JP4331744B2 - 道路の排水構造とこれに用いる埋設側溝 - Google Patents
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このような排水性舗装が施工された道路の側縁に設置する埋設側溝として、排水性舗装の端部を敷設可能な受容段部として形成し、排水層に浸透した水分を排水路に導くための集水口を当該受容段部に設けたものが知られている(特許文献1参照)。
このため、道路の場所によって排水性能が大きく異なり、排水層における特に集水口から離れた部分において、土砂は粉塵が内部に堆積して排水層に目詰まりが発生し易く、排水性舗装の排水性能が早期に阻害され得るという問題があった。
すなわち、本発明の排水構造は、内部に排水路を有する不透水性材料よりなる暗渠部材の上面に排水性舗装の排水層が敷設され、この排水層に浸透した水分を前記暗渠部材の排水路に導くようにした排水性舗装の排水構造において、前記排水層に浸透した水分を下方に排水する排水溝が前記暗渠部材の上面に形成され、その排水溝の底部から前記排水路に連通しかつ当該排水溝に充満した水分によって前記排水層に浸透した水分を下方に吸引するヘッド圧を発生させる管路長及び管路径に設定された導水路が前記暗渠部材の内部に形成されていることを特徴としている。
また、本発明によれば、排水溝の底部から排水路に連通する導水路が、当該排水溝に充満した水分によって排水層に浸透した水分を下方に吸引するヘッド圧を発生させる管路長及び管路径に設定されている。
この場合、排水溝の上方に敷設される排水性舗装の排水層がメッシュ部材によって支承されるので、排水溝の開口幅をある程度広げても排水層の強度を確保することができる。このため、排水層の強度低下を招来することなく、排水溝の排水量を増大することができる。
この場合、ブロック本体の上面の幅方向一端部又は他端部のうちのいずれかの位置に縁石を取り付けたとしても、縁石によって塞がれていない方の排水溝を通して、排水層に浸透した水分を排水路に排水することができる。従って、ブロック本体に縁石を連結する場合であっても、排水性舗装による排水機能を有効に確保することができる。
この場合、排水層の表面やその内部から側縁にしみ出してきた水分を、縁石の集水口を通して長手方向に延びる通水溝に取り込むことができ、前記通水溝の位置を前記排水溝の位置に合わせることで水分を効率よく排水路に流すことができる。また、メッシュ部材が樹脂製であれば、例えば金属製の場合と異なり、道路の舗装時に切削機械が破損するのを防止することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る埋設側溝1が排水性舗装9の道路脇に設置された第一の道路の排水構造を示している。
本実施形態の埋設側溝1は、排水性舗装9が施された道路に埋設される暗渠部材としてのプレキャストコンクリート製のブロック本体2よりなり、このブロック本体の上面2aには、歩道部10と車道部11とを区分けする縁石3が設置されている。すなわち、本実施形態の道路は縁石3を介して歩道部10と車道部11とに区分けされている。
ブロック本体の上面2aは平面状に形成され、縁石3を取り付けるための取付面となっている。そして、ブロック本体2には、排水層14に浸透した水分(例えば雨水等)を排水路4に導くべく、排水路4に連通する二組の導水路5が設けられている。
また、ブロック本体2の上面には、上記導水路5と交差しつつ長手方向に延びる二本の排水溝6が形成されている。
内側排水溝6Aの底部には、内導水路5Aの上部開口5Aaが連通しており、外側排水溝6Bの底部には、外導水路の上部開口5Baが連通している。これら内導水路5Aと外導水路5Bは、ブロック本体2の長手方向に沿って一定間隔おきに配置されている(図2参照)。
また、本実施形態では、上記導水路5は、排水溝6の底部から排水路4に連通しているとともに、当該排水溝6に充満した水分によって排水層14に浸透した水分を下方に吸引するヘッド圧を発生させる管路長及び管路径に設定されている。
また、排水溝6に水分が充満すると導水路5が上記ヘッド圧を発生させるので、このヘッド圧に伴うポンピング作用により、排水層14の内部に存在していた土砂や粉塵が水分とともに排水溝6に向かって下方に引き込まれ、排水層14の内部に土砂や粉塵が堆積する目詰まり現象を防止ないし抑制することができる。
この点、本実施形態の埋設側溝1では、長手方向に沿った排水溝6を上面2aに備えているため、道路の縦断方向に沿って均等でかつ高い排水性能を有する。従って、排水層14の外部から高圧水を噴射するだけで、目詰まりした粉塵や土砂を排水溝6に排出して取り除くことができる。
また、縁石3の幅方向幅はブロック本体2の上面2aよりも小さく設計されており、縁石3が上面2aの歩道側の端部及び車道側の端部のうちいずれの位置に取り付けられた状態においても、内側排水溝6A或いは外側排水溝6Bのうちのいずれかが縁石3に塞がれないようになっている。
縁石3の下面には、長手方向に延びる通水溝7が縁石3の長手方向両端に渡って形成されている。この通水溝7は、下方へ向かうに従って幅方向両側に広がる断面台形形状に形成されており、水分を縁石3内部で長手方向に流す機能を有している。なお、通水溝7は本実施形態の形状に限定するものではなく他の形状としてもよい。
この集水口8は、隣接する縁石3の端面同士が合わさることによって構成されているものであり、埋設側溝1を設置した状態において集水口8の上部は排水層14の表面よりも上に出ており、その下部は排水層14の表面よりも下に配置されている。従って、排水層14の表面から流れてくる水分、及び排水層14の内部からその側縁にしみ出してくる水分が、集水口8から通水溝7に取り込まれるようになっている。
これにより、内側排水溝6Aの上部開口が、前記メッシュ部材15を介した状態で排水層14の下面に突き合うような状態となっており、排水層14の内部を浸透してその下面にしみ出してきた水分が内側排水溝6Aを通じて上部開口に入り、内導水路5Aを通って排水路4に流れ出されるようになっている。
図4の排水構造では、縁石3はブロック本体2の上面2aの車道部11側端部に取り付けられており、歩道部10には透水性舗装19が施工されている。この透水性舗装19は透水層16、その下の透水性路盤(砕石)17、さらにその下のフィルター層(砂)18からなるものである。同図に示すように上面2aのうち縁石3が取り付けられている部分より歩道側の部分には、透水性路盤17及びその上の透水層16が施工されている。
図4の排水構造によれば、排水層14の表面や側縁から流れ出た水分は縁石3の集水口8で取り込まれ、通水溝7から内側排水溝6A、そして内導水路5Aを通って排水路4に流れ出る。一方、歩道部10では、透水性舗装19の下部に透水しきれない余剰の水分は、ブロック本体2の外側排水溝6Bから取り込まれ、外導水路5Bを通って排水路4に流れ出ることになる。
具体的には、埋設物を縁石3の車道側の側近に設置するときは、図4に示す排水構造を採用して埋設物とブロック本体2が干渉しないようにし、埋設物を縁石3の歩道側の側近に設置するときは、図1に示す排水構造を採用して埋設物とブロック本体2が干渉しないようにすればよい。
また、ブロック本体2の排水溝6、縁石3が上記のいずれの位置に取り付けられても一部の上部開口が縁石3によって塞がれない位置に設けられていることから、ブロック本体2の排水溝6を経由した排水路4への集水機能を確保することができる。
本実施形態の埋設側溝20が上記実施形態と異なる点は、ブロック本体21の導水路22の上部開口22aが、上面2aの幅方向に沿って広げられている点である。なお、上記実施形態の埋設側溝1と共通する点については同符号を付してその説明を省略する。
図5に示すように、ブロック本体21は、上面2aから所要深さで形成されかつ幅方向に延びる横溝として構成された上部開口22aと、排水路4の内面最上部から上方に延びる縦水路22bとからなる単一の導水路22を有している。
なお、本実施形態では、縁石の両端部同士を合わせることで導水路22が構成されるように、縁石の両端部に上部開口22a、水路22bを縦に分割したうちの片方を形成しているが、導水路22を設ける箇所は限定するものはなく、例えばブロック本体21の長手方向中央部、あるいは長手方向に所要間隔をあけて設けるようにしてもよい。
このように構成された埋設側溝20では、排水溝6を伝ってきた水分は上部開口22aに集約されて縦水路22bを通って排水路4へ流れ込む。
なお、上部開口の幅方向長さを上面2aよりも小さくして、当該上部開口を道路側から歩道側へ貫通しない凹形状としてもよい。その際、排水性舗装9の表面やその側縁からしみ出してくる水分は、縁石3の集水口8から通水溝7へ入り、この通水溝7で長手方向へ流され導水路22の上部開口22aから水路22bで排水路4へ流される。
例えば、ブロック本体2に形成する排水溝6は、当該本体2の長手方向の全範囲に渡って延設されていなくてもよく、長手方向中途で分断していてもよい。
また、図7に示すように、隣接する縁石3間に、排水性舗装側に開いた下部集水口23aを有する接合部材23を設けてもよい。この下部集水口23aは、接合部材23の両側に二箇所形成されており、それとともに隣接する縁石3の通水溝7を連通させるための長手方向の溝24も形成されている。
また、接合部材23は弾性体からなる素材で形成されており、隣接する縁石3の接合端面の形状を合わせなくても縁石3同士を簡単に接合することができる。なお、接合部材の素材は限定するものではなく、他の素材を用いて形成してもよい。
更に、ブロック本体2に設ける導水路5の配置は適宜変更できる。例えばブロック本体2に設ける導水路5を、ブロック本体2の幅方向に離れて三箇所以上に配置してもよい。また、縁石3の通水溝や集水口の形状及び大きさは任意に変更可能であり、縁石3の取り付け位置も現場の状況に応じて自由に変更することができる。
図9は、上記透水試験に用いた試験水槽30の断面図である。
この試験水槽30は、30cm平方の正方形状の内空部を有する筒状体31と、この筒状体31の下方開口を閉塞する底板部32とから構成されており、この底板部32の中央部には、開口幅Dが変更自在なスリット状の底面開口33が形成されている。
〔排水層の諸元〕
厚さT:5.5cm
空隙率:約20%
骨 材:13mm以下
なお、変水位透水係数とは、水槽30への水分の供給を止めて水位を舗装上10cmから低下させながら水分を底面開口33から流出させた場合の透水係数であり、定水位透水係数とは、水槽30内の水位を舗装上2cmに保持した状態で水分を底面開口33から流出させた場合の透水係数のことを意味する。
ところが、図11(a)及び(b)に示すように、開口幅Dと変水位透水係数及び定水位透水係数との関係を見ると、開口幅Dの大小に拘わらず一定値である筈のそれらの透水係数が、開口幅Dが10cmを下回った時点から、当該開口幅Dが小さくなるほど飛躍的に増大することが判明した。
そこで、本出願の発明者は、透水係数が増大した排水層34の下面に密閉した溝又は管路を接続すれば、ポンピング作用によって底面開口33からの流量が増大するものと想定し、図12(a)に示すように、水抜き孔35を底部に有する溝カバー36(前記実施形態の排水溝6に相当)を底面開口33に接続した。なお、図12に示す底面開口33の開口幅Dは4.7cmに設定し、溝カバー36の高さHは3.5cmに設定した。
そこで、図12(b)に示すように、溝カバー36の水抜き孔35に、排水管37(前記実施形態の導水路5に相当)を接続した。なお、図12(b)に示す排水管37の内径は2.5cmであり、管路長Lは3.5cmである。
そして、排水管37なしの図12(a)の場合と、排水管37付きの図12(b)の場合の単位面積当たりの流量を測定したところ、前者の場合では31.2(cc/min・cm2)であり、後者の場合では66.0(cc/min・cm2)であり、排水管37付きの場合の方が流量が大幅に増大した。
なお、前記実施形態において、排水溝14の溝幅は、10cm以下でかつ2.5cm以上に設定することが好ましい。その理由は、2.5cm未満の場合には、見かけの透水係数は向上するものの、降雨流出量に対して絶対的な排水量が不足することになるからである。
2 ブロック本体
3 縁石
4 排水路
5 導水路
6 排水溝
6A 内側排水溝
6B 外側排水溝
7 通水溝
8 集水口
9 排水性舗装
14 排水層
15 メッシュ部材
23 接合部材
Claims (7)
- 内部に排水路を有する不透水性材料よりなる暗渠部材の上面に排水性舗装の排水層が敷設され、この排水層に浸透した水分を前記暗渠部材の排水路に導くようにした、排水性舗装が施された道路の排水構造において、
前記排水層に浸透した水分を下方に排水する排水溝が前記暗渠部材の上面に形成され、その排水溝の底部から前記排水路に連通しかつ当該排水溝に充満した水分によって前記排水層に浸透した水分を下方に吸引するヘッド圧を発生させる管路長及び管路径に設定された導水路が前記暗渠部材の内部に形成されていることを特徴とする道路の排水構造。 - 排水性舗装が施された道路に埋設されるブロック本体を備えた埋設側溝であって、長手方向に延びる排水路が前記ブロック本体の断面内部に形成されている埋設側溝において、
前記排水性舗装の排水層に浸透した水分を下方に排水する排水溝が前記ブロック本体の上面に形成され、その排水溝の底部から前記排水路に連通しかつ当該排水溝に充満した水分によって前記排水層に浸透した水分を下方に吸引するヘッド圧を発生させる管路長及び管路径に設定された導水路が前記ブロック本体の内部に形成されていることを特徴とする埋設側溝。 - 前記排水溝の上面開口部がメッシュ部材により透水可能に閉塞されている請求項2に記載の埋設側溝。
- 前記排水溝は、前記ブロック本体の幅方向に離れて複数本設けられており、
前記複数の排水溝は、前記ブロック本体の上面の横断方向一端部又は他端部のうちのいずれかの位置に縁石を取り付けた状態においても、当該複数の排水溝のうちのいずれかが前記縁石によって塞がれない位置に配置されている請求項2又は3に記載の埋設側溝。 - 前記複数の排水溝は、前記ブロック本体の幅方向一端部側に配置された内側排水溝と、同方向他端部側に配置された外側排水溝とから構成されている請求項4に記載の埋設側溝。
- 前記縁石は、長手方向に延びる通水溝を下面に有するとともに、その通水溝から前記排水性舗装側に通じる集水口を有している請求項4に記載の埋設側溝。
- 前記メッシュ部材が樹脂製である請求項3に記載の埋設側溝。
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