JP4342450B2 - モータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システム - Google Patents

モータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システム Download PDF

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本発明は、モータを駆動制御するモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムに関する。特に、負荷トルクの周期的な変動や誘起電圧の歪み等に起因する相電流の変動を抑制する技術に関する。
近年、負荷変動を伴う負荷要素を駆動するモータの可変速制御にはインバータが用いられている。空気調和機に用いられる圧縮機等は、その負荷要素の代表例である。空気調和機に使用される密閉型圧縮機は、吸入・圧縮・吐出の各行程での冷媒ガス圧変化が負荷トルクに作用することが知られている。また、このガス圧による負荷トルクは圧縮機の回転に同期して変動し、それに伴い圧縮機の回転速度が周期的に変動することも知られている。このような圧縮機の回転速度の周期的な変動は、圧縮機自体の振動を発生させると共に、騒音の原因ともなる。
このような負荷トルク変動による振動や騒音の問題を解決するべく、様々な技術が提案されている。
例えば、軸誤差より脈動トルク成分を推定し、脈動トルク成分が零になるように脈動トルク抑制電流指令値を算出する構成が、下記非特許文献1に開示されている。この技術によると、まず、推定座標軸の周期的な変動から周期的なトルク脈動成分を推定する。そして、その推定したトルク脈動成分をフーリエ変換し、積分補償器を通してフーリエ逆変換したものを用いてトルク電流指令値を作成する。
また、下記特許文献1に記載の構成においては、所定の周期をn分割し、等価外乱推定器の出力を位相選択器の選択機能を用いてn個のフィルタ群の1つに与え、位相選択器でフィルタの出力を選択して出力する。
また、下記特許文献2には、速度補償部を設けてトルク電流を補償する技術が開示されている。また、下記特許文献3には、周期的にd軸電流を変化させてトルク制御を行う技術が開示されている。
また、下記特許文献4には、回転子の1周期を複数の区間に分割し、この分割した区間における回転子の回転速度を検出するとともに、この回転速度の平均値を算出し、各区間における回転速度と平均値との差に応じて各区間における回転速度を補正し、各区間における回転速度を平均値とするために各巻線に印加する電圧の可変割合を変える技術が開示されている。
また、下記特許文献5には、電動機に加わる負荷の大きさが所定周期中に変化するのに対応して、前記電動機により駆動される負荷体の速度を指令速度に一致させるのに前記電動機に加える電圧、もしくは電流を制御する装置を備える電動機の速度制御装置において、前記の所定周期をn分割し、前記電動機に加える電圧、もしくは電流に係るn個のデータをそれぞれ独立に記憶する読み書き可能な記憶要素を備え、前記所定周期のk周期目(kは正の整数)において前記n分割された領域毎に速度を検出し、分割された相隣り合う領域での速度を等しくするように前記n個のデータの少なくとも1つのデータを修正し、前記所定周期の(k+1)周期目において、k周期目で修正されたデータに応じて、前記電動機に加える電圧、もしくは電流を制御するように構成したことを特徴とする電動機の速度制御装置、が開示されている。
また、下記特許文献6には、速度指令を入力し速度に応じた飽和電圧又は電流値を出力することで速度変動に対する電圧あるいは電流の制御量の範囲を定める飽和レベル演算手段と、回転角度範囲毎の電圧変化指令値を記憶することで速度偏差情報を前記飽和レベル演算手段の演算結果に基づく所定範囲内で積分する飽和積分器と、を有する電動機駆動装置が開示されている。
他方、負荷トルク変動とは別の原因で振動や騒音が大きくなる場合がある。電機子巻線を分布巻としたモータを例に挙げ、この問題を説明する。
正弦波状に着磁された永久磁石を使用したブラシレスモータにおいて、固定子(ステータ)側に設けられた電機子巻線に誘起される電圧の波形は、理想的には回転子(ロータ)の回転の角度に対して正弦波状に変化する。また、ブラシレスモータやシンクロナスリラクタンスモータにおいて、理想的にはインダクタンスの変化分が回転子の回転の角度に対して正弦波状に変化する。しかし、実際のブラシレスモータやシンクロナスリラクタンスモータにおいては、固定子側の電機子巻線の誘起電圧やインダクタンスの変化分は正弦波状から歪んだ波形となる。
従来のモータ制御装置は、固定子側の電機子巻線に流れる相電流をフィードバックし、電流指令値の通りになるよう電圧指令値を制御している。従って、従来のモータ制御装置は、電機子巻線の誘起電圧やインダクタンスが歪んでも、これらの歪みを補償するよう電圧指令値を変化させて正弦波状の相電流を流すよう構成されていた。
上記のように構成された従来のモータ制御装置において、電流制御の周期を高速化して、フィードバックゲインを大きくすることにより、電機子巻線の誘起電圧やインダクタンスにおける大きな歪みに対する補償を行っていた。しかしながら、電流制御の周期を高速化するには自ずと限界があり、フィードバックゲインを大きくするには限界があった。従って、永久磁石をロータの内部に埋め込んだ埋込磁石型モータ(IPM:Interior Permanent Magnet motor)のような誘起電圧やインダクタンスの歪みが大きいモータにおいては、これらの歪みを十分に補償することはできないという問題があった。
この問題について図17を参照して具体的に説明する。図17は、電気角360°あたりに固定子のスロット数が12である埋込磁石型モータを従来のモータ制御装置により制御したときの電機子巻線を流れる相電流の波形図である。
従来のモータ制御装置による制御において、誘起電圧やインダクタンスの歪みによる影響は相電流に対して電気角360°あたりに12回(スロット数)の割合で繰り返される。従って、図17に示すように、相電流は周期が30°(=360°/12スロット)で波打つような変動成分(歪みの成分)を有している。
このように、従来のモータ制御装置による電流のフィードバック制御だけでは、誘起電圧やインダクタンスの歪みが大きいときに、これらの歪みを十分に補償することができなかった。そのため、相電流が波打つような変動成分(歪みの成分)により回転トルクのリップルが生じ、騒音や振動が発生するという問題が発生していた。また、上記の相電流変動の説明は、電機子巻線を分布巻としたモータに関するものであり、電機子巻線を集中巻としたモータの場合は、事情が異なる。集中巻の場合は、モータの電気角周波数の6倍の周波数(6次の高調波)にて相電流が脈動することが知られている。集中巻における相電流脈動も、分布巻の場合と同様、騒音や振動を発生させる。尚、相電流の変動成分の周波数が低くなると、騒音や振動の問題はより大きくなる。
誘起電圧等の歪みに起因した相電流の変動(歪み)によって生じる振動・騒音の問題を解決するべく、例えば、下記特許文献7には、駆動周波数の整数倍の周波数のd軸及びq軸学習値を用いてd軸及びq軸電圧指令値を補正する技術が提案されている。
能登原保夫、他4名,「周期トルク外乱抑制制御の検討」,平成16年電気学会産業応用部門大会,2004年9月14日,1−57(I-337〜I-340) 特開2004−178393号公報 特開2004−135491号公報 特開2003−339197号公報 特開平7−87773号公報 特公平6−48916号公報 特開2002−364551号公報 特開2000−324879号公報
モータの回転速度の周期的な変動を抑制すべく提案された非特許文献1の手法では、フーリエ変換及びフーリエ逆変換が必要であるため、処理が複雑である。また、特許文献1の手法では、多くのフィルタと多くのメモリが必要となってしまう。
また、特許文献2〜特許文献6による技術は、処理が複雑になる等、モータの回転速度の周期的な変動を抑制する構成として、必ずしも満足のいくものではない。また、特許文献7による技術は、処理が複雑になる等、誘起電圧等の歪みに起因した相電流の変動成分を抑制する構成として、必ずしも満足のいくものではない。
そこで本発明は、簡易な処理且つ小規模な構成にて、モータの回転速度の周期的な変動を抑制することができるモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムを提供することを目的とする。
また、簡易な処理且つ小規模な構成にて、誘起電圧等の歪みに起因したモータの相電流の変動を抑制することができるモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムを提供することを目的とする。
上記目的を実現するために、本発明に係る第1のモータ制御装置は、モータ速度を求めるモータ速度演算部と、求められたモータ速度が外部から与えられたモータ速度指令値に追従するようにトルク電流指令値を作成する速度制御部と、得られたモータ速度と前記モータ速度指令値との差の周期的な脈動成分を抽出する共振型フィルタと、抽出された脈動成分を用いて前記トルク電流指令値を補正する補正部と、モータの電機子巻線に流れるモータ電流が補正後のトルク電流指令値に応じた値に追従するように、モータに印加されるべき電圧を表す電圧指令値を作成する電流制御部と、を備えたことを特徴とする。
モータの負荷トルクは周期的に変動する場合があり、その周期的な変動は速度変動となって現れる。しかしながら、第1のモータ制御装置によれば、周期的な負荷トルク変動に起因したモータ速度の周期的な脈動成分が共振型フィルタによって抽出され、その抽出された脈動成分を用いてトルク電流指令値が補正される。
このため、負荷トルク変動に同期した速度変動を抑制することが可能となり、上記第1のモータ制御装置を、例えば圧縮機に適用すれば、圧縮機自体の振動や騒音を低減することができる。また、速度変動の抑制効果を主として担う共振型フィルタと補正部は小規模に構成できると共に、それらが行う処理は簡易である。
また、例えば、第1のモータ制御装置において、前記共振型フィルタは、前記差の周期的な脈動成分を抽出すると共に、前記差の位相の調整を行うようにしてもよい。
例えば、モータの回転子位置(或いは回転子位置に関する情報)を推定し、その推定した値からモータ速度を求める(推定する)場合、推定されたモータの回転子位置が実際の回転子位置からずれてしまう場合がある。この場合、求められた(推定された)モータ速度の位相もずれることになるが、上記のように共振型フィルタに位相の調整機能を持たせることにより、位相のずれを低減することが可能となる。
また、例えば、第1のモータ制御装置において、前記共振型フィルタの伝達関数は、
(b1s+b0)/(s2+2ζωrs+ωr 2
(但し、boはゲイン係数、b1は位相調整量、ζは減衰係数、ωrは固有角周波数、sはラプラス演算子である)
で表される。
上記目的を実現するために、本発明に係る第2のモータ制御装置は、回転子としての永久磁石が作る磁束に平行な軸とその軸に対応する制御上の推定軸との軸誤差が小さくなるようにモータを制御するモータ制御装置であって、前記軸誤差の周期的な脈動成分を抽出する共振型フィルタと、抽出された脈動成分を用いて、外部から与えられたモータ速度指令値に応じて作成されたトルク電流指令値を補正する補正部と、モータの電機子巻線に流れるモータ電流が補正後のトルク電流指令値に応じた値に追従するように、モータに印加されるべき電圧を表す電圧指令値を作成する電流制御部と、を備えたことを特徴とする。
モータの負荷トルクは周期的に変動する場合があり、その周期的な変動は速度変動を生じさせ、最終的には軸誤差の変動となって表れる。しかしながら、第2のモータ制御装置によれば、周期的な負荷トルク変動に起因した軸誤差の周期的な脈動成分が共振型フィルタによって抽出され、その抽出された脈動成分を用いてトルク電流指令値が補正される。
このため、負荷トルク変動に同期した速度変動を抑制することが可能となり、上記第2のモータ制御装置を、例えば圧縮機に適用すれば、圧縮機自体の振動や騒音を低減することができる。また、速度変動の抑制効果を主として担う共振型フィルタと補正部は小規模に構成できると共に、それらが行う処理は簡易である。
また、例えば、第2のモータ制御装置において、モータの電機子巻線に流れるモータ電流に基づいて、前記軸誤差とモータ速度を推定する推定部と、推定されたモータ速度が前記モータ速度指令値に追従するように前記トルク電流指令値を作成する速度制御部と、を更に備え、前記共振型フィルタは、前記推定部により推定された前記軸誤差から前記軸誤差の周期的な脈動成分を抽出すればよい。
また、例えば、第2のモータ制御装置において、モータの電機子巻線に流れるモータ電流に基づいて、前記軸誤差の変動に同期して変動する値とモータ速度を推定する推定部と、推定されたモータ速度が前記モータ速度指令値に追従するように前記トルク電流指令値を作成する速度制御部と、を更に備え、前記共振型フィルタは、前記推定部により推定された前記軸誤差の変動に同期して変動する値から前記軸誤差の周期的な脈動成分を抽出してもよい。
軸誤差の変動と同期して変動する値は、軸誤差と同様、周期的な負荷トルク変動に同期した周期的な脈動成分を含んでいるため、その値から共振型フィルタは軸誤差の周期的な脈動成分を抽出できる。
また、例えば、第2のモータ制御装置において、前記共振型フィルタは、前記軸誤差の周期的な脈動成分を抽出すると共に、前記軸誤差の位相の調整を行うようにしてもよい。
推定された軸誤差は実際の軸誤差からずれてしまう場合がある。この場合、求められた(推定された)軸誤差の位相もずれることになるが、上記のように共振型フィルタに位相の調整機能を持たせることにより、位相のずれを低減することが可能となる。
また、例えば、第2のモータ制御装置において、前記共振型フィルタの伝達関数は、
(bos+b1)/(s2+2ζωrs+ωr 2
(但し、boはゲイン係数、b1は位相調整量、ζは減衰係数、ωrは固有角周波数、sはラプラス演算子である)
で表される。
上記目的を実現するために、本発明に係る第3のモータ制御装置は、モータの電機子巻線に流れるモータ電流を回転座標系上の電流に変換し、モータ電流の回転座標系上における電流成分を算出する3相2相座標変換器と、前記電流成分が与えられた電流指令値に追従するように、回転座標系上における電圧指令値を作成する電流制御部と、前記電流成分と前記電流指令値との差の周期的な脈動成分を抽出する共振型フィルタと、抽出された脈動成分を用いて前記電圧指令値を補正する補正部と、補正後の電圧指令値を用いてモータに印加されるべき電圧を表す固定座標系上における三相の電圧指令値を作成する2相3相座標変換器と、を備えたことを特徴とする。
モータの相電流は、図17に示す如く、誘起電圧の歪み等に起因して周期的に変動する(歪む)場合がある。相電流が変動すれば(歪めば)、回転座標系上における電流成分も変動する(歪む)。しかしながら、第3のモータ制御装置によれば、誘起電圧の歪み等に起因した電流成分の周期的な脈動成分が共振型フィルタによって抽出され、その抽出された脈動成分を用いて回転座標系上における電圧指令値が補正される。
そして、2相3相座標変換器は、補正後の回転座標系上における電圧指令値を用いて固定座標形上における三相の電圧指令値を作成するため、誘起電圧の歪み等に起因した相電流の変動(歪み)が抑制される。上記第3のモータ制御装置を、例えば圧縮機に適用すれば、圧縮機自体の振動や騒音を低減することができる。また、電流変動の抑制効果を主として担う共振型フィルタと補正部は小規模に構成できると共に、それらが行う処理は簡易である。
また、例えば、第3のモータ制御装置において、前記共振型フィルタの伝達関数は、
(c0s+c1)/(s2+2ζωns+ωn 2
(但し、coとc1は任意の値をとる係数、ζは減衰係数、ωnは固有角周波数、sはラプラス演算子である)
で表される。
上記目的を実現するために、本発明に係る第4のモータ制御装置は、モータ速度が所望の回転速度に保たれるようにモータを制御するモータ制御装置において、モータに印加されるべき電圧を表す電圧指令値を算出するために用いられるモータの状態量の周期的な脈動成分を抽出する共振型フィルタと、前記状態量に基づいて前記電圧指令値を算出するために用いられる指令値を算出する指令値演算部と、前記共振型フィルタにより抽出された脈動成分を用いて前記指令値を補正する補正部と、補正後の前記指令値に基づいて前記電圧指令値を作成する指令電圧演算部と、を備えたことを特徴とする。
モータに印加されるべき電圧を表す電圧指令値を算出するために用いられるモータの状態量の周期的な脈動は、速度変動や電流変動を引き起こし、振動や騒音の観点から望ましくない場合がある。しかしながら、第4のモータ制御装置によれば、上記状態量の周期的な脈動成分が共振型フィルタによって抽出され、その抽出された脈動成分を用いて上記指令値が補正される。
このため、好ましくない速度変動や電流変動を抑制することが可能となり、上記第4のモータ制御装置を、例えば圧縮機に適用すれば、圧縮機自体の振動や騒音を低減することができる。また、速度変動や電流変動の抑制効果を主として担う共振型フィルタと補正部は小規模に構成できると共に、それらが行う処理は簡易である。
また、上記目的を実現するために、本発明に係るモータ駆動システムは、モータと、 前記モータを駆動するインバータと、前記インバータを制御することにより前記モータを制御するモータ制御装置を備えており、そのモータ制御装置は、上記の第1〜第4のモータ制御装置の何れか(任意)である。
上述した通り、本発明に係るモータ制御装置及びモータ駆動システムによれば、簡易な処理且つ小規模な構成にて、モータの回転速度の周期的な変動を抑制することができる。
また、簡易な処理且つ小規模な構成にて、誘起電圧等の歪みに起因したモータの相電流の変動を抑制することができる。
<<第1実施形態>>
以下、本発明に係るモータ制御装置及びそれを有するモータ駆動システムの第1実施形態を説明する。図1は、第1実施形態に係るモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムのブロック構成図である。
1は、永久磁石を回転子(不図示)に、電機子巻線を固定子(不図示)に設けた三相永久磁石同期モータ1(以下、単に「モータ1」と記すことがある)である。モータ1は、周期的な負荷トルク変動を有する負荷要素(不図示。例えば、圧縮機等)を駆動する。
2は、PWM(Pulse Width Modulation)インバータであり、モータ1の回転子位置に応じてモータ1にU相、V相及びW相から成る三相交流電圧を供給する。このモータ1に供給される電圧をモータ印加電圧(電機子電圧)Vaとし、モータ1に供給される電流をモータ電流(電機子電流)Iaとする。
図1のモータ駆動システムは、モータ1、PWMインバータ2及びモータ制御装置3を有して構成される。図1のモータ制御装置3は、電流検出器11、3相2相座標変換器12、減算器13、減算器14、電流制御部15、磁束制御部16、速度制御部17、2相3相座標変換器18、減算器19、推定器20、共振型フィルタ30及び加算器(補正部)31を有して構成される。推定器20は、更に、軸誤差推定部21、比例積分演算器22及び積分器23を有して構成される。
モータ制御装置3は、モータ電流Iaを用いてモータ1のモータ速度(モータの回転速度)等を認識し、モータ1を所望の回転速度で回転させるための信号をPWMインバータ2に与える。これにより、モータ1の回転速度は、所望の回転速度に保たれることになる。この所望の回転速度は、図示されないCPU(中央処理装置;Central Processing Unit)等からモータ制御装置3(より具体的には、減算器19)に、モータ速度指令値ω*として与えられる。
図2は、三相永久磁石同期モータ1の解析モデル図である。図2には、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸が示されている。1aは、モータ1の回転子に相当する永久磁石である。永久磁石が作る磁束と同じ速度で回転する回転座標系において、永久磁石の磁束方向をd軸にとり、d軸に対応する制御上の推定軸をdc軸とする。また、図示していないが、d軸から電気角で90度進んだ位相にq軸をとり、dc軸から電気角で90度進んだ位相に推定軸であるqc軸をとる。回転座標系はd軸とq軸を座標軸に選んだ座標系であり、その座標軸であるd−q座標軸を以下、単に実軸という。制御上の回転座標系(推定回転座標系)はdc軸とqc軸を座標軸に選んだ座標系であり、その座標軸であるdc−qc座標軸を以下、単に制御軸という。
実軸は回転しており、その回転速度をω(実モータ速度ω)とする。制御軸も回転しており、その回転速度をωe(推定モータ速度ωe)とする。また、ある瞬間の回転している実軸において、d軸の位相をU相の電機子巻線固定軸を基準としてθ(実回転子位置θ)により表す。同様に、ある瞬間の回転している制御軸において、dc軸の位相をU相の電機子巻線固定軸を基準としてθe(推定回転子位置θe)により表す。そうすると、実軸と制御軸の軸誤差(軸ずれ角)Δθは、Δθ=θ―θeとなる。
以下の記述において、モータ印加電圧Vaのdc軸成分、qc軸成分、d軸成分、q軸成分を、それぞれdc軸電圧vdc、qc軸電圧vqc、d軸電圧vd、q軸電圧vqで表し、モータ電流Iaのdc軸成分(制御軸上の励磁電流成分)、qc軸成分(制御軸上のトルク電流成分)、d軸成分(実軸上の励磁電流成分)、q軸成分(実軸上のトルク電流成分)を、それぞれdc軸電流(制御軸上の励磁電流)idc、qc軸電流iqc(制御軸上のトルク電流)、d軸電流(実軸上の励磁電流)id、q軸電流(実軸上のトルク電流)iqで表す。
また、以下の記述において、Raは、モータ抵抗(モータ1の電機子巻線の抵抗値)であり、Ld、Lqは、夫々d軸インダクタンス(モータ1の電機子巻線のインダクタンスのd軸成分)、q軸インダクタンス(モータ1の電機子巻線のインダクタンスのq軸成分)であり、Φaは、永久磁石1aによる電機子鎖交磁束である。尚、Ld、Lq、Ra及びΦaは、モータ駆動システムの設計時において予め設定される値である。また、後に示す各式(式(3)等)において、sはラプラス演算子を意味する。
図1において、電流検出器11は、例えばホール素子等から成り、PWMインバータ2からモータ1に供給されるモータ電流IaのU相電流iu及びV相電流ivを検出する。3相2相座標変換器12は、電流検出器11からのU相電流iu及びV相電流ivの検出結果を受け取り、それらを推定器20から与えられる推定回転子位置θeを用いて、dc軸電流idc及びqc軸電流iqcに変換する。この変換には、下記式(1)を用いる。
Figure 0004342450
軸誤差推定部21は、軸誤差Δθを算出する。この軸誤差Δθの算出式は、様々なものを採用可能である。例えば、特許第3411878号公報にも示されている下記式(2)を用いて、軸誤差Δθを算出する(但し、特許第3411878号公報ではdc軸とd軸の差をΔθとしているのに対し、本実施形態ではd軸とdc軸の差をΔθとしているため、特許第3411878号公報におけるΔθ算出式と式(2)とでは、符号が逆になる)。つまり、軸誤差推定部21は、電流制御部15から与えられるdc軸電圧指令値vdc *及びqc軸電圧指令値vqc *と、3相2相座標変換器12から与えられるdc軸電流idc及びqc軸電流iqcと、比例積分演算器22から与えられる推定モータ速度ωeと、を用いて軸誤差Δθを算出する。
Figure 0004342450
比例積分演算器22は、PLL(Phase Locked Loop)から成り、軸誤差推定部21と協働して比例積分制御を行って、軸誤差推定部21が算出した軸誤差Δθがゼロに収束するように推定モータ速度ωeを算出し、また、その算出したωeを軸誤差推定部21、積分器23、磁束制御部16及び減算器19に出力する。積分器23は、推定モータ速度ωeを積分して推定回転子位置θeを算出し、算出した推定回転子位置θeを3相2相座標変換器12と2相3相座標変換器18に出力する。
減算器19は、推定器20(より具体的には、比例積分演算器22)から与えられる推定モータ速度ωeを、モータ速度指令値ω*から減算し、減算結果(速度誤差)出力する。速度制御部17は、減算器19の減算結果(ω*−ωe)に基づいて、qc軸電流指令値(トルク電流指令値)iqc *を作成する。このqc軸電流指令値iqc *は、本来、モータ電流Iaのqc軸成分(トルク電流成分)であるqc軸電流iqc(トルク電流)が追従すべき電流の値を表すのであるが、後述する共振型フィルタ30と加算器31とによって、その値は補正される。従って、iqc *は、暫定トルク電流指令値とも呼べる。
磁束制御部16は、推定器20から与えられる推定モータ速度ωeと速度制御部17から与えられるqc軸電流指令値(トルク電流指令値)iqc *を用いて、dc軸電流指令値(励磁電流指令値)idc *を作成する。このdc軸電流指令値idc *は、モータ電流Iaのdc軸成分(励磁電流成分)であるdc軸電流(励磁電流)idcが追従すべき電流の値を表す。
共振型フィルタ30は、減算器19の減算結果(ω*−ωe)を入力とし、減算結果(ω*−ωe)から、減算結果(ω*−ωe)の周期的な脈動成分を抽出する(推定モータ速度ωeの周期的な脈動成分を抽出する)。そして、その脈動成分をiq_aとして、加算器31に出力する。共振型フィルタ30の伝達関数Ha(s)は、下記式(3)で表される。
Figure 0004342450
ここで、boはゲイン係数、ζは減衰係数、ωrは固有角周波数(第1の固有角周波数)である。ゲイン係数bo、減衰係数ζ及び固有角周波数ωrは、モータ駆動システムの設計時において予め設定される値である。
固有角周波数ωrは、モータ1が駆動する負荷要素による周期的な負荷トルク変動の角周波数と等しくなるように(或いは出来るだけ等しくなるように)設定される。この固有角周波数ωrの値は、モータ速度指令値ω*または推定モータ速度ωe(または実モータ速度ω)の値に応じて変化するようになっている。負荷トルク変動の周期は、モータ1の回転速度によって変化するからである。
減衰係数ζは、共振型フィルタの共振の程度(共振特性)を決める値であり、0≦ζ<1の任意の値を設定可能である。例えば、ζ=0.01や、ζ=0.1に設定する。ゲイン係数b0は、基本的には一定値であるが、モータ1のモータ速度指令値ω*または推定モータ速度ωe(または実モータ速度ω)の値に応じて変化するようにしても構わない。
推定モータ速度ωeや減算器19の減算結果(ω*−ωe)は、負荷要素による周期的な負荷トルク変動に同期して変動(脈動)しているため、減算器19の減算結果(ω*−ωe)に伝達関数Ha(s)を乗じることにより得られるiq_aには、推定モータ速度ωeや減算結果(ω*−ωe)の周期的な脈動成分が強調して表れることになる。
加算器31は、速度制御部17から出力される(補正前の)qc軸電流指令値iqc *に共振型フィルタ30から出力される脈動成分iq_aを加算する。加算器31は、共振型フィルタ30により抽出された脈動成分iq_aを用いて、減算結果(ω*−ωe)から「負荷要素の周期的な負荷トルク変動に同期した脈動成分」を除去する方向に、qc軸電流指令値(トルク電流指令値)iqc *を補正する補正部として機能する。
減算器14は、加算器31の加算結果(iqc *+iq_a)、換言すれば上記補正部による補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a)から、3相2相座標変換器12より与えられるqc軸電流iqcを差し引いて、電流誤差(iqc *+iq_a−iqc)を算出する。減算器13は、磁束制御部16が出力するdc軸電流指令値idc *から、3相2相座標変換器12が出力するdc軸電流idcを差し引いて、電流誤差(idc *−idc)を算出する。
電流制御部15は、減算器13、14からの各電流誤差、3相2相座標変換器12からのdc軸電流idc及びqc軸電流iqc及び比例積分演算器22からの推定モータ速度ωeに基づいて、dc軸電流(制御軸上の励磁電流)idcがdc軸電流指令値(励磁電流指令値)idc *に追従するように(等しくなるように)、且つqc軸電流(制御軸上のトルク電流)iqcが補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a)に追従するように(等しくなるように)、モータ1に印加されるべき電圧を表す回転座標系上における電圧指令値(dc軸電圧指令値vdc *及びqc軸電圧指令値vqc *)作成して出力する。
dc軸電圧指令値vdc *はdc軸電圧vdcが等しくなるべき値を表しており、qc軸電圧指令値vqc *はqc軸電圧vqcが等しくなるべき値を表しているが、モータ駆動システムは、全体として軸誤差Δθがゼロに収束するように動作するため、dc軸電圧指令値vdc *及びqc軸電圧指令値vqc *は、夫々d軸電圧vd及びq軸電圧vqが等しくなるべき値である、ともいうことが出来る。
dc軸電流指令値(励磁電流指令値)idc *はdc軸電流(制御軸上の励磁電流)idcが等しくなるべき値を表しており、補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a)はqc軸電流iqcが等しくなるべき値を表しているが、モータ駆動システムは、全体として軸誤差Δθがゼロに収束するように動作するため、dc軸電流指令値idc *及び補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a)は、夫々d軸電流(実軸上の励磁電流)id及びq軸電流(実軸上のトルク電流)iqが等しくなるべき値である、ともいうことが出来る。
2相3相座標変換器18は、推定器20から与えられる推定回転子位置θeを用いてdc軸電圧指令値vdc *及びqc軸電圧指令値vqc *の逆変換を行い、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *から成る三相の電圧指令値を作成して、それらをPWMインバータ2に出力する。この逆変換には、下記式(4a)及び式(4b)を用いる。PWMインバータ2は、モータ1に印加されるべき電圧を表す三相の電圧指令値に基づいてパルス幅変調された信号を作成し、モータ1を駆動する。
Figure 0004342450
磁束制御部16、速度制御部17、減算器19及び加算器31は、推定モータ速度ωeがモータ速度指令値ω*に追従するように(等しくなるように)、電流指令値(dc軸電流指令値idc *と補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a))を作成する「指令電流演算部」を構成する。
また、モータ速度を求める(図1のモータ駆動システムにおいては、モータ速度を推定する、即ち推定モータ速度ωeを算出する)モータ速度演算部は、主として推定器20から構成される。
また、第1実施形態において、共振型フィルタ30は、モータ1の推定モータ速度ωe(或いは実モータ速度ω)や減算器19の減算結果(ω*−ωe)に含まれる周期的な脈動成分を抽出する。モータ1の推定モータ速度ωe(或いは実モータ速度ω)は、モータ1に印加されるべき三相の電圧指令値を算出するために用いられる、モータ1の状態量である。そして、速度制御部17は、その状態量に基づいて三相の電圧指令値を算出するために用いられる暫定的な指令値(qc軸電流指令値iqc *)を算出する指令値演算部として機能する。加算器31は、共振型フィルタ30により抽出された脈動成分iq_aを用いて、その指令値(qc軸電流指令値iqc *)を補正する補正部として機能する。電流制御部15及び2相3相座標変換器18は、補正後の指令値(補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a))に基づいて三相の電圧指令値を作成する指令電圧演算部として機能する。
尚、電流制御部15、磁束制御部16、速度制御部17、比例積分演算器22は、夫々式(5a)及び(5b)、式(6)、式(7)、式(8)を用いて、夫々の演算を行う。
Figure 0004342450
Figure 0004342450
Figure 0004342450
Figure 0004342450
ここで、Kcp、Ksp及びKpは比例係数、Kci、Ksi及びKiは積分係数であり、それらはモータ駆動システムの設計時において予め設定される値である。
上記のように構成すれば、負荷要素による周期的な負荷トルク変動に同期した速度変動を抑制することができる。従って、本実施形態に係るモータ制御装置やモータ駆動システムを、例えば圧縮機に適用すれば、圧縮機自体の振動や騒音を低減することができる。
(図3;線図ブロック)
図1のモータ駆動システムの内、トルクに関する部分だけを表した線図ブロックを図3に示す。図3における減算器70、比例積分演算器71、共振型フィルタ72、加算器73は、夫々図1における減算器19、速度制御部17、共振型フィルタ30、加算器31に対応している。
比例積分演算器71は、減算器70による減算結果(ω*−ωe)をPI補償(比例積分補償)してqc軸電流指令値iqc *を出力する。共振型フィルタ72は、減算器70による減算結果(ω*−ωe)から固有角周波数ωrの周波数成分を抽出した脈動成分iq_aを出力する。加算器73による加算結果(iqc *+iq_a)は、電流制御部74によってモータ電流に変換され、乗算器75にてトルク定数KTを乗じることによりモータトルクTmに変換される。
減算器76及び乗算器77を介して得られる実モータ速度ωは、(Tm−Tdis)/Jsで表される。ここで、Tdisは、周期的な変動を有する負荷トルクであり、Jはイナーシャである。速度推定部78は、推定モータ速度ωeを減算器70に与えている。
(位相調整)
また、軸誤差Δθは、推定段階において、本来の(実際の)Δθからずれる場合がある。つまり、図1の軸誤差推定部21が推定する軸誤差Δθは、本来の(実際の)Δθからずれる(例えば、10°遅れる等)場合がある。軸誤差Δθが本来の(実際の)Δθからずれれば、推定モータ速度ωeの位相もずれることになる。そのような場合を考慮して、共振型フィルタ30の伝達関数Ha(s)を、上記式(3)でなく、下記式(9)に変形してもよい。
Figure 0004342450
1は、位相調整量を表しており、軸誤差Δθにおける本来の(実際の)Δθからのずれ量に応じて決定される(モータ駆動システムの設計時において予め設定される)。上記ずれ量はモータ速度に応じて変化するため、この位相調整量b1の値は、モータ1のモータ速度指令値ω*または推定モータ速度ωe(または実モータ速度ω)の値に応じて変化するようになっている。上記ずれ量がゼロであるとみなせる場合は、b1をゼロとすればよい。
共振型フィルタ30の伝達関数Ha(s)が上記式(9)で表される場合、共振型フィルタ30は、推定モータ速度ωeや減算器19の減算結果(ω*−ωe)の周期的な脈動成分を抽出すると共に、推定モータ速度ωe(減算器19の減算結果(ω*−ωe))の位相の調整を行う(位相を任意の量だけ進ませる、或いは遅らせる)ことになる。これにより、軸誤差Δθにおける本来の(実際の)Δθからのずれをキャンセルすることができる。
(加算器の位置の変形)
また、図1の磁束制御部16は、推定器20から与えられる推定モータ速度ωeと加算器31から出力される補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a)とを用いて、dc軸電流指令値idc *を作成するようにしてもよい。つまり、速度制御部17の演算結果を磁束制御部16に与える代わりに、加算器31の演算結果を磁束制御部16に与えるのである。この場合、上記式(6)のおけるiqc *は、(iqc *+iq_a)に置換されることになる。
(速度の検出)
また、図1のモータ駆動システムは、推定器20を設けてモータ速度を推定する(即ち、推定モータ速度ωeを算出する)方式を採用しているが、実際のモータ速度を検出するようにしても構わない。即ち、図1のモータ駆動システムを、図4のモータ駆動システムに変形してもよい。
図4のモータ駆動システムは、モータ1とPWMインバータ2とモータ制御装置3aとを有して構成されている。モータ制御装置3aは、モータ制御装置3を変形したものであり、その変形点は、モータ制御装置3における推定器20を位置検出器33(例えば、ロータリエンコーダ等)と微分器34に置き換えた点である。図4において、図1と同一の部分には同一の符号を付して、再度の説明を省略する。
位置検出器33は、モータ1の実回転子位置θを検出し、その値を3相2相座標変換器12、2相3相座標変換器18及び微分器34に与える。微分器34は、実回転子位置θを微分して実モータ速度ωを算出し、その値を減算器19と磁束制御部16に与える。このように構成しても、図1のモータ駆動システムと同様の動作及び効果が得られる。
但し、図1のモータ駆動システムにおいて算出され各種演算に用いられた推定回転子位置θe及び推定モータ速度ωeが、図4のモータ駆動システムにおいては実回転子位置θ及び実モータ速度ωに代わっているため、図4のモータ駆動システムの各部位の出力する演算量や各部位で用いられる演算式は、当然、変形される。
例えば、3相2相座標変換器12が出力する演算量はdc軸電流idc及びqc軸電流iqcからd軸電流id及びq軸電流iqに代わり、速度制御部17が出力する演算量はqc軸電流指令値iqc *からq軸電流指令値(トルク電流指令値)iq *に代わり、磁束制御部16が出力する演算量はdc軸電流指令値idc *からd軸電流指令値(励磁電流指令値)id *に代わる。また、それらの変更に伴って、電流制御部15が出力する演算量はdc軸電圧指令値vdc *及びqc軸電圧指令値vqc *からd軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *に代わる。
図4のモータ駆動システムの動作は、図1のモータ駆動システムの動作を説明する文中のdc軸電流idc、qc軸電流iqc、qc軸電流指令値iqc *、dc軸電流指令値idc *、dc軸電圧指令値vdc *及びqc軸電圧指令値vqc *を、夫々d軸電流id、q軸電流iq、q軸電流指令値iq *、d軸電流指令値id *、d軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *に置換したものに対応する。
d軸電流指令値id *はd軸電流(励磁電流)idが等しくなるべき値を表しており、補正後のq軸電流指令値(iq *+iq_a)はq軸電流(トルク電流)iqが等しくなるべき値を表している。d軸電圧指令値vd *はd軸電圧vdが等しくなるべき値を表しており、q軸電圧指令値vq *はq軸電圧vqが等しくなるべき値を表している。
また、図4のモータ駆動システムにおいては、モータ速度を求める(実モータ速度ωを求める)モータ速度演算部(検出器)は、位置検出器33と微分器34とから構成される。
<<第2実施形態>>
次に、本発明に係るモータ制御装置及びそれを有するモータ駆動システムの第2実施形態を説明する。図5は、第2実施形態に係るモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムのブロック構成図である。図5において、図1と同一の部分には同一の符号を付して、再度の説明を省略する。
第2実施形態に係るモータ駆動システムは、モータ1とPWMインバータ2とモータ制御装置3bとを有して構成される。図5のモータ制御装置3bが、図1のモータ制御装置3と相違する点は、図1の共振型フィルタ30の代わりに共振型フィルタ40が設けられている点であり、その他の点(動作等)では図1のモータ制御装置3と一致している。但し、軸誤差推定部21の出力する軸誤差Δθは、共振型フィルタ40にも与えられている。図5のモータ制御装置3bと図1のモータ制御装置3との一致点については、説明を省略する。
共振型フィルタ40の詳細な構成(機能)は、図6に示す第1の構成、図7に示す第2の構成及び図8に示す第3の構成の何れかを任意に採用可能である。第1、第2、第3の構成の何れの共振型フィルタ40も、軸誤差Δθを入力とし、脈動成分iq_aを出力する。
第1の構成の共振型フィルタ40(図6)の伝達関数Hb1(s)は、下記式(10)にて表される。
Figure 0004342450
式(10)におけるゲイン係数bo、減衰係数ζ及び固有角周波数ωrは、式(3)におけるものと同じである。
軸誤差Δθは、モータ1が駆動する負荷要素による周期的な負荷トルク変動に同期して変動(脈動)しているため、軸誤差Δθに伝達関数Hb1(s)を乗じることにより得られるiq_aには、軸誤差Δθの周期的な脈動成分が強調して表れることになる。
第2の構成の共振型フィルタ40(図7)の伝達関数Hb2(s)は、下記式(11)にて表される。
Figure 0004342450
式(11)におけるゲイン係数bo、位相調整量b1、減衰係数ζ及び固有角周波数ωrは、式(3)及び式(9)におけるものと同じである。
軸誤差Δθは、モータ1が駆動する負荷要素による周期的な負荷トルク変動に同期して変動(脈動)しているため、軸誤差Δθに伝達関数Hb2(s)を乗じることにより得られるiq_aには、軸誤差Δθの周期的な脈動成分が強調して表れることになる。
共振型フィルタ40の伝達関数が上記式(11)で表される場合、共振型フィルタ40は、軸誤差Δθの周期的な脈動成分を抽出すると共に、軸誤差Δθの位相の調整を行う(位相を任意の量だけ進ませる、或いは遅らせる)ことになる。これにより、軸誤差Δθにおける本来の(実際の)Δθからのずれをキャンセルすることができる。
第3の構成の共振型フィルタ40(図8)の伝達関数Hb3(s)は、下記式(12)にて表される。第3の構成の共振型フィルタ40は、伝達関数がb0s/(s2+2ζωrs+ωr 2)の乗算器41と、伝達関数が(s+b3)/(s+b2)の乗算器42とを直列接続したものから構成される。
Figure 0004342450
式(12)におけるゲイン係数bo、減衰係数ζ及び固有角周波数ωrは、式(3)におけるものと同じものである。b2とb3は、位相調整量であり、軸誤差Δθにおける本来の(実際の)Δθからのずれ量に応じて決定される(モータ駆動システムの設計時において予め設定される)。上記ずれ量はモータ速度に応じて変化するため、この位相調整量b2とb3の値は、モータ1のモータ速度指令値ω*または推定モータ速度ωeの値に応じて変化するようになっている。
軸誤差Δθは、モータ1が駆動する負荷要素による周期的な負荷トルク変動に同期して変動(脈動)しているため、軸誤差Δθに伝達関数Hb3(s)を乗じることにより得られるiq_aには、軸誤差Δθの周期的な脈動成分が強調して表れることになる。
共振型フィルタ40の伝達関数が上記式(12)で表される場合、共振型フィルタ40は、軸誤差Δθの周期的な脈動成分を抽出すると共に、軸誤差Δθの位相の調整を行う(位相を任意の量だけ進ませる、或いは遅らせる)ことになる。これにより、軸誤差Δθにおける本来の(実際の)Δθからのずれをキャンセルすることができる。
尚、式(12)で表される伝達関数Hb3(s)は、式(11)で表される伝達関数Hb2(s)と異なり、高次の伝達関数となるが、固有角周波数ωrの付近においては伝達関数Hb2(s)と同様の特性となる。第2の構成の共振型フィルタ40と第3の構成の共振型フィルタ40とは、軸誤差Δθの周期的な脈動成分を抽出と軸誤差Δθの位相の調整を同時に行うか(第2の構成)、軸誤差Δθの周期的な脈動成分の抽出と位相調整を前後段に分けるか(第3の構成)を異ならせただけに過ぎない。第3の構成の共振型フィルタ40は、周期的な脈動成分の抽出と位相調整とを明確に分けた伝達関数を用いたために、その伝達関数が高次の伝達関数となっているに過ぎない。
加算器31は、速度制御部17から出力される(補正前の)qc軸電流指令値iqc *に共振型フィルタ40から出力される脈動成分iq_aを加算する。加算器31は、共振型フィルタ40により抽出された脈動成分iq_aを用いて、減算器19の減算結果(ω*−ωe)から「負荷要素の周期的な負荷トルク変動に同期した脈動成分」を除去する方向にqc軸電流指令値(トルク電流指令値)iqc *を補正する補正部として機能する。
そして、モータ電流Iaが補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a)及びdc軸電流指令値idc *に応じた値に追従するように(等しくなるように)、モータ1に印加されるべき電圧を表す三相の電圧指令値を作成され、モータ1が駆動制御される。
上記のように構成しても、負荷要素による周期的な負荷トルク変動に同期した速度変動を抑制することができる。従って、本実施形態に係るモータ制御装置やモータ駆動システムを、例えば圧縮機に適用すれば、圧縮機自体の振動や騒音を低減することができる。
また、第2実施形態において、共振型フィルタ40は、軸誤差Δθ(或いは後述する軸誤差Δθの変動に同期して変動する値)に含まれる周期的な脈動成分を抽出する。軸誤差Δθ(或いは後述する軸誤差Δθの変動に同期して変動する値)は、モータ1に印加されるべき三相の電圧指令値を算出するために用いられる、モータ1の状態量である。そして、比例積分演算器22、減算器19及び速度制御部17は、その状態量に基づいて三相の電圧指令値を算出するために用いられる暫定的な指令値(qc軸電流指令値iqc *)を算出する指令値演算部として機能する。加算器31は、共振型フィルタ40により抽出された脈動成分iq_aを用いて、その指令値(qc軸電流指令値iqc *)を補正する補正部として機能する。電流制御部15及び2相3相座標変換器18は、補正後の指令値(補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a))に基づいて三相の電圧指令値を作成する指令電圧演算部として機能する。
(図9;線図ブロック)
図5のモータ駆動システムの内、トルクに関する部分だけを表した線図ブロックを図9に示す。
図9において、図3と同一の部分には同一の符号を付す。図9における減算器70、比例積分演算器71、軸誤差推定部80、比例積分演算器81、共振型フィルタ82、加算器73は、夫々図5における減算器19、速度制御部17、軸誤差推定部21、比例積分演算器22、共振型フィルタ40、加算器31に対応している。尚、図9における共振型フィルタ82は、図6に示される第1の構成の共振型フィルタ40に対応している。
比例積分演算器71は、減算器70による減算結果(ω*−ωe)をPI補償(比例積分補償)してqc軸電流指令値iqc *を出力する。
共振型フィルタ82は、軸誤差Δθから固有角周波数ωrの周波数成分を抽出し、脈動成分iq_aを出力する。加算器73による加算結果(iqc *+iq_a)は、電流制御部74によってモータ電流に変換され、乗算器75にてトルク定数KTを乗じることによりモータトルクTmに変換される。
減算器76及び乗算器77を介して得られる実モータ速度ωは、(Tm−Tdis)/Jsで表される。ここで、Tdisは、周期的な変動を有する負荷トルクであり、Jはイナーシャである。軸誤差推定部80は、軸誤差Δθを推定する。比例積分演算器81は、軸誤差Δθがゼロに収束するようにPI補償により推定モータ速度ωeを算出し、算出値を減算器70に与える。
(シミュレーション結果)
ここで、周期的な負荷トルク変動に同期した速度変動が抑制される様子をシミュレーションした結果を示す。まず、図12に、共振型フィルタ40の入出力特性を説明するための図を示す。図10は、共振型フィルタ40の入出力特性を調べるための線図ブロックを示している。図11は、FFT(高速フーリエ・コサイン・サイン変換)を用いたフィルタの入出力特性を調べるための線図ブロックである。
図11の線図ブロックで表される構成は、共振型フィルタ40の入出力特性と比較するための参考の構成である。図11のフィルタは、入力信号をフーリエ変換し、積分補償器を通してフーリエ逆変換したものを出力する。
このシミュレーションにおいては、説明の簡略化上、減衰係数ζをゼロとしている。従って、共振型フィルタ40の伝達関数は、b0s/(s2+ωr 2)となっている。図12において、曲線101は共振型フィルタ40及び図11に示すフィルタへの入力信号波形を表しており、曲線102は共振型フィルタ40の出力信号波形を表している。曲線101の波形は周期的に変動しており、その変動の角周波数は固有角周波数ωrと等しいものとする。
曲線101と曲線102との比較からも分かるように、共振型フィルタ40によって、入力信号の固有角周波数ωrの成分が抽出されている。
また、図11のフィルタの出力信号波形を曲線103に示す。図11のように構成されるフィルタによっても、入力信号の固有角周波数ωrの成分が抽出されている。また、曲線102と曲線103との比較からも分かるように、共振型フィルタ40は、FFTを用いた図11のフィルタと同様の特性を有する。
上記(図12)のような入出力特性を有する共振型フィルタ40を用いたモータ駆動システム(図5)において、(ω*−ωe)の周期的な変動が抑制される様子を図13に示す。図13において、曲線104は(ω*−ωe)の時間変化を示し、曲線105はトルク定数KTと脈動成分iq_aとマイナス1との積(−KT・iq_a)の時間変化を示し、曲線106は周期的な変動を有する負荷トルクTdisを示している。
図示の如く、曲線105で表される脈動成分iq_aによるトルク成分(−KT・iq_a)が、負荷トルクTdisの周期的な変動成分を打ち消す方向に働き、(ω*−ωe)の周期的な変動が低減している。図13は、減衰係数ζがゼロの場合の例を示しているが、0≦ζ<1の範囲内の適切な値(例えば、0.1や0.01)をモータ駆動システムに応じて選べば、同様の効果が得られる。
図1のモータ駆動システムにおいて、共振型フィルタ30の伝達関数をb0s/(s2+ωr 2)とし、シミュレーションした場合も、(ω*−ωe)の時間変化、積(−KT・iq_a)の時間変化は、曲線104、曲線105と同様となる。
(軸誤差の変動に同期して変動する値)
図5のモータ制御装置3bにおいては、共振型フィルタ40への入力を軸誤差Δθとしているが、共振型フィルタ40への入力は、軸誤差Δθの変動(固有各周波数ωrの脈動)と同期して変動(脈動)する値であれば何でも構わない。軸誤差Δθの変動(固有各周波数ωrの脈動)と同期して変動(脈動)する値は、軸誤差Δθと同様、周期的な負荷トルク変動に同期した周期的な脈動成分を含んでいるため、その値を共振型フィルタ40に入力すれば、軸誤差Δθの周期的な脈動成分がiq_aとして抽出されるからである。
例えば、軸誤差Δθに比例する値を、共振型フィルタ40への入力値としても構わないし、軸誤差Δθに略比例する値を、共振型フィルタ40への入力値としても構わない。
例えば、軸誤差Δθを用いて推定されたトルクの脈動成分(脈動トルク成分)ΔTmを、共振型フィルタ40への入力値としても構わない。トルクの脈動成分ΔTmは、上記非特許文献1にも記載されているように、例えば下記式(13)によって近似的に算出される値であり、軸誤差Δθに比例していると考えることができるからである。式(13)において、Pは、モータ1の極数を表す。
Figure 0004342450
トルクの脈動成分ΔTmは、モータ1の発生トルクから負荷トルクを差し引いたものに相当し、負荷トルクの周期的な変動に対して、モータ1の発生トルクが追従できていないことが、トルク脈動発生(即ち、ΔTmがゼロとならないこと)の原因となっている。トルクの脈動成分ΔTmは、速度変動を生じさせ、最終的には軸誤差Δθの変動となって表れる。
(qc軸磁束についての説明)
また、例えば、モータ1の永久磁石1a(図2)のqc軸に平行な磁束成分であるqc軸磁束を、共振型フィルタ40への入力値としても構わない。ここで、上記のqc軸磁束について、数式及び図面を参照して説明する。まず、実軸上での拡張誘起電圧方程式は、一般的に下記式(14)のように表される。式(14)におけるEexは、式(15)で表され、拡張誘起電圧と呼ばれている。尚、下記の式中におけるpは、微分演算子である。
Figure 0004342450
Figure 0004342450
実軸上の式(14)を、制御軸上に座標変換すると、式(16)が得られる。
Figure 0004342450
また、拡張誘起電圧Eexを表す式(15)の過渡項(右辺第2項)を無視した場合における磁束を、下記式(17)のように拡張磁束Φexと定める。
Figure 0004342450
ところで、モータ速度や負荷が一定の状態では、モータ電流の大きさ及び位相の変化は微小であるから、q軸電流の微分項である式(15)の右辺第2項は、ωΦexより十分に小さくゼロとみなせる。また、モータ1が脱調しないで駆動されている場合は、実モータ速度ωと推定モータ速度ωeは近い値をとるため、式(16)の右辺第3項も、ωΦexより十分に小さくゼロとみなせる。そこで、式(15)の右辺第2項及び式(16)の右辺第3項を無視して考えると、式(16)は下記式(18)のようになる。
Figure 0004342450
ここで、図14に、モータ1における各部の電圧の関係等を表したベクトル図を示す。モータ印加電圧Vaは、拡張誘起電圧Eex=ωΦexと、モータ抵抗Raでの電圧降下ベクトルRa・Iaと、電機子巻線のインダクタンスでの電圧降下ベクトルVLとの和で表される。拡張磁束Φexは、永久磁石の作る磁束Φaとd軸電流の作る磁束(Ld−Lq)idとの和であるから、ベクトルの方向はd軸と一致する。Lq・Iaで表されるベクトルは、q軸インダクタンスとモータ電流Iaによって生じる磁束のベクトルであり、符号110は、ΦexとLq・Iaの合成磁束ベクトルを表す。
また、Φqcは、拡張磁束Φexのqc軸成分である。従って、Φqc=Φex・sinΔθが成立する。また、上記式(18)の行列の1行目を展開して整理することにより、下記式(19)が導かれる。
Figure 0004342450
通常、永久磁石の作る磁束は、d軸電流の作る磁束よりも十分に大きく、Φa>>(Ld−Lq)idであるため、Φexは一定、即ち、Φex≒Φaと考えることができる。そして、軸ずれ角Δθが小さく、sinΔθ≒θにて近似できるとすると、式(19)を参照して、下記式(20)が成立する。
Figure 0004342450
上記式(20)から分かるように、Φqcは、電機子鎖交磁束Φaのqc軸成分(モータ1の永久磁石1a(図2)のqc軸に平行な磁束成分であるqc軸磁束)に等しいと近似される。つまり、Φqc≒(一定値)×Δθ と近似される。従って、モータ1の永久磁石1aのqc軸に平行な磁束成分であるqc軸磁束は、軸誤差Δθの変動(固有各周波数ωrの脈動)と同期して変動(脈動)する値である。
また、Φqcをゼロに収束させるようにすれば、軸誤差Δθはゼロに収束する。従って、図5のモータ駆動システムにおいて、軸誤差推定部21の代わりにΦqcを推定するqc軸磁束推定部(不図示)を設けるようにしてもよい。そして、そのqc軸磁束推定部の推定したΦqcがゼロに収束するように、比例積分演算器22が比例積分制御を行って推定モータ速度ωeを算出すればよい。このように構成しても、軸誤差Δθはゼロに収束するからである。
この場合、qc軸磁束推定部は、3相2相座標変換器12、電流制御部15及び比例積分演算器22から、夫々dc軸電流idc、qc軸電流iqc、dc軸電圧指令値vdc *及び推定モータ速度ωeを得て、下記式(21)に従って、Φqcを算出する。
Figure 0004342450
(加算器の位置の変形)
また、図5の磁束制御部16は、推定器20から与えられる推定モータ速度ωeと加算器31から出力される補正後のqc軸電流指令値(iqc *+iq_a)とを用いて、dc軸電流指令値idc *を作成するようにしてもよい。つまり、速度制御部17の演算結果を磁束制御部16に与える代わりに、加算器31の演算結果を磁束制御部16に与えるのである。この場合、上記式(6)のおけるiqc *は、(iqc *+iq_a)に置換されることになる。
<<第3実施形態>>
次に、本発明に係るモータ制御装置及びそれを有するモータ駆動システムの第3実施形態を説明する。第3実施形態におけるモータ制御装置は、従来技術が抱えていた電機子巻線に生じる誘起電圧の歪み等に起因した相電流の変動(歪み)を抑制することができるものである。
図15は、第3実施形態に係るモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムのブロック構成図である。図15において、図1と同一の部分には同一の符号を付して、再度の説明を省略する。
第3実施形態に係るモータ駆動システムは、モータ1とPWMインバータ2とモータ制御装置3cとを有して構成される。図15のモータ制御装置3cが、図1のモータ制御装置3と相違する点は、図1の共振型フィルタ30の代わりに共振型フィルタ50及び共振型フィルタ52が設けられている点と、加算器31の代わりに加算器(補正部)51及び加算器(補正部)53が設けられている点と、図1における減算器13、減算器14、電流制御部15及び2相3相座標変換器18が、夫々減算器13a、減算器14a、電流制御部15a及び2相3相座標変換器18aに置換されている点であり、その他の点(動作等)では図1のモータ制御装置3と一致している。図15のモータ制御装置3cと図1のモータ制御装置3との一致点については、説明を省略する。
減算器14aは、速度制御部17が出力するqc軸電流指令値iqc *から、3相2相座標変換器12より与えられるqc軸電流iqcを差し引いて、電流誤差(iqc *−iqc)を算出する。減算器13aは、磁束制御部16が出力するdc軸電流指令値idc *から、3相2相座標変換器12が出力するdc軸電流idcを差し引いて、電流誤差(idc *−idc)を算出する。
電流制御部15aは、減算器13a、14aから各電流誤差を入力すると共に、3相2相座標変換器12からdc軸電流idc及びqc軸電流iqcの値を入力し、dc軸電流idcがdc軸電流指令値idc *に追従するように(等しくなるように)、且つqc軸電流iqcがqc軸電流指令値iqc *に追従するように(等しくなるように)、dc軸電圧指令値vdc *とqc軸電圧指令値vqc *を出力する。
電流制御部15aが出力するqc軸電圧指令値vqc *は、本来、モータ印加電圧Vaのqc軸成分であるqc軸電圧vqcが追従すべき電圧の値を表すのであるが、後述する共振型フィルタ50と加算器51とによって、その値は補正される。従って、本実施形態におけるvqc *は、暫定qc軸電圧指令値とも呼べる。電流制御部15aが出力するdc軸電圧指令値vdc *は、本来、モータ印加電圧Vaのdc軸成分であるdc軸電圧vdcが追従すべき電圧の値を表すのであるが、後述する共振型フィルタ52と加算器53とによって、その値は補正される。従って、本実施形態におけるvdc *は、暫定dc軸電圧指令値とも呼べる。
共振型フィルタ50は、減算器14aの減算結果(iqc *−iqc)を入力とし、減算結果(iqc *−iqc)を用いて、減算結果(iqc *−iqc)の周期的な脈動成分を抽出する(モータ電流のトルク電流成分であるqc軸電流iqcの周期的な脈動成分を抽出する)。そして、その脈動成分をvq_aとして、加算器51に出力する。共振型フィルタ50の伝達関数Hc(s)は、下記式(22)で表される。
Figure 0004342450
ここで、係数co、係数c1、減衰係数ζ及び固有角周波数(第2の固有角周波数)ωnは、モータ駆動システムの設計時において予め設定される値である。式(22)における減衰係数ζは、上記式(3)等におけるものと同様のものである。
固有角周波数ωnの値は、モータ1に流れる相電流(U相電流、V相電流又はW相電流)の変動成分の角周波数に応じて決まる。この相電流の変動成分は、モータ1に電機子巻線に生じる誘起電圧の歪み等に起因した相電流の変動成分(歪み成分)であり、例えばモータ1の電機子巻線を分布巻とし、モータ1の固定子におけるスロット数を12とし、且つ伝達関数Hc(s)をゼロとしたならば、図17に示すように表れる周期が電気角30°(=360°/12スロット)の変動成分(歪みの成分)である。相電流の変動成分の角周波数が12ωe(第12次の高調波)の場合、回転座標系上におけるdc軸電流及びqc軸電流の変動成分の角周波数は、11ωe(第11次の高調波)となる。なぜなら、固定座標系上で角周波数が12ωeのものをωeで回転する回転座標系上で観測すると、その相対的な角周波数は(12ωe−ωe)=11ωe、となるからである。従って、ωn=11・ωeと設定される。即ち、固有角周波数ωnは、モータ1に流れる相電流(U相電流、V相電流又はW相電流)の変動成分の角周波数からモータ速度指令値ω*又は推定モータ速度ωe(或いは実モータ速度ω)を差し引いた角周波数に等しくなるように(或いは出来るだけ等しくなるように)設定される。尚、モータ1の電機子巻線は分布巻であっても、集中巻であっても構わない。今、dc軸電流及びqc軸電流は、固有角周波数ωnにて変動(脈動)しているものとする。
この固有角周波数ωnの値は、モータ速度指令値ω*または推定モータ速度ωe(または実モータ速度ω)の値に応じて変化するようになっている。上記の相電流の変動成分の周波数は、モータ1の回転速度によって変化するからである。
係数co及びc1は、モータ1に印加される電圧とモータ1に流れる電流との位相関係に応じて決定される任意の値であり、モータ1のモータ速度指令値ω*または推定モータ速度ωe(または実モータ速度ω)の値に応じて変化するようにしても構わない。
モータ電流のqc軸電流成分であるqc軸電流iqcや減算器14aの減算結果(iqc *−iqc)は、誘起電圧の歪み等に起因した相電流の変動に同期して変動(脈動)することとなるため、減算器14aの減算結果(iqc *−iqc)に伝達関数Hc(s)を乗じることにより得られるvq_aには、減算結果(iqc *−iqc)の周期的な脈動成分が強調して表れることになる。
加算器51は、電流制御部15aから出力される(補正前の)qc軸電圧指令値vqc *に共振型フィルタ50から出力される脈動成分vq_aを加算する。加算器51は、共振型フィルタ50により抽出された脈動成分vq_aを用いて、減算結果(iqc *−iqc)から「誘起電圧の歪み等に起因した相電流の変動に同期した脈動成分」を除去する方向に、qc軸電圧指令値vqc *を補正する補正部として機能する。
共振型フィルタ52は、減算器13aの減算結果(idc *−idc)を入力とし、減算結果(idc *−idc)を用いて、減算結果(idc *−idc)の周期的な脈動成分を抽出する(モータ電流の励磁電流成分であるdc軸電流idcの周期的な脈動成分を抽出する)。そして、その脈動成分をvd_aとして、加算器53に出力する。共振型フィルタ52の伝達関数は、式(22)で表される共振型フィルタ50の伝達関数と同じである。但し、式(22)中における係数co、係数c1及び減衰係数ζの具体的な数値を、共振型フィルタ50と共振型フィルタ52との間で異ならせても構わない。
モータ電流のdc軸電流成分であるdc軸電流idcや減算器13aの減算結果(idc *−idc)は、誘起電圧の歪み等に起因した相電流の変動に同期して変動(脈動)することとなるため、減算器13aの減算結果(idc *−idc)に伝達関数Hc(s)を乗じることにより得られるvd_aには、減算結果(idc *−idc)の周期的な脈動成分が強調して表れることになる。
加算器53は、電流制御部15aから出力される(補正前の)dc軸電圧指令値vdc *に共振型フィルタ52から出力される脈動成分vd_aを加算する。加算器53は、共振型フィルタ52により抽出された脈動成分vd_aを用いて、減算結果(idc *−idc)から「誘起電圧の歪み等に起因した相電流の変動に同期した脈動成分」を除去する方向に、dc軸電圧指令値vdc *を補正する補正部として機能する。
補正後のdc軸電圧指令値(vdc *+vd_a)はdc軸電圧vdcが等しくなるべき値を表しており、補正後のqc軸電圧指令値(vqc *+vq_a)はqc軸電圧vqcが等しくなるべき値を表しているが、モータ駆動システムは、全体として軸誤差Δθがゼロに収束するように動作するため、補正後のdc軸電圧指令値(vdc *+vd_a)及び補正後のqc軸電圧指令値(vqc *+vq_a)は、夫々d軸電圧vd及びq軸電圧vqが等しくなるべき値である、ともいうことが出来る。
2相3相座標変換器18aは、推定器20から与えられる推定回転子位置θeを用いて補正後のdc軸電圧指令値(vdc *+vd_a)及び補正後のqc軸電圧指令値(vqc *+vq_a)の逆変換を行い、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *から成る三相の電圧指令値を作成して、それらをPWMインバータ2に出力する。PWMインバータ2は、モータ1に印加されるべき電圧を表す三相の電圧指令値に基づいてパルス幅変調された信号を作成し、モータ1を駆動する。
また、第3実施形態において、共振型フィルタ50は、qc軸電流iqcや減算器14aの減算結果(iqc *−iqc)に含まれる周期的な脈動成分を抽出する。共振型フィルタ52は、dc軸電流idcや減算器13aの減算結果(idc *−idc)に含まれる周期的な脈動成分を抽出する。qc軸電流iqcやdc軸電流idcは、モータ1に印加されるべき三相の電圧指令値を算出するために用いられる、モータ1の状態量である。そして、電流制御部15aは、それらの状態量に基づいて三相の電圧指令値を算出するために用いられる暫定的な指令値(補正前のqc軸電圧指令値vqc *及び補正前のdc軸電圧指令値vdc *)を算出する指令値演算部として機能する。加算器51は、共振型フィルタ50により抽出された脈動成分vq_aを用いて、その暫定的な指令値(補正前のqc軸電圧指令値vqc *)を補正する補正部として機能する。加算器53は、共振型フィルタ52により抽出された脈動成分vd_aを用いて、その暫定的な指令値(補正前のdc軸電圧指令値vdc *)を補正する補正部として機能する。2相3相座標変換器18aは、補正後の指令値(補正後のqc軸電圧指令値(vqc *+vq_a)及び補正後のdc軸電圧指令値(vdc *+vd_a))に基づいて三相の電圧指令値を作成する指令電圧演算部として機能する。
尚、2相3相座標変換器18aは、式(4a)中のvqc *及びvdc *を、夫々(vqc *+vq_a)及び(vdc *+vd_a)に置換した式と、式(4b)を用いて演算を行う。電流制御部15aは、式(5b)中の(iqc *+iq_a)をiqc *に置換した式と、式(5a)を用いて演算を行う。
上記のように構成すれば、誘起電圧の歪み等に起因した相電流の変動を抑制することができる。従って、本実施形態に係るモータ制御装置やモータ駆動システムを、例えば圧縮機に適用すれば、圧縮機自体の振動や騒音を低減することができる。
(図16;線図ブロック)
図15のモータ駆動システムの内、トルクに関する部分だけを表した線図ブロックを図16に示す。
図16における減算器90、電流制御部91、共振型フィルタ92、加算器93は、夫々図15における減算器14a、電流制御部15a、共振型フィルタ50、加算器51に対応している。相電流に変動を与える誘起電圧の歪み成分を、外乱電圧Vdisとする。
電流制御部91は、減算器90による減算結果(iqc *−iqc)をPI補償(比例積分補償)して暫定的なqc軸電圧指令値vqc *を出力する。共振型フィルタ92は、減算結果(iqc *−iqc)から固有角周波数ωnの周波数成分を抽出し、脈動成分vq_aを出力する。加算器93による加算結果(vqc *+vq_a)から減算器94にて外乱電圧Vdisが差し引かれ、伝達関数Gを乗じて得たqc軸電流iqcが減算器90にフィードバックされる。
(位置・速度の検出)
尚、図15のモータ駆動システムは、推定器20を設けて回転子位置及びモータ速度を推定する方式を採用しているが、実際の回転子位置及びモータ速度を検出するようにしても構わない。即ち、図1のモータ駆動システムを図4のモータ駆動システムに変形したのと同様に、推定器20を位置検出器33及び微分器34(図4参照)に置き換えても構わない。
<<その他>>
第1実施形態と第3実施形態は自由に組合せ可能であり、第2実施形態と第3実施形態も自由に組合せ可能である。
また、第1〜第3実施形態(特に第1及び第2実施形態)における電流検出器11は、図1等に示す如く、直接モータ電流を検出する構成にしてもいいし、それに代えて、電源側のDC電流の瞬時電流からモータ電流を再現し、それによってモータ電流を検出する構成にしてもよい。
本発明に係るモータ制御装置及びモータ駆動システムによれば、簡易な処理且つ小規模な構成にて、モータの回転速度の周期的な変動を抑制することができる。また、簡易な処理且つ小規模な構成にて、誘起電圧等の歪みに起因したモータの相電流の変動を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムのブロック構成図である。 図1のモータの解析モデル図である。 本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムの線図ブロックである。 図1のモータ制御装置の変形例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムのブロック構成図である。 図5における共振型フィルタの第1の構成を示す図である。 図5における共振型フィルタの第2の構成を示す図である。 図5における共振型フィルタの第3の構成を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムの線図ブロックである。 図5の共振型フィルタの入出力特性を調べるための線図ブロックである。 FFTを用いたフィルタの入出力特性を調べるための線図ブロックである。 図5の共振型フィルタの入出力特性を説明するための図である。 図5におけるモータの速度変動が抑制される様子を示す図である。 図5のモータにおける各部の電圧の関係等を表したベクトル図である。 本発明の第3実施形態に係るモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムのブロック構成図である。 本発明の第3実施形態に係るモータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システムの線図ブロックである。 埋込磁石型モータを従来のモータ制御装置により制御したときの相電流の波形図である。
符号の説明
1 モータ
1a 永久磁石
2 PWMインバータ
3、3a、3b、3c モータ制御装置
11 電流検出器
12 3相2相座標変換器
13、14、14a、19 減算器
15、15a 電流制御部
16 磁束制御部
17 速度制御部
18、18a 2相3相座標変換器
20 推定器
21 軸誤差推定部
22 比例積分演算器
23 積分器
30、40、50 共振型フィルタ
31、51 加算器(補正部)
33 位置検出器
34 微分器
ω* モータ速度指令値
ω 実モータ速度
ωe 推定モータ速度
θ 実回転子位置
θe 推定回転子位置
Δθ 軸誤差
q_a、vq_a 脈動成分
u * U相電圧指令値
v * V相電圧指令値
w * W相電圧指令値
dc * dc軸電圧指令値
qc * qc軸電圧指令値
d * d軸電圧指令値
q * q軸電圧指令値
dc dc軸電流
qc qc軸電流
dc * dc軸電流指令値
qc * qc軸電流指令値
d d軸電流
q q軸電流
d * d軸電流指令値
q * q軸電流指令値

Claims (8)

  1. モータ速度を求めるモータ速度演算部と、
    求められたモータ速度が外部から与えられたモータ速度指令値に追従するようにトルク電流指令値を作成する速度制御部と、
    得られたモータ速度と前記モータ速度指令値との差の周期的な脈動成分を抽出する共振型フィルタと、
    抽出された脈動成分を用いて前記トルク電流指令値を補正する補正部と、
    モータの電機子巻線に流れるモータ電流が補正後のトルク電流指令値に応じた値に追従するように、モータに印加されるべき電圧を表す電圧指令値を作成する電流制御部と、を備え
    前記共振型フィルタの伝達関数は、
    (b 1 s+b 0 )/(s 2 +2ζω r s+ω r 2
    (但し、b o はゲイン係数、b 1 は位相調整量、ζは減衰係数、ω r は固有角周波数、sはラプラス演算子である)
    で表され、
    前記ゲイン係数b 0 は前記モータ速度指令値、或いは前記モータ速度の値に応じて変化することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記共振型フィルタは、前記差の周期的な脈動成分を抽出すると共に、前記差の位相の調整を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 回転子としての永久磁石が作る磁束に平行な軸とその軸に対応する制御上の推定軸との軸誤差が小さくなるようにモータを制御するモータ制御装置であって、
    前記軸誤差の周期的な脈動成分を抽出する共振型フィルタと、
    抽出された脈動成分を用いて、外部から与えられたモータ速度指令値に応じて作成されたトルク電流指令値を補正する補正部と、
    モータの電機子巻線に流れるモータ電流が補正後のトルク電流指令値に応じた値に追従するように、モータに印加されるべき電圧を表す電圧指令値を作成する電流制御部と、
    を備え
    前記共振型フィルタの伝達関数は、
    (b o s+b 1 )/(s 2 +2ζω r s+ω r 2
    (但し、b o はゲイン係数、b 1 は位相調整量、ζは減衰係数、ω r は固有角周波数、sはラプラス演算子である)
    で表され、
    前記ゲイン係数b 0 は、前記モータ速度指令値、或いは前記モータの速度の値に応じて変化することを特徴とするモータ制御装置。
  4. モータの電機子巻線に流れるモータ電流に基づいて、前記軸誤差とモータ速度を推定する推定部と、
    推定されたモータ速度が前記モータ速度指令値に追従するように前記トルク電流指令値を作成する速度制御部と、を更に備え、
    前記共振型フィルタは、前記推定部により推定された前記軸誤差から前記軸誤差の周期的な脈動成分を抽出する
    ことを特徴とする請求項に記載のモータ制御装置。
  5. モータの電機子巻線に流れるモータ電流に基づいて、前記軸誤差の変動に同期して変動する値とモータ速度を推定する推定部と、
    推定されたモータ速度が前記モータ速度指令値に追従するように前記トルク電流指令値を作成する速度制御部と、を更に備え、
    前記共振型フィルタは、前記推定部により推定された前記軸誤差の変動に同期して変動する値から前記軸誤差の周期的な脈動成分を抽出する
    ことを特徴とする請求項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記共振型フィルタは、前記軸誤差の周期的な脈動成分を抽出すると共に、前記軸誤差
    の位相の調整を行う
    ことを特徴とする請求項〜請求項の何れかに記載のモータ制御装置。
  7. モータの電機子巻線に流れるモータ電流を回転座標系上の電流に変換し、モータ電流の回転座標系上における電流成分を算出する3相2相座標変換器と、
    前記電流成分が与えられた電流指令値に追従するように、回転座標系上における電圧指令値を作成する電流制御部と、
    前記電流成分と前記電流指令値との差の周期的な脈動成分を抽出する共振型フィルタと、
    抽出された脈動成分を用いて前記電圧指令値を補正する補正部と、
    補正後の電圧指令値を用いてモータに印加されるべき電圧を表す固定座標系上における三相の電圧指令値を作成する2相3相座標変換器と、を備え
    前記共振型フィルタの伝達関数は、
    (c 0 s+c 1 )/(s 2 +2ζω n s+ω n 2
    (但し、coとc1は任意の値をとる係数、ζは減衰係数、ωnは固有角周波数、sはラ
    プラス演算子である)
    で表され、
    前記係数c o 及びc 1 は、前記モータ速度指令値、或いは前記モータの速度の値に応じて変化することを特徴とするモータ制御装置。
  8. モータと、
    前記モータを駆動するインバータと、
    前記インバータを制御することにより前記モータを制御する請求項1〜請求項の何れかに記載のモータ制御装置と、を備えた
    ことを特徴とするモータ駆動システム。
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