JP4182468B2 - デバイスの製造方法及びデバイス製造装置、デバイス及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置を用いて基板上にパターンを形成するデバイスの製造方法及びデバイス製造装置、並びにデバイス及び電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体集積回路など微細な配線パターンを有するデバイスの製造方法としてフォトリソグラフィー法が多用されているが、特開平11−274671号公報、特開2000−216330号公報などに開示されているように、液滴吐出方式を用いたデバイスの製造方法が注目されている。上記公報に開示されている技術は、パターン形成面にパターン形成用材料を含んだ液体材料を液滴吐出ヘッドから吐出することにより基板上に材料を配置し、配線パターンを形成するものであり、少量多種生産に対応可能である点などにおいて大変有効である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、デバイスに形成される配線パターンにおいて、例えば直線パターンとこの直線パターンに傾斜する傾斜線パターンとが混在していたり、あるいは異なる線幅を有する配線パターンが混在していたりする。これら異なる形態の配線パターンを同一の吐出条件で液滴吐出装置で形成しようとすると、所望のパターン精度が得られなくなる場合がある。例えば、直線パターンを形成する際に粗いドットで吐出動作を行っても直線パターンは所望のパターン精度で形成できるが、直線パターンを形成したときと同じドットで傾斜線パターンを形成しようとすると、傾斜線パターンの縁部が階段状となって所望の形状を得ることができず、デバイス性能を低下させてしまうといった問題が生じる。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、液滴吐出装置を用いて基板上に異なる形態のパターンそれぞれを混在して形成する際、安定した吐出動作を維持し、所望の精度でパターンを形成できるデバイスの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のデバイスの製造方法は、格子状の複数の単位領域を設定し、前記単位領域のそれぞれに対して液滴吐出装置より液体材料からなる液滴を吐出し、基板上に所定のパターンを形成する工程を有するデバイスの製造方法において、複数の第1の単位領域からなる第1のエリアを設定した前記基板上に前記液滴吐出装置により第1の吐出動作を行う工程と、前記第1の単位領域とは異なる大きさの複数の第2の単位領域からなる第2のエリアを設定した前記基板上に前記液滴吐出装置により第2の吐出動作を行う工程と、を有し、前記第1の吐出動作により第1の方向に延在する第1パターンを形成し、前記第2の吐出動作により前記第1の方向に対して異なる方向に延在する第2パターンを形成することを特徴とする。
【0006】
また、本発明のデバイス製造装置は、基板上に液体材料の液滴を吐出する液滴吐出装置を備えたデバイス製造装置において、前記基板上に、格子状の複数の第1の単位領域からなる第1のエリアと、前記第1の単位領域とは異なる大きさの格子状の複数の第2の単位領域からなる第2のエリアとを設定し、前記第1のエリアに対する第1の吐出動作と、前記第2のエリアに対する第2の吐出動作とをそれぞれ独立して行うように前記液滴吐出装置の吐出動作を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、形態の異なるパターン毎に、液滴を吐出するための単位領域(ビット)を有するエリア(ビットマップ)をそれぞれ設定し、これら異なるパターン毎に液滴吐出動作(パターン描画動作)をそれぞれ独立して行うようにしたので、それぞれのパターンに最適な吐出条件でパターンを形成するための吐出動作を行うことができる。したがって、異なる形態のパターン形成に際し、安定した吐出動作を維持し所望の精度を有するパターンを形成することができる。
【0008】
本発明のデバイスの製造方法において、前記液滴吐出装置と前記基板とを所定方向に相対移動しつつ前記吐出動作を行い、前記第1の吐出動作を第1の移動時に行い、前記第2の吐出動作を前記第1の移動とは別の第2の移動時に行う構成が採用される。
これにより、液滴吐出装置に対して基板を走査しつつ、第1の走査吐出時において第1パターンを形成し、第2の走査吐出時において第2パターンを形成することができる。
【0009】
本発明のデバイスの製造方法において、前記第2パターンを形成するための第2の単位領域の大きさは、前記第1パターンを形成するための第1の単位領域より小さく設定されている構成が採用される。
これにより、第2パターンは細かいビット(ドット)で形成されるので、例えば第2パターンが傾斜線パターンである場合、この傾斜線パターンの縁部が例えば階段状など異常な形状で形成される不都合の発生を抑えることができる。
【0010】
本発明のデバイスの製造方法において、前記第1の吐出動作で第1パターンを形成し、前記第2の吐出動作で前記第1パターンに接続する第2パターンを形成する際、前記基板上に形成された前記第1パターンに対して離れた位置から接近する方向に向かって前記第2の吐出動作を行う構成が採用される。
これにより、第1パターンと第2パターンとの接続部が異常な形状となってしまう不都合の発生を抑えることができる。
【0011】
本発明のデバイスの製造方法は、基板上に液滴吐出装置より液体材料の液滴を吐出し、前記基板上に配線パターンを形成する工程を有するデバイスの製造方法において、前記基板上に、第1の線幅を有する第1の配線パターンを形成する第1の工程と、前記第1の線幅とは異なる幅の第2の線幅を有する第2の配線パターンを形成する第2の工程とを有し、前記第1の工程における前記液滴吐出装置による吐出動作と、前記前記第2の工程における前記液滴吐出装置による吐出動作とをそれぞれ独立して行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のデバイス製造装置は、基板上に液体材料の液滴を吐出する液滴吐出装置を備えたデバイス製造装置において、前記基板上に、第1の線幅を有する第1の配線パターンと、前記第1の線幅とは異なる幅の第2の線幅を有する第2の配線パターンとを形成する際、前記第1の配線パターンを形成するための第1の吐出動作と、前記第2の配線パターンを形成するための第2の吐出動作とをそれぞれ独立して行うように前記液滴吐出装置の吐出動作を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、線幅の異なる配線パターン毎に、吐出条件をそれぞれ独立して設定し、液滴吐出動作(パターン描画動作)を行うようにしたので、それぞれのパターンに最適な吐出条件でパターンを形成するための吐出動作を行うことができる。したがって、異なる線幅のパターン形成に際し、安定した吐出動作を維持し所望の精度を有するパターンを形成することができる。
【0014】
本発明のデバイスの製造方法において、前記第1の工程における前記吐出動作で吐出する液滴の1滴当たりの量と、前記第2の工程における前記吐出動作で吐出する液滴の1滴当たりの量とを異なる値に設定する構成が採用される。
これにより、最適な液滴量で異なる線幅を有する配線パターンを形成できる。
【0015】
本発明のデバイスの製造方法において、前記液滴吐出装置と前記基板とを所定方向に相対移動しつつ前記吐出動作を行い、前記第1の工程における前記吐出動作を第1の移動時に行い、前記第2の工程における前記吐出動作を前記第1の移動とは別の第2の移動時に行う構成が採用される。
これにより、液滴吐出装置に対して基板を走査しつつ、第1の走査吐出時において第1の配線パターンを形成し、第2の走査吐出時において第2の配線パターンを形成することができる。
【0016】
本発明のデバイスの製造方法において、前記液体材料は、導電性微粒子を含む液状体によってなる構成が採用される。
これにより、導電性パターンを形成できる。
【0017】
本発明のデバイスは、上記記載のデバイス製造装置で製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、所望のパターン精度を有するパターンを備えたデバイスが提供される。
【0018】
本発明の電子機器は、上記記載のデバイスを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、優れたデバイス性能を有する電子機器が提供される。
【0019】
ここで、液滴吐出装置の液滴吐出方式としては、圧電体素子の体積変化により液体材料(流動体)を吐出させるピエゾジェット方式であっても、熱の印加により急激に蒸気が発生することにより液体材料を吐出させる方式であってもよい。
【0020】
液体材料とは、液滴吐出ヘッドのノズルから吐出可能(滴下可能)な粘度を備えた媒体をいう。水性であると油性であるとを問わない。ノズル等から吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。また、液体材料に含まれる材料は融点以上に加熱されて溶解されたものでも、溶媒中に微粒子として攪拌されたものでもよく、溶媒の他に染料や顔料その他の機能性材料を添加したものであってもよい。また、配線パターン(電気回路)とは回路素子間の電気的な協働関係により成り立つ部材であって、特定の電気的特徴や一定の電気的特性を有するものである。また基板はフラット基板を指す他、曲面状の基板であってもよい。さらにパターン形成面の硬度が硬い必要はなく、ガラスやプラスチック、金属以外に、フィルム、紙、ゴム等可撓性を有するものの表面であってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のデバイスの製造方法及びデバイス製造装置について説明する。図1は本発明のデバイス製造装置の一実施形態を示す概略斜視図である。本発明のデバイス製造装置は、液滴吐出ヘッドから基板に対して液滴を吐出(滴下)することによりデバイスを製造するインクジェット装置(液滴吐出装置)である。
【0022】
図1において、インクジェット装置IJは、インクジェットヘッド1と、X軸方向駆動軸4と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
【0023】
ステージ7は、このインクジェット装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0024】
インクジェットヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプのインクジェットヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、インクジェットヘッド1の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。インクジェットヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、例えば導電性微粒子を含むインク(液体材料)が吐出される。なお、ここで用いられる導電性微粒子は、例えば金、銀、銅、鉄、パラジウム、及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の表面にコーティングするコーティング材としては、例えばキシレン、トルエン等の有機溶剤やクエン酸等が挙げられる。
【0025】
X軸方向駆動軸4には、X軸方向駆動モータ2が接続されている。X軸方向駆動モータ2はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸4を回転させる。X軸方向駆動軸4が回転すると、インクジェットヘッド1はX軸方向に移動する。
【0026】
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0027】
制御装置CONTは、インクジェットヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ2にインクジェットヘッド1のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ3にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0028】
クリーニング機構8は、インクジェットヘッド1をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
【0029】
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0030】
本実施形態において、インクジェット装置IJは基板P上に配線パターンを形成する。したがって、インクには、配線パターン形成用材料である導電性微粒子(金属微粒子)が含まれている。インクは、金属微粒子を所定の溶媒及びバインダー樹脂を用いてペースト化したものである。金属微粒子としては、本実施例では例えば、金、銀、銅、鉄等が挙げられる。金属微粒子の粒径は5〜100μmであることが好ましく、可能な限り小さい(例えば5〜7μm)ことが好ましい。インクジェットヘッド1から基板Pに吐出された液体材料は、ヒータ15で熱処理されることにより導電性膜に変換(製膜)される。
【0031】
インクジェット装置IJは、インクジェットヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向(所定方向)、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。したがって、インクジェットヘッド1の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図1では、インクジェットヘッド1は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、インクジェットヘッド1の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、インクジェットヘッド1の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0032】
次に、上述したインクジェット装置IJを用いて配線パターンを形成する方法について説明する。以下の説明では、インクジェット装置IJを用いてプラズマ表示装置の配線パターンを形成する例について説明する。
【0033】
図2はプラズマ表示装置のブロック図の一例を示す図である。図2において、プラズマ表示装置52は、マトリクス形式のカラー表示デバイスであるAC型のプラズマディスプレイパネル51と、画面(スクリーン)を構成する多数のセルを選択的に点灯させるための駆動ユニット53とからなる。プラズマディスプレイパネル51は、一対のサステイン電極Xd、Ydが平行配置された面放電形式のプラズマディスプレイパネルであり、各セルにサステイン電極Xd、Ydとアドレス電極Aとが対応する3電極構造の電極マトリクスを有している。サステイン電極Xd、Ydは画面のライン方向(水平方向)に延び、一方のサステイン電極Ydはアドレッシングに際してライン単位にセルを選択するためのスキャン電極として用いられる。アドレス電極Aは列単位にセルを選択するためのデータ電極であり、列方向(垂直方向)に延びている。駆動ユニット53は、コントローラ54、フレームメモリ55,Xドライバ回路56、Yドライバ回路57、アドレスドライバ回路58、及び図示しない電源回路を有している。駆動ユニット53には外部装置から各ピクセルのRGBの輝度レベル(階調レベル)を示す多値の映像データDR、DG、DBが、各種の同期信号とともに入力される。映像データDR、DG、DBは、フレームメモリ55に一旦格納された後、コントローラ54により各色毎にサブフレームデータDsfに変換され、再びフレームメモリ55に格納される。サブフレームデータDsfは、階調表示のために1フレームを分割した各サブフレームにおけるセルの点灯の要否を示す2値データの集合である。Xドライバ回路56はサステイン電極Xdに対する電圧印加を担い、Yドライバ回路57はサステイン電極Ydに対する電圧印加を担う。アドレスドライバ回路58は、フレームメモリ55から転送されたサブフレームデータDsfに応じて、アドレス電極Aに選択的にアドレス電極を印加する。
【0034】
図3は、図2に示したプラズマ表示装置の配線のうちの一部を示した拡大模式図である。図3に示す模式図において、基板P上には、X軸方向(第1の方向)に延在する直線パターン(第1パターン)31と、この直線パターン31に接続し、直線パターン31の延在方向に対して傾斜する(第1の方向に対して異なる)方向(第2の方向)に延在する傾斜線パターン(第2パターン)32とが形成されている。傾斜線パターン32は、例えば図2におけるドライバ回路とサステイン電極とを接続する引き出し線である。一方、直線パターン31は、例えばサステイン電極である。以下の説明では、図3に示した直線パターン31と傾斜線パターン32とを有する配線パターン30を形成する場合の手順を例に説明する。
【0035】
まず、インクジェット装置IJの制御装置CONTは、図4に示すように、基板P上に格子状の複数のビット(単位領域)からなるビットマップを設定する。ここで、制御装置CONTは、直線パターン31を形成するために、所定の大きさD1を有する第1ビット(第1の単位領域)からなる第1ビットマップ(第1のエリア)BM1と、傾斜線パターン32を形成するために、第1ビットとは異なる大きさD2を有する第2ビット(第2の単位領域)からなる第2ビットマップ(第2のエリア)BM2とを基板P上に設定する。本実施形態において、ビットは正方形状に設定されている。ここで、傾斜線パターン32を形成するための第2ビットの大きさD2は、直線パターン31を形成するための第1ビットの大きさD1より小さく設定されている。第2ビットを第1ビットより細かく設定することにより、傾斜線パターン32を所望の形状に設定できる。すなわち、図6(a)に示す模式図のように傾斜線パターンを第1ビットで形成するより、図6(b)に示す模式図のように傾斜線パターンを第2ビットで形成するほうが、傾斜線パターンの縁部が例えば階段状など異常な形状で形成される不都合の発生を抑えることができる。
【0036】
次いで、制御装置CONTは、図5(a)に示すように、基板P上に設定した第1ビットマップBM1に基づいて、基板Pに対してX軸方向に走査しつつ、第1ビットマップBM1の複数のビットのうち、所定のビットに対する液滴の吐出動作(第1の吐出動作)を行う。基板P上には、直線パターン31が形成される。
【0037】
次いで、制御装置CONTは、基板Pに対するビットマップの設定を変更する。すなわち、制御装置CONTは、傾斜線パターン32を形成するために、図5(b)に示すように、直線パターン31に対して所定位置に第2ビットマップBM2を設定する。ここで、基板P上には不図示のアライメントマークが形成されており、インクジェット装置IJには前記アライメントマークを用いて基板Pの位置を検出するアライメント装置が設けられている。制御装置CONTは、アライメント装置を用いて基板Pの位置を検出し、この検出結果に基づいて、直線パターン31に対して第2ビットマップBM2を所定位置に設定する。
【0038】
制御装置CONTは、図5(b)に示すように、基板P上に設定した第2ビットマップBM2に基づいて、基板Pに対してX軸方向に走査しつつ、第2ビットマップBM2の複数のビットのうち、所定のビットに対する液滴の吐出動作(第2の吐出動作)を行う。基板P上には、傾斜線パターン32が形成される。ここで、第2ビットは第1ビットに対して小さい(細かい)ビットであるため、制御装置CONTは、第2吐出動作時において吐出する1滴当たりの液滴量を、第1吐出動作時より小さく(少なく)設定する。また、制御装置CONTは、第2吐出動作時における吐出時間間隔を第1吐出動作時より短く設定する(換言すれば、吐出周波数を高くする)。あるいは、制御装置CONTは、第2の吐出動作時におけるインクジェットヘッド1の走査速度を第1の吐出動作時より遅く設定する。このように、制御装置CONTは、直線パターン(第1パターン)31を形成するための第1の吐出動作と、傾斜線パターン(第2パターン)32を形成するための第2の吐出動作とを、それぞれ異なる吐出条件(描画条件)に設定し、それぞれ独立して行う。
【0039】
ここで、第1の吐出動作で基板P上に直線パターン31を形成した後、第2の吐出動作で直線パターン31に接続する傾斜線パターン32を形成する際、直線パターン31に対して離れた位置から接近する方向に向かって、すなわち−X側から+X側に向かって第2ビットに対して順次吐出を行い、直線パターン31に傾斜線パターン32を接続するようにするとよい。これは、例えば、図7(a)に示す模式図のように、基板P上に既に形成されている直線パターン31に対して近い位置から離れた位置に向かって順次吐出動作を行うと、吐出した液滴が直線パターン31に引き込まれる現象が生じ、接続部の形状が歪み、図中、破線で示す傾斜線パターンの目標形状と実際の形状とが異なる場合があるからである。しかしながら、図7(b)に示す模式図のように、基板P上に既に形成されている直線パターン31に対して離れた位置から接近する方向に向かって液滴を吐出することにより、接続部において吐出された液滴には、既に基板P上に形成されている傾斜線パターン32及び直線パターン31の双方に引き込まれる力が作用するため、接続部の形状が大きく歪むといった不都合の発生を回避することができる。
【0040】
以上説明したように、形態の異なるパターン毎に、液滴を吐出するためのビットマップをそれぞれ設定し、これら異なるパターン毎に独立して液滴吐出動作(パターン描画動作)を行うようにしたので、例えば直線パターン31を形成するための吐出動作を大きい(粗い)ビットで且つ走査速度を高速に設定して行っても、所定のパターン精度が得られるのでスループットを向上でき、また、傾斜線パターン32を形成するための吐出動作を小さい(細かい)ビットで且つ液滴の1滴当たりの量を少なくして吐出動作を行うことにより、高いパターン精度が得られる。このように、本実施形態では、それぞれのパターンに最適な吐出条件でパターンを形成するための吐出動作を行うことができ、安定した吐出動作を維持しつつスループットを向上でき、所望の精度を有するパターンを形成することができる。したがって、断線などの不具合の発生を抑え、高性能なデバイスを製造できる。
【0041】
上記実施形態では、第1の吐出動作の後に、第2の吐出動作を行うように説明したが、第1の吐出動作後、基板P(直線パターン)に対して撥液処理及び親液処理を含む表面処理を行ってから、第2の吐出動作を行うようにしてもよい。こうすることにより、例えば直線パターン31と傾斜線パターン32との接続部における形状を所望の形状にすることができる。更に、第1の吐出動作後、図1に示したヒータ15を用いて基板P上の液滴をアニールした後、第2の吐出動作を行うこともできるし、アニーリングを行わずに、第1の吐出動作後、直ちに第2の吐出動作を行うようにしてもよい。
【0042】
上記実施形態では、延在方向の異なる直線パターン31と傾斜線パターン32とを形成する場合について説明したが、線幅の異なる第1の配線パターン及び第2の配線パターンを形成する際も同様である。この場合、制御装置CONTは、第1の配線パターンを形成するための第1の吐出動作時において吐出する液滴の1滴当たりの量と、第2の配線パターンを形成するための第2の吐出動作時において吐出する液滴の1滴当たりの量とを異なる値に設定して吐出動作を行う。例えば、第1の配線パターンの線幅が第2の配線パターンに線幅に対して太い場合、制御装置CONTは第1の吐出動作時における液滴の1滴当たりの量を、第2の吐出動作時における液滴の1滴当たりの量より多く設定する。あるいは、走査方向(X軸方向)に延在する直線状の配線パターンを形成する際には、インクジェットヘッド1のうち走査方向と交わる方向に並んで設けられた複数の吐出ノズルの吐出間隔を調整することによっても、線幅調整を行うことができる。
【0043】
また、図8(a)に示す模式図のように、基板P上に、はじめに太い線幅の配線パターン33を形成しておいてから、細い線幅の配線パターン34を形成するための吐出動作を行うと、吐出した液滴が太い線幅の配線パターン33に引き込まれる現象が生じ、接続部の形状が歪み、図中、破線で示す傾斜線パターンの目標形状と実際の形状とが異なるといった不都合が生じる場合があるが、図8(b)に示すように、基板P上に、はじめに細い線幅の配線パターン34を形成しておいてから、太い線幅の配線パターン33を形成するための吐出動作を行うことにより、細い線幅の配線パターン34に太い線幅の配線パターン33を形成するための液滴が引き込まれるといった現象が生じるおそれを低減することができる。また、基板Pに細い線幅の配線パターン34を形成した後、基板P(配線パターン34)に親液処理(撥水性低下処理)を行ってから太い線幅の配線パターン33を形成するための吐出動作を行うようにしてもよい。もちろん、基板Pに太い線幅の配線パターン34を形成した後、基板P(配線パターン33)に撥液処理を行ってから細い線幅の配線パターン34を形成するための吐出動作を行うようにしてもよい。
【0044】
上記実施形態では、本発明のデバイスの製造方法をプラズマ表示装置を製造する場合に適用した例について説明したが、これに限らず、複数の形態を有する配線パターンを備えたデバイス、例えば、有機エレクトロルミネッセンス装置に形成される配線パターンの製造、あるいは液晶表示装置に形成される配線パターンの製造に対してももちろん適用可能である。さらには、本発明が適用できるデバイスは、これら液晶等の電気光学装置に限られず、例えば導電膜配線が形成される回路基板や、半導体の実装配線等、他のデバイス製造にも適用が可能である。
【0045】
上記実施形態のデバイスの製造方法で製造したプラズマ表示装置(デバイス)を備えた電子機器の例について説明する。
図9は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図9において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL表示装置を用いた表示部を示している。
【0046】
図10は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図10において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の有機EL表示装置を用いた表示部を示している。
【0047】
図11は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の有機EL表示装置を用いた表示部を示している。
【0048】
図9〜図11に示す電子機器は、上記実施形態の表示装置を備えているので、表示品位に優れ、明るい画面の表示部を備えた電子機器を実現できる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、形態の異なるパターン毎にビットマップをそれぞれ設定し、これら異なるパターン毎に独立してパターン描画動作を行うようにしたので、それぞれのパターンに最適な吐出条件でパターンを形成するための吐出動作を行うことができる。したがって、安定した吐出動作を維持しつつスループットを向上でき、高性能なデバイスを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデバイス製造装置の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明のデバイスの製造方法が適用されるデバイスの一例であってプラズマ表示装置のブロック図である。
【図3】配線パターンの模式図である。
【図4】本発明のデバイスの製造方法を説明する図であって、基板上に設定されるビットマップを説明するための図である。
【図5】本発明のデバイスの製造方法を説明する図である。
【図6】ビットの大きさによる配線パターン形状の違いを説明するための図である。
【図7】本発明のデバイスの製造方法を説明する図である。
【図8】本発明のデバイスの製造方法を説明する図である。
【図9】本発明のデバイスを備えた電子機器の一例を示す説明図である。
【図10】本発明のデバイスを備えた電子機器の一例を示す説明図である。
【図11】本発明のデバイスを備えた電子機器の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
30 配線パターン
31 直線パターン(第1パターン)
32 傾斜線パターン(第2パターン)
33 第1の配線パターン
34 第2の配線パターン
BM1 第1ビットマップ(第1のエリア)
BM2 第2ビットマップ(第2のエリア)
CONT 制御装置
IJ インクジェット装置(液滴吐出装置、デバイス製造装置)
P 基板
Claims (4)
- 液体材料からなる液滴を、基板上の格子状の複数の単位領域に液滴吐出装置より吐出し、所定のパターンを形成する工程を有するデバイスの製造方法において、
前記基板上の第1の領域に前記液滴吐出装置により直線パターンを形成する第1の吐出工程と、
前記基板上の前記第1の領域に接する第2の領域に前記液滴吐出装置により傾斜線パターンを形成する第2の吐出工程とをこの順番で有し、
前記第2の吐出工程は、前記第1の吐出工程よりも小さく設定された前記単位領域のそれぞれに対して液滴を吐出し、前記直線パターンに対して傾斜した前記傾斜線パターンを、前記直線パターンに対して離れた位置から接近する方向に向かって形成すること
を特徴とする、デバイス製造方法。 - 前記液滴吐出装置と前記基板とを所定方向に相対移動しつつ前記吐出動作を行い、
前記第1の工程の吐出動作を第1の移動時に行い、前記第2の工程の吐出動作を前記第1の移動とは別の第2の移動時に行うことを特徴とする請求項1記載のデバイスの製造方法。 - 前記液体材料は、導電性微粒子を含む液状体によってなることを特徴とする請求項1又は2記載のデバイスの製造方法。
- 基板上の格子状の複数の単位領域に液体材料の液滴を吐出する液滴吐出装置を備えたデバイス製造装置において、
前記基板上の第1の領域に前記液滴吐出装置により直線パターンを形成する第1の吐出動作と、
前記基板上の前記第1の領域に接する第2の領域に前記液滴吐出装置により傾斜線パターンを形成する第2の吐出動作とを独立して制御し、
前記第2の吐出動作の際には、前記第1の直吐出動作の際よりも小さく設定された前記単位領域のそれぞれに対して液滴を吐出し、前記直線パターンに対して傾斜する前記傾斜線パターンを、前記直線パターンに対して離れた位置から接近する方向に向かって形成するように制御する制御装置を備えることを特徴とするデバイス製造装置。
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