JP4330662B2 - 腫瘍細胞増殖の阻害剤としてのレプチン - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、脂肪細胞により産生され、種々の細胞および組織に作用するサイトカインであるレプチンに関する。より詳しくは、本発明は、腫瘍学の分野におけるレプチンの新規な適用に関する。
背景技術
体重を調節する脂肪細胞由来のサイトカインであるレプチンは、マウス(murine)のob遺伝子のポジショナルクローニングによって同定され(チャング(Zhang)ら、1994年)、食物摂取および熱産生の両方に作用することが示された(カンプフィールド(Campfield)ら、1995年;コリンズ(Collins)ら、1996年;ハラス(Halaas)ら、1995年;ペレイマウンター(Pelleymounter)ら、1995年;ヴァイグル(Weigle)ら、1995年)。高親和性のレプチン結合部位が脈絡叢に位置しており、この組織由来のcDNAの発現クローニングによりレプチン受容体(OB−R)が提供された(タルタグリア(Tartaglia)ら、1995年)。レプチンの既知の活性は視床下部においてその受容体に媒介される。それにもかかわらず、レプチン受容体はさらなる器官、とくに腎臓、肺および肝臓で発現している(シオフィ(Cioffi)ら、1996年;リー(Lee)ら、1996年;タルタグリア(Tartaglia)ら、1995年)。さらに、その細胞質ドメインにおいて異なる、異なるレパートリーのレプチン受容体スプライシング変異体が、マウスにおいて組織特異的な様式で発現する(リー(Lee)ら、1996年)。したがって、食物摂取および体温の調節に加えて、レプチンは他の生理学的機能を奏しているかもしれない。
レプチンは脂肪細胞によって産生されるが、最近の血清中における過剰な脂肪と高濃度のレプチンとの相関関係の知見は、レプチンが食物摂取および体重を減少させるという考えと対照的であった(コンシジン(Considine)ら、1996年;フレデリッヒ(Frederich)ら、1995年;ロンクヴィスト(Lonnqvist)ら、1995年;マッフェイ(Maffei)ら、1995年)。この相関関係、ならびに肥満とインスリン耐性との間の充分に確立されたつながり(フェルバー(Felber)およびゴレー(Golay)、1995年)により、レプチンはインスリン調整性応答を調節するかもしれないことが示唆された。実際に、最近、レプチンがインスリン受容体基質−1(IRS-1)の基底の(basal)チロシンリン酸化およびインスリン誘導性のチロシンリン酸化を有意的に低下させることが報告された。インスリン受容体(IR)β鎖のチロシンリン酸化は低下しなかったので、IRS-1リン酸化におけるレプチンのこの効果は特異的であった(コーエン(Cohen)ら、1996年)。
IRキナーゼによるIRS-1のチロシンリン酸化は、多くの既知のインスリン活性へと続くインスリン受容体のシグナリングのカスケードにおける重要な段階である(アラキ(Araki)ら、1994年;チェアタム(Cheatham)およびカーン(Kahn)、1995年;マイヤーズ(Myers)ら、1994年;マイヤーズ(Myers)ら、1994年;マイヤーズ(Myers)およびワイッツ(White)、1993年;ローズ(Rose)ら、1994年;タメモト(Tamemoto)ら、1994年;ワイッツ(White)およびカーン(Kahn)、1994年)。IRS-1の下流シグナリングがいくつかの関連タンパク質によって媒介され、その1つは増殖因子受容体関連結合タンパク質−2(GRB2)である(チェアタム(Cheatham)およびカーン(Kahn)、1995年)。
インスリン受容体(IR)は、グルコースの恒常性におけるインスリンの作用を媒介する代謝性の受容体とみなされている。このようにインスリン受容体は、脂肪組織、肝臓および筋肉のような末端に分化した組織で発現する。しかしながら、多くの研究により、IRは、腫瘍細胞で発現させると、インビトロおよびインビボにおいて強い分裂促進の受容体であることが示されている。たとえば、インスリン処理に対する応答においてIRのチロシンリン酸化により測定されるように、機能性IRがいくつかの乳がん細胞系統で同定された。さらに、[3H]チミジンの取り込みによって測定されるように、これらの細胞でIRは分裂促進応答を媒介する(ミラッゾ(Milazzo)ら、1997年;ミラッゾ(Millazzo)ら、1992年)。
これまで、一般的に腫瘍学の分野においてレプチンの使用の記載はない。とくに、レプチンは、細胞の増殖、とくにがん細胞の増殖を阻害するのに有用であるものとして記載されていない。
発明の要約
本発明の目的は、細胞増殖の阻害剤としてのレプチンの使用を提供することであり、たとえば、がん細胞の増殖の阻害剤としてレプチンを使用することである。
本発明の他の目的は、種々の悪性腫瘍の治療のために、単独での、または他の治療剤と組み合わせた、レプチンの使用を提供する。
本発明のさらなる目的は、種々の悪性腫瘍の治療のために、レプチン、レプチン融合タンパク質、レプチン突然変異タンパク質、レプチン受容体アゴニスト、そのいずれか1つの活性断片または画分、そのいずれか1つの活性類似体または誘導体、そのいずれか1つの塩、およびそのいずれかの混合物の使用を提供する。
本発明のさらなる他の目的は、種々の悪性腫瘍の治療のために、前述のレプチン、レプチン融合タンパク質、レプチン突然変異タンパク質、レプチン受容体アゴニスト、そのいずれか1つの活性断片または画分、そのいずれか1つの活性類似体または誘導体、およびそのいずれか1つの塩を1つ以上含む医薬組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、以下の明細書中で述べられるか、以下の開示から容易に明らかとなるであろう。
本発明は細胞増殖の阻害剤としてのレプチンの使用を提供する。単独で、または他の治療剤もしくはアプローチと組み合わせて、レプチンは、種々の悪性腫瘍の治療に有用であるだろう。本発明の好ましい実施態様は、ヒトの乳癌腫(breast carcinoma)細胞増殖の阻害に対するレプチンの使用である。インスリンおよびIGF-Iなどの多様な増殖因子の存在下で、多くのタイプの腫瘍細胞の増殖が増大する。細胞におけるインスリンおよびIGF-Iの増殖刺激作用は、少なくとも部分的にIRS-1/GRB2経路を経て媒介される(マイヤーズ(Myers)ら、1993年)。この経路はレプチンによって阻害される。さらに、IRS-1は、さらなる増殖因子およびIL-4およびIL-9を含むサイトカインの受容体キナーゼの基質である(ペルニス(Pernis)ら、1995年;イン(Yin)ら、1995年;イン(Yin)ら、1994年)。したがって、レプチンは、他の増殖因子と同様に、前述の増殖因子およびサイトカンのいくつかの、または全ての分裂促進応答を阻害し、それにより多様な腫瘍細胞の増殖を阻害するだろう。挙げられた例には、IGF-I誘導性増殖およびヒト乳がん細胞系統T-47DおよびMCF7のインスリン誘導性増殖の阻害が含まれる。本発明は、種々の悪性腫瘍の治療のために、レプチン、レプチン融合タンパク質、レプチン突然変異タンパク質、レプチン受容体アゴニスト、またはそれらのいずれか1つの活性断片または画分、およびそれらのいずれか1つの塩と同様に、レプチン、レプチン融合タンパク質、レプチン突然変異タンパク質、レプチン受容体アゴニスト、またはそれらのいずれか1つの活性断片または画分、またはそれらのいずれか1つの塩からなる医薬組成物の使用も提供する。
より詳しくは、本発明は、レプチン、レプチン融合タンパク質、レプチン突然変異タンパク質、レプチン受容体アゴニスト、それらのいずれか1つの活性断片または画分、それらのいずれかの活性類似体または誘導体、それらのいずれかの1つ塩、およびそれらのいずれかの混合物からなる群から選ばれる活性剤を腫瘍細胞増殖の阻害剤として使用することを提供する。
本発明のかかる側面の実施態様は、
(i)哺乳類における悪性腫瘍を治療するための細胞増殖阻害剤としての、前記活性剤の使用、
(ii)増殖因子依存性腫瘍の阻害剤としての、前記活性剤の使用、
(iii)ヒトの乳癌腫細胞増殖の阻害剤としての、前記活性剤の使用、
(iv)ヒトの乳癌腫の治療用である、前記活性剤の使用、
(v)少なくとも部分的にインスリン受容体基質−1(IRS-1)/増殖因子受容体関連結合タンパク質−2(GRB2)経路によって媒介される、腫瘍細胞におけるインスリンおよびIGF-Iの増殖刺激作用の阻害剤としての、前記活性剤の使用、
(vi)腫瘍の治療用の、IRS-1が基質である、1つ以上の受容体キナーゼ、増殖因子、ならびにIGF-1、IL-4およびIL-9からなる群のサイトカインに対する腫瘍細胞における分裂促進応答の阻害剤としての、前記活性剤の使用、
(vii)ヒトの乳がんの治療用の、基底の、IGF-I誘導性の、およびインスリン誘導性の腫瘍細胞増殖の阻害剤としての、前記活性剤の使用、
(viii)前記活性成分がレプチンであり、該レプチンが前記阻害剤として、または前記治療用に使用される、前記活性剤の使用
を含む。
同様に、本発明は、腫瘍細胞増殖の阻害用薬剤の調製で使用される、レプチン、レプチン融合タンパク質、レプチン突然変異タンパク質、レプチン受容体アゴニスト、それらのいずれか1つの活性断片または画分、それらのいずれか1つの活性類似体または誘導体、それらのいずれか1つの塩、およびそれらのいずれかの混合物からなる群より選ばれる活性剤も提供する。
本発明のかかる側面の実施態様は、
(i)哺乳類における悪性腫瘍の治療用薬剤の調製で使用される、前記活性剤、
(ii)増殖因子依存性腫瘍の阻害用薬剤の調製で使用される、前記活性剤、
(iii)ヒトの乳癌腫細胞増殖の阻害用薬剤の調製で使用される、前記活性剤、
(iv)ヒトの乳癌腫の治療用薬剤の調製で使用される、前記活性剤、
(v)少なくとも部分的にIRS-1/GRB2経路によって媒介される、腫瘍細胞におけるIGF-Iおよびインスリンの増殖刺激作用の阻害用薬剤の調製で使用される、前記活性剤、
(vi)腫瘍の治療用の、IRS-1が基質である、1つ以上の受容体キナーゼ、増殖因子、ならびにIGF-1、IL-4およびIL-9からなる群のサイトカインに対する腫瘍細胞における分裂促進応答の阻害剤用薬剤の調製で使用される、前記活性剤、
(vii)ヒトの乳がんの治療用の、基底の、IGF-I誘導性の、およびインスリン誘導性の腫瘍細胞増殖の阻害用薬剤の調製で使用される、前記活性剤、
(viii)前記活性剤がレプチンであり、該レプチンが該薬剤の調製に使用される、前記活性剤
を含む。
同様に、他の側面において、本発明は、腫瘍細胞増殖の阻害用の、活性成分として前記活性剤、および薬学的に許容し得る担体、希釈剤、または賦形剤からなる医薬組成物を提供する。
本発明のかかる側面の実施態様は
(i)哺乳類における悪性腫瘍の治療用医薬組成物、
(ii)増殖因子依存性腫瘍の阻害用医薬組成物、
(iii)ヒトの乳癌腫細胞増殖の阻害用、およびそれによるヒトの乳癌腫の治療用医薬組成物、
(iv)少なくとも部分的にIRS-1/GRB2経路によって媒介される、腫瘍細胞におけるIGF-Iおよびインスリンの増殖刺激作用の阻害用医薬組成物、
(v)IRS-1が基質である、1つ以上の受容体キナーゼ、増殖因子、ならびにIL-4およびIL-9からなる群のサイトカインに対する腫瘍細胞における分裂促進応答の阻害用およびそれによる腫瘍の治療用医薬組成物、
(vi)基底の、IGF-I誘導性の、およびインスリン誘導性の腫瘍細胞増殖の阻害用、およびそれによるヒトの乳がんの治療用医薬組成物、
(vii)前記活性成分がレプチンである医薬組成物
を含む。
本発明は、前述のとおり、本発明にしたがって、適切な投薬量および適切な投与経路で患者に医薬組成物を投与することからなる、哺乳類における腫瘍を治療するための、または哺乳類における腫瘍細胞の増殖を阻害するための方法をも提供する。このような投薬形態と投与経路は、患者を診察した後、専門医によって通常決定される。
本発明の他の側面および実施態様は、説明されるか、または以下の本発明の詳細な説明から容易に明らかとなろう。
図面の説明
図1は、MTT染色によって決定されたT-47D細胞増殖のインスリン依存性を示す。
図2は、MTT染色によって決定されたT-47D細胞増殖のIGF-I依存性を示す。
図3は、MTT染色によって決定された、マウスのレプチンによる10%ウシ胎児血清(FBS)中のインスリン誘導性T-47D細胞増殖の阻害を示す。
図4は、クリスタルバイオレット染色によって決定された、マウスのレプチンによる2%FBS中のインスリン誘導性T-47D細胞増殖の阻害を示す。
図5は、MTT染色によって決定された、マウスのレプチンによる10%FBS中のIGF-I誘導性T-47D細胞増殖の阻害を示す。
図6は、クリスタルバイオレット染色によって決定された、マウスのレプチンによる2%FBS中のIGF-I誘導性T-47D細胞増殖の阻害を示す。
図7は、クリスタルバイオレット染色によって決定された、ヒトのレプチンによる2%FBS中のIGF-I誘導性T-47D細胞増殖の阻害を示す。
図8は、クリスタルバイオレット染色によって決定された、マウスのレプチンによる無血清中のインスリン誘導性MCF7細胞増殖の阻害を示す。
図9は、クリスタルバイオレット染色によって決定された、マウスのレプチンによる無血清中のIGF-I誘導性MCF7細胞増殖の阻害を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、腫瘍細胞増殖の阻害剤としてのレプチンの使用に関する。典型的に、種々の腫瘍に由来するヒト起源の細胞系統は、約10体積%の濃度でウシ胎児血清が補足された増殖培地の存在下での培養で増殖し得る。以下の明細書で、これらの条件下における細胞増殖を「基底の細胞増殖」と定義する。インスリン、上皮増殖因子、またはインスリン様の増殖因子−I(IGF-I)などの種々の増殖因子を前述の血清補足培地に添加すると、多くの腫瘍細胞系統の増殖が有意的に促進される。増殖培地に3から600ナノモルの濃度範囲でレプチンを含有させると、基底の細胞増殖と増殖因子依存性の細胞増殖との両方が低下する。
以下の実施例で与えられる細胞培養実験の結果から、レプチンが種々の腫瘍の増殖を阻害するために有用であることが示される。そのゆえに、レプチンは種々の悪性腫瘍の治療に有用であり得る。
本発明の好ましい実施態様において、レプチンは乳がん細胞増殖の阻害に用いられる。レプチンをヒトの管状乳癌腫T-47D細胞(アメリカン タイプ カルチャー コレクション(American Type Culture Collection)、ロックビル(Rockville)、メリーリンド、系統番号ATCC HTB 133)の培養に添加すると、増殖の程度が低下する。同様に、レプチンをヒト乳線がんMCF7細胞(アメリカン タイプ カルチャー コレクション、ロックビル、メリーランド、系統番号ATCC HTB 22)の培養に添加すると、増殖の程度が低下する。レプチンは、T-47DおよびMCF7細胞の基底の、IGF-I誘導性の、およびインスリン誘導性の増殖を阻害する。したがって、レプチンは、とくに乳癌腫の治療に有用であり得る。
細胞におけるインスリンおよびIFG-Iの増殖刺激作用は、少なくとも部分的にIRS-1のチロシンリン酸化、ついで分裂促進応答へと導くGRB2とIRS-1との会合を経て媒介される。
レプチンの抗分裂促進作用は、基底の、インスリン誘導性の、およびIGF-I誘導性のチロシンリン酸化を低下させるIRS-1の能力に起因するものであり、IRS-1に対するGRB2の結合を低下させる。さらに、IRS-1は他の増殖因子ならびにIL-4およびIL-9を含むサイトカインの受容体キナーゼの基質である(ペルニス(Pernis)ら、1995年;イン(Yin)ら、1995年;イン(Yin)ら、1994年)。したがって、レプチンは、他の分裂促進因子と同様に、前述の増殖因子およびサイトカインのいくつか、または全ての分裂促進応答を阻害し、それにより種々の腫瘍細胞の増殖を阻害する。
本発明はさらに、種々のがん治療用の、レプチン融合タンパク質、レプチン突然変異タンパク質、レプチン受容体アゴニスト、またはそれらの活性断片または画分を含むレプチン誘導体および類似体、すべての同様の塩、ならびにレプチン、レプチン融合タンパク質、レプチン突然変異タンパク質、レプチン受容体アゴニスト、それらの活性断片、またはすべての同様の塩を含む医薬組成物に関する。
本明細書で使用される「突然変異タンパク質」という用語は、レプチンの類似体を指し、1つ以上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基で置換されている、または欠失しているか、野生型レプチンまたはその活性断片もしくは画分と比較して、得られる産物の活性が相当に変化することなく、1つ以上のアミノ酸残基がレプチン本来の配列に付け加わっている。これらの突然変異タンパク質は、既知の合成および・または部位特異的突然変異誘発技術、またはそのための適切な他の既知技術によって調製される。
好ましくは、このようないずれの突然変異タンパク質も、レプチンまたはその活性断片もしくは画分に対して実質的に同様な活性を有するような、レプチンの配列が充分複製されたアミノ酸配列を有する。したがって、細胞増殖を阻害する突然変異タンパク質がレプチンの充分な活性を保持し、ゆえにレプチンの少なくとも1つの開示された有用性を有し、したがって実質的に同様の活性を有するように、たとえばそのような突然変異タンパク質を、たとえば単純な細胞増殖アッセイにかけることからなる日常的な実験によって、ある突然変異タンパク質がレプチンと実質的に同じ活性を有するかどうかを決定する。
好ましい実施態様において、このような突然変異タンパク質のいずれも前記レプチンの1つの配列と少なくとも40%の同一性または相同性を有する。より好ましくは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または最も好ましくは少なくとも90%の同一性または相同性を有する。
本発明にしたがって使用されうるレプチンまたはその活性断片もしくは画分の突然変異タンパク質、またはそれらをコードする核酸は、過度の実験なしに、本明細書で提示される教示および手本に基づいて、当業者によって日常的に得られる置換ペプチドまたはポリヌクレオチドに実質的に対応する配列の有限な組合せを含む。タンパク質の化学および構造の詳細な説明のため、本明細書により参照文献として組み込まれるシュルツ、ジー、イー(Schulz, G. E.)らの「タンパク質構造の原理(Principles of Protein Structure)」(スプリンガー出版(Springer-Verlag)、ニューヨーク、1978年)およびクレイトン、ティー、イー(Creighton, T. E.)「タンパク質:構造と分子的性質(Protein:Structure and Molecular Properties)」(ダブリュ エイチ フリーマン社(W.H. Freeman & Co.)、サンフランシスコ、1983年)を参照。コドンの偏好などのヌクレオチド配列置換の提示用には、アスベル(Ausubel)ら、前出、§A.1.1〜§A.1.24およびサムブルック(Sambrook)ら、「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、インターサイエンス ニューヨーク(Interscience N.Y.)、§6.3および§6.4(1987年、1992年)、付録CおよびDを参照。
本発明にしたがった突然変異タンパク質のための好ましい変化は、「保存的」置換として知られているものである。充分に類似した物理化学的性質を有する1つのグループ内で、レプチンポリペプチドもしくはタンパク質またはその活性断片もしくは画分の保存的なアミノ酸置換には同義アミノ酸が含まれ、該グループの構成要素間の置換は該分子の生物学的機能を保存する(グランタム(Grantham)、サイエンス(Science)、第185巻、862頁〜864頁(1974年))。とりわけ挿入または欠失が数個の、たとえば30未満の、好ましくは10未満のアミノ酸しか含まず、機能的立体配座に重要なアミノ酸、たとえばシステイン残基、を除去または置換しない場合、それらの機能を変えることなしに、前述の配列内でアミノ酸の挿入および欠失もなされることは明らかである(アンフィンセン(Anfinsen)、「タンパク質鎖の折りたたみを支配する原理(Principles That Govern The Folding of Protein Chains)」、サイエンス(Science)、第181巻、223頁〜230頁、(1973年))。このような欠失および/または挿入により産生されたタンパク質および突然変異タンパク質は、本発明の範囲内にある。
好ましくは、同義アミノ酸グループは表Iで定義されるものである。より好ましくは、同義アミノ酸グループは表IIで定義されるものであり、最も好ましくは、同義アミノ酸グループは表IIIで定義されるものである。
Figure 0004330662
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本発明の使用のために、レプチンまたはその活性断片の突然変異タンパク質を得るために使用されうるタンパク質におけるアミノ酸置換の製造例には、米国特許、マーク(Mark)らのRE 33,653、4,959,314、4,588,585および4,737,462;コス(Koths)らの5,116,943、ナメン(Namen)らの4,965,195;チョング(Chong)らの4,879,111;およびリー(Lee)らの5,017,691;および米国特許番号4,904,584(シャウ(Shaw)ら)で示されるリジン置換タンパク質、で提示されるように既知の方法工程が含まれる。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明での使用のための、レプチンまたはその活性断片のいずれもレプチンに本質的に対応するアミノ酸配列を有する。「本質的に対応する」という用語は、とくに細胞増殖を阻害する能力が関与する限りにおいて、天然のタンパク質の配列に対して少数の変化を有し、天然のタンパク質の基本的特性に影響しないタンパク質を意味することを意図する。「本質的に対応する」という言葉の範疇に収まると一般的に考えられる変化のタイプは、レプチンをコードするDNAの従来の突然変異誘発技術に起因するものであり、結果として少数の重要でない修飾であり、前述の方法で所望の活性をスクリーニングする。
本発明にしたがう突然変異タンパク質は、本発明にしたがうレプチンをコードするDNAまたはRNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAまたはRNAなどの核酸によってコードされるタンパク質を包含する。そのような核酸は、本発明のレプチンの機能的活性を保持するポリペプチドをコードするかどうかを決定する重要な候補である。「ストリンジェントな条件」という用語は、当業者が慣習的に「ストリンジェント」と呼ぶ、ハイブリダイゼーションおよび次の洗浄の条件を指す。アスベル(Ausubel)ら、「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、前出、インターサイエンス(Interscience)、ニューヨーク、§6.3および§6.4(1987年、1992年)およびサムブルック(Sambrook)ら、前出、を参照。制限なく、ストリンジェントな条件の例には、たとえば2 x SSCおよび0.5% SDS中で5分間、2 x SSCおよび0.1% SDS中で15分間、37℃の0.1 x SSCおよび0.5% SDS中で30〜60分間、次いで68℃の0.1 x SSCおよび0.5% SDS中で30〜60分間で、研究中のハイブリッドの算出されたTmより12〜20℃低い洗浄条件が含まれる。当業者達は、ストリンジェントな条件がまた、DNA配列、(10〜40塩基などの)オリゴヌクレオチドプローブ、または混合のオリゴヌクレオチドプローブの長さにも依存することを理解している。混合プローブが用いられた場合、SSCのかわりに塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)を使用するのが好ましい。前出のアスベル(Ausubel)を参照。
「レプチン融合タンパク質」または単に「融合タンパク質」という用語は、たとえば体液の滞留時間が長い他のタンパク質と融合させた、レプチンもしくはその活性断片またはその突然変異タンパク質からなるポリペプチドを指す。したがって、レプチンまたはその活性画分が他のタンパク質、ポリペプチドなどと融合させてもよい。
本明細書における「塩」という用語は、レプチン、その活性断片、突然変異タンパク質、またはそのレプチン融合タンパク質のカルボキシル基の塩とアミノ基の酸付加塩との両方を指す。カルボキシル基の塩は、当分野で周知の方法によって形成され、たとえばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄、または亜鉛の塩などの無機塩、およびたとえばトリエタノールアミン、アルギニンまたはリシン、ピペリジン、プロカインなどのアミンで形成される有機塩基を有する塩を包含する。酸付加塩は、たとえば塩酸または硫酸などの鉱酸による塩、たとえば酢酸またはシュウ酸などの有機酸による塩を含む。もちろん、このような塩のいずれも、レプチンまたはその活性断片に対して実質的に同様な活性を有しなければならない。
本明細書で使用される「機能的誘導体」は、レプチンの誘導体、またはその活性断片もしくは画分、その突然変異タンパク質、およびレプチン融合タンパク質を網羅し、該分野で周知の方法により、残基上の側鎖として存在する官能基またはN−もしくはC−末端基から調製され、薬学的に許容され得る限り本発明に包含される。すなわち、実質的にレプチンの活性に類似したタンパク質の活性を破壊せず、それを含む組成物に毒性を与えない。これらの誘導体は、たとえば抗原の部位を遮蔽し、体液におけるレプチンまたはその活性画分の滞留を延ばすポリエチレングリコール側鎖を含む。他の誘導体は、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアまたは第1もしくは第2アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部分(たとえば、アルカノイルまたは炭素環式のアロイル基)で形成されたアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体、またはアシル部分で形成された遊離水酸基(たとえば、セリルまたはスレオニル残基の基)のO−アシル誘導体が包含される。
レプチン、レプチン突然変異タンパク質、およびレプチン融合タンパク質の「活性断片もしくは画分」として、該画分がレプチンに対して実質的に同様の活性を有するならば、本発明は、レプチンのポリペプチド鎖のあらゆる断片もしくは前駆体、またはレプチンのそのような断片を含む融合タンパク質を、単独で、または関連分子もしくはそれに結合する、たとえば糖またはリン酸塩残基などの残基、または前述の誘導体のいずれかの凝集体とともに包含される。
さらに本発明は、レプチン受容体の天然および合成アゴニストの使用に関し、該アゴニストは細胞増殖を阻害する能力の点で本質的にレプチンと類似している。このようなアゴニストは、ペプチドのライブラリー、ペプチド類似体のライブラリー、または有機分子のランダムライブラリーから選択されうる。選択は、当分野で周知の方法によって、本質的にはレプチン受容体に結合する選択されたアゴニストの能力によって行なわれる。たとえば、ランダムペプチドのライブラリーは、担体タンパク質に融合させたランダムペプチドをコードするDNAを保持する原核生物の発現プラスミドとして調製されうる。他の例として、発現系がランダムペプチドをコードするDNAを含むファージであり、外来のファージタンパク質の1つに組み込まれるファージディスプレイ系がある。融合ペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストをコードするファージは、たとえばレプチン受容体で被覆された表面をパンニング(panning)することにより、ファージライブラリーから単離される。結合ファージが単離され、細菌で増殖される。レプチン受容体に対して高い親和性を有する融合ペプチドを発現するファージを得るために、通常、数回のパンニング−増殖が必要とされる。その後、単離されたファージを増殖し、該ペプチドをコードするDNA配列を決定する。あるいはまた、ランダムペプチドライブラリーまたは他分子のライブラリーが、当分野では周知の方法によりポリマービーズ上で固相合成により調製される。レプチン受容体に対して親和性を有するペプチドまたは他の分子を保持するビーズは、たとえば蛍光的に標識されたレプチン受容体などの標識されたレプチン受容体の結合によって、該ライブラリーから選択される。ポジティブなビーズを選別し、ビーズ上に存在するペプチドまたは他の分子の構造を決定する。ビーズがペプチドを保持しているならば、ペプチド配列をタンパク質配列分析により決定する。もしビーズが有機分子のランダムライブラリーの典型であるならば、該分子はビーズから切断され、質量分析法、核磁気共鳴などの当分野の周知の方法によってその構造が決定される。レプチン受容体に対する親和性によって同定される候補ペプチドが、前述の方法で細胞増殖を阻害する能力によってさらに選別される。
したがって、レプチン、その活性画分、レプチン突然変異タンパク質、レプチン融合タンパク質、レプチン受容体アゴニストおよびその塩、機能的誘導体、ならびにその活性断片または画分が、種々の悪性腫瘍の治療用、好ましくは増殖因子依存性腫瘍用、最も好ましくは乳癌腫用であることが示唆される。
さらに本発明は、薬学的に許容し得る担体、および本発明のレプチン、またはその活性突然変異タンパク質、融合タンパク質、レプチン受容体アゴニストおよびその塩、その機能的誘導体または活性画分からなる薬学的組成物の使用に関する。
本発明の医薬組成物は、レプチンまたはその誘導体、またはレプチン受容体アゴニストを生理学的に許容し得る担体、および/または安定剤および/または賦形剤と混合することにより投与用に調製され、たとえば投薬瓶における凍結乾燥により、投薬形態に調製される。投与方法は、類似の薬剤に対して許容された投与様式のいずれでもよく、治療状態によって決まり、たとえば静脈内、筋内、皮下的に、局所注射または局所塗布、または連続的な注入(infusion)などによる。投与される活性化合物の量は、投与経路、治療される疾患、および患者の状態によって決まる。たとえば、局所注射は、静脈注入よりも体重に基づいてより少ないタンパク質量が要求されるだろう。注射されるレプチンの基準的な活性量は、0.1〜1000マイクログラム/kg体重および好ましくは1から10マイクログラム/kgである。レプチン誘導体およびレプチン受容体アゴニストの活性量は、モル基準で本質的にレプチンの活性量と同様である。
レプチンは、たとえば注射により、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて、または他の治療アプローチと組み合わせて、がん患者に投与される。
本発明は、以下の非制限的な実施例により説明される。
実施例1:MTT染色による細胞増殖の測定
試薬:
MTTストック:5mg/mlの(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイドのリン酸緩衝生理食塩水。使用まで−20℃で保存。
溶媒:2−プロパノール(100ml)中の濃HCl(450マイクロリットル)
手順
種々の増殖刺激剤および増殖阻害剤の存在下において96穴プレートで細胞を増殖させる。所望の時点で、MTTストック(10マイクロリットル)を各穴に添加する。37℃で2.5〜3時間インキュベートする。細いゲージの針を用いて上清を真空吸引する。溶媒(100マクロリットル)を添加し、630nmにおけるバックグランドを控除して570nMのフィルタを用いてマイクロプレートリーダーで吸光度を読み取る。
実施例2:クリスタルバイオレット染色による細胞増殖の測定
手順
種々の増殖刺激剤および増殖阻害剤の存在下において96穴プレートで細胞を増殖させる。所望の時点で、12.5%のグルタルアルデヒド(40マイクロリットル)を各穴に添加する。室温で30分インキュベートする。細いゲージの針を用いて上清を真空吸引する。溶媒(100マクロリットル)を添加し、630nmにおけるバックグランドを控除して570nMのフィルタを用いてマイクロプレートリーダーで吸光度を読み取る。マイクロプレートを水で洗浄し、乾燥させた。水性クリスタルバイオレット(0.1%,0.1ml)を各穴に加えた。さらにマイクロプレートを30分インキュベートし、水で洗浄し、630nmにおけるバックグランドを控除して540nmにおいて読み取った。
実施例3:インスリン依存性T-47D細胞増殖の測定
ヒトT-47D細胞(アメリカン タイプ コレクション、ロックビル、メリーランド;系統番号ATCC HTB 133)を1穴あたり0.1mlのDMEMおよび10%ウシ胎児血清(FBS)において3×105細胞/mlで96穴プレートに播種した。ヒトのインスリンを増大する濃度でそれぞれの穴に添加し、プレートを72時間インキュベートし、細胞数をMTTを用いた染色によって測定した(図1)。結果は8反復の平均である。図1に示された細胞増殖の程度に基づいて、50nMのインスリン濃度がさらなる研究に用いられた。
実施例4:IGF-I依存性T-47D細胞増殖の測定
ヒトT-47D細胞を1穴あたり0.1mlのDMEMおよび10%FBSにおいて3×105細胞/mlで96穴プレートに播種した。ヒトのIGF-Iを増大する濃度でそれぞれの穴に添加し、プレートを3日間インキュベートし、細胞数をMTT染色によって測定した(図2)。結果は8反復の平均である。図2に示された細胞増殖の程度に基づいて、50ng/mlのIGF-I濃度がさらなる研究に用いられた。
実施例5:レプチンによるインスリン誘導性T-47D細胞増殖の阻害
10%のFBSを補給したDMEMにおけるT-47D細胞(3×105細胞/ml)を96穴プレートに播種した(1穴あたり0.1ml)。示したマウスのレプチン濃度でまたは無しで、インスリン(50nM)で細胞を処理した。プレートを5%CO2中37℃で48時間インキュベートした。細胞をMTTで染色した。データは平均値±標準誤差(SE,n=8)である。結果から、レプチンがインスリン誘導性の細胞増殖を有意的に阻害することが示される(図3)。
10%のFBSを補足したDMEMにおけるT-47D細胞(3×105細胞/ml)を96穴プレートに播種した(1穴あたり0.1ml)。1日後、培地を2%のFBSを補足したDMEMに取り替え、1日後にDMEM-2% FBS中の示したマウスのレプチン濃度でまたは無しで、インスリン(50nM)で細胞を処理した。細胞をクリスタルバイオレットで染色した。データは平均値±SE(n=8)である。結果から、レプチンがインスリン誘導性の細胞増殖を有意的に阻害することが示される(図4)。
実施例6:レプチンによるIGF-I誘導性T-47D細胞増殖の阻害
10%のFBSを補足したDMEMにおけるT-47D細胞(3×105細胞/ml)を96穴プレートに播種した(1穴あたり0.1ml)。示したマウスのレプチン濃度でまたは無しで、IGF-I(50ng/ml)で細胞を処理した。プレートを5% CO2中37℃で48時間インキュベートした。細胞をMTTで染色した。データは平均値±標準誤差(SE,n=8)である。結果から、レプチンがIGF-I誘導性の細胞増殖を有意的に阻害することが示される(図5)。
10%のFBSを補足したDMEMにおけるT-47D細胞(3×105細胞/ml)を96穴プレートに播種した(1穴あたり0.1ml)。1日後、培地を2%のFBSを補足したDMEMに取り替え、1日後にDMEM-2% FBS中の示したマウスのレプチン濃度でまたは無しで、IGF-I(50ng/ml)で細胞を処理した。プレートを5% CO2中37℃で48時間インキュベートした。細胞をクリスタルバイオレットで染色した。データは平均値±標準誤差(SE,n=8)である。結果から、レプチンがIGF-I誘導性の細胞増殖を有意的に阻害したことが示される(図6)。
10%のFBSを補足したDMEMにおけるT-47D細胞(3×105細胞/ml)を96穴プレートに播種した(1穴あたり0.1ml)。1日後、培地を2%のFBSを補足したDMEMに取り替え、1日後にDMEM-2% FBS中の示したヒトのレプチン濃度でまたは無しで、IGF-I(50ng/ml)で細胞を処理した。プレートを5% CO2中37℃で48時間インキュベートした。細胞をクリスタルバイオレットで染色した。データは平均値±標準誤差(SE,n=8)である。結果から、レプチンがIGF-I誘導性の細胞増殖を有意的に阻害したことが示される(図7)。
実施例8:レプチンによるインスリン誘導性のMCF7細胞増殖の阻害
6%のFBSを補足したヒト乳線がんMCF7細胞(3×104細胞/ml、アメリカン タイプ カルチャー コレクション、ロックビル、メリーランド;系統番号ATCC HTB 22)を96穴プレートに播種した(1穴あたり0.1ml)。1日後、培地を無血清DMEMに取り替え、1日後に無血清中の示したマウスのレプチン濃度でまたは無しで、インスリン(50nM)で細胞を処理した。プレートを5% CO2中37℃で48時間インキュベートした。細胞をクリスタルバイオレットで染色した。データは平均値±SE(n=8)である。結果から、レプチンがインスリン誘導性の細胞増殖を有意的に阻害したことが示される(図8)。
実施例9:レプチンによるIGF-I誘導性のMCF7細胞増殖の阻害
10%のFBSを補足したDMEMにおけるヒト乳線がんMCF7細胞(3×104細胞/ml、1穴あたり0.1ml)を96穴プレートに播種した。1日後、培地を無血清培地に取り替えた。1日後に無血清培地中の示したマウスのレプチン濃度でまたは無しで、IGF-I(50ng/ml)で細胞を処理した。プレートを5% CO2中37℃で96時間インキュベートした。細胞をクリスタルバイオレットで染色した。データは平均値±SE(n=8)である。結果から、レプチンがインスリン誘導性の細胞増殖を有意的に阻害したことが示される(図9)。
参照文献
Figure 0004330662
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Claims (11)

  1. ヒトの乳がんの治療のための、レプチンからなるヒトの乳がん細胞増殖の阻害剤。
  2. ヒトの乳がんが増殖因子依存性である、請求の範囲第1項記載の阻害剤。
  3. 乳がんがヒトの乳癌腫である、請求の範囲第1項または第2項記載の阻害剤。
  4. 乳がんがヒトの乳腺がんである、請求の範囲第1項または第2項記載の阻害剤。
  5. 増殖因子がIGF-1またはインスリンである、請求の範囲第2項、第3項または第4項記載の阻害剤。
  6. ヒトの乳がん細胞におけるIGF-1またはインスリンの増殖因子の作用が少なくとも部分的にIRS-1/GRB2経路によって媒介される、請求の範囲第5項記載の阻害剤。
  7. ヒトの乳がんの治療用、活性成分としてレプチン、および薬学的に許容し得る担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物。
  8. ヒトの乳がんが増殖因子依存性である、請求の範囲第7項記載の医薬組成物。
  9. ヒトの乳がんがヒトの乳癌腫である、請求の範囲第7項または第8項記載の医薬組成物。
  10. ヒトの乳がんがヒトの乳腺がんである、請求の範囲第7項または第8項記載の医薬組成物。
  11. 増殖因子がIGF-1またはインスリンである、請求の範囲第8項、第9項または第10項記載の医薬組成物。
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