JP4339821B2 - 燃料電池分離板用炭素複合材、その製造方法及びこれを適用した燃料電池分離板 - Google Patents

燃料電池分離板用炭素複合材、その製造方法及びこれを適用した燃料電池分離板 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池分離板用炭素複合材の製造方法に関するものである。より詳細には、従来の方法に比べて顆粒子のような中間素材の製造が不要であり、黒鉛化処理も不要な、より簡単で且つ効率的な方法で燃料電池分離板を製造することができる炭素複合材の製造方法に関するものである。
また、本発明は、上記方法によって製造された燃料電池分離板用炭素複合材と、これを適用してなる燃料電池分離板に関するものである。
燃料電池において使用される分離板は、膜電解質組立体(Membrane Electrolyte Assembly)に水素と酸素を供給し、ここで触媒反応によって発生された電子を移動させる通路の役割をし、同時に、各単位電池間の絶縁が維持できるよう分離させる役割をする核心部品である。
燃料電池分離板には一定水準の機械的な強度と電気的伝導性、気体透過度が要求される。従来は一般的に金属製の分離板が用いられていたが、金属製の分離板は電解質との接触部分において腐食現象をひどく発生させて、燃料電池の性能と寿命を短縮させる原因となっていた。
このため、最近では、このような環境における腐食抵抗性の優れた炭素を素材にした分離板が台頭し始めた。その中で代表的なものが黒鉛である。黒鉛は、耐腐食性は勿論、優秀な耐化学性を持っており、電気伝導度が金属に次ぐほど優れており、金属分離板に代替する代案とされた。
しかしながら、黒鉛の場合、希望する形状への加工が難しく、黒鉛自体の価格より加工費がより高くなって、結果的に全体的な製造費用を上昇させてしまう短所があった。よって、黒鉛の利点である高い耐化学性及び電気伝導度を維持しつつ、希望する形状に成型できる新規な手段として、炭素複合材分離板が登場するようになったのである。
炭素複合材分離板は、一般的に、炭素系の充填剤と樹脂系の結合剤を混合して圧縮成型、または射出成型する方式で製造される。圧縮成型とは、一定模様の金型に材料を投入し、プレスを用いて高い圧力を加えて成型する方式であり、射出成型とは、射出機を用いて一定の形状の金型に材料を注入して成型する方式である。圧縮成型は、金型費用が比較的に安くて少量多品種生産に適合している。射出成型は、少品種大量生産に適合した方式である。
日本の川崎製鉄株式会社(Kawasaki Steel Co.,Ltd.)は、2000年12月20日に公開されたヨーロッパ特許第1061597号において、黒鉛化されたメソカーボンマイクロビード(Graphitized Meso-carbon Microbeads)、熱硬化性または熱可塑性樹脂、黒鉛粉末、カーボンブラック、微細な炭素繊維の中、一部または全部を混合して射出または圧縮成型後、黒鉛化処理を経て製品をつくる方式を提案した。
また、日本ピラー工業株式会社(Nippon Pillar Packing Co.,Ltd.)は、2002年1月2日に公開されたヨーロッパ特許第1168473号において、結合剤、炭素充填剤粉末、短繊維を混合して直径0.03乃至5mmの顆粒子に成型した後、分離板の形態に成型する方法を提案した。
ヨーロッパ特許第1061597号 ヨーロッパ特許第1168473号
本発明は、伝導性充填剤として個々の粒子が針状、又は板状である天然、又は人造の黒鉛粉末と、結合剤として固相の変性、又は未変性フェノール樹脂と、物性向上のための添加剤としてカーボンブラック、アセチルブラック、炭素/金属/有機短繊維などを混合した後、この混合物を、100乃至1,000kg/cmの圧力で30乃至1,800秒間加圧し、成型して完成品を製造することによって、ヨーロッパ特許第1168473号にての顆粒子のような中間素材の製造が不要であり、ヨーロッパ特許第1061597号にての黒鉛化処理も不要となり、より簡単で且つ効率的な燃料電池分離板用炭素複合材の製造方法を提供することにその目的がある。
本発明による燃料電池分離板用炭素複合材の製造方法は、伝導性充填剤として黒鉛粉末、結合剤として固相のフェノール樹脂、及び物性向上のための添加剤を混合して均質状態にした後、加熱された金型に投入し、圧縮成形してなる燃料電池分離板用炭素複合材の製造方法において、前記伝導性充填剤として5〜200μmの粒子径を有する針状又は板状の天然及び人造黒鉛粉末を70〜95重量%、前記結合剤として固相の変性及び未変性フェノール樹脂を5〜30重量%、電気伝導性及び機械的物性を向上させるための前記添加剤としてカーボンブラック、アセチルブラック及び長さ3mm以下の炭素繊維、金属繊維及び有機繊維を前記黒鉛粉末の30重量%以下の割合で乾式混合し、加熱された金型で圧縮成形してなることを特徴とする。
また、本発明は、上記方法で製造された燃料電池分離板用炭素複合材であることを特徴とする。
さらにまた、本発明は、上記方法で製造された炭素複合材を適用してなる燃料電池分離板であることを特徴とする。

本発明の燃料電池分離板用炭素複合材は、伝導性充填剤として黒鉛粉末、結合剤として固相のフェノール樹脂、物性向上のための添加剤を乾式混合して均質な状態にした混合物を、加熱された金型に投入して、圧縮成型する方法で製造したので、従来の方法に比べて顆粒子のような中間素材の製造が不要であり、黒鉛化処理も不要でより簡単で且つ効率的な方法で製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、充填剤及び結合剤として、各々黒鉛粉末とフェノール樹脂を主原料とし、圧縮熱成型によって燃料電池分離板用炭素複合材を製造する方法、該方法によって製造された燃料電池分離板用炭素複合材、及び該方法によって製造された炭素複合材を適用してなる燃料電池分離板を提供するためのものである。
本発明において用いる充填剤は、炭素複合材に電気伝導度を与えるためのものとして、個々の粒子の形状が針状又は板状であり、且つ天然の黒鉛粉末、又は/及び、人造の黒鉛粉末を用いる。該黒鉛粉末の粒子の大きさは5乃至200μmが望ましく、黒鉛の純度が高いほど優れた電気伝導度と耐化学性を示す。該充填剤の使用量は70乃至95重量%が望ましい。
特に、本発明のように、ここの粒子形状が針状又は板状の黒鉛粉末を用いる場合には、球状の黒鉛粉末を用いることに比べて、電気伝導度を約20%程度向上させることができ、気体透過度は1/1,000以下に下げる効果がある。
本発明において用いる結合剤は、黒鉛粉末を結合させて炭素複合材に機械的強度を与えるためのものとして、固相のフェノール樹脂を用いる。特に、フェノール樹脂は変性又は未変性樹脂両方の使用が可能である。上記結合剤の使用量としては5乃至30重量%が望ましい。
本発明によれば、上記の通りに、固相のフェノール樹脂を用いる場合、乾式混合が可能であり、顆粒子への成型が不要になり、湿式混合方式に比べて設備、装備、時間、費用の側面で相当な長所を持っている。
本発明における添加剤は、炭素複合材の電気伝導度及び機械的な強度を向上させるためのものとして、カーボンブラック、アセチルブラック及び長さ3mm以下の炭素繊維、有機繊維、金属繊維を用いることができる。添加剤の含量は、上記黒鉛粉末の30重量%以下にするのが望ましい。本発明のように、カーボンブラックとアセチルブラックとを添加する場合には、電気伝導度が50%以上向上する効果がある。
上記充填剤、結合剤及び添加剤を混合する方法は、先ず、充填剤である天然、又は/及び、人造黒鉛粉末、結合剤である固相の変性、又は/及び、未変性フェノール樹脂、物性向上のための添加剤としてカーボンブラック、アセチルブラック、長さが3mm以下である炭素繊維、金属繊維、有機繊維を上記に言及した通りの適切な比率で乾式混合して均一な状態にする。次に、これら原料の混合物を100乃至250℃に加熱された金型に投入し、30乃至1,800秒間100乃至1,000kg/cmの圧力を加えて成型した後、金型から排出させれば、本発明による燃料電池分離板用炭素複合材を得ることができる。
上記のような方法で製造された本発明による燃料電池分離板用炭素複合材は次の表1のような物性を有する。
(表1)
Figure 0004339821

本発明による燃料電池分離板用炭素複合材の製造方法は、ヨーロッパ特許第1168473号にての顆粒子のような中間素材の製造が不要であり、ヨーロッパ特許第1061597号にての吸煙化処理も不要なより簡単で且つ効率的な方法である。
特に、本発明では、粒子形状が針状又は板状の黒鉛粉末を用いることによって、球状の黒鉛粉末を用いることに比べ、電気伝導率を約20%程度向上することができ、気体透過度も1/1,000以下に下げる効果がある。
また、固相のフェノール樹脂を用いる場合、乾式混合が可能であり、顆粒子への成型が不要になり、湿式混合方式に比べて設備、装備、時間、費用の側面において相当な長所がある。
それにまた、カーボンブラック、アセチルブラック及び長さ3mm以下の炭素繊維、有機繊維、金属繊維などを炭素複合材の電気伝導度及び機械的な物性などを向上させるために添加するが、特に、カーボンブラックアセチルブラックを添加する場合、電気伝導度が50%以上向上する効果がある。

Claims (3)

  1. 伝導性充填剤として黒鉛粉末、結合剤として固相のフェノール樹脂、及び物性向上のための添加剤を混合して均質状態にした後、加熱された金型に投入し、圧縮成形してなる燃料電池分離板用炭素複合材の製造方法において、
    前記伝導性充填剤として5〜200μmの粒子径を有する針状又は板状の天然及び人造黒鉛粉末を70〜95重量%、前記結合剤として固相の変性及び未変性フェノール樹脂を5〜30重量%、電気伝導性及び機械的物性を向上させるための前記添加剤としてカーボンブラック、アセチルブラック及び長さ3mm以下の炭素繊維、金属繊維及び有機繊維を前記黒鉛粉末の30重量%以下の割合で乾式混合し、加熱された金型で圧縮成形してなることを特徴とする燃料電池分離板用炭素複合材の製造方法。
  2. 請求項1の製造方法によって製造されたことを特徴とする燃料電池分離板用炭素複合材。
  3. 請求項2の燃料電池分離板用炭素複合材を適用してなることを特徴とする燃料電池分離板。
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