヘキサン−1,2,5−トリイル基等の鎖状脂肪族炭化水素基;
シクロペンタン−1,2,3−トリイル基、シクロペンタン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,3−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,5−トリイル基、及び、シクロヘキサン−1,3,5−トリイル基等の環式脂肪族炭化水素基;
ベンゼン−1,2,3−トリイル基、ベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,2,5−トリイル基、及び、ベンゼン−1,3,5−トリイル基等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
のm価の炭化水素基は、水素原子の少なくとも1つ以上がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されてもよい。Rがフッ素原子を有する場合、Rがハロゲン化アルキル基(好ましくはパーフルオロアルキル基)を有することが好ましい。
の炭素数としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果が得られる点で、1〜20個が好ましく、2〜15個がより好ましく。3〜10個が更に好ましく、4〜8個が特に好ましい。
なお、上記反応は、例えば、不活性ガス雰囲気下において、ボラン錯体、及び、式7又は式8で表される化合物を溶媒に溶解させて溶液を調製すればよい。その溶液を保持して反応させればよい。この際の反応温度としては特に制限されないが、0〜40℃が好ましく、式7又は式8で表される化合物の揮発をより抑制できる観点では、0〜20℃がより好ましい。反応時間は、5分〜48時間が好ましい。
工程3は、工程1の前に、工程1とは別に実施されてもよいが、本製造方法が工程3を含む場合、工程1及び工程3を同時に実施してもよい。
ここで、工程1と工程3とを同時に実施するとは、典型的には、以下の式S3に示した手順で反応を進めることを意味する。
式S3:Mg(OR+2BH−L+6ROH→Mg[B(OR)(OR+3H
Figure 2021178801
上記式S3中、2BH−Lはボラン錯体を表し、Mg[B(OR)(ORで表される化合物は式3で表される化合物である。このとき、Rは、式1のRと同一の基であり、Rは、式2のRと同一の基である。
式S3の反応は、典型的には、Mg(OR溶液とボラン錯体溶液とを不活性ガス雰囲気で混合し、10〜40℃、5分〜48時間撹拌した後、6ROHを添加し、10〜40℃で30分〜48時間保持することで進行する。
上記反応の反応溶媒は水を含有しなければ特に制限されないが、後述する特定エーテル化合物がより好ましい。
ボラン錯体は、不安定なモノボラン(BH)をルイス塩基等によって安定化させたものであり、例えば溶液として市販されているものを使用でき、例えば、ボラン・テトラヒドロフラン錯体、及び、ボラン・2−メチルテトラヒドロフラン錯体等のエーテル錯体;ボラン・ジメチルスルフィド錯体、及び、ボラン・1,2−ビス(tert−ブチルチオ)エタン錯体等のスルフィド錯体;ボラン・ジ(tert−ブチル)フォスフィン錯体等のフォスフィン錯体;ボラン・tert−ブチルアミン錯体、ボラン・ジメチルアミン錯体、ボラン・トリエチルアミン錯体、ボラン・トリメチルアミン錯体、ボラン・N,N−ジイソプロピルエチルアミン錯体、ボラン・アニリン錯体、ボラン・N,N−ジメチルアニリン錯体、ボラン・ピリジン錯体、ボラン・2−メチルピリジン錯体、ボラン・モルフォリン錯体、及び、ボラン・4−メチルモルフォリン錯体等のアミン錯体;が挙げられる。
なかでも、取り扱い性により優れる点で、エーテル錯体、スルフィド錯体、及び、アミン錯体が好ましく、スルフィド錯体、及び、エーテル錯体がより好ましい。例えば、エーテル錯体等は、溶液として市販されており、入手可能な形態のまま使用できる。
マグネシウム源化合物、ボラン錯体、及び、式7で表される化合物の仕込み量は、特に制限されないが、ホウ素系マグネシウム塩の収率がより高まりやすい点で、系中のマグネシウム源化合物の量(仕込み量)に対する、ボラン錯体の量(仕込み量)のモル比(ボラン錯体/マグネシウム源化合物)が1.80〜2.80が好ましく、2.01〜2.60が好ましい。
なお、ボラン錯体の量に対する式7で表される化合物の量は特に制限されず、2.9〜3.1(式7で表される化合物/ボラン錯体のモル比)が好ましい。
ボラン錯体(反応によって生成するホウ素源化合物)の量をマグネシウム源化合物に対して過剰とすることで、反応後に、反応生成物を溶媒洗浄して過剰のホウ素源化合物を除去し、ホウ素系マグネシウム塩をより容易に高純度化できる。
(工程4)
本方法は、上記以外に更に、得られた反応生成物を溶媒で洗浄する工程を有していてもよい。この際、使用する溶媒としては特に制限されないが、反応生成物中に含有される可能性のあるホウ素源化合物、及び、フッ素源化合物との反応性がより低い点で、非プロトン性溶媒が好ましい。
非プロトン性溶媒としては特に制限されないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及び、デカリン等の炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、ブタノン、ペンタノン、シクロヘキサノン、及び、ベンズアルデヒド等のケトン/アルデヒド;ベンゼン、トルエン、トリフルオロトルエン、キシレン、アニソール、クロロベンゼン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、及び、ベンゾニトリル等の芳香族化合物;ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、グリム、ダイグライム(ジグリム)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGエステル、PEGソルビタン、PEGエーテル、PEGエステル、及び、ポリプロピレングリコール(PPG)等のエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、ジメチルアセトアミド、及び、ジメチルホルムアミド(DMF)等のエステル/アミド;アセトニトリル等のニトリル;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、及び、炭酸エチレン等の炭酸塩;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、及び、トリクロロエタン等のハロゲン化化合物;ジメチルスルホキシド(DMSO)、二硫化炭素、スルホラン、及び、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の硫黄/リン含有化合物;ピリジン、トリエチルアミン、及び、N−メチルピロリジノン(NMP)等が挙げられる。
なかでも、乾燥による除去がより容易な点で、沸点が150℃以下の非プロトン性溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、アセトニトリル(82℃)、アセトン(56℃)、酢酸エチル(77℃)、テトラヒドロフラン(66℃)、ジクロロメタン(40℃)、ジエチルエーテル(35℃)、クロロホルム(61℃)、1,4−ジオキサン(101℃)、トルエン(111℃)、ベンゼン(80℃)、ヘキサン(69℃)、エチルメチルケトン(80℃)、四塩化炭素(77℃)、1,2−ジクロロエタン(84℃)、キシレン(144℃)、シクロヘキサン(81℃)、ペンタン(36℃)、ヘプタン(98℃)、及び、ピリジン(115℃)等が挙げられる。なお、本段落において、カッコ内は沸点である。
洗浄溶媒は、反応の出発物質である、マグネシウム源化合物、ボラン錯体、ホウ素源化合物、式7で表される化合物、及び、式8で表される化合物、並びに、これらの反応物をより容易に溶解させ、得られたホウ素系マグネシウム塩をより溶解させにくい溶媒であることが好ましい。
このような洗浄溶媒の中でも、反応生成物中の不純物をより溶解しやすい観点で、ドナー性の高いもの好ましい。洗浄溶媒のドナー数は0.1以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましく、10.0以上が特に好ましい。ドナー数の上限は特に制限されないが、一般に50.0以下が好ましく、31.0以下がより好ましく、17.0以下が更に好ましい。
なお、ドナー数が上記数値範囲内の非プロトン性溶媒としては、例えば、ベンゼン(0.1)、トルエン(0.1)、ジクロロメタン(1.0)、クロロホルム(4.0)、アニソール(9.0)、アセトニトリル(14.1)、1,4−ジオキサン(14.8)、酢酸エチル(17.1)、N,N−ジメチルホルムアミド(26.6)、ジメチルスルホキシド(29.8)、及び、ピリジン(33.1)等が挙げられる。なお、本段落においてカッコ内はドナー数を表す。
ここで、ドナー数とは、Viktor Gutmann,“The Donor−Acceptor Approach to Molecular Interactions”,Springer,1978(ISBN−13:978−0306310645)の19頁に定義された、各溶媒固有の値を意味する。この値は、SbClをリファレンス・アクセプターとして、10−3Mの1,2−ジクロロメタン中でドナー分子を反応させた際のモルエンタルピーの値(kcal・mol−1)である。
ドナー数は上記文献の20頁の表のほか、EUROPEAN CHEMICAL BULLETIN,2015,vol.4,No.2,92−97の95ページの表2等に記載されている。
なお、洗浄溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併せて用いてもよい。
洗浄溶媒としては、ホウ素系マグネシウム塩の溶解性がより低く、かつ、不純物(例えば、ボラン錯体とアルコール化合物との反応物)の溶解性がより高い点で、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、及び、1,4−ジオキサンからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒を含有することが好ましく、1,4−ジオキサンを含有することがより好ましく、1,4−ジオキサンからなることが更に好ましい。
洗浄の方法としては特に制限されず、例えば、不活性ガス雰囲気下、温度を0〜50℃とした洗浄溶媒に、ホウ素系マグネシウム塩を含有する反応生成物を分散させ、固液分離する方法が挙げられる。
本製造方法によれば、水素化ホウ素マグネシウム塩を用いずにホウ素系マグネシウム塩を得ることができるため、水素化ホウ素マグネシウム塩の製造工程で混入する不純物等の影響を受けないにくいものと推測され、結果的に、電解液に用いた際に優れた電気化学活性が得られる反応生成物が提供できる。言い換えれば、より高純度のホウ素系マグネシウム塩が提供できる。
次に、本製造方法によって得られる式3:Mg[B(OR)(ORで表されるホウ素系マグネシウム塩について説明する。
ここで、式3中、Rは、式1のRと、Rは、式2のRとそれぞれ同一の基を表し、好適形態も同様である。
本製造方法によれば、すでに説明したとおり、マグネシウム源化合物のRで表される基と、ホウ素源化合物のRで表される基とをそれぞれ選択することで、得られるホウ素系マグネシウム塩のアニオンの対称性を容易に制御することもできる。
本製造方法により製造できるホウ素系マグネシウム塩のうち、非対称構造を有するアニオンを含むホウ素系マグネシウム塩を式9に示した。
式9:Mg[B(OR
Figure 2021178801
なお、式9中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する1価の炭化水素基を表し、Rのいずれか2つ以上が互いに連結して環を形成してもよい。ただし、分子内に4つあるRの全てが同一の基であるものを除く。
の炭化水素基としては、すでに説明したRの炭化水素基が挙げられ、好適形態も同様である。
が連結して形成される環は、脂肪族環が好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に、環の骨格に含まれる炭素の数は、2〜6個が好ましい。Rが連結して形成される環は、例えば以下の式で表されるものが挙げられる。
Figure 2021178801
Figure 2021178801
なお、上記式中、水素原子の少なくとも1つ以上が、ハロゲン化アルキル基で置換されてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましく、アルキル基としては、Rの説明で例示したアルキル基が挙げられ、特に、炭素数が1〜6個のアルキル基が好ましく、炭素数が1〜6個のパーフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
式9で表される化合物としては特に制限されないが、以下の式10で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021178801
非対称構造を有するアニオンを含むホウ素系マグネシウム塩は、融点がより低くなりやすいため、溶融錯体化することで、マグネシウム二次電池の電解質として、優れた電気化学活性を有する。
本製造方法によれば、マグネシウム二次電池の電解液に用いた場合に、優れた電気化学活性が得られるホウ素系マグネシウム塩を製造することができる。
また、マグネシウム源化合物のORで表される基、及び、ホウ素源化合物のORで表される基を調整することで、従来は困難であった非対称構造を有するアニオンを含むホウ素系マグネシウム塩の合成もできる。
また、使用する原料が従来の水素化マグネシウムを基質とする方法と比較してより安価であり、その傾向は、本製造方法が工程2、及び/又は、工程3を含む場合より顕著である。
なおホウ素系マグネシウム塩の構造は、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)測定により決定される。
[電解液]
本発明の実施形態に係る電解液はすでに説明したホウ素系マグネシウム塩と溶媒とを含有する。電解液中におけるホウ素系マグネシウム塩の含有量としては特に制限されないが、一般に、0.05〜1mol/Lが好ましい。
本電解液は、ホウ素系マグネシウム塩、溶媒、及び、必要に応じて他の成分を、典型的には不活性ガス雰囲気で混合して製造することができる。
本電解液をマグネシウム二次電池の電解液として用いれば、優れた電気化学活性が得られる。
本電解液が含有する溶媒は水を含有しなければ特に制限されないが、例えば、環状エーテル、鎖状エーテル、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、ピロ炭酸エステル、リン酸エステル、ホウ酸エステル、硫酸エステル、亜硫酸エステル、環状スルホン、鎖状スルホン、ニトリル、アミド、及び、スルトンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
環状エーテルは、例えば、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル、及び、これらの誘導体が挙げられる。
鎖状エーテルは、例えば、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル、及び、これらの誘導体が挙げられる。
環状炭酸エステルは、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4,4−トリフルオロエチレンカーボネート、フルオロメチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、4−フルオロプロピレンカーボネート、5−フルオロプロピレンカーボネート、及び、これらの誘導体が挙げられる。
鎖状炭酸エステルは、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、及び、これらの誘導体が挙げられる。
環状カルボン酸エステルは、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−アセトラクトン、及び、これらの誘導体が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルは、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、及び、これらの誘導体が挙げられる。
ピロ炭酸エステルは、例えば、ジエチルピロカーボネート、ジメチルピロカーボネート、ジ−tert−ブチルジカーボネート、及び、これらの誘導体が挙げられる。
リン酸エステルは、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ヘキサメチルホスフォルアミド、及び、これらの誘導体が挙げられる。
ホウ酸エステルは、例えば、トリメチルボレート、トリエチルボレート、及び、これらの誘導体が挙げられる。
硫酸エステルは、例えば、トリメチルサルフェート、トリエチルサルフェート、及び、これらの誘導体が挙げられる。
亜硫酸エステルは、例えば、エチレンサルファイト、及び、その誘導体が挙げられる。
環状スルホンは、例えば、スルホラン、及び、その誘導体が挙げられる。
鎖状スルホンは、例えば、アルキルスルホン、及び、その誘導体が挙げられる。
ニトリルは、例えば、アセトニトリル、バレロニトリル、プロピオニトリル、トリメチルアセトニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、及び、その誘導体が挙げられる。
アミドは、例えば、ジメチルホルムアミド、及び、その誘導体が挙げられる。スルトンは、例えば、1,3−プロパンスルトン、及び、その誘導体が挙げられる。
なお、溶媒は上記化合物の一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
より優れた本発明の効果を有する電解液が得られやすい点で、本電解液は下記式11で表される特定エーテル化合物を含有することが好ましい。
式11:R11(OCOR12
式11中、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数が1〜14個の炭化水素基を表し、pは1〜8の整数を表す。
式11中、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数が1〜8個の炭化水素基であることが好ましい。
炭素数が1〜14個の炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜14個のアルキル基、炭素数が2〜14個のアルケニル基、炭素数が6〜14個のアリール基、及び、炭素数が7〜14個のアラルキル基等が挙げられる。
炭素数が1〜14個のアルキル基は、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及び、ドデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、及び、アダマンチル基等の脂環式アルキル基等が挙げられる。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する電解液が得られやすい点で、メチル基、又は、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
炭素数が2〜14個のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、及び、ヘキセニル基等が挙げられる。
炭素数が6〜14個のアリール基としては、例えば、フェニル基、及び、ナフチル基等が挙げられる。
炭素数が7〜14個のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、メチルベンジル基、及び、ナフチルメチル基等が挙げられる。
式11で表される化合物としては、マグネシウムの析出溶解反応がより向上しやすい点で、対称グリコールジエーテルであることが好ましい。
また、式11中、pは、2〜4の整数であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。
より具体的には、式11で表される化合物は、1,2−ジメトキシエタン(DME、glyme)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(diglyme)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(triglyme)、及び、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(tetraglyme)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
電解液が上記溶媒を含有すると、高温環境下での取り扱いがより容易となり、又は、充放電反応の効率がより向上して、電圧のロスがより抑制される。
本電解液は、ホウ素系マグネシウム塩、及び、溶媒以外の成分を必要に応じて含有してもよい。このような他の化合物としては、例えば、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニル、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン、2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール、亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、プロペンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、及び、ジピリジニウムジスルフィド等が挙げられる。
電解液中の上記成分の含有量は特に制限されないが、より優れた本発明の効果が得られる点で、電解液の全質量を100質量%としたとき、0.01〜5質量%が好ましい。
なお、上記成分は一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。上記成分を二種以上併用する場合には、その合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
[二次電池]
図1は、本発明の実施形態に係る二次電池の構成を示す模式図である。図1に示すとおり、二次電池1は、正極11と、負極12と、電解液13と、容器14と、を備えている。本二次電池は、優れた電気化学活性を有する。
正極11は、図示しないが、正極集電体と、上記正極集電体に保持された正極活物質とにより構成されている。正極集電体は、放電時に正極活物質に電子を供与する機能を有する。
正極集電体として使用される物質は、特に制限されないが、耐食性により優れ、より安価である点で、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、及び、アルミニウム等が好ましい。
正極活物質として使用される物質は、特に制限されないが、典型的には、マグネシウムイオンを挿入及び脱離可能なものが好ましく、MgFeSiO、MgMn、及び、V等が挙げられる。
正極11の具体的な構成としては、例えばステンレス鋼上にVの層が配置された積層体が挙げられる。
一方、負極12は、マグネシウム、及び、マグネシウム合金が好ましい。
次に、二次電池1の製造方法について説明する。
まず、電解液13を作製する。電解液13の作製方法はすでに説明したとおりである。
次に、正極活物質を正極集電体に接触させて正極11を作製する。このようにして得られた電解液13、正極11及び負極12を用いて二次電池1を作製できる。
なお、二次電池は、正極と負極との間に位置するセパレータを更に有していてもよい。セパレータの材質は、特に制限されないが、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリエチレン、及び、ポリプロピレン等などのポリオレフィン樹脂;ガラス;セラミックス等が挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
(材料)
実施例で使用した材料は以下のとおりである。
Di−n−butylmagnesium solution 1.0 M in heptane(ジ−n−ブチルマグネシウムヘプタン溶液)
Sigma−Aldrich 製品番号:345113−800ML
Tetrahydrofuran−Borane Tetrahydrofuran Solution(テトラヒドロフラン−ボラン錯体のテトラヒドロフラン溶液)
富士フイルム和光純薬株式会社 製品番号: 201−14865
東京化成工業株式会社 製品番号: T2346
Sigma−Aldrich 製品番号: 176192−800ML
Dimethyl Sulfide Borane(ジメチルスルフィドボラン)
東京化成工業株式会社 製品番号: D1843
Borane dimethyl sulfide complex solution 2.0M in THF(ボランジメチルスルフィド錯体溶液)
Sigma−Aldrich 製品番号: 192120−800ML
1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanol(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)
富士フイルム和光純薬株式会社 製品番号: 084−10315
東京化成工業株式会社 製品番号: H0424
2,2,2−Trifluoroethanol(2,2,2−トリフルオロエタノール)
東京化成工業株式会社 製品番号: T0435
Hexafluoro−2,3−bis(trifluoromethyl)−2,3−butanediol(ヘキサフルオロ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)−2,3−ブタンジオール)
東京化成工業株式会社 製品番号: H1279
Ethylene glycol dimethyl ether(エチレングリコールジメチルエーテル)
関東化学株式会社 電気化学用 製品番号: 14121−08
1,4−Dioxane anhydrous(1,4−ジオキサン(脱水))
関東化学株式会社 有機合成用脱水溶媒 製品番号: 11337−05
(略語)
使用した略号は以下のとおりである。
HFIP: hexafluoroisopropoxy group
TFE: 2,2,2−tetrafluoroethoxy group
FP: fluorinated pinacolate group / Hexafluoro−2,3−bis(trifluoromethyl)−2,3−butanedialkoxide
(実施例1:Mg[B(HFIP)の合成)
以下の試薬を用い、以下の手順に沿って、Mg[B(HFIP)を合成した。
・使用した試薬
Di−n−butylmagnesium solution 1.0 M in heptane (Sigma−Aldrich, 345113−800ML)
Tetrahydrofuran−Borane Tetrahydrofuran Solution (Fujifilm Wako, 201−14865)
1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanol (Fujifilm−Wako, 084−10315)
Ethylene glycol dimethyl ether
1,4−Dioxane anhydrous
Ar(アルゴン)雰囲気のグローブボックス中にて、容量200mLのナスフラスコ底に長さ2cmの磁気撹拌子を設置し、シリンジを用いてDi−n−butylmagnesium solution 1.0 M in heptaneを5mL(5mmol)入れた。
そこへ1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanol 1.04mL(10.0mmol)を10分かけて滴下し、その間25℃で溶液を撹拌し続けた。
滴下直後からブタンガスが発生し、1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanolの全量を滴下すると、白色固体が得られた。
得られた白色固体をEthylene glycol dimethyl ether 20mLに溶解させ、均一な溶液を調製した。調製した溶液にTetrahydrofuran−Borane Tetrahydrofuran Solutionを12.2mL(11.0mmol)加え、25℃で30分撹拌した。
そこへ1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanol を3.42mL(33.0mmol)、30分かけて滴下し、その間25℃で溶液を撹拌し続けた。1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanolの全量を滴下した後、溶液を更に25℃で12時間撹拌した。
次に、反応溶液の入ったナスフラスコに3方コックを装着し、ナスフラスコ内部をAr雰囲気に保ったままグローブボックス外に持ち出した。油回転真空ポンプを用いてナスフラスコを減圧し、50℃で8時間乾燥、溶媒を除去した。
乾燥処理により、粗生成物としてMg[B(HFIP)と過剰のB(HFIP)を含む白色固体が得られた。
次に、白色固体の入ったナスフラスコを再度グローブボックスに導入し、3方コックを外し、白色固体を1,4−dioxane 30mLを用いて3回洗浄した(計90mLの1,4−dioxaneを使用)。ナスフラスコに再度3方コックを装着し、ナスフラスコ内部をAr雰囲気に保ったままグローブボックス外に持ち出した。油回転真空ポンプを用いて減圧し、50℃で24時間乾燥することで、目的の化合物Mg[B(HFIP)を含む反応生成物を得た。
なお、Mg[B(HFIP)の構造は、核磁気共鳴スペクトルによって確認した。Mg[B(HFIP)の構造を以下に示した。
Figure 2021178801
(実施例2:Mg[B(HFIP)(TFE)]の合成)
Ar雰囲気のグローブボックス中にて、容量200mLのナスフラスコ底に長さ2cmの磁気撹拌子を設置し、シリンジを用いてDi−n−butylmagnesium solution 1.0 M in heptaneを5mL(5mmol)入れた。
そこへ2,2,2−Trifluoroethanol 0.72mL(10.0mmol)を10分かけて滴下し、その間25℃で溶液を撹拌し続けた。
滴下直後からブタンガスが発生し、2,2,2−Trifluoroethanolの全量を滴下すると、白色固体が得られた。
得られた白色固体をEthylene glycol dimethyl ether 20 mLに溶解させ、均一な溶液を調製した。調製した溶液にTetrahydrofuran−Borane Tetrahydrofuran Solutionを12.2 mL (11.0 mmol)加え、25℃で30分撹拌した。
そこへ1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanolを3.42mL(33.0mmol)、30分かけて滴下し、その間25℃で溶液を撹拌し続けた。1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanolの全量を滴下した後、溶液をさらに12時間25℃で撹拌した。
次に、反応溶液の入ったナスフラスコに3方コックを装着し、ナスフラスコ内部をAr雰囲気に保ったままグローブボックス外に持ち出した。油回転真空ポンプを用いてナスフラスコを減圧し、50℃で8時間乾燥、溶媒を除去した。乾燥処理により、粗生成物としてMg[B(HFIP)(TFE)]と過剰のB(HFIP)を含む白色固体が得られた。
次に、白色固体の入ったナスフラスコを再度グローブボックスに導入し、3方コックを外し、白色固体を1,4−dioxane 30mLを用いて3回洗浄した(計90mLの1,4−dioxaneを使用)。ナスフラスコに再度3方コックを装着し、ナスフラスコ内部をAr雰囲気に保ったままグローブボックス外に持ち出した。油回転真空ポンプを用いて減圧し、50℃で24時間乾燥することで、目的の化合物Mg[B(HFIP)(TFE)]を含有する反応生成物を得た。なお、Mg[B(HFIP)(TFE)]の構造は、核磁気共鳴スペクトルで確認した。Mg[B(HFIP)(TFE)]の構造を以下に示した。
Figure 2021178801
(実施例3:Mg[B(FP)(HFIP)の合成)
Ar雰囲気のグローブボックス中にて、容量200mLのナスフラスコ底に長さ2cmの磁気撹拌子を設置し、シリンジを用いてDi−n−butylmagnesium solution 1.0M in heptaneを5mL(5mmol)入れた。
そこへ1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanol 1.04mL(10.0mmol)を10分かけて滴下し、その間25℃で溶液を撹拌し続けた。
滴下直後からブタンガスが発生し、1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanolの全量を滴下すると、白色固体が得られた。得られた白色固体をEthylene glycol dimethyl ether 20 mLに溶解させ、均一な溶液を調製した。調製した溶液にTetrahydrofuran−Borane Tetrahydrofuran Solutionを12.2mL (11.0mmol)加え、25℃で30分撹拌した。
そこへHexafluoro−2,3−bis(trifluoromethyl)−2,3−butanediol を3.67g(11.0mmol)、30分かけて加え、その間25℃で溶液を撹拌し続けた。Hexafluoro−2,3−bis(trifluoromethyl)−2,3−butanediolの全量を加えた後、溶液をさらに3時間25℃で撹拌した。
そこへ1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanolを2.38mL(23.0mmol)、30分かけて加え、その間25℃で溶液を撹拌し続けた。1,1,1,3,3,3−Hexafluoro−2−propanolの全量を加えた後、溶液をさらに12時間、25℃で撹拌した。
次に、反応溶液の入ったナスフラスコに3方コックを装着し、ナスフラスコ内部をAr雰囲気に保ったままグローブボックス外に持ち出した。油回転真空ポンプを用いてナスフラスコを減圧し、50℃で8時間乾燥、溶媒を除去した。乾燥処理により、粗生成物としてMg[B(FP)(HFIP)と過剰のB(FP)(HFIP)を含む白色固体が得られた。
次に、白色固体の入ったナスフラスコを再度グローブボックスに導入、3方コックを外し、白色固体を1,4−dioxane 30mLを用いて3回洗浄した(計90mLの1,4−dioxaneを使用)。ナスフラスコに再度3方コックを装着し、ナスフラスコ内部をAr雰囲気に保ったままグローブボックス外に持ち出した。油回転真空ポンプを用いて減圧し、50℃で24時間乾燥することで、目的の化合物Mg[B(FP)(HFIP)を含む反応生成物を得た。なお、Mg[B(FP)(HFIP)]の構造は、核磁気共鳴スペクトルで確認した。Mg[B(FP)(HFIP)]の構造を以下に示した。
Figure 2021178801
(比較例)
非特許文献1に記載された方法に沿って、Mg[B(HFIP)を合成した。水素化ホウ素マグネシウムをジメトキシエタンに溶解し、マグネシウムに対して8.5倍モルのヘキサフルオロイソプロパノールを加えた。溶液を室温に維持して、24時間攪拌し、その後、減圧乾燥して、Mg[B(HFIP)を含む反応生成物を得た。
[評価]
実施例1、及び、比較例の反応生成物をマグネシウム二次電池の電解液として用いた際の電気化学活性を評価した。
電解液の調製、3極式セル及び電池の組み立てなどのすべての操作はアルゴン雰囲気のグローブボックスにおいて行った。
実施例1の方法で、異なるロットの原料を用いて、異なる日に製造した2種類の生成物(ロット1、ロット2)を、それぞれトリエチレングリコールジメチルエーテルと配合し(0.3mol/L)、電解液を調製した。
白金を作用電極とし、0.6mLの電解液を入れ、Mgを対電極、銀を参照電極として、3極式セルを組み立てた。アルゴン雰囲気のグローブボックスにおいて、50mV/sのスキャン速度でサイクル電圧電流テストを行った。サイクル電圧電流テストの結果を図2に示した。
図2中、横軸は電位(vs Mg2+/Mg)を表し、縦軸は電流(mAcm−2)を表す。また、図2中、「cycle number」とあるのは、サイクル回数を示し、図2中には、「1st」:1回目と、「10th」:10回目とを示してある。
なお、電位は、図2中に(1)〜(6)の数字及び矢印で示した順に変化させた。図2の0Vvs.Mg2+/Mg付近に観測された酸化還元電流はそれぞれマグネシウムの溶解析出に対応する。
次に、異なるロットの原料を用いて、比較例の方法に沿って、異なる日に製造した2種類の生成物(ロットC1、ロットC2)を、それぞれトリエチレングリコールジメチルエーテルと配合し(0.3mol/L)、電解液を調製した。この電解液について上記と同様の方法でサイクル電圧電流テストを行った。その結果を図3に示した。
図3中、0Vvs.Mg2+/Mg付近に観測された酸化還元電流はそれぞれマグネシウムの溶解析出に対応する。凡例等は図2と同様である。
図2によれば、ロット1、及び、ロット2では、初期サイクル(1st)から、大きな析出/溶解電流が流れたことがわかる。
図3によれば、ロットC1、及び、ロットC2では、ロット1、及び、ロット2と比べて電流値が小さく、初期サイクル(1st)の応答が悪い。また溶解側のピーク形状が歪である(段階的に電流が流れる)。これは電解液中に不純物が存在していることを示唆している。
図2及び図3の結果をまとめて表1に示した。
Figure 2021178801
表1は、各ロットの過電圧(析出過電圧/溶解過電圧)と、電流値(析出電流値/溶解電流値)と、を示している。例えば、ロット1のサイクル1回目の析出過電圧は−0.48Vであり、溶解過電圧は+0.05Vであり、析出電流値は−0.6mAcm−2であり、溶解電流値は+2.97mAcm−2である。
ホウ素系マグネシウム塩を含有する電解液をマグネシウム二次電池に適用した際の電気化学活性はサイクル試験における過電圧と電流値で評価できる。
過電圧の絶対値が小さいほど、及び/又は、電流値の絶対値が大きいほど電気化学活性が高い。
ロット1及び2とロットC1及びC2とを比較すると、ロット1及び2では、析出過電圧が半減し、溶解過電圧は1/10程度まで低減した。また、対応する電流値も3〜20倍程度向上したことがわかる。この結果からロット1及び2はロットC1及びC2と優れた電気化学活性を有することがわかった。
1 二次電池
11 正極
12 負極
13 電解液
14 容器

Claims (16)

  1. 式1:Mg(ORで表されるマグネシウム源化合物と、
    式2:B(ORで表されるホウ素源化合物と、を反応させて、
    式3:Mg[B(OR)(ORで表されるホウ素系マグネシウム塩を含む反応生成物を得る、ホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
    (式1中、Rはハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する1価の炭化水素基であり、分子内に複数あるRは同一でも異なってもよく、式2中、Rはハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する1価の炭化水素基であり、分子内に複数あるRは同一でも異なってもよく、式3中、Rは、前記式1のRと同一の基を表し、Rは、前記式2のRと同一の基を表し、式2及び式3中のRはそのいずれか2つ以上が互いに結合して分子内で環を形成してもよい。)
  2. 式4:Mg(Rで表される化合物、又は、式5:Mg(ORで表される化合物と、
    式6:ROHで表される化合物と、を反応させて、前記マグネシウム源化合物を得ることを含む、請求項1に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
    (式4及び5中、Rはアルキル基を表し、複数あるRは同一でも異なってもよく、式6中、Rは、前記式1のRと同一の基を表す。)
  3. 前記式4で表される化合物と、前記式6で表される化合物とを反応させて、前記マグネシウム源化合物を得ることを含む、請求項2に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
  4. 前記Rが、直鎖状、又は、分岐鎖状であって、炭素数が10個以下のアルキル基である、請求項2又は3に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
  5. 前記Rが、直鎖状、又は、分岐鎖状であって、炭素数4個以下のアルキル基である、請求項2又は3に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
  6. ボラン錯体と、
    式7:ROHで表される化合物、又は、式8:R(OH)で表される化合物と、
    を反応させて、前記ホウ素源化合物を得ることを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
    (式7中、Rは前記式2のRと同一の基を表し、式8中、Rはハロゲン原子で置換されていてもよいm価の炭化水素基を表し、mは2又は3を表す。)
  7. 前記ボラン錯体と、前記式7で表される化合物とを反応させて、前記ホウ素源化合物を得ることを含む、請求項6に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
  8. 前記Rの炭素数が1〜6個である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
  9. 前記反応生成物を非プロトン性溶媒で洗浄することを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のホウ素系マグネシウム塩の製造方法によりホウ素系マグネシウム塩を製造することと、
    前記ホウ素系マグネシウム塩と溶媒とを混合して、電解液を得ることとを含む、電解液の製造方法。
  11. 式9:Mg[B(ORで表されるホウ素系マグネシウム塩。
    (式9中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基を有する1価の炭化水素基を表し、Rのいずれか2つ以上が互いに連結して環を形成してもよい。ただし、分子内に4つあるRの全てが同一の基であるものを除く。)
  12. 前記Rで表される基の炭素数が1〜6個である、請求項11に記載のホウ素系マグネシウム塩。
  13. 前記Rで表される基の少なくとも1つが式1R:*−L−C(R(CX3−nで表される基である、請求項11に記載のホウ素系マグネシウム塩。
    (式1R中、Lは単結合、又は、2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子、又は、1価の炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表し、nは0〜3の整数を表し、*は結合位置を表す。)
  14. 請求項11〜13のいずれか1項に記載のホウ素系マグネシウム塩と、溶媒とを含有する電解液。
  15. 前記溶媒が式11:R11(OCOR12で表される化合物を含有する、請求項14に記載の電解液。
    (式11中、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数が1〜14個の1価の炭化水素基を表し、pは1〜8の整数を表す。)
  16. 請求項14又は15に記載の電解液を備える二次電池。
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