JP4972324B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
また、初期引張抵抗度が高いコードとして、ポリケトン繊維よりなるコードが知られており、従来のポリオレフィン繊維に比べて融点が高く、高強度を有することが知られており、この優れた物性を生かして産業資材用途、タイヤやベルト、ホースなどのゴム補強材料として展開が期待されている。ポリケトン繊維コードをカーカスに適用したタイヤは、高荷重耐久性及び操縦安定性がバランス良く改善されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、最近では高熱収縮応力を有するポリケトン繊維の開発がおこなわれている(例えば、特許文献3参照)。
繊維材料をゴム補強材として使用する場合には、通常、繊維を撚糸後、接着剤を付与してコード状とし、あるいは簾状としてゴム材料中に埋設する。
また、ポリケトンコードを経糸に用いた簾状織物に関する技術が開示され(例えば、特許文献4参照)、(イ)「ポリケトン繊維およびポリケトン繊維コードからなるコードは摩擦係数が小さく、簾織物の経糸として用いると、緯糸との間に滑りが生じて経糸の打ち込み間隔が不均一になる、いわゆる「目ずれ」が起こりやすい。」(ロ)「高強度及び高弾性を有するポリケトン繊維およびポリケトン繊維コードからなるコードは熱収縮応力が高く、簾織物に製織後の熱収縮によって簾織物が歪んで平坦性が損なわれる。」などの問題点を挙げ、その解決手段として経糸と緯糸との繊維−繊維間静止摩擦係数(μs)を上げることが開示されている。
しかしながら、高速耐久性及び操縦安定性に優れたタイヤを開発するニーズが拡大してきており、高速性能を要求される高性能系タイヤ、超扁平系タイヤ、重荷重系タイヤについては、上記問題点を克服して、非常に強い熱収縮応力を有するポリケトン繊維コードの特性を生かした、該ポリケトン繊維をカーカスコードに適用する技術の開発が必要になってきている。
すなわち、本発明は、
(1) カーカス層を構成するカーカスコードが、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%含み、前記カーカスコードの最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあり、かつ前記カーカス層に隣接し、タイヤ半径方向内側の少なくとも一部に該カーカス層を構成するコーティングゴムよりもヤング率が高いポリマー組成物から構成される(A)層を配設したことを特徴とする空気入りタイヤ、
(2) 前記ポリマー組成物のヤング率が5MPa〜15GPaである上記(1)の空気入りタイヤ、
(3) 前記(A)層が、カーカス層とインナーライナー層との間に配設された上記(1)又は(2)の空気入りタイヤ、
(4) 前記(A)層が、インナーライナー層として配設された上記(1)〜(3)のの空気入りタイヤ、
(5) 前記カーカスコードに少なくとも50質量%含まれるポリケトン繊維原糸の引張強度が10cN/dtex以上、弾性率が200cN/dtex以上、かつ接着剤処理(Dip処理)後のコードとして、150℃にて30分間乾熱処理時の熱収縮率が1〜5%である上記(1)〜(4)の空気入りタイヤ、
(6) 前記(A)層が、フイルム状及び/又はリボン状である上記(1)〜(5)の空気入りタイヤ、
(7) 前記(A)層の厚さが、30〜300μmである上記(1)〜(6)の空気入りタイヤ、
(8) 前記ポリマー組成物が、熱可塑性樹脂(a)、エラストマー(b)及びタイヤとして使用した際の相対するゴム層との臨界表面張力差が3mN/m以下の他の熱可塑性樹脂(c)の混合物からなり、かつヤング率が5MPa〜500MPaである上記(1)〜(7)の空気入りタイヤ、
(9) 前記(a)成分が、ポリケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂及びイミド系樹脂の群から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂である上記(8)の空気入りタイヤ、
(10) 前記(b)成分が、ジエン系ゴム及びその水添物、オレフィン系ゴム、含ハロゲン系ゴム、シリコンゴム、含イオウゴム、フッ素ゴム並びに熱可塑性エラストマーの群から選ばれた少なくとも一種のエラストマーである上記(8)の空気入りタイヤ、
(11) 前記(c)成分が、超高分子ポリエチレン、アクリレート共重合体類及びそのマレイン酸付加物、ポリプロピレン、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体の群から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂である上記(8)の空気入りタイヤ、
(12)前記ポリマー組成物が、ヤング率が1〜15GPaの熱可塑性樹脂(a)からなる上記(1)〜(7)の空気入りタイヤ、
(13) ポリケトン繊維を構成するポリケトンが、下記一般式(I)
(14) 前記式(I)中のAがエチレン基である上記(13)の空気入りタイヤ、
を提供するものである。
本発明に用いられるポリケトン繊維コードの原料であるポリケトンは、上記式(I)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンが好ましい。また、該ポリケトンの中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンがさらに好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。繰り返し単位中の1−オキソトリメチレンの割合が高いほど分子鎖の規則性が向上し、高結晶性で高配向度の繊維が得られる。
該熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロールや過熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲が好ましく、総延伸倍率は、10倍以上であることが好ましい。
ここで、熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪の残留が大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長より繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
また、ポリケトン繊維の高い熱収縮特性を最も効果的に活用するには、加工時の処理温度や使用時の成型品の温度が、最大熱収縮応力を示す温度(以下最大熱収縮温度という)と近い温度であることが望ましい。
タイヤコードやベルト等のゴム補強用繊維材料として用いられる場合、RFL処理温度や加硫温度等の加工温度が100〜250℃であること、また、繰返し使用や高速回転によってタイヤやベルト等の材料が発熱した際の温度は100〜200℃にもなること等から最大熱収縮温度は100〜250℃の範囲であり、より好ましくは150〜240℃であることが望ましい。
コード中のポリケトン繊維の割合を上記範囲内にすることによって、優れた、コードの熱収縮性、強度、寸法安定性、耐熱性、およびゴムとの接着性などを得ることができる。
また、前記ポリケトン繊維原糸の弾性率が200cN/dtex以上に、より好ましくは250cN/dtex以上にあることが好ましい。弾性率を上記範囲にすることによって、タイヤとして十分な形状保持性を確保することができる。弾性率の上限については特に制限はないが通常、350cN/dtex程度である。
また、前記ポリケトン繊維少なくとも50質量%含む接着剤処理(Dip処理)後のコードとして、150℃にて30分間乾熱処理時の熱収縮率が1%〜5%の範囲に、より好ましくは2%〜4%の範囲にあることが望ましい。上記熱収縮率を範囲にすることによって、タイヤ製造時の加熱による引き揃え効率及びタイヤ強度を確保し、安定したタイヤ形状を得ることが出来る。
本発明に用いられるポリケトン繊維コードの熱収縮応力は110℃を超えると急激に増加する。高速走行でタイヤ温度が上昇するにつれて熱収縮応力は増加し、高速走行によるショルダーの迫り出しを抑え、優れた高速時の操縦安定性を示す。すなわち、タイヤの温度上昇にともなって熱収縮応力増加する。
ポリケトン繊維コードの収縮は、コードが室温になるともとに戻り、高温になると再度発現する。この現象は可逆的に起こり、タイヤを走行させるごとに繰り返し行なわれる。
さらに、前記ポリマー組成物のヤング率は、カーカス層を構成するコーティングゴムのヤング率よりも150MPa以上高いことが好ましい、より好ましくは、300MPa以上である。その上限については特に制限はないが、通常、10GPa程度である。以上のように、(A)層のヤング率を上記範囲内にし、カーカス層を構成するコーティングゴムのヤング率よりも(A)層のヤング率を高くすることによってカーカスコードの配列の乱れを抑制し、タイヤ内面側部材へのカーカスコードの食込みを減少させることによって、接着性を維持し、ユニフォミティー特性の優れた空気入りタイヤを得ることができる。
さらに、通常(a)熱可塑性樹脂を含むポリマー組成物から構成される(A)層は耐空気透過性にも優れ、インナーライナーとして適用することが可能である。
また、配設する(A)層の厚さは、30〜300μmが好ましく、75〜100μmがより好ましい。(A)層の厚さを上記範囲にすることによって、タイヤ重量の増加を最小限に抑え、カーカスコードの高い熱収縮応力に由来するインナーライナー層のタイヤ内面側部材へのカーカスコードの食込みを抑制し、カーカスコードとコーティングゴムとの接着性を確保し、さらに、配設した(A)層の端部における段差の大きさに由来する、エア入りなどのタイヤの不具合をなくし、高いレベルでのタイヤの高速耐久性を確保することができる。
(A)層の形状としてはフイルム状又はリボン状のものを適用することができるが、作り易さ及び取り扱いの簡便さからフイルム状のものが好ましい。
それに加えて、タイヤバットレス部からサイドウォール部にかけて該カーカス層とインナーライナー層間に(A)層を配設することによりインナーライナー層等のタイヤ内面側部材へのカーカスコードの食込みを抑制しコーティングゴムとの接着性を確保することができる。
(a)成分の熱可塑性樹脂としては、例えば以下のような熱可塑性樹脂及びこれらの又はこれらを含む任意の樹脂混合物を挙げることができる。また、これらに、酸化防止剤等が添加された熱可塑性樹脂成分でも良い。
ジエン系ゴム及びその水添物(例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBR及び低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR)、オレフィン系ゴム(例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム(例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR,CHC)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM))、シリコンゴム(例えばメチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム)、含イオウゴム(例えばポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー)などを挙げることができる。
しかしながら、(a)成分の熱可塑性樹脂は、上記3成分系の(c)成分である接着性付与成分を配合していないため、通常タイヤのカーカス層を構成しているコーティングゴムに使用されるゴムやインナーライナー層を構成するゴムとの接着を充分確保することができず、(a)成分を変性した変性樹脂や、接着剤を使用することによって接着性を確保することができる。
本発明に係わる(A)層を接着せしめるゴム層の材料には特に限定はなく、従来からタイヤ用ゴム材料として一般に使用されている任意のゴム材料とすることができる。そのようなゴムとしては、例えば、IR,BR,SBR等のジエン系ゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、スチレン系エラストマー等にカーボンブラック等の補強剤、プロセスオイル等の軟化剤、可塑剤及び加硫剤等の配合剤を添加したゴム組成物とすることができる。
市販品としてはメトキシメチル化度が20〜40%の12ナイロンを主成分とするナイロンの共重合物(ダイセル・ヒュルス株式会社製、ダイアミドX1874M)が挙げられる。
また、接着剤としては市販の接着剤を使用することができる。市販の接着剤の具体例としては、ケムロック6250(ロードコーポレーション社製)、メタロックR−46(東洋化学研究所製)などが挙げられる。
先ず、未加硫ゴムからなるインナーライナー層9をタイヤ成型用ドラム上に円筒に貼り付け、次に予め所定の幅と厚さの薄膜状に押し出された(A)層8をその上に貼り重ね、さらにその上に未加硫ゴムからなるカーカス層5、ベルト層6、トレッドゴム層4’等の通常のタイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望の空気入りタイヤを製造することができる。
また、接着性付与成分を配合していないか、接着性付与のための変性処理を行なっていない(a)成分の熱可塑性樹脂を(A)層として使用する場合には、予め接着剤を片面又は両面に塗布したものあるいは被着体に塗布したものが用いられる。
さらに(A)層をインナーライナーとして使用する場合は、図1に示すインナーライナー層9の替わりに(A)層8を用いればよい。
また、前記ベルト層6のタイヤ径方向外側でベルト層6の全体を覆うように配置したベルト補強層12Aと、該ベルト補強層12Aのタイヤ径方向外側でベルト6の端部を覆うように配置したベルト補強層12Bとからなり、図示例のベルト補強層12A,12Bは、夫々一層であるが、二層以上であってもよい。また、ベルト補強層12A及び/又はベルト補強層12Bが省略されたタイヤも、本発明のタイヤの一例である。
ここで、本発明においては、カーカス層5に埋設されているカーカスコードは、上述したポリケトン繊維を少なくとも50質量部含むコードが適用されている。
<コード物性評価>
1.引張強度、引張弾性率
JIS−L−1013に準じて測定した。引張弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0.2%における荷重から算出した初期弾性率の値を採用した。
2.乾熱収縮率
オーブン中で150℃にて30分間の乾熱処理を行い、熱処理前後の繊維長を、1/30(cN/dtex)の荷重をかけて計測して下式により求めた。乾熱収縮率(%)=(Lb−La)/Lb×100(ただし、Lbは熱処理前の繊維長、Laは熱処理後の繊維長である。)
3.最大熱収縮応力
接着剤処理(Dip処理)を施した、加硫前のポリケトン繊維コードを25cmの長さに固定したサンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱し、コードに発生する応力を測定した。得られた温度−応力カーブから最大の熱収縮応力を読み取って得られた値である。
1.(A)層(フイルム)のヤング率の測定
JIS K6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準じた。試験片 : 各例で押出成形により作成したフイルムサンプルを、押出時の樹脂の流れ方向に平行に、JIS3号ダンベルで打ち抜いた。得られた応力〜ひずみ曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その接線の傾きよりヤング率を求めた。
2.臨界表面張力(γc)の測定(Zisman法)。
固体表面に a)ファンデルワールス力のみを持つ液体 b)極性成分をもつ液体 c)水素結合成分をもつ液体でそれぞれ既知の表面張力をもつ液体を用い滴下直後の固体表面とのなす角(接触角θ)を実測する。液体の表面張力をx軸にCOSθをy軸にプロットすると右肩下がりの直線が得られる。(Zisman Plot)
この直線がY=1(θ=0)となるときの表面張力を臨界表面張力γcとして算出する。
1.ユニフォミティーの測定
JASOC607に準拠して、内圧200kPa、荷重4510Nの下で供試タイヤ各5本の低速RFV、高速RFVを測定し、それぞれの平均値を第1表に従来例のタイヤの値を100として指数として示した。数値の小さい方がユニフォミティーが良いことを示す。なお、低速は周速度7km/h、高速は周速度120km/hのときの値である。
2.ドラム耐久試験
ドラム条件:内圧230kPa、荷重600kg、速度120km/hでドラム試験機によるタイヤ耐久性テストをおこなった。タイヤが故障するまでの走行距離を測定し従来例のタイヤの走行距離を100として指数で表した。数値の大きい方がタイヤの耐久性が良いことを示す。
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解しポリマー濃度8質量%のドープを得た。
このドープを80℃に加温し、20μm焼結フィルターでろ過した後に、80℃に保温した紡口径0.10mmφ、50ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に5重量%の塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐出量2.5cc/分の速度で押出し、速度3.2m/分で引きながら凝固糸条とした。
引き続き凝固糸条を濃度2重量%、温度25℃の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後に、速度3.2m/分で凝固糸を巻取った。
この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05重量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃にて乾燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。
なお、仕上剤としては、オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(質量%比)の組成のものを用いた。
この繊維は強度15.6cN/dtex、伸度4.2%、弾性率347cN/dtexと高物性を有していた。
第1表に示す各種混合割合(質量部)で種々の熱可塑性樹脂成分(a),(c)各々の1種または2種とエラストマー成分(b)を2軸混練機にて混練後連続して樹脂用ペレタイザーでペレット化し、次に該ペレットを使用して樹脂用押出機で幅350mm、厚さ100μmのフイルムとした。得られたフイルムのヤング率を測定し、結果をそれぞれ第1表に示す。
樹脂成分(a)としてメチルメトキシ12ナイロンのみのペレットを使用して樹脂用押出機で幅350mm、厚さ100μmのフイルムとした。得られたフイルムのヤング率を測定し、結果をそれぞれ第1表に示す。
樹脂成分(a)として6ナイロンのペレットを使用して樹脂用押出機で幅350mm、厚さ100μmのフイルムとした。得られたフイルムのヤング率を測定し、結果をそれぞれ第1表に示す。
接着性付与成分(c)を混合せず、樹脂成分(a)とエラストマー成分(b)を2軸混練機にて混練後連続して樹脂用ペレタイザーでペレット化し、次に該ペレットを使用して樹脂用押出機で幅350mm、厚さ100μmのフイルムとした。得られたフイルムのヤング率を測定し、結果をそれぞれ第1表に示す。
樹脂成分(a)としてポリエチレンナフタレートのペレットを使用して樹脂用押出機で幅350mm、厚さ100μmのフイルムとした。得られたフイルムのヤング率を測定し、結果をそれぞれ第1表に示す。
尚、カーカス層を構成するコーティングゴムのヤング率はいずれも2.4MPaである。
0.08cN/dtexの最大熱収縮応力を有するポリエチレンテレフタレートをカーカスコードに適用。(A)層の使用なし。
0.91cN/dtexの最大熱収縮応力を有するポリケトン繊維コードをカーカスプライに適用し、(A)層については前記(A)層の調製(実施例1〜4)にて製造されたフイルムを使用した。
0.91cN/dtexの最大熱収縮応力を有するポリケトン繊維コードをカーカスプライに適用し、(A)層については前記(A)層の調製(実施例5)にて製造されたフイルムを使用した。
0.91cN/dtexの最大熱収縮応力を有するポリケトン繊維コードをカーカスプライに適用し、(A)層については前記(A)層の調製(実施例6)にて製造されたフイルムの接着性を確保するために市販の接着剤ケムロック6250(ロードコーポレーション社製)をフイルムの両面に塗布した物を使用した。
0.90cN/dtexの最大熱収縮応力を有するポリケトン繊維コードをカーカスプライに適用した。
0.90cN/dtexの最大熱収縮応力を有するポリケトン繊維コードをカーカスプライに適用し、(A)層については前記(A)層の調製(比較例2)にて製造されたフイルムを使用した。
0.90cN/dtexの最大熱収縮応力を有するポリケトン繊維コードをカーカスプライに適用し、(A)層については前記(A)層の調製(比較例3)にて製造されたフイルムの接着性を確保するために市販の接着剤ケムロック6250(ロードコーポレーション社製)をフイルムの両面に塗布した物を使用した。
*1.6ナイロン:「CM4061」(東レ社製)
*2.共重合ナイロン:「レニー6002」(三菱瓦斯化学社製)
*3. メチルメトキシ12ナイロン:「ダイアミドX1874M」(ダイセルヒュルズ社製)、メトキシメチル化度20〜40%
*4.ポリエチレンナフタレート:「テオネックス」帝人化成社製
*5.Br−ポリ(イソブチレン−p−メチルスチレン):「EXXPRO3433」エクソンモービル社製
*6.超高分子ポリエチレン:ハイゼックスミリオン(240M)(三井石油化学社製)、(Δγc=1)
特に、乗用車用空気入りタイヤに対して、好適に適用することができる。
2 ビード部
2’ビードコア
3 サイド部
3’サイドゴム層
4トレッド部
4’トレッドゴム層
5 カーカス層
6 ベルト層
7 ビードフィラー
8 (A)層
9 インナーライナー層
10 カーカスコード
11 コーティングゴム
12 A,12B ベルト補強層
H ハンプ部
Claims (14)
- カーカス層を構成するカーカスコードが、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%含み、前記カーカスコードの最大熱収縮応力が0.4〜1.8cN/dtexの範囲にあり、かつ前記カーカス層に隣接し、タイヤ半径方向内側の少なくとも一部に該カーカス層を構成するコーティングゴムよりもヤング率が高いポリマー組成物から構成される(A)層を配設したことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記ポリマー組成物のヤング率が、5MPa〜15GPaである請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記(A)層が、カーカス層とインナーライナー層との間に配設された請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記(A)層が、インナーライナー層として配設された請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカスコードに少なくとも50質量%含まれるポリケトン繊維原糸の引張強度が10cN/dtex以上、弾性率が200cN/dtex以上、かつ接着剤処理(Dip処理)後のコードとして、150℃にて30分間乾熱処理時の熱収縮率が1〜5%である請求項1〜4のいずれかにに記載の空気入りタイヤ。
- 前記(A)層が、フイルム状及び/又はリボン状である請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記(A)層の厚さが、30〜300μmである請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ポリマー組成物が、(a)熱可塑性樹脂、(b)エラストマー及び(c)タイヤとして使用した際の相対するゴム層との臨界表面張力差が3mN/m以下の他の熱可塑性樹脂の混合物からなり、かつヤング率が5MPa〜500MPaである請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記(a)成分が、ポリケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂及びイミド系樹脂の群から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂である請求項8に記載の空気入りタイヤ。
- 前記(b)成分が、ジエン系ゴム及びその水添物、オレフィン系ゴム、含ハロゲン系ゴム、シリコンゴム、含イオウゴム、フッ素ゴム並びに熱可塑性エラストマーの群から選ばれた少なくとも一種のエラストマーである請求項8に記載の空気入りタイヤ。
- 前記(c)成分が、超高分子ポリエチレン、アクリレート共重合体類及びそのマレイン酸付加物、ポリプロピレン、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体の群から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂である請求項8に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ポリマー組成物が、ヤング率が1〜15GPaの熱可塑性樹脂(a)からなる請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記式(I)中のAがエチレン基である請求項13に記載の空気入りタイヤ。
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