JP4337746B2 - フォトマスクおよびその製造方法、電子機器の製造方法 - Google Patents
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Description
液状体の乾燥は任意の方法により液状体を加熱することで実現できるが、レーザ光照射による方法を採用すれば、局所的に液状体のみを加熱することができるので、基板上の他の部分に熱変形等のダメージを与えることなく、短時間に液状体を乾燥させることができる。
この方法によれば、液滴の濡れ広がりが抑えられ、微細な遮光パターンが形成できるとともに、液状体の吐出から乾燥までの処理時間を大幅に短縮することができる。
フォトマスクの遮光パターンは充分な遮光性を有することが重要である。ところが、液状体の液滴を乾燥させて基板上に遮光性材料を残存させ、遮光パターンを形成した際、場合によっては遮光パターンの膜厚が充分に確保できず、光透過率を充分に下げられないことも考えられる。このような場合、乾燥させた液滴の上にさらに液滴を積層させると遮光パターンの膜厚を稼ぐことができ、充分な遮光性を得ることができる。この場合、積層する層数は任意に設定できる。
例えば微細な遮光パターンを形成しようとして液滴の径を微小にした場合、気流等により液滴の飛翔曲がりが生じ、所望の位置に高精度のパターンが形成できない恐れがある。その場合、レーザ光によるガイドを用いると、液状体の液滴を基板上の吐出目標位置に確実に着弾させることができ、所望の位置に高精度のパターンを形成することができる。なお、レーザ光によるガイドとは、吐出目標位置の周囲にレーザ光を照射し、レーザ光束を例えば帯状に形成しておけば、仮に液滴の飛翔曲がりが生じ、液滴がレーザ光束に触れたとすると、触れた部分の溶媒が気化し、その気圧によりレーザ光束から離れる方向に(あたかも液滴がレーザ光束ではね返されるかのように)液滴が吐出目標位置に誘導される、という現象を利用したものである。
この方法によれば、液滴吐出工程と乾燥工程のみで完全な遮光パターンを形成しなくてもよく、例えば大きめの遮光パターンを形成した後、レーザ光または電子線で余分な部分を削る等のトリミングを施すことによって、所望の形状の遮光パターンを得ることができる。
フォトマスクの複数の遮光パターンのうち、どの部分に液滴吐出法を適用するかは任意に選択できるが、例えばASIC等の半導体デバイス用のフォトマスクを想定すると、機能ブロック領域内は各種メモリや論理回路が入り組んでパターン密度が高く、一方、配線領域内は比較的スペースが多くパターン密度が低い。液滴吐出法を用いてパターンを形成する場合、どうしてもフォトリソグラフィー法に比べてパターンの精細度を高くするのが難しいので、パターン密度が低い配線領域に適用するのが好ましい。
本発明によれば、パターン修正、変更等の要求に対して低コストで迅速、容易に対応可能なフォトマスクを実現できる。
本発明によれば、低コスト、短納期でパターン修正、変更等の要求に対してフレキシブルに対応可能な電子機器を実現できる。
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態のフォトマスクを用いて製作する半導体デバイスの概略構成図である。本実施の形態では、半導体デバイスの一例としてASICの一種である液晶表示装置の駆動用LSIを作成する例を挙げて説明する。
図2〜図4は、遮光パターンを形成するためのパターン形成装置(液滴吐出装置)100を示すとともに、遮光パターンの形成手順を示す工程図である。
図2に示すように、制御部102は、吐出ヘッド120,基板キャリッジ130,レーザ140およびアクチュエータ(図示略)の各々に駆動信号を出力し、システム全体を制御する。この制御部102はCPU、タイマクロック、遮光パターンを記憶したメモリ等を含んで構成されている。溶液タンク110には、例えばC14H30(n−テトラデカン)等の有機溶媒に、遮光パターンの材料となる例えばクロム等の微粒子が分散された粘度20mPa・s程度の溶液が貯蔵されている。吐出ヘッド120は、ピエゾ素子による電気機械変換方式を用いたものであり、制御部102の制御の下、溶液タンク110から溶液の供給を受け、溶液を液滴化して吐出する。
以下、本発明の第2の実施の形態について図面を用いて説明する。
第1実施形態においては、遮光性材料を含む液滴を塗布した後、当該液滴に低レベル強度のレーザ光を照射し、当該液滴を乾燥させて遮光パターンとするパターン形成装置100について説明した。これに対し、第2の実施の形態においては、液滴の塗布と略同時に当該液滴にレーザ光を照射して液滴を乾燥させるパターン形成装置について説明する。本実施形態のパターン形成装置の構成のうち、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を用いて説明する。
以下、本発明の第3の実施の形態について図面を用いて説明する。
第1、第2実施形態においては、遮光性材料を含む液滴にレーザ光を照射し、当該液滴を乾燥させて遮光パターンとするパターン形成装置について説明した。これに対し、第3の実施形態においては、レーザ光の照射により基板上に吐出する液滴の進路をガイドするパターン形成装置について説明する。
ノズルの詰まりや空気抵抗の影響が無視できるとすれば、図8に示すように、ノズルから吐出された液滴は、与えられた運動量によって基板9の目標位置に落下(着弾)する。ここで、吐出目標位置9Zは、ヘッド部20とステージ12との相対位置調整によって予め調整されている。本実施例においては、吐出目標位置9Zはノズルの真下に位置することを想定した。
図9に示すように、液滴の進路方向は、基板9上の吐出目標位置9Zとは別の方向に逸れることになるが、当該液滴はレーザ光のいずれかと衝突する。そして、この衝突により、液滴は跳ね返される方向に進路変更される。これにより、液滴は、基板9の吐出目標位置9Zに無事着弾されることになるのである。なお、図9では、液滴とレーザ光が1回だけ衝突した例を図示したが、さらに多くの衝突を繰り返した後、最終的に液滴が吐出目標位置9Zに着弾する場合もある。
以下、本発明の第4の実施の形態について図面を用いて説明する。
本実施形態においては、レーザ光の照射により基板上に吐出する液滴を複数積層し、厚膜の遮光パターンを形成するのに好適なパターン形成装置について説明する。
パターン形成装置は、液滴吐出ヘッド1と制御装置CONTとステージ7とを備えている。ステージ7は、このパターン形成装置によりクロム微粒子分散液を塗布される基板Pを支持するものである。液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、複数の吐出ノズルが液滴吐出ヘッド1の下面に一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述したクロム微粒子を含む分散液が吐出される。
まず、液滴吐出ヘッド1に対して遮光パターンを形成すべき位置に基板Pを移動させ、位置決めする。そして、ヘッド1のノズル25から一滴目の液滴Lを吐出して基板P上に塗布する。塗布した液滴L(L1とする)は、表面張力により一旦丸い状態となるが、基板Pの表面が親液化されていると、一定の時間、または、液滴の表面エネルギーに応じた時間(例えば約20マイクロ秒)が経過した後に基板Pの表面エネルギーと液滴表面エネルギーに応じた接触角になるまで濡れ拡がる。この時間は既知であるため、制御装置CONTは、液滴L1が基板Pの表面で濡れ拡がる前にレーザ光源12からレーザ光(例えば1.0W/mm2を1ミリ秒)を照射させる。レーザ光の照射により光エネルギーが付与された液滴L1は、乾燥または焼成する。この液滴L1に対するレーザ光の照射は、次(二滴目)の液滴が積み重ねられればよいため、必ずしも焼成する必要はなく、表面が乾く程度のエネルギーでよい。
このように、液滴L2に光エネルギーを付与して乾燥または焼成することで、液滴L1上に液滴L2を積み重ねた状態で塗布・定着させることができる。
そして、同様の手順で液滴L2上に液滴L3以降を塗布、乾燥または焼成を順次繰り返し、さらにこの動作を走査方向に繰り返すことにより、基板P上に高さ数百ミクロン程度の遮光パターンを形成することができる。
以下、本発明の第5の実施の形態について図面を用いて説明する。
第1〜第4の実施の形態においては、液滴吐出法を用いて遮光パターンを最初から描画していく設定で説明したが、本実施形態においては、既に一部出来上がった遮光パターンに対して液滴吐出法を用いて修正パターンを形成する例について説明する。
次に、図11(b)に示すように、第1〜第4の実施形態で述べたのと同様、基板上のパターン修正箇所にインクジェット法を用いてクロム微粒子分散液の液滴を吐出する。ここでは、遮光パターン30a,30bの間に液滴の溜まり部分31を形成する。この溜まり部分31は1滴の液滴で形成しても良いし、複数の液滴で形成しても良く、パターン修正箇所の大きさに合わせて適宜設定が可能である。
次に、図11(d)に示すように、液滴の溜まり部分32にトリミングを施し、所望の遮光パターン33a,33bを形成する。具体的には、高強度のレーザ光を照射して円形の溜まり部分32の周縁部を直線状に削除するとともに、溜まり部分32の中央部を直線状に切り離すことによって、2本の直線状の遮光パターン30a,30bを基に2つのコ字状の遮光パターン33a,33bを形成する。
上記実施の形態で説明したフォトマスクを用いて複数のフォトリソグラフィー(レジスト塗布、露光、現像、エッチング、レジスト除去)工程を実施することにより、図1に示したような液晶表示装置の駆動用LSIを作成することができる。
図12はこの駆動用LSIを搭載した電子機器の一例である液晶表示装置を示す斜視図である。この図に示すように、液晶表示装置1304を構成する2枚の透明基板1304a,1304bの一方に、金属の配線パターンが形成されたポリイミドテープ1322に駆動用LSI1324を実装したTCP(Tape Carrier Package)1320を接続して、液晶表示装置を構成することができる。
本構成によれば、上記実施の形態のフォトマスクを使用して作製した駆動用LSIを用いたことで、低コスト、短納期でパターン修正、変更等の要求に対してフレキシブルに対応可能な電子機器を実現できる。
Claims (10)
- メモリ部、論理回路部、および配線部を有する半導体デバイスを製造する際に用いるフォトマスクの製造方法であって、
フォトマスク上の複数の遮光パターンのうち、前記メモリ部および前記論理回路部に属する遮光パターンをフォトリソグラフィー法により形成する工程と、
前記メモリ部および前記論理回路部に属する遮光パターンを形成した後、液滴吐出法を用いて遮光性材料を含有する液状体の液滴を基板上の所定の位置に吐出する吐出工程と、
吐出した前記液状体を乾燥させることにより前記遮光性材料からなる遮光パターンを形成する乾燥工程と、を備え、
フォトマスク上の複数の遮光パターンのうち、前記配線部に属する遮光パターンを、前記吐出工程と前記乾燥工程とにより形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。 - 前記基板上に吐出した前記液状体の液滴にレーザ光を照射することにより前記液状体の乾燥を行うことを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記基板上の前記液状体の液滴の吐出目標位置に対して予め前記レーザ光を照射した状態で前記吐出目標位置に前記液状体の液滴を吐出することにより、前記液状体の液滴が前記基板上に着弾するのと同時に乾燥を行うことを特徴とする請求項2に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記基板上に吐出した前記液状体の液滴にレーザ光を照射して前記液滴を乾燥させた後、乾燥した液滴の上にさらに液滴を積層する工程を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載のフォトマスクの製造方法。
- 吐出した前記液状体の液滴に相対的に強度が低いレーザ光を照射して前記液状体を乾燥させ、これを繰り返して前記液滴を積層した後、積層した前記液滴に相対的に強度が高いレーザ光を照射して前記積層した液滴の焼成を行うことを特徴とする請求項4に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記液滴を積層する際に、前記基板上に1滴目の液滴を吐出して乾燥させる際のレーザ光のエネルギーよりも、前記液滴上に2滴目以降の液滴を吐出して乾燥させる際のレーザ光のエネルギーを小さくすることを特徴とする請求項4または5に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記基板上の前記液状体の液滴の吐出目標位置の周囲に予め前記レーザ光を照射した状態で前記吐出目標位置に向けて前記液状体の液滴を吐出し、前記レーザ光によって液状体の液滴が前記基板上の吐出目標位置に着弾されるように前記液滴の吐出位置をガイドすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記乾燥工程を経た後に形成された遮光パターンにレーザ光または電子線を照射することによって、前記遮光パターンのトリミングを行う工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のフォトマスクの製造方法。
- 請求項1ないし8のいずれか一項に記載のフォトマスクの製造方法により製造されたことを特徴とするフォトマスク。
- 請求項9に記載のフォトマスクを用いてパターンを形成することを特徴とする電子機器の製造方法。
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