JP4335546B2 - コンクリート打設時におけるねじ穴形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート打設時におけるねじ穴形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリート打設時にコンクリート等の硬化性部材の表面に開口するねじ穴を形成する方法としては、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂および特定のホスファイト化合物からなる易加水分解性ボルトを予めコンクリート等硬化性部材に埋設し、硬化性部材の硬化後にスチームにより加水分解し、ボルトの形状の転写されたねじ穴を得る方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平09−201810号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、以下に述べるような問題点があった。
即ち、易加水分解性ボルトは、コンクリートの硬化後にスチームにより加水分解するものであったため、高温(120〜250℃)のスチームを発生する装置が必要になると共に、作業環境の悪いコンクリート打設現場にスチーム発生装置を持ち込んでスチーム発生装置を移動させながら多数の易加水分解性ボルトを加水分解させる作業は極めて煩雑で作業効率が悪いばかりでなく、易加水分解性ボルトは使い捨てであるため、コスト高になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述の従来の問題点に着目してなされたもので、スパナ等の回転工具のみで簡単にボルトを抜きとってねじ穴を形成することができ、これにより作業効率を高めることができるようになるコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法を提供することを目的とし、コストを低減化させることを追加の目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明請求項1記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法は、コンクリート打設時にボルトを用いてねじ穴を形成する方法であって、前記ボルトとして、ねじ溝およびねじ山の断面が略円弧状に形成されたねじ棒が用いられ、コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込み、該コンクリートの硬化後に前記ボルトを回転させながら抜き取ることによりコンクリート表面に開口するねじ穴を形成するようにしたことを特徴とする手段とした。
【0007】
本発明請求項2記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法は、請求項1記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法において、前記ボルトとして、つる巻角度が9°以下のねじ棒が用いられることを特徴とする手段とした。
【0008】
本発明請求項3記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法は、請求項1または2に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法において、前記ボルトにおけるねじ山の略円弧状部分よりねじ溝の略円弧状部分の軸方向長さが長く形成されていることを特徴とする手段とした。
【0009】
本発明請求項4記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法において、前記ボルトの一端には谷径の範囲でスパナ等の回転工具を使用可能な係合部が形成されていることを特徴とする手段とした。
【0010】
本発明請求項5記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法において、前記ボルトの外表面に離型剤を塗布した状態でコンクリート内に埋け込むようにしたことを特徴とする手段とした。
【0011】
本発明請求項6記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法において、前記ねじ穴の開口方向が上向きである時は、前記ボルトに螺合したナットを抜け止め係止部として前記ボルトに板材をを装着して沈み込みを防止することにより、コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込むようにしたことを特徴とする手段とした。
【0012】
本発明請求項7記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法において、前記ねじ穴の開口方向が横向きもしくは下向きである時は、コンクリート型枠に予め形成された前記ボルトのねじ径より小径の穴に該ボルトをねじ込むことにより、コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込むようにしたことを特徴とする手段とした。
【0013】
本発明請求項8記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法において、前記ねじ穴の開口方向が横向きもしくは下向きである時は、コンクリート型枠に予め形成された穴に前記ボルトを挿通し、前記ボルトの両端部からナットを螺合させて前記コンクリート型枠を締め付け挟持することにより、コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込むようにしたことを特徴とする手段とした。
【0014】
本発明請求項9記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法において、前記ボルトが金属で構成されていることを特徴とする手段とした。
【0015】
【発明の作用および効果】
この発明請求項1記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、上述のように、コンクリート打設時にボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込み、該コンクリートの硬化後に一部残したボルトの部分に頭部を有する場合は該頭部に、また、頭部がない場合はねじ部にダブルナットをかませた状態で下方のナットにスパナ等の回転工具を装着してボルトを回転させながら抜き取ることによってコンクリート表面に開口するねじ穴を形成するものであり、前記ボルトとして、ねじ溝およびねじ山の断面が略円弧状に形成されたねじ棒を用いることにより、コンクリートに形成されるねじ穴のねじ山を崩すことなしに容易にボルトを抜き取ってねじ穴を形成することができるようになる。
以上のように、この方法によれば、スパナ等の回転工具のみで簡単にボルトを抜きとってねじ穴を形成することができるため、作業効率を高めることができるようになるという効果が得られる。
【0016】
本発明請求項2記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、ボルトとしてつる巻角度が9°以下のねじ棒を用いることにより、コンクリートに形成されるねじ穴のねじ山を崩すことなしに、かつ、容易にボルトを抜き取ってねじ穴を形成することができるようになる。
【0017】
本発明請求項3記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、前記ボルトにおけるねじ山の略円弧状部分の軸方向長さよりねじ溝の略円弧状部分の軸方向長さを長く形成したものを用いることにより、形成されたねじ穴のねじ山部分の略円弧状部分の軸方向の厚みが大きくなるため、ボルトを抜き取る際におけるコンクリートに形成されるねじ穴のねじ山をさらに崩れにくくすることができると共に、軸方向剪断強度の強いねじ穴を形成することができ、これにより、引き抜き耐力を高めることができるようになる。
【0018】
本発明請求項4記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、前記ボルトの一端に形成された係合部にスパナ等の回転工具をかけてボルトを回転させることができるもので、これにより、ダブルナットをかませる作業が不要になって作業効率を高めることができるようになる。
【0019】
本発明請求項5記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、前記ボルトの外表面に離型剤を塗布した状態でコンクリート内に埋け込むようにすることで、ボルトをさらに抜き易くすることができる。
【0020】
本発明請求項6記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、前記ねじ穴の開口方向が上向きである時は、コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込む際に、ボルトに螺合したナットを抜け止め係止部としてボルトに板材をを装着して沈み込みを防止することにより、コンクリート型枠による支えのないコンクリートの上面にボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込んだ状態で安定させることができ、これにより、コンクリートの上面にねじ穴を形成することができるようになる。
【0021】
本発明請求項7記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、前記ねじ穴の開口方向が横向きもしくは下向きである時は、コンクリート型枠に予め形成されたボルトのねじ径より小径の穴に該ボルトをねじ込むことにより、コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込むようにしたもので、これにより、ボルトを固定するための部材を要することなしに、単にねじ込むだけの簡単は作業で確実にボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込んだ状態とすることができるようになる。
【0022】
本発明請求項8記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、前記ねじ穴の開口方向が横向きもしくは下向きである時は、コンクリート型枠に予め形成された穴にボルトを挿通し、該ボルトにおけるコンクリート型枠の両側面に螺合したナットでコンクリート型枠を締め付け挟持することにより、コンクリート打設時にボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込むようにしたもので、これにより、ボルトを強固に固定し、確実にボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込んだ状態とすることができるようになる。
【0023】
本発明請求項9記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、前記ボルトを金属で構成することにより、抜き取ったボルトを再利用することができるようになると共に、該ボルトに頭部を有しないか、もしくは前記請求項3におけるようにボルトの一端に谷径の範囲でスパナ等の回転工具を使用可能な係合部が形成されたボルトである場合には、形成されたねじ穴に該ボルトの一部をねじ込んで角材等の固定基部として用いる際に、角材等を挿通してナットで固定することができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、この発明の実施の形態は請求項1〜5、8に対応するものである。
【0025】
図1は発明の実施の形態のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法で用いられるボルトを示す側面図、図2は同ボルトの部分拡大図、図3、図4は発明の実施の形態のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法を示す工程説明図、図5は形成されたねじ穴を示す拡大断面図、図6は形成されたねじ穴の保護状態を示す断面図、図7はPC橋梁仮設工事現場におけるアンカーボルトの第1使用例を示す縦断面図、図8はPC橋梁仮設工事現場におけるアンカーボルトの第2使用例を示す縦断面図である。
【0026】
この発明の実施の形態のねじ穴形成方法で用いられるボルト1は、図1、2に示すように、つる巻角度αが9°以下でありかつねじ溝11およびねじ山12の断面が略円弧状に形成されると共に、ねじ山12の略円弧状部分の軸方向長さL1よりねじ溝11の略円弧状部分の軸方向長さL2が長く形成され、その一端にねじ溝11部分の谷径D1の範囲でスパナ等の回転工具を使用可能な断面正方形状の係合部13が形成された金属製のねじ棒10が用いられる。なお、D2はねじ山12部分のねじ径を示す。また、この発明の実施の形態では、前記ボルト1を後にアンカーボルトとして用いることができるように、その長さが長めに形成されている。
【0027】
次に、上述のような構成のボルト1を用い、図7に示すようなPC橋梁仮設工事において、左右両桁2、2間の間詰めコンクリート(すり合わせ)3部分のコンクリート打設時に、各桁2、2の側面に沿ってその後に形成される地覆壁高欄4のコンクリート型枠を支えるための基部となるサポートアンカー(ボルト1)をねじ込むためのねじ穴5を形成する方法を、図3、4に基づいて説明する。
即ち、この発明の実施の形態は、ねじ穴5の開口方向が上向きに形成される場合である。
【0028】
まず、図3に示すように、間詰めコンクリート3部分の型枠内にコンクリート31を流し込んだ状態で、ボルト1をその係合部13を上にしてねじ棒10部をコンクリート31内に差し込む。その際、ねじ棒10部に予め螺合したナット7を抜け止め係止部としてこのナット7の下方のねじ棒10部に板材8を貫通状態で装着させた状態とすることにより、この板材8がコンクリート31の上面に対し広い面積で当接してボルト1の沈み込みが防止されるもので、これにより、コンクリート型枠による支えのないコンクリート31の上面にボルト1をその長さの一部を残してコンクリート31内に埋け込んだ状態で安定させることができる。なお、ボルト1におけるねじ棒10の外表面には予め離型剤を塗布した状態でコンクリート31内に埋け込むようにする。
【0029】
次に、コンクリート31が硬化した後に、図4に示すように、係合部13にスパナ等の回転工具を掛け、ボルト1をゆっくり回転させながらコンクリート31から抜き取ることにより、図5にもその詳細を示すようにコンクリート31の上面に開口するねじ穴5が形成される。
【0030】
即ち、この発明の実施の形態のねじ穴形成方法で用いられるボルト1は、図1、2に示すように、ねじ溝11およびねじ山12の断面が略円弧状に形成されていることが条件である。即ち、従来のノコ歯状のボルトでは、コンクリート31が硬化した状態においては、コンクリート13の周面摩擦抵抗が大きくなって、ボルトを回転させることができず、無理に回転させようとするとボルト穴のねじ山が崩れてしまうことが実験の結果判明した。
【0031】
また、ねじ山12の略円弧状部分の軸方向長さL1よりねじ溝11の略円弧状部分の軸方向長さL2が長く形成されることは、硬化後のコンクリート31からしたボルト1を抜き取るための必須条件ではないが、以上のように構成することにより、図5に示すように、形成されたねじ穴5のねじ山6部分を構成する略円弧状部分の軸方向の肉厚が大きくなるため、ボルト1を抜き取る際にねじ山6がより崩れにくくなると共に、ねじ山6の軸方向剪断強度が高くなる。
【0032】
さらに、ボルト1のつる巻角度αが9°以下(最も好ましくは、6°30’)であることが条件である。即ち、つる巻角度αが9°を越えると、コンクリート31が硬化した状態においては、コンクリート31の周面摩擦抵抗が大きくなって、ボルト1を回転させることができなくなり、無理に回転させようとするとボルト1の方がねじ切れることが実験の結果判明した。
【0033】
以上のように、ボルト1をコンクリート31から一端抜き取るのは、図7に示すように、各桁2、2の側面に沿って地覆壁高欄4を形成する作業を開始するまでの間、間詰めコンクリート3の上面にボルト1が突出した状態のままでは、他の作業の邪魔になるからである。
【0034】
そして、各桁2、2の側面に沿って地覆壁高欄4を形成する作業を開始するまでの間は、図6に示すように、ボルト1を抜き取ったねじ穴5内に弾性を有するスポンジ等の棒状体9を差し込んでおくことにより、他の作業中におけるねじ穴5内へのごみ等の侵入を防止し、ねじ穴5を保護する。
【0035】
次に、各桁2、2の側面に沿って地覆壁高欄4を形成する作業においては、図7(第1使用例)に示すように、間詰めコンクリート3の上面に形成されたねじ穴5内から棒状体9を抜き取り、ねじ穴5内に、抜き取られたボルト1を再びねじ込んでサポートアンカーとし、このサポートアンカー(ボルト1)にバタ角(角材)14を挿通してナット15で締結固定する。そして、このバタ角14と地覆壁高欄4を形成するためのコンクリート型枠41との間に長さ調整可能なジャッキ棒16を介装して支える。または、図8(第2使用例)に示すように、サポートアンカー(ボルト1)にバタ角(角材)14を挿通してナット15で締結固定する際に間詰めコンクリート3とバタ角14との間にりん木17を介装させた状態で固定する。そして、このバタ角14に巻かれたチェーン18を地覆壁高欄4を形成するためのコンクリート型枠41側に固定された長さ調整可能なアジャスター19を連結して引っ張ることによって支える。
【0036】
以上のようにして支持固定されたコンクリート型枠41内に打設したコンクリートが硬化し、ジャッキ棒16およびチェーン18を取り外した後は、サポートアンカー(ボルト1)からバタ角14を取り外し、かつ、サポートアンカー(ボルト1)を抜き取る。そして、ねじ穴5はセメントミルクを充填して埋める。
【0037】
次に、この発明の実施の形態の作用・効果を説明する。
この発明の実施の形態のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法では、上述のように、ボルト1として、つる巻角度が9°以下(最も好ましくは、6°30’)でありかつねじ溝11およびねじ山12の断面が略円弧状に形成されたねじ棒10を用い、このボルト1をコンクリート打設時にその長さの一部を残してコンクリート31内に埋け込み、該コンクリート31の硬化後に一部残したボルト1の係合部13にスパナ等の回転工具を装着してボルト1を回転させながら抜き取ることによってコンクリート31の表面に開口するねじ穴5を形成するようにしたことにより、コンクリート31に形成されるねじ穴5のねじ山6を崩すことなしに、かつ、容易にボルト1を抜き取ってねじ穴5を形成することができるようになる。
以上のように、この方法によれば、スパナ等の回転工具のみで簡単にボルト1を抜きとってねじ穴5を形成することができるため、作業効率を高めることができるようになるという効果が得られる。
【0038】
また、前記ボルト1におけるねじ山12の略円弧状部分の軸方向長さL1よりねじ溝11の略円弧状部分の軸方向長さL2を長く形成したものを用いることにより、図5に示すように、形成されたねじ穴5のねじ山6部分の略円弧状部分の軸方向の厚みが大きくなるため、ボルト1を抜き取る際におけるコンクリート31に形成されるねじ穴5のねじ山6をさらに崩れにくくすることができると共に、ねじ山6の軸方向剪断強度が高くなるもので、これにより、ねじ穴5にねじ込んだボルトの引き抜き耐力を高めることができるようになる。ちなみに、16×190(mm)のボルトの根込長10cmの場合、約3tの引き抜き耐力が得られた。
【0039】
また、一端に谷径D1の範囲で係合部13が形成されたボルト1を用いたことで、この係合部13にスパナ等の回転工具をかけてボルトを回転させることができ、従って、ダブルナットをかませる作業が不要になって作業効率を高めることができるようになる。また、このボルト1として金属製のもの用いることにより、形成されたねじ穴5にボルト1の一部をねじ込んでバタ角(角材)14等の固定基部となるサポートアンカーとして用いる際に、バタ角(角材)14等をそのまま上方から挿通してナット15で固定することができるため、作業効率を高めることができるようになる。
【0040】
また、前記ボルト1の外表面に離型剤を塗布した状態でコンクリート31内に埋け込むようにすることで、ボルト1をさらに抜き易くすることができるようになる。
【0041】
また、コンクリート打設時に前記ボルト1をその長さの一部を残してコンクリート31内に埋け込む際に、ねじ棒10部に予め螺合したナット7を抜け止め係止部としてこのナット7の下方のねじ棒10部に板材8を貫通状態で装着させた状態とすることにより、コンクリート型枠による支えのないコンクリート31の上面にボルト1をその長さの一部を残してコンクリート31内に埋け込んだ状態で安定させることができ、これにより、コンクリート31の上面にねじ穴5を形成することができるようになる。
【0042】
次に、開口方向が横向きになるねじ穴5の形成方法について説明する。
(第1例)
この第1例は、図9に示すように、コンクリート型枠32に予めボルト1のねじ径D2より小径の穴33を穿設し、この穴33にボルト1をねじ込んで行くことにより、コンクリート打設時にボルト1をその長さの一部を残してコンクリート31内に埋け込むようにしたものである。
従って、この第1例によれば、ボルト1を固定するための部材を要することなしに、単にねじ込むだけの簡単な作業で確実にボルト1をその長さの一部を残してコンクリート31内に埋け込んだ状態とすることができるようになる。
【0043】
(第2例)
この第2例は、コンクリート型枠32に予め形成された穴34にボルト1を挿通し、該ボルト1におけるコンクリート型枠の両側面に螺合したナット35、36でコンクリート型枠32を締め付け挟持することにより、コンクリート打設時にボルト1をその長さの一部を残してコンクリート31内に埋け込むようにしたものである。
従って、この第2例によれば、ボルト1を強固に固定し、確実にボルト1をその長さの一部を残してコンクリート31内に埋け込んだ状態とすることができるようになる。
【0044】
なお、開口方向が下向きになるねじ穴5を形成する場合も、前記第1例および第2例と同様の方法を用いることができる。
【0045】
以上発明の実施の形態を図面により説明したが、具体的な構成はこれらの発明の実施の形態に限られるものではない。
例えば、発明の実施の形態では、前記金属製のボルト1を用いたが、所定のねじり強度があれば、合成樹脂等で形成されたボルトを用いることができる。
【0046】
また、発明の実施の形態では、ボルト1として、その一端にねじ溝11部分の谷径D1の範囲でスパナ等の回転工具を使用可能な断面正方形状の係合部13が形成された金属製のねじ棒10が用いたが、六角の頭部を備えたボルトや、頭部を全く有しないねじ棒を用いることができる。なお、頭部を有しないねじ棒である時は、ダブルナットをかませることにより、ボルトの抜き取りを行うことができる。
【0047】
また、発明の実施の形態では、一旦抜き取ったボルト1をサポートアンカーとして用いるようにしたが、別のボルトを用いるようにしてもよい。
また、発明の実施の形態では、ボルト1におけるねじ山12の略円弧状部分の軸方向長さL1よりねじ溝11の略円弧状部分の軸方向長さL2を長く形成したものを用いるようにしたが、L1=L2、もしくは、L1>L2であってもボルト1を抜き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法で用いられるボルトを示す側面図である。
【図2】発明の実施の形態のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法で用いられるボルトの部分拡大図である。
【図3】発明の実施の形態のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法を示す工程説明図である。
【図4】発明の実施の形態のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法を示す工程説明図である。
【図5】発明の実施の形態のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法により形成されたねじ穴を示す拡大断面図である。
【図6】発明の実施の形態のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法により形成されたねじ穴の保護状態を示す断面図である。
【図7】PC橋梁仮設工事現場におけるアンカーボルトの第1使用例を示す縦断面図である。
【図8】PC橋梁仮設工事現場におけるアンカーボルトの第2使用例を示す縦断面図である。
【図9】開口方向が横向きになるねじ穴形成方法(第1例)を示す断面図である。
【図10】開口方向が横向きになるねじ穴形成方法(第2例)を示す断面図である。
【符号の説明】
D1 谷径
D2 ねじ径
1 ボルト
2 桁
3 間詰めコンクリート
4 地覆壁高欄
5 ねじ穴
6 ねじ山
7 ナット
8 板材
9 棒状体
10 ねじ棒
11 ねじ溝
12 ねじ山
13 係合部
14 バタ角(角材)
15 ナット
16 ジャッキ棒
17 りん棒
18 チェーン
19 アジャスター
31 コンクリート
32 コンクリート型枠
33 穴
34 穴
35 ナット
36 ナット
41 コンクリート型枠
Claims (9)
- コンクリート打設時にボルトを用いてねじ穴を形成する方法であって、
前記ボルトとして、ねじ溝およびねじ山の断面が略円弧状に形成されたねじ棒が用いられ、
コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込み、該コンクリートの硬化後に前記ボルトを回転させながら抜き取ることによりコンクリート表面に開口するねじ穴を形成するようにしたことを特徴とするコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法。 - 前記ボルトとして、つる巻角度が9°以下のねじ棒が用いられることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法。
- 前記ボルトにおけるねじ山の略円弧状部分よりねじ溝の略円弧状部分の軸方向長さが長く形成されていることを特徴とする請求項または2に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法。
- 前記ボルトの一端には谷径の範囲でスパナ等の回転工具を使用可能な係合部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法。
- 前記ボルトの外表面に離型剤を塗布した状態でコンクリート内に埋け込むようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法。
- 前記ねじ穴の開口方向が上向きである時は、前記ボルトに螺合したナットを抜け止め係止部として前記ボルトに板材を装着して沈み込みを防止することにより、コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込むようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法。
- 前記ねじ穴の開口方向が横向きもしくは下向きである時は、コンクリート型枠に予め形成された前記ボルトのねじ径より小径の穴に該ボルトをねじ込むことにより、コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込むようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法。
- 前記ねじ穴の開口方向が横向きもしくは下向きである時は、コンクリート型枠に予め形成された穴に前記ボルトを挿通し、前記ボルトの両端部からナットを螺合させて前記コンクリート型枠を締め付け挟持することにより、コンクリート打設時に前記ボルトをその長さの一部を残してコンクリート内に埋け込むようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法。
- 前記ボルトが金属で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンクリート打設時におけるねじ穴形成方法。
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