JP4337040B2 - ゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維、その製造方法および繊維補強ゴム材料 - Google Patents

ゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維、その製造方法および繊維補強ゴム材料 Download PDF

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Description

本発明は、各種タイヤやホ−ス類あるいはそのライニング材、Vベルト・タイミングベルト等のベルト材に使用される耐久性に優れるゴム材料に関する。
ゴムの力学性能を向上させる目的で、各種天然繊維、化学繊維、合成繊維の短繊維をゴムと混合することは広く一般に行われ、最近ではアラミド繊維の短繊維を機械混練りにより混合し、ゴムの力学特性を飛躍的に向上される技術が知られている(例えば、特許文献1)。一般的にゴムは加硫工程を通常経ることが必要で、該短繊維は少なくとも融点の高い繊維が用いられることが通例で、、には、いわゆる「ゲル紡糸法」と呼ばれる特殊な紡糸方法で得られる高強度ポリエチレン繊維や(例えば、特許文献2,3)、近年では溶融紡糸でも高い強度を有するポリエチレン繊維が得られることが開示されている(例えば、特許文献4)。しかしながらこれらの高強度・高弾性率のポリエチレン繊維であってもそのままゴムに分散すると、ゴムとの接着不足や加硫時の温度にてポリエチレン繊維が溶融収縮し、ほとんど原型をとどめず、ゴムの補強効果は期待できないのが現状であり当該分野へは、冬季用乗用車タイヤ(いわゆるスタッドレスタイヤ)用の微細孔を発生させる目的以外は、その利用、特にゴムの補強目的としてほとんど利用されていなかった。
特開平08−109581号公報
特公昭60−47922号公報
特公昭62−257414号公報
特開2002−194616公報
しかしながら、最近、ポリエチレン繊維のような低融点の繊維であっても、その表面が一部溶融してゴムと一体化することで、加硫後も繊維の形態を残し、ゴムの補強材としてはむしろ、ゴムと繊維の表面接着性も良好で、優れた耐久性を有するタイヤが実現できる旨の技術が開示されている(例えば、特許文献5)。
特開2002−240506号公報
かかる技術に、例えば前述の「ゲル紡糸法」による高強度ポリエチレン繊維等を応用しようとした場合、価格の面で実用上優れた補強タイヤ材料を得ることが困難であり、さらには同繊維には「ゲル紡糸法」といういわば溶液を用いる乾式紡糸の手法を用いることにより、短繊維間に融着が生じ、実際ゴムとの混練りを実施する場合に均一分散の支障となっていた。
一方、上記の高強度ポリエチレン繊維の強度等にははるかに及ばないが溶融紡糸して得られたポリエチレン繊維を利用することは可能であるが、強度が高強度繊維の3分の1以下と補強効果が格段と落ちる事、市販されている溶融紡糸で得られるポリエチレン繊維の繊維(単繊維)の繊度が10dtex以上場合によっては数10dtexもあり、表面が溶融してゴムと一体化しても繊維の内部で凝集破壊が生じたり、繊維の比表面積が相対的に少なくなることから、補強効果は限定したものにならざるを得なかった。
さらに言えば、高強度ポリエチレン繊維も通常のポリエチレン繊維も、単繊維の半径方向での内部構造を仔細に分析すると、表面近傍の分子配向が内部よりも相対的に高いのが通常であり、これに相関して、糸の表面近傍の方が内部よりも融点が高いのが必定であった。これは、繊維が得られる紡糸過程等で溶融体より冷却固化される際に、表面より早く冷却が進むからであって、製造方法によらず避けられない現象である。
かかる繊維の本質的な問題点は、ゴムとの混練りプロセスにおいても問題となる、すなわち、表面を溶融する温度条件においては当然、糸の内部の低融点部分は既に軟化あるいは流動を開始しており、極端な場合、繊維の表面よりの熱伝達は瞬時におこり、表面が溶融すると同じに繊維全体が溶融する場合もあり、表面だけをゴムと接着して、内層は強度等の力学的性質を保持せしめるという目的の達成は非常に困難であった。かかる問題点の解消には従来の常識に逆らい、繊維の表面近傍が内部よりも融点が低い状態が好ましい。
表面近傍の融点を低下させる先行技術としては、低融点成分を糸の表面に配置したいわゆる、シ−スコア型の複合繊維を用いることが容易に挙げることができるが、シ−スコア型の複合繊維では、シ−ス部とコア部の界面をいかに強固にするのかという別の問題点が生じることと、ゴム補強等の分野では容認できない製造コストの増加を招き、現実的な解決策ではない。
軽量かつ十分の力学特性を保持してかつ、耐久性・耐候性に非常に優れる単繊維補強ゴムを提供する。
すなわち、本発明は、以下の構成を採用するものである。
1、繊維状態での重量平均分子量が300,000以下、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.0以下であり、強度14cN/dtex以上、弾性率500cN/dtex以上であり、繊維の表面近傍の融点が中心部よりも低いことを特徴とするゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維
2、高強度ポリエチレン短繊維の単繊維繊度が1.5dtex以下であることを特徴とする上記1記載のゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維
3、高強度ポリエチレン短繊維の平均繊維長が、1mm以上20mm以下であることを特徴とする上記1又は2に記載のゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維
4、繊維状態での重量平均分子量が300,000以下、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.0以下であるポリエチレンを、吐出線速度と巻き取り速度の比が100以上となる条件で溶融紡糸し、該繊維の結晶分散温度以下の温度で延伸した後、該繊維の結晶分散温度以上融点以下の温度で更に延伸して得られた繊維を、スチームで加熱処理し、次いで所定の長さにカットすることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維の製造方法。
5、上記1記載の高強度ポリエチレン短繊維を主成分としてなることを特徴とする繊維補強ゴム材料。
6、高強度ポリエチレン短繊維が部分融着してなることを特徴とする上記5記載の繊維補強ゴム材料、である。
本発明によると、高強度ポリエチレン短繊維の添加により、力学特性に優れた短繊維補強ゴム材料を提供することを可能とした。
以下、本発明を詳細に記述する。
本発明における短繊維補強ゴムおよびその繊維を製造する方法は、慎重でかつ新規な製造法を採用する必要であり、例えば以下のような方法が推奨されるが、それに限定されるものでは無い。
本発明におけるポリエチレンとは、その繰り返し単位が実質的にエチレンであることを特徴とし、少量の他のモノマ−例えばα−オレフィン,アクリル酸及びその誘導体,メタクリル酸及びその誘導体,ビニルシラン及びその誘導体などとの共重合体であっても良いし、これら共重合物どうし、あるいはエチレン単独ポリマ−との共重合体、さらには他のα−オレフィン等のホモポリマ−とのブレンド体であってもよい。特にプロピレン,ブテン−1などのαオレフィンと共重合体を用いることで短鎖あるいは長鎖の分岐をある程度含有させることは本繊維を製造する上で、特に紡糸・延伸においての製糸上の安定を与えることとなり、より好ましい。しかしながらエチレン以外の含有量が増えすぎると反って延伸の阻害要因となるため、高強度・高弾性率繊維を得るという観点からはモノマ−単位で0.2mol%以下、好ましくは0.1mol%以下であることが望ましい。もちろんエチレン単独のホモポリマ−であっても良い。また、繊維状態での重量平均分子量が300,000以下であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.0以下となる事が重要である。好ましくは、繊維状態での重量平均分子量が250,000以下であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3.5以下となる事が重要である。さらに好ましくは、繊維状態での重量平均分子量が200,000以下であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3.0以下となる事が重要である。
繊維状態のポリエチレンの重量平均分子量が300、000を越えるような重合度のポリエチレンを原料と使用した場合では、溶融粘度が極めて高くなり、溶融成型加工が極めて困難となる。又、繊維状態の重量平均分子量と数平均分子量の比が4.0以上となると同じ重量平均分子量のポリマ−を用いた場合と比較し最高延伸倍率が低く又、得られた糸の強度は低いものとなる。これは、同じ重量平均のポリエチレンで比較した場合、緩和時間の長い分子鎖が延伸を行う際に延びきる事ができずに破断が生じてしまう事と、分子量分布が広くなる事によって低分子量成分が増加するために分子末端が増加する事により強度低下が起こると推測している。また、繊維状態での分子量と分子量分布をコントロ−ルする為に溶解・押し出し工程や紡糸工程で意図的にポリマ−を劣化させても良いし、予め狭い分子量分布を持つポリエチレンを使っても良い。
本発明の推奨する製造方法においては、このようなポリエチレンを押し出し機で溶融押し出ししギアポンプにて定量的に紡糸口金を介して吐出させる。その後冷風にて該糸状を冷却し、所定の速度で引き取る。この時充分素早く引き取る事が重要である。即ち、吐出線速度と巻き取り速度の比が100以上で有ることが重要である、好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上である。吐出線速度と巻き取り速度の比は、口金口径、単孔吐出量、溶融状態のポリマ−密度、巻き取り速度から計算することが出来る。このように、ゲル紡糸とことなり溶剤を用いない為、例えば丸形の口金を使用した場合、繊維の断面が丸形状となり紡糸・延伸時の張力化に於いても圧着が発生しづらい。
さらに該繊維を以下に示す様な方法で延伸することが非常に重要である。即ち該繊維を、該繊維の結晶分散温度以下の温度で延伸を行い、該繊維の結晶分散温度以上融点(ポリエチレンの平衡融点141℃)以下の温度でさらに延伸を行うことにより驚く程繊維の物性が向上する事を見いだした。また、融点以下の温度で延伸を行う事で繊維の融着・圧着が発生しづらい。この時さらに多段に繊維を延伸しても良い。
本発明での骨子の一つである、繊維表面近傍の融点低下方法は、例えば次のような手法にて付与する。すなわち、上記で結晶分散温度以下融点延伸を終了した繊維を、一端短繊維を作成するに際して便利の良いマルチフィラメント(例えばフィラメント数で1万本)引き揃えて後、あるいは引き揃える際に1−5%程度の緊張下のもと上記の融点よりも1℃乃至5℃高温で最終ストレッチを実施する。この際加熱媒体としては接触式熱プレ−トが好ましいが、太径のマルチフィラメントで処理する際は加圧水蒸気(いわゆるスチ−ムジェット方式)で処理することが効果的であるので推奨される。このように加熱水蒸気を用いることで、融点を超える熱源を緊張下で瞬時に極短時間付与することが可能となり、ゴムの混練時にバルクな状態で実現が不可能であった、糸の表面近傍のみを溶融させて実質繊維表面の融点のみを低下させることが可能となったと推定している。
本発明にて得られる繊維は、性状・強度・弾性率の力学特性の観点からも非常に新規であるが、表面と内部の融点差を持つ事は、それに加えて新規で有用な特徴である。後で詳述するが、繊維の表面・内部の構造差は、それぞれの部位の複屈折を測定することにより便宜的に測定することができる。
このようにして得られた特殊な高強度ポリエチレン繊維は、所定の長さにカットする事により短繊維にすることが出来る。短繊維としてのカット長は、20mm以下であることが望ましい。20mm以上となるとゴムとの混練の際に繊維が塊状(ファイバ−ボ−ル)となり均一性の面から好ましくない。また1mm以下となると短すぎて、ゴムに複合する効果が低下するばかりか取り扱い上、実用的でない。
ゴムへの混練り方法は、通常ゴムへ短繊維や各種添加剤を添加する際に使用される手法がそのまま応用できる。例えば、ロ−ル、バンバリ−ミキサ−加圧ニ−ダ−などの密閉式混練機あるいは押出し機などの使用が推奨される。混練の条件においても特に限定しないが、ミキサ−の機械混合の際の発熱には注意を要する。150℃を超えない範囲が好ましいため、簡潔運転等の条件設定が必要である。また、ミキサ−により機械混合だけで十分な剪断が得られない場合は、用途にもよるが、カ−ボンブラックなどの補助剤を添加することも好ましい。また、機械的な混合に際して、非常に高剪断の条件によっては、剪断で切断された分子がゴムと化学的に架橋(メカノケミカル)反応が生じる場合があり、用途によっては溶融融着以上の頑強な接着を得ることも可能となりさらに好ましい。
本発明により得られた補強ゴムは各種タイヤやホ−ス・ベルト類、あるいはライニング等の用途に応じて添加量や混練の度合いをコントロ−ルすることにより広汎な用途への応用が可能となる。
以下に本発明における特性値に関する測定法および測定条件を説明する。
(強度・弾性率)
本発明における強度,弾性率は、オリエンティック社製「テンシロン」を用い、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分の条件で歪−応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、曲線の破断点での応力を強度(cN/dtex)、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線より弾性率(cN/dtex)を計算して求めた。なお、各値は10回の測定値の平均値を使用した。
(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及びMw/Mn)
重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及びMw/Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ−(GPC)によって測定した。GPC装置としては、Waters製GPC 150C ALC/GPCを持ち、カラムとしてはSHODEX製GPC UT802.5を一本UT806Mを2本用いて測定した。測定溶媒は、o−ジクロロベンゼンを使用しカラム温度を145度した。試料濃度は1.0mg/mlとし、200マイクロリットル注入し測定した。分子量の検量線は、ユニバーサルキャリブレーション法により分子量既知のポリスチレン試料を用いて構成されている。
(動的粘弾弾性測定)
本発明における動的粘度測定は、オリエンテック社製「レオバイブロンDDV−01FP型」を用いて行なった。繊維は、全体として100デニ−ル±10デニ−ルとなるように分繊あるいは合糸し、各単繊維ができる限り均一に配列するように配慮して、測定長(鋏金具間距離)が20mmとなるように繊維の両末端をアルミ箔で包みセルロ−ス系接着剤で接着する。その際の糊代ろ長さは、鋏金具との固定を考慮して5mm程度とする。各試験片は、20mmの初期幅に設定された鋏金具(チャック)に糸が弛んだり捩じれたりしないように慎重に設置され、予め60℃の温度、110Hzの周波数にて数秒、予備変形を与えてから本実験を実施した。本実験では−150℃から150℃の温度範囲で約1℃/分の昇温速度において110Hzの周波数での温度分散を低温側より求めた。測定においては静的な荷重を5gfに設定し、繊維が弛まない様に試料長を自動調整させた。動的な変形の振幅は15μmに設定した。
(吐出線速度と紡糸速度の比(ドラフト比))
ドラフト比(Ψ)は、以下の式で与えられる。
ドラフト比(Ψ)=紡糸速度(Vs)/吐出線速度(V)
(単繊維の断面方向での複屈分布の測定法)
本発明における単繊維断面方向の複屈折率Δnの分布は、透過定量型干渉顕微鏡を用いて得られる干渉縞法によって、繊維の側面から観察した平均屈折率の分布を測定することができる。繊維の中心屈折率(n⊥、0、n//、0)及び外周屈折率(n⊥、0.9、n//、0.9)の値によって、本発明の繊維の特異な分子配向が明らかとなる。この方法は円型断面を有する繊維に適用することができる。繊維の屈折率は、繊維の平行方向に振動している偏光に対する屈折率(n//)と繊維軸の垂直軸の垂直方向に振動している偏光に対する屈折率(n⊥)によって特徴づけられる。
ここに説明する測定は全て、光源としてキセノンランプを用い、偏光下、干渉フィルタ−波長544nmの緑色光線を使用して得られる屈折率(n//およびn⊥)を用いて実施される。以下n//の測定及びn⊥より求められるn//,0とn//,0.9について詳細に説明するが、n⊥(n⊥,0、n⊥,0,0.9)に試験される繊維は光学的にフラットなスライドグラスおよびカバ−グラスを使用し、0.2〜1波長の範囲内の干渉縞のいずれを与える屈折率(nE)をもつ繊維に対して不活性の封入剤中に浸漬する。封入剤の屈折率(nE)は緑色光線(波長λ=544mm)を光源として、アツベの屈折計を用いて測定した20℃における値である。この封入剤は、例えば流動パラフィンとα−ブロムナフタリンの混合液より、1.48〜1.65の屈折率を有するものが調整できる。この封入剤の中に1本の繊維を浸漬する。この干渉縞のパタ−ンを写真撮影し、1000〜2000倍に拡大して解析する。
繊維の封入剤の屈折率をnE、繊維のS'−S”の間の平均屈折率をn//、S'−S”間の厚みをt、使用光線の波長λのバックグランドの平行干渉縞の間隔(1λに相当)をDn、繊維による干渉縞のずれをdnとすると、光路差Lは、
L=(dn/Dn)λ=(n//−nE)t
で表される。
試料の屈折率をnSとすると、封入剤の屈折率は、nS<nE=n1、nS>nE=n2の2種の物を用いて、干渉縞のパタ−ンを評価する。
1=(d1/D1)λ=(n//−n1)t
2=(d2/D2)λ=(n//−n2)t
n//=(L12−L21)/(R1−R2) ・・・[I]
従って、[I]式に基づいて繊維の中心から外周までの各位置での光路差から、各位置の繊維の平均屈折率(n//)の分布を求めることができる。
厚みtは、得られる繊維が円型断面と仮定して計算によって求めることができる。しかしながら、製造条件の変動等によって円型断面になっていない場合も考えられる。このような不都合を除く為、測定する箇所は繊維軸を対称軸として、干渉縞が左右対称になっている部分を使用することが適当である。測定は、繊維の半径をRとすると0〜0.9Rの間を0.1Rの間隔で行ない、各位置の平均の屈折率を求めることができる。同様にして、n⊥の分布も求められるので、複屈折率分布は、
Δn(r/R)=n//(r/R)−n⊥(r/R) ・・・[II]
より求められる。なお、Δn(r/R)は少なくとも3本のフィラメント、好適には5〜10本のフィラメントについて平均して用いるのが良い。
(短繊維ゴム補強材料の力学特性評価)
SBR及びNRゴムにカ−ボンブラック、可塑剤、加硫促進剤、老化防止剤などを配合したゴムコンパウンドをロ−ラ−を100℃に温調したゴム練り機で均一に混練り後、2mm厚のシ−トとした。得られたシ−トを計量し、所定量の短繊維をシ−ト上に均一に分散させ、その後、シ−トを巻き上げ、再び、ゴム練り機で均一に混練りした。得られたゴム材料をJIS K 6251に準拠して、ダンベル状3号形の試験片を作成し、引張強度TB(kgf/cm2)および破断伸度EB(%)を求めた。
(実施例1〜2)
重量平均分子量117,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.8である高密度ポリエチレンをφ0.8mm、390Hからなる紡糸口金から285℃で単孔吐出量0.5g/minの速度で押し出した。押し出された繊維は、15cmの保温区間を通りその後20℃、0.5m/sのクエンチで冷却され、300m/minの速度で巻き取った。該未延伸糸を、一段延伸は25℃で2.0倍の延伸を行ない、更にその後、105℃まで加熱して5.5倍の延伸を行ない、延伸糸を得た。さらのこの糸を約5000dtex相等となるように合糸したあと、二対のネルソンローラー間に設置した加圧蒸気発生口金を持つ装置を通過させて熱処理を実施した。スチームの圧力は1.9kgf/cm2であり、計算される温度120℃はであった。出口と入口のローラー速度は糸が安定して走行できる程度にほぼ同速度で500m/minの最終速度で巻き取られた。加圧スチームに接触する時間は計算上約0.2秒であった。得られた延伸糸の物性を表1に示した。引き続き、この延伸糸を10mmにカットして、SBR及びNRゴムに1wt%、5wt%、10wt%を添加し、短繊維ゴム補強材の作成方法にそって、試験品を作成した。補強ゴムの引張特性を表2に示した。
(比較例1〜4)
実施例1〜2と同様の条件で作成した延伸糸を熱処理後、0.7mm、25mmにカットして、SBR及びNRゴムに1wt%、5wt%、10wt%添加し、短繊維ゴム補強材の作成方法にそって、試験品を作成した。補強ゴムの引張特性を表3に示した。
(比較例5〜6)
重量平均分子量121,500、重量平均分子量と数平均分子量の比が5.1である高密度ポリエチレンをφ0.8mm、390Hからなる紡糸口金から290℃で単孔吐出量0.5g/minの速度で押し出し、その後、実施例1〜2と同様の条件で未延伸糸を巻き取った。該未延伸糸を、一段延伸は25℃で2.0倍の延伸を行ない、更にその後、105℃まで加熱して4.0倍の延伸を行ない、延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表1に示した。引き続き、この延伸糸を10mmにカットして、SBR及びNRゴムに1wt%、5wt%、10wt%を添加し、短繊維ゴム補強材の作成方法にそって、試験品を作成した。補強ゴムの引張特性を表2に示した。
Figure 0004337040
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本発明にかかるゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維は、軽量かつ十分の力学特性を保持してかつ、耐久性・耐候性に非常に優れるものであり、各種タイヤやホ−ス類あるいはそのライニング材、Vベルト・タイミングベルト等のベルト材に利用可能である。

Claims (6)

  1. 繊維状態での重量平均分子量が300,000以下、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.0以下であり、強度14cN/dtex以上、弾性率500cN/dtex以上であり、繊維の表面近傍の融点が中心部よりも低いことを特徴とするゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維。
  2. 高強度ポリエチレン短繊維の単繊維繊度が1.5dtex以下であることを特徴とする請求項1記載のゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維。
  3. 高強度ポリエチレン短繊維の平均繊維長が、1mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維。
  4. 繊維状態での重量平均分子量が300,000以下、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.0以下であるポリエチレンを、吐出線速度と巻き取り速度の比が100以上となる条件で溶融紡糸し、該繊維の結晶分散温度以下の温度で延伸した後、該繊維の結晶分散温度以上融点以下の温度で更に延伸して得られた繊維を、スチームで加熱処理し、次いで所定の長さにカットすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム補強用高強度ポリエチレン短繊維の製造方法。
  5. 請求項1記載の高強度ポリエチレン短繊維を主成分としてなることを特徴とする繊維補強ゴム材料。
  6. 高強度ポリエチレン短繊維が部分融着してなることを特徴とする請求項記載の繊維補強ゴム材料。
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