以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る膜パターン(配線パターン)の形成装置IJを示す概略斜視図である。本実施形態においては、膜パターンの形成装置IJは、機能液の液滴Dを吐出可能な吐出ノズル1を有し、その吐出ノズル1より基板Pの表面に機能液の液滴Dを吐出して、基板Pの表面に所定の膜パターン(配線パターン)Fを形成可能な液滴吐出装置(インクジェット装置)を含む。
図1において、形成装置IJは、機能液の液滴Dを吐出可能な吐出ノズル(開口)1を有する吐出ヘッド2と、基板Pを保持しながら移動可能な基板ステージ3と、吐出ヘッド2を移動可能な吐出ヘッド移動機構4と、基板ステージ3を移動可能な基板ステージ移動機構5と、基板Pの熱処理を実行可能な熱処理装置6と、形成装置IJ全体の動作を制御する制御装置7と、制御装置7に接続され、その制御装置7に膜パターン(配線パターン)Fの形成動作に関する情報を入力可能な入力装置8とを備えている。入力装置8は、制御装置7に操作信号等、各種信号を供給可能な、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、及び電気通信回線等を含む。
吐出ヘッド2は、機能液の液滴Dを吐出可能な複数の吐出ノズル1を有する。本実施形態の吐出ヘッド2は、例えば特開2005−28276号公報、特開2005−144324号公報、特開2006−68989号公報等に開示されているような、ピエゾ素子(圧電素子)に所定の駆動信号を供給して、そのピエゾ素子を変形させることによって、機能液を収容した空間の圧力を可撓性の板(膜)を介して変動させ、その圧力の変動を利用して、吐出ノズル1より機能液の液滴Dを吐出する、所謂電気機械変換方式の吐出ヘッドである。制御装置7は、吐出ヘッド2のピエゾ素子に所定の駆動信号を供給して、その駆動信号に応じた大きさの液滴Dを吐出ノズル1のそれぞれより吐出可能である。
また、制御装置7は、例えば特開2001−58433号公報に開示されているように、ピエゾ素子に供給する駆動信号(駆動波形)を調整して、吐出ノズル1のそれぞれから吐出される液滴Dの量(大きさ、体積)を調整可能である。
なお、吐出ヘッド2による液滴Dの吐出方式としては、上述の電気機械変換方式のみならず、帯電制御方式、加圧振動方式、電気熱変換方式、及び静電吸引方式の少なくとも1つを採用可能である。ここで、帯電制御方式は、機能液に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で機能液の液滴の吐出方向を制御して、吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、機能液に例えば30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズルの先端側に機能液の液滴を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には機能液の液滴が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると機能液間に静電的な反発が起こり、機能液が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気熱変換方式は、機能液を貯留した空間内に設けたヒータにより、機能液を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の機能液を吐出させるものである。また、静電吸引方式は、機能液を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに機能液のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから機能液を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。
吐出ノズル1は、基板ステージ3に保持された基板Pの表面と対向する吐出ヘッド2の下面に配置されている。本実施形態においては、吐出ヘッド2は、X軸方向に長い形状を有する。吐出ノズル1は、吐出ヘッド2の下面において、X軸方向に沿って複数形成されている。複数の吐出ノズル1は、X軸方向に関して所定間隔で配置されている。吐出ヘッド2の吐出ノズル1から吐出された機能液の液滴Dは、基板ステージ3に保持された基板Pの表面に供給される。
吐出ヘッド移動機構4は、吐出ヘッド2をX軸方向に移動可能に支持する支持部材4Sと、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含み、支持部材4Sに支持されている吐出ヘッド2をX軸方向に移動する駆動装置4Dとを有する。制御装置7は、駆動装置4Dを制御して、支持部材4Sに支持されている吐出ヘッド2をX軸方向に移動可能であり、その吐出ヘッド2のX軸方向の位置を調整可能である。
また、不図示であるが、吐出ヘッド移動機構4は、吐出ヘッド2をY軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向のそれぞれに移動(微動)可能なアクチュエータを備えている。すなわち、吐出ヘッド移動機構4は、吐出ヘッド2を、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。制御装置7は、吐出ヘッド移動機構4を制御して、6自由度の方向に関する吐出ヘッド2の位置を調整可能である。
基板ステージ3は、ステージ本体3Bと、ステージ本体3B上に搭載され、基板Pを保持する基板ホルダ3Hとを含み、基板ホルダ3Hで基板Pを保持しながら移動可能である。基板ステージ3(基板ホルダ3H)は、基板Pの表面とXY平面(水平面)とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。
基板ステージ移動機構5は、基板ステージ3(ステージ本体3B)をY軸方向に移動可能に支持する支持部材5Sと、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含み、支持部材5Sに支持されている基板ステージ3(ステージ本体3B)をY軸方向に移動する駆動装置5Dとを有する。制御装置7は、駆動装置5Dを制御して、支持部材5Sに支持されている基板ステージ3(ステージ本体3B)をY軸方向に移動可能であり、その基板ステージ3(ステージ本体3B)のY軸方向の位置を調整可能である。ステージ本体3Bの位置が調整されることによって、そのステージ本体3B上に搭載されている基板ホルダ3H(基板P)の位置も調整される。
また、不図示であるが、基板ステージ移動機構5は、基板ステージ3の基板ホルダ3HをX軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向のそれぞれに移動(微動)可能なアクチュエータを備えている。そのアクチュエータの少なくとも一部は、ステージ本体3Bと基板ホルダ3Hとの間に配置されている。すなわち、基板ステージ移動機構5は、基板ステージ3(基板ホルダ3H)を、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。制御装置7は、基板ステージ移動機構5を制御して、6自由度の方向に関する基板ステージ3(基板ホルダ3H)の位置を調整可能である。
本実施形態においては、制御装置7は、吐出ヘッド移動機構4及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを用いて、吐出ヘッド2と基板Pを保持した基板ステージ3とを相対的に移動しながら、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より機能液の液滴Dを吐出して、その液滴Dを基板Pの表面に供給する。具体的には、制御装置7は、吐出ヘッド2をX軸方向に関して所定の位置に配置した状態で、吐出ヘッド2の吐出ノズル1に対して基板Pを保持した基板ステージ3をY軸方向に移動しつつ、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。これにより、吐出ノズル1の位置に応じた基板Pの表面の所定の領域に、吐出ノズル1からの液滴Dが供給される。また、制御装置7は、必要に応じて吐出ヘッド2のX軸方向の位置を変化させ、吐出ヘッド2をその位置に配置した状態で、その吐出ヘッド2の吐出ノズル1に対して基板Pを保持した基板ステージ3をY軸方向に移動しつつ、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。これにより、制御装置7は、基板Pの表面の広い領域に吐出ノズル1からの液滴Dを供給できる。
以下の説明において、吐出ノズル1による液滴Dの吐出動作中に基板ステージ3(基板P)が移動する方向であるY軸方向を適宜、走査方向、と称し、水平面内において走査方向(Y軸方向)と直交する方向であるX軸方向を適宜、非走査方向、と称する。したがって、吐出ヘッド2の吐出ノズル1は、非走査方向(X軸方向)に関して所定間隔で複数配置されている。なお、制御装置7は、吐出ヘッド移動機構4を制御して、複数の吐出ノズル1が基板Pの移動方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に並ぶように、吐出ヘッド2の角度(姿勢)を調整してもよいし、複数の吐出ノズル1が基板Pの移動方向(Y軸方向)に対して傾斜する方向に並ぶように、吐出ヘッド2の角度(姿勢)を調整してもよい。制御装置7は、吐出ヘッド2の角度(姿勢)を調整することによって、吐出ノズル1同士の間隔(所謂ノズルピッチ)を調整できる。また、制御装置7は、吐出ヘッド移動機構4及び基板ステージ移動機構5の少なくとも一方を制御して、吐出ヘッド2の下面と基板Pの表面との距離を調整してもよい。
熱処理装置6は、基板Pを加熱可能なヒータを含む。熱処理装置6は、例えば基板Pに光を照射することによって、その基板Pを加熱可能なランプアニール装置6Dと、そのランプアニール装置6Dを支持する支持部材6Sとを含む。熱処理装置6は、基板Pを加熱することによって、基板Pの表面に吐出(供給)された機能液の液滴Dに含まれる溶媒(分散媒)の少なくとも一部を蒸発(気化)させ、その液滴Dを乾燥させることができる。なお、熱処理装置6は、基板Pに熱風を吹き付けることによって、液滴Dを乾燥させてもよい。
次に、上述の構成を有する形成装置IJを用いて、機能液の液滴Dで基板Pの表面に所定の膜パターンFを形成する方法について説明する。
本実施形態においては、図2のフローチャートに示すように、形成しようとする膜パターンFを設計する工程SA1と、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域を設定するとともに、膜パターン形成領域のエッジの内側に、液滴Dを吐出する第1位置を含む第1領域、及び液滴Dを吐出しない第2位置を含む第2領域のそれぞれを設定する工程SA2と、設定した膜パターン形成領域、第1領域、及び第2領域に応じて基板Pの表面に液滴Dを吐出して、その基板Pの表面に所定の膜パターンFを形成する工程SA3、SA4と、が実行される。基板Pの表面に液滴Dを吐出する工程(SA3、SA4)は、設定した膜パターン形成領域のエッジに沿って基板Pの表面に複数の液滴Dを吐出する工程SA3と、設定した第1領域(第1位置)に液滴Dを吐出する工程SA4とを含む。以下、各工程SA1〜SA4毎に説明する。
(工程SA1:膜パターンの設計)
まず、形成しようとする膜パターンFの設計が行われる。膜パターンFの設計では、形成しようとする膜パターンFの大きさ、形状、及び厚み(膜厚)等が設定される。
図3は、基板Pの表面の少なくとも一部に形成される膜パターンFの一例を示す図である。本実施形態においては、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、最終的に、図3に示すような膜パターンFを形成する場合を例にして説明する。図3に示す膜パターンFは、基板Pの表面と平行な平面内(XY平面内)において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)であり、所定の厚み(例えば10μm)を有する。
(工程SA2:膜パターン形成領域、第1領域、及び第2領域の設定)
膜パターンFの設計が行われた後、その膜パターンFの設計データが、入力装置8を介して制御装置7に入力される。膜パターンFの設計データは、形成しようとする膜パターンFの大きさ、形状、及び厚み(膜厚)等に関するデータを含む。具体的には、膜パターンFの設計データは、形成しようとする膜パターンFの大きさ、形状、及び厚み等の目標値に関する情報を含む。
膜パターンFの設計データが入力された後、制御装置7は、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域10を設定する。制御装置7は、入力された膜パターンFの設計データに基づいて、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状(膜パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)を設定する。
図4は、本実施形態に係る基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10の一例を示す図、図5は、図4の一部(破線ARで囲まれた部分)を拡大した図である。
膜パターン形成領域10は、機能液の液滴Dが吐出(供給)され得る領域である。換言すれば、膜パターン形成領域10は、膜パターンFを形成するための液滴Dを吐出する動作を実行中の吐出ノズル1と対向する位置に配置される基板P上の領域である。所定の膜パターンFを形成するために、膜パターン形成領域10の内側の少なくとも一部には、吐出ノズル1からの液滴Dが吐出(供給)され、膜パターン形成領域10の外側には、吐出ノズル1からは液滴Dが吐出(供給)されない。
本実施形態においては、膜パターン形成領域10の内側に、液滴Dを吐出する第1位置11Dが複数設定される。本実施形態においては、制御装置7は、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの中心と、第1位置11Dとが合致するように、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
膜パターン形成領域10の内側に設定される複数の第1位置11Dのうち、膜パターン形成領域10のエッジ10eに最も近い第1位置11Deは、その第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10eとが対応するように(合致するように)、基板Pの表面に設定される。換言すれば、本実施形態においては、第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10eとが対応するように(合致するように)、膜パターン形成領域10が設定される。
膜パターン形成領域10は、設計データ上の膜パターンFに応じて定められる。図3、図4、及び図5に示すように、本実施形態においては、膜パターン形成領域10は、設計データ上の膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、XY平面内において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)に設定される。
本実施形態においては、膜パターン形成領域10は、その膜パターン形成領域10のエッジ10eが設計データ上の膜パターンFのエッジの内側でその膜パターンFのエッジに沿うように、且つ、膜パターン形成領域10のエッジ10eと設計データ上の膜パターンFのエッジとの距離が膜パターン形成領域10のエッジ10eの各位置においてほぼ等しくなるように、換言すれば、膜パターン形成領域10と設計データ上の膜パターンFとがほぼ相似関係となるように、設定される。
基板Pの表面に吐出(供給)され、基板Pの表面に接触した後の液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がる。したがって、制御装置7は、基板Pの表面に吐出(供給)され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、設計データに則した所望の膜パターンFが形成されるように、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状を設定する。
すなわち、膜パターン形成領域10のエッジ10e近傍に吐出され、基板Pの表面に接触した後の液滴Dの少なくとも一部は、基板Pの表面で濡れ拡がって、膜パターン形成領域10の外側に配置される。したがって、例えば膜パターン形成領域10のエッジ10e近傍に吐出ノズル1より液滴Dを吐出する場合において、制御装置7は、その膜パターン形成領域10のエッジ10e近傍の第1位置11Deに吐出され、膜パターン形成領域10の外側に濡れ拡がった後の液滴Dの外側のエッジが、設計データ上の膜パターンFのエッジに対応するように、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状(膜パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)を設定する。
すなわち、最終的に形成される膜パターンFは、基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10の内側に吐出され、基板Pの表面で濡れ拡がって、膜パターン形成領域10の外側に配置された液滴(機能液)も含む。したがって、制御装置7は、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、膜パターン形成領域10の大きさが、最終的に形成される設計データ上の膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、膜パターン形成領域10を設定する。
このように、膜パターンFは、その設定された膜パターン形成領域10(膜パターン形成領域10の第1位置11De)に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)に応じた大きさ及び形状を有するものとなる。膜パターン形成領域10は、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、設計データ上の膜パターンFに応じて設定される。
ここで、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)は、基板Pの表面状態、機能液(液滴D)の物性、及び吐出する液滴Dの量(大きさ、体積)等に応じて定まる。基板Pの表面状態は、液滴Dに対する基板Pの表面の接触角等を含み、機能液(液滴D)の物性は、機能液(液滴D)の表面張力等を含む。したがって、制御装置7は、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び吐出する液滴Dの量等を考慮して、所望の膜パターンFが形成されるように、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10を設定する。
具体的には、本実施形態においては、制御装置7は、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び吐出する液滴Dの量等を考慮して、所望の膜パターンFが形成されるように、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10の内側に設定される複数の第1位置11Dのうち、少なくとも膜パターン形成領域10のエッジ10eに最も近い第1位置11Deの位置(膜パターン形成領域10のエッジ10eと各第1位置11Deとの距離)を設定する。なお、上述のように、本実施形態においては、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの中心と、第1位置11D(11De)とが合致するように、吐出ノズル1より液滴Dが吐出されるとともに、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10eとが対応するように(合致するように)、第1位置11Deが設定されるので、膜パターン形成領域10のエッジ10eと第1位置11Deとの距離は、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの半径に相当する。
本実施形態においては、制御装置7には、膜パターンFの設計データに加えて、基板Pの表面状態(液滴Dに対する基板Pの表面の接触角等)、及び液滴Dの物性(表面張力等)に関するデータが入力装置8を介して入力される。制御装置7は、入力装置8を介して入力された、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び膜パターンFの設計データと、予め定められている吐出ノズル1より吐出する液滴Dの量とに基づいて、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状(膜パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)、ひいては第1位置11Deを設定する。
次に、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側に、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12を設定する。
本実施形態においては、第1領域11は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側において、互いに離れて複数設定され、第2領域12は、第1領域11同士の間に、各第1領域11のそれぞれを囲むように設定される。すなわち、本実施形態においては、液滴Dが吐出される第1領域11は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側において、断続的に(島状に)複数設定される。
また、本実施形態においては、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、液滴Dを吐出する第1位置11Deが連続的に複数設定される。すなわち、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側を囲むように、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って第1位置11Deを枠状に設定する。
複数の第1領域11は、基板Pの表面とほぼ平行なXY平面のX軸方向、及びXY平面においてX軸方向と直交するY軸方向のそれぞれに関して互いに離れて並べられる。複数の第1領域11は、X軸方向に関して規則的に並べられるとともに、Y軸方向に関して規則的に並べられる。すなわち、複数の第1領域11は、基板Pの表面に沿って2次元的に規則的に配列されている。
具体的には、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第1領域11によって形成されたグループが、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられる。第1領域11は、X軸方向に関して第1距離D1ずつ等間隔で複数設定されるとともに、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ等間隔で複数設定される。
本実施形態においては、第1領域11のそれぞれは矩形状であって、第1領域11のX軸方向の大きさとY軸方向の大きさとはほぼ等しい。すなわち、本実施形態においては、第1領域11のそれぞれは、正方形状である。また、第1距離D1と第2距離D2とはほぼ等しい。
このように、本実施形態においては、各第1領域11のそれぞれは正方形状であるとともに、それら複数の第1領域11は、XY平面内において等間隔で規則的に設定されている。
そして、液滴Dが吐出されない第2位置12Dを含む第2領域12は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側において、格子状に設定されている。
本実施形態においては、第1領域11のX軸方向の大きさは、第1距離D1よりも大きく、第1領域11のY軸方向の大きさは、第2距離D2よりも大きい。すなわち、本実施形態においては、第1領域11のXY方向に関する大きさに対して、各第1領域11同士の間隔は小さい(狭い)。
本実施形態においては、制御装置7は、少なくとも膜パターン形成領域10を含む基板Pの表面の所定領域を、複数のピクセルCで区画する。複数のピクセルCのそれぞれは、液滴Dを供給可能な領域を規定するものであって、液滴Dに応じた大きさを有する。ピクセルCは、X軸方向及びY軸方向に関してマトリクス状に複数設定される。膜パターン形成領域10は、液滴Dに応じた大きさをそれぞれ有し、マトリクス状に設定された仮想的な複数のピクセルCで区画される。
本実施形態においては、複数のピクセルCの組み合わせによって、膜パターン形成領域10が形成される。
本実施形態においては、複数のピクセルCのそれぞれは、正方形状であり、その1辺の長さは、例えば10μmに設定される。また、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの直径(所謂飛翔径)は、例えば10μmに設定される。すなわち、本実施形態においては、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、ピクセルCのエッジとが対応するように(合致するように)、ピクセルCが設定される。
なお、ピクセルCは、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジが、ピクセルCのエッジよりも僅かに内側に配置されるように設定されてもよい。すなわち、ピクセルCが液滴Dの飛翔径よりも僅かに大きくてもよい。例えばピクセルCの1辺が10μmであり、液滴Dの飛翔径が9μmであってもよい。
次に、制御装置7は、複数のピクセルCのそれぞれを、液滴Dを吐出するピクセル又は吐出しないピクセルのいずれか一方に設定する。
以下の説明において、吐出ノズル1より液滴Dが吐出(供給)されるピクセルを適宜、第1ピクセルC1、と称し、吐出ノズル1より液滴Dが吐出(供給)されないピクセルを適宜、第2ピクセルC2、と称する。
本実施形態においては、制御装置7は、ある1つの第1ピクセルC1に対して吐出ノズル1より液滴Dを吐出するとき、その第1ピクセルC1の中心と、吐出する液滴Dの中心とがほぼ合致するように、液滴Dを吐出する。すなわち、1つの第1ピクセルC1は、その中心に、液滴Dが吐出される第1位置11Dを1つ有する。
第1領域11は、第1ピクセルC1で形成され、第2領域12は、第2ピクセルC2で形成される。本実施形態においては、制御装置7は、膜パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのそれぞれを、第1ピクセルC1及び第2ピクセルC2のいずれか一方に設定することによって、膜パターン形成領域10の内側に、第1領域11及び第2領域12のそれぞれを設定する。すなわち、第1ピクセルC1の配列、及び/又は第2ピクセルC2の配列が決定されることによって、膜パターン形成領域10の内側に、複数の第1領域11、及び/又は第2領域12が設定される。
以下の説明において、第1領域11、及び/又は第2領域12を設定するために決定される、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1の配列情報、及び/又は液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2の配列情報を適宜、ビットマップデータ、と称する。
本実施形態においては、1つの第1領域11は、複数の第1ピクセルC1で形成される。本実施形態においては、1つの第1領域11は、X軸方向に並べられた2つの第1ピクセルC1のグループがY軸方向に関して2つ並べられることによって形成される。すなわち、本実施形態においては、1つの第1領域11は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに2つずつ並べられた、合計4つの第1ピクセルC1によって形成されている。したがって、第1領域11のX軸方向及びY軸方向それぞれの大きさは、2つ分の第1ピクセルC1の大きさに対応する。
上述のように、1つの第1ピクセルC1は、液滴Dが吐出される第1位置11Dを1つ有している。本実施形態においては、1つの第1領域11が複数(4つ)の第1ピクセルC1によって形成されているので、液滴Dが吐出される第1位置11Dは、1つの第1領域11に対して複数(4つ)設定される。
また、上述したように、1つの第1ピクセルC1は、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの大きさ(飛翔径)に応じた大きさを有し、1つの第1領域11は、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する直前の4つの液滴DのXY平面内における大きさ(4つの液滴Dの投影面積に相当する大きさ)を有する。
第2領域12は、複数の第2ピクセルC2で形成される。第2ピクセルC2のそれぞれは、4つの第1ピクセルC1で形成される第1領域11同士の間に、各第1領域11のそれぞれを囲むように設定される。第1領域11同士の間には、1つ分の第2ピクセルC2が設定される。したがって、第1領域11同士の間の第1距離D1及び第2距離D2は、1つ分の第2ピクセルC2の大きさに対応する。
また、上述したように、本実施形態においては、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、液滴Dを吐出する第1位置11Deが連続的に複数設定される。本実施形態においては、膜パターン形成領域10は、複数のピクセルCで区画されるので、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するピクセルC(膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列されたピクセルC)のそれぞれが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。
以下の説明において、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成する複数のピクセル(膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列された複数のピクセル)のそれぞれを適宜、エッジピクセルCe、と称する。
したがって、本実施形態においては、エッジピクセルCeのそれぞれが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定され、各エッジピクセルCeそれぞれの中心に、第1位置11Deが設定される。そして、本実施形態においては、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1(エッジピクセルCe)が、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側を囲むように、枠状に設定される。
エッジピクセルCeは、設計データ上の膜パターンFのエッジの内側において、そのエッジピクセルCeと設計データ上の膜パターンFのエッジとの距離が、少なくともピクセルCの1つ分の大きさよりも小さくなるように設定される。エッジピクセルCeは、設計データ上の膜パターンFのエッジに沿って連続的に配列される。
本実施形態においては、エッジピクセルCeは、そのエッジピクセルCeの中心に設定された第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCeの外側のエッジ)とが対応するように(合致するように)、基板Pの表面に設定される。換言すれば、本実施形態においては、第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、エッジピクセルCeの外側のエッジとが対応するように(合致するように)、エッジピクセルCeが設定される。
また、本実施形態においては、エッジピクセルCeに吐出ノズル1より液滴Dを吐出する場合において、その膜パターン形成領域10の外側に濡れ拡がった後の液滴Dのエッジが、設計データ上の膜パターンFのエッジに対応するように、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するエッジピクセルCeが設定される。
そして、膜パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、エッジピクセルCeの内側の複数のピクセルCのそれぞれが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1、及び液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2のいずれか一方に設定される。
なお、ここでは、制御装置7が、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12のそれぞれを設定しているが、形成装置IJに、制御装置7とは別の所定の処理装置(演算装置)を設け、その処理装置(演算装置)が、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12のそれぞれを設定してもよい。また、形成装置IJ以外の所定の処理装置(演算装置)が、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12のそれぞれを設定してもよい。
(工程SA3:膜パターン形成領域のエッジに沿って液滴を吐出)
次に、上述のように設定した膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って基板Pの表面に複数の液滴Dを吐出する動作が実行される。
上述のように、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域10を設定するとともに、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側に、液滴Dを吐出する第1位置11D、11De(第1ピクセルC1)を含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12D(第2ピクセルC2)を含む第2領域12のそれぞれを設定した後、制御装置7は、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、吐出ノズル1より、基板Pの表面に複数の液滴Dを連続的に吐出する。
具体的には、制御装置7は、図6に示すように、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列された複数のエッジピクセルCeのそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。膜パターン形成領域10のエッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面に接触した後、基板Pの表面で濡れ拡がる。本実施形態においては、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する前の液滴Dの形状は、吐出方向(Z軸方向)に関してほぼ軸対称であり、基板Pの表面に接触した後の形状は、XY平面内においてほぼ円形状となる。一例として、基板Pの表面に接触した後の液滴Dの直径(所謂着弾径)は、約25μmである。
エッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dの少なくとも一部は、膜パターン形成領域10の外側まで濡れ拡がり、膜パターンFのエッジ(外形)を規定する。
エッジピクセルCeのそれぞれに液滴Dを吐出した後、制御装置7は、熱処理装置6等を用いて、基板Pの表面に形成された液滴Dの膜を乾燥させる。これにより、基板Pの表面に配置された液滴Dの膜の流動性が低下し、図7の模式図に示すように、基板Pの表面に固定される。
なお、例えば特開2005−28276号公報、特開2005−144324号公報等に開示されているように、基板Pの表面に配置された液滴Dの乾燥条件、対流条件等を調整して、エッジピクセルCeのそれぞれに吐出した液滴Dに、ピニング現象を生じさせるようにしてもよい。液滴Dの乾燥過程においては、液滴Dの周縁部における固形分濃度が飽和濃度に達すると、その周縁部において固形分が局所的に析出する。すると、その析出した固形分によって液滴Dの周縁部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴の収縮(外径の収縮)が抑制される。このような、周縁部に析出した固形分によって乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される現象(ピニング現象)を生じさせることによって、膜パターンFのエッジ(外形)を良好に規定することができる。
(工程SA4:第1領域に液滴を吐出)
次に、制御装置7は、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より吐出した液滴Dが第1領域11に供給されるように、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、図8に示すように、第1領域11を形成する第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続される。
本実施形態においては、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dが、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続されるように、第1領域11同士の距離(第1、第2距離D1、D2)、第1ピクセルC1の中心位置同士、及び第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴Dの量等が最適化されている。なお、制御装置7は、例えば特開2001−58433号公報等に開示されているように、吐出ヘッド2の駆動波形を調整することによって、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴の量を調整することができる。
本実施形態においては、制御装置7は、1つの第1領域11を構成する複数(4つ)の第1ピクセルC1のそれぞれに関して、液滴Dを順次吐出する。制御装置7は、吐出ヘッド2に対して基板Pを保持した基板ステージ3を走査方向(Y軸方向)に1回移動する毎に、1つの第1領域11を構成する4つの第1ピクセルC1のうち、1つの第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出する。そして、1つの第1領域11を構成する4つの第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出するために、制御装置7は、基板ステージ3を走査方向(Y軸方向)に4回移動し、その移動動作毎に、吐出ノズル1より液滴Dを基板Pの表面に吐出する。なお、制御装置7は、基板ステージ3の走査方向への1回の移動中に、複数(4つ)の第1ピクセルC1のそれぞれにほぼ同時に液滴Dを吐出してもよい。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、図9に示すように、所望の膜パターンFが形成される。
以上説明したように、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11を互いに離して複数設定し、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12を、第1領域11同士の間に、第1領域11のそれぞれを囲むように設定したので、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の膜パターンFを形成できる。
例えば、図10の模式図に示すように、液滴Dを吐出する第1位置11Dを、基板Pの表面において連続的に設定したり、均一な密度で設定したりした場合、基板Pの表面状態、あるいは機能液(液滴D)の物性等によっては、バルジ現象等の不具合が発生する可能性が高くなる。例えば、基板Pの表面エネルギーが小さい場合(撥液性が高い場合)、あるいは機能液(液滴D)の表面張力が大きい場合においては、基板Pの表面と液滴Dとが引き合う力よりも、互いに接する液滴D同士が表面張力によって引き合う力のほうが強くなる場合がある。この場合、機能液の液滴Dが基板Pの表面で良好に濡れ拡がらず、バルジ現象が発生し、均一な膜パターンFを形成できなくなる可能性がある。また、バルジ現象の発生に伴って、機能液が欠如する部分が生じ、基板Pの表面の一部が露出してしまう可能性もある。
本発明者は、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11を、互いに離して複数設定し、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12を、第1領域11同士の間に、第1領域11のそれぞれを囲むように設定することによって、第1位置11Dに吐出された液滴Dが、バルジ現象等を発生することなく、基板Pの表面において良好に濡れ拡がることを見出した。
したがって、本実施形態のように、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11を、互いに離して複数設定し、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12を、第1領域11同士の間に、第1領域11のそれぞれを囲むように設定することによって、バルジ現象等の発生を抑制しつつ、均一な厚みを有する所望の膜パターンFを形成できる。
また、本実施形態によれば、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、基板Pの表面に複数の液滴Dを吐出するので、膜パターンFの外形を良好に規定することができる。したがって、所望の膜パターンFを形成できる。
また、本実施形態においては、第1領域11のX軸方向の大きさとY軸方向の大きさとはほぼ等しく、第1距離D1と第2距離D2とはほぼ等しく、複数の第1領域11は、基板Pの表面に沿って2次元的に規則的に配列されているので、各第1領域11に吐出された液滴Dのそれぞれは、同心円状に拡がって、各第1領域11同士の間(中間点)でほぼ同時に接触する可能性が高くなる。これにより、互いに接する液滴D同士が引き合う力が抑制され、バルジ現象の発生が抑制できると考えられる。
また、本実施形態においては、1つの第1領域11は、複数(4つ)の第1ピクセルC1で形成されており、液滴Dを吐出する第1位置11D同士が密集している。このような構成の場合、図11の模式図に示すように、1つの第1領域11において、先に基板Pに吐出され、基板Pの表面で濡れ拡がった液滴Dの上に、次の液滴D’が吐出されることになる。先に基板Pに吐出された液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出することによって、その液滴D、D’の近傍の基板Pの表面エネルギーが高まる(親液性が高まる)現象が生じる。したがって、次の液滴D’(あるいはその次の液滴)は、親液性が付与された基板Pの表面で良好に濡れ拡がることができる。したがって、バルジ現象等の発生が抑制されると考えられる。なお、先に基板Pに吐出された液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出することによって、その液滴D、D’の近傍の基板Pの表面エネルギーが高まる(親液性が高まる)現象のメカニズムは、十分に解明されていないが、先に吐出された液滴Dの上に吐出される次の液滴D’によってもたらされる溶媒雰囲気が、基板Pの表面エネルギーを高める要因の一つと考えられる。
また、本実施形態においては、第1領域11のX軸、Y軸方向の大きさは、第1、第2距離D1、D2よりも大きく、基板Pの表面と平行なXY平面内における第1領域11の大きさに対して、各第1領域11同士の間隔である第1、第2距離D1、D2は小さい(狭い)。したがって、第1領域11同士の間において、上述のような、基板Pの表面エネルギーが高まる(親液性が高まる)現象が生じ易いので、より一層、バルジ現象等の発生が抑制される。また、XY平面内における第1領域11の大きさに対して、各第1領域11同士の間隔を狭くすることによって、各第1領域11に吐出された液滴Dが濡れ拡がって、第1領域11同士の間で互いに接続される際、高い平滑性(レベリング性)が得られ、均一な厚みを有する膜パターンFを形成できる。
なお、図12の模式図に示すように、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行してもよい。すなわち、ある第1ピクセルC1に液滴Dを吐出した後、その液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出してもよい。こうすることによっても、上述同様、その液滴D、D’の近傍の基板Pの表面エネルギーが高まる(親液性が高まる)現象が生じるので、バルジ現象等の発生が抑制される。
また、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、各吐出動作のそれぞれにおける液滴Dの量(体積)を変えても良い。例えば、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、最後に吐出する液滴Dの量を最も多くするようにしてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図13は、本実施形態に係る基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10、及びビットマップデータを示す図、図14は、図13の一部(破線ARで囲まれた部分)を拡大した図である。本実施形態においても、上述の第1実施形態と同様、図3に示すような膜パターンFを形成する場合を例にして説明する。
まず、膜パターンFの設計データが、入力装置8を介して、制御装置7に入力される。また、上述の第1実施形態と同様、制御装置7には、基板Pの表面状態、及び液滴Dの物性等に関するデータが入力装置8を介して入力される。制御装置7は、入力装置8を介して入力された、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び膜パターンFの設計データ等に基づいて、基板Pの表面に、膜パターン形成領域10を設定する。上述の第1実施形態と同様、膜パターン形成領域10は、設計データ上の膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、XY平面内において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)に設定される。
また、制御装置7は、少なくとも膜パターン形成領域10を含む基板Pの表面の所定領域を、複数のピクセルCで区画するとともに、ビットマップデータを作成する。
また、上述の第1実施形態と同様、本実施形態においても、制御装置7は、エッジピクセルCeのそれぞれを第1ピクセルCに設定する。
また、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側(エッジピクセルCeの内側)に、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12のそれぞれを設定する。すなわち、制御装置7は、膜パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、エッジピクセルCeの内側の複数のピクセルCのそれぞれを、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1、及び液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2のいずれか一方に設定する。
本実施形態においても、第1領域11は、パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCe)の内側において、互いに離れて複数設定され、第2領域12は、第1領域11同士の間に、第1領域11のそれぞれを囲むように設定される。
本実施形態においては、1つの第1領域11は、1つの第1ピクセルC1で形成されている。本実施形態においては、1つの第1領域11が1つの第1ピクセルC1によって形成されているので、液滴Dが吐出される第1位置11Dは、1つの第1領域11に対して1つ設定されている。
複数の第1領域11(第1ピクセルC1)は、基板Pの表面とほぼ平行なXY平面のX軸方向、及びXY平面においてX軸方向と直交するY軸方向のそれぞれに関して互いに離れて並べられる。複数の第1領域11(第1ピクセルC1)は、X軸方向に関して規則的に並べられるとともに、Y軸方向に関して規則的に並べられる。すなわち、本実施形態においても、複数の第1領域11(第1ピクセルC1)は、基板Pの表面に沿って2次元的に規則的に配列されている。
具体的には、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第1領域11(第1ピクセルC1)によって形成されたグループが、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられている。第1領域11は、X軸方向に関して第1距離D1ずつ等間隔で複数設定されるとともに、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ等間隔で複数設定される。
そして、液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2を含む第2領域12は、膜パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCe)の内側において、格子状に設定されている。
第1領域11(第1ピクセルC1)同士の間には、1つ分の第2ピクセルC2が設定される。すなわち、第1領域11同士の間の第1距離D1及び第2距離D2は、1つ分の第2ピクセルC2に対応した値であり、第1距離D1と第2距離D2とはほぼ等しい。
このように、本実施形態においても、各第1領域11のそれぞれは正方形状であるとともに、それら複数の第1領域11は、XY平面内において等間隔で規則的に設定されている。
上述のように、本実施形態においては、第1領域11のX軸方向の大きさは、1つ分の第1ピクセルC1に対応した値であり、第1距離D1と等しい。同様に、第1領域11のY軸方向の大きさは、第2距離D2と等しい。すなわち、本実施形態においては、XY平面内における第1領域11の大きさと、各第1領域11同士の間隔とは等しい。
次に、上述のように設定した膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12に基づいて、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、基板Pの表面に膜パターンFを形成する動作の一例について説明する。
上述の第1実施形態と同様、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するエッジピクセルCeのそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。エッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dの少なくとも一部は、膜パターン形成領域10の外側まで濡れ拡がり、膜パターンFのエッジ(外形)を規定する。
エッジピクセルCeのそれぞれに液滴Dを吐出した後、制御装置7は、熱処理装置6等を用いて、基板Pの表面に形成された液滴Dの膜を乾燥させる。
次に、制御装置7は、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より吐出した液滴Dが第1領域11に供給されるように、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、第1領域11を形成する第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続される。
本実施形態においても、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dが、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続されるように、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の距離、及び第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴Dの量等が最適化されている。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、所望の膜パターンFが形成される。
以上説明したように、本実施形態においても、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11は互いに離れて複数設定され、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12は、第1領域11同士の間に、第1領域11のそれぞれを囲むように設定されているので、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の膜パターンFを形成できる。
なお、本実施形態においても、図12を参照して説明したように、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行してもよい。すなわち、ある第1ピクセルC1に液滴Dを吐出した後、その液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出してもよい。また、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、各吐出動作のそれぞれにおける液滴Dの量(体積)を変えても良い。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図15は、本実施形態に係る基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10、及びビットマップデータの一部を拡大した図である。第3実施形態においても、上述の第1実施形態と同様、図3に示すような膜パターンFを形成する場合を例にして説明する。
上述の実施形態と同様、制御装置7は、膜パターン形成領域10を、複数のピクセルCで区画し、ビットマップデータを作成する。本実施形態においても、制御装置7は、エッジピクセルCeのそれぞれを、第1ピクセルC1に設定する。
また、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側(エッジピクセルCeの内側)に、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12のそれぞれを設定する。本実施形態においても、第1領域11は、膜パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCe)の内側において、互いに離れて複数設定され、第2領域12は、第1領域11同士の間に、第1領域11のそれぞれを囲むように設定される。
本実施形態においては、1つの第1領域11は、複数(4つ)の第1ピクセルC1で形成されている。本実施形態においては、1つの第1領域11が4つの第1ピクセルC1によって形成されているので、液滴Dが吐出される第1位置11Dは、1つの第1領域11について4つ設定されている。
複数の第1領域11は、基板Pの表面とほぼ平行なXY平面のX軸方向、及びXY平面においてX軸方向と直交するY軸方向のそれぞれに関して互いに離れて並べられる。複数の第1領域11は、X軸方向に関して規則的に並べられるとともに、Y軸方向に関して規則的に並べられる。すなわち、本実施形態においても、複数の第1領域11は、基板Pの表面に沿って2次元的に規則的に配列されている。
具体的には、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第1領域11によって形成されたグループが、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられている。第1領域11は、X軸方向に関して第1距離D1ずつ等間隔で複数設定されるとともに、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ等間隔で複数設定される。
そして、液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2を含む第2領域12は、膜パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCe)の内側において、格子状に設定されている。
第1領域11同士の間には、4つ分の第2ピクセルC2が設定される。すなわち、第1領域11同士の間の第1距離D1及び第2距離D2は、4つ分の第2ピクセルC2に対応した値であり、第1距離D1と第2距離D2とはほぼ等しい。
このように、本実施形態においても、各第1領域11のそれぞれは正方形状であるとともに、それら複数の第1領域11は、XY平面内において等間隔で配列されている。
本実施形態においては、第1領域11のX軸方向の大きさは、2つ分の第1ピクセルC1に対応した値であり、第1距離D1よりも小さい。また、第1領域11のY軸方向の大きさは、第2距離D2よりも小さい。すなわち、本実施形態においては、XY平面内における第1領域11の大きさに対して、各第1領域11同士の間隔は広い。
次に、上述のように設定した膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12に基づいて、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、基板Pの表面に膜パターンFを形成する動作の一例について説明する。
上述の第1、第2実施形態と同様、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するエッジピクセルCeのそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。エッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dの少なくとも一部は、膜パターン形成領域10の外側まで濡れ拡がり、膜パターンFのエッジ(外形)を規定する。
エッジピクセルCeのそれぞれに液滴Dを吐出した後、制御装置7は、熱処理装置6等を用いて、基板Pの表面に形成された液滴Dの膜を乾燥させる。
次に、制御装置7は、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より吐出した液滴Dが第1領域11に供給されるように、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、第1領域11を形成する第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
第1ピクセル11のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続される。
本実施形態においても、第1ピクセル11のそれぞれに吐出された液滴Dが、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続されるように、第1領域11同士の間の距離、及び第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴Dの量等が最適化されている。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、所望の膜パターンFが形成される。
以上説明したように、本実施形態においても、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11は互いに離れて複数設定され、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12は、第1領域11同士の間に、第1領域11のそれぞれを囲むように設定されているので、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の膜パターンFを形成できる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。上述の第1〜第3実施形態においては、第1領域11が正方形状である場合を例にして説明したが、第1領域11のX軸方向の大きさと、Y軸方向の大きさとが異なっていてもよい。例えば、第1領域11は、複数の第1ピクセルC1の組み合わせによって、長方形状であってもよい。この場合において、第1位置のそれぞれに吐出された液滴Dが基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士の間で互いに接続されるように、第1位置11Dのそれぞれに吐出する液滴Dの量(体積)を変えることができる。
また、図16に示すように、第1領域11は、複数の第1ピクセルC1の組み合わせによって、十字状であってもよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。上述の第1〜第4実施形態においては、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第1領域11によって形成されたグループが、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられているが、図17に示すように、例えば、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第1領域11によって形成されたグループが、X軸方向に関して、所定量だけ偏倚しつつ、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられてもよい。この場合においても、第1位置のそれぞれに吐出された液滴Dが基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士の間で互いに接続されるように、第1位置11Dのそれぞれに吐出する液滴Dの量(体積)を変えることができる。
なお、上述の第1〜第5実施形態においては、第1領域11同士のX軸方向の間隔(第1距離)D1と、Y軸方向の間隔(第2距離)D2とは等しいが、異なっていてもよい。この場合においても、第1位置のそれぞれに吐出された液滴Dが基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士の間で互いに接続されるように、第1位置11Dのそれぞれに吐出する液滴Dの量(体積)を変えることができる。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。
本実施形態においては、図18のフローチャートに示すように、形成しようとする膜パターンFを設計する工程SB1と、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域を設定するとともに、膜パターン形成領域のエッジの内側に、液滴Dを吐出する第1位置を含む第1領域、及び液滴Dを吐出しない第2位置を含む第2領域のそれぞれを設定する工程SB2と、設定した膜パターン形成領域、第1領域、及び第2領域に応じて基板Pの表面に液滴Dを吐出して、その基板Pの表面に所定の膜パターンFを形成する工程SB3、SB4と、が実行される。基板Pの表面に液滴Dを吐出する工程(SB3、SB4)は、設定した膜パターン形成領域のエッジに沿って基板Pの表面に複数の液滴Dを吐出する工程SB3と、設定した第1領域(第1位置)に液滴Dを吐出する工程SB4とを含む。以下、各工程SB1〜SB4毎に説明する。
(工程SB1:膜パターンの設計)
まず、形成しようとする膜パターンFの設計が行われる。膜パターンFの設計では、形成しようとする膜パターンFの大きさ、形状、及び厚み(膜厚)等が設定される。
本実施形態においては、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、最終的に、上述の第1実施形態と同様、図3に示すような膜パターンFを形成する場合を例にして説明する。上述のように、図3に示す膜パターンFは、基板Pの表面と平行な平面内(XY平面内)において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)であり、所定の厚み(例えば10μm)を有する。
(工程SB2:膜パターン形成領域、第1領域、及び第2領域の設定)
膜パターンFの設計が行われた後、その膜パターンFの設計データが、入力装置8を介して制御装置7に入力される。膜パターンFの設計データは、形成しようとする膜パターンFの大きさ、形状、及び厚み(膜厚)等に関するデータを含む。具体的には、膜パターンFの設計データは、形成しようとする膜パターンFの大きさ、形状、及び厚み等の目標値に関する情報を含む。
膜パターンFの設計データが入力された後、制御装置7は、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域10を設定する。制御装置7は、入力された膜パターンFの設計データに基づいて、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状(膜パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)を設定する。
図19は、本実施形態に係る基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10の一例を示す図、図20は、図19の一部(破線ARで囲まれた部分)を拡大した図である。
膜パターン形成領域10は、機能液の液滴Dが吐出(供給)され得る領域である。換言すれば、膜パターン形成領域10は、膜パターンFを形成するための液滴Dを吐出する動作を実行中の吐出ノズル1と対向する位置に配置される基板P上の領域である。所定の膜パターンFを形成するために、膜パターン形成領域10の内側の少なくとも一部には、吐出ノズル1からの液滴Dが吐出(供給)され、膜パターン形成領域10の外側には、吐出ノズル1からは液滴Dが吐出(供給)されない。
本実施形態においては、膜パターン形成領域10の内側に、液滴Dを吐出する第1位置11Dが複数設定される。本実施形態においては、制御装置7は、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの中心と、第1位置11Dとが合致するように、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
膜パターン形成領域10の内側に設定される複数の第1位置11Dのうち、膜パターン形成領域10のエッジ10eに最も近い第1位置11Deは、その第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10eとが対応するように(合致するように)、基板Pの表面に設定される。換言すれば、本実施形態においては、第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10eとが対応するように(合致するように)、膜パターン形成領域10が設定される。
膜パターン形成領域10は、設計データ上の膜パターンFに応じて定められる。図3、図19、及び図20に示すように、本実施形態においては、膜パターン形成領域10は、設計データ上の膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、XY平面内において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)に設定される。
膜パターン形成領域10は、その膜パターン形成領域10のエッジ10eが設計データ上の膜パターンFのエッジの内側でその膜パターンFのエッジに沿うように、且つ、膜パターン形成領域10のエッジ10eと設計データ上の膜パターンFのエッジとの距離が膜パターン形成領域10のエッジ10eの各位置においてほぼ等しくなるように、換言すれば、膜パターン形成領域10と設計データ上の膜パターンFとがほぼ相似関係となるように、設定される。
基板Pの表面に吐出(供給)され、基板Pの表面に接触した後の液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がる。したがって、制御装置7は、基板Pの表面に吐出(供給)され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、設計データに則した所望の膜パターンFが形成されるように、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状を設定する。
すなわち、膜パターン形成領域10のエッジ10e近傍に吐出され、基板Pの表面に接触した後の液滴Dの少なくとも一部は、基板Pの表面で濡れ拡がって、膜パターン形成領域10の外側に配置される。したがって、例えば膜パターン形成領域10のエッジ10e近傍に吐出ノズル1より液滴Dを吐出する場合において、制御装置7は、その膜パターン形成領域10のエッジ10e近傍の第1位置11Deに吐出され、膜パターン形成領域10の外側に濡れ拡がった後の液滴Dの外側のエッジが、設計データ上の膜パターンFのエッジに対応するように、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状(膜パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)を設定する。
すなわち、最終的に形成される膜パターンFは、基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10の内側に吐出され、基板Pの表面で濡れ拡がって、膜パターン形成領域10の外側に配置された液滴(機能液)も含む。したがって、制御装置7は、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、膜パターン形成領域10の大きさが、最終的に形成される設計データ上の膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、膜パターン形成領域10を設定する。
このように、膜パターンFは、その設定された膜パターン形成領域10(膜パターン形成領域10の第1位置11De)に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)に応じた大きさ及び形状を有するものとなる。膜パターン形成領域10は、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、設計データ上の膜パターンFに応じて設定される。
ここで、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)は、基板Pの表面状態、機能液(液滴D)の物性、及び吐出する液滴Dの量(大きさ、体積)等に応じて定まる。基板Pの表面状態は、液滴Dに対する基板Pの表面の接触角等を含み、機能液(液滴D)の物性は、機能液(液滴D)の表面張力等を含む。したがって、制御装置7は、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び吐出する液滴Dの量等を考慮して、所望の膜パターンFが形成されるように、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10を設定する。
具体的には、本実施形態においては、制御装置7は、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び吐出する液滴Dの量等を考慮して、所望の膜パターンFが形成されるように、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10の内側に設定される複数の第1位置11Dのうち、少なくとも膜パターン形成領域10のエッジ10eに最も近い第1位置11Deの位置(膜パターン形成領域10のエッジ10eと各第1位置11Deとの距離)を設定する。なお、上述のように、本実施形態においては、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの中心と、第1位置11D(11De)とが合致するように、吐出ノズル1より液滴Dが吐出されるとともに、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10eとが対応するように(合致するように)、第1位置11Deが設定されるので、膜パターン形成領域10のエッジ10eと第1位置11Deとの距離は、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの半径に相当する。
本実施形態においては、制御装置7には、膜パターンFの設計データに加えて、基板Pの表面状態(液滴Dに対する基板Pの表面の接触角等)、及び液滴Dの物性(表面張力等)に関するデータが入力装置8を介して入力される。制御装置7は、入力装置8を介して入力された、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び膜パターンFの設計データと、予め定められている吐出ノズル1より吐出する液滴Dの量とに基づいて、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状(膜パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)、ひいては第1位置11Deを設定する。
次に、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側に、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12を設定する。
本実施形態においては、第2領域12は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側において、互いに離れて複数設定され、第1領域11は、第2領域12同士の間に、各第2領域12のそれぞれを囲むように設定される。すなわち、本実施形態においては、液滴Dが吐出されない第2領域12は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側において、断続的に(島状に)複数設定される。
また、本実施形態においては、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、液滴Dを吐出する第1位置11Deが連続的に複数設定される。すなわち、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側を囲むように、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って第1位置11Deを枠状に設定する。
複数の第2領域12は、基板Pの表面とほぼ平行なXY平面のX軸方向、及びXY平面においてX軸方向と直交するY軸方向のそれぞれに関して互いに離れて並べられる。複数の第2領域12は、X軸方向に関して規則的に並べられるとともに、Y軸方向に関して規則的に並べられる。すなわち、複数の第2領域12は、基板Pの表面に沿って2次元的に規則的に配列されている。
具体的には、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第2領域12によって形成されたグループが、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられる。第2領域12は、X軸方向に関して第1距離D1ずつ等間隔で複数設定されるとともに、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ等間隔で複数設定される。
本実施形態においては、第2領域12のそれぞれは矩形状であって、第2領域12のX軸方向の大きさとY軸方向の大きさとはほぼ等しい。すなわち、本実施形態においては、第2領域12のそれぞれは、正方形状である。また、第1距離D1と第2距離D2とはほぼ等しい。
このように、本実施形態においては、各第2領域12のそれぞれは正方形状であるとともに、それら複数の第2領域12は、XY平面内において等間隔で規則的に設定されている。
そして、液滴Dが吐出される第1位置11Dを含む第1領域11は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側において、格子状に設定されている。
本実施形態においては、第2領域12のX軸方向の大きさは、第1距離D1よりも大きく、第2領域12のY軸方向の大きさは、第2距離D2よりも大きい。すなわち、本実施形態においては、第2領域12のXY方向に関する大きさに対して、各第2領域12同士の間隔は小さい(狭い)。
本実施形態においては、制御装置7は、少なくとも膜パターン形成領域10を含む基板Pの表面の所定領域を、複数のピクセルCで区画する。複数のピクセルCのそれぞれは、液滴Dを供給可能な領域を規定するものであって、液滴Dに応じた大きさを有する。ピクセルCは、X軸方向及びY軸方向に関してマトリクス状に複数設定される。膜パターン形成領域10は、液滴Dに応じた大きさをそれぞれ有し、マトリクス状に設定された仮想的な複数のピクセルCで区画される。
本実施形態においては、複数のピクセルCの組み合わせによって、膜パターン形成領域10が形成される。
本実施形態においては、複数のピクセルCのそれぞれは、正方形状であり、その1辺の長さは、例えば10μmに設定される。また、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの直径(所謂飛翔径)は、例えば10μmに設定される。すなわち、本実施形態においては、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、ピクセルCのエッジとが対応するように(合致するように)、ピクセルCが設定される。
なお、ピクセルCは、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジが、ピクセルCのエッジよりも僅かに内側に配置されるように設定されてもよい。すなわち、ピクセルCが液滴Dの飛翔径よりも僅かに大きくてもよい。例えばピクセルCの1辺が10μmであり、液滴Dの飛翔径が9μmであってもよい。
次に、制御装置7は、複数のピクセルCのそれぞれを、液滴Dを吐出するピクセル又は吐出しないピクセルのいずれか一方に設定する。
以下の説明において、吐出ノズル1より液滴Dが吐出(供給)されるピクセルを適宜、第1ピクセルC1、と称し、吐出ノズル1より液滴Dが吐出(供給)されないピクセルを適宜、第2ピクセルC2、と称する。
本実施形態においては、制御装置7は、ある1つの第1ピクセルC1に対して吐出ノズル1より液滴Dを吐出するとき、その第1ピクセルC1の中心と、吐出する液滴Dの中心とがほぼ合致するように、液滴Dを吐出する。すなわち、1つの第1ピクセルC1は、その中心に、液滴Dが吐出される第1位置11Dを1つ有する。また、1つの第2ピクセルC2は、その中心に、液滴Dが吐出されない第2位置12Dを1つ有する。
第1領域11は、第1ピクセルC1で形成され、第2領域12は、第2ピクセルC2で形成される。本実施形態においては、制御装置7は、膜パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのそれぞれを、第1ピクセルC1及び第2ピクセルC2のいずれか一方に設定することによって、膜パターン形成領域10の内側に、第1領域11及び第2領域12のそれぞれを設定する。すなわち、第1ピクセルC1の配列、及び/又は第2ピクセルC2の配列が決定されることによって、膜パターン形成領域10の内側に、複数の第1領域11、及び/又は第2領域12が設定される。
以下の説明において、第1領域11、及び/又は第2領域12を設定するために決定される、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1の配列情報、及び/又は液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2の配列情報を適宜、ビットマップデータ、と称する。
本実施形態においては、1つの第2領域12は、複数の第2ピクセルC2で形成される。本実施形態においては、1つの第2領域12は、X軸方向に並べられた2つの第2ピクセルC2のグループがY軸方向に関して2つ並べられることによって形成される。すなわち、本実施形態においては、1つの第2領域12は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに2つずつ並べられた、合計4つの第2ピクセルC2によって形成されている。したがって、第2領域12のX軸方向及びY軸方向それぞれの大きさは、2つ分の第2ピクセルC2の大きさに対応する。
上述のように、1つの第2ピクセルC2は、液滴Dが吐出されない第2位置12Dを1つ有している。本実施形態においては、1つの第2領域12が複数(4つ)の第2ピクセルC2によって形成されているので、液滴Dが吐出されない第2位置12Dは、1つの第2領域12に対して複数(4つ)設定される。
また、上述したように、1つの第2ピクセルC2は、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの大きさ(飛翔径)に応じた大きさを有し、1つの第2領域12は、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する直前の4つの液滴DのXY平面内における大きさ(4つの液滴Dの投影面積に相当する大きさ)を有する。
第1領域11は、複数の第1ピクセルC1で形成される。第1ピクセルC1のそれぞれは、4つの第2ピクセルC2で形成される第2領域12同士の間に、各第2領域12のそれぞれを囲むように設定される。第2領域12同士の間には、1つ分の第1ピクセルC1が設定される。したがって、第2領域12同士の間の第1距離D1及び第2距離D2は、1つ分の第1ピクセルC1の大きさに対応する。
上述のように、1つの第1ピクセルC1は、液滴Dが吐出される第1位置11Dを1つ有している。本実施形態においては、液滴Dが吐出される第1位置11Dを含む第1領域11は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側において、格子状に設定されており、その第1領域11は、格子状に並べられた複数の第1ピクセルC1によって形成されている。したがって、液滴Dが吐出される第1位置11Dは、膜パターン形成領域10の内側において、格子状に並べられている。
また、上述したように、本実施形態においては、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、液滴Dを吐出する第1位置11Deが連続的に複数設定される。本実施形態においては、膜パターン形成領域10は、複数のピクセルCで区画されるので、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するピクセルC(膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列されたピクセルC)のそれぞれが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。
以下の説明において、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成する複数のピクセル(膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列された複数のピクセル)のそれぞれを適宜、エッジピクセルCe、と称する。
したがって、本実施形態においては、エッジピクセルCeのそれぞれが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定され、各エッジピクセルCeそれぞれの中心に、第1位置11Deが設定される。そして、本実施形態においては、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1(エッジピクセルCe)が、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側を囲むように、枠状に設定される。
エッジピクセルCeは、設計データ上の膜パターンFのエッジの内側において、そのエッジピクセルCeと設計データ上の膜パターンFのエッジとの距離が、少なくともピクセルCの1つ分の大きさよりも小さくなるように設定される。エッジピクセルCeは、設計データ上の膜パターンFのエッジに沿って連続的に配列される。
本実施形態においては、エッジピクセルCeは、そのエッジピクセルCeの中心に設定された第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCeの外側のエッジ)とが対応するように(合致するように)、基板Pの表面に設定される。換言すれば、本実施形態においては、第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、エッジピクセルCeの外側のエッジとが対応するように(合致するように)、エッジピクセルCeが設定される。
また、本実施形態においては、エッジピクセルCeに吐出ノズル1より液滴Dを吐出する場合において、その膜パターン形成領域10の外側に濡れ拡がった後の液滴Dのエッジが、設計データ上の膜パターンFのエッジに対応するように、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するエッジピクセルCeが設定される。
そして、膜パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、エッジピクセルCeの内側の複数のピクセルCのそれぞれが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1、及び液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2のいずれか一方に設定される。
なお、ここでは、制御装置7が、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12のそれぞれを設定しているが、形成装置IJに、制御装置7とは別の所定の処理装置(演算装置)を設け、その処理装置(演算装置)が、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12のそれぞれを設定してもよい。また、形成装置IJ以外の所定の処理装置(演算装置)が、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12のそれぞれを設定してもよい。
(工程SB3:膜パターン形成領域のエッジに沿って液滴を吐出)
次に、上述のように設定した膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って基板Pの表面に複数の液滴Dを吐出する動作が実行される。
上述のように、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域10を設定するとともに、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側に、液滴Dを吐出する第1位置11D、11De(第1ピクセルC1)を含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12D(第2ピクセルC2)を含む第2領域12のそれぞれを設定した後、制御装置7は、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、吐出ノズル1より、基板Pの表面に複数の液滴Dを連続的に吐出する。
具体的には、制御装置7は、図21に示すように、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列された複数のエッジピクセルCeのそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。膜パターン形成領域10のエッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面に接触した後、基板Pの表面で濡れ拡がる。本実施形態においては、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する前の液滴Dの形状は、吐出方向(Z軸方向)に関してほぼ軸対称であり、基板Pの表面に接触した後の形状は、XY平面内においてほぼ円形状となる。一例として、基板Pの表面に接触した後の液滴Dの直径(所謂着弾径)は、約25μmである。
エッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dの少なくとも一部は、膜パターン形成領域10の外側まで濡れ拡がり、膜パターンFのエッジ(外形)を規定する。
エッジピクセルCeのそれぞれに液滴Dを吐出した後、制御装置7は、熱処理装置6等を用いて、基板Pの表面に形成された液滴Dの膜を乾燥させる。これにより、基板Pの表面に配置された液滴Dの膜の流動性が低下し、図22の模式図に示すように、基板Pの表面に固定される。
なお、例えば特開2005−28276号公報、特開2005−144324号公報等に開示されているように、基板Pの表面に配置された液滴Dの乾燥条件、対流条件等を調整して、エッジピクセルCeのそれぞれに吐出した液滴Dに、ピニング現象を生じさせるようにしてもよい。液滴Dの乾燥過程においては、液滴Dの周縁部における固形分濃度が飽和濃度に達すると、その周縁部において固形分が局所的に析出する。すると、その析出した固形分によって液滴Dの周縁部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴の収縮(外径の収縮)が抑制される。このような、周縁部に析出した固形分によって乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される現象(ピニング現象)を生じさせることによって、膜パターンFのエッジ(外形)を良好に規定することができる。
(工程SB4:第1領域に液滴を吐出)
次に、制御装置7は、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より吐出した液滴Dが第1領域11に供給されるように、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、図23に示すように、第1領域11を形成する第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続される。
本実施形態においては、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dが、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続されるように、第1領域11同士の距離(第1、第2距離D1、D2)、第1ピクセルC1の中心位置同士、及び第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴Dの量等が最適化されている。なお、制御装置7は、例えば特開2001−58433号公報等に開示されているように、吐出ヘッド2の駆動波形を調整することによって、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴の量を調整することができる。
本実施形態においては、制御装置7は、第1領域11を構成する複数の第1ピクセルC1のそれぞれに関して、液滴Dを順次吐出する。制御装置7は、吐出ヘッド2に対して基板Pを保持した基板ステージ3を走査方向(Y軸方向)に移動する毎に、第1領域11を構成する複数の第1ピクセルC1のうち、所定数の第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出する。そして、その第1領域11を構成する複数の第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出するために、制御装置7は、基板ステージ3を走査方向(Y軸方向)への移動動作を繰り返し、その移動動作毎に、吐出ノズル1より液滴Dを基板Pの表面に吐出する。なお、制御装置7は、基板ステージ3の走査方向への1回の移動中に、第1領域11を構成する複数の(全部の)第1ピクセルC1のそれぞれにほぼ同時に液滴Dを吐出してもよい。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、図24に示すように、所望の膜パターンFが形成される。
以上説明したように、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12を互いに離して複数設定し、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11を、第2領域12同士の間に、第2領域12のそれぞれを囲むように設定したので、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の膜パターンFを形成できる。
例えば、図10の模式図に示すように、液滴Dを吐出する第1位置11Dを、基板Pの表面において連続的に設定したり、均一な密度で設定したりした場合、基板Pの表面状態、あるいは機能液(液滴D)の物性等によっては、バルジ現象等の不具合が発生する可能性が高くなる。例えば、基板Pの表面エネルギーが小さい場合(撥液性が高い場合)、あるいは機能液(液滴D)の表面張力が大きい場合においては、基板Pの表面と液滴Dとが引き合う力よりも、互いに接する液滴D同士が表面張力によって引き合う力のほうが強くなる場合がある。この場合、機能液の液滴Dが基板Pの表面で良好に濡れ拡がらず、バルジ現象が発生し、均一な膜パターンFを形成できなくなる可能性がある。また、バルジ現象の発生に伴って、機能液が欠如する部分が生じ、基板Pの表面の一部が露出してしまう可能性もある。
本発明者は、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12を、互いに離して複数設定し、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11を、第2領域12同士の間に、第2領域12のそれぞれを囲むように設定することによって、第1位置11Dに吐出された液滴Dが、バルジ現象等を発生することなく、基板Pの表面において良好に濡れ拡がることを見出した。
したがって、本実施形態のように、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12を、互いに離して複数設定し、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11を、第2領域12同士の間に、第2領域12のそれぞれを囲むように設定することによって、バルジ現象等の発生を抑制しつつ、均一な厚みを有する所望の膜パターンFを形成できる。
また、本実施形態によれば、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、基板Pの表面に複数の液滴Dを吐出するので、膜パターンFの外形を良好に規定することができる。したがって、所望の膜パターンFを形成できる。
また、本実施形態においては、第2領域12のX軸方向の大きさとY軸方向の大きさとはほぼ等しく、第1距離D1と第2距離D2とはほぼ等しく、複数の第2領域12は、基板Pの表面に沿って2次元的に規則的に配列されているので、各第1領域11に吐出された液滴Dのそれぞれは、同心円状に拡がって、各第1領域11同士の間(中間点)でほぼ同時に接触する可能性が高くなる。これにより、互いに接する液滴D同士が引き合う力が抑制され、バルジ現象の発生が抑制できると考えられる。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図25は、本実施形態に係る基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10、及びビットマップデータを示す図、図26は、図25の一部(破線ARで囲まれた部分)を拡大した図である。本実施形態においても、上述の第6実施形態と同様、図3に示すような膜パターンFを形成する場合を例にして説明する。
まず、膜パターンFの設計データが、入力装置8を介して、制御装置7に入力される。また、上述の第6実施形態と同様、制御装置7には、基板Pの表面状態、及び液滴Dの物性等に関するデータが入力装置8を介して入力される。制御装置7は、入力装置8を介して入力された、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び膜パターンFの設計データ等に基づいて、基板Pの表面に、膜パターン形成領域10を設定する。上述の第1実施形態と同様、膜パターン形成領域10は、設計データ上の膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、XY平面内において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)に設定される。
また、制御装置7は、膜パターン形成領域10を、複数のピクセルCで区画するとともに、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1の配列情報、すなわちビットマップデータを作成する。
また、上述の第6実施形態と同様、本実施形態においても、制御装置7は、エッジピクセルCeのそれぞれを第1ピクセルCに設定する。
また、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側(エッジピクセルCeの内側)に、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12のそれぞれを設定する。すなわち、制御装置7は、膜パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、エッジピクセルCeの内側の複数のピクセルCのそれぞれを、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1、及び液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2のいずれか一方に設定する。
本実施形態においても、第2領域12は、パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCe)の内側において、互いに離れて複数設定され、第1領域11は、第2領域12同士の間に、第2領域12のそれぞれを囲むように設定される。
本実施形態においては、1つの第2領域12は、複数の第2ピクセルC2で形成される。本実施形態においては、1つの第2領域12は、X軸方向に並べられた2つの第2ピクセルC2のグループがY軸方向に関して2つ並べられることによって形成される。すなわち、本実施形態においては、1つの第2領域12は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに2つずつ並べられた、合計4つの第2ピクセルC2によって形成されている。したがって、第2領域12のX軸方向及びY軸方向それぞれの大きさは、2つ分の第2ピクセルC2の大きさに対応する。
複数の第2領域12は、基板Pの表面とほぼ平行なXY平面のX軸方向、及びXY平面においてX軸方向と直交するY軸方向のそれぞれに関して互いに離れて並べられる。複数の第2領域12は、X軸方向に関して規則的に並べられるとともに、Y軸方向に関して規則的に並べられる。すなわち、本実施形態においても、複数の第2領域12は、基板Pの表面に沿って2次元的に規則的に配列されている。
具体的には、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第2領域12によって形成されたグループが、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられている。第2領域12は、X軸方向に関して第1距離D1ずつ等間隔で複数設定されるとともに、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ等間隔で複数設定される。
第1領域11は、複数の第1ピクセルC1で形成される。第1ピクセルC1のそれぞれは、4つの第2ピクセルC2で形成される第2領域12同士の間に、各第2領域12のそれぞれを囲むように設定される。第2領域12同士の間には、2つ分の第1ピクセルC1が設定される。したがって、第2領域12同士の間の第1距離D1及び第2距離D2は、2つ分の第1ピクセルC1の大きさに対応する。また、第1距離D1と第2距離D2とはほぼ等しい。
このように、本実施形態においても、各第2領域12のそれぞれは正方形状であるとともに、それら複数の第2領域12は、XY平面内において等間隔で規則的に設定されている。
上述のように、本実施形態においては、第2領域12のX軸方向の大きさは、2つ分の第2ピクセルC2に対応した値であり、第1距離D1と等しい。同様に、第2領域12のY軸方向の大きさは、第2距離D2と等しい。すなわち、本実施形態においては、XY平面内における第2領域12の大きさと、各第2領域12同士の間隔とは等しい。
上述の実施形態と同様、1つの第1ピクセルC1は、液滴Dが吐出される第1位置11Dを1つ有している。本実施形態においては、液滴Dが吐出される第1位置11Dを含む第1領域11は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側において、格子状に設定されており、その第1領域11は、格子状に並べられた複数の第1ピクセルC1によって形成されている。したがって、液滴Dが吐出される第1位置11Dは、膜パターン形成領域10の内側において、格子状に並べられている。
また、上述の実施形態と同様、本実施形態においては、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、液滴Dを吐出する第1位置11Deが連続的に複数設定される。本実施形態においては、膜パターン形成領域10は、複数のピクセルCで区画されるので、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するピクセルC(膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列されたピクセルC)のそれぞれが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。
次に、上述のように設定した膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12に基づいて、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、基板Pの表面に膜パターンFを形成する動作の一例について説明する。
上述の第6実施形態と同様、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するエッジピクセルCeのそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。エッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dの少なくとも一部は、膜パターン形成領域10の外側まで濡れ拡がり、膜パターンFのエッジ(外形)を規定する。
エッジピクセルCeのそれぞれに液滴Dを吐出した後、制御装置7は、熱処理装置6等を用いて、基板Pの表面に形成された液滴Dの膜を乾燥させる。
次に、制御装置7は、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より吐出した液滴Dが第1領域11に供給されるように、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、第1領域11を形成する第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続される。
本実施形態においても、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dが、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続されるように、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の距離、及び第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴Dの量等が最適化されている。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、所望の膜パターンFが形成される。
以上説明したように、本実施形態においても、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12は互いに離れて複数設定され、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11は、第2領域12同士の間に、第2領域12のそれぞれを囲むように設定されているので、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の膜パターンFを形成できる。
また、本実施形態においては、第2領域12同士の間の第1領域11は、2つ分の第1ピクセルC1で形成されており、液滴Dを吐出する第1位置11D同士が密集している。このような構成の場合、図11の模式図に示すように、1つの第1領域11において、先に基板Pに吐出され、基板Pの表面で濡れ拡がった液滴Dの上に、次の液滴D’が吐出されることになる。先に基板Pに吐出された液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出することによって、その液滴D、D’の近傍の基板Pの表面エネルギーが高まる(親液性が高まる)現象が生じる。したがって、次の液滴D’(あるいはその次の液滴)は、親液性が付与された基板Pの表面で良好に濡れ拡がることができる。したがって、バルジ現象等の発生が抑制されると考えられる。なお、先に基板Pに吐出された液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出することによって、その液滴D、D’の近傍の基板Pの表面エネルギーが高まる(親液性が高まる)現象のメカニズムは、十分に解明されていないが、先に吐出された液滴Dの上に吐出される次の液滴D’によってもたらされる溶媒雰囲気が、基板Pの表面エネルギーを高める要因の一つと考えられる。
なお、上述の第6、第7実施形態において、図12の模式図に示すように、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行してもよい。すなわち、ある第1ピクセルC1に液滴Dを吐出した後、その液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出してもよい。こうすることによっても、上述同様、その液滴D、D’の近傍の基板Pの表面エネルギーが高まる(親液性が高まる)現象が生じるので、バルジ現象等の発生が抑制される。
また、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、各吐出動作のそれぞれにおける液滴Dの量(体積)を変えても良い。例えば、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、最後に吐出する液滴Dの量を最も多くするようにしてもよい。
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図27は、本実施形態に係る基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10、及びビットマップデータを示す図、図28は、図27の一部(破線ARで囲まれた部分)を拡大した図である。第8実施形態においても、上述の第6、第7実施形態と同様、図3に示すような膜パターンFを形成する場合を例にして説明する。
まず、膜パターンFの設計データが、入力装置8を介して、制御装置7に入力される。また、上述の第6実施形態と同様、制御装置7には、基板Pの表面状態、及び液滴Dの物性等に関するデータが入力装置8を介して入力される。制御装置7は、入力装置8を介して入力された、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び膜パターンFの設計データ等に基づいて、基板Pの表面に、膜パターン形成領域10を設定する。上述の第6、第7実施形態と同様、膜パターン形成領域10は、最終的に形成される膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、XY平面内において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)に設定される。
また、制御装置7は、膜パターン形成領域10を、複数のピクセルCで区画するとともに、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1の配列情報、すなわちビットマップデータを作成する。
また、上述の第6、第7実施形態と同様、本実施形態においても、制御装置7は、エッジピクセルCeのそれぞれを第1ピクセルCに設定する。
また、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側(エッジピクセルCeの内側)に、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12のそれぞれを設定する。すなわち、制御装置7は、膜パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、エッジピクセルCeの内側の複数のピクセルCのそれぞれを、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1、及び液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2のいずれか一方に設定する。
本実施形態においても、第2領域12は、パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCe)の内側において、互いに離れて複数設定され、第1領域11は、第2領域12同士の間に、第2領域12のそれぞれを囲むように設定される。
本実施形態においては、1つの第2領域12は、1つの第2ピクセルC2で形成されている。本実施形態においては、1つの第2領域12が1つの第2ピクセルC2によって形成されているので、液滴Dが吐出されない第2位置12Dは、1つの第2領域12について1つ設定されている。
複数の第2領域12(第2ピクセルC2)は、基板Pの表面とほぼ平行なXY平面のX軸方向、及びXY平面においてX軸方向と直交するY軸方向のそれぞれに関して互いに離れて並べられる。複数の第2領域12(第2ピクセルC2)は、X軸方向に関して規則的に並べられるとともに、Y軸方向に関して規則的に並べられる。すなわち、本実施形態においても、複数の第2領域12(第2ピクセルC2)は、基板Pの表面に沿って2次元的に規則的に配列されている。
具体的には、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第2領域12(第2ピクセルC2)によって形成されたグループが、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられている。第2領域12は、X軸方向に関して第1距離D1ずつ等間隔で複数設定されるとともに、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ等間隔で複数設定される。
そして、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1を含む第1領域11は、膜パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCe)の内側において、格子状に設定されている。
第2領域12(第2ピクセルC2)同士の間には、1つ分の第1ピクセルC1が設定される。すなわち、第2領域12同士の間の第1距離D1及び第2距離D2は、1つ分の第1ピクセルC1に対応した値であり、第1距離D1と第2距離D2とはほぼ等しい。
このように、本実施形態においても、各第2領域12のそれぞれは正方形状であるとともに、それら複数の第2領域12は、XY平面内において等間隔で規則的に設定されている。
上述のように、本実施形態においては、第2領域12のX軸方向の大きさは、1つ分の第2ピクセルC2に対応した値であり、第1距離D1と等しい。同様に、第2領域12のY軸方向の大きさは、第2距離D2と等しい。すなわち、本実施形態においては、XY平面内における第2領域12の大きさと、各第2領域12同士の間隔とは等しい。
次に、上述のように設定した膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12に基づいて、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、基板Pの表面に膜パターンFを形成する動作の一例について説明する。
上述の第6、第7実施形態と同様、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するエッジピクセルCeのそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。エッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dの少なくとも一部は、膜パターン形成領域10の外側まで濡れ拡がり、膜パターンFのエッジ(外形)を規定する。
エッジピクセルCeのそれぞれに液滴Dを吐出した後、制御装置7は、熱処理装置6等を用いて、基板Pの表面に形成された液滴Dの膜を乾燥させる。
次に、制御装置7は、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より吐出した液滴Dが第1領域11に供給されるように、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、第1領域11を形成する第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続される。
本実施形態においても、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dが、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続されるように、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の距離、及び第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴Dの量等が最適化されている。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、所望の膜パターンFが形成される。
以上説明したように、本実施形態においても、液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12は互いに離れて複数設定され、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11は、第2領域12同士の間に、第2領域12のそれぞれを囲むように設定されているので、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の膜パターンFを形成できる。
なお、本実施形態においても、図12を参照して説明したように、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行してもよい。すなわち、ある第1ピクセルC1に液滴Dを吐出した後、その液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出してもよい。また、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、各吐出動作のそれぞれにおける液滴Dの量(体積)を変えても良い。
<第9実施形態>
次に、第9実施形態について説明する。上述の第6〜第8実施形態においては、第2領域12が正方形状である場合を例にして説明したが、第2領域12のX軸方向の大きさと、Y軸方向の大きさとが異なっていてもよい。例えば、第2領域12は、複数の第2ピクセルC2の組み合わせによって、長方形状であってもよい。この場合において、第1領域11の第1位置11Dのそれぞれに吐出された液滴Dが基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士の間で互いに接続されるように、第1位置11Dのそれぞれに吐出する液滴Dの量(体積)を変えることができる。
また、例えば図29に示すように、第2領域12は、複数の第2ピクセルC2の組み合わせによって、十字状であってもよい。
<第10実施形態>
次に、第10実施形態について説明する。上述の第6〜第9実施形態においては、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第2領域12によって形成されたグループが、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられているが、図30に示すように、例えば、X軸方向に関して第1距離D1ずつ離れて並べられた複数の第1領域11によって形成されたグループが、X軸方向に関して、所定量だけ偏倚しつつ、Y軸方向に関して第2距離D2ずつ離れて複数並べられてもよい。この場合においても、第1位置のそれぞれに吐出された液滴Dが基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士の間で互いに接続されるように、第1位置11Dのそれぞれに吐出する液滴Dの量(体積)を変えることができる。
なお、上述の第6〜第10実施形態においては、第2領域12同士のX軸方向の間隔(第1距離)D1と、Y軸方向の間隔(第2距離)D2とは等しいが、異なっていてもよい。この場合においても、第1位置11Dのそれぞれに吐出された液滴Dが基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士の間で互いに接続されるように、第1位置11Dのそれぞれに吐出する液滴Dの量(体積)を変えることができる。
<第11実施形態>
次に、第11実施形態について説明する。
本実施形態においては、図31のフローチャートに示すように、形成しようとする膜パターンFを設計する工程SC1と、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域を設定するとともに、膜パターン形成領域のエッジの内側に、液滴Dを吐出する第1位置を含む第1領域、及び液滴Dを吐出しない第2位置を含む第2領域のそれぞれを設定する工程SC2と、設定した膜パターン形成領域、第1領域、及び第2領域に応じて基板Pの表面に液滴Dを吐出して、その基板Pの表面に所定の膜パターンFを形成する工程SC3と、が実行される。以下、各工程SC1〜SC3毎に説明する。
(工程SC1:膜パターンの設計)
まず、形成しようとする膜パターンFの設計が行われる。膜パターンFの設計では、形成しようとする膜パターンFの大きさ、形状、及び厚み(膜厚)等が設定される。
本実施形態においては、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、第1実施形態と同様、最終的に、図3に示すような膜パターンFを形成する場合を例にして説明する。図3に示す膜パターンFは、基板Pの表面と平行な平面内(XY平面内)において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)であり、所定の厚み(例えば10μm)を有する。
(工程SC2:膜パターン形成領域、第1領域、及び第2領域の設定)
膜パターンFの設計が行われた後、その膜パターンFの設計データが、入力装置8を介して制御装置7に入力される。膜パターンFの設計データは、形成しようとする膜パターンFの大きさ、形状、及び厚み(膜厚)等に関するデータを含む。具体的には、膜パターンFの設計データは、形成しようとする膜パターンFの大きさ、形状、及び厚み等の目標値に関する情報を含む。
膜パターンFの設計データが入力された後、制御装置7は、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域10を設定する。制御装置7は、入力された膜パターンFの設計データに基づいて、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状(膜パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)を設定する。
図32は、本実施形態に係る基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10の一例を示す図、図33は、図32の一部(破線ARで囲まれた部分)を拡大した図である。
膜パターン形成領域10は、機能液の液滴Dが吐出(供給)され得る領域である。換言すれば、膜パターン形成領域10は、膜パターンFを形成するための液滴Dを吐出する動作を実行中の吐出ノズル1と対向する位置に配置される基板P上の領域である。所定の膜パターンFを形成するために、膜パターン形成領域10の内側の少なくとも一部には、吐出ノズル1からの液滴Dが吐出(供給)され、膜パターン形成領域10の外側には、吐出ノズル1からは液滴Dが吐出(供給)されない。
本実施形態においては、膜パターン形成領域10の内側に、液滴Dを吐出する第1位置11Dが複数設定される。本実施形態においては、制御装置7は、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの中心と、第1位置11Dとが合致するように、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
膜パターン形成領域10の内側に設定される複数の第1位置11Dのうち、膜パターン形成領域10のエッジ10eに最も近い第1位置11Deは、その第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10eとが対応するように(合致するように)、基板Pの表面に設定される。換言すれば、本実施形態においては、第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10eとが対応するように(合致するように)、膜パターン形成領域10が設定される。
膜パターン形成領域10は、設計データ上の膜パターンFに応じて定められる。図3、図32、及び図33に示すように、本実施形態においては、膜パターン形成領域10は、設計データ上の膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、XY平面内において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)に設定される。
膜パターン形成領域10は、その膜パターン形成領域10のエッジ10eが設計データ上の膜パターンFのエッジの内側でその膜パターンFのエッジに沿うように、且つ、膜パターン形成領域10のエッジ10eと設計データ上の膜パターンFのエッジとの距離が膜パターン形成領域10のエッジ10eの各位置においてほぼ等しくなるように、換言すれば、膜パターン形成領域10と設計データ上の膜パターンFとがほぼ相似関係となるように、設定される。
基板Pの表面に吐出(供給)され、基板Pの表面に接触した後の液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がる。したがって、制御装置7は、基板Pの表面に吐出(供給)され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、設計データに則した所望の膜パターンFが形成されるように、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状を設定する。
すなわち、膜パターン形成領域10のエッジ10e近傍に吐出され、基板Pの表面に接触した後の液滴Dの少なくとも一部は、基板Pの表面で濡れ拡がって、膜パターン形成領域10の外側に配置される。したがって、例えば膜パターン形成領域10のエッジ10e近傍に吐出ノズル1より液滴Dを吐出する場合において、制御装置7は、その膜パターン形成領域10のエッジ10e近傍の第1位置11Deに吐出され、膜パターン形成領域10の外側に濡れ拡がった後の液滴Dの外側のエッジが、設計データ上の膜パターンFのエッジに対応するように、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状(膜パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)を設定する。
すなわち、最終的に形成される膜パターンFは、基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10の内側に吐出され、基板Pの表面で濡れ拡がって、膜パターン形成領域10の外側に配置された液滴(機能液)も含む。したがって、制御装置7は、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、膜パターン形成領域10の大きさが、最終的に形成される設計データ上の膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、膜パターン形成領域10を設定する。
このように、膜パターンFは、その設定された膜パターン形成領域10に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)に応じた大きさ及び形状を有するものとなる。膜パターン形成領域10は、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、設計データ上の膜パターンFに応じて設定される。
ここで、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)は、基板Pの表面状態、機能液(液滴D)の物性、及び吐出する液滴Dの量(大きさ、体積)等に応じて定まる。基板Pの表面状態は、液滴Dに対する基板Pの表面の接触角等を含み、機能液(液滴D)の物性は、機能液(液滴D)の表面張力等を含む。したがって、制御装置7は、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び吐出する液滴Dの量等を考慮して、所望の膜パターンFが形成されるように、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10を設定する。
具体的には、本実施形態においては、制御装置7は、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び吐出する液滴Dの量等を考慮して、所望の膜パターンFが形成されるように、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10の内側に設定される複数の第1位置11Dのうち、少なくとも膜パターン形成領域10のエッジ10eに最も近い第1位置11Deの位置(膜パターン形成領域10のエッジ10eと各第1位置11Deとの距離)を設定する。なお、上述のように、本実施形態においては、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの中心と、第1位置11D(11De)とが合致するように、吐出ノズル1より液滴Dが吐出されるとともに、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10eとが対応するように(合致するように)、第1位置11Deが設定されるので、膜パターン形成領域10のエッジ10eと第1位置11Deとの距離は、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの半径に相当する。
本実施形態においては、制御装置7には、膜パターンFの設計データに加えて、基板Pの表面状態(液滴Dに対する基板Pの表面の接触角等)、及び液滴Dの物性(表面張力等)に関するデータが入力装置8を介して入力される。制御装置7は、入力装置8を介して入力された、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び膜パターンFの設計データと、予め定められている吐出ノズル1より吐出する液滴Dの量とに基づいて、膜パターン形成領域10の大きさ及び形状(膜パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)、ひいては第1位置11Deを設定する。
次に、制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側に、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12を設定する。
本実施形態においては、第1領域11及び第2領域12のそれぞれは、基板Pの表面においてY軸方向を長手方向とするライン状の領域に設定されるとともに、X軸方向に関して複数交互に並ぶように設定される。
本実施形態においては、1つの第1領域11の長手方向の両端(+Y側の端、−Y側の端)のそれぞれは、膜パターン形成領域10のエッジ10eに設定される。すなわち、第1領域11は、Y軸方向に関して膜パターン形成領域10の一端から他端まで延びるように設定される。
複数の第1領域11は、X軸方向に関して互いに離れて規則的に並べられる。本実施形態においては、Y軸方向を長手方向とする第1領域11のそれぞれは、X軸方向に関して第1距離D1ずつ等間隔で複数設定される。そして、それら第1領域11同士の間に、Y軸方向を長手方向とする第2領域12が設定される。
本実施形態においては、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)は、第1距離D1と等しい。本実施形態においては、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)と、第1領域11同士の間の第1距離D1とは等価であるため、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)と、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)とは等しい。
本実施形態においては、制御装置7は、少なくとも膜パターン形成領域10を含む基板Pの表面の所定領域を、複数のピクセルCで区画する。複数のピクセルCのそれぞれは、液滴Dを供給可能な領域を規定するものであって、液滴Dに応じた大きさを有する。ピクセルCは、X軸方向及びY軸方向に関してマトリクス状に複数設定される。膜パターン形成領域10は、液滴Dに応じた大きさをそれぞれ有し、マトリクス状に設定された仮想的な複数のピクセルCで区画される。
本実施形態においては、複数のピクセルCの組み合わせによって、膜パターン形成領域10が形成される。
本実施形態においては、複数のピクセルCのそれぞれは、正方形状であり、その1辺の長さは、例えば10μmに設定される。また、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの直径(所謂飛翔径)は、例えば10μmに設定される。すなわち、本実施形態においては、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、ピクセルCのエッジとが対応するように(合致するように)、ピクセルCが設定される。
なお、ピクセルCは、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジが、ピクセルCのエッジよりも僅かに内側に配置されるように設定されてもよい。すなわち、ピクセルCが液滴Dの飛翔径よりも僅かに大きくてもよい。例えばピクセルCの1辺が10μmであり、液滴Dの飛翔径が9μmであってもよい。
次に、制御装置7は、複数のピクセルCのそれぞれを、液滴Dを吐出するピクセル又は吐出しないピクセルのいずれか一方に設定する。
以下の説明において、吐出ノズル1より液滴Dが吐出(供給)されるピクセルを適宜、第1ピクセルC1、と称し、吐出ノズル1より液滴Dが吐出(供給)されないピクセルを適宜、第2ピクセルC2、と称する。
本実施形態においては、制御装置7は、ある1つの第1ピクセルC1に対して吐出ノズル1より液滴Dを吐出するとき、その第1ピクセルC1の中心と、吐出する液滴Dの中心とがほぼ合致するように、液滴Dを吐出する。すなわち、1つの第1ピクセルC1は、その中心に、液滴Dが吐出される第1位置11Dを1つ有する。
第1領域11は、第1ピクセルC1で形成され、第2領域12は、第2ピクセルC2で形成される。本実施形態においては、制御装置7は、膜パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのそれぞれを、第1ピクセルC1及び第2ピクセルC2のいずれか一方に設定することによって、膜パターン形成領域10の内側に、第1領域11及び第2領域12のそれぞれを設定する。すなわち、第1ピクセルC1の配列、及び/又は第2ピクセルC2の配列が決定されることによって、膜パターン形成領域10の内側に、複数の第1領域11、及び/又は第2領域12が設定される。
以下の説明において、第1領域11、及び/又は第2領域12を設定するために決定される、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1の配列情報、及び/又は液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2の配列情報を適宜、ビットマップデータ、と称する。
本実施形態においては、1つの第1領域11は、Y軸方向に並ぶ複数の第1ピクセルC1によって形成される。本実施形態においては、1つの第1領域11は、X軸方向に関して1つ分の第1ピクセルC1が、Y軸方向に関して複数並べられることによって形成される。したがって、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)は、1つ分の第1ピクセルC1の大きさに対応する。
同様に、本実施形態においては、1つの第2領域12は、Y軸方向に並ぶ複数の第2ピクセルC2によって形成される。本実施形態においては、1つの第2領域12は、X軸方向に関して1つ分の第2ピクセルC2が、Y軸方向に関して複数並べられることによって形成される。したがって、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)は、1つ分の第2ピクセルC2の大きさに対応する。
上述のように、1つの第1ピクセルC1は、液滴Dが吐出される第1位置11Dを1つ有している。本実施形態においては、1つの第1領域11が、Y軸方向に並ぶ複数の第1ピクセルC1によって形成されているので、液滴Dが吐出される第1位置11Dは、1つの第1領域11について、Y軸方向に沿って複数設定される。
また、上述したように、1つの第1ピクセルC1は、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴Dの大きさ(飛翔径)に応じた大きさを有し、1つの第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)は、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する直前の1つの液滴DのXY平面内におけるX軸方向の大きさを有する。
また、上述したように、本実施形態においては、1つの第1領域11の長手方向の両端(+Y側の端、−Y側の端)のそれぞれは、膜パターン形成領域10のエッジ10eに設定される。したがって、膜パターン形成領域10の+Y側及び−Y側のそれぞれのエッジを形成する複数のピクセルC(膜パターン形成領域10の+Y側及び−Y側のそれぞれのエッジに沿って配列された複数のピクセルC)は、X軸方向に関して断続的に(1つ置きに)、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。
また、本実施形態においては、膜パターン形成領域10の+X側及び−X側のそれぞれのエッジを形成する複数のピクセルC(膜パターン形成領域10の+X側及び−X側のそれぞれのエッジに沿って配列された複数のピクセルC)は、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。すなわち、膜パターン形成領域10の+X側及び−X側のそれぞれのエッジを形成する複数のピクセルCは、液滴Dが吐出される第1領域11を形成する。
以下の説明において、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成する複数のピクセル(膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列された複数のピクセル)のそれぞれを適宜、エッジピクセルCe、と称する。
したがって、本実施形態においては、膜パターン形成領域10の+X側のエッジ及び−X側のエッジを形成するエッジピクセルCeのそれぞれが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。また、本実施形態においては、膜パターン形成領域10の+Y側のエッジ及び−Y側のエッジを形成するエッジピクセルCeの一部が、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。
エッジピクセルCeは、設計データ上の膜パターンFのエッジの内側において、そのエッジピクセルCeと設計データ上の膜パターンFのエッジとの距離が、少なくともピクセルCの1つ分の大きさよりも小さくなるように設定される。エッジピクセルCeは、設計データ上の膜パターンFのエッジに沿って連続的に配列される。
本実施形態においては、エッジピクセルCeは、そのエッジピクセルCeの中心に設定された第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、膜パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCeの外側のエッジ)とが対応するように(合致するように)、基板Pの表面に設定される。換言すれば、本実施形態においては、第1位置11Deに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、エッジピクセルCeの外側のエッジとが対応するように(合致するように)、エッジピクセルCeが設定される。
また、本実施形態においては、エッジピクセルCeに吐出ノズル1より液滴Dを吐出する場合において、その膜パターン形成領域10の外側に濡れ拡がった後の液滴Dのエッジが、設計データ上の膜パターンFのエッジに対応するように、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成するエッジピクセルCeが設定される。
なお、ここでは、制御装置7が、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12のそれぞれを設定しているが、形成装置IJに、制御装置7とは別の所定の処理装置(演算装置)を設け、その処理装置(演算装置)が、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12のそれぞれを設定してもよい。また、形成装置IJ以外の所定の処理装置(演算装置)が、膜パターンFの設計データに応じて、膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12のそれぞれを設定してもよい。
(工程SC3:第1領域に液滴を吐出)
上述のように、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域10を設定するとともに、膜パターン形成領域10の内側に、液滴Dを吐出する第1ピクセルC1を含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2ピクセルC2を含む第2領域12のそれぞれを設定した後、制御装置7は、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、第1領域11を形成する第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
具体的には、制御装置7は、図34に示すように、膜パターン形成領域10の第1領域11の第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。膜パターン形成領域10の第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面に接触した後、基板Pの表面で濡れ拡がる。本実施形態においては、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する前の液滴Dの形状は、吐出方向(Z軸方向)に関してほぼ軸対称であり、基板Pの表面に接触した後の形状は、XY平面内においてほぼ円形状となる。一例として、基板Pの表面に接触した後の液滴Dの直径(所謂着弾径)は、約25μmである。
複数の第1ピクセルC1のうち、特に、エッジピクセルCeに設定された第1ピクセルC1に吐出された液滴Dの少なくとも一部は、膜パターン形成領域10の外側まで濡れ拡がる。
そして、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続される。
本実施形態においては、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dが、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続されるように、第1領域11同士の距離(第1距離D1)、第1ピクセルC1の中心位置同士、及び第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴Dの量等が最適化されている。なお、制御装置7は、例えば特開2001−58433号公報等に開示されているように、吐出ヘッド2の駆動波形を調整することによって、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴の量を調整することができる。
本実施形態においては、制御装置7は、1つの第1領域11を構成する複数の第1ピクセルC1のそれぞれに関して、液滴Dを順次吐出する。制御装置7は、吐出ヘッド2に対して基板Pを保持した基板ステージ3の走査方向(Y軸方向)への1回の移動中に、第1領域11を構成する複数の第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出する。
本実施形態においては、吐出ノズル1同士の間隔(ノズルピッチ)と、第1領域11同士の間隔(第1距離D1)とは合致しており、制御装置7は、吐出ヘッド2に対して基板Pを保持した基板ステージ3の走査方向(Y軸方向)への1回の移動中に、第1領域11を構成する複数の第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出することができる。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、図35に示すように、所望の膜パターンFが形成される。
以上説明したように、本実施形態においては、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12のそれぞれが、Y軸方向を長手方向とするライン状の領域であり、X軸方向に関して複数交互に並べられているので、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の膜パターンを形成できる。
例えば、図10の模式図に示すように、液滴Dを吐出する第1位置11Dを、基板Pの表面において連続的に設定したり、均一な密度で設定したりした場合、基板Pの表面状態、あるいは機能液(液滴D)の物性等によっては、バルジ現象等の不具合が発生する可能性が高くなる。例えば、基板Pの表面エネルギーが小さい場合(撥液性が高い場合)、あるいは機能液(液滴D)の表面張力が大きい場合においては、基板Pの表面と液滴Dとが引き合う力よりも、互いに接する液滴D同士が表面張力によって引き合う力のほうが強くなる場合がある。この場合、機能液の液滴Dが基板Pの表面で良好に濡れ拡がらず、バルジ現象が発生し、均一な膜パターンFを形成できなくなる可能性がある。また、バルジ現象の発生に伴って、機能液が欠如する部分が生じ、基板Pの表面の一部が露出してしまう可能性もある。
本発明者は、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12のそれぞれを、Y軸方向を長手方向とするライン状の領域とし、X軸方向に関して複数交互に並べるように設定することによって、第1位置11Dに吐出された液滴Dが、バルジ現象等を発生することなく、基板Pの表面において良好に濡れ拡がることを見出した。
したがって、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12のそれぞれを、Y軸方向を長手方向とするライン状の領域とし、X軸方向に関して複数交互に並べることによって、バルジ現象等の発生を抑制しつつ、均一な厚みを有する所望の膜パターンFを形成できる。
また、本実施形態によれば、吐出ノズル1同士の間隔(ノズルピッチ)と、第1領域11同士の間隔(第1距離D1)とを合致させることができるので、例えば、吐出ヘッド2に対する基板Pを保持した基板ステージ3の走査方向(Y軸方向)への1回の移動中に、第1領域11を構成する複数の第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出して、膜パターンFを形成することができる。したがって、短時間で効率良く膜パターンFを形成できる。
<第12実施形態>
次に、第12実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図36は、本実施形態に係る基板Pの表面に設定された膜パターン形成領域10、及びビットマップデータを示す図、図37は、図36の一部(破線ARで囲まれた部分)を拡大した図である。本実施形態においても、上述の第11実施形態と同様、図3に示すような膜パターンFを形成する場合を例にして説明する。
まず、膜パターンFの設計データが、入力装置8を介して、制御装置7に入力される。また、上述の第1実施形態と同様、制御装置7には、基板Pの表面状態、及び液滴Dの物性等に関するデータが入力装置8を介して入力される。制御装置7は、入力装置8を介して入力された、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び膜パターンFの設計データ等に基づいて、基板Pの表面に、膜パターン形成領域10を設定する。上述の第1実施形態と同様、膜パターン形成領域10は、設計データ上の膜パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、XY平面内において所定の大きさを有する矩形状(長方形状)に設定される。
また、制御装置7は、少なくとも膜パターン形成領域10を含む基板Pの表面の所定領域を、複数のピクセルCで区画するとともに、ビットマップデータを作成する。
本実施形態においては、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、液滴Dを吐出する第1位置11Deが連続的に複数設定される。制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側を囲むように、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って第1位置11Deを枠状に設定する。
すなわち、本実施形態においても、膜パターン形成領域10は、複数のピクセルCで区画され、膜パターン形成領域10のエッジ10eを形成する複数のエッジピクセルCeのそれぞれが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。そして、各エッジピクセルCeそれぞれの中心に、第1位置11Deが設定される。このように、本実施形態においては、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1が、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側を囲むように、枠状に設定される。
制御装置7は、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側(エッジピクセルCeの内側)に、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12のそれぞれを設定する。制御装置7は、膜パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、エッジピクセルCeの内側の複数のピクセルCのそれぞれを、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1、及び液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2のいずれか一方に設定する。第1領域11は、第1ピクセルC1によって形成され、第2領域12は、第2ピクセルC2によって形成される。
上述の第11実施形態と同様、本実施形態においても、第1領域11及び第2領域12のそれぞれは、基板Pの表面においてY軸方向を長手方向とするライン状の領域に設定されるとともに、X軸方向に関して複数交互に並ぶように設定される。
1つの第1領域11の長手方向の両端(+Y側の端、−Y側の端)のそれぞれは、膜パターン形成領域10のエッジ10eに設定される。すなわち、第1領域11は、Y軸方向に関して膜パターン形成領域10の一端から他端まで延びるように設定される。
複数の第1領域11は、X軸方向に関して互いに離れて規則的に並べられる。本実施形態においては、Y軸方向を長手方向とする第1領域11のそれぞれは、X軸方向に関して第1距離D1ずつ等間隔で複数設定される。そして、それら第1領域11同士の間に、Y軸方向を長手方向とする第2領域12が設定される。
上述の第11実施形態と同様、本実施形態においても、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)と、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)とは等しい。第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)は、1つ分の第1ピクセルC1の大きさに対応し、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)は、1つ分の第2ピクセルC2の大きさに対応する。
次に、上述のように設定した膜パターン形成領域10、第1領域11、及び第2領域12に基づいて、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、基板Pの表面に膜パターンFを形成する動作の一例について説明する。
上述のように、基板Pの表面に、膜パターンFの設計データに応じた膜パターン形成領域10を設定するとともに、膜パターン形成領域10のエッジ10eの内側に、液滴Dを吐出する第1ピクセルC1を含む第1領域11、及び液滴Dを吐出しない第2ピクセルC2を含む第2領域12のそれぞれを設定した後、制御装置7は、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って、吐出ノズル1より、基板Pの表面に複数の液滴Dを連続的に吐出する。
具体的には、制御装置7は、図38に示すように、膜パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列された複数のエッジピクセルCeのそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。膜パターン形成領域10のエッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面に接触した後、基板Pの表面で濡れ拡がる。
エッジピクセルCeのそれぞれに吐出された液滴Dの少なくとも一部は、膜パターン形成領域10の外側まで濡れ拡がり、膜パターンFのエッジ(外形)を規定する。
エッジピクセルCeのそれぞれに液滴Dを吐出した後、制御装置7は、熱処理装置6等を用いて、基板Pの表面に形成された液滴Dの膜を乾燥させる。これにより、基板Pの表面に配置された液滴Dの膜の流動性が低下し、図39の模式図に示すように、基板Pの表面に固定される。
なお、例えば特開2005−28276号公報、特開2005−144324号公報等に開示されているように、基板Pの表面に配置された液滴Dの乾燥条件、対流条件等を調整して、エッジピクセルCeのそれぞれに吐出した液滴Dに、ピニング現象を生じさせるようにしてもよい。液滴Dの乾燥過程においては、液滴Dの周縁部における固形分濃度が飽和濃度に達すると、その周縁部において固形分が局所的に析出する。すると、その析出した固形分によって液滴Dの周縁部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴の収縮(外径の収縮)が抑制される。このような、周縁部に析出した固形分によって乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される現象(ピニング現象)を生じさせることによって、膜パターンFのエッジ(外形)を良好に規定することができる。
次に、制御装置7は、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より吐出した液滴Dが第1領域11に供給されるように、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、図40に示すように、第1領域11を形成する第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続される。
本実施形態においても、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dが、第1領域11同士(第1ピクセルC1同士)の間で互いに接続されるように、第1領域11同士の距離(第1距離D1)、第1ピクセルC1の中心位置同士、及び第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴Dの量等が最適化されている。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、図35に示したような、所望の膜パターンFが形成される。
以上説明したように、本実施形態においても、液滴Dを吐出する第1位置11Dを含む第1領域11及び液滴Dを吐出しない第2位置12Dを含む第2領域12のそれぞれが、Y軸方向を長手方向とするライン状の領域であり、X軸方向に関して複数交互に並べられているので、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の膜パターンを形成できる。
なお、上述の第11、第12実施形態において、図12の模式図に示すように、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行してもよい。すなわち、ある第1ピクセルC1に液滴Dを吐出した後、その液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出してもよい。先に基板Pに吐出された液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出することによって、その液滴D、D’の近傍の基板Pの表面エネルギーが高まる(親液性が高まる)現象が生じる。したがって、次の液滴D’(あるいはその次の液滴)は、親液性が付与された基板Pの表面で良好に濡れ拡がることができる。したがって、バルジ現象等の発生が抑制されると考えられる。なお、先に基板Pに吐出された液滴Dの上に、次の液滴D’を吐出することによって、その液滴D、D’の近傍の基板Pの表面エネルギーが高まる(親液性が高まる)現象のメカニズムは、十分に解明されていないが、先に吐出された液滴Dの上に吐出される次の液滴D’によってもたらされる溶媒雰囲気が、基板Pの表面エネルギーを高める要因の一つと考えられる。
また、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、各吐出動作のそれぞれにおける液滴Dの量(体積)を変えても良い。例えば、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、最後に吐出する液滴Dの量を最も多くするようにしてもよい。
なお、上述の第11、第12実施形態においては、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)、及び第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)のそれぞれが、1つ分のピクセルCに相当する場合を例にして説明したが、所望の膜パターンFを形成できるのであれば、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)、及び第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)のそれぞれが、2つ分のピクセルCに相当していてもよいし、3つ分のピクセルCに相当していてもよい。すなわち、所望の膜パターンFを形成できるのであれば、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)、及び第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)のそれぞれは、任意に設定可能である。この場合において、第1位置のそれぞれに吐出された液滴Dが基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士の間で互いに接続されるように、第1位置11Dのそれぞれに吐出する液滴Dの量(体積)を変えることができる。
また、上述の第11、第12実施形態においては、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)と、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)とが等しい場合を例にして説明したが、所望の膜パターンFを形成できるのであれば、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)と、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)とは異なっていてもよい。また、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)が、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)より大きくてもよいし、小さくてもよい。例えば、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)が、3つ分のピクセルCに相当し、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)が、2つ分のピクセルCに相当していてもよいし、第1領域11のX軸方向の大きさ(幅)が、2つ分のピクセルCに相当し、第2領域12のX軸方向の大きさ(幅)が、3つ分のピクセルCに相当していてもよい。この場合においても、第1位置のそれぞれに吐出された液滴Dが基板Pの表面で濡れ拡がって、第1領域11同士の間で互いに接続されるように、第1位置11Dのそれぞれに吐出する液滴Dの量(体積)を変えることができる。
すなわち、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向に関して第1の幅をする第1領域11と、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向に関して第2の幅を有する第2領域12とが、X軸方向に関して、所望の膜パターンFを形成するために交互に規則的に並べられているのであれば、第1の幅及び第2の幅のそれぞれは任意に設定可能である。
<第13実施形態>
次に、第13実施形態について説明する。
本実施形態においては、図41のフローチャートに示すように、形成しようとする配線パターンFを設計する工程SD1と、基板Pの表面に、配線パターンFの設計データに応じた配線パターン形成領域を設定するとともに、その設定した配線パターン形成領域を、液滴Dの大きさに応じた複数のピクセルでマトリクス状に区画する工程SD2と、複数のピクセルのそれぞれを、液滴Dを吐出するピクセル又は吐出しないピクセルのいずれか一方に設定する工程SD3と、複数のピクセルのうち、所定のピクセルに液滴Dを吐出して、基板Pの表面に所定の配線パターンFを形成する工程SD4と、が実行される。以下、各工程SD1〜SD4毎に説明する。
(工程SD1:配線パターンの設計)
まず、形成しようとする配線パターンFの設計が行われる。配線パターンFの設計では、形成しようとする配線パターンFの大きさ、形状、及び厚み(膜厚)等が設定される。
図42は、基板Pの表面の少なくとも一部に形成される配線パターンFの一例を示す図である。本実施形態においては、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、最終的に、図42に示すような配線パターンFを形成する場合を例にして説明する。図42に示す配線パターンFは、XY平面と平行な基板Pの表面において、X軸方向に延びる第1ラインパターンF1と、Y軸方向に延び、第1ラインパターンF1と交わる第2ラインパターンF2とを含む。第1ラインパターンF1の一端(−X側の端)と、第2ラインパターンF2の一端(+Y側の端)とが接続され、XY平面内においてほぼL字状となるように、配線パターンFが設計される。
(工程SD2:配線パターン形成領域の設定、ピクセルによる区画)
配線パターンFの設計が行われた後、その配線パターンFの設計データが、入力装置8を介して制御装置7に入力される。配線パターンFの設計データは、形成しようとする配線パターンFの大きさ、形状、及び厚み(膜厚)等に関するデータを含む。具体的には、配線パターンFの設計データは、形成しようとする配線パターンFの大きさ、形状、及び厚み等の目標値に関する情報を含む。
配線パターンFの設計データが入力された後、制御装置7は、基板Pの表面に、配線パターンFの設計データに応じた配線パターン形成領域10を設定する。制御装置7は、入力された配線パターンFの設計データに基づいて、配線パターン形成領域10の大きさ及び形状(配線パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)を設定する。
配線パターン形成領域10は、機能液の液滴Dが吐出(供給)され得る領域である。換言すれば、配線パターン形成領域10は、配線パターンFを形成するための液滴Dを吐出する動作を実行中の吐出ノズル1と対向する位置に配置される基板P上の領域である。所定の配線パターンFを形成するために、配線パターン形成領域10の内側の少なくとも一部には、吐出ノズル1からの液滴Dが吐出(供給)される。
また、本実施形態においては、制御装置7は、少なくとも配線パターン形成領域10を含む基板Pの表面の所定領域を、複数のピクセルCで区画する。複数のピクセルCのそれぞれは、液滴Dを供給可能な領域を規定するものであって、液滴Dに応じた大きさを有する。ピクセルCは、X軸方向及びY軸方向に関してマトリクス状に複数設定される。配線パターン形成領域10は、液滴Dに応じた大きさをそれぞれ有し、マトリクス状に設定された仮想的な複数のピクセルCで区画される。
本実施形態においては、複数のピクセルCの組み合わせによって、配線パターン形成領域10が形成される。
図42に示すように、本実施形態においては、複数のピクセルCのそれぞれは、正方形状であり、その1辺の長さは、例えば10μmに設定される。また、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する前の液滴Dの直径(所謂飛翔径)は、例えば10μmに設定される。
本実施形態においては、制御装置7は、ある1つのピクセルCに対して吐出ノズル1より液滴Dを吐出するとき、そのピクセルCの中心と、吐出する液滴Dの中心とがほぼ合致するように、液滴Dを吐出する。
すなわち、本実施形態においては、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、ピクセルCのエッジとが対応するように(合致するように)、ピクセルCが設定される。
なお、ピクセルCは、吐出ノズル1より吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジが、ピクセルCのエッジよりも僅かに内側に配置されるように設定されてもよい。すなわち、ピクセルCが液滴Dの飛翔径よりも僅かに大きくてもよい。例えばピクセルCの1辺が10μmであり、液滴Dの飛翔径が9μmであってもよい。
図42に示すように、本実施形態においては、第1ラインパターンF1に対応する配線パターン形成領域10は、Y軸方向に並べられた2つのピクセルCのグループがX軸方向に関して13個並べられることによって形成される。また、本実施形態においては、第2ラインパターンF2に対応する配線パターン形成領域10は、X軸方向に並べられた2つのピクセルCのグループがY軸方向に関して13個並べられることによって形成される。
また、配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分に対応するピクセルCは、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに2つずつ並べられた、合計4つのピクセルCからなる。換言すれば、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分に対応する配線パターン形成領域10は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに2つずつ並べられた、合計4つのピクセルCによって形成されている。
以下の説明において、第1ラインパターンF1と第2ラインパターF2とが交わる部分を適宜、交差部、と称する。また、第1ラインパターンF1のうち、交差部以外の部分を適宜、第1直線部、と称し、第2ラインパターンF2のうち、交差部以外の部分を適宜、第2直線部、と称する。
すなわち、第1直線部は、第1ラインパターンF1のうち、第2ラインパターンF2と交わらない部分であり、第2直線部は、第2ラインパターンF2のうち、第1ラインパターンF1と交わらない部分である。
交差部に対応するピクセルCは、図42中、破線A3で囲まれた部分のピクセルCであって、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに2つずつ並べられ、合計4つ存在する。第1直線部に対応するピクセルCは、図42中、破線A1で囲まれた部分のピクセルCであって、Y軸方向に2つ、X軸方向に11個並べられ、合計22個存在する。第2直線部に対応するピクセルCは、図42中、破線A2で囲まれた部分のピクセルCであって、X軸方向に2つ、Y軸方向に11個並べられ、合計22個存在する。
複数のピクセルCによって区画される配線パターン形成領域10は、最終的に形成される設計データ上の配線パターンFに応じて定められる。本実施形態においては、配線パターン形成領域10は、設計データ上の配線パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、XY平面内において所定の大きさを有するL字状に設定される。
具体的には、図42に示すように、配線パターン形成領域10は、その配線パターン形成領域10のエッジ10eが設計データ上の配線パターンFのエッジの内側でその配線パターンFのエッジに沿うように、且つ、配線パターン形成領域10のエッジ10eと設計データ上の配線パターンFのエッジとの距離が配線パターン形成領域10のエッジ10eの各位置においてほぼ等しくなるように、換言すれば、配線パターン形成領域10と設計データ上の配線パターンFとがほぼ相似関係となるように、設定される。
すなわち、配線パターン形成領域10のエッジ10eを形成する複数のピクセルCe(配線パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列される複数のピクセルCe)は、設計データ上の配線パターンFのエッジの内側でその配線パターンFのエッジに沿って連続的に配列される。また、配線パターン形成領域10のエッジ10eを形成する複数のピクセルCeは、そのピクセルCeの外側のエッジと設計データ上の配線パターンFのエッジとの距離が少なくともピクセルCの1つ分の大きさよりも小さくなるように配列される。
以下の説明において、配線パターン形成領域10のエッジ10eを形成する複数のピクセル(配線パターン形成領域10のエッジ10eに沿って配列された複数のピクセル)のそれぞれを適宜、エッジピクセルCe、と称する。
なお、本実施形態においては、第1ラインパターンF1に対応する配線パターン形成領域10は、Y軸方向に並べられた2つのピクセルCのグループがX軸方向に関して13個並べられることによって形成され、第2ラインパターンF2に対応する配線パターン形成領域10は、X軸方向に並べられた2つのピクセルCのグループがY軸方向に関して13個並べられることによって形成されている。したがって、本実施形態においては、配線パターン形成領域10を区画するピクセルCの全てが、エッジピクセルCeとなる。
なお、例えば第1ラインパターンF1に対応する配線パターン形成領域10が、Y軸方向に並べられた3つ以上のピクセルCのグループがX軸方向に関して所定数(例えば20個)並べられることによって形成される場合には、エッジピクセルCeは、Y軸方向に並べられた3つ以上のピクセルCのうち、Y軸方向に関して両端のピクセルCとなる。
エッジピクセルCeは、そのエッジピクセルCeに吐出され、基板Pの表面に接触する直前の液滴DのXY平面内における外側のエッジと、配線パターン形成領域10のエッジ10e(エッジピクセルCeの外側のエッジ)とが対応するように(合致するように)、基板Pの表面に設定される。
基板Pの表面に吐出(供給)され、基板Pの表面に接触した後の液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がる。本実施形態においては、エッジピクセルCeに吐出ノズル1より液滴Dを吐出した場合において、その配線パターン形成領域10の外側に濡れ拡がった後の液滴Dのエッジが、設計データ上の配線パターンFのエッジに対応するように、配線パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状、ひいてはその配線パターン形成領域10のエッジ10eを形成するエッジピクセルCeが設定される。
すなわち、配線パターン形成領域10のエッジ10eを形成するエッジピクセルCeに吐出ノズル1より液滴Dを吐出した場合、基板Pの表面に接触した後の液滴Dの少なくとも一部は、基板Pの表面で濡れ拡がって、配線パターン形成領域10の外側に配置される。したがって、例えばそのエッジピクセルCeに吐出ノズル1より液滴Dを吐出する場合において、制御装置7は、そのエッジピクセルCeに吐出され、配線パターン形成領域10の外側に濡れ拡がった後の液滴Dの外側のエッジが、設計データ上の配線パターンFのエッジに対応するように、配線パターン形成領域10の大きさ及び形状(配線パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)、ひいてはエッジピクセルCeを設定する。
最終的に形成される配線パターンFは、基板Pの表面に設定された配線パターン形成領域10の内側に吐出され、基板Pの表面で濡れ拡がって、配線パターン形成領域10の外側に配置された液滴(機能液)も含む。したがって、制御装置7は、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、設計データに則した所望の配線パターンFが形成されるように、配線パターン形成領域10の大きさが、最終的に形成される設計データ上の配線パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、配線パターン形成領域10の大きさ及び形状、ひいてはエッジピクセルCeを設定する。
このように、配線パターンFは、設定された配線パターン形成領域10に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)に応じた大きさ及び形状を有するものとなる。配線パターン形成領域10は、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)を考慮して、設計データ上の配線パターンFに応じて設定される。
なお、基板Pの表面に吐出され、濡れ拡がった後の液滴Dの大きさ及び形状の少なくとも一方(濡れ拡がり具合)は、基板Pの表面状態、及び機能液(液滴D)の物性、及び吐出する液滴Dの量(体積)等に応じて定まる。基板Pの表面状態は、液滴Dに対する基板Pの表面の接触角等を含み、機能液(液滴D)の物性は、機能液(液滴D)の表面張力等を含む。したがって、制御装置7は、基板Pの表面状態、及び液滴Dの物性、及び吐出する液滴Dの量(体積)等を考慮して、所望の配線パターンF(目標値通りの大きさ及び形状を有する配線パターンF)が形成されるように、配線パターンFの設計データ(目標値)に応じて、配線パターン形成領域10を設定する。
本実施形態においては、制御装置7には、配線パターンFの設計データに加えて、基板Pの表面状態(液滴Dに対する基板Pの表面の接触角等)、及び液滴Dの物性(表面張力等)に関するデータが入力装置8を介して入力される。制御装置7は、入力装置8を介して入力された、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び配線パターンFの設計データと、予め定められている吐出ノズル1より吐出する液滴Dの量とに基づいて、配線パターン形成領域10の大きさ及び形状(配線パターン形成領域10のエッジ10eの位置及び形状)、ひいてはエッジピクセルCeを設定する。
(工程SD3:液滴を吐出するピクセルの設定)
次に、制御装置7は、複数のピクセルCのそれぞれを、液滴Dを吐出するピクセル又は吐出しないピクセルのいずれか一方に設定する。
以下の説明において、吐出ノズル1より液滴Dが吐出(供給)されるピクセルを適宜、第1ピクセルC1、と称し、吐出ノズル1より液滴Dが吐出(供給)されないピクセルを適宜、第2ピクセルC2、と称する。
また、以下の説明において、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1の配列情報、及び/又は液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2の配列情報を適宜、ビットマップデータ、と称する。
図43は、本実施形態に係るビットマップデータを示す図である。本実施形態においては、制御装置7は、配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分(交差部)に対応するピクセルCの少なくとも1つを、液滴Dを吐出しない第2ピクセルC2に設定する。
上述のように、本実施形態においては、配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分(交差部)に対応するピクセルCは、破線A3で囲まれた部分のピクセルCであって、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに2つずつ並べられ、合計4つ存在する。本実施形態においては、この交差部に対応する4つのピクセルCのうち、少なくとも1つのピクセルCを、第2ピクセルC2に設定する。
一例として、本実施形態においては、図43に示すように、制御装置7は、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分(交差部)に対応する4つのピクセルCのうち、3つのピクセルCを、液滴Dを吐出しない第2ピクセルC2に設定し、1つのピクセルCを、液滴Dを吐出する第1ピクセルC1に設定する。
また、図43に示すように、本実施形態においては、制御装置7は、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分に対応するピクセルC以外の配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCの全てを、液滴Dを吐出する第1ピクセルC1に設定する。すなわち、制御装置7は、第1直線部に対応する、破線A1で囲まれた22個のピクセルCの全てを、第1ピクセルC1に設定するとともに、第2直線部に対応する、破線A2で囲まれた22個のピクセルCの全てを、第1ピクセルC1に設定する。
また、本実施形態においては、第1ラインパターンF1の一端と第2ラインパターンF2の一端とが接続されるように配線パターン形成領域10が設定されている。本実施形態においては、図43に示すように、制御装置7は、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とで形成されるコーナーの内側のピクセルChを、液滴Dを吐出するピクセルC1に設定する。本実施形態においては、ピクセルChは、配線パターン形成領域10の外側で、配線パターン形成領域10の内側に設定された第1ピクセルC1と隣り合う位置に設定される。
なお、ここでは、制御装置7が、配線パターンFの設計データに応じて、配線パターン形成領域10を形成するとともに、ビットマップデータを設定しているが、形成装置IJに、制御装置7とは別の所定の処理装置(演算装置)を設け、その処理装置(演算装置)が、配線パターンFの設計データに応じて、配線パターン形成領域10、及びビットマップデータのそれぞれを設定してもよい。また、形成装置IJ以外の所定の処理装置(演算装置)が、配線パターンFの設計データに応じて、配線パターン形成領域10、及びビットマップデータのそれぞれを設定してもよい。
(工程SD4:第1ピクセルに液滴を吐出)
上述のように、基板Pの表面に、配線パターン形成領域10、及びビットマップデータを設定した後、制御装置7は、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より吐出した液滴Dが第1ピクセルC1に供給されるように、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、図44に示すように、第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面に接触した後、基板Pの表面で濡れ拡がる。本実施形態においては、吐出ノズル1から吐出され、基板Pの表面に接触する前の液滴Dの形状は、吐出方向(Z軸方向)に関してほぼ軸対称であり、基板Pの表面に接触した後の形状は、XY平面内においてほぼ円形状となる。
第1ピクセルC1(エッジピクセルCe)のそれぞれに吐出された液滴Dの少なくとも一部は、配線パターン形成領域10の外側まで濡れ拡がり、配線パターンFのエッジ(外形)を規定する。
また、交差部に対応するピクセルCに設定された第1ピクセルC1又はその交差部に対応するピクセルCと隣接するピクセルCに設定された第1ピクセルC1(ピクセルCh)を含む)に吐出された液滴Dは、交差部に対応するピクセルCに設定された第2ピクセルC2まで濡れ拡がり、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2との交差部を形成する。
こうして、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1ピクセルC1同士の間で互いに接続される。
本実施形態においては、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dが、第1ピクセルC1同士の間で互いに接続されるように、第1ピクセルC1の中心位置同士、及び第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴Dの量等が最適化されている。なお、制御装置7は、例えば特開2001−58433号公報等に開示されているように、吐出ヘッド2の駆動波形を調整することによって、第1ピクセルC1のそれぞれに吐出される液滴の量を調整することができる。
本実施形態においては、制御装置7は、設定した複数の第1ピクセルC1のそれぞれに関して、液滴Dを順次吐出する。制御装置7は、吐出ヘッド2に対して基板Pを保持した基板ステージ3の走査方向(Y軸方向)への1回の移動中に、設定した複数の第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出する。なお、制御装置7は、複数の第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出するために、基板ステージ3を走査方向(Y軸方向)に複数回移動し、その移動動作毎に、吐出ノズル1より液滴Dを基板Pの表面に吐出するようにしてもよい。
第1ピクセルC1のそれぞれに液滴Dを吐出した後、制御装置7は、熱処理装置6等を用いて、基板Pの表面に形成された液滴Dの膜を乾燥させる。これにより、基板Pの表面に配置された液滴Dの膜の流動性が低下し、基板Pの表面に固定される。
なお、例えば特開2005−28276号公報、特開2005−144324号公報等に開示されているように、基板Pの表面に配置された液滴Dの乾燥条件、対流条件等を調整して、第1ピクセルC1(エッジピクセルCe)のそれぞれに吐出した液滴Dに、ピニング現象を生じさせるようにしてもよい。液滴Dの乾燥過程においては、液滴Dの周縁部における固形分濃度が飽和濃度に達すると、その周縁部において固形分が局所的に析出する。すると、その析出した固形分によって液滴Dの周縁部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴の収縮(外径の収縮)が抑制される。このような、周縁部に析出した固形分によって乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される現象(ピニング現象)を生じさせることによって、配線パターンFのエッジ(外形)を良好に規定することができる。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、図42に示したような、所望の配線パターンFが形成される。
以上説明したように、互いに直交する第1ラインパターンF1及び第2ラインパターンF2を含む配線パターンFを形成するに際し、基板Pの表面に、配線パターンFの設計データに応じた配線パターン形成領域10を設定するとともに、その配線パターン形成領域10を、液滴Dに応じた大きさをそれぞれ有し、液滴Dを吐出可能な領域を規定する複数のピクセルCによって区画し、それら複数のピクセルCのうち、液滴Dを吐出する第1ピクセルC1の配列情報、及び/又は液滴Dを吐出しない第2ピクセルC2の配列情報、所謂ビットマップデータを作成することによって、そのビットマップデータに基づいて、基板Pの表面の所望の位置に液滴Dを円滑に吐出できる。
そして、配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、設計データ上の第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分(交差部)に対応するピクセルCの少なくとも1つが、液滴Dを吐出しない第2ピクセルC2に設定されるので、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の配線パターンを形成できる。
本発明者は、互いに直交する第1ラインパターンF1及び第2ラインパターンF2を含む配線パターンFを液滴吐出法に基づいて形成する場合、例えば、図45の模式図に示すように、配線パターン形成領域10を区画するピクセルCの全てを、液滴Dを吐出する第1ピクセルDに設定したり、第1ピクセルC1を均一な密度で設定したり、基板Pの表面において液滴Dを連続的に設定したりした場合、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分(交差部)に、図46の模式図に示すように、バルジ現象が発生したり、そのバルジ現象の発生に伴って、形成される配線パターンの一部にクラック、断線等が発生したりする可能性が高くなることを見出した。なお、図46(A)は、交差部の近傍を示す平面図、図46(B)は、図46(A)のA−A線断面図である。
また、本発明者は、基板Pの表面状態、あるいは機能液(液滴D)の物性等によっては、バルジ現象等の不具合が発生する可能性が高くなることを見出した。例えば、基板Pの表面エネルギーが小さい場合(撥液性が高い場合)、あるいは機能液(液滴D)の表面張力が大きい場合においては、基板Pの表面と液滴Dとが引き合う力よりも、互いに接する液滴D同士が表面張力によって引き合う力のほうが強くなる場合がある。この場合、機能液の液滴Dが基板Pの表面で良好に濡れ拡がらず、図46に示すように、バルジ現象が発生し、均一な配線パターンFを形成できなくなる可能性がある。また、バルジ現象の発生に伴って、クラック、断線等が生じる可能性もある。
本発明者は、配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分(交差部)に対応するピクセルCの少なくとも1つを、液滴Dを吐出しない第2ピクセルC2に設定することによって、バルジ現象等の発生を抑え、所望の配線パターンFを形成できることを見出した。
したがって、本実施形態のように、配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分(交差部)に対応するピクセルCの少なくとも1つを、液滴Dを吐出しない第2ピクセルC2に設定することによって、バルジ現象等の発生を抑えつつ、所望の配線パターンFを形成できる。
そして、第1直線部、及び第2直線部に対応するピクセルCの全てを、液滴Dを吐出する第1ピクセルC1に設定し、それら第1ピクセルC1に液滴Dを吐出することによって、所望の配線パターンFを形成できる。
また、本発明者は、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とで形成されるコーナーの内側のピクセルChを、液滴Dを吐出する第1ピクセルC1に設定し、そのピクセルChに液滴Dを吐出することによって、バルジ現象、クラック、断線等の不具合の発生を抑制し、所望の配線パターンFを形成できることを見出した。したがって、そのコーナーの内側のピクセルChに液滴Dを吐出することによって、バルジ現象等を抑制することができる。
<第14実施形態>
次に、第14実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図47は、本実施形態に係る基板Pの表面に設定された配線パターン形成領域10、及びビットマップデータを示す図である。本実施形態においても、上述の第1実施形態と同様、図42に示すような配線パターンFを形成する場合を例にして説明する。
まず、配線パターンFの設計データが、入力装置8を介して、制御装置7に入力される。また、上述の第1実施形態と同様、制御装置7には、基板Pの表面状態、及び液滴Dの物性等に関するデータが入力装置8を介して入力される。制御装置7は、入力装置8を介して入力された、基板Pの表面状態、液滴Dの物性、及び配線パターンFの設計データ等に基づいて、基板Pの表面に、配線パターン形成領域10を設定する。上述の第1実施形態と同様、配線パターン形成領域10は、最終的に形成される配線パターンFの大きさよりも僅かに小さくなるように、XY平面内において所定の大きさを有する所定の形状に設定される。
また、制御装置7は、少なくとも配線パターン形成領域10を含む基板Pの表面の所定領域を、複数のピクセルCで区画するとともに、ビットマップデータを作成する。
上述の第13実施形態と同様、本実施形態においても、配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分(交差部)に対応するピクセルCの少なくとも1つが、液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2に設定される。本実施形態においては、交差部に対応する4つのピクセルCのうち、3つのピクセルCが第2ピクセルC2に設定される。
また、上述の第13実施形態と同様、本実施形態においても、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とで形成されるコーナーの内側のピクセルChが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。
本実施形態においては、配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、第1ラインパターンF1と第2ラインパターンF2とが交わる部分(交差部)に対応する4つのピクセルCと隣接するピクセルCの少なくとも1つが、液滴Dが吐出されない第2ピクセルC2に設定される。具体的には、図47に示すように、第1直線部に対応する複数(22個)のピクセルCのうち、交差部に対応するピクセルCと隣接するピクセルCn1が、第2ピクセルC2に設定されるとともに、第2直線部に対応する複数(22個)のピクセルCのうち、交差部に対応するピクセルCと隣接するピクセルCn2が、第2ピクセルC2に設定される。
また、本実施形態においては、交差部に対応するピクセルC、及び交差部に対応するピクセルCと隣接するピクセルC以外の配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCの全てが、液滴Dが吐出される第1ピクセルC1に設定される。
次に、上述のように設定した配線パターン形成領域10、及びビットマップデータに基づいて、基板Pの表面に液滴Dを吐出して、基板Pの表面に配線パターンFを形成する。
制御装置7は、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より吐出した液滴Dが第1ピクセルC1に供給されるように、吐出ヘッド2、吐出ヘッド移動機構4、及び基板ステージ移動機構5のそれぞれを制御して、吐出ヘッド2の吐出ノズル1と基板ステージ3に保持された基板Pとの位置関係を調整しつつ、設定した第1ピクセルC1のそれぞれに、吐出ノズル1より液滴Dを吐出する。
第1ピクセルC1のそれぞれに吐出された液滴Dは、基板Pの表面で濡れ拡がって、第1ピクセルC1同士の間で互いに接続される。
その後、熱処理装置6を用いた乾燥処理、あるいは別の装置を用いた焼成処理等を経て、所望の配線パターンFが形成される。
以上説明したように、配線パターン形成領域10を区画する複数のピクセルCのうち、交差部に対応するピクセルCと隣接するピクセルC(Cn1、Cn2)を、液滴Dを吐出しない第2ピクセルC2に設定することによっても、バルジ現象等の発生を抑制し、所望の配線パターンFを形成できる。
なお、上述の第13、第14実施形態で説明したビットマップデータは一例である。所望の配線パターンFを形成可能であるならば、交差部に対応する複数のピクセル、又は交差部に対応するピクセルと隣接するピクセルのうち、任意のピクセルを第2ピクセルC2に設定可能である。例えば、図48〜図56のそれぞれに示すようなビットマップデータを設定することによっても、所望の配線パターンFを形成可能である。
なお、上述の各実施形態において、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行してもよい。すなわち、ある第1ピクセルC1に液滴Dを吐出した後、その液滴Dの上に、次の液滴Dを吐出してもよい。
また、同一の第1ピクセルC1に対して、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、各吐出動作のそれぞれにおける液滴Dの量(体積)を変えても良い。例えば、液滴Dを吐出する動作を複数回実行する際、最後に吐出する液滴Dの量を最も多くするようにしてもよい。
<第15実施形態>
次に、第15実施形態について説明する。本実施形態においては、上述の第1〜第14実施形態で説明した膜パターン(配線パターン)Fの形成装置IJ及び形成方法を用いて、デバイスを製造する場合の一例について説明する。
例えば、形成装置IJは、図57に示すような、TFTアレイ基板21の少なくとも一部を形成することができる。図57において、TFTアレイ基板21は、ガラス基板22と、ガラス基板22上に互いに交差するように配線された走査線23及びソース線24と、走査線23と直交するゲート電極29と、ソース線24と直交するソース電極25Sと、ガラス基板22上に形成されたドレイン電極25Dと、ドレイン電極25Dに接続された画素電極(ITO)26と、走査線23とソース線24との間、及びゲート電極29上に配置された絶縁膜27と、アモルファスシリコン等の半導体からなるTFT(Thin Film Transistor)28とを備えている。
図58は、TFTアレイ基板21の一部を形成する工程を示す模式図である。図58(A)に示すように、ガラス基板22上に、上述の各実施形態で説明した膜パターンFの形成装置IJ及び形成方法によって、ゲート電極29が形成される。形成装置IJは、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より、ガラス基板22の一方の面に、ゲート電極29を形成するための導電性材料を含む機能液の液滴Dを吐出する。これにより、ガラス基板22の一方の面には、ゲート電極29が形成される。また、形成装置IJは、走査線23、ソース線24等も形成可能である。なお、ゲート電極29、走査線23、及びソース線24等を形成するために吐出ノズル1から吐出される液滴D(機能液)としては、例えば特開2005−34837号公報に開示されているような、導電性微粒子(有機銀化合物、酸化銀ナノ粒子を含む)を所定の分散媒に分散したものを用いることができる。
次に、図58(B)に示すように、ガラス基板22上に、ゲート電極29を覆うように、上述の各実施形態で説明した膜パターンFの形成装置IJ及び形成方法によって、絶縁膜(ゲート絶縁膜)27が形成される。形成装置IJは、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より、ガラス基板22の一方の面に、ゲート絶縁膜27を形成するための絶縁材料を含む機能液の液滴Dを吐出する。これにより、ガラス基板22の一方の面には、ゲート絶縁膜27が形成される。
そして、図58(C)に示すように、絶縁膜27の上に、上述の各実施形態で説明した膜パターンFの形成装置IJ及び形成方法によって、アモルファスシリコン膜28A、n+型シリコン膜28B、及びソース・ドレイン電極形成用金属膜25が順次形成される。更にその上に、上述の各実施形態で説明した膜パターンFの形成装置IJ及び形成方法によって、フォトレジスト膜30が形成され、露光処理、現像処理、及びエッチング処理を含むフォトリソグラフィ工程、及び残留したフォトレジスト膜30を取り除くアッシング工程を経て、図58(D)に示すように、TFT28を含むTFTアレイ基板21が形成される。
また、ドレイン電極25Dに接続される画素電極26を、上述の実施形態で説明した膜パターンFの形成装置IJ及び形成方法によって形成することができる。画素電極26が例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)等の透光性材料によって形成される場合には、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より、ITOを含む機能液の液滴Dがガラス基板22上に吐出される。
また、制御装置IJは、例えば液晶装置の少なくとも一部を形成するための材料を含む機能液の液滴Dを吐出して、その液晶装置に含まれる膜パターンFを形成することができる。
例えば、図59に示すような液晶装置40の少なくとも一部を、上述の各実施形態で説明した膜パターンFの形成装置IJ及び形成方法によって形成することができる。図59において、液晶装置40は、TFTアレイ基板21と、カラーフィルタ基板31とを備えており、TFTアレイ基板21とカラーフィルタ基板31との間には、液晶層32が形成されている。TFTアレイ基板21とカラーフィルタ基板31とは、シール部材33を介して貼り合わせられている。
TFTアレイ基板21の一方の面及びカラーフィルタ基板31の一方の面のそれぞれには、ポリイミド等の有機材料からなる配向膜34、34が形成されている。TFTアレイ基板21とカラーフィルタ基板31とは、そのTFTアレイ基板21の一方の面に形成された配向膜34と、カラーフィルタ基板31の一方の面に形成された配向膜34とが対向するように、貼り合わせられる。また、TFTアレイ基板21の他方の面及びカラーフィルタ基板31の他方の面のそれぞれには、偏光板35、35が設けられている。
図60は、図59に示した液晶装置40の製造工程の一部を示す模式図である。図60(A)に示すように、TFTアレイ基板21の一方の面に、上述の各実施形態で説明した膜パターンFの形成装置IJ及び形成方法によって、配向膜34が形成される。形成装置IJは、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より、TFTアレイ基板21の一方の面に、配向膜34を形成するためのポリイミド等を含む機能液の液滴Dを吐出する。これにより、TFTアレイ基板21の一方の面には、配向膜34が形成される。
なお、不図示であるが、カラーフィルタ基板31の一方の面にも、上述の各実施形態で説明した膜パターンFの形成装置IJ及び形成方法によって、配向膜34が形成される。
次に、図60(B)に示すように、TFTアレイ基板21の一方の面にシール部材33を配置した後、図60(C)に示すように、上述の各実施形態で説明した膜パターンFの形成装置IJ及び形成方法によって、液晶層32が形成される。形成装置IJは、吐出ヘッド2の吐出ノズル1より、TFTアレイ基板21の一方の面に、液層層32を形成するための液晶分子を含む機能液の液滴Dを吐出する。これにより、TFTアレイ基板21の一方の面には、液晶層32が形成される。
そして、図60(D)に示すように、配向膜34及び液層層32が形成されたTFTアレイ基板21とカラーフィルタ基板31とが貼り合わせられる。そして、TFTアレイ基板21の他方の面及びカラーフィルタ基板31の他方の面のそれぞれに偏光板35、35が設けられて、液晶装置40が形成される。
なお、TFTアレイ基板21、液晶装置40のみならず、上述の各実施形態で説明した形成装置IJ及び形成方法を用いて、例えば有機EL装置、電子回路など、任意のデバイス(電子デバイスを含む)の少なくとも一部を構成する膜パターンを形成することができる。
また、形成装置IJは、各種配線パターンFを形成可能である。
例えば、形成装置IJは、図61に示すような、半導体モジュール51の少なくとも一部を形成することができる。図61において、半導体モジュール51は、インターポーザ52と、インターポーザ52上に搭載された半導体チップ53と、半導体チップ53上に搭載された電子部品54とを備えている。
インターポーザ52の表面には、第1の端子55が形成されている。半導体チップ3の表面には、インターポーザ52に形成された第1の端子55と電気的に接続可能な第2の端子56が形成されている。第1の端子55と、第2の端子56とは、ワイヤーボンディングによって接続されている。
図62は、半導体チップ53の一部を上方から見た拡大した図である。図62において、半導体チップ53の表面には、電子部品54と電気的に接続する第3の端子58が形成されている。また、半導体チップ53の表面には、第2の端子56と第3の端子58とを電気的に接続する配線57が形成されている。
配線57は、第2の端子56と第3の端子58とを接続するように形成されている。配線57の一部は曲がり角を形成しており、上述の実施形態で説明した形成装置IJは、配線57を良好に形成可能である。
なお、上述のTFTアレイ基板21等のみならず、上述の各実施形態で説明した形成装置IJ及び形成方法を用いて、例えば有機EL装置、電子回路など、任意のデバイス(電子デバイスを含む)の少なくとも一部を構成する配線パターンを形成することができる。
1…吐出ノズル、2…吐出ヘッド、3…基板ステージ、4…吐出ヘッド移動機構、5…基板ステージ移動機構、7…制御装置、10…膜パターン形成領域(配線パターン形成領域)、10e…エッジ、11…第1領域、11D…第1位置、12…第2領域、12D…第2位置、C…ピクセル、C1…第1ピクセル、C2…第2ピクセル、Ce…エッジピクセル、D…液滴、D1…第1距離、D2…第2距離、F…膜パターン(配線パターン)、IJ…形成装置、P…基板