JP2003318515A - 膜パターンの形成方法及び膜パターン形成装置、デバイスの製造方法及び製造装置、デバイス及び電子機器 - Google Patents

膜パターンの形成方法及び膜パターン形成装置、デバイスの製造方法及び製造装置、デバイス及び電子機器

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JP2003318515A
JP2003318515A JP2002119444A JP2002119444A JP2003318515A JP 2003318515 A JP2003318515 A JP 2003318515A JP 2002119444 A JP2002119444 A JP 2002119444A JP 2002119444 A JP2002119444 A JP 2002119444A JP 2003318515 A JP2003318515 A JP 2003318515A
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Japan
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substrate
liquid repellency
film pattern
liquid
treatment
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Application number
JP2002119444A
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English (en)
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Takashi Hashimoto
貴志 橋本
Masahiro Furusawa
昌宏 古沢
Hiroshi Takiguchi
宏志 瀧口
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の撥液性を維持したまま、基板と膜パタ
ーンとの密着力を向上できる膜パターンの形成方法を提
供する。 【解決手段】 本発明の膜パターンの形成方法は、基板
上にフルオロアルキルシランからなる自己組織化膜を形
成するFAS処理工程S8と、FAS処理が施された基
板の撥液性を低下する撥液性低下処理工程S10と、撥
液性低下処理が施された基板上に液滴を吐出する液滴吐
出工程S11とを有する。更に、撥液性低下処理を施す
前と後での撥液性低下処理条件に応じた基板と液滴との
接触角の変化量を予め求める工程S5と、求めた結果に
基づいて撥液性低下処理条件を設定する工程S9とを有
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に膜パター
ンを形成する膜パターンの形成方法及び装置、膜パター
ンを備えたデバイスの製造方法及び装置、並びにデバイ
ス及び電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体集積回路など微細な配
線パターン(膜パターン)を有するデバイスの製造方法
としてフォトリソグラフィー法が多用されているが、特
開平11−274671号公報、特開2000−216
330号公報などに開示されているように、液滴吐出方
式を用いたデバイスの製造方法が注目されている。上記
公報に開示されている技術は、基板上のパターン形成領
域にパターン形成用材料を含んだ液体材料からなる液滴
を液滴吐出ヘッドから吐出することにより基板上に材料
を配置し、配線パターンを形成するものであり、少量多
種生産に対応可能である点などにおいて大変有効であ
る。
【0003】液滴吐出方式で基板上にパターンを形成す
る際、基板に対して撥液処理及び親液処理を行い、基板
と吐出された液滴との接触角を制御することが行われて
いる。撥液処理及び親液処理を行って接触角を制御する
ことにより、パターン形状(パターン線幅)やパターン
形成位置が制御される。例えば、撥液処理が行われた基
板上では液滴の接触角が高くなるため、線幅が小さく、
膜厚が厚いパターンが形成される。撥液処理としてはC
F4プラズマ処理やFAS処理が知られており、親液処
理としてはO2プラズマ処理や紫外線(UV)照射処理
が知られている。FAS処理は、基板上にフルオロアル
キルシランからなる自己組織化膜を形成することによ
り、基板に撥液性を付与する処理である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、撥液処理と
して基板にFAS処理を施した場合、FAS処理を施さ
れた基板とこの基板上に形成された膜パターンとが剥離
しやすくなるといった問題が生じるようになった。これ
は、FAS処理することにより基板表面に配置されたフ
ルオロアルキル基が、吐出された液滴(膜パターン)と
基板との密着力を低下するためである。FAS処理条件
を調整し、基板上のフルオロアルキル基の数を減らすこ
とにより密着力を向上することが考えられるが、フルオ
ロアルキル基の数が少なすぎて撥液性が十分に得られな
いと、吐出した液滴が基板上で濡れ広がるため微細な膜
パターンを形成できない。また、従来、FAS処理条件
を調整することのみにより基板上のフルオロアルキル基
の数を微調整することは困難であった。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、所望の撥液性を維持したまま、基板と膜パター
ンとの密着力を向上できる膜パターンの形成方法及び形
成装置、この膜パターンの形成方法及び形成装置を用い
たデバイスの製造方法及び製造装置、並びにデバイス及
び電子機器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の膜パターンの形成方法は、基板上に設定さ
れたパターン形成領域に対して所定の材料を含む液体材
料からなる液滴を吐出し、前記パターン形成領域に膜パ
ターンを形成する膜パターンの形成方法において、前記
基板上にフルオロアルキルシランからなる自己組織化膜
を形成するFAS処理工程と、前記FAS処理が施され
た前記基板の撥液性を低下する撥液性低下処理工程と、
前記撥液性低下処理が施された前記基板上に前記液滴を
吐出する液滴吐出工程とを有し、前記撥液性低下処理を
施す前と後での該撥液性低下処理条件に応じた前記基板
と前記液滴との接触角の変化量を予め求め、前記求めた
結果に基づいて前記撥液性低下処理条件を設定し、該設
定条件に基づいて前記撥液性低下処理工程を行うことを
特徴とする。
【0007】また、本発明の膜パターン形成装置は、基
板上に設定されたパターン形成領域に対して所定の材料
を含む液体材料からなる液滴を吐出可能な液滴吐出装置
を備えた膜パターン形成装置において、前記基板上にフ
ルオロアルキルシランからなる自己組織化膜を形成する
FAS処理装置と、前記FAS処理が施された前記基板
の撥液性を低下する撥液性低下処理装置と、前記撥液性
低下処理を施す前と後での該撥液性低下処理条件に応じ
た前記基板と前記液滴との接触角の変化量に関する情報
が予め記憶されている記憶装置と、前記記憶装置に記憶
されている前記変化量に関する情報に基づいて前記撥液
性低下処理条件を設定し、該設定条件に基づいて前記撥
液性低下処理装置を制御する制御装置とを備えることを
特徴とする。
【0008】本発明によれば、基板に対してFAS処理
を施すことにより、基板に撥液性が付与される。そし
て、FAS処理が施された基板に対して撥液性を低下さ
せる撥液性低下処理を施すことにより、基板上のフルオ
ロアルキル基が低減されるので、基板に吐出された液滴
(膜パターン)と基板との密着力を向上できる。ここ
で、撥液性低下処理条件は、例えば実験的に予め求めら
れている、基板に撥液性低下処理を施す前と後での基板
と液滴との接触角の変化量に基づいて設定されるので、
撥液性低下処理後も所望の接触角で基板に液滴を配置で
きる。したがって、基板に対する密着力を維持しつつ所
望の形状(線幅)を有するパターンを基板上に形成でき
る。
【0009】本発明の膜パターンの形成方法において、
前記撥液性低下処理を施す前の前記基板と前記液滴との
接触角と、前記撥液性低下処理を施した後の前記基板と
前記液滴との接触角との差が、予め設定された設定値以
下となるように、前記撥液性低下処理条件を設定する構
成が採用される。これにより、前記設定値を小さくする
ことで撥液性低下処理の前と後とでの接触角をほぼ同じ
値に維持できるので、所望の形状(線幅)を有するパタ
ーンを形成できる。
【0010】本発明の膜パターンの形成方法において、
前記撥液性低下処理を施した後の前記基板と前記液滴と
の密着力が、予め設定した設定値以上となるように、前
記撥液性低下処理条件を設定する構成が採用される。こ
れにより、例えば、異なる撥液性低下処理条件でも、接
触角が大きく変化しない範囲においてより高い密着力を
得られる処理条件を選択できる。
【0011】本発明の膜パターンの形成方法において、
前記撥液性低下処理は前記基板に対する紫外線照射処理
を含む構成が採用される。また、本発明の膜パターン形
成装置において、前記撥液性低下処理装置は紫外線照射
装置を含む構成が採用される。これにより、基板に紫外
線(UV)を照射するだけといった簡易な構成で、FA
S処理で付与された撥液性を低下できる。
【0012】本発明の膜パターンの形成方法において、
紫外線照射時間を調整することにより前記接触角を制御
する構成が採用される。また、前記制御装置は、前記紫
外線照射装置の照射時間を制御する構成が採用される。
これにより、紫外線照射時間を調整するだけといった簡
易な構成で、基板と液滴との接触角を調整できる。
【0013】本発明の膜パターンの形成方法において、
前記紫外線照射時間と前記接触角との関係を予め求め、
該求めた結果に基づいて、前記照射時間を設定する構成
が採用される。すなわち、紫外線照射時間と接触角との
関係を例えば実験的に予め求めておき、この求めた結果
に基づいて紫外線照射時間を設定することにより、紫外
線照射処理後において基板と液滴との接触角を所望の値
にしつつ、基板と液滴(膜パターン)との密着力を向上
できる。
【0014】本発明の膜パターンの形成方法において、
前記紫外線照射後の前記基板と前記液滴との密着力が、
予め設定した設定値以上となるように、前記照射時間を
設定する構成が採用される。これにより、例えば、異な
る紫外線照射時間でも、接触角が大きく変化しない範囲
においてより高い密着力を得られる照射時間を選択でき
る。
【0015】本発明の膜パターンの形成方法において、
前記基板上における単位面積当たりの紫外線照射量を調
整することにより前記接触角を制御する構成が採用され
る。すなわち、接触角の調整(撥液性の調整)、ひいて
は密着力の調整は、紫外線照射の照射時間の調整の他
に、単位面積当たりの紫外線照射量を調整することによ
っても行うことができる。更に、照射する紫外線の波長
を調整することによっても接触角の調整を行うことがで
きる。
【0016】本発明のデバイスの製造方法は、基板上に
所定の膜パターンを形成する膜パターン工程を有するデ
バイスの製造方法において、前記膜パターン形成工程
は、前記基板上にフルオロアルキルシランからなる自己
組織化膜を形成するFAS処理工程と、前記FAS処理
が施された前記基板の撥液性を低下する撥液性低下処理
工程と、前記撥液性低下処理が施された前記基板上に前
記液滴を吐出する液滴吐出工程とを有し、前記撥液性低
下処理を施す前と後での該撥液性低下処理条件に応じた
前記基板と前記液滴との接触角の変化量を予め求め、前
記求めた結果に基づいて前記撥液性低下処理条件を設定
し、該設定条件に基づいて前記撥液性低下処理工程を行
うことを特徴とする。また、本発明のデバイス製造装置
は、膜パターンを備えたデバイス製造装置において、上
記記載の膜パターン製造装置を備えることを特徴とす
る。
【0017】本発明によれば、上記記載の膜パターンの
形成方法あるいは形成装置により膜パターンを形成する
ので、基板との密着力に優れ、且つ所望の形状(線幅)
を有する膜パターンを備えたデバイスを製造できる。
【0018】本発明のデバイスは、上記記載のデバイス
製造装置により製造されたことを特徴とする。本発明に
よれば、基板との密着力に優れ、且つ所望の形状(線
幅)を有する膜パターンを備えたデバイスが提供され
る。ここで、本発明におけるデバイスは、所定の膜パタ
ーンを有する素子及び装置を含む。
【0019】本発明の電子機器は、上記記載のデバイス
を有することを特徴とする。本発明によれば、優れた性
能を有する電子機器が提供される。
【0020】ここで、上記液滴吐出装置(インクジェッ
ト装置)の吐出方式としては、圧電体素子の体積変化に
より液体材料を吐出させるピエゾジェット方式であって
も、熱の印加により急激に蒸気が発生することにより液
体材料の液滴を吐出させる方式であってもよい。
【0021】液体材料(流動体)とは、液滴吐出ヘッド
(インクジェットヘッド)の吐出ノズルから吐出可能
(滴下可能)な粘度を備えた媒体をいう。水性であると
油性であるとを問わない。ノズル等から吐出可能な流動
性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入して
いても全体として流動体であればよい。また、液体材料
に含まれる材料は、溶媒中に微粒子として分散されたも
のの他に、融点以上に加熱されて溶解されたものでもよ
く、溶媒の他に染料や顔料その他の機能性材料を添加し
たものであってもよい。また、基板はフラット基板のほ
か、曲面状の基板であってもよい。さらにパターン形成
面の硬度が硬い必要はなく、ガラスやプラスチック、金
属以外に、フィルム、紙、ゴム等可撓性を有するものの
表面であってもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明において、液滴吐出法と
は、液滴を所望の領域に吐出することにより、被吐出物
を含む所望パターンを形成する方法であり、インクジェ
ット法と呼ぶこともある。但し、この場合、吐出する液
滴は、印刷物に用いられる所謂インクではなく、デバイ
スを構成する材料物質を含む液状体であり、この材料物
質は、例えばデバイスを構成する導電物質又は絶縁物質
として機能し得る物質を含むものである。さらに、液滴
吐出とは、吐出時に噴霧されるものに限らず、液状体の
1滴1滴が連続するように吐出される場合も含む。以
下、本発明の膜パターン形成装置及びデバイスの製造装
置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発
明のデバイスの製造装置としての膜パターン形成装置の
一実施形態を示す概略構成図である。図1に示すよう
に、パターン形成装置SYSは、基板P上にフルオロア
ルキルシラン(FAS)からなる自己組織化膜を形成す
るFAS処理装置Fと、基板Pに対して紫外光(UV)
を照射する紫外線照射装置(撥液性低下処理装置)U
と、基板Pに設定されたパターン形成領域に対して液体
材料からなる液滴を吐出する液滴吐出装置(インクジェ
ット装置)IJとを備えている。
【0023】自己組織化膜(自己組織化単分子膜:SA
M(Self Assembled Monolayer))とは、基板の表層原
子と反応可能な結合性官能基とそれ以外の直鎖分子とか
らなり、直鎖分子の相互作用により極めて高い配向性を
有する化合物を配向させて形成された膜である。この自
己組織化膜は単分子を配向させて形成されているので、
膜厚が極めて薄く、しかも、分子レベルで均一な膜とな
る。すなわち、膜の表面に同じ分子が位置するため、膜
の表面に均一でしかも優れた撥液性を付与することがで
きる。
【0024】図2は、上記の高い配向性を有する化合物
として、フルオロアルキルシラン(FAS)を用いた場
合の基板Pの表面状態を示す模式図である。図2に示す
ように、膜の表面にフルオロアルキル基が位置するよう
に化合物が配向されて自己組織化膜が形成されるので、
膜の表面に均一な撥液性が付与される。このような自己
組織化膜を形成する化合物であるFASとしては、ヘプ
タデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルト
リエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,
2テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカ
フルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリクロ
ロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒ
ドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−
1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリメトキシシラ
ン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオ
クチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメ
トキシシラン等が挙げられる。使用に際しては、一つの
化合物を単独で用いるのも好ましいが、2種以上の化合
物を組み合わせて使用してもよい。
【0025】FASは、一般に構造式Rn−Si−X
(4−n)で表される。ここで、nは1以上3以下の整
数を表し、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子
などの加水分解基である。またRはフルオロアルキル基
であり、(CF3)(CF2)x(CH2)yの(ここ
でxは0以上10以下の整数を、yは0以上4以下の整
数を表す)構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合
している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも
良いし、異なっていてもよい。Xで表される加水分解基
は加水分解によりシラノールを形成して、基板Pの下地
のヒドロキシル基と反応してシロキサン結合で基板Pと
結合する。一方、Rは表面に(CF3)等のフルオロ基
を有するため、基板Pの下地表面を濡れない(表面エネ
ルギーが低い、撥液性が高い)表面に改質する。
【0026】図3は、FAS処理装置Fの概略構成図で
ある。FAS処理装置Fは基板PにFASからなる自己
組織化膜を形成し、撥液性を付与する。図3に示すよう
に、FAS処理装置Fは、チャンバ1と、チャンバ1内
に設けられ、基板Pを保持する基板ホルダ2と、液相状
態のFAS(液体FAS)を収容する容器3とを備えて
いる。基板ホルダ2は基板P上のパターン形成領域以外
の部分を保持する。そして、室温環境下で、チャンバ1
内に基板Pと液体FASを収容した容器3とを放置して
おくことにより、容器3内の液体FASが容器3の開口
部3aからチャンバ1に気相となって放出され、例えば
2〜3日程度で、基板P上にFASからなる自己組織化
膜が成膜される。また、チャンバ1全体を100℃程度
に維持することにより、3時間程度で基板P上に自己組
織化膜が成膜される。なお、自己組織化膜を形成する前
に、基板P表面に紫外光を照射したり、溶媒により洗浄
したりして、前処理を施すことが望ましい。
【0027】図4は、FAS処理が施された基板Pに対
して紫外光を照射する紫外線照射装置Uを示す模式図で
ある。図4に示すように、紫外線照射装置Uは、所定の
波長を有する紫外光(UV)を射出可能な紫外線射出部
11と、基板Pを支持するステージ12とを備えてい
る。紫外線射出部11から射出された紫外光はステージ
12に支持されている基板Pに照射される。ステージ1
2にはステージ駆動部13が設けられており、ステージ
駆動部13は基板Pを支持したステージ12を所定方向
に走査する。紫外線照射装置Uは、所定方向に基板Pを
走査しつつ紫外線射出部11から紫外光を射出すること
により、基板Pの少なくともパターン形成領域に対して
紫外光を照射する。基板Pが小さい場合は、基板Pを走
査せずに紫外光を照射してもよい。もちろん、紫外線射
出部11を移動しつつ基板Pに紫外光を照射してもよ
い。FAS処理により撥液性を付与された基板Pに対し
て紫外光を照射することにより、基板Pの撥液性は低下
する。ここで、紫外線照射装置Uは、基板Pの表面に対
して一様に紫外光を照射することも可能であるし、所定
のパターンを有するマスクMを介して基板Pに紫外光を
照射することも可能である。マスクMを介して基板Pに
紫外光を照射することにより、基板P上にはパターニン
グされた撥液性低下部(撥液性低下領域)が設定され
る。
【0028】紫外線照射装置U(紫外線射出部11)の
照射動作は制御装置CONTにより制御される。制御装
置CONTは、紫外線照射条件を設定し、この設定条件
に基づいて紫外線照射装置Uの照射動作を制御する。こ
こで、設定可能な紫外線照射条件は、基板Pに対する紫
外光の照射時間、基板Pの単位面積当たりに対する照射
量(光量)、及び照射する紫外光の波長のうち少なくと
も1つであり、制御装置CONTはこれらの条件のうち
少なくとも1つに基づいて照射動作を制御する。ここ
で、制御装置CONTは、後述するように、紫外線照射
処理を施す前と後での紫外線照射条件に応じた基板Pと
液滴との接触角の変化量に関する情報に基づいて、紫外
線照射条件を設定し、この設定した照射条件に基づい
て、紫外線照射装置Uを用いて基板Pに紫外光を照射す
る。この基板Pと液滴との接触角の変化量に関する情報
は予め記憶装置Rに記憶されており、制御装置CONT
は記憶装置Rに記憶されている前記情報に基づいて照射
条件を設定する。
【0029】図5は、液滴吐出装置(インクジェット装
置)IJを示す概略斜視図である。図5において、イン
クジェット装置IJは、インクジェットヘッド21と、
Y軸方向駆動軸24と、X軸方向ガイド軸25と、ステ
ージ27と、クリーニング機構28と、基台29と、ヒ
ータ35とを備えている。インクジェット装置IJの動
作は制御装置CONTにより制御される。
【0030】ステージ27は、このインクジェット装置
IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支
持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図
示の固定機構を備えている。
【0031】インクジェットヘッド21は、複数の吐出
ノズルを備えたマルチノズルタイプのインクジェットヘ
ッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。
複数の吐出ノズルは、インクジェットヘッド21の下面
にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。インク
ジェットヘッド21の吐出ノズルからは、ステージ27
に支持されている基板Pに対して、例えば導電性微粒子
を含むインク(液体材料)が吐出される。なお、ここで
用いられる導電性微粒子(所定の材料)は、例えば金、
銀、銅、鉄、パラジウム、及びニッケルのうちのいずれ
かを含有する金属微粒子の他、導電性ポリマーや超電導
体の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子
は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコー
ティングして使うこともできる。導電性微粒子の表面に
コーティングするコーティング材としては、例えばキシ
レン、トルエン等の有機溶剤やクエン酸等が挙げられ
る。
【0032】Y軸方向駆動軸24にはY軸方向駆動モー
タ22が接続されている。Y軸方向駆動モータ22はス
テッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸
方向の駆動信号が供給されると、Y軸方向駆動軸24を
回転する。Y軸方向駆動軸24が回転すると、インクジ
ェットヘッド21はY軸方向に移動する。
【0033】X軸方向ガイド軸25は、基台29に対し
て動かないように固定されている。ステージ27はX軸
方向駆動モータ23を備えている。X軸方向駆動モータ
23はステッピングモータ等であり、制御装置CONT
からX軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ27
をX軸方向に移動する。
【0034】制御装置CONTは、インクジェットヘッ
ド21に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、Y
軸方向駆動モータ22にインクジェットヘッド21のY
軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、X軸方向駆
動モータ23にステージ27のX軸方向の移動を制御す
る駆動パルス信号を供給する。
【0035】クリーニング機構28は、インクジェット
ヘッド21をクリーニングするものである。クリーニン
グ機構28には、図示しないX軸方向の駆動モータが備
えられている。このX軸方向の駆動モータの駆動によ
り、クリーニング機構は、X軸方向ガイド軸25に沿っ
て移動する。クリーニング機構28の移動も制御装置C
ONTにより制御される。
【0036】ヒータ35は、ここではランプアニールに
より基板Pを熱処理する装置であり、基板P上に塗布さ
れた液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。こ
のヒータ35の電源の投入及び遮断も制御装置CONT
により制御される。
【0037】本実施形態において、インクジェット装置
IJは基板P上に配線パターン(膜パターン)を形成す
る。したがって、インクには、配線パターン形成用材料
である導電性微粒子(金属微粒子)が含まれている。イ
ンクは、金属微粒子を所定の溶媒及びバインダー樹脂を
用いてペースト化したものである。金属微粒子として
は、本実施形態では例えば、金、銀、銅、鉄等が挙げら
れる。金属微粒子の粒径は5〜100nmであることが
好ましく、可能な限り小さい(例えば5〜7nm)こと
が好ましい。インクジェットヘッド21から基板Pに吐
出された液体材料は、ヒータ35で熱処理されることに
より導電性膜に変換(成膜)される。
【0038】インクジェット装置IJは、インクジェッ
トヘッド21と基板Pを支持するステージ27とを相対
的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。本実施
形態では、走査方向はX軸方向であり、非走査方向はY
軸方向である。したがって、インクジェットヘッド21
の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔
で並んで設けられている。
【0039】次に、上述した膜パターン形成装置SYS
を用いて基板Pに配線パターンを形成する方法につい
て、図6を参照しながら説明する。基板P上に配線パタ
ーンを形成するに際し、制御装置CONTは、まず、F
AS処理装置Fを用いてテスト用基板Ptに対してFA
S処理を施す(ステップS1)。次いで、制御装置CO
NTは、FAS処理が施されたテスト用基板Ptに対す
る紫外線照射時間(UV照射時間)を設定する(ステッ
プS2)。次いで、制御装置CONTは、ステップS2
で設定したUV照射時間に基づいて、FAS処理が施さ
れたテスト用基板Ptに対して紫外光(UV)を照射す
る(ステップS3)。次いで、制御装置CONTは、U
V照射処理が施されたテスト用基板Ptに対して、液滴
吐出装置IJより液滴を吐出する(ステップS4)。次
いで、テスト用基板Ptと吐出された液滴との接触角θ
が測定される(ステップS5)。接触角θは、図7
(a)の模式図に示すように、液滴の自由表面が基板P
(Pt)に接する場所において液滴の液面と基板の表面
とのなす角度である。なお、接触角θは、液体材料に含
まれる金属微粒子(所定の材料)の種類や形体、あるい
は用いられる溶媒、更には基板の表面状態に応じて変化
する。
【0040】次いで、制御装置CONTは、上記ステッ
プS1〜S5の一連の動作が所定回数に達したかどうか
を判別する(ステップS6)。そして、所定回数に達し
ていないと判断したら、制御装置CONTはステップS
1に戻る。すなわち、制御装置CONTは、UV照射時
間をそれぞれ異なる値に設定し、この設定した複数のU
V照射時間のそれぞれに基づいて、上記ステップS1〜
S5の一連の動作を行う。これにより、図7(b)に示
すように、複数のUV照射時間tのそれぞれと接触角θ
との関係が求められる。なお、図7(b)は、ステップ
S6における所定回数を10回に設定したときのUV照
射時間のそれぞれと接触角θとの関係をプロットした図
である。
【0041】ここで、ステップS2において設定するU
V照射時間は0も含まれる。すなわち、UV照射処理が
施されないテスト用基板Ptと液滴との接触角θも測定
される。したがって、制御装置CONTは、このUV照
射時間t=0におけるテスト用基板Ptと液滴との接触
角θ0を基準として、UV照射時間tと接触角θの変化
量との関係を求めることができる。
【0042】UV照射処理は、基板の撥液性を低下する
処理である。したがって、UV照射時間を長くすること
により基板の撥液性は低下され、これに伴って基板と液
滴との接触角は小さくなる。しかしながら、UV照射時
間と接触角の低下量とは比例せず、図7(b)に示すよ
うに、ある時間範囲内TRにおいては接触角θは大きく
変化せず、UV照射時間tが所定時間t1以上になった
ときに、接触角θが低下し始める。
【0043】ステップS6において、ステップS1〜S
5の処理が所定回数に達したと判断したら、制御装置C
ONTは前記複数(10回)の照射時間条件とそのとき
の接触角の測定値とに基づいて、UV照射時間と接触角
との関係(図7(b)のラインL参照)を例えば数値計
算を用いて導出する。そして、導出されたUV照射時間
と接触角との関係が記憶装置Rに記憶される(ステップ
S7)。
【0044】記憶装置CONTに、UV照射時間と接触
角(接触角の変化量)との関係が記憶されたら、デバイ
ス形成用の基板Pに上にフルオロアルキルシランからな
る自己組織化膜を形成するFAS処理工程が行われる
(ステップS8)。これにより、基板Pに撥液性が付与
される。
【0045】次いで、制御装置CONTは、記憶装置R
に記憶されている、UV照射時間と接触角との関係に基
づいて、基板Pに対するUV照射時間を設定する(ステ
ップS9)。ここで、制御装置CONTは、UV照射処
理(撥液性低下処理)を施す前の基板と液滴との接触角
(すなわち、照射時間0における接触角θ0)と、UV
照射処理を施した後の基板と液滴との接触角θsとの差
δ(図7(b)参照)が、予め設定された設定値以下と
なるように、UV照射時間(撥液性低下処理条件)ts
を設定する。具体的には、制御装置CONTは、UV照
射処理を行っても基板Pの撥液性を維持するために、照
射時間t=0における接触角θ0と、UV照射処理を施
した後の基板Pと液滴との接触角θsとがほぼ同じ値に
なるように、図7(b)に示したようなUV照射時間と
接触角との関係に基づいてUV照射時間tsを設定す
る。接触角θをUV照射前と後とで大きく変化させない
ようにすることにより、基板P上に吐出された液滴は濡
れ拡がらず、所望の線幅を有する配線パターンが形成さ
れる。
【0046】ここで、UV照射時間を長くする程、基板
Pと液滴(配線パターン)との密着力は向上する。した
がって、制御装置CONTは、予め設定してある所望の
密着力が得られるように、UV照射時間tsを設定す
る。本実施形態において、制御装置CONTは、接触角
θ0との差δが所定値以下(すなわち、接触角θ0に対
する変化量が所定量以下)であり、且つ、所定の密着力
を得るために、UV照射時間をt=tsに設定する。
【0047】次いで、制御装置CONTは、ステップS
9で設定したUV照射時間tsに基づいて、基板Pに対
するUV照射処理を行う(ステップS10)。基板P
は、所望の撥液性を維持しつつ、次の工程で吐出される
液滴を変換後の膜との密着力を向上する。
【0048】次いで、制御装置CONTは、ステップS
10でUV照射処理が施された基板Pに対して、インク
ジェット装置IJを用いて液滴を吐出する(ステップS
11)。基板P上に吐出された液滴は、基板Pと所望の
接触角を維持される。
【0049】以上説明したように、FAS処理で撥液性
を付与された基板Pに対して撥液性を低下させるUV照
射処理を施したことにより、基板P上のフルオロアルキ
ル基が低減されるので、基板Pに吐出された液滴と基板
Pとの密着力を向上できる。そして、このときのUV照
射時間は、予め求めておいた、基板PにUV照射処理を
施す前と後での液滴との接触角θの変化量に基づいて設
定されるので、UV照射処理後も所望の接触角θで基板
Pに液滴を配置できる。このように、基板Pに対する密
着力を維持しつつ所望の形状(線幅)を有するパターン
を基板P上に形成できる。
【0050】なお、上記実施形態では、基板Pの撥液性
を制御するために基板Pに対するUV照射時間を調整し
ているが、基板P上における単位面積当たりのUV照射
量を調整することにより、撥液性の制御、ひいては接触
角θの制御を行うようにしてもよい。更に、照射するU
Vの波長を調整することにより基板Pの撥液性を制御す
るようにしてもよい。
【0051】上記実施形態では、撥液性低下処理として
UV照射処理が行われる構成であるが、基板Pに対して
O2プラズマ処理を行うことにより、基板Pの撥液性を
低下するようにしてもよい。
【0052】<実験例1>複数のスライドガラス基板に
波長258nmの紫外光を10分間照射し表面の洗浄を
行った後、これら基板を10mlの液体FASとともに
チャンバ内に収容し、室温で72時間放置し、FAS処
理を行った。そして、FAS処理が施された複数の基板
に対して、波長258nmの紫外光をそれぞれ異なる時
間照射した。そして、水系の溶媒に金属微粒子を含有さ
せた液体材料(以下、「水系液体材料」と称する)、及
び有機溶剤系の溶媒に金属微粒子を含有させた液体材料
(以下、「溶剤系液体材料」と称する)を作成し、これ
ら水系液体材料及び溶剤系液体材料のそれぞれを前記基
板に吐出し、静的接触角、前進接触角、及び後退接触角
のそれぞれを測定した。図8に接触角とUV照射時間と
の関係を示す。図8(a)は、液体材料として水系液体
材料を使用した場合の接触角とUV照射時間との関係を
示すグラフであり、図8(b)は、液体材料として溶剤
系液体材料を使用した場合の接触角とUV照射時間との
関係を示すグラフである。
【0053】ここで、静的接触角とは、図9(a)に示
すように、静止液体の自由表面が水平な基板表面に接す
る場所において液面と基板表面とのなす角である。前進
接触角とは、例えば、図9(b)に示すように、傾斜基
板上で下方に滑落移動する液体において、傾斜する基板
表面のうち傾斜前方側(傾斜下方側)における液面と基
板表面とのなす角である。後退接触角とは、例えば、傾
斜基板上で下方に滑落移動する液体において、傾斜する
基板表面のうち傾斜後方側(傾斜上方側)における液面
と基板表面とのなす角である。
【0054】水系液体材料には、銀微粒子分散液を用い
た。銀微粒子分散液は、以下のようにして調整した。ま
ず、硝酸銀90mgを水500mlに溶解し、100℃
に加熱し、攪拌しながら更に1%濃度のクエン酸ナトリ
ウム水溶液10mlを加え、そのまま80分間沸騰させ
た。これによって凝集を防止するためのクエン酸で周囲
を覆われた銀コロイドを溶液中に分散した液体材料が得
られた。この銀コロイドの平均粒径は30nmで、分散
液の粘度は5cpで、表面張力は22mN/mであっ
た。溶剤系液体材料には、直径10nmの金微粒子をト
ルエン中に分散した金微粒子分散液(真空冶金社製、商
品名「パーフェクトゴールド」)にキシレンを添加し、
その粘度を8cp、表面張力を24mN/mとした液体
材料を用いた。
【0055】図8(a)に示すように、液体材料が水系
液体材料である場合、基板に対するUV照射時間が短く
ても、基板と液体材料の液滴との接触角は大きく変化す
る。一方、図8(b)に示すように、液体材料が溶剤系
液体材料である場合、UV照射時間がある所定の範囲で
は、基板と液体材料の液滴との接触角は大きく変化しな
い。また、水系液体材料及び溶剤系液体材料のそれぞれ
において、後退接触角のほうが前進及び静的接触角に比
べてUV照射時間が短い時点から低下しはじめ、水系液
体材料及び溶剤系液体材料の双方とも、前進及び静的接
触角のUV照射時間に関する低下率はほぼ同じである。
【0056】以上のように、UV照射時間を調整するこ
とにより、水系及び溶剤系液体材料の双方とも、前進及
び静的接触角は後退接触角に比べて先に低下せず、特に
溶剤系液体材料の場合、前進及び静的接触角は、所定の
UV照射時間範囲においてほぼ一定値となるので、この
前進及び静的接触角がほぼ一定値に維持される時間範囲
内において基板Pに対するUV照射を行うことにより、
基板P上に吐出された液滴形状(パターン線幅)を所定
形状に維持しつつ基板と液滴との密着性を向上できる。
【0057】<比較例1>上記実験例1と同様、スライ
ドガラス基板に対してFAS処理を行い、このFAS処
理が施された基板に対して、上記実験例1と同じ溶剤系
液体材料(金微粒子分散液)からなる液滴をインクジェ
ット装置IJを用いて吐出し、配線パターンを形成し
た。吐出液滴の体積が10plとなる吐出波形を用いて
吐出したところ、基板着弾後の液滴の直径は36μmで
あった。まず、1回目の吐出工程として、液滴が互いに
離れるようにドット間隔50μmで吐出し、長さ2cm
のラインパターンを20本描画した。そして、基板をホ
ットプレートにより100℃で5分間熱処理し、液滴の
溶媒成分を除いた。次に、2回目の吐出工程として、1
回目の吐出工程同様、ドット間隔50μmで、1回目の
吐出工程によるドットとドットとの中間位置に液滴が着
弾するように吐出を行い、全てのドットが繋がったライ
ンを形成した。この後、この基板をホットプレートによ
り300℃で30分間熱処理し、溶媒成分を除いて金か
らなるラインパターンに変換した。このラインパターン
の比抵抗は、5×10−6Ωcmであった。以上の工程
により得た20本の金からなるラインパターンに関し
て、3M社製メンディングテープにより剥離試験を行っ
たところ、全ラインパターンが剥離した。
【0058】<実験例2>上記実験例1と同様の方法で
基板に対するFAS処理を行った後、このFAS処理を
施した基板に対して258nmの紫外光を20秒間照射
した。そして、このUV照射処理が施された基板に対し
て、上記実験例1で使用した溶剤系液体材料(金微粒子
分散液)からなる液滴を、比較例1同様、インクジェッ
ト装置IJを用いて吐出し、ラインパターンを形成し
た。吐出液滴の体積が10plとなる吐出波形を用いて
吐出を行ったところ、基板着弾後の液滴の直径は比較例
1の場合と同じ36μmであった。すなわち、UV照射
を行うことで液滴の濡れ拡がり具合、すなわち接触角が
大きく変化することがなかった。比較例1と同じ方法
で、20本のラインパターンを形成し、3M社製メンデ
ィングテープにより剥離試験を行ったところ、全ライン
パターンの約80%が剥離した。
【0059】<実験例3>上記実験例1と同様の方法で
基板に対するFAS処理を行った後、258nmの紫外
光を100秒間照射した。そして、このUV照射処理が
施された基板に対して、上記実験例1で使用した溶剤系
液体材料(金微粒子分散液)からなる液滴を、比較例1
で使用したインクジェット装置IJを用いて吐出し、ラ
インパターンを形成した。吐出液滴の体積が10plと
なる吐出波形を用いて吐出を行ったところ、基板着弾後
の液滴の直径は比較例1の場合とほぼ同じ40μmであ
った。比較例1と同じ方法で、20本のラインパターン
を形成し、3M社製メンディングテープにより剥離試験
を行ったところ、全ラインパターンの約40%が剥離し
た。
【0060】<実験例4>上記実験例1と同様の方法で
基板に対するFAS処理を行った後、258nmの紫外
光を、30秒間、60秒間、90秒間、120秒間、1
50秒間、180秒間のそれぞれの照射時間で照射し
た。そして、このUV照射処理が施された基板のそれぞ
れに対して、上記実験例1で使用した溶剤系液体材料
(金微粒子分散液)、及び水系液体材料(銀微粒子分散
液)からなる液滴を、比較例1で使用したインクジェッ
ト装置IJを用いて吐出し、ラインパターンを形成し
た。比較例1の方法と同様、1回目の吐出工程では液滴
を互いに離して着弾させ、2回目の吐出工程では1回目
の吐出工程で形成されたドットとドットとの中間位置に
液滴を着弾させ、基板のそれぞれにおいて金からなるラ
インパターン及び銀からなるラインパターンを20本ず
つ形成した。そして、これらラインパターンに関して3
M社製メンディングテープにより剥離試験を行った。
【0061】図10に、吐出する液滴として金微粒子分
散液(溶剤系液体材料)及び銀微粒子分散液(水系液体
材料)からなる液滴を用いた場合の、UV照射時間と剥
離率及び形成されたパターン線幅との関係を示す。図1
0に示すように、UV照射時間が長くなるほど、金微粒
子分散液及び銀微粒子分散液からなるラインパターンの
双方とも、基板に対する密着力が向上して剥離率が低下
する。また、UV照射時間が長くなるほど、基板の撥液
性が低下して接触角が小さくなり(液滴が濡れ拡がりや
すくなり)、金微粒子分散液及び銀微粒子分散液からな
るラインパターンのそれぞれの線幅は太くなる。ここ
で、溶剤系液体材料である金微粒子分散液からなるパタ
ーン線幅は、UV照射時間が長くなっても大きく変化し
ないが、水系液体材料である銀微粒子分散液からなるパ
ターン線幅は、UV照射時間が長くなることに伴って大
きく変化する。
【0062】上記実施形態では、本発明の膜パターンの
形成方法を、回路基板の導電膜配線や半導体の実装配線
等の配線パターンを形成する場合を一例に説明したが、
これに限らず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス
装置、液晶表示装置、あるいはプラズマ表示装置等の電
気光学装置をはじめとする各種デバイスの材料層や配線
パターンを製造する場合についても適用可能である。
【0063】上記実施形態のデバイスの製造方法で製造
した膜パターンを有するデバイスの一例として、有機エ
レクトロルミネッセンス(EL)表示装置を備えた電子
機器の例について説明する。図11は、携帯電話の一例
を示した斜視図である。図11において、符号1000
は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL
表示装置を用いた表示部を示している。図12は、腕時
計型電子機器の一例を示した斜視図である。図12にお
いて、符号1100は時計本体を示し、符号1101は
上記の有機EL表示装置を用いた表示部を示している。
図13は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装
置の一例を示した斜視図である。図13において、符号
1200は情報処理装置、符号1202はキーボードな
どの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1
206は上記の有機EL表示装置を用いた表示部を示し
ている。図11〜図13に示す電子機器は、上記実施形
態の表示装置(デバイス)を備えているので、表示品位
に優れ、明るい画面の表示部を備えた電子機器を実現で
きる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、FAS処理により
撥液性が付与された基板に対して撥液性を低下させる撥
液性低下処理を施すことにより、基板に吐出された液滴
と基板との密着力を向上できる。そして、撥液性低下処
理条件は、基板に撥液性低下処理を施す前と後での液滴
との接触角の予め求められている変化量に基づいて設定
されるので、撥液性低下処理後も所望の接触角で基板に
液滴を配置できる。したがって、基板に対する密着力を
維持しつつ所望の形状(線幅)を有するパターンを基板
上に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターン形成装置の一実施形態を示す
概略構成図である。
【図2】FAS処理が施された基板表面を模式的に示す
図である。
【図3】FAS処理装置の概略構成図である。
【図4】UV照射装置の概略構成図である。
【図5】インクジェット装置の概略構成図である。
【図6】本発明のパターンの形成方法を説明するための
フローチャート図である。
【図7】記憶装置に記憶する撥液性低下処理条件に応じ
た基板と液滴との接触角の変化量に関する情報を説明す
るための図である。
【図8】UV照射時間と接触角との関係を求めるための
実験結果を示す図である。
【図9】前進、後退、及び静的接触角を説明するための
図である。
【図10】UV照射時間とパターン線幅及び剥離率との
関係を求める実験結果を示す図である。
【図11】本発明のデバイスが搭載された電子機器を示
す図である。
【図12】本発明のデバイスが搭載された電子機器を示
す図である。
【図13】本発明のデバイスが搭載された電子機器を示
す図である。
【符号の説明】
CONT 制御装置 F FAS処理装置 IJ インクジェット装置(液滴吐出装置) R 記憶装置 SYS 膜パターン形成装置 U UV照射装置(紫外線照射装置、撥液性低下処理
装置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀧口 宏志 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB18 DB03 FA01 4M104 AA10 BB04 BB05 BB07 BB08 BB09 BB36 DD22 DD51 HH08 5E343 AA12 AA26 AA40 BB25 BB72 CC63 DD12 ER18 FF05 GG02 GG08 5F033 GG04 HH00 HH07 HH11 HH13 HH14 HH16 HH40 PP26 QQ00 QQ53 SS21

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に設定されたパターン形成領域に
    対して所定の材料を含む液体材料からなる液滴を吐出
    し、前記パターン形成領域に膜パターンを形成する膜パ
    ターンの形成方法において、 前記基板上にフルオロアルキルシランからなる自己組織
    化膜を形成するFAS処理工程と、 前記FAS処理が施された前記基板の撥液性を低下する
    撥液性低下処理工程と、 前記撥液性低下処理が施された前記基板上に前記液滴を
    吐出する液滴吐出工程とを有し、 前記撥液性低下処理を施す前と後での該撥液性低下処理
    条件に応じた前記基板と前記液滴との接触角の変化量を
    予め求め、 前記求めた結果に基づいて前記撥液性低下処理条件を設
    定し、該設定条件に基づいて前記撥液性低下処理工程を
    行うことを特徴とする膜パターンの形成方法。
  2. 【請求項2】 前記撥液性低下処理を施す前の前記基板
    と前記液滴との接触角と、前記撥液性低下処理を施した
    後の前記基板と前記液滴との接触角との差が、予め設定
    された設定値以下となるように、前記撥液性低下処理条
    件を設定することを特徴とする請求項1記載の膜パター
    ンの形成方法。
  3. 【請求項3】 前記撥液性低下処理を施した後の前記基
    板と前記液滴との密着力が、予め設定した設定値以上と
    なるように、前記撥液性低下処理条件を設定することを
    特徴とする請求項1又は2記載の膜パターンの形成方
    法。
  4. 【請求項4】 前記撥液性低下処理は前記基板に対する
    紫外線照射処理を含むことを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか一項記載の膜パターンの形成方法。
  5. 【請求項5】 紫外線照射時間を調整することにより前
    記接触角を制御することを特徴とする請求項4記載の膜
    パターンの形成方法。
  6. 【請求項6】 前記紫外線照射時間と前記接触角との関
    係を予め求め、該求めた結果に基づいて、前記照射時間
    を設定することを特徴とする請求項4又は5記載の膜パ
    ターンの形成方法。
  7. 【請求項7】 前記紫外線照射後の前記基板と前記液滴
    との密着力が、予め設定した設定値以上となるように、
    前記照射時間を設定することを特徴とする請求項4〜6
    のいずれか一項記載の膜パターンの形成方法。
  8. 【請求項8】 前記基板上における単位面積当たりの紫
    外線照射量を調整することにより前記接触角を制御する
    ことを特徴とする請求項4記載の膜パターンの形成方
    法。
  9. 【請求項9】 基板上に設定されたパターン形成領域に
    対して所定の材料を含む液体材料からなる液滴を吐出可
    能な液滴吐出装置を備えた膜パターン形成装置におい
    て、 前記基板上にフルオロアルキルシランからなる自己組織
    化膜を形成するFAS処理装置と、 前記FAS処理が施された前記基板の撥液性を低下する
    撥液性低下処理装置と、 前記撥液性低下処理を施す前と後での該撥液性低下処理
    条件に応じた前記基板と前記液滴との接触角の変化量に
    関する情報が予め記憶されている記憶装置と、 前記記憶装置に記憶されている前記変化量に関する情報
    に基づいて前記撥液性低下処理条件を設定し、該設定条
    件に基づいて前記撥液性低下処理装置を制御する制御装
    置とを備えることを特徴とする膜パターン形成装置。
  10. 【請求項10】 前記撥液性低下処理装置は紫外線照射
    装置を含むことを特徴とする請求項9記載の膜パターン
    形成装置。
  11. 【請求項11】 前記制御装置は、前記紫外線照射装置
    の照射時間を制御することを特徴とする請求項10記載
    の膜パターン形成装置。
  12. 【請求項12】 基板上に所定の膜パターンを形成する
    膜パターン工程を有するデバイスの製造方法において、 前記膜パターン形成工程は、前記基板上にフルオロアル
    キルシランからなる自己組織化膜を形成するFAS処理
    工程と、 前記FAS処理が施された前記基板の撥液性を低下する
    撥液性低下処理工程と、 前記撥液性低下処理が施された前記基板上に前記液滴を
    吐出する液滴吐出工程とを有し、 前記撥液性低下処理を施す前と後での該撥液性低下処理
    条件に応じた前記基板と前記液滴との接触角の変化量を
    予め求め、 前記求めた結果に基づいて前記撥液性低下処理条件を設
    定し、該設定条件に基づいて前記撥液性低下処理工程を
    行うことを特徴とするデバイスの製造方法。
  13. 【請求項13】 膜パターンを備えたデバイスの製造装
    置において、 請求項9〜請求項11のいずれか一項記載の膜パターン
    製造装置を備えることを特徴とするデバイスの製造装
    置。
  14. 【請求項14】 請求項13記載のデバイスの製造装置
    により製造されたことを特徴とするデバイス。
  15. 【請求項15】 請求項14記載のデバイスを有するこ
    とを特徴とする電子機器。
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