JPH0321646B2 - - Google Patents
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- JPH0321646B2 JPH0321646B2 JP57206707A JP20670782A JPH0321646B2 JP H0321646 B2 JPH0321646 B2 JP H0321646B2 JP 57206707 A JP57206707 A JP 57206707A JP 20670782 A JP20670782 A JP 20670782A JP H0321646 B2 JPH0321646 B2 JP H0321646B2
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Description
本発明は改良されたポリアミド繊維に関し、更
に詳しくは、高強度にして特にゴム類の補強用と
して優れた耐疲労性を示すポリアミド繊維に関す
るものである。 本発明で意図する繊維の原料たるポリアミドは
20℃、96%の濃硫酸溶液中で重合体濃度10mg/ml
で測定した相対粘度が少なくとも3.5以上、好ま
しくは、4.0以上のものでたとえば、ポリカプロ
ラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリ
ヘキサメチレンセバクアミド、これらのポリアミ
ドのコポリマーおよび1,4−シクロヘキサンビ
ス(メチルアミン)と線状脂肪族ジカルポン酸の
縮合生成物を基材としたポリアミド類等がある。
これらのポリアミド材料は溶融紡糸技術を用いて
繊維化される。本発明者らは、これらポリアミド
の相対粘度と物性について鋭意研究した結果、本
発明者に到達した。 相対粘度が3.5未満のポリアミドを通常の紡糸
延伸技術を用いて繊維化した場合の繊維断面内の
複屈折率の分布は非常に小さく最外層と最内層と
の複屈折率の差は、ほとんど、無視しうる程度で
あり、切断強度も、高々10g/dしかないことが
わかつた。 一方、相対粘度が3.5以上、好ましくは4.0以上
のものでは、通常の紡糸延伸技術によつて繊維化
することはかなり困難であるが、以下詳述する如
く本発明で規定する製糸条件であれば容易に繊維
化することがでくる。しかも得られた繊維の前記
繊維断面内における複屈折率の分布をみると、繊
維の外層より内層にいくに従つて複屈折率が小さ
くなるが、下記の式 △nA−△nB≧0.5×10-3 (1) 〔但し △nA:r/R=0.9の位置における繊維の複屈折
率 △nB:r/R=0.0の位置における繊維の複屈折
率 R:繊維断面の半径 r:繊維断面の中心軸からの距離〕 を満足し、繊維の複屈折率△nを50×10-3以上、
小形X線回折による繊維長周期を100Å以上とす
ることにより、切断強度、結節強度、及びタフネ
ス〔即ち切断強度×(切断伸度)1/2〕が著しく改善
されることをみい出し、本発明に至つたものであ
る。ポリアミドは古くから知られたポリマーであ
り、ポリアミド繊維は衣料用及び工業用繊維とし
て広範囲に使用されているが、その大きな用途の
一つにタイヤコードを中心とするゴム補強材があ
げられる。かかるゴム補強用ポリアミド繊維を製
造する方法として多段延伸する方法(特公昭35−
5113号)、ポリマー重合度の大きいものを使用す
る方法(特公昭45−26572号)等が提案されてい
る。このような方法を採用すればポリアミド繊維
自体の強度、或いはゴム補強材として使用した場
合の高温加硫時の強度低下度はいくぶんか改良さ
れるが、伸度が逆に小さくなる為にタフネスは殆
んど改善されずタイヤコード用ゴム補強材等とし
て要求される条件、即ち 切断強度≧9.58g/d 切断強度(g/d)×〔切断伸度(%)〕1/2≧46.0
………(2) という要求特性を満たすポリアミド繊維は得られ
難い。その為該方法によつて得られる繊維を用い
て得たゴム構造体(タイヤなど)の強度向上に寄
与する効果は不充分といわざるをえなかつた。 またポリマーの相対粘度を高くして高強度ポリ
アミド繊維を製造する方法として特公昭48−
12085号、特公昭51−2528号、特公昭48−39369号
等が提案されている。ところでこれらの方法で
は、製糸上の問題から相対粘度RVの上限が規定
されており、たとえばポリカプロラクタム繊維の
場合のRVは、特公昭48−12085号では3.0〜4.2、
特公昭51−2528号では3.32〜4.01、特公昭48−
39369号では3.00〜4.50の範囲にあることを規定
している。しかしながら、基本原理にたちかえつ
てポリアミドの高強度化手法を考えた場合に、相
対粘度RVが高過ぎる為、即ち分子量が大き過ぎ
るために強度が上がりにくくなるということは考
えにくい。なぜなら分子量が大きくなれば確立的
にはタイ分子の数が増加する可能性が大きいから
である。一方現在のところ、RVが4.0以上という
高強度ポリアミド繊維を製糸した例は、ほとんど
見受けられないが、この理由はRVが40以上にな
るとポリマーの剪断粘度及び伸長粘度が著しく高
くなるために安定な製糸が非常に困難となり、延
伸工程で十分高い延伸倍率(≧4.50)を得ること
が事実上不可能になるためと考えられる。ところ
が本発明者らが種々研究を行なつたところ、RV
≧3.5のポリアミドであつても、例えば下記の
式: Q/D3≦982g/sec・cm3 (3) D2・Vw/Q≦12.8cm3/g (4) T20≧100℃ (5) 未延伸糸の△n≦0.017 (6) 〔但し Q:ノズル単孔あたりの吐出量〔gsec〕 D:ノズル孔直径〔cmφ〕 Vw:紡糸引取速度〔cm/sec〕 T20:ノズル面より糸条吐出方向20mmの位置にあ
る糸条から5mm離れた位置の紡出糸条の雰囲気
温度〔℃〕 未延伸糸の△n:30℃、80%RH、24時開放置後
の測定値〕 を満足する条件を設定することにより、延伸熱処
理工程で十分に高い延伸倍率が得られることを知
つた。即ち本発明者らは、相対粘度RV≧3.5のポ
リアミドを前記(3)〜(6)式を満足する条件で紡糸
し、更に延伸熱処理することにより(1)式を満足
し、タフネス〔切断強度×{切断伸度(%)}1/2〕
が46.0以上であり、且つRV≧3.5であつて、切断
強度が11.0g/d以上、結節強度が8.0g/d以
上といつた優れた物性を有する、従来のポリアミ
ド繊維には無かつた全く新規な構造特性を有する
ポリアミド繊維を提供するものである。ここでい
う新規な構造特性とは、従来技術では高強度化に
は無理とされていた、超高RVポリマーを用い
て、従来のポリアミド繊維には見られなかつた繊
維断面内屈折率分布を有し、特に小角X線散乱に
よる繊維長周期が通常のポリアミド繊維に比し、
長くなつた微細構造を有していることにより特徴
づけられるものである。特にこのような構造特性
は主としてポリカプロアミド又は、ポリヘキサメ
チレンアジパミドからなるポリアミドを用いた場
合に顕著に発揮される。中でもポリカプロアミド
を75重量%以上を含有するポリアミドは最適であ
る。尚ポリアミドの相対粘度RVが3.5未満の伸長
粘度レベルでこのような繊維断面内屈折率分布を
つくることは困難であり、目的達成の為にはRV
が3.5以上、より好ましくは、4.0以上のものを使
用しなければならず、また目的にかなう強度特性
を得るには小角X線散乱による繊維長周期が100
Å以上にしなければならない。又単繊維デニール
レベルは60d以下である方が、(1)式を満足する構
造が発現されやすく結節強度も高い。又未延伸糸
の複屈折率△nが、全延伸倍率に与える影響は非
常に大きく4.50倍以上の全延伸倍率を確保するに
は、未延伸糸の△nを0.017以下に設定すること
が好ましい、(ただし未廷伸糸△nは30℃、80%
RH・24hr経時後の測定値である)。本発明に係
る特異な微細構造を有するポリアミド繊維は、従
来技術ではかなり実現困難であつた。切断強度
11.0g/d以上結節強度8.0g/d以上という強
度特性を満足するものであり、この様な切断強度
向上効果は、相対粘度を高くし平均分子量を高く
したポリマーを引き伸ばすことにより、通常の分
子量のものに比べてタイ分子の数が増加する確率
を高くした為と考えられる。結節強度の改善効果
は、繊維断面内の複屈折率の分布が、外層の方が
内層に比し、複屈折率が高くなる傾向を有してい
るため、繊維に“こし”が付与されたためと考え
られる。本発明に係るポリアミド繊維の高タフネ
ス、即ち切断強度×〔切断伸度〕1/2が大きいこと
は、分子量を高くすることによつて、無理な延伸
による低伸度化を起こさせず高強度が達成できる
ことにもとづいている。即ち本発明のポリアミド
繊維を製造するに当つては第1に Q/D3≦982g/sec・cm3 (3) なる要件を満たす紡糸条件を設定する。この条件
を欠く場合は紡糸時におけるノズルオリフイス出
口でのポリマー吐出挙動が不安定となり、紡糸糸
切れ或いは延伸糸切れが多発し、たとえ延伸でき
ても高強度糸を得ることができない。第2に、 D2Vw/Q≦12.8cm3/g (4) なる要件を満たす紡糸条件を設定する。この要件
を欠くと、紡糸張力が高くなり、紡出糸の走行が
不安定になり、糸切れが多発する。又たとえ糸が
切れなくとも延伸熱処理段階における伸延倍率が
低下し、十分に高強度を発現させることができな
い。これは紡糸張力が高くなることにより、紡出
糸条の細化挙動が不安定になること、および未延
伸糸の複屈折率△nが高くなることに起因すると
考えられる。第3に T20≧100℃ (5) なる要件を満たす紡糸条件を設定する。この要件
を欠く紡糸条件下ではRV≧3.5という高伸長粘度
ポリマーを紡糸するため未延伸糸の△nが非常に
高くなりやすく、前記(6)式に示したように未延伸
糸の△nを0.017以下に抑えないと十分に高い延
伸倍率を確保することが困難になり、高強度の繊
維を得ることができない。上記条件の中でも特に
好ましいのは下記(3′)〜(6′)式の要件を満た
す範囲で溶融紡糸することである。 Q/D3≦500g/sec・cm3 (3′) D2Vw/Q≦7.0cm3/g (4′) T300≧100℃ (5′) T300:ノズル面より糸条吐出方向300mmの位置に
ある糸条より5mm離れた位置の紡出糸条の雰囲
気温度〔℃〕 未延伸糸△n≦0.013 (6′) これらの紡糸条件を設定すれば特にRV≧4.50
のポリマーの紡糸延伸を安定化させる効果が顕著
に発揮される。本発明の優れた強度を有するポリ
アミド繊維の製造には相対粘度が4.0以上のポリ
アミドを用いることが好ましい。なぜなら本発明
の必須の要件である繊維断面内の複屈折率の分布
を大きくするには、ポリマーの相対粘度を高くす
る方が好ましいからである。高速紡糸により、繊
維断面内に複屈折率の分布を大きくした場合、特
許請求の範囲第1項にあるような高△nを達成す
ることが不可能であり、逆に切断強度が小さくな
る。又、低粘度の高速紡出糸を延伸した場合第1
項の(2)式に示す様な糸質が実現できない。また、
ノズル面より糸条吐出方向300mmの位置の糸条よ
り5mm離れた位置の雰囲気温度を高めることは、
特に高RV即ちRV≧4.0のポリマーの△nを低下
させるために有効であり、該温度は100℃以上に
することが望まれる。又ノズル孔直径を0.4mmφ
以下にすると(3)式、(4)式から明らかなように生産
性を高めることができる。又本発明による未延伸
糸の延伸は1.10倍以下の予備伸長を与えた後、ホ
ツトローラーあるいは室温ローラーによつて第1
段延伸を行ない、あるいは200℃以上の高温加圧
蒸気による第1段延伸を行つた後、第2段延伸で
は、100〜200℃で熱処理を行なうのがよい。いず
れの第1段延伸手法を採用するにしても、全延伸
倍率の50%以上の延伸を、第1段延伸で行うこと
が、延伸挙動を安定化させるためには、必要であ
り、また全延伸倍率は高い方が好ましく、通常は
4.5倍以上特に好ましくは5.0以上にすることが望
ましい。また第1段延伸における延伸温度はロー
ラー延伸の場合、100℃以下にせねばならない。
100℃を越えると、ローラ上で糸条が不安定にな
り、全延伸倍率が低下する。また第1段延伸に高
温加圧蒸気を適用する場合糸条と蒸気噴出孔との
距離を50mm以内、好ましくは20mm以内とし、蒸気
噴出孔における蒸気温度を200℃以上600℃以下に
する必要がある。200℃以下であると延伸速度を
十分に上げることができず、延伸点の固定ができ
ない。又600℃以上となると糸条の溶断が起りや
すくなり、不安定になる。糸条と蒸気噴出孔との
距離が50mm以上離れると延伸点での糸条の温度が
著しく低下し、非常識な低速で糸条を走行させな
い限り、延伸点の固定が困難である。優れた強度
を有するポリアミド繊維を製造するには、延伸熱
処理工程における糸条接触部をできるだけ少なく
することが好ましく、たとえば第2段延伸熱処理
工程においては、非接触のタイプのヒーターが有
効である。また繊維内にボイドあるいは欠陥を発
生せしめることなく高延伸倍率の延伸を行なう方
法として、3段延伸或いは4段延伸が有効であ
る。3段延伸においては、第2段と第3段の延伸
条件がポイントであり、通常のホツトローラー、
ピン、或いはホツトプレートによる第2段、第3
段の延伸を行なう場合、実質的に第2段よりも第
3段熱処理温度を高くすることが必要であり、第
2段延伸を100〜200℃、第3段延伸を160〜220℃
の範囲から夫々選択するのが最も好ましい。また
第2段目に高温加圧噴出蒸気による延伸を行なう
方法も有効である。4段延伸においては、ホツト
ローラ、ピン、あるいはホツトプレートによる第
2段延伸が完了した後、高温高圧噴出蒸気による
第3段延伸を行ない、しかる後に高温熱処理を行
なう4段延伸手法が特に有効である。本発明の繊
維は、以上の知き、条件下で製造され、その特徴
とするところは、高強度、高結節強度、高タフネ
スであることである。このような繊維の物性上の
優位性は該繊維の微細構造と密接に関連してお
り、従来公知の製造法では実現しえない特別な微
細構造により発揮される。本発明の繊維は、ゴム
等の補強用に供するときは、通常マルチフイラメ
ントの形態で用いられるが、本発明の繊維の用途
は格別制限されるものではなく、従つて繊維の形
態も、ロービングヤーン、スフ、チヨツプドスト
ランド等であつても良い。本発明の繊維は、タイ
ヤコード、特に高重量車輌用のラジアル構造タイ
ヤに於けるカーカスコードならびにその他のVベ
ルト、平ベルト、歯付ベルト等の補強コード等の
ゴム類の補強コードに好適に用いられる。もちろ
ん本発明の用途は上記に限られるものではなく、
従来のポリアミド繊維と全く同様に用いられる。
以下に本発明の繊維の構造の特定や物性の測定に
用いられる主なパラメータの測定法について述べ
る。 <相対粘度の測定法> 96.3±0.1重量%試薬特級濃硫酸中に重合体濃
度が10mg/mlになるように試料を溶触させてサン
プル溶液を調整し、20℃±0.05℃の温度で水落下
秒数6〜7秒のオストワルド粘度計を用い、溶液
相対粘度を測定する。測定に際し、同一の粘度計
を用い、サンプル溶液を調整した時と同じ硫酸20
mlの落下時間To(秒)と、サンプル溶液20mlの落
下時間T1(秒)の比より、相対粘度RVを下記の
式を用いて算出する。 RV=T1/T0 (7) <複屈折率(△n)の測定法> ニコン偏光顕微鏡POH型ライツ社ベレツクコ
ンペンセーターを用い、光源としてはスペクトル
光源用起動装置(東芝SLS−3−B型)を用いた
(Na光源)。5〜6mmの繊維軸に対し45℃の角度
に切断した試料を、切断面を上にして、スライド
グラス上に載せる。試料スライドグラスを回転載
物台にのせ、試料が偏光子に対して45度になる
様、回転載物台を回転させて調節し、アナライザ
ーを挿入し暗視界とした後、コンペンセーターを
30にして稿数を数える(n個)。コンペンセータ
ーを右ネジ方向にまわして試料が最初に一番暗く
なる点のコンペンセーターの目盛a、コンペンセ
ーターを左ネジ方向にまわして試料が最初に一番
暗くなる点のコンペンセーターの目盛bを測定し
た後(いずれも1/10目盛まで読む)、コンペン
セーターを30にもどしてアナライザーをはずし、
試料の直径dを測定し、下記の式にもとずき複屈
折率(△n)を算出する(測定数20個の平均値)。 △nΓ/d(Γ=nλo+ε) (8) λo=589.3mμ ε:ライツ社のコンペンセーターの説明書のC/
10000とiより求める i=(a−b)(:コンペンセーターの読みの差) <繊維断面内の△n分布の測定法> 透過定量型干渉顕微鏡を使用して得られる中心
屈折率(N⊥、O、N、O)及び外層屈折率
(N⊥、0.9、N、0.9)の値によつて、本発明
の繊維の特異な分子配向が明らかとなり、本発明
の繊維の優れた強度との関連を示すことができ
る。透過定量型干渉顕微鏡(例えば東独カールツ
アイスイエナ社製干渉顕微鏡インターフアコ)を
使用して得られる干渉縞法によつて、繊維の側面
から観察した平均屈折率の分布を測定することが
できる。この方法は円形断面を有する繊維に適用
することができる。繊維の屈折率は、繊維軸の平
行方向に振動している偏光に対する屈折率(N
)と繊維軸の垂直方向に振動している偏光に対
する屈折率(N⊥)によつて特徴づけられる。こ
こに説明する測定は全て光源としてキセノンラン
プを用い、偏光下、干渉フイルター波長544mμの
緑色光線を使用して得られる屈折率(Nおよび
N⊥)を用いて実施される。以下Nの測定及び
Nより求められるN、0とN、0.9につい
て詳細に説明するが、N⊥(N⊥、0およびN
⊥、0.9)についても同様に測定できる。試験さ
れる繊維は光学的にフラツトなスライドグラス及
びカバーグラスを使用し、0.2〜1波長の範囲内
の干渉縞のいずれを与える屈折率(NE)をもつ
繊維に対して不活性の封入剤中に浸漬する。封入
剤の屈折率(NE)は緑色光線(波長λ=544mμ)
を光源としてアツベの屈折計を用いて測定した20
℃における値である。この封入剤はたとえば流動
パラフインとα−プロムナフタリンの混合液より
1.48〜1.65の屈折率を有するものが調整できる。
この封入剤中に1本の繊維を浸漬する。この干渉
縞のパターンを写真撮影し、1000倍〜2000倍に拡
大して解析する。第1図に略示した如く繊維の封
入剤の屈折率をNE、繊維のS′−S″間の平均屈折
率をN、S′−S″間の厚みをt、使用光線の波長
をλ、バツクグランドの平行干渉縞の間隔(1λ
に相当)をDn、繊維による干渉縞のいずれをdn
とすると、光路差Lは L=dn/Dnλ=(N−NE)t で表わされる。試料の屈折率をNsとすると、封
入液の屈折率N1およびN2は、Ns<N1 Ns>N2 の2種のものを用いて第1図に示すような干渉縞
のパターンを評価する。 L1=d1/D1λ=(N−N1)t L2=d2/D2λ=(N−N2)t NL1N2−L2N1/L1−L2 従つて(9)式にもとづいて繊維の中心から外周ま
での各位置での光路差から、各位置の繊維の平均
屈折率(N)の分布を求めることができる。厚
みtは得られる繊維が円型断面と仮定して計算に
よつて求めることができる。しかしながら製造条
件の変動や製造後のアクシデントによつて、円形
断面になつていない場合も考えられる。このよう
な不都合を除くため、測定する個所は繊維軸を対
称軸として干渉縞のずれが左右対称になつている
部分を使用することが適当である。測定は繊維の
半径をRとすると0〜0.9Rの間を0.1Rの間隔で
行ない、各位置の平均の屈折率を求めるることが
できる。同様にしてN⊥の分布も求められるので
複屈折率分布は △n(r/R)=N、r/R−N⊥、r/R (10) より求められる。△n(r/R)は少なくとも3
本のフイラメント、好適には5〜10本のフイラメ
ントについて測定したものを平均して得られる。 <繊維の強伸度特性の測定法> 東洋ボールドウイン製テンシロンを用い、試料
長(ゲージ長)100mm、伸長速度=100%/分記録
速度500mm/分、初荷重1/30g/dの条件で単繊
維のS−S曲線を測定し切断強度(g/d)、切
断伸度(%)、ヤング率(g/d)を算出した。
ヤング率は、S−S曲線の原点付近の最大勾配よ
り算出した。各特性値の算出に関し、少なくとも
5本のフイラメント、好適には10〜20本のフイラ
メントについての測定したものを平均して得られ
る。 <繊維の結節強度の測定法> 東洋ボールドウイン製テンシロンを用い、試料
長50mmループの単繊維からなる試料をテンシロン
上下チヤツクにはさまれたフツクに取り付け、ゲ
ージ長50mm、伸長速度=100%/分、記録速度500
mm/分でS−S曲線を測定し、結節切断強度
(g/d)、結節切断伸度(%)を算出した。少な
くとも5本のフイラメント、好適には10〜20本の
フイラメントについて測定したものを平均して得
られる。 <小角X線回折により繊維長周期の測定法> 小型X線散乱パターンの測定は、例えば理学電
機社製X線発生装置(RU−3H型)を用いて行な
う。測定には管電圧45KV、管電流70mA、銅対
陰極、ニツケルフイルターで単色化したCuKα
(λx=1.5418Å)を使用する。サンプルホルダー
に繊維試料を単糸どうしが互いに平行になるよう
に取り付ける。試料の厚さは0.5mm〜1.0mm位にな
るようにするのが適当である。この平行に配列し
た繊維の繊維軸に垂直にX線を入射させ理学電機
社製プロポーシヨナル・カウンター・プローブ
(Proportional CounterProbe:SPC−20)Pを
試料Wと300mmの位置に装着したデイフラクトメ
ーターを2秒/分の回転角速度で回転し、回折強
度曲線を測定する。回折強度曲線のピーク位置あ
るいはシヨルダー位置より長周期小角散乱角度
2αを読むとり、(11)式に従い、繊維長周期を算出
する。(第2図A,B参照)。 d=λx/2Sinα (11) λx=1.5418Å (12) 以下実験例を挙げて本発明の構成及び作用効果
を具体的に説明する。尚実験例中「部」及び
「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」
を示す。 実験例 第1表に示す相対粘度のポリカプロアミドを原
料とし、同表に示す条件で紡糸を行ない、同表に
示す複屈折率△n(30℃、80%RHで24時間経時
後測定)及び相対粘度RVの糸延伸糸を得た。尚
ノズル下の加熱帯はノズルと冷却帯の間に配置
し、また紡糸に当つては、未延伸糸引取り前に適
量の紡糸油剤を糸条表面に付着させた。 得られた各未延伸糸を第2表に示す条件で延伸
し、第3表に示す糸質の延伸糸を得た。
に詳しくは、高強度にして特にゴム類の補強用と
して優れた耐疲労性を示すポリアミド繊維に関す
るものである。 本発明で意図する繊維の原料たるポリアミドは
20℃、96%の濃硫酸溶液中で重合体濃度10mg/ml
で測定した相対粘度が少なくとも3.5以上、好ま
しくは、4.0以上のものでたとえば、ポリカプロ
ラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリ
ヘキサメチレンセバクアミド、これらのポリアミ
ドのコポリマーおよび1,4−シクロヘキサンビ
ス(メチルアミン)と線状脂肪族ジカルポン酸の
縮合生成物を基材としたポリアミド類等がある。
これらのポリアミド材料は溶融紡糸技術を用いて
繊維化される。本発明者らは、これらポリアミド
の相対粘度と物性について鋭意研究した結果、本
発明者に到達した。 相対粘度が3.5未満のポリアミドを通常の紡糸
延伸技術を用いて繊維化した場合の繊維断面内の
複屈折率の分布は非常に小さく最外層と最内層と
の複屈折率の差は、ほとんど、無視しうる程度で
あり、切断強度も、高々10g/dしかないことが
わかつた。 一方、相対粘度が3.5以上、好ましくは4.0以上
のものでは、通常の紡糸延伸技術によつて繊維化
することはかなり困難であるが、以下詳述する如
く本発明で規定する製糸条件であれば容易に繊維
化することがでくる。しかも得られた繊維の前記
繊維断面内における複屈折率の分布をみると、繊
維の外層より内層にいくに従つて複屈折率が小さ
くなるが、下記の式 △nA−△nB≧0.5×10-3 (1) 〔但し △nA:r/R=0.9の位置における繊維の複屈折
率 △nB:r/R=0.0の位置における繊維の複屈折
率 R:繊維断面の半径 r:繊維断面の中心軸からの距離〕 を満足し、繊維の複屈折率△nを50×10-3以上、
小形X線回折による繊維長周期を100Å以上とす
ることにより、切断強度、結節強度、及びタフネ
ス〔即ち切断強度×(切断伸度)1/2〕が著しく改善
されることをみい出し、本発明に至つたものであ
る。ポリアミドは古くから知られたポリマーであ
り、ポリアミド繊維は衣料用及び工業用繊維とし
て広範囲に使用されているが、その大きな用途の
一つにタイヤコードを中心とするゴム補強材があ
げられる。かかるゴム補強用ポリアミド繊維を製
造する方法として多段延伸する方法(特公昭35−
5113号)、ポリマー重合度の大きいものを使用す
る方法(特公昭45−26572号)等が提案されてい
る。このような方法を採用すればポリアミド繊維
自体の強度、或いはゴム補強材として使用した場
合の高温加硫時の強度低下度はいくぶんか改良さ
れるが、伸度が逆に小さくなる為にタフネスは殆
んど改善されずタイヤコード用ゴム補強材等とし
て要求される条件、即ち 切断強度≧9.58g/d 切断強度(g/d)×〔切断伸度(%)〕1/2≧46.0
………(2) という要求特性を満たすポリアミド繊維は得られ
難い。その為該方法によつて得られる繊維を用い
て得たゴム構造体(タイヤなど)の強度向上に寄
与する効果は不充分といわざるをえなかつた。 またポリマーの相対粘度を高くして高強度ポリ
アミド繊維を製造する方法として特公昭48−
12085号、特公昭51−2528号、特公昭48−39369号
等が提案されている。ところでこれらの方法で
は、製糸上の問題から相対粘度RVの上限が規定
されており、たとえばポリカプロラクタム繊維の
場合のRVは、特公昭48−12085号では3.0〜4.2、
特公昭51−2528号では3.32〜4.01、特公昭48−
39369号では3.00〜4.50の範囲にあることを規定
している。しかしながら、基本原理にたちかえつ
てポリアミドの高強度化手法を考えた場合に、相
対粘度RVが高過ぎる為、即ち分子量が大き過ぎ
るために強度が上がりにくくなるということは考
えにくい。なぜなら分子量が大きくなれば確立的
にはタイ分子の数が増加する可能性が大きいから
である。一方現在のところ、RVが4.0以上という
高強度ポリアミド繊維を製糸した例は、ほとんど
見受けられないが、この理由はRVが40以上にな
るとポリマーの剪断粘度及び伸長粘度が著しく高
くなるために安定な製糸が非常に困難となり、延
伸工程で十分高い延伸倍率(≧4.50)を得ること
が事実上不可能になるためと考えられる。ところ
が本発明者らが種々研究を行なつたところ、RV
≧3.5のポリアミドであつても、例えば下記の
式: Q/D3≦982g/sec・cm3 (3) D2・Vw/Q≦12.8cm3/g (4) T20≧100℃ (5) 未延伸糸の△n≦0.017 (6) 〔但し Q:ノズル単孔あたりの吐出量〔gsec〕 D:ノズル孔直径〔cmφ〕 Vw:紡糸引取速度〔cm/sec〕 T20:ノズル面より糸条吐出方向20mmの位置にあ
る糸条から5mm離れた位置の紡出糸条の雰囲気
温度〔℃〕 未延伸糸の△n:30℃、80%RH、24時開放置後
の測定値〕 を満足する条件を設定することにより、延伸熱処
理工程で十分に高い延伸倍率が得られることを知
つた。即ち本発明者らは、相対粘度RV≧3.5のポ
リアミドを前記(3)〜(6)式を満足する条件で紡糸
し、更に延伸熱処理することにより(1)式を満足
し、タフネス〔切断強度×{切断伸度(%)}1/2〕
が46.0以上であり、且つRV≧3.5であつて、切断
強度が11.0g/d以上、結節強度が8.0g/d以
上といつた優れた物性を有する、従来のポリアミ
ド繊維には無かつた全く新規な構造特性を有する
ポリアミド繊維を提供するものである。ここでい
う新規な構造特性とは、従来技術では高強度化に
は無理とされていた、超高RVポリマーを用い
て、従来のポリアミド繊維には見られなかつた繊
維断面内屈折率分布を有し、特に小角X線散乱に
よる繊維長周期が通常のポリアミド繊維に比し、
長くなつた微細構造を有していることにより特徴
づけられるものである。特にこのような構造特性
は主としてポリカプロアミド又は、ポリヘキサメ
チレンアジパミドからなるポリアミドを用いた場
合に顕著に発揮される。中でもポリカプロアミド
を75重量%以上を含有するポリアミドは最適であ
る。尚ポリアミドの相対粘度RVが3.5未満の伸長
粘度レベルでこのような繊維断面内屈折率分布を
つくることは困難であり、目的達成の為にはRV
が3.5以上、より好ましくは、4.0以上のものを使
用しなければならず、また目的にかなう強度特性
を得るには小角X線散乱による繊維長周期が100
Å以上にしなければならない。又単繊維デニール
レベルは60d以下である方が、(1)式を満足する構
造が発現されやすく結節強度も高い。又未延伸糸
の複屈折率△nが、全延伸倍率に与える影響は非
常に大きく4.50倍以上の全延伸倍率を確保するに
は、未延伸糸の△nを0.017以下に設定すること
が好ましい、(ただし未廷伸糸△nは30℃、80%
RH・24hr経時後の測定値である)。本発明に係
る特異な微細構造を有するポリアミド繊維は、従
来技術ではかなり実現困難であつた。切断強度
11.0g/d以上結節強度8.0g/d以上という強
度特性を満足するものであり、この様な切断強度
向上効果は、相対粘度を高くし平均分子量を高く
したポリマーを引き伸ばすことにより、通常の分
子量のものに比べてタイ分子の数が増加する確率
を高くした為と考えられる。結節強度の改善効果
は、繊維断面内の複屈折率の分布が、外層の方が
内層に比し、複屈折率が高くなる傾向を有してい
るため、繊維に“こし”が付与されたためと考え
られる。本発明に係るポリアミド繊維の高タフネ
ス、即ち切断強度×〔切断伸度〕1/2が大きいこと
は、分子量を高くすることによつて、無理な延伸
による低伸度化を起こさせず高強度が達成できる
ことにもとづいている。即ち本発明のポリアミド
繊維を製造するに当つては第1に Q/D3≦982g/sec・cm3 (3) なる要件を満たす紡糸条件を設定する。この条件
を欠く場合は紡糸時におけるノズルオリフイス出
口でのポリマー吐出挙動が不安定となり、紡糸糸
切れ或いは延伸糸切れが多発し、たとえ延伸でき
ても高強度糸を得ることができない。第2に、 D2Vw/Q≦12.8cm3/g (4) なる要件を満たす紡糸条件を設定する。この要件
を欠くと、紡糸張力が高くなり、紡出糸の走行が
不安定になり、糸切れが多発する。又たとえ糸が
切れなくとも延伸熱処理段階における伸延倍率が
低下し、十分に高強度を発現させることができな
い。これは紡糸張力が高くなることにより、紡出
糸条の細化挙動が不安定になること、および未延
伸糸の複屈折率△nが高くなることに起因すると
考えられる。第3に T20≧100℃ (5) なる要件を満たす紡糸条件を設定する。この要件
を欠く紡糸条件下ではRV≧3.5という高伸長粘度
ポリマーを紡糸するため未延伸糸の△nが非常に
高くなりやすく、前記(6)式に示したように未延伸
糸の△nを0.017以下に抑えないと十分に高い延
伸倍率を確保することが困難になり、高強度の繊
維を得ることができない。上記条件の中でも特に
好ましいのは下記(3′)〜(6′)式の要件を満た
す範囲で溶融紡糸することである。 Q/D3≦500g/sec・cm3 (3′) D2Vw/Q≦7.0cm3/g (4′) T300≧100℃ (5′) T300:ノズル面より糸条吐出方向300mmの位置に
ある糸条より5mm離れた位置の紡出糸条の雰囲
気温度〔℃〕 未延伸糸△n≦0.013 (6′) これらの紡糸条件を設定すれば特にRV≧4.50
のポリマーの紡糸延伸を安定化させる効果が顕著
に発揮される。本発明の優れた強度を有するポリ
アミド繊維の製造には相対粘度が4.0以上のポリ
アミドを用いることが好ましい。なぜなら本発明
の必須の要件である繊維断面内の複屈折率の分布
を大きくするには、ポリマーの相対粘度を高くす
る方が好ましいからである。高速紡糸により、繊
維断面内に複屈折率の分布を大きくした場合、特
許請求の範囲第1項にあるような高△nを達成す
ることが不可能であり、逆に切断強度が小さくな
る。又、低粘度の高速紡出糸を延伸した場合第1
項の(2)式に示す様な糸質が実現できない。また、
ノズル面より糸条吐出方向300mmの位置の糸条よ
り5mm離れた位置の雰囲気温度を高めることは、
特に高RV即ちRV≧4.0のポリマーの△nを低下
させるために有効であり、該温度は100℃以上に
することが望まれる。又ノズル孔直径を0.4mmφ
以下にすると(3)式、(4)式から明らかなように生産
性を高めることができる。又本発明による未延伸
糸の延伸は1.10倍以下の予備伸長を与えた後、ホ
ツトローラーあるいは室温ローラーによつて第1
段延伸を行ない、あるいは200℃以上の高温加圧
蒸気による第1段延伸を行つた後、第2段延伸で
は、100〜200℃で熱処理を行なうのがよい。いず
れの第1段延伸手法を採用するにしても、全延伸
倍率の50%以上の延伸を、第1段延伸で行うこと
が、延伸挙動を安定化させるためには、必要であ
り、また全延伸倍率は高い方が好ましく、通常は
4.5倍以上特に好ましくは5.0以上にすることが望
ましい。また第1段延伸における延伸温度はロー
ラー延伸の場合、100℃以下にせねばならない。
100℃を越えると、ローラ上で糸条が不安定にな
り、全延伸倍率が低下する。また第1段延伸に高
温加圧蒸気を適用する場合糸条と蒸気噴出孔との
距離を50mm以内、好ましくは20mm以内とし、蒸気
噴出孔における蒸気温度を200℃以上600℃以下に
する必要がある。200℃以下であると延伸速度を
十分に上げることができず、延伸点の固定ができ
ない。又600℃以上となると糸条の溶断が起りや
すくなり、不安定になる。糸条と蒸気噴出孔との
距離が50mm以上離れると延伸点での糸条の温度が
著しく低下し、非常識な低速で糸条を走行させな
い限り、延伸点の固定が困難である。優れた強度
を有するポリアミド繊維を製造するには、延伸熱
処理工程における糸条接触部をできるだけ少なく
することが好ましく、たとえば第2段延伸熱処理
工程においては、非接触のタイプのヒーターが有
効である。また繊維内にボイドあるいは欠陥を発
生せしめることなく高延伸倍率の延伸を行なう方
法として、3段延伸或いは4段延伸が有効であ
る。3段延伸においては、第2段と第3段の延伸
条件がポイントであり、通常のホツトローラー、
ピン、或いはホツトプレートによる第2段、第3
段の延伸を行なう場合、実質的に第2段よりも第
3段熱処理温度を高くすることが必要であり、第
2段延伸を100〜200℃、第3段延伸を160〜220℃
の範囲から夫々選択するのが最も好ましい。また
第2段目に高温加圧噴出蒸気による延伸を行なう
方法も有効である。4段延伸においては、ホツト
ローラ、ピン、あるいはホツトプレートによる第
2段延伸が完了した後、高温高圧噴出蒸気による
第3段延伸を行ない、しかる後に高温熱処理を行
なう4段延伸手法が特に有効である。本発明の繊
維は、以上の知き、条件下で製造され、その特徴
とするところは、高強度、高結節強度、高タフネ
スであることである。このような繊維の物性上の
優位性は該繊維の微細構造と密接に関連してお
り、従来公知の製造法では実現しえない特別な微
細構造により発揮される。本発明の繊維は、ゴム
等の補強用に供するときは、通常マルチフイラメ
ントの形態で用いられるが、本発明の繊維の用途
は格別制限されるものではなく、従つて繊維の形
態も、ロービングヤーン、スフ、チヨツプドスト
ランド等であつても良い。本発明の繊維は、タイ
ヤコード、特に高重量車輌用のラジアル構造タイ
ヤに於けるカーカスコードならびにその他のVベ
ルト、平ベルト、歯付ベルト等の補強コード等の
ゴム類の補強コードに好適に用いられる。もちろ
ん本発明の用途は上記に限られるものではなく、
従来のポリアミド繊維と全く同様に用いられる。
以下に本発明の繊維の構造の特定や物性の測定に
用いられる主なパラメータの測定法について述べ
る。 <相対粘度の測定法> 96.3±0.1重量%試薬特級濃硫酸中に重合体濃
度が10mg/mlになるように試料を溶触させてサン
プル溶液を調整し、20℃±0.05℃の温度で水落下
秒数6〜7秒のオストワルド粘度計を用い、溶液
相対粘度を測定する。測定に際し、同一の粘度計
を用い、サンプル溶液を調整した時と同じ硫酸20
mlの落下時間To(秒)と、サンプル溶液20mlの落
下時間T1(秒)の比より、相対粘度RVを下記の
式を用いて算出する。 RV=T1/T0 (7) <複屈折率(△n)の測定法> ニコン偏光顕微鏡POH型ライツ社ベレツクコ
ンペンセーターを用い、光源としてはスペクトル
光源用起動装置(東芝SLS−3−B型)を用いた
(Na光源)。5〜6mmの繊維軸に対し45℃の角度
に切断した試料を、切断面を上にして、スライド
グラス上に載せる。試料スライドグラスを回転載
物台にのせ、試料が偏光子に対して45度になる
様、回転載物台を回転させて調節し、アナライザ
ーを挿入し暗視界とした後、コンペンセーターを
30にして稿数を数える(n個)。コンペンセータ
ーを右ネジ方向にまわして試料が最初に一番暗く
なる点のコンペンセーターの目盛a、コンペンセ
ーターを左ネジ方向にまわして試料が最初に一番
暗くなる点のコンペンセーターの目盛bを測定し
た後(いずれも1/10目盛まで読む)、コンペン
セーターを30にもどしてアナライザーをはずし、
試料の直径dを測定し、下記の式にもとずき複屈
折率(△n)を算出する(測定数20個の平均値)。 △nΓ/d(Γ=nλo+ε) (8) λo=589.3mμ ε:ライツ社のコンペンセーターの説明書のC/
10000とiより求める i=(a−b)(:コンペンセーターの読みの差) <繊維断面内の△n分布の測定法> 透過定量型干渉顕微鏡を使用して得られる中心
屈折率(N⊥、O、N、O)及び外層屈折率
(N⊥、0.9、N、0.9)の値によつて、本発明
の繊維の特異な分子配向が明らかとなり、本発明
の繊維の優れた強度との関連を示すことができ
る。透過定量型干渉顕微鏡(例えば東独カールツ
アイスイエナ社製干渉顕微鏡インターフアコ)を
使用して得られる干渉縞法によつて、繊維の側面
から観察した平均屈折率の分布を測定することが
できる。この方法は円形断面を有する繊維に適用
することができる。繊維の屈折率は、繊維軸の平
行方向に振動している偏光に対する屈折率(N
)と繊維軸の垂直方向に振動している偏光に対
する屈折率(N⊥)によつて特徴づけられる。こ
こに説明する測定は全て光源としてキセノンラン
プを用い、偏光下、干渉フイルター波長544mμの
緑色光線を使用して得られる屈折率(Nおよび
N⊥)を用いて実施される。以下Nの測定及び
Nより求められるN、0とN、0.9につい
て詳細に説明するが、N⊥(N⊥、0およびN
⊥、0.9)についても同様に測定できる。試験さ
れる繊維は光学的にフラツトなスライドグラス及
びカバーグラスを使用し、0.2〜1波長の範囲内
の干渉縞のいずれを与える屈折率(NE)をもつ
繊維に対して不活性の封入剤中に浸漬する。封入
剤の屈折率(NE)は緑色光線(波長λ=544mμ)
を光源としてアツベの屈折計を用いて測定した20
℃における値である。この封入剤はたとえば流動
パラフインとα−プロムナフタリンの混合液より
1.48〜1.65の屈折率を有するものが調整できる。
この封入剤中に1本の繊維を浸漬する。この干渉
縞のパターンを写真撮影し、1000倍〜2000倍に拡
大して解析する。第1図に略示した如く繊維の封
入剤の屈折率をNE、繊維のS′−S″間の平均屈折
率をN、S′−S″間の厚みをt、使用光線の波長
をλ、バツクグランドの平行干渉縞の間隔(1λ
に相当)をDn、繊維による干渉縞のいずれをdn
とすると、光路差Lは L=dn/Dnλ=(N−NE)t で表わされる。試料の屈折率をNsとすると、封
入液の屈折率N1およびN2は、Ns<N1 Ns>N2 の2種のものを用いて第1図に示すような干渉縞
のパターンを評価する。 L1=d1/D1λ=(N−N1)t L2=d2/D2λ=(N−N2)t NL1N2−L2N1/L1−L2 従つて(9)式にもとづいて繊維の中心から外周ま
での各位置での光路差から、各位置の繊維の平均
屈折率(N)の分布を求めることができる。厚
みtは得られる繊維が円型断面と仮定して計算に
よつて求めることができる。しかしながら製造条
件の変動や製造後のアクシデントによつて、円形
断面になつていない場合も考えられる。このよう
な不都合を除くため、測定する個所は繊維軸を対
称軸として干渉縞のずれが左右対称になつている
部分を使用することが適当である。測定は繊維の
半径をRとすると0〜0.9Rの間を0.1Rの間隔で
行ない、各位置の平均の屈折率を求めるることが
できる。同様にしてN⊥の分布も求められるので
複屈折率分布は △n(r/R)=N、r/R−N⊥、r/R (10) より求められる。△n(r/R)は少なくとも3
本のフイラメント、好適には5〜10本のフイラメ
ントについて測定したものを平均して得られる。 <繊維の強伸度特性の測定法> 東洋ボールドウイン製テンシロンを用い、試料
長(ゲージ長)100mm、伸長速度=100%/分記録
速度500mm/分、初荷重1/30g/dの条件で単繊
維のS−S曲線を測定し切断強度(g/d)、切
断伸度(%)、ヤング率(g/d)を算出した。
ヤング率は、S−S曲線の原点付近の最大勾配よ
り算出した。各特性値の算出に関し、少なくとも
5本のフイラメント、好適には10〜20本のフイラ
メントについての測定したものを平均して得られ
る。 <繊維の結節強度の測定法> 東洋ボールドウイン製テンシロンを用い、試料
長50mmループの単繊維からなる試料をテンシロン
上下チヤツクにはさまれたフツクに取り付け、ゲ
ージ長50mm、伸長速度=100%/分、記録速度500
mm/分でS−S曲線を測定し、結節切断強度
(g/d)、結節切断伸度(%)を算出した。少な
くとも5本のフイラメント、好適には10〜20本の
フイラメントについて測定したものを平均して得
られる。 <小角X線回折により繊維長周期の測定法> 小型X線散乱パターンの測定は、例えば理学電
機社製X線発生装置(RU−3H型)を用いて行な
う。測定には管電圧45KV、管電流70mA、銅対
陰極、ニツケルフイルターで単色化したCuKα
(λx=1.5418Å)を使用する。サンプルホルダー
に繊維試料を単糸どうしが互いに平行になるよう
に取り付ける。試料の厚さは0.5mm〜1.0mm位にな
るようにするのが適当である。この平行に配列し
た繊維の繊維軸に垂直にX線を入射させ理学電機
社製プロポーシヨナル・カウンター・プローブ
(Proportional CounterProbe:SPC−20)Pを
試料Wと300mmの位置に装着したデイフラクトメ
ーターを2秒/分の回転角速度で回転し、回折強
度曲線を測定する。回折強度曲線のピーク位置あ
るいはシヨルダー位置より長周期小角散乱角度
2αを読むとり、(11)式に従い、繊維長周期を算出
する。(第2図A,B参照)。 d=λx/2Sinα (11) λx=1.5418Å (12) 以下実験例を挙げて本発明の構成及び作用効果
を具体的に説明する。尚実験例中「部」及び
「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」
を示す。 実験例 第1表に示す相対粘度のポリカプロアミドを原
料とし、同表に示す条件で紡糸を行ない、同表に
示す複屈折率△n(30℃、80%RHで24時間経時
後測定)及び相対粘度RVの糸延伸糸を得た。尚
ノズル下の加熱帯はノズルと冷却帯の間に配置
し、また紡糸に当つては、未延伸糸引取り前に適
量の紡糸油剤を糸条表面に付着させた。 得られた各未延伸糸を第2表に示す条件で延伸
し、第3表に示す糸質の延伸糸を得た。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
* 糸条と蒸気噴出孔との距離:5mm
【表】
【表】
第3表から明らかな様に、本発明のポリアミド
繊維(実施例1〜9)は従来のポリアミド繊維に
ない卓越した繊維物性を有している。これに対し
比較例1はポリカプロアミドの相対粘度が低い為
に糸条を構成する平均分子鎖長が短かく、十分な
切断強度が得られない。また比較例2はT20が低
すぎて未延伸糸の△nが規定値を越える為延伸性
が低下し、切断強度及び結節強度が劣る。
繊維(実施例1〜9)は従来のポリアミド繊維に
ない卓越した繊維物性を有している。これに対し
比較例1はポリカプロアミドの相対粘度が低い為
に糸条を構成する平均分子鎖長が短かく、十分な
切断強度が得られない。また比較例2はT20が低
すぎて未延伸糸の△nが規定値を越える為延伸性
が低下し、切断強度及び結節強度が劣る。
第1図Aは本発明の繊維を干渉顕微鏡で横方向
から観察したときに見られる干渉縞を示す模式
図、同Bは繊維断面の模式図、第2図Aは小角X
線回折測定における試料及びフイルム面の配置を
示す模式図、同Bは本発明繊維の小角X線回折パ
ターンを示す模式図である。
から観察したときに見られる干渉縞を示す模式
図、同Bは繊維断面の模式図、第2図Aは小角X
線回折測定における試料及びフイルム面の配置を
示す模式図、同Bは本発明繊維の小角X線回折パ
ターンを示す模式図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 繊維自体の相対粘度(96%濃硫酸水溶液中で
重合体濃度が10mg/ml、20℃において測定:以下
同様)3.5以上であつて、且つ繊維断面内におけ
る複屈折率が式: △nA−△nB≧0.5×10-3 ………(1) 但し △nA:r/R=0.9の位置における繊維の複屈折
率 △nB:r/R=0.0の位置における繊維の複屈折
率 R:繊維断面の半径 r:繊維断面の中心軸からの距離 を満足し、かつ繊維の複屈折率△nが50×10-3以
上、小角X線回折による繊維長周期が100Å以上
であつて、 切断強度≧11.0g/d 結節強度≧8.0g/d 切断強度(g/d)×[切断伸度(%)]1/2≧46.0
………(2) であることを特徴とする優れた強度を有するポリ
アミド繊維。 2 ポリアミド繊維の少なくとも75重量%以上が
ポリカプロアミドよりなる特許請求の範囲第1項
記載のポリアミド繊維。 3 繊維の相対粘度が4.0以上である特許請求の
範囲第1又は2項に記載のポリアミド繊維。 4 単繊維が60デニール以下のものである特許請
求の範囲第1〜3項のいずれかに記載のポリアミ
ド繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20670782A JPS58132109A (ja) | 1982-11-24 | 1982-11-24 | 優れた強度を有するポリアミド繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20670782A JPS58132109A (ja) | 1982-11-24 | 1982-11-24 | 優れた強度を有するポリアミド繊維 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP56142162A Division JPS5865008A (ja) | 1981-09-08 | 1981-09-08 | 優れた強度を有するポリアミド繊維及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58132109A JPS58132109A (ja) | 1983-08-06 |
JPH0321646B2 true JPH0321646B2 (ja) | 1991-03-25 |
Family
ID=16527780
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20670782A Granted JPS58132109A (ja) | 1982-11-24 | 1982-11-24 | 優れた強度を有するポリアミド繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58132109A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60224809A (ja) * | 1984-04-23 | 1985-11-09 | Toray Ind Inc | ポリアミド繊維およびその製造方法 |
JPS61194209A (ja) * | 1985-02-20 | 1986-08-28 | Toyobo Co Ltd | 高強力ポリアミド繊維及びその製造法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS512528A (en) * | 1974-05-14 | 1976-01-10 | Dainippon Ink & Chemicals | Hyomenso o kaizenshita enpitsu no renzokutekiseizohoho |
-
1982
- 1982-11-24 JP JP20670782A patent/JPS58132109A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS512528A (en) * | 1974-05-14 | 1976-01-10 | Dainippon Ink & Chemicals | Hyomenso o kaizenshita enpitsu no renzokutekiseizohoho |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58132109A (ja) | 1983-08-06 |
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