JPS641563B2 - - Google Patents

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JPS641563B2
JPS641563B2 JP9933782A JP9933782A JPS641563B2 JP S641563 B2 JPS641563 B2 JP S641563B2 JP 9933782 A JP9933782 A JP 9933782A JP 9933782 A JP9933782 A JP 9933782A JP S641563 B2 JPS641563 B2 JP S641563B2
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JP
Japan
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fiber
fibers
acs
tension
refractive index
Prior art date
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JP9933782A
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JPS584812A (ja
Inventor
Takashi Fujiwara
Shuji Kajita
Tetsuo Matsushita
Seiichi Manabe
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPS641563B2 publication Critical patent/JPS641563B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、改良されたポリ−p−フエニレンテ
レフタルアミド(以下PPTAと略称する。)繊維
及びその製造法に関し、さらに詳しくは、高強度
にして極めて高ヤング率でありかつ特にプラスチ
ツクス類やゴム類の補強に用いられて有用な
PPTA繊維及びその製造法に関する。 PPTAは古くから知られるポリマーであり、そ
の剛直な分子構造により、耐熱性及び機械的性質
に優れた繊維が得られることが期待されていた。
しかしながら、PPTAは有機溶剤に難溶であるた
め、シプリアニは濃硫酸を溶剤として湿式紡糸す
る基本的方法を提案した(特公昭38−18573号公
報)が、シプリアニの方法自体は工業化されるに
至らなかつた。一方、剛直性高分子を溶媒に溶解
させた際、ある重合度以上、ある濃度以上、ある
温度条件下で液晶を構成することは古くから理論
的にも実質的にも明らかにされていた(P.J.フロ
ーリー;Proc.Roy.Soc.、A234.73(1956))。こ
のような液晶状態にある光学的異方性を示す高分
子溶液をノズルから吐出させ、ノズル内部で生じ
る液晶の配向を出来るだけ乱すことなく凝固でき
れば、高強度、高ヤング率を有し、高度に分子鎖
が配向した繊維が製造可能であることは容易に期
待される。実際、クウオレクはこれらの剛直で直
線的な分子構造を持つ芳香族ポリアミド類の液晶
状態にある濃厚溶液の湿式紡糸方法を提案(特公
昭50−8474号公報)し、再度脚光を浴びるに至つ
た。 ブレーズは、この光学異方性ドープのうちの高
められた濃度のドープを空中吐出湿式紡糸するこ
とにより、紡糸したままの状態の繊維が特別な微
細構造を示し、これによつて高強度を発現させる
ことを提案(特開昭47−39458号公報)し、更に
この繊維を緊張熱処理することによつて高ヤング
率化できることを紹介(特開昭47−43419号公報)
している。 しかし、プラスチツクス類や或る種の特別なゴ
ム類の補強に用いられる、これらの高ヤング率繊
維は次のような欠点が指摘されている。即ち、大
略600g/d以上に高ヤング率化したPPTA繊維
は、繊維の横方向からの応力に対する抵抗性や繊
維表面の摩擦に対する抵抗性に弱く、フイブリル
化しやすい(例えば、S.L.フエニツクスら;
Textile、Res.J.Dec.934(1974))。このため、補
強用繊維として実用に供するために撚糸したとき
にガイド等による擦過によつてフイブリル化によ
る撚糸粉を多く発生する他に、強化材として、例
えばゴムベルトやプラスチツクス中に埋め込まれ
て繰り返し応力の加わる用途に用いられたときの
耐疲労性に劣る。 PPTAを含むパラ配向性の芳香族ポリアミドの
高ヤング率繊維を得る方法についてその後多くの
改善が提案されている(例えば、特開昭52−
12325号公報、特開昭52−12326号公報、特開昭53
−98415号公報)が、上記の問題を解決するもの
ではなかつた。 本発明者らは、強度が大きくかつ大略600g/
d以上の極めて大きいヤング率をもつPPTA繊維
において、繊維の横方向からの抵抗性に優れた繊
維をその微細構造と物性の関係を中心に探究し、
或る特別な結晶構造に加えて特別に選ばれた非晶
部分の構造を有する繊維がこの目的に合致するこ
とを見出した。しかも、このような特別な微細構
造を有する繊維が、特開昭50−154522号公報等で
既に本発明者らが明らかにした無緊張下に紡出後
の繊維の水洗及び乾燥をするという技術の応用に
よつて、すなわち、このように水洗・乾燥された
繊維を特定の張力の緊張下に特定の温度に特定の
時間だけ加熱処理することによつて、はじめて製
造可能であることを発見し、本発明に到達した。 即ち、本発明の第1は、 実質的にポリ−p−フエニレンテレフタルアミ
ドから成る繊維において、繊維軸の垂直方向に振
動する偏光による繊維の屈折率の勾配(TRIv
が0.06乃至0.10、繊維軸の平行方向に振動する偏
光による繊維の屈折率の勾配(TRIp)が−0.020
乃至+0.020であり、繊維軸の垂直方向に振動す
る偏光による繊維の中心屈折率(Nvp)とX線回
折強度比(RIX)が下記(1)〜(4)式; Nvp≧−0.08・(RIX)+1.670 (1) Nvp≦1.640 (2) RIX≧0.85 (3) RIX≦1.10 (4) を満足する範囲内にあり、且つ繊維の見掛けの微
結晶の大きさ(ACS(Å))と繊維の配向角(OA
(度))が下記(5)〜(8)式; OA≧0.10・(ACS)+4.8 (5) OA≧0.40・(ACS)−19.8 (6) OA≦0.05・(ACS)+13.3 (7) OA≦3・(ACS)−146 (8) を満足する範囲内にあることを特徴とする高ヤン
グ率の繊維である。 上記第1の発明に係る繊維は、本発明の第2の
発明、即ち 実質的にポリ−p−フエニレンテレフタルアミ
ドから成る重合体を濃度98重量%以上の濃硫酸に
溶解した異方性ドープを、非凝固層に押出した後
に凝固層を通過させ、次いで凝固した繊維をネツ
トコンベヤー上に堆積させて、繊維に実質的な緊
張がかからない状態で硫酸の洗浄除去及び乾燥を
行なつた後に、緊張のない状態から繊維を解じよ
し、1g/d乃至15g/dの緊張下に250℃乃至
400℃の温度で、かつ次式 250≦(温度)×(時間)0.08≦550 を満たす温度(℃)と時間(秒)だけ緊張加熱す
ることを特徴とする方法によつて製造される。 本発明の繊維は、見掛けの微結晶の大きさ
(ACS(Å))と配向角(OA(度))が次の4つの
式 OA≧0.10・(ACS)+4.8 (5) OA≧0.40・(ACS)−19.8 (6) OA≦0.05・(ACS)+13.3 (7) OA≦3・(ACS)−146 (8) を満足する範囲で特徴づけられる特別の結晶部の
構造を有している。この範囲をわかりやすく示す
ために第1図を作成した。 第1図において、4つの直線a,b,cおよび
dはそれぞれ下記4つの式と対応する。 (a) OA=0.10・(ACS)+4.8 (b) OA=0.40・(ACS)−19.8 (c) OA=0.05・(ACS)+13.3 (d) OA=3・(ACS)−146 このような結晶部の微細構造を有する本発明の
繊維は、従来公知の繊維例えば特開昭47−39458
号公報に開示された繊維やケプラー(デユポン社
商標でPPTA繊維といわれている。)として上市
されている繊維に比べて比較的大きな見掛けの微
結晶の大きさをもつことで特徴づけられ、また特
開昭47−43419号公報に開示された繊維やケプラ
ー−49(デユポン社商標でPPTA繊維といわれて
いる。)として上市されている繊維に比べて比較
的低い結晶部の分子鎖の配向度をもつことで特徴
づけられる。更に特開昭50−154522号公報に開示
された製造法によりえられる繊維に比べて、比較
的大きな見掛けの微結晶の大きさ及び比較的小さ
い配向角を持つことで特徴づけられる。繊維の物
性的には、特開昭47−39458号公報や特開昭50−
154522号公報に開示された繊維は高々600g/d
のヤング率しか与えないのに対し、本発明の繊維
はそれ以上のヤング率を与えることで特徴づけら
れる。 本発明の繊維が、特開昭47−43419号公報等に
開示された繊維に比べ比較的配向角(OA)が大
きいことは、洗浄から乾燥に至る製造工程が一貫
して無緊張下に行われ、その後に緊張加熱処理さ
れることと密接に関連する。しかも、このような
配向角(OA)で示される比較的結晶部の分子鎖
の配向の小さい繊維が特開昭47−43419号公報の
繊維と同程度の極めて大きなヤング率をもつてい
ることは意外としなければならない。 上記した4つの式で規定された結晶部の構造を
有していることが高い強度を保持しつつ、大略
600g/d以上の極めて大きなヤング率を有し、
かつ横方向応力や摩擦に対する抵抗性に優れた繊
維を保証する必要条件の1つである。 更に具体的に述べれば、まず、 OA≧0.10・(ACS)+4.8 (5) なる要件を満たさない繊維は、配向角(OA)が
過度に小さい即ち結晶部の分子鎖の配向が進みす
ぎていることを意味し、高強度、高ヤング率では
あるが、横方向応力や摩擦に対する抵抗性が悪く
なり、このような応力をうけたときフイブリル化
しやすいという重大な欠点をもつている。このよ
うな観点より配向角はより好ましくは、見掛けの
微結晶の大きさ(ACS)対配向角(OA)の比で
表わして5.4Å/度以下の比較的大きい配向角の
範囲である。 次に、 OA≧040・(ACS)−19.8 (6) を満たさない繊維は、ACS(見掛けの微結晶の大
きさ)が大きすぎるために、強度が見劣りし、横
方向応力や摩擦に対する抵抗性も無論悪くなる。
強度の小さくない繊維であるためには、望ましく
は、ACSが75Å以下である。 第3に、 OA≦0.05(ACS)+13.3 (7) なる要件を満さない繊維は、OA(配向角)が大
きすぎる即ち結晶部の分子鎖の配向が少ないため
に、もはや大略600g/d以上の高いヤング率を
示さない。従つて、変形抵抗性が厳しく要求され
る用途例えばプラスチツクスやゴムベルトなどの
補強材としての用途には適さなくなる。 第4に、 OA≦3・(ACS)−146 (8) なる要件を満さない繊維は、ACSが小さく結晶
性が低位であることを示し、このような繊維はヤ
ング率が本発明の繊維に比べ劣るだけでなく、該
繊維を高温例えば200℃程度に曝したとき寸法の
収縮がおこるという欠点が存在する。このような
欠点が克服された繊維は、ACSが少くとも55Å
である。 現在、工業生産されて上市されているデユポン
社のケブラー−49はPPTA繊維と言われ、製造ロ
ツトによつて変動するが、本発明者らの入手した
範囲においてその見掛けの微結晶の大きさは60〜
70Å、配向角は8〜10.5゜であり、プラスチツク
ス等の補強用途に主として用いられようとしてい
るようであるが、本発明の繊維は、このケブラー
−49に比べ、横方向の応力や摩擦などの外力に対
する抵抗性を評価する手段として用いた後記する
屈曲疲労テストによる疲労寿命が約2倍であるこ
とからも、本発明の繊維の改良された効果が理解
されよう。 本発明の繊維がこのような優れた物性を有する
理由の解明には、結晶部の微細構造のみを反映し
たパラメーターであるOAとACSのみでは、十分
に説明できず、繊維の無定形領域のポリマー分子
鎖の微細構造を反映したパラメーターを導入する
必要がある。 このようなパラメーターとして結晶部の大きさ
及び分子鎖の配向に関する総合的なパラメーター
であるX線回折強度比(RIX)と関係づけられた
特別な範囲の繊維軸の垂直方向に振動する偏光に
よる繊維の中心屈折率(Nvp)と特定範囲の2種
類の屈折率勾配(TRIvとTRIp)とによつて、本
発明の繊維が特徴づけられる。即ち、本発明の繊
維は、繊維軸に垂直方向に振動する偏光の繊維中
心部における屈折率Nvpと、結晶部のパラメータ
ーであるRIXとが、 Nvp≧−0.08・(RIX)+1.670 (1) Nvp≦1.640 (2) RIX≧0.85 (3) RIX≦1.10 (4) を満足することで特徴づけられる。これをわかり
やすくするために第2図に図示した。同図におい
て、直線e,f,gおよびhはそれぞれ下記4つ
の式に対応する。 (e) Nvp=−0.08・(RIX)+1.670 (f) Nvp=1.640 (g) RIX=0.85 (h) RIX=1.10 (1)式で示される条件を満足する繊維の製造法を
公知の技術から予測することは難しい。何故なら
ば、Nvpの値には、結晶部及び無定形領域内部の
ポリマー分子鎖(特に分子鎖軸)の配向の程度と
特定の分子鎖に垂直な軸(特に結晶b軸)のラジ
アル配向の程度とに依存すると考えられるが、極
限繊維とされるPPTA繊維ではNvpの値は化学構
造で定まる一種の固有値であると考えられ、この
値の絶対値自体は大幅には変動し得ないものと考
えられていたからである。実際、特開昭47−
43419号公報に開示された繊維は結晶領域内の分
子鎖はほとんど100%近く繊維軸方向に配向し、
Nvpの変動が小さい。この場合、理論的にはNvp
の値は1.62(結晶b軸がラジアル方向に無秩序)
〜1.51(結晶b軸がラジアル方向に完全配向)の
間に存在するはずである。ただし、ここで主屈折
率の論理値としてN〓=1.5138、N〓=1.7334、N〓
=2.04を採用した(矢吹ら;繊維学会誌32、T55
(1976)参照。ただし、本発明者らが、後述のNp
を測定した結果ではN〓は2.07又はそれ以上であ
る)。市販されている大略600g/d以上の高ヤン
グ率のPPTA繊維(ケブラー−49)及び特開昭47
−43419号公報の方法で製造した繊維は全てNvp
が1.585未満でしかなく、b軸のラジアル方向へ
の配向が過度に進んだ繊維である。 上記(1)の式を満たす繊維は、繊維の製造におけ
る洗浄、乾燥工程を無緊張下に行ないその後で緊
張加熱処理を行なうことによつて実現され、横方
向の応力に対する抵抗性に優れているという特徴
と密接に関連している。このような好ましい特徴
は、Nvpが少くとも1.600であることにより一層発
揮され、更に少くとも1.605のNvpをもつた繊維の
ときその特徴が際立つたものになる。 上式(1)〜(4)で特徴づけられる本発明の繊維は、
結晶b軸及び無定形領域における結晶b軸に対応
する軸のラジアル方向への配向性が比較的小さ
く、かつ無定形領域においてポテンシヤルエネル
ギー的に安定なコンホメーシヨンをとつた分子鎖
より成つており、更に結晶部が比較的高い結晶化
度と結晶の完全さを示すという特異な微細構造を
もつていると解釈される。無定形領域の分子鎖の
このような特徴が横方向の応力に対する優れた抵
抗性の発現に寄与すると考えられる。 上記の式(2)の限定即ちNvp≦1.640を逸脱すると
繊維のヤング率が激減して、本発明の繊維の特徴
を失する。一般的には、Nvpの増大に伴なつて強
度及び率が減少する傾向にあるが、Nvp=1.640を
境にしてこの傾向が著しくなる。より好ましいヤ
ング率の繊維はNvp≦1.630の範囲にある。 上記の式(3)で限定された本発明の繊維は比較的
高い結晶化度と結晶の完全さを有する特徴をも
ち、高いヤング率や高温での優れた寸法安定性と
関連している。RIXは好ましくは0.90以上であ
る。RIX≧0.85の比較的大きな結晶化度と結晶の
完全さを備えた乾燥につづく特別な温度下の緊張
加熱処理によつて好便に製造される。 RIX≦1.10という上記(4)式によつて制限された
繊維は、過度の結晶化度と結晶の完全さをもたず
強度が大きい。RIXはより好ましくは1.05以下で
ある。 RIXの物理的意味は理論的には必ずしも明瞭で
はないが、しかしRIXと物性値(特にヤング率や
耐疲労性)との相関性は、ACSのそれに比べて
より密接である。本発明者らは、RIXが結晶の成
長方向の異方性、乱れの異方性、結晶領域内の分
子鎖のコンホメーシヨン及び分子鎖の充填状態の
変動(例えば高柳らのいう結晶型、型(第26
回高分子討論会予稿集(1977))を反映したパラ
メーターと理解している。熱処理により、一般に
RIXは増大するが、これは上記の複雑な構造変化
を反映しているものと考えられる。 本発明の繊維は、黄リン8重量部、ヨウ化メチ
レン1重量部及び硫黄1重量部からなる混合物を
封入剤として用い、この他は後述するNvpやTRIv
の測定と同じ方法により、繊維軸の平行方向に振
動する偏光による干渉顕微鏡観察を行なうことが
できる。 このようにして測定したNpは、主に結晶部及
び無定形領域部を総合したポリマー分子鎖の配向
を反映したパラメーターであると解釈されるが、
本発明の繊維は特異なNpをもつていることがわ
かつた。即ち、Npの繊維中心における値Npp
Npの繊維断面方向の勾配TRIpが特別な範囲にあ
ることが見出された。具体的に言えば、本発明の
繊維は、Nppが2.11以上、好ましくは2.12以上で
あるのに対し、従来公知の繊維又は従来公知の方
法で製造した繊維は高々2.10である。これは、本
発明の繊維が、市販されているPPTA繊維(ケブ
ラーやケブラー−49)に比べ、繊維中心部におけ
る分子鎖の配向度が大きいためと考えられ、本発
明の繊維の特徴の1つである。本発明の繊維と従
来公知の謂ゆる高ヤング率のPPTA繊維(例えば
ケブラー−49や特開昭47−43419号公報開示の繊
維)とを区別できる他の微細構造パラメーターと
してTRIpを挙げることが出来る。つまり、本発
明の繊維は−0.020乃至+0.020のTRIp値をとるの
に対し、公知の謂ゆる高ヤング率繊維は+0.030
以上のTRIp値をもつことが確認できたのである。
このTRIp値からは、本発明の繊維が繊維中心部
においてポリマー分子鎖の配向度が比較的大きい
ことがうかがわれ、このような本発明の繊維の微
細構造上の特徴は、本発明の繊維が横方向の応力
に対する抵抗性に優れているという物性上の特徴
と関連していることがわかつた。TRIp値が−
0.015乃至+0.010の値をとるとき、横方向の応力
に対する抵抗性が一段と改善される。 もし、分子鎖軸方向が完全に繊維軸の方向と一
致しているならば、結晶b軸及び無定形領域内の
結晶b軸に対応する軸のラジアル方向への配向の
程度は、Nvの値のラジアル方向に沿つた勾配
(TRIv)で表現できる。特関昭47−43419号公報
ではこのようなラジアル方向への配向をラテラル
複屈折なるパラメーターで表現し、ラテラル複屈
折が大きいつまりラジアル配向性の強い繊維ほど
好ましい物性を持つている旨記載している。しか
しラテラル複屈折は繊維を一旦切断するという面
倒な操作が必要であるという問題がある。 本発明者らが用いたTRIv値はラジアル配向の
程度を精度よく表現できるが、詳細に検討した結
果ではTRIv値即ちラジアル配向性は繊維の物性
(強度やヤング率など)とは弱い相関性しかもた
ず、しかもあまり大きいTRIv値の繊維は、横方
向の応力や摩擦に対する抵抗性が劣ることが見出
され、それはTRIv値が0.10であることを上限と
されるべきであることがわかつた。TRIv値は好
ましくは0.09以下である。 異方性ドープより繊維を製造する上で、凝固に
際して実質的に伸長を加えつつ凝固をすすめるこ
とは、繊維の凝集構造や高次構造を乱すので好ま
しくない。このような凝固方式としては、紡糸口
金を凝固層に浸漬して紡糸する方法が挙げられ、
この方法により得られる繊維は、干渉顕微鏡観察
によれば繊維の凝集構造や高次構造の乱れがみら
れる。また偏光顕微鏡観察によれば上記紡糸法に
より得られる繊維の内部には1μm程度の大きさ
をもつ粒状物が構成されており、これは液晶が粒
状に連続化した構造と解釈される。本発明の
PPTAの如く極めて極性の大きい高分子は、界面
に対して或る特定の結晶配向をとつて凝固するこ
とは、高柳らの研究(第26回高分子討論会予稿集
(1977))でも明らかなことであるが、それ故に、
本来の乱されない高次構造のPPTA繊維は繊維の
表面に対するb軸の配向つまりb軸のラジアル配
向を示すため、その繊維を繊維軸の垂直方向に振
動する偏光を用いた干渉顕微鏡観察によると、繊
維とほぼ同程度の屈折率をもつ浸液媒体を採用す
れば、特別な干渉縞例えば第4図のような干渉縞
が見られる。従つて、このような干渉縞は、凝固
時又は/及び凝固後に凝固表面の伸長による破壊
や不均一凝固による失透が起らなければ、十分に
出現するもので、ドープのポリマー濃度等によつ
てはほとんど左右されない。このような凝固の好
適な一例として、紡糸口金を凝固層より離し、配
向のための張力を凝固前の非凝固層通過中のドー
プ流に集中させる紡糸法を挙げることができる。
これとは対照的に、紡糸口金を凝固層に浸漬して
紡出し、かつ凝固時に伸長のための張力をかけつ
つ紡糸した繊維では、失透したり、干渉縞が連続
した線として観察されなかつたりする。これは明
らかに不均一な凝集構造の存在することを意味
し、このような不均一な凝集構造をもつ繊維で
は、強度、伸度とも小さい。 干渉顕微鏡によつて観察される干渉縞のパター
ンを定量化したのがTRIvであり、凝集構造の乱
れた繊維は明瞭な干渉縞が測定できずTRIvが測
定不可能であるのに対し、本発明の繊維は0.06〜
0.10の範囲のTRIv値で特徴づけられる。 TRIv値の下限は繊維のヤング率と高温におけ
る寸法安定性の点から決められたものであり、好
ましくは0.065以上である。 本発明の繊維において、30℃、65%RH下にお
ける力学的損失正接(tanδ)が0.001乃至0.030で
ある繊維がより望ましい。何故ならこれより大き
い力学的損失正接を示す繊維は無定形領域部の割
合が程度に大きく、寸法安定性が悪くなつたり、
吸湿性が大きくなつて用途によつては不都合がお
こることがあるからである。また、上記範囲よ
り、小さいtanδをもつ繊維は結晶化度が大き過ぎ
て繊維の機械的性質が劣る。上記温度における
tanδ値は、水分、溶媒の混入量によつて変動し、
一般に不純物や溶媒の混入量の増大によつて大き
くなる。 本発明の繊維を構成する単繊維は、それが太く
なると紡糸の際の流動配向や凝固速度等に起因す
ると思われる繊維の強度低下等が見られて好まし
くなく、通常数デニール以下に選定されており、
大略3.0デニール以下であることが望ましい。下
限は特に限定されるものではなく、通常工業的に
得られる最小繊度である0.1デニール程度までと
り得る。 本発明の繊維を構成する実質的にポリ−p−フ
エニレンテレフタルアミド(以下PPTAと略称す
る。)からなる重合体とは、工業的純度のテレフ
タル酸及びパラフエニレンアミドとより誘導され
るものを言い、好適にはテレフタル酸クロライド
とパラフエニレンジアミンより、N−アルキル置
換カルボンアミド型溶剤又はそれらの二種以上の
混合物、又はそれらと塩化リチウム又は塩化カル
シウムの混合物中にて謂ゆる低温溶液重合法によ
り重合される(例えば、特公昭35−14399号公報
参照)。 本発明の繊維の製造において、一般に重合度の
大きいポリマーを用いるのが、高強度や高ヤング
率を実現する上で好ましい。具体的には、繊維
は、後で詳述する測定条件下で測つた固有粘度が
少くとも5.0であることが好ましい。より好まし
くは、少くとも5.5である。なお、濃硫酸への溶
解及びその紡糸迄の諸工程中にポリマーの重合度
低下をきたすことがあり、繊維として好ましい固
有粘度よりも若干高い固有粘度、具体的には、溶
解工程及びその後の工程での温度管理及び滞在時
間により異なるが、少なくとも0.1から0.5高い固
有粘度のポリマーを用いるのが好ましい。固有粘
度の上限は格別限定されないが、ドープの粘度か
らみで約10以下であることが望ましい。 本発明に係る繊維製造方法を以下に説明する。
まず上記ポリマーを濃硫酸に溶解し、次いで得ら
れた紡糸用ドープを非凝固層、凝固層の順に通過
させて繊維状に凝固させる。 ポリマーを溶解する溶剤としては、溶解能力及
び価格の点で濃硫酸が好ましく、上記の如き高い
固有粘度のPPTAを高濃度に溶解するためには、
特に約98重量%以上の濃硫酸を用いる。なお、遊
離のSO3を含有する謂ゆる発煙硫酸の使用は、
SO3がかえつて溶解性を低めることや、SO3によ
りポリマーのスルホン化が行なわれる可能性があ
ること等の点であまり好ましいものではなく、硫
酸濃度の上限は通常100重量%である。 紡糸ドープに含有されるべきポリマーの濃度
は、特に制限されるものではないが、経済的な理
由や得られる繊維の機械的性質特に引張り強度を
好ましいものにするために12重量%以上が好まし
く、更に好適には14重量%以上である。ポリマー
濃度の上限も特に制限されるものではないが、あ
まり高濃度では安定な紡糸が、不可能になる点を
考慮すれば通常約20重量%以下である。なお、本
発明の繊維の特徴とする横方向の応力に対する抵
抗性に優れた繊維を製造する上においては、おお
むね19重量%以下が更に好適に用いられる。 本発明に使用されるドープは、少くとも紡糸口
金から押出される温度においては異方性であるべ
きである。これは、繊維の好ましい機械的性質を
実現するために必要である。ドープが異方性であ
るか否かは、例えば特公昭50−8474号公報に記載
された光学的方法を使つて判定することができ
る。 紡糸ドープの調製及び使用に当つては、上記ポ
リマー濃度範囲に於いては、ドープは室温付近で
は固化する場合があるため、室温から80℃程度の
温度で取扱えば良いが、ポリマーの分解を可及的
に回避する観点から、なるべく低い温度を選ぶべ
きである。 紡糸ドープは紡糸口金よりまず非凝固層に押出
し、次いで凝固層に導く。ここで、非凝固層とし
ては、空気、窒素等の気体やトルエン、ヘプタン
等の非凝固性液体が用いられるが、紡糸の容易さ
や経済性の点より気体が好ましく、中でも空気が
最も好ましい。なお、気体には、凝固性液体(例
えば水やメタノール)の蒸気が飽和又は不飽和状
態で含まれていてもよい。 非凝固層の厚さは通常約0.1〜10cmで用いられ
るが好適には0.3〜2cmである。非凝固層の厚さ
が過大であると、本発明の範囲のドープが謂ゆる
チクソ粘性を示す、即ち変形速度が大である程見
掛けの粘度が減少するため、得られた繊維の太さ
が均一でなくなり、引張り強伸度の低下に結びつ
く。非凝固層の厚さが過小であると、紡糸口金面
を凝固浴層中に浸漬した場合と差異がなくなる。
紡糸口金面と凝固層の間に非凝固層を介在させる
本発明の紡糸方法の利点として、非凝固層のドー
プ流に引取りドラフト(引き伸ばし)がかかり、
凝固層中の凝固しつつある又は凝固した繊維の引
き伸ばしが全く又はほとんど行なわれないため、
繊維の微細構造の破壊やクラツク等さらにマクロ
な破壊を生じないことである。このような特徴
は、本発明の繊維が失透しないこと、所定範囲の
屈折率勾配(TRIv)をもつこと等と関連してお
り、このような繊維の微細構造上の特徴によつ
て、紡糸口金面を凝固層中に浸漬して行なう湿式
紡糸によつて得られる繊維と区別される。 また、本発明の紡糸方法の他の利点として非凝
固層として気体を選択したときには、紡糸口金に
おけるドープ温度とは独立に凝固層の温度を自由
に設定できるという利点もある。殊に本発明で用
いるドープは室温付近で固化することがあるため
ドープ温度として室温より高い温度を用いること
がしばしば必要となるが、このドープ温度とは独
立して凝固層の温度を室温或いはそれ以下に自由
に設定できる利益は大きい。 本発明の紡糸方法のさらに他の1つの利点は紡
糸口金を凝固層中に入れた湿式紡糸に比べてドラ
フト(凝固した繊維の引きとり速度と紡糸口金か
らのドープ押出速度の比)を大きくできることで
あり、この点は高強度、高ヤング率の繊維を製造
する上で有利である。 紡糸に用いる紡糸口金の形状等は特に制限され
るものではなく、また、紡孔の大きさについて
は、孔閉塞の点からあまり小さなものは避けるべ
きであるし、反対に吐出線速度や紡孔中での剪断
配向等の点から過大なものは避けるべきである。
紡糸速度、目的とする単糸デニール等を勘案し
て、紡孔直径は通常0.06mmから0.09mmの間で選べ
ば良い。 凝固層は、特に制限されないが、水又は濃度50
重量%以下の硫酸(水溶液)が好適である。浴の
温度についても、特に制限されないが、稀硫酸の
機材への腐蝕性を考慮すれば、室温以下、当該凝
固層の氷点付近までが好ましい。 凝固した繊維は、次いで、ネツトコンベヤー上
に堆積されて水洗(硫酸除去)および乾燥を受け
る。第3図は、ネツトコンベヤー上で水洗および
乾燥を行う好ましい実施態様の一例を示したもの
である。第3図においてPPTAの光学異方性ドー
プは紡糸口金2から非凝固層1aに次いで凝固層
1bに押出される。凝固した繊維糸条3aは取出
ロール4によつて凝固層より引出され、次いで振
込ロール5によつて反転コンベヤー6上に振落さ
れる。振込ロール5はかご状物であつてフイラメ
ントを導く外周面を構成する多数のロツドからな
る。繊維糸条3bはコンベヤー6上で弛緩状態の
フイラメントが積重つて巾の狭い無端フリース状
をなす。そして、処理コンベヤー7上に反転され
つつ移される。処理コンベヤー7は連続的にまた
は間歇的に適当な駆動源により反転コンベヤー6
と実質的に等速度で駆動される。堆積された無緊
張状態の繊維糸条からなるフリースは処理コンベ
ヤー7によつて順次洗浄装置8、乾燥装置9へ運
ばれる。次いで、繊維糸条3aは処理コンベヤー
7より取出され緊張加熱装置10を通過して巻取
機11によつてボビンに巻取られる。カバーベル
ト12は無緊張状態に堆積された繊維糸条3bが
洗浄及び乾燥の工程において乱されるのを防ぐ。 水洗および乾燥両工程を通じて繊維に長さ方向
に実質的に張力を加えないことが、特異な微細構
造をもつ本発明の繊維を実現するための必須条件
の1つである。このため、凝固層中又は層から取
出してネツトコンベヤー上に至る迄の取扱いに於
いても細心の注意と装置上の工夫が必要である。 凝固層よりの繊維の引き出しに当つても緊張力
ができるだけ加わらぬことが肝要である。従つ
て、層中に変向ガイド等を設置することは繊維に
緊張を与えるので好ましくない。特公昭44−
22204号公報第1図の如き、銅アンモニアレーヨ
ンの紡糸等で用いられる流管式紡糸浴を採用し、
繊維を凝固液と共に流管より浴外に取出す方法が
好適である。更に、特開昭53−144911号公報に開
示される2重流管式紡糸浴は一層好適である。 凝固層より取出された繊維を、ネツトコンベヤ
ー上に堆積するに際しても、延伸又は緊張処理が
行なわれるべきではなく、凝固層からの引出し抵
抗や諸ガイド類の摩擦等により繊維に作用する張
力を大略0.2g/d以下となる様に、変向角度を
出来るだけ小さくしたり、ガイドの材質や表面粗
度に細心の注意を払うべきである。 ネツトコンベヤー上で繊維を実質的に無緊張下
に水で洗浄して硫酸を除去するに際し、必要に応
じて、水洗に先立つて又はその中間にて水性アル
カリにて中和することは自由に行なわれてよい
が、水洗後エポキシ化合物等を繊維の表面に付与
することは繊維の微細構造のバラツキひいては物
性のバラツキを惹起しがちで好ましくない。 洗浄された繊維は引続いてネツトコンベヤー上
に堆積されたままで、乾燥する。乾燥の温度は実
質的に無緊張状態で行なわれる限り特に限定され
るものではないが、エネルギーの効率や乾燥能力
などの点から通常約50〜300℃で行なわれ、80〜
200℃が更に好都合である。乾燥時間は通常約30
秒〜60分の間に選ばれる。なお、本発明の繊維の
特徴の1つである適度の結晶性を付与する上で乾
燥温度(℃)と乾燥時間(秒)の0.08乗との積の
値を大略150〜300の範囲で行なうことは非常に好
ましい実施態様の1つである。 洗浄した後乾燥に先立つて、又は乾燥後に、ネ
ツトコンベヤー上に無緊張下に堆積したまま100
℃以上の飽和水蒸気で繊維を処理することも、適
度の結晶性や歪のない無定形部分の微細構造を付
与し本発明の繊維の特徴を発揮させる上で非常に
好ましい。 乾燥した繊維は、次いで緊張のない状態から解
じよしてそのまま或いは一旦捲き取つた後に緊張
下に加熱処理する。なお、ネツトコンベヤー上で
の無緊張下の乾燥を行わずに、緊張加熱処理を洗
浄から直接行なうことはポリマー分子鎖の過度の
配向をひき起し易く好ましくない。 緊張下の加熱処理の温度は250〜400℃で行なわ
れるべきである。250℃未満の温度では十分な加
熱処理効果を与えるためには、処理時間を相当に
長くとらねばならず不利である。加熱温度を高め
ることは、加熱時間を短縮できる点では好ましい
が、熱エネルギーの損失が大きいこと、繊維の結
晶化が過度に進行しないように調整することが難
しいことなどの理由から加熱処理温度の上限は
400℃とする。 緊張下の加熱処理の時間は通常0.5〜60秒の間
に選ばれる。本発明の繊維を製造する上で、加熱
時間を加熱温度と関連させて設定するのが好まし
い。本発明の特別な微細構造をもつた繊維を製造
するためには、摂氏(℃)で表現した温度と秒単
位で表わした時間の0.08乗との積の値が250〜550
(℃・秒0.08)の範囲にあることが好ましい。250
(℃・秒0.08)未満のときには、ポリマー分子鎖の
熱固定が不十分なためか、繊維を例えば200℃程
度の温度雰囲気中においたとき、寸法の収縮がお
こりまた微かな緊張をかけてそのような温度雰囲
気においたとき物性の変化(例えば伸度の低下)
をひき起すことが多く、RIXやACSの小さい低
位の結晶性の繊維になり易い。逆に、550(℃・秒
0.08)を超える緊張加熱処理は、重合度の低下を
ひき起したり結晶性が過大の繊維を与えやすく、
このときは繊維の強度が低下する。緊張加熱処理
のより好ましい範囲は280〜500(℃・秒0.08)であ
る。 緊張加熱処理における緊張の程度は、その実施
のし易さから1〜15g/dで行われる。一般に加
熱処理における緊張応力が繊維におけるポリマー
分子鎖の配向の進行程度と密接に関連している
が、本発明の繊維は、実質的に緊張のかからない
状態で洗浄及び乾燥された後に加熱下に緊張処理
されるため、従来のいわゆる高ヤング率繊維には
みられない繊維中心部のポリマー分子鎖の配向度
が比較的大きく繊維外周部のそれが比較的小さい
という特異な微細構造をもつているという特徴を
有し、それ故に横方向の応力に対し強靭である。
なお無緊張下に加熱処理する方法が特開昭50−
160517号公報に示されているが、この方法ではポ
リマー分子鎖の配向が不足して高ヤング率化が不
十分な繊維になる。 緊張加熱処理の方法は特に制限されるものでは
なく、例えば第3図に示したようにローラー間で
緊張しつつ、加熱された空気、窒素、燃焼廃ガス
又は過熱水蒸気等の高温気体中を通す方法や、熱
板や遠赤外線発生装置等で加熱する方法等が考え
られる。なお、緊張加熱時の重合度低下を防止す
る意味で窒素やアルゴン等の不活性気体中で処理
することは好ましい。緊張加熱処理は通常1段で
行われるが、2段以上に分けて同じ温度又は異な
つた温度で行われてもよい。 また、緊張加熱処理において乾燥糸を一旦捲き
取つた後繊維に撚りをかけて行なうと、各単繊維
に対する緊張の程度が均一化できるので好まし
い。 加熱処理された繊維は、次いで、必要あれば仕
上げ油剤の付与、調湿、識別のための着色、イン
ターレース処理等の各種の仕上げ処理を施した
後、捲き取られる。上記の仕上げ処理および捲取
りは、本発明方法実施上特に制限されるものでは
ない。 本発明の繊維は以上の如き、特別な条件下で製
造され、その特徴とするところは、極めて高いヤ
ング率、高い強度にして、かつ横方向の応力や摩
擦に対し強靭性をもつていることであり、それ故
にプラスチツクスやゴム等の補強材として有用で
ある。このような繊維の物性上の優位性は、該繊
維の微細構造と密接に関連しており、従来公知の
製造法では実現しえない特別な微細構造により発
揮される。 本発明の繊維は、プラスチツクスやゴム等の補
強用に供するときは、通常マルチフイラメントの
形態で用いられるが、本発明の繊維の用途は特に
それに限られるものではなく、従つて繊維の形態
も、ロービングヤーン、スフ、チヨツプドストラ
ンド等であつても良い。 本発明の繊維は、プラスチツクスの補強に用い
られて特に有用であり、更にVベルト、平ベル
ト、歯付ベルト等の補強コード等のゴム類の補強
コードに好適に用いられる。そして、本発明の特
徴とする改良された横方向の応力に対する強靭性
が効果的に発揮される。 勿論本発明繊維の用途は上記に限られるもので
はなく、高強度や寸法安定性、耐熱性や難燃性と
言つた従来のPPTA繊維の特性も兼え備えてお
り、従つて、従来PPTA繊維と全く同様に用いら
れる。更に、本発明の繊維のもう1つの特徴とし
て、従来公知の繊維(例えばケブラーやケブララ
ー−49)に比べ耐アルカリ性に優れていることが
見出され、この特徴は例えばコンクリートの補強
に用いたとき特にその威力を発揮する。 以下に本発明の繊維の構造の特定や物性の測定
に用いられる主なパラメーターの測定法について
述べる。 <固有粘度の測定法> 固有粘度(ηinh)は、98.5重量%の濃硫酸に濃
度C=0.5g/dlでポリマー又は繊維を溶かした
溶液を30℃にて常法により測定する。 ηinh=ln ηrel/C <繊維の強伸度特性の測定法> 特に断わらない限り、フイラメントの引張り強
度、伸度、ヤング率は特開昭47−39458号公報に
準じて常法により測定する。 <繊維の屈曲疲労の測定法> 繊維の横方向の応力に対する抵抗性や摩擦に対
する抵抗性を評価する方法として、以下に述べる
紙の耐折強さ試験方法を応用した繊維の屈曲強さ
を測る方法を用いた。 JIS P−8115として規定された方法において、
紙の代りに80回/mの撚りを入れた繊維を用いか
つ繊維の保持をよくするために繊維と把持部の間
に薄いゴム板を使用した。これ以外は全てJISの
規定に従つた。即ち、張力1Kg、折り曲げ角度片
側に135゜、繊維長110mm、折りまげ回数175回/分
で、このような条件下の屈曲のくり返しによつて
繊維が破断するまでの屈曲回数を屈曲疲労寿命と
定義した。データは5回測定の平均値を採用し
た。 <中心屈折率(Nvp、NPO)及び屈折率勾配
(TRIv、TRIP)の測定法> 透過定量型干渉顕微鏡を使用して得られる中心
屈折率(Nvp、NPO)及び屈折率勾配(TRIv
TRIP)の値によつて、本発明の繊維の特異な分
子配向が明らかとなり、本発明の繊維の優れた耐
屈曲疲労性との関連を示すことができる。 透過定量型干渉顕微鏡(例えば東独カールツア
イスイエナ社製干渉顕微鏡インターフアコ)を使
用して得られる干渉縞法によつて、繊維の側面か
ら観察した平均の屈折率の分布を測定することが
できる。この方法は円形断面を有する繊維に適用
することができる。 繊維の屈折率は、繊維軸の平行方向に振動して
いる偏光に対する屈折率(NP)と繊維軸の垂直
方向に振動している偏光に対する屈折率(Nv
によつて特徴づけられる。ここに説明する測定は
全て緑色光線(波長λ=546mμ)を使用して得
られる屈折率(NP及びNv)を用いて実施され
る。以下、Nvの測定及びNvより求められるNvp
とTRIvについて詳細に説明するが、NP(NPO
TRIP)についても同様に測定できる。 試験される繊維は光学的にフラツトなスライド
ガラス及びカバーガラスを使用し、0.2〜2波長
の範囲内の干渉縞のずれを与える屈折率(NR
をもつ繊維に対して不活性の封入剤中に浸漬され
る。封入剤の屈折率(NR)は緑色光線(波長λ
=546mμ)を光源としてアツベの屈折計を用い
て測定された20℃における値である。この封入剤
中に数本の繊維を浸漬し単糸が互いに接触しない
ようにする。さらに繊維は、その繊維軸が干渉顕
微鏡の光軸及び干渉縞に対して垂直となるように
すべきである。この干渉縞のパターンを写真撮影
し1500倍〜2000倍に拡大して解析する。 第4図で繊維の封入剤の屈折率をNR、繊維
S′−S″間の平均屈折率をNv、S′−S″間の厚みを
t、使用光線の波長をλ、バツクグラウンドの平
行干渉縞の間隔(1λに相当)をD、繊維による
干渉縞のずれをdとすると、光路差Rは R=d/Dλ=(Nv−NR)t で表わされる。 繊維の中心r0から外周rGまでの各位置での光路
差から、各位置の繊維の平均屈折率(Nv)の分
布を求めることができる。 厚みtは得られる繊維が円形断面と仮定して計
算によつて求めることができる。しかしながら製
造条件の変動や製造後のアクシデントによつて、
円形断面になつてない場合も考えられる。このよ
うな不都合を除くため、測定する個所は繊維軸を
対象軸として干渉縞のずれが左右対称になつてい
る部分を使用することが適当である。測定は、繊
維の半径をrとすると、0(繊維の中心)〜0.95r
の間を0.05rの間隔で行ない、各位置の平均の屈
折率を求めることができる。繊維軸の垂直方向に
振動する偏光による中心屈折率Nvpは、r0の繊維
の中心における屈折率の値である。繊維軸の垂直
方向に振動する偏光による屈折率勾配TRIvは次
式によつて表わされる。 TRIv=Nv0.5−Nvp/0.5 ここで、TRIv、Nvp、Nv0.5は各々、繊維軸の
垂直方向に振動する偏光による屈折率勾配、中心
屈折率、半径の1/2の位置における平均屈折率で
ある。 一方、繊維軸の平行方向に振動する偏光を用い
ることによつてNPを測定すれば、NPOはr0におけ
る屈折率の値として、又、TRIPは TRIP=NP0.5−NPO/0.5 なる式によつて計算できる。 屈折率勾配及び中心屈折率の値は少なくとも3
本のフイラメント、好適には5〜10本のフイラメ
ントについて測定したものを平均して得られる。 実施例2、3及び比較例4、5についてNPO
びTRIPを測定した結果を次に記す。
【表】 <配向角(OA)の測定法> 繊維の配向角(OA)の測定は例えば理学電機
社製X線発生装置(RU−200PL)、繊維測定装置
(FS−3)、ゴニオメーター(SG−9R)及びシン
チレーシヨンカウンタを用いて実施する。測定に
はニツケルフイルターで単色化したCu K〓(λ=
1.5418Å)を使用する。 本発明の繊維は一般に赤道線上に2つの主要な
反射を有することが特徴である。配向角の測定
は、高角度の2θを有する反射を使用する。使用さ
れる反射の2θは、赤道線方向の回折強度曲線から
決定される。 X線発生装置は40kV90mAで運転する。繊維
測定装置に繊維試料を単糸どうしが互いに平行と
なるように取り付ける。試料の厚さは0.5mm位に
なるようにするのが適当である。予備実験により
決定された2θ値にゴニオメーターをセツトする。
この平行に配列した繊維の繊維軸に垂直にX線を
入射させる(ビーム垂直透過法)。方位角方向を
−30゜〜+30゜走査し、シンチレーシヨンカウンタ
ーで回折強度を記録紙に記録する。さらに−180゜
と+180゜の回折強度を記録する。この時スキヤニ
ングスピード2θ=4゜/min、チヤートスピード1.0
cm/min、タイムコンスタント2あるいは5sec、
コリメーター1minφ、レシービングスリツト縦横
とも1゜である。 得られた回折強度曲線から配向角を求めるに
は、±180゜で得られる回折強度の平均値を取り、
水平線を引く。ピークの頂点から基線に垂線をお
ろし、その高さの中点を求める。中点を通る水平
線を引く。この水平線と回折強度曲線の交点間の
距離を測定し、この値を角度(゜)に換算した値
を配向角(OA)とする。 <見掛けの微結晶の大きさ(ACS)及び回折強
度比(RIX)の測定法> 赤道方向の回折強度曲線を反射法によつて求め
ることによつて、ACS、RIXを求めることがで
きる。 理学電機社製X線発生装置(RU−200PL)ゴ
ニオメーター(SG−9R)及びシンチレーシヨン
カウンターを用いて実施する。測定にはニツケル
フイルターで単色化したCU K〓(λ=1.5418Å)
を用いる。繊維試料の繊維軸が回折計の2θ軸の面
に垂直となるようにAl製試料ホルダにセツトす
る。このとき試料の厚さは0.5mm位になるように
する。40kV90mAでX線発生装置を運転し、シ
ンチレーシヨンカウンターを使用することによ
り、スキヤニングスピード2θ=1゜/min、チヤー
トスピード1cm/min、タイムコンスタント
2sec、ダイバージエンススリツト1/6゜、レシー
ビングスリツト0.3mm、スキヤツタリングスリツ
ト1/6゜において、2θが8゜〜37゜までの回折強度を
記録する。記録計のフルスケールは得られる回折
強度曲線がスケール内に入るように設定し、少な
くとも最高強度値がフルスケールの50%を超える
ように設定する。 本発明の繊維は、一般に赤道線の2θ=19゜〜24゜
の範囲内に2つの主要な反射を有することが特徴
である。ACSは低い2θ値を有する反射について
求める。RIXは、2つのピークの回折強度比をも
つて表わされる。 2θ=9゜と36゜の間にある回折強度曲線間を直線
で結び基線とする。回折ピークの頂点から基線に
垂線を下し、ピークと基線間の中点を記入する。
中点を通る水平線を、回折強度曲線の間に引く。
この線は2つの主要な反射がよく分離している場
合は、曲線のピークの2つの肩と交叉するが分離
が悪い場合には1つの肩のみと交叉するだけであ
る。このピークの幅を測定する。一方の肩のみと
交叉する場合は交叉点から中点までの距離を測定
して2倍する。2つの肩と交叉する場合は、両肩
間の距離を測定する。これらの値をラジアン表示
に換算してライン幅(半価幅)とする。さらにこ
のライン幅を次の方法で補正する。 β=√22 Bは測定した半価幅、bはブロードニング定数
でSi単結晶の2θ=28゜付近に位置するピークのラ
ジアン表示したライン幅(半価幅)である。見掛
けの微結晶の大きさは次式 ACS=Kλ/βcosθ によつて与えられる。ここでKは1、λはX線の
波長(1.5418Å)、βは補正された半価幅、θは
ブラツグ角で2θの1/2である。 RIXは、2θが低角度側に位置する回折ピークの
頂点と基線間の距離に対する高角度側の回折ピー
クの頂点と基線間の距離の比で表わされる。 <力学的損失正接(tanδ)の測定> 例えば東洋ボールドウイン社製レオバイブロン
DDV−c型を使用して常法により求めることが
できる。周波数110Hz、乾燥空気中30℃60%RH
で測定したときのtanδ値である。 以下、本発明を実施例について更に具体的に説
明する。実施例中、特に記載しないかぎり、部お
よび%は重量に基づく。 参考例 低温溶液重合法により次の如くPPTAポリマー
を得た。 特公昭53−43986号公報に示された重合装置中
でN−メチルピロリドン1000部に無水塩化カルシ
ウム70部を溶解し、次いでパラフエニレンジアミ
ン48.6部を溶解した。8℃に冷却した後、テレフ
タル酸ジクロライド91.4部を粉末状で一度に加え
た。数分後に重合反応物はチーズ状に固化したの
で、特公昭53−43986号公報記載の方法に従つて
重合装置により重合反応物を排出し、直ちに2軸
の密閉型ニーダーに移し、同ニーダー中で重合反
応物を微粉砕した。次に微粉砕物をヘンシエルミ
キサー中に移し、ほぼ等量の水を加えて更に粉砕
した後、過し、数回温水中で洗浄して、110℃
の熱風中で乾燥した。固有粘度が5.6の淡黄色の
PPTAポリマー95部を得た。 なお、異なつた固有粘度のポリマーは、N−メ
チルピロリドンとモノマー(パラフエニレンジア
ミン及びテレフタル酸ジクロライド)の比、又
は/及びモノマー間の比等を変えることによつて
容易に得ることができる。 実施例 1 参考例に従つて製造した固有粘度が5.6の
PPTAポリマーを99.4%硫酸中に、ポリマー濃度
が18%になるように、70℃で2時間で溶解した。
溶解は真空下で行ない、溶解についで2時間静置
脱泡した後紡糸した。このドープは異方性であつ
た。ドープは0.06mmφの細孔800個をもつ紡糸口
金より押出し、一旦10mmの空間を走行せしめた
後、初めて5℃の25%希硫酸中で凝固させられ、
次いで糸条として120m/分の速度で引出した。
次いで、糸条は第3図の装置により、洗浄、乾燥
及び緊張加熱処理を行なつた。洗浄はまず15%カ
セイソーダ水溶液で行ない、次いで水で行なつ
た。乾燥は110℃に加熱された乾燥室に6分間滞
在するようにして行なつた。カバーベルトとして
は、乾燥温度に耐えられるようにポリテトラフル
オロエチレン繊維を平織りにした布を用い、ネツ
トコンベヤーとしてはステンレス製の金網を用い
た。緊張加熱処理は、加熱室に繊維を供給するロ
ーラーと加熱室より取出すローラーとの速度比を
調整することにより約5g/dの緊張をかけて行
ない、加熱室には300℃に加熱された窒素ガスを
送りこんだ。加熱室に10秒滞在させて処理した繊
維はTRIv=0.071、TRIp=−0.009、Nvp=1.611、
Npp=2.120、RIX=0.95、ACS=60Å、OA=
14゜、tanδ=0.017をもつ1180デニールのフイラメ
ントで、21.0g/dの強度、2.3%の伸度、820
g/dのヤング率をもつており、前記の方法で測
つた屈曲疲労寿命は2800回であつた。 次に、洗浄工程と乾燥工程の間に110℃の水蒸
気で処理する工程を設けて、他は上と同様に繊維
を製造した。TRIv=0.073、TRIp=−0.005、Nvp
=1.617、Npp=2.128、RIX=0.94、ACS=62Å、
OA=15゜、tanδ=0.017、強度21.5g/d、伸度
2.4%、ヤング率800g/d、屈曲疲労寿命3300回
であつた。 比較例 1 比較のために特開昭47−43419号公報記載の方
法に従つて製造した繊維の例を示す。 実施例1と同様に紡糸された糸条を本発明の装
置の代りに、一旦ボビンに捲き取り、この状態で
10%カセイソーダ水溶液次いで水の入つた洗浄槽
中に浸漬して水洗し、次にボビンに捲いたまま
110℃の熱風乾燥機中で乾燥した。次いで、実施
例1と同じ条件で緊張加熱処理を施した。 得られた繊維は、TRIv=0.098、TRIp=+
0.045、Nvp=1.581、Npp=2.081、RIX=0.93、
ACS=61Å、OA=9.3゜、強度20.3g/d、伸度
1.8%、ヤング率850g/d、屈曲疲労寿命1500回
で、高ヤング率ではあるが、実施例1の繊維に比
べ屈曲疲労が相当に劣り、強靭性にかけることを
示している。 比較例 2 特開昭50−154522号公報に示された方法によつ
て製造された繊維を比較のために示す。 第3図の装置を用いて実施例1と同様に紡糸、
洗浄及び乾燥した繊維を、緊張加熱装置10を通
さずに直接捲取り機11に捲き取つた。 製造された繊維の構造と物性は次の通りであつ
た。TRIv=0.025、TRIp=−0.003、Nvp=1.619、
Npp=2.103、RIX=0.76、ACS=41Å、OA=
27゜、強度22.3g/d、伸度6.9%、ヤング率300
g/d。 この繊維は高い強度をもつが、特別な引張り変
形抵抗性を要求されるプラスチツクスやゴムの補
強材用途には伸度が大きすぎることとヤング率が
小さすぎるために適当でない。 なお、本比較例の繊維は高温時の寸法及び物性
の安定性に欠けることが判明した。即ち、本比較
例の繊維と実施例1の繊維を200℃のオーブン中
に30分間無緊張で静置しておくと、前者は、0.08
〜0.11%の寸法収縮を起した(3本のサンプル)
のに対し、後者は全く収縮が観測されなかつた。 比較例 3 参考例に従つて製造したPPTAポリマーから、
ポリマー濃度4.5%の等方性ドープを作り、この
他の条件は実施例1と同様に繊維を製造した。 得られた繊維は、TRIv=0.025、TRIp=+
0.032、Nvp=1.644、Npp=2.071、RIX=0.85、
ACS=56Å、OA=23゜、強度12.1g/d、伸度1.9
%、ヤング率370g/dで、結晶部及び無定形部
のポリマー分子鎖の配向が小さすぎるためか、強
度及びヤング率が小さかつた。 実施例2及び比較例4 参考例に準じて製造した固有粘度6.1のPPTA
ポリマーを99.4%硝酸中にポリマー濃度が16%に
なるように、65℃で2時間で溶解し、次いで脱泡
して異方性ドープとした。実施例1と同様に空気
中に紡糸し、次いで特開昭53−144911号公報に開
示されたいわゆる2重流管式紡糸浴中を通して凝
固させた後、洗浄した。乾燥条件と1m当り40回
の撚りを入れて行なつ緊張加熱処理の条件を種々
変化させて、繊維を製造した。緊張加熱処理は熱
板で行なつた。製造条件と結果を第1表に示す。
なお、第1表の繊維は全て、固有粘度5.7〜6.0、
単繊維デニール約1.9、tanδ0.010〜0.025であつ
た。
【表】 実施例3及び比較例5 参考例に準じて製造した固有粘度6.2のPPTA
ポリマーを使用して、ポリマー濃度を種々に変化
させたドープを用いて繊維を製造した。各々のポ
リマー濃度に応じて、ドープの温度を第2表に記
したように調整したが、いずれも異方性を示し
た。また、紡糸時のドラフトを調整することによ
つて第2表に記した単繊維デニールの繊維を製造
した。乾燥は200℃で2分間行ない、次いで乾燥
の後に繊維をネツトコンベヤーに堆積させたまま
100℃の飽和水蒸気で処理し、その後緊張加熱処
理した。特記した以外は実施例1と全く同様にし
て製造した。製造条件及び結果を第2表に示す。 比較例5の繊維は屈曲疲労寿命にすぐれている
が、強度及びヤング率が極めて小さい。
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、本発明に係る繊維の微細
構造上の特徴を説明するもので、各々の図の4つ
の直線で囲まれた範囲内が本発明の繊維である。
第3図は、本発明の繊維の製造法の一実施態様を
示す説明図である。 1a……非凝固層、1b……凝固層、2……紡
糸口金、3a,3b,3c……繊維糸条、4……
取出しロール、5……振込みロール、6……反転
コンベヤー、7……処理コンベヤー、8……洗浄
装置、9……乾燥装置、10……緊張加熱処理装
置、11……捲取り機、12……カバーベルト。 第4図のAは、繊維の断面の模式図であり、B
は本発明の繊維を繊維軸の垂直方向に振動する偏
光により干渉顕微鏡で横方向から観察したときに
みられる干渉縞を示す。 d……Sにおける繊維による干渉縞のずれ、D
……バツクグランドの平行干渉縞の間隔、r……
繊維の断面の半径、r0……繊維の断面の中心、rG
……繊維の外周、S……繊維断面内の任意の点、
S′,S″……Sに対応する繊維の外周、t……Sに
おける繊維断面の入射光方向に測つた厚さ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 実質的にポリ−p−フエニレンテレフタルア
    ミドから成る繊維において、繊維軸の垂直方向に
    振動する偏光による繊維の屈折率の勾配(TRIv
    が0.06乃至0.10、繊維軸の平行方向に振動する偏
    光による繊維の屈折率の勾配(TRIp)が−0.020
    乃至+0.020であり、繊維軸の垂直方向に振動す
    る偏光による繊維の中心屈折率(Nvp)とX線回
    折強度比(RIX)が下記(1)〜(4)式; Nvp≧−0.08(RIX)+1.670 (1) Nvp≦1.640 (2) RIX≧0.85 (3) RIX≦1.10 (4) を満足する範囲内にあり、且つ繊維の見掛けの微
    結晶の大きさ(ACS(Å))と繊維の配向角(OA
    (度))が下記(5)〜(8)式; OA≧0.10・(ACS)+4.8 (5) OA≧0.40・(ACS)−19.8 (6) OA≦0.05・(ACS)+13.3 (7) OA≦3・(ACS)−146 (8) を満足する範囲内にあることを特徴とする高ヤン
    グ率の繊維。 2 力学的損失正接(tanδ)が0.001乃至0.030で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の繊維。 3 固有粘度(98.5重量%硫酸中重合体濃度0.5
    g/dl、30℃において測定、以下同様)が少くと
    も5.0であることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の繊維。 4 繊維軸の垂直方向に振動する偏光による繊維
    の屈折率の勾配(TRIv)が0.065乃至0.09であり、
    かつ繊維軸の平行方向に振動する偏光による繊維
    の屈折率の勾配(TRIp)が−0.015乃至+0.010で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の繊維。 5 繊維軸の垂直方向に振動する偏光による繊維
    の中心屈折率(Nvp)が1.600乃至1.630であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の繊
    維。 6 X線回折強度比(RIX)が1.05以下であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第5項
    記載の繊維。 7 見掛けの微結晶の大きさ(ACS)対配向角
    (OA)の比が5.4Å/度以下であることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の繊維。 8 見掛けの微結晶の大きさ(ACS)が55Å乃
    至75Åであることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項又は第7項記載の繊維。 9 単繊維のデニールが3.0デニール以下である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の繊
    維。 10 実質的にポリ−p−フエニレンテレフタル
    アミドから成る重合体を濃度98重量%以上の濃硫
    酸に溶解した異方性ドープを、非凝固層に押出し
    た後に凝固層を通過させ、次いで凝固した繊維を
    ネツトコンベヤー上に堆積させて、繊維に実質的
    な緊張がかからない状態で硫酸の洗浄除去及び乾
    燥を行なつた後に、緊張のない状態から繊維を解
    じよし、1g/d乃至15g/dの緊張下に250℃
    乃至400℃の温度で、かつ次式 250≦(温度)×(時間)0.08≦550 を満たす温度(℃)と時間(秒)だけ緊張加熱処
    理することを特徴とする実質的にポリ−p−フエ
    ニレンテレフタルアミドからなる繊維の製造法。 11 固有粘度が少くとも5.1のポリ−p−フエ
    ニレンテレフタルアミドを用いることを特徴とす
    る特許請求の範囲第10項記載の製造法。 12 ポリマー濃度が少くとも12重量%の異方性
    ドープを用いることを特徴とする特許請求の範囲
    第10項記載の製造法。 13 非凝固層が空気であることを特徴とする特
    許請求の範囲第10項記載の製造法。 14 凝固層が水又は/及び希硫酸水溶液である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第10項記載の
    製造法。 15 繊維の洗浄を水又は/及び水性アルカリで
    行なうことを特徴とする特許請求の範囲第10項
    記載の製造法。 16 硫酸の洗浄除去後乾燥に先立つて、又は乾
    燥後緊張加熱処理に先立つて、実質的に無緊張下
    に少くとも100℃の飽和水蒸気で繊維を処理する
    ことを特徴とする特許請求の範囲第10項記載の
    製造法。
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