JP4329369B2 - 電動工具の使用支援方法及びその装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動工具の使用に関する支援を行う支援方法及び支援装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
電動工具には各種のものが提供されている。特開２０００−３３４６７０号公報（特許文献１）に示された電動工具制御システムや特開平１１−３２０３３８号公報（特許文献２）に示された使用時間もしくは使用回数といったデータを記録するものなども提供されている。
【０００３】
ところで、電動工具で、ある特定の作業のためのもの、たとえば電動ドライバーにおいても、作業内容に応じて高負荷作業に適したもの、軽負荷作業に適したもの等がある。また、作業内容だけでなく使用者の使用の癖の影響もあるが、連続的に作動させる場合と、断続的に作動させる場合などがあり、厳密にはこれらに夫々適した構成の電動工具が存在している。
【０００４】
【特許文献１】
特開２０００−３３４６７０号公報
【特許文献２】
特開平１１−３２０３３８号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、作業者にしてみれば、現在使用している電動工具が現在の作業内容に最も適した構成（仕様）のものであるかどうかを判断することは難しく、より適切な電動工具が存在している場合が多々ある。しかし、より適切な電動工具が存在していても、使用者がこの事実を把握することができないのが実情である。
【０００６】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは使用者の作業内容や使用法に応じた電動工具の選択あるいは使用法の改善などをアドバイスする電動工具の使用支援方法及びその装置を提供するにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明に係る電動工具の使用支援方法は、電動工具の使用に関する履歴データの保存用メモリを搭載した電動工具の使用支援をコンピュータを用いて行う電動工具の使用支援方法であって、上記コンピュータがそのデータ取り込み部で上記メモリからデータを取り込むステップと、コンピュータが各種電動工具の仕様データを参照するデータ分析手段によって取り込んだデータから推察される作業内容や使い方を基に作業内容や使い方に適合した仕様の電動工具を推察するとともにこれらを提示するステップとを実行することに特徴を有しており、また本発明に係る電動工具の使用支援装置は、電動工具の使用に関する履歴データの保存用メモリを搭載した電動工具の使用支援装置であって、上記メモリから読み出したデータから推察される作業内容や使い方を基に各種電動工具の仕様データを参照して、推察した作業内容や使い方に適合した仕様の電動工具を提示するデータ分析手段を備えていることに特徴を有している。
【０００８】
上記データ分析手段は、メモリに書き込まれた電源用二次電池に関する使用履歴データから電池の寿命を判断して判断結果を提示するものであってもよい。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図１において、１は電動工具であって、図２に示すようにハウジング１０と動力源であるモータ１１とモータ出力の減速等のためのギアブロック１２と出力部であるチャック部１３とを備えるとともに、スイッチ１４と制御回路１５と電池１６を備えている。また、この電動工具１では、不揮発性メモリで構成されたメモリ１７と、モータ１１に流れる電流を監視するモータ電流監視手段１８と、電池１６の放電電流や温度度等を監視する電池監視手段１９を備えている。
【００１０】
上記制御回路１５は、スイッチ１４からの入力に応じてモータ１１の制御駆動を行うのであるが、同時に図３に示すように、スイッチ１４がオンとなっている間のモータ電流値のサンプリングを行うモータ電流監視手段１８から取得する上記オン期間中の最大電流値及び平均電流値との組み合わせを図４に示すような最大電流−平均電流相関図に基づいてグループ分け（Ａａ〜Ａｄ）してどのグループに属するかのデータＡをメモリ１７に書き込む。
【００１１】
また、図５に示すように、スイッチ１４がオフとされてから次にオンとなるまでの休止経過時間を計測してこの休止経過時間が所定時間内であれば、連続した作業を実行中であると判断し、上記休止経過時間が所定時間を越えたならば、その時点で連続作業終了と判断し、この連続作業時間の計測値及びスイッチ１４のオン回数カウントとから、連続作業時間が８時間未満（Ｂ１）か８時間以上（Ｂ４）か、前回連続作業から次の連続作業に入るまでの休止時間（Ｂ３）、連続作業回数（Ｂ２）といった作業の連続性に関するデータＢを集計して、やはりメモリ１７に書き込む。
【００１２】
さらに図６に示すようにスイッチ１４のオンからオフまでの経過時間（作業時間）とその回数とを予め定めた時間単位でグルーピングしたデータＣをメモリ１７に記録する。なお、上記の各データＡ，Ｂ，Ｃは使用毎（あるいは連続作業が終了と判定される毎）にメモリ１７に追記される。
【００１３】
一方、電動工具販売店やサービスセンターに設置されたパーソナルコンピュータなどで構成されている支援機器２は、上記電動工具１のメモリ１７に記録された上記データＡ，Ｂ，Ｃを読み出して該データを分析し、その分析結果に基づいて推奨品を提示する支援ソフトウェアが稼働している。ここで、支援機器２でメモリ１７内のデータを読み出す構成としては、上記メモリ１７を電動工具１から取り出すことができるメモリカードで形成するとともに、支援機器２にメモリカード用のリーダライタを接続することで行ったり、電動工具１に通信ポートを付設して該通信ポートとの接続でメモリ１７内のデータを有線若しくは無線（ＩＲ通信を含む）で読み出すことで行えばよく、その方法は何ら限定しない。
【００１４】
そして、上記支援ソフトウェアは、電動工具各機種の仕様と電池の仕様及び充電器の仕様に関するデータを備えたナレッジベースを基に構成されたもので、メモリ１７に記録されている上記データＡ，Ｂ，Ｃのうち、最大電流値と平均電流値との組み合わせを示すデータＡａ〜Ａｄからその電動工具がどのカテゴリーに属するものであるか、つまりは電動ドリルドライバーであるか、電動インパクトドライバーであるか等の判断を行い、またこのカテゴリー内において能力が異なる複数機種の中からどの機種が使用者のニーズにあっているかを上記データＡ及び連続作業性に関するデータＢを基に選定してこれを表示する。上記データから使用者の作業内容を推定するとともにその作業内容に適した能力（負荷能力や対連続稼働時間等）を備えた電動工具の使用（買い換え）をアドバイスするわけである。
【００１５】
さらにデータＣを参照しつつデータＡとデータＢとから連続作業時の使用電力量を算出し、この使用電力量を賄うことができるとともに上記で選定した機種に適合するパック型電池を選定してこれを表示する。
【００１６】
また、連続作業性に関するデータＢ３のうちの最小値と、上記の連続作業時の使用電力量とを基に、急速充電能力が必要であるか否か、急速充電が必要である場合、何分で充電できればよいかといった充電性能を判断して、上記で選定したパック型電池に適合するものの中で充電器を選定してこれを表示する。
【００１７】
支援ソフトウェアにおける上記選定に関するフローチャートを図８に示す。この支援ソフトウェアは、図９に示すように、インターネットに接続されたサーバ３で稼働させるものとし、電動工具販売店やサービスセンターに設置されたパーソナルコンピュータなどで構成されている支援機器２はメモリ１７内のデータをサーバ３に送ってサーバ３側で分析を行わせ、その分析結果（アドバイス）が支援機器２の画面上に表示されるようにしてもよい。
【００１８】
メモリ１７には上記のデータだけでなく、その電動工具１の所有者に関する情報や購入日、暗証番号などの格納エリアを設けておくようにしてもよい。なお、これらのデータは支援機器２に接続した際に支援機器２側から入力できるようにしておく。そして、支援機器２との接続でこれらのデータを読み出すことで、支援機器２を設置している販売店やサービスセンターは顧客とのその顧客が使用する電動工具に関する情報を収集して顧客管理及び商品管理に役立てることができるものとなり、たとえば新製品が出た際や購入日から所定の年月が経た際に、商品の案内をお奨め機種の提示とともに顧客に送ったりすることができる。なお、このような顧客情報などは、顧客が新しい電動工具を買った時、その電動工具のメモリへの購入日データの記入などに際して、メモリ１７に同時に書き込むようにしておくのが好ましい。
【００１９】
また、作業中の電池１６の温度や電池電圧、過放電や過負荷回数などを検出することができるようにしておくとともに、これらデータもメモリ１７に書き込むようにしておけば、これらのデータの利用で上記の電池選定をより適切に行うことができるほか、放電量と電池電圧との比較などから電池１６の寿命を判断して、新しい電池１６への交換や交換時期をアドバイスすることができるものを得ることができる。
【００２０】
さらに販売店やサービスセンター（製造会社）が提供することができる支援サービスとして、顧客の電動工具についての好み（たとえば外観の色、チャックはキータイプがよいかキーレスタイプがよいか、使い方に関する好み等）を支援機器２を用いて入力しておけば、別の電動工具を顧客に提示するにあたり、上記の好みも参酌して選択した電動工具を提示したり、本来の製品ラインアップに顧客の作業内容に最も適合するものがない場合は、その顧客の作業内容に適した仕様の電動工具のセミオーダーメードを受け付けるようにしてもよい。
【００２１】
なお、上記支援ソフトウェアは、電動工具の新機種や電池の新機種が登場したにはこれら新機種の仕様データをインターネットなどの回線を通じて製造会社などからダウンロードして更新を自動で行うようにしたものであることが好ましい。ナレッジベースに更新があった場合も同様である。
【００２２】
このほか、メモリ１７には予め前処理した後のデータを納めているが、電流値サンプリングデータなどの生データをメモリ１７に格納し、上述の分類などの前処理も支援ソフトウェア側で行うようにしてもよいのはもちろんである。
【００２３】
【発明の効果】
以上のように本発明の電動工具の使用支援方法は、電動工具の使用に関する履歴データの保存用メモリを搭載した電動工具の使用支援をコンピュータを用いて行う電動工具の使用支援方法であって、上記コンピュータがそのデータ取り込み部で上記メモリからデータを取り込むステップと、コンピュータが各種電動工具の仕様データを参照するデータ分析手段によって取り込んだデータから推察される作業内容や使い方を基に作業内容や使い方に適合した仕様の電動工具を推察するとともにこれらを提示するステップとを実行するものであり、また本発明の電動工具の使用支援装置は、電動工具の使用に関する履歴データの保存用メモリを搭載した電動工具の使用支援装置であって、上記メモリから読み出したデータから推察される作業内容や使い方を基に各種電動工具の仕様データを参照して、推察した作業内容や使い方に適合した仕様の電動工具を提示するデータ分析手段を備えているために、電動工具の使用者にしてみれば、作業内容に適合した電動工具を使用しているのかといった情報を得ることができることから、より快適に作業を行うことについてのアドバイスを得られることになり、また、電動工具の製造販売側においては、電動工具の使用内容に関する多くのデータを得ることができるために、電動工具の新機種の開発に利用することができる。
【００２４】
上記データ分析手段が、メモリに書き込まれた電源用二次電池に関する使用履歴データから電池の寿命を判断して判断結果を提示するものであれば、使用者は電池の寿命を的確に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態の一例のブロック図である。
【図２】同上の電動工具のブロック図である。
【図３】同上の動作の一例の説明図である。
【図４】同上の動作の一例の説明図である。
【図５】同上の他の動作の一例の説明図である。
【図６】同上の別の動作の一例の説明図である。
【図７】同上の説明図である。
【図８】同上の支援ソフトウェアの概略フローチャートである。
【図９】他例のブロック図である。
【符号の説明】
１ 電動工具
２ 支援機器
１７ メモリ

Claims (3)

1. 電動工具の使用に関する履歴データの保存用メモリを搭載した電動工具の使用支援をコンピュータを用いて行う電動工具の使用支援方法であって、上記コンピュータがそのデータ取り込み部で上記メモリからデータを取り込むステップと、コンピュータが各種電動工具の仕様データを参照するデータ分析手段によって取り込んだデータから推察される作業内容や使い方を基に作業内容や使い方に適合した仕様の電動工具を推察するとともにこれらを提示するステップとを実行することを特徴とする電動工具の使用支援方法。
2. 電動工具の使用に関する履歴データの保存用メモリを搭載した電動工具の使用支援装置であって、上記メモリから読み出したデータから推察される作業内容や使い方を基に各種電動工具の仕様データを参照して、推察した作業内容や使い方に適合した仕様の電動工具を提示するデータ分析手段を備えていることを特徴とする電動工具の使用支援装置。
3. メモリに書き込まれた電源用二次電池に関する使用履歴データからデータ分析手段は電池の寿命を判断して判断結果を提示するものであることを特徴とする請求項２記載の電動工具の使用支援装置。

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