JP4341233B2 - 空気調和機の室内機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機の室内機に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機の室内機には、円筒形状を有する送風ファンと、送風ファンの円周面に対向して配置される熱交換器と、回転軸方向に送風ファンと並んで配置され送風ファンを回転駆動するモータとを備えるものがある。そして、熱交換器には、冷媒が流れる補助配管が接続される。この補助配管は、熱交換器の側面から外側へと延び、熱交換器の側方の空間で取り回され、室内機外の冷媒配管へと接続されることが多い。(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−173591号公報(第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、空気調和機の室内機の内部には、室内機の小型化等のために複数の構成部品が密集して配置されている。例えば、上述したモータは、熱交換器の側方の空間に配置されることが多く、熱交換器の側方の空間の一部を占めている。このため、熱交換器の側面から外側へと延びる補助配管の設置空間は限られており、補助配管の取り回しの自由度も限られている。その一方で、設計の容易性等の観点からは、補助配管の取り回しの自由度は高いことが望ましい。
【0005】
本発明の課題は、補助配管の取り回しの自由度を向上させることができる空気調和機の室内機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の空気調和機の室内機は、送風ファンと熱交換器と補助配管とモータとを備える。送風ファンは、円筒形状を有する。熱交換器は、送風ファンの円周面に対向して配置される。補助配管は、熱交換器の側面から外側へと延びる。モータは、送風ファンの回転軸方向に送風ファンと並んで配置され送風ファンを回転駆動する。そして、補助配管は、回転軸方向にモータを越える位置まで延び、モータの側方を通り、モータの反対側に折り返されている。
【0007】
この空気調和機の室内機では、熱交換器の側面から延びる補助配管が、モータを超える位置まで延びている。仮に、補助配管がモータを越える位置まで延びておらず、補助配管の下方にモータが位置しているとすると、補助配管の下方の空間の少なくとも一部はモータに占められているため、補助配管が下方へと延びることが制限される。しかし、この空気調和機の室内機では、補助配管はモータを越える位置まで延びるため、このような場合でも、補助配管が下方へ延びることがモータによって制限される恐れが少ない。従って、この空気調和機の室内機では、補助配管がモータを越える位置まで延びていない場合よりも、補助配管の取り回しの自由度が高くなる。このように、この空気調和機の室内機では、補助配管の取り回しの自由度を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の空気調和機の室内機は、請求項1に記載の空気調和機の室内機であって、モータを覆うモータカバーをさらに備える。そして、補助配管は、回転軸方向にモータカバーを越える位置まで延びている。
【0009】
この空気調和機の室内機では、補助配管が回転軸方向にモータカバーを越える位置まで延びているため、補助配管の取り回しが、モータカバーによって制限される恐れが少ない。このため、この空気調和機の室内機では、補助配管の取り回しの自由度を向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の空気調和機の室内機は、請求項2に記載の空気調和機の室内機であって、送風ファンは回転軸が略水平になるように配置されており、第1ドレンパンおよび第2ドレンパンと連通路とをさらに備える。第1ドレンパンおよび第2ドレンパンは、送風ファンを前後に挟むように配置され、熱交換器から滴下するドレン水を受ける。連通路は、回転軸方向にモータカバーを越える位置に配置され、第1ドレンパンおよび第2ドレンパンを連通させる。
【0011】
この空気調和機の室内機では、連通路がモータカバーを越える位置に配置される。このため、モータカバーを超える位置まで延びる補助配管からドレン水が滴下した場合でも、連通路が滴下したドレン水を受けることができる。このように、この空気調和機の室内機では、補助配管がモータカバーを越える位置まで延びた場合であっても、補助配管から滴下するドレン水を適切に処理することができる。
【0012】
請求項4に記載の空気調和機の室内機は、請求項3に記載の空気調和機の室内機であって、ドレン水ガイド部をさらに備える。ドレン水ガイド部は、モータカバーに隣接して配置され、モータカバーに滴下したドレン水を第1ドレンパン、第2ドレンパン、又は連通路に案内する。
【0013】
請求項5に記載の空気調和機の室内機は、請求項3又は4に記載の空気調和機の室内機であって、補助配管は、連通路の上方で取り回されている。
【0014】
【発明の実施の形態】
〔空気調和機の全体構成〕
本発明の一実施形態が採用された空気調和機1の外観を図1に示す。
【0015】
この空気調和機1は、室内の壁面などに取り付けられる室内機2と、室外に設置される室外機3とを備えている。
【0016】
室内機2内には室内熱交換器50が収納され、室外機3内には室外熱交換器30が収納されており、各熱交換器30,50が冷媒配管4により接続されることにより冷媒回路を構成している。
【0017】
〔空気調和機の冷媒回路の構成概略〕
空気調和機1の冷媒回路の構成を図2に示す。この冷媒回路は、主として室内熱交換器50、アキュムレータ31、圧縮機32、四路切換弁33、室外熱交換器30および電動膨張弁34で構成される。
【0018】
室内機2に設けられている室内熱交換器50は、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内機2には、室内空気を吸い込んで室内熱交換器50に通し熱交換が行われた後の空気を室内に排出するためのクロスフローファン71が設けられている。このクロスフローファン71は、長細い円筒形状に構成され、中心軸が水平方向に平行になるように配置されている。クロスフローファン71は、室内機2内に設けられる室内ファンモータ72によって中心軸を中心にして回転駆動される。室内機2の詳細な構成については後に説明する。
【0019】
室外機3には、圧縮機32と、圧縮機32の吐出側に接続される四路切換弁33と、圧縮機32の吸入側に接続されるアキュムレータ31と、四路切換弁33に接続された室外熱交換器30と、室外熱交換器30に接続された電動膨張弁34とが設けられている。電動膨張弁34は、フィルタ35および液閉鎖弁36を介して配管41に接続されており、この配管41を介して室内熱交換器50の一端と接続される。また、四路切換弁33は、ガス閉鎖弁37を介して配管42に接続されており、この配管42を介して室内熱交換器50の他端と接続されている。この配管41,42は、図1の冷媒配管4に相当する。また、室外機3には、室外熱交換器30での熱交換後の空気を外部に排出するためのプロペラファン38が設けられている。このプロペラファン38は、室外ファンモータ39によって回転駆動される。
【0020】
〔室内機の構成〕
図3(a)に室内機2の正面図、図3(b)に室内機2の側面図を示す。室内機2は、正面視に置いて横方向に長い形状を有しており、正面視および側面視において上下に色彩が分かれたツートンカラーとなっている。
【0021】
室内機2は、主として、上部ケーシング6、下部ユニット7および室内機2の内部に収容されている室内熱交換器ユニット5によって構成されている。上部ケーシング6は、室内機2の上部を覆っている。下部ユニット7は室内機2の下部を構成している。上部ケーシング6と下部ユニット7とは別体に形成されており、上部ケーシング6と下部ユニット7の一部との境界が室内機2の外観において水平線として現れている。また、上部ケーシング6と下部ユニット7の一部とは異なる色となっており、上部ケーシング6と下部ユニット7との境界である水平線を境にして上下に異なる色のツートンカラーとなっている。
【0022】
以下、室内機2の各構成について説明する。
【0023】
〈室内熱交換器ユニット〉
室内熱交換器ユニット5は、図4から図6に示すように、室内熱交換器50、補助配管51、熱交換器支持部材52等によって構成されている。なお、図4は、上部ケーシング6が取り外された状態の室内機2の右側面図であり、図5は、上部ケーシング6が取り外された状態の室内機2の上面図であり、図6は、室内熱交換器ユニット5の右側部分の斜視図である。
【0024】
(室内熱交換器)
室内熱交換器50は、図7に示すように、クロスフローファン71の円周面に対向して配置されており、クロスフローファン71の前方、上方および後方を取り囲むように取り付けられている。なお、図7は室内機2の側面断面図である。室内熱交換器50は、クロスフローファン71が回転することにより吸込み口601,611から吸い込まれた空気をクロスフローファン71側に通過させ、伝熱管の内部を通過する冷媒との間で熱交換を行わせる。室内熱交換器50は、第1室内熱交換器50a、第2室内熱交換器50b、第3室内熱交換器50c、第4室内熱交換器50dの4つの部分に分割されている。室内熱交換器50は、各室内熱交換器50a,50b,50c,50dがそれぞれ接合されることにより、側面視において両端が下方に向けて屈曲する概ね逆V字型の断面形状を有するように形成されている。
【0025】
各室内熱交換器50a,50b,50c,50dは、それぞれ水平方向に長い板状の形状を有している。各室内熱交換器50a,50b,50c,50dは、両側端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管が挿通される短冊状の複数のフィンとから構成されている。伝熱管は、各室内熱交換器50a,50b,50c,50dの両側端においてU字型伝熱管によって折り返されている。
【0026】
第1室内熱交換器50aは、上端が室内機2の前方へ向けて傾斜しており、クロスフローファン71の中央上方から後側上方を覆うように配置されている。
【0027】
第2室内熱交換器50bは、上端が室内機2の後方へ向けて傾斜しており、第1室内熱交換器50aの前方に配置されている。第2室内熱交換器50bの上端は、第1室内熱交換器50aの上端と接合されており、第1室内熱交換器50aと第2室内熱交換器50bとは、側面視において逆V字型になるように組み合わされている。第2室内熱交換器50bは、クロスフローファン71の中央上方から前側上方を覆うように配置されている。
【0028】
第3室内熱交換器50cは、第2室内熱交換器50bの下方にクロスフローファン71の前方を覆うように配置されている。第3室内熱交換器50cの上端は第2室内熱交換器50bの下端に角度を付けて接合されており、第3室内熱交換器50cと第2室内熱交換器50bとによって鈍角が形成されている。第3室内熱交換器50cは、高さ方向、すなわち鉛直方向に平行になっており、室内熱交換器50の下方の水平面を覆う下部ユニット7に対して垂直になっている。また、第3室内熱交換器50cの下端は室内熱交換器50の下端となっており、第3室内熱交換器50cの下端、すなわち室内熱交換器50の前側の下端は、クロスフローファン71の中心軸と略同じ高さに位置している。
【0029】
第4室内熱交換器50dは、第1室内熱交換器50aの下方にクロスフローファン71の後方を覆うように配置されている。第4室内熱交換器50dの上端は、第1室内熱交換器50aの下端に角度を付けて接合されており、第4室内熱交換器50dと第1室内熱交換器50aとによって鈍角が形成されている。第4室内熱交換器50dは、高さ方向に平行になっており、室内熱交換器50の下方の水平面を覆う下部ユニット7に対して垂直になっている。また、第4室内熱交換器50dの下端は、室内熱交換器50の後側の下端となっており、第4室内熱交換器50dの下端、すなわち室内熱交換器50の後側の下端は、クロスフローファン71の中心軸と略同じ高さに位置している。
【0030】
第3室内熱交換器50cと第4室内熱交換器50dとは高さ方向に同じ長さを有しており、第3室内熱交換器50cと第4室内熱交換器50dとの上端および下端は同じ高さに位置している。従って、室内熱交換器50の前側の下端と後側の下端とは同じ高さになっており、クロスフローファン71の中心軸と略同じ高さに位置している。また、室内熱交換器50の前側下端と後側下端とは、逆V字型の部分の前後の下端から鉛直方向下向きにクロスフローファン71の中心軸と略同じ高さまで伸びている。
【0031】
第1室内熱交換器50a、第2室内熱交換器50b、第3室内熱交換器50cおよび第4室内熱交換器50dは、それぞれ両側端(正面視における左右方向の端)に設けられた固定板によって相互に固定されることにより、一体に接合されて室内熱交換器50を形成している。室内熱交換器50は、第1室内熱交換器50aと第2室内熱交換器50bとによって形成される逆V字型の部分と、第1室内熱交換器50aと第2室内熱交換器50bとのそれぞれの下端から鉛直方向下向きに延びる直線部分とが組合された断面形状を有している。室内熱交換器50は、逆V字型の頂点を通る鉛直方向に平行な直線について前後に線対称な断面形状を有しており、第1室内熱交換器50aと第2室内熱交換器50bとが、また、第3室内熱交換器50cと第4室内熱交換器50dとが前後に対称になっている。室内熱交換器50は、側面視においては上記のように前後対称な逆V字型を含む断面形状に形成されているが、正面視においては横方向に長い形状を有している。室内熱交換器50の長手方向の長さは、クロスフローファン71の長手方向の長さと略同じになっており、室内熱交換器50の側端とクロスフローファン71の側端とは略揃っている。
【0032】
(補助配管)
補助配管51は、室内熱交換器50と、室内機2の外部にある冷媒配管4を繋いでおり、室内熱交換器50と室外熱交換器30との間を行き来する冷媒が流れる。補助配管51は、図6に示すように、室内熱交換器50の伝熱管に接続されており、室内熱交換器50の側面から外側へと延びている。補助配管51は、室内熱交換器50の右側面から突出しており、室内熱交換器50の側方の空間で取り回されている。具体的には、補助配管51は、図5に示すように、室内熱交換器50の右側面から外側へと延び、室内ファンモータ72および室内ファンモータ72を覆うモータカバー部55(後述)の上方を通り、室内ファンモータ72およびモータカバー部55を超えて後述する連通路783の上方まで延びている。その後、補助配管51は、図4に示すように、室内機2の背面側へ向けて且つやや下向きに屈曲され、室内ファンモータ72を覆うモータカバー部55の外側を通り、室内機2の背面側でさらに上方へ向けて屈曲されている。そして、複数の補助配管51がまとめられて保護チューブ53によって覆われている。まとめられた補助配管51は、図4および図6に示すように、室内熱交換器50の右側方の空間を室内機2の背面側に沿って下方へと伸び、室内機2の後側下部の空間で室内機2の左側面に向けてさらに屈曲され、冷媒配管4に接続されている。
【0033】
熱交換器支持部材52は、室内熱交換器50の右側面付近に設けられており、図4に示すように、室内熱交換器50を内側から支持すると共に、室内ファンモータ72を覆っている。熱交換器支持部材52は、室内ファンモータ72をドレン水から保護している。この熱交換器支持部材52の構成については後に説明する。
【0034】
〈上部ケーシング〉
上部ケーシング6は、図3および図7に示すように、室内機2の上部を構成しており、上前面部60、天面部61および上側面部62,63によって構成されている。
【0035】
上前面部60は、室内機2の前側上部を覆っており、室内熱交換器50の前方を覆っている。上前面部60は、概ね平坦に形成されており、その一部に段差が設けられている。この段差の上面には室内機2の長手方向に長いスリット状の開口からなる前面吸込み口601が設けられている。前面吸込み口601は室内機2の上方へ向けて設けられている。
【0036】
天面部61は、室内機2の天面を覆っており、室内熱交換器50の上方を覆っている。天面部61には、複数のスリット状の開口からなる天面吸込み口611が設けられている。この天面吸込み口611は、天面部61の前側から後側にかけて設けられており、前面吸込み口601よりも吸い込み面積が大きくなっている。このため、室内機2の天面後側からも十分に空気が吸い込まれるようになっている。
【0037】
上側面部62,63は、室内機2の側面上部を覆っており、室内熱交換器50の側方を覆っている。上側面部62,63には、右上側面部62と左上側面部63とがあり、右上側面部62は正面視において室内熱交換器50の右側方に配置され、左上側面部63は室内熱交換器50の左側方に配置されている。
【0038】
また、上部ケーシング6の下端は水平に形成されており、上部ケーシング6が下部ユニット7に被せられることによって、上部ケーシング6と下部ユニット7との境界が水平線となって室内機2の正面視および側面視における外観に現れる。
【0039】
〈下部ユニット〉
下部ユニット7は、室内機2の下部を構成しており、図8および図9に示すように、下部ケーシング70、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73等がモジュール化されて構成されている。
【0040】
(下部ケーシング)
下部ケーシング70は、下前面部74、底面部75、下側面部76,77、支持部78等によって構成されており、上部ケーシング6とは異なる色となっている。
【0041】
下前面部74は、正面視において室内機2の前面下部として視野に現れる部分であり、上端が室内機2の前側に傾斜するように配置されている。図3(a)に示すように、下前面部74の上端は水平に形成されており、上部ケーシング6の下端と共に水平な境界線を構成している。また、下前面部74には、室内機2の長手方向に沿う開口からなる吹出し口741が設けられている。この吹出し口741は、図7に示すように、クロスフローファン71が収納されている支持部78の内部の空間に連通しており、クロスフローファン71によって生成された空気流は吹出し口741を通って室内へと吹き出す。また、吹出し口741には、室内へと吹出す空気が案内される水平フラップ742が設けられている。この水平フラップ742は、室内機2の長手方向に平行な軸を中心に回動自在に設けられており、フラップモータ(図示せず)によって回転駆動されることにより、吹出し口741の開閉を行うことができる。
【0042】
底面部75は、室内機2の底面を覆っており、平坦に形成されている。底面部75は、水平に配置されており、その上に支持部78が配置されている。
【0043】
下側面部76,77は、側面視において室内機2の側面下部として視野に現れる部分であり、室内機2の側面下部を覆っている。下側面部76,77には、右下側面部76と左下側面部77とがあり、右下側面部76は正面視において室内機2の右側に配置され、左下側面部77は室内熱交換器50の左側に配置されている。また、下側面部76,77の上端は、下前面部74と同様に水平に形成されている。上部ケーシング6が下部ユニット7に被せられた状態では、上部ケーシング6の下端と、下部ユニット7の下前面部74および下側面部76,77の上端が合致して、水平な境界線が構成される。
【0044】
支持部78は、下前面部74、底面部75、下側面部76,77によって囲まれており、支持部78の上面は、下前面部74および下側面部76,77の上端より上方に位置している。支持部78には、上方からクロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73、室内熱交換器ユニット5等が取り付けられ、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73、室内熱交換器ユニット5等を下方から支持する。
【0045】
支持部78は、室内熱交換器ユニット5の熱交換器支持部材52を介して室内熱交換器50を支持する。支持部78の上面は、クロスフローファンの中心軸と略同じ高さとなっている。支持部78の上面には、ドレンパン781,782とファン収容部787とが設けられている。
【0046】
ドレンパン781,782は、熱交換時に室内熱交換器50の表面に発生する水滴を受け取る部分であり、支持部78の上面から下方に窪んだ凹状の部材によって形成されている。このドレンパン781,782には前ドレンパン781と後ドレンパン782とがあり、前ドレンパン781は、図5に示すように、第3室内熱交換器50cの下方に、すなわち室内熱交換器50の前側下端の下方に配置されている。後ドレンパン782は、第4室内熱交換器50d、すなわち室内熱交換器50の後側下端の下方に配置されている。前ドレンパン781と後ドレンパン782とは、クロスフローファン71を挟んで前後に配置されている。前ドレンパン781と後ドレンパン782とは、略同じ高さに位置しており、前ドレンパン781と後ドレンパン782との底面はクロスフローファン71の中心軸の高さよりも低い位置にあるが、室内熱交換器50の下端に近接して配置されている。なお、前ドレンパン781と後ドレンパン782とは、それぞれドレン水を受ける底面が室内機2の右側へと少し傾斜している。そして、支持部78の右側部分には、図9および図10に示すように、前ドレンパン781と後ドレンパン782とを繋ぐ連通路783が設けられている。連通路783は、図9に示すように、平面視において室内ファンモータ72と電装品箱73との間に位置している。また、連通路783は、図10に示すように、側面視においてクロスフローファン71の回転軸の高さ以下に位置している。また、この連通路783には下方へと貫通している水抜き孔784が設けられている。この水抜き孔784は、図9に示すように、ドレン水をドレンパン781,782から外部へと排出するためのドレンホース785の内部と連通している。室内熱交換器50や補助配管51から滴下したドレン水は、前ドレンパン781と後ドレンパン782とによって受けられ、連通路783で集められ、水抜き孔784からドレンホース785を経て機外へと排出される。
【0047】
ファン収容部787は、クロスフローファン71と室内ファンモータ72とが収容される部分であり、支持部78の上面の中央付近に設けられている。ファン収容部787は支持部78の上面から下方に半円筒形状に窪んだ部材により形成されており、クロスフローファン71と室内ファンモータ72との下半分を収容する。また、支持部78の内部には、収容されたクロスフローファン71と吹出し口741とを連通する空気経路が設けられている。
【0048】
また、支持部78は、後ドレンパン782とクロスフローファン71との間に、支持部78の上面から上方へと突出する舌部786を有している。この舌部786は、クロスフローファン71の後方を覆っており、舌部786の上端はクロスフローファン71の頂上部分より若干低い高さに位置している。
【0049】
このように支持部78の上面には、前ドレンパン781、後ドレンパン782およびファン収容部787が設けられ、舌部786が上方へ突出しているが、支持部78の上面の他の部分は概ね平坦かつ水平に形成されており、クロスフローファン71の中心線と略同じ高さに位置している。
【0050】
上記のように、支持部78の最も高い位置にある部分は舌部786であるが、舌部786は、クロスフローファン71の頂上部分の高さ以下に位置している。また、支持部78の上面は、下前面部74および下側面部76,77の上端より上方に位置している。このため、支持部78を含めた下部ケーシング70の各部分はクロスフローファン71の頂上部分の高さ以下となっている。
【0051】
なお、支持部78の上面の背面側もクロスフローファン71の高さ以下となっているが、上部ケーシング6の天面部61と支持部78の上面の背面側との間の部分は、室内の壁面に取り付けられる据付板8によって塞がれる(図7参照)。据付板8は、室内機2の長手方向には室内熱交換器50と略同じ長さを有しており、室内熱交換器50の背面側を覆っている。据付板8は、室内機2の背面側を覆うことにより、室内熱交換器50で熱交換される空気が通る空気流路を上部ケーシング6と共に形成しており、特に背面側空気流路を形成している。
【0052】
(クロスフローファン)
クロスフローファン71は、長細い円筒形状に構成され、中心軸すなわち回転軸が水平になるように配置される。クロスフローファン71の周面には羽根が設けられており、クロスフローファン71が回転軸周りに回転することにより、空気流を生成する。この空気流は、前面吸込み口601および天面吸込み口611から取り入れられ室内熱交換器50を通り吹出し口741から室内へと吹き出す空気の流れである。クロスフローファン71は、側面視において室内機2の概ね中央に位置している。クロスフローファン71は、支持部78によって支持され、支持された状態のクロスフローファン71の上半分は支持部78の上面から上方へ突出している。
【0053】
(室内ファンモータ)
室内ファンモータ72は、クロスフローファン71を回転軸周りに回転駆動する。室内ファンモータ72は、図8および図9に示すように、クロスフローファン71と略同じ直径を有する薄い円筒形状を有している。室内ファンモータ72は、クロスフローファン71の右側方にクロスフローファン71と同軸に配置されており、平面視においてクロスフローファン71と回転軸方向に並んで配置されている。室内ファンモータ72は、クロスフローファン71の右側に隣接して配置されており、室内ファンモータ72の右側には、連通路783が隣接して配置されている。また、室内ファンモータ72とクロスフローファン71とは、平面視において、前ドレンパン781、連通路783および後ドレンパン782によって周囲を囲まれている。また、室内ファンモータ72が支持部78に取り付けられた状態では、室内ファンモータ72とクロスフローファン71との頂上部分との高さは略同じとなっている(図8参照)。
【0054】
(電装品箱)
電装品箱73は、図5および図9に示すように、室内機2の運転を制御するための制御基板731を収容する。電装品箱73は、直方体の箱状の形状を有しており、下部ケーシング70の右下側面部76と支持部78との間に配置され、室内熱交換器ユニット5の右側方に位置している。電装品箱73は、支持部78の外側に配置されており、平面視において、クロスフローファン71の回転軸方向に連通路783と並んで配置されている。従って、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、連通路783および電装品箱73は、平面視において回転軸方向に順に並んで配置されている。また、電装品箱73は、室内ファンモータ72の右側方において支持部78の右側面に取り付けられて支持されており、室内熱交換器ユニット5が下部ユニット7に取り付けられる前に支持部78に取り付けることができる。また、電装品箱73は前側寄りに配置されており、電装品箱73の後方の空間は前述した保護チューブ53に覆われた補助配管51が通る空間となっている。電装品箱73は、制御基板731に取り付けられた制御部品のうち容量の大きなコンデンサやパワートランジスタなどの強電部品732が室内ファンモータ72と軸方向に並ぶように配置されており、側面視において室内ファンモータ72と電装品箱73とが重なるように配置されている。また、電装品箱73の上面は、下部ケーシング70に支持された状態では、室内ファンモータ72の頂上部分、すなわちクロスフローファン71の頂上部分と略同じ高さに位置している。
【0055】
このように、室内ファンモータ72、電装品箱73、下部ケーシング70の全ての部分が、下部ケーシング70に支持された状態のクロスフローファン71の頂上部分の高さ以下に位置しており、下部ユニット7は、全体として高さ方向に比較的寸法の小さい形状となっている。
【0056】
(熱交換器支持部材)
次に、熱交換器支持部材52の構成について図5および図6に基づいて説明する。熱交換器支持部材52は、室内熱交換器50の右側面付近に設けられ、熱交換器支持部54とモータカバー部55とドレン水ガイド部56とを有している。
【0057】
熱交換器支持部54は、室内熱交換器50の逆V字型に沿った形状を有する板状の部分であり、室内熱交換器50を内側から支持している。
【0058】
モータカバー部55は、室内ファンモータ72の上半分を覆っており、主として、上面カバー部551、側面カバー部552、前面カバー部553および後面カバー部554によって構成されている。
【0059】
上面カバー部551は、円弧状に湾曲する曲面形状を有しており、熱交換器支持部54から室内熱交換器50の側方へと突出している。上面カバー部551は、室内ファンモータ72の円周面の上半分と対向しており、室内ファンモータ72の上方を覆っている。
【0060】
側面カバー部552は、概ね半円形の板状の部分であって、上面カバー部551に対して垂直になっている。側面カバー部552は、室内ファンモータ72の右側の端面を構成する円形面の上半分に対向しており、室内ファンモータ72の右側方を覆っている。
【0061】
前面カバー部553および後面カバー部554は、それぞれ室内ファンモータ72の前方と後方とを覆っている。
【0062】
なお、上述したように、室内熱交換器50の側面からは補助配管51が外側へと延びているため、モータカバー部55は補助配管51の下方に位置している。モータカバー部55は、補助配管51から滴下したドレン水がドレン水ガイド部56へと流れるように形成されており、ドレン水から室内ファンモータ72を保護している。
【0063】
ドレン水ガイド部56は、モータカバー部55の前方、右側方および後方を囲んでおり、モータカバー部55上に滴下して流れるドレン水をドレンパン781,782や連通路783へと案内する。ドレン水ガイド部56は、平面視において、モータカバー部55の前側、右側および後側に沿ったコの字型の形状を有する底面部561および側壁部562を有している。
【0064】
底面部561は、側面カバー部552、前面カバー部553および後面カバー部554の下端と垂直につながっている。モータカバー部55の前側に位置する底面部561の左側端は、第3室内熱交換器50cの側面の下端と近接しており、前ドレンパン781の上方に位置している。また、モータカバー部55の後側に位置する底面部561の左側端は、第4室内熱交換器50dの側面の下端に近接しており、後ドレンパン782の上方に位置している。
【0065】
側壁部562は、底面部561から垂直に起立しておりドレン水を案内する。
【0066】
第3室内熱交換器50cの側面の下端と底面部561の前側の左側端との間には隙間が設けられている。また、第4室内熱交換器50dの側面の下端と底面部561の後側の左側端との間にも隙間が設けられている。このため、ドレン水ガイド部56によって受けられたドレン水は、これらの隙間から前ドレンパン781や後ドレンパン782へと流れて、機外へと排出される(図6の白抜き矢印A1参照)。また、側壁部562のうちモータカバー部55の右側方に位置する部分の一部に切り欠き563が設けられており、モータカバー部55上に滴下したドレン水は、この切り欠き563からも排出される。側壁部562のうちモータカバー部55の右側方に位置する部分は、平面視において連通路783の一部にかかるように連通路783の上方に位置しており、切り欠き563から排出されたドレン水は、連通路783で受けられ機外へと排出される。
【0067】
このように、連通路783は、モータカバー部55を越えた外側に、平面視においてクロスフローファン71の回転軸方向に並んで配置されており、補助配管51から滴下したドレン水を受けることができるように配置されている。具体的には、補助配管51から滴下したドレン水は、上面カバー部551、ドレン水ガイド部56または連通路によって受けられる。
【0068】
上面カバー部551上に滴下したドレン水は、曲面上を前方、後方または側方へと流れドレン水ガイド部56へと流れる。ドレン水は、ドレン水ガイド部56の左側端から前ドレンパン781または後ドレンパン782へと流れて機外へと排出される。また、側方へと流れたドレン水は、ドレン水ガイド部56の切り欠き563からも排出され連通路783で受けられて機外へと排出される。
【0069】
ドレン水ガイド部56に直接に滴下したドレン水も同様に、ドレン水ガイド部56の左側端から前ドレンパン781または後ドレンパン782へと流れて、あるいは切り欠き563から連通路783へと流れて機外へと排出される。
【0070】
また、補助配管51は、モータカバー部55を超えて連通路783の上方まで延びているため、補助配管51から連通路783へと直接にドレン水が滴下する場合もある。この場合、ドレン水は連通路783で受けられて機外へと排出される。
【0071】
〔特徴〕
(1)
この空気調和機1の室内機2では、室内熱交換器50の側面から外側へと延びる補助配管51が、室内ファンモータ72およびモータカバー部55を超える位置まで延びている。このため、補助配管51は、モータカバー部55の外側を通るように取り回されることができる。すなわち、図4に示すように、側面視において、補助配管51とモータカバー部55とが重なっている状態とすることが可能となっている。
【0072】
もし、補助配管51が室内ファンモータ72およびモータカバー部55を越える位置まで延びていない場合、補助配管51の下方には室内ファンモータ72およびモータカバー部55が位置するため、補助配管51が下方へと延びることが制限される。
【0073】
しかし、この空気調和機1の室内機2では、上述したように、補助配管51が、室内ファンモータ72およびモータカバー部55を超える位置まで延びており、モータカバー部55と側面視において重なる高さまで下方へと延びることができる。このように、この空気調和機1の室内機2では、補助配管51を取り回すことができる空間が拡大しており、補助配管51の取り回しの自由度が向上している。
【0074】
(2)
この空気調和機1の室内機2では、連通路783が熱交換器支持部材52のモータカバー部55を越える位置に配置される。このため、モータカバー部55を超える位置まで延びる補助配管51からドレン水が滴下した場合でも、連通路783が滴下したドレン水を連通路783によって受けることができる。このように、この空気調和機1の室内機2では、補助配管51から滴下するドレン水を適切に処理することができる。
【0075】
【発明の効果】
請求項1に記載の空気調和機の室内機では、熱交換器の側面から延びる補助配管が、モータを超える位置まで延びている。仮に、補助配管がモータを越える位置まで延びておらず、補助配管の下方にモータが位置しているとすると、補助配管の下方の空間の少なくとも一部はモータに占められているため、補助配管が下方へと延びることが制限される。しかし、この空気調和機の室内機では、補助配管はモータを越える位置まで延びるため、このような場合でも、補助配管が下方へ延びることがモータによって制限される恐れが少ない。従って、この空気調和機の室内機では、補助配管がモータを越える位置まで延びていない場合よりも、補助配管の取り回しの自由度が高くなる。このように、この空気調和機の室内機では、補助配管の取り回しの自由度を向上させることができる。
【0076】
請求項2に記載の空気調和機の室内機では、補助配管が回転軸方向にモータカバーを越える位置まで延びているため、補助配管の取り回しが、モータカバーによって制限される恐れが少ない。このため、この空気調和機の室内機では、補助配管の取り回しの自由度を向上させることができる。
【0077】
請求項3に記載の空気調和機の室内機では、連通路がモータカバーを越える位置に配置される。このため、モータカバーを超える位置まで延びる補助配管からドレン水が滴下した場合でも、連通路が滴下したドレン水を受けることができる。このように、この空気調和機の室内機では、補助配管がモータカバーを越える位置まで延びた場合であっても、補助配管から滴下するドレン水を適切に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 空気調和機の外観図。
【図2】 冷媒回路の構成図。
【図3】 (a)室内機の正面図。
(b)室内機の右側面図。
【図4】 上部ケーシングが外された室内機の右側面図。
【図5】 上部ケーシングが外された室内機の右側部分の上面図。
【図6】 室内熱交換器ユニットの右側部分の斜視図。
【図7】 室内機の右側面断面図。
【図8】 下部ユニットの右側面図。
【図9】 下部ユニットの右側部分の上面図。
【図10】 下部ユニットの右側面断面図。
【符号の説明】
1 空気調和機
2 室内機
50 室内熱交換器(熱交換器)
51 補助配管
55 モータカバー部(モータカバー)
71 クロスフローファン(送風ファン)
72 室内ファンモータ(モータ)
781 前ドレンパン(第1ドレンパン)
782 後ドレンパン(第2ドレンパン)
783 連通路
Claims (5)
- 円筒形状を有する送風ファン(71)と、
前記送風ファン(71)の円周面に対向して配置される熱交換器(50)と、
前記熱交換器(50)の側面から外側へと延びる補助配管(51)と、
前記送風ファン(71)の回転軸方向に前記送風ファン(71)と並んで配置され前記送風ファン(71)を回転駆動するモータ(72)と、
を備え、
前記補助配管(51)は、前記回転軸方向に前記モータ(72)を越える位置まで延び、前記モータ(72)の側方を通り、前記モータ(72)の反対側に折り返されている、
空気調和機(1)の室内機(2)。 - 前記モータ(72)を覆うモータカバー(55)をさらに備え、
前記補助配管(51)は、前記回転軸方向に前記モータカバー(55)を越える位置まで延びている、
請求項1に記載の空気調和機(1)の室内機(2)。 - 前記送風ファン(71)は、前記回転軸が略水平になるように配置されており、
前記送風ファン(71)を前後に挟むように配置され、前記熱交換器(50)から滴下するドレン水を受ける第1ドレンパン(781)および第2ドレンパン(782)と、
前記回転軸方向に前記モータカバー(55)を越える位置に配置され、前記第1ドレンパン(781)および前記第2ドレンパン(782)を連通させる連通路(783)と、
をさらに備える、
請求項2に記載の空気調和機(1)の室内機(2)。 - 前記モータカバー(55)に隣接して配置され、前記モータカバー(55)に滴下したドレン水を前記第1ドレンパン(781)、前記第2ドレンパン(782)、又は前記連通路(783)に案内するドレン水ガイド部(56)をさらに備える、
請求項3に記載の空気調和機(1)の室内機(2)。 - 前記補助配管(51)は、前記連通路(783)の上方で取り回されている、
請求項3又は4に記載の空気調和機(1)の室内機(2)。
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