JP4331827B2 - 太陽電池素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池素子とその製造方法に関し、特に半導体基板の一主面側に設けた反射防止膜に電極材料を焼き付けて形成した太陽電池素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコン基板を用いて太陽電池素子を形成する場合、まず基板の切断面を清浄化するために表面を15μm程度エッチングする。このエッチングは、例えば濃度が15%程度で80℃程度の水酸化ナトリウム水溶液を用いて行う。また、基板表面での反射率をより低減するために、薄い濃度のアルカリ水溶液でエッチングする。例えば濃度が5%程度で75℃程度の水酸化ナトリウム水溶液を用いてエッチングを行うと、表面に微細な凹凸が形成され、基板表面での反射率をある程度低減できる。
【0003】
次に、シリコン基板上に反射防止膜として850Å程度の厚みを有する窒化シリコン膜を形成し、この窒化シリコン膜における電極形成部を弗酸(HF)などで除去して、この部分に銀ペーストをプリントして焼成することにより、電極を形成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、反射防止膜のパターン抜きを行って電極を形成する場合、工程が多いために作業が煩雑となり、例えば窒化シリコン膜のパターン抜き部分に銀ペーストをプリントする際には位置合わせが必要となり、この位置ずれなどは歩留りを低下させる要因になるという問題がある。また、パターン抜き工程でも、プリンターや処理ラインなどの高価な設備を必要とするという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、電極材料を反射防止膜上から焼き付けて形成する際に、電極強度が弱く、モジュール化に対応できないという従来の問題点を解消した太陽電池素子とその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の太陽電池素子の製造方法は、一導電型を呈するシリコン基板の一主面側に他の導電型を呈する領域を形成して、窒化シリコンから成る反射防止膜を形成し、このシリコン基板の一主面側に銀を主成分とする電極を形成する太陽電池素子の製造方法において、前記反射防止膜上に銀粉末、有機ビヒクル、およびガラスフリットを含み、かつ前記銀粉末100重量部に対して一酸化銅換算で0.05〜5重量部の酸化銅粉末および/または銅粉末を添加した導電性ペーストを塗布して焼き付けて前記電極を形成することを特徴とする。
【0008】
前記太陽電池素子の製造方法では、前記酸化銅または銅の粒径が0.1〜5μmであることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の太陽電池素子を示す断面図である。
【0010】
まず、半導体基板1を用意する(図1(a)参照)。この半導体基板1は、単結晶又は多結晶シリコンなどから成る。このシリコン基板1は、ボロン(B)などの一導電型半導体不純物を1×1016〜1018atoms/cm3 程度含有し、比抵抗1.5Ωcm程度の基板である。単結晶シリコンの場合は引き上げ法などによって形成され、多結晶シリコンの場合は鋳造法などによって形成される。多結晶シリコンは大量生産が可能であり、製造コスト面で単結晶シリコンよりも有利である。引き上げ法や鋳造法によって形成されたインゴットを300μm程度の厚みにスライスして、10cm×10cmもしくは15cm×15cm程度の大きさに切断してシリコン基板とする。
【0011】
次に、シリコン基板1の切断面を清浄化するために、表面を15μm程度エッチングする。このエッチングは、例えば濃度が15%程度で80℃程度の水酸化ナトリウム水溶液を用いて行う。
【0012】
次に、シリコン基板1を拡散炉中に配置して、オキシ塩化リン(POCl3 )などの中で加熱することによって、シリコン基板1の表面部分にリン原子を拡散させて他の導電型を呈する領域1aを形成し、半導体接合部3を形成する(図1(b)参照)。この他の導電型を呈する領域1aは、0.3〜0.5μm程度の深さに形成され、シート抵抗が30Ω/□程度になるように形成される。
【0013】
次に、シリコン基板1の一主面側の他の導電型を呈する領域のみを残して他の部分は、弗酸(HF)と硝酸(HNO3 )を主成分とするエッチング液に浸漬して除去した後、純水で洗浄する(図1(c))。
【0014】
次に、シリコン基板1の一主面側に反射防止膜2を形成する(図1(d))。この反射防止膜2は例えば窒化シリコン膜などから成り、プラズマCVD法などで形成される。この反射防止膜2は、シリコン基板1との屈折率差などを考慮して、屈折率が1.8〜2.3程度になるように形成され、厚み850Å程度に形成される。
【0015】
次に、裏面電極材料3を塗布して乾燥した後、表面電極材料4を塗布して乾燥する(図1(e))。この電極材料3、4は、銀粉末と有機ビヒクルにガラスフリットを銀100重量部に対して0.1〜5重量部添加してぺースト状にしたものをスクリーン印刷法で印刷して、600〜800℃で1〜30分程度焼成することにより焼き付けられる。この電極材料3、4は一酸化銅(CuO)粉末を銀100重量部に対して0.05〜5重量部含有する。一酸化銅の含有量が0.05重量部以下では充分な接着強度が得られにくくなる。また、一酸化銅の含有量が5重量部以上では電極材料の線抵抗が増大する。つまり、この銀電極に一酸化銅を銀100重量部に対して0.05〜5重量部添加することによって、電極の接着強度が向上する。また、一酸化銅の粒径は0.1〜5μmであることが望ましい。この粒径が0.1μm以下の場合は電極材料中での分散性が悪くなり、電極の充分な接着強度を得られにくくなる。粒径が5μm以上の場合にはスクリーン印刷性が悪くなり、電極の充分な接着強度が得られにくくなる。なお、電極3、4が一酸化銅を含有しても従来通りの出力特性を得ることができる。
【0016】
また、一酸化銅粉末に代えて亜酸化銅(Cu2 O)粉末や金属銅粉末を用いても、同様な結果が得られる。
【0017】
【実施例】
比抵抗が1.5Ωcmのシリコン基板内の一主面側に、Pを1×1017atoms/cm3 拡散させて厚み850Åの窒化シリコン膜を形成した。その後、粒径1μmの一酸化銅粉末を銀100重量部に対して0〜1重量部含有するペーストを700℃で焼き付けて、幅2mmで厚み8μmの電極を形成し、太陽電池素子の電気特性と電極の引っ張り強度を測定した。引っ張り強度は2mm幅の半田付電極に同じ幅の半田付銅箔を半田付けして、この銅箔を垂直方向に引き上げたときの重量(kg)である。その結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 0004331827
【0019】
表1に示すように一酸化銅を含有しない場合、電極の引っ張り強度は0.03kgで電気持性は13.57%であった。一酸化銅を0.25重量部添加したものでは引っ張り強度は0.30kg、電気特性は13.55%であった。一酸化銅を0.5重量部添加したものでは引っ張り強度は0.67kgで電気特性は13.52%であった。一酸化銅を1.0重量部添加したものでは引っ張り強度は0.7kgで電気特性は13.53%であった。このように一酸化銅を含有したことによって従来の電気特性を得ながら、電極の接着強度の向上がみられた。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る太陽電池素子の製造方法によれば、上述した工程を有することから、オーミックコンタクト性が良好で、電極の接着強度の強い太陽電池素子が得られ、その生産性も優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽電池素子の製造方法を説明するための図であり、(a)〜(e)は工程毎の断面図である。
【符号の説明】
1‥‥‥シリコン基板、1a‥‥‥逆導電型半導体不純物を有する領域、1c‥‥‥微細な凹凸、2‥‥‥反射防止膜(SiN)、3‥‥‥裏面電極材料、4‥‥‥表面電極材料

Claims (2)

  1. 一導電型を呈するシリコン基板の一主面側に他の導電型を呈する領域を形成して、窒化シリコンから成る反射防止膜を形成し、このシリコン基板の一主面側に銀を主成分とする電極を形成する太陽電池素子の製造方法において、
    前記反射防止膜上に銀粉末、有機ビヒクル、およびガラスフリットを含み、かつ前記銀粉末100重量部に対して一酸化銅換算で0.05〜5重量部の酸化銅粉末および/または銅粉末を添加した導電性ペーストを塗布して焼き付けて前記電極を形成することを特徴とする太陽電池素子の製造方法。
  2. 前記酸化銅または銅の粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池素子の製造方法。
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