JP2005520158A - バッテリ試験の監査方法および監査装置 - Google Patents

Abstract

蓄電式バッテリ（１２）の状態を監査する方法および装置では、その蓄電式バッテリ（１２）のバッテリ試験を行って、その試験結果を得る。また、そのバッテリ（１２）に関連する主観的情報も入手する。そして、前記の試験結果と前記の主観的情報に基づいて、監査コードを作成するのである。

Description

本発明は、蓄電式バッテリの試験に関する。さらに、本発明は、バッテリ試験に関係するコード作成に関する。

自動車工業分野で利用される形式の鉛蓄電池などの蓄電式バッテリは、長年にわたって利用されている。しかしながら、そのような蓄電式バッテリの特性を理解すること、すなわち該蓄電式バッテリがどのように動作し、どのようにして正確な試験をするかが、長年研究されてきたが、大変難しいことが分かった。一般的に蓄電式バッテリは、直列に電気的接続された複数の蓄電セルで構成される。通常の蓄電セル１個あたりの電位は、およそ２．１ボルトである。それら蓄電セルを直列に接続すると、個別のセルの電圧値は加算される。例えば、標準的な自動車用蓄電バッテリは、６個の蓄電セルを備えており、完全に充電した場合には合計の電圧が１２．６ボルトになる。

また、蓄電式バッテリの状態を正確に試験する試みも、長年にわたり行われてきた。単純な試験方法は、バッテリの電圧を測定することである。

電圧が所定の閾値以下である場合には、バッテリは不良とみなされる。けれども、試験を行う前にバッテリを充電する必要があるため、そのような試験は不便である。バッテリが放電すると電圧が下がるので、正常なバッテリも不良と誤判断されてしまう恐れがある。さらに、そのような試験では、バッテリに蓄えられたエネルギー量を判定できない。バッテリを試験する別の方法として、負荷試験がある。負荷試験では、周知の負荷を使ってバッテリを放電させる。バッテリが放電するときのバッテリ電圧値を監視して、バッテリの状態を判断するのにモニタ値を使うのである。その方法でもやはり、負荷に電流を供給するために、バッテリを充分に充電しておく必要がある。

最近の方法として、イリノイ州ウィローブロック（Willowbrook, Illinois)のミッドトロニクス インコーポレイテッド（Midtronics, Inc.）とキース エス．チャプリン博士（Dr. Keith S. Shamplin）とが開発した、バッテリのコンダクタンスを測定する蓄電式バッテリ試験方法がある。

しかし、バッテリ試験の結果が正確になり、結果の反復性が増加すればするほど、新しい課題が発生するのである。特に、再試験を、例えば、別の場所で異なる条件で、後で行う場合には、２回の試験の結果を正確に比較する手段がない。つまり、試験結果の差違が、試験機器の不適切な使用が原因なのか、試験結果の記録が不正確なのか、試験結果自体の不備なのかの判断することは不可能といえる。この問題は、例えば、バッテリの保証を行うバッテリ製造業者、バッテリ販売者、自動車製造業者などにとって悩める問題である。さらにまた、試験や試験結果の正確な状態は、特性の不良原因を判定し、不良を特定して修正することにより、新しいバッテリの不良を低減するのに有効である。

本発明の目的は、前記で説明した様々な課題を解決する手段を提供することであり、バッテリ試験を監査（audit）する方法および装置を提供することである。本発明の方法においては、バッテリ試験を実施して試験結果を得る。さらに方法には、バッテリに関する主観的情報を獲得する工程も含まれる。そして、それら試験結果と主観的情報に基づいて、監査コードが作成される。同様に、本発明の装置には、蓄電式バッテリのバッテリ試験を行って、その試験結果を得るためのバッテリ試験回路を備えている。また、前記のバッテリに関係する主観的情報を入力するための入力回路も備わる。前記のバッテリ試験回路と前記の入力回路には演算回路が接続されており、前記の試験結果と主観的情報に基づいて監査コードを作成して、コード出力部へ出力するのである。

本発明の様々な実施例では、試験状態に鑑みて前記のバッテリ試験を分析するのに、前記のコード出力部を利用することができる。

本発明による鉛蓄電池などの蓄電式バッテリの試験を監視（monitor）して監査（audit）する新規で有効な方法を、説明する。本発明は、バッテリ試験器や試験の方法に適用可能であるが、ここで説明するのは単なる実施例にすぎない。本発明は、バッテリ試験の結果とバッテリ試験の条件に関係する情報とを統合して、後で利用できるコードに変換する方法および装置を提供する。下記で説明するように、本発明は、バッテリ試験で不合格となったバッテリの継続分析にも有益であり、保証により返還されたバッテリの監視や、操作者の行為の監視にも利用でき、蓄電式バッテリの欠陥のある設計の検知や特定にも有効である。

図１は、本発明によるバッテリ監視回路１６の概略ブロック図である。図示のように、正極端子２２と負極端子２４を備えるバッテリ１２に、回路１６は接続されている。

前記の回路１６は、本発明の実施例の方法で動作し、バッテリ１２のコンダクタンス（Ｇ_BAT）、および、バッテリ１２の両端子２２と２４の間の電位（Ｖ_BAT）を判定する。また回路１６には、電流源５０、差動増幅器５２、アナログ／デジタル変換器５４、およびマイクロプロセッサ５６が備わっている。この増幅器５２は、キャパシタＣ₁とＣ₂経由でバッテリ１２に容量接続されている。また増幅器５２には、アナログ／デジタル変換器５４の入力端子に接続した出力端子が備わっている。マイクロプロセッサ５６は、システムクロック５８、メモリ６０、メモリ６２、およびアナログ／デジタル変換器５４に接続されている。またマイクロプロセサ５６には、データ入力部６６と６８からの入力信号を受信する機能が備わる。さらにマイクロプロセッサ５６は、出力部７２にも接続している。

前記の電流源５０がマイクロプロセッサ５６で制御駆動されると、図１の矢印で示す方向に電流Ｉが流れる。一実施例として、その電流は方形波またはパルス波形の電流である。差動増幅器５２は、それぞれコンデンサＣ₁とＣ₂経由でバッテリ１２の両端子２２と２４に接続されているので、両端子２２と２４の間の電位差を示す出力信号を出力できる。一実施例として、増幅器５２の入力インピーダンスは大きい。さらに回路１６には、バッテリ１２の両端子２４と２２にそれぞれ接続された反転入力端子と非反転入力端子を備える差動増幅器７０も備わっている。この増幅器７０は、バッテリ１２の両端子２２と２４の間の開回路電位（Ｖ_BAT）を測定するために装備されている。増幅器７０の出力はアナログ／デジタル変換器５４に送られて、マイクロプロセッサ５６により両端子２２と２４の間の電圧が計測できるようになっている。

前記の回路１６とバッテリ１２との接続は、ケルビン接続と呼ばれる４点接続で行われる。ケルビン接続により、最初の１対の端子を経由して電流Ｉがバッテリ１２へ送られると同時に、別の１対の端子にて両端子２２と２４の間の電圧値Ｖを計測することができる。つまり、増幅器５２を流れる電流量が大変小さいため、増幅器５２の両入力端子間の電圧低下が、バッテリ１２の両端子２２と２４の間の電圧差とほぼ等しくなるのである。差動増幅器５２の出力信号は、デジタル形式に変換されて、マイクロプロセッサ５６へ送られる。そしてマイクロクロセッサー５６では、メモリ６０に格納されたプログラム命令に従って、システムクロック５８で決まる周波数にて処理が行われる。

前記のマイクロプロセッサ５６は、電流源５０からパルス電流Ｉを印加することにより、バッテリ１２のコンダクタンスを算出する。さらに、マイクロプロセッサ５６は、増幅器５２とアナログ／デジタル変換器５４を用いて、パルス電流Ｉによるバッテリ電圧の変化を演算する。電流源５０で生成される電流Ｉの値は既知であり、メモリ６０に記憶されている。一実施例として、バッテリ１２へ負荷を接続した場合の電流Ｉが記憶される。バッテリ１２のコンダクタンスは、下記の演算式を使ってマイクロプロセッサ５６で算出できる。

コンダクタンス＝Ｇ_BAT＝△Ｉ／△Ｖ （式１）
ただし、△Ｉは、電流源５０からバッテリ１２への電流の変動値であり、△Ｖは、電流値△Ｉに基づくバッテリ電圧の変動値である。

前記のバッテリのコンダクタンスＧ_BATおよびバッテリ電圧から、バッテリ試験器１６はバッテリ１２の状態を判断する。例えば、バッテリのコンダクタンスＧ_BATがバッテリの所定の電圧値における閾値より低い場合には、マイクロプロセッサ５６は、そのバッテリ１２がバッテリ試験に不合格であると判断する。例えば、前記のチャップリン特許に記述されているように、ＣＣＡ（コールドクランク増幅）測定値とその定格値とを試験器により比較することができる。また、操作者により入力部６６から入力された情報も、マイクロプロセッサ５６は使用することができる。例えば、それら入力情報には、バッテリの形式、試験場所、試験時間、操作者の名前などが含まれる。さらに、バッテリ試験の条件に関係するその他の情報も、入力部６８からマイクロプロセッサ５６に入力することができる。例えば、入力部６８を単数または複数のセンサまたは素子で構成して、周囲温度またはバッテリ温度、時間、日付、湿度、気圧、ノイズの大きさつまり試験中またはバッテリ内のノイズ特性、バッテリ試験における試験状態に関連して検知または回収されたデータ、試験実施中に得られる中間結果などを入力することも可能である。また、追加試験条件情報（additional test condition information）は、マイクロプロセッサ５６から提供される。そのような追加試験条件情報には、前記のＧ_BAT値やバッテリ電圧、および、バッテリの形式、予測周囲温度またはバッテリ温度、車輌の形式（公知の車輌認識番号（ＶＩＮ）コード）、操作者によって行われる試験手順などの、操作者によりバッテリ試験器１６に入力されるデータが含まれる。本発明によれば、マイクロプロセッサ５６は、前記の多様なバッテリ試験条件情報のいくつか、または、全部を使用し、それらの情報を試験結果と結びつけてコードを作成する。そのコードは、例えば、ディスプレイやプリンタなどの出力部７２に送られる。別の実施例として、後で使用するため、該コードをメモリ６２に記憶することもできる。ここで説明する入力回路は、試験状態情報を得るためのどのような形態の回路でもよく、入力部６６と６８およびメモリ６０などを備えればよい。

本発明におけるコードは、適当な方法で作成できる。以下に２つの例を示す。
例えば、ディスプレイ７２の画面に、「試験コード：Ａ０ＸＸＸＸ１ＹＹＹＹ２２２２Ｚ」と表示されると仮定する。その内容は、以下のとおりである。
Ａ： 地理的区域を示すアルファベットコード
０： ０＝試験状態における温度補正なし
１＝試験状態における温度補正あり
ＸＸＸＸ：ＣＣＡ（コールドクランク増幅）コード表示での入力バッテリ定格値（０＝Ａ、１＝Ｂ、２＝Ｃなど）、例えば、「０６２５ＣＣＡ」はＡＧＣＦと表示
１： バッテリ試験の結果：
０＝合格−−サービス店へ戻す
１＝合格−−再充電してサービス店へ戻す
２＝再充電して再試験
３＝バッテリ不良
４＝バッテリのセル不良
ＹＹＹＹ：小数点なしのバッテリ電圧コード（０＝Ａ、１＝Ｂなど）、例えば、「１２．６５ボルト」はＢＣＧＦと表示
２２２２：試験器によるＣＣＡ測定値。
Ｚ： 充電状態を示すアルファベットコード

また、８桁コードの例を下記に示す。この試験コードでは、数値を示すのに、２つのアルファベット文字による２６の疑似基本数字を使用する。
例えば、コード数値「ＣＺ」を解読するのに、下記の表のアルファベット文字を参照する。

まず、最初の文字「Ｃ」を２６と乗算する。次に、第２の文字「Ｚ」の値を加算する。｛Ｃ×２６｝＋Ｚ
（２）×（２６）＝５２ （式２）
５２＋２５＝７７ （式３）
つまり、コード数値は７７である。

例えば、「試験コード：ＸＸ０ＹＹ１ＺＺ」と、ディスプレイ７２に表示されると仮定する。
その内容は、以下のとおりである。
ＸＸ：５ＣＣＡ単位での入力バッテリ定格コード。例えば、ＣＣＡ値が３６０の場合は７２と表示、６５０の場合は１３０と表示。ＣＣＡ値は、丸めて５ＣＣＡ単位にする。それゆえＣＣＡコードは、上記の２６疑似基本数字（Pseudo Base 26 scheme）を使って表示できる。３６０ＣＣＡ＝コード７２＝ＣＵ、６５０ＣＣＡ＝コード１３０＝ＦＡ。
０： 試験結果コード：
０＝合格−−サービス店へ戻す
１＝合格−−再充電してサービス店へ戻す
２＝再充電して再試験
３＝バッテリ不良
４＝バッテリセル不良
５＝合格−−サービス店へ戻す（試験中に温度補正）
６＝合格−−再充電してサービス店へ戻す（試験中に温度補正）
７＝再充電して再試験（試験中に温度補正）
８＝バッテリ不良（温度補正）
９＝バッテリセル不良（温度補正）
ＹＹ：５０ｍＶ単位での電圧測定値コード。例えば、１０．００ボルトは２００と表示、１２．７５ボルトは２５５と表示。電圧値は、丸めて５０ｍＶ単位にする。そして、電圧コードを、上記の２６疑似基本数字を使って表示する。１０．００ボルト＝コード２００＝ＨＳ、１２．７５ボルト＝コード２５５＝ＪＶ。
１： 充電状態を示す数字コード。バッテリの充電状態を、１個の数字で表示する。「０」は、ＳＯＣが適用できないことを示し、バッテリ交換または再充電と再試験を行う。「５」は、１００％充電状態を示す。「１」から「４」は、比較的低い％数値と１００％値の間の相対コンダクタンスを等間隔で段階分けしたレベル値。
ＺＺ：５ＣＣＡ単位でのバッテリのクランク実測値。例えば、ＣＣＡ値の３６０は７２、ＣＣＡ値の６５０は１３０で表示。ＣＣＡ値は、丸めて５ＣＣＡ単位にする。そして、ＣＣＡコードを、上記の２６疑似基本数字を使って表示する。３６０ＣＣＡ＝コード７２＝ＣＵ、６５０ＣＣＡ＝コード１３０＝ＦＡ。

図２は、本発明の方法の手順を示す概略ブロック図である。図２に示すように、フローチャート１００は、開始ブロック（ステップ）１０２から始まる。ブロック１０４では、ユーザ入力を行う。例えば、ユーザ入力は入力部６６から行われ、バッテリ試験の指示データ、試験中のバッテリのコールドクランク増幅（ＣＣＡ）定格値、試験中の温度補正のための温度予測値、その他の、試験や試験環境に関連する入力データなどを入力する。それら情報はマイクロプロセッサ５６へと送られて、試験中に使用できるようメモリ６０に保存される。バッテリが搭載される車輌などに関する追加情報も、例えば、ＶＩＮコードで入力できる。さらに、バッテリ１２の構造、形式、製造業者名も入力できる。その他の追加情報には、バッテリの構造、形式、製造日付、バッテリを追跡し認識するためのデジタル署名、製造番号などのバッテリ固有情報も含まれる。そのような情報は手動で入力してもよいし、バッテリに印字されたバーコードから読み取ることもできる。

続くブロック１０６では、前述の技術を使ってマイクロプロセッサ５６が、バッテリを試験する。しかしながら、そのような技術は一例にすぎず、単純な電圧測定試験、負荷試験、抵抗、コンダクタンス、インピーダンス、アドミッタンス、その他パラメータの試験、バッテリ容量試験、充電状態試験、バッテリ液の比重を測定するデジタル湿度計試験、既知の技法で行える複雑な充電放電試験などを含むことができることを理解できよう。また、本発明の別の実施例として、従来の方法あるいは開発される新規の方法のバッテリ試験から特定の試験を行えることも理解できよう。

次のブロック１０８では、本発明において使用される追加条件情報が、マイクロプロセッサ５６に入力される。前述したように、その情報とは、入力部６８が検知した実際の周辺温度またはバッテリ温度、ステップ１０６の試験動作からの種々の中間試験結果、表面電荷値、電圧値、コンダクタンス値、抵抗値、フロート電流値、ノイズ振幅値、ノイズ周波数、その他ノイズ特性値などのバッテリパラメータなど、試験に関連するデータをいう。ステップ１１０では、ステップ１０８で得られた条件情報と、ステップ１０６で得られた試験結果値をマイクロコンピュータ５６で統合して情報列を作成する。この情報は、前記の文字コードに限定されることなく、どのような形態でも構わない。例えば、デジタル符号化されたバイトデータ列でよい。しかしながら、好適な実施例としては、英数字コードが望ましい。ここでは、統合した情報もコードとみなす。さらに、ブロック１１２では、そのコードを適当な方法で出力する。例えば、ディスプレイ、プリンタ、ラベルプリンタ、バーコードプリンタ、モデム、その他のデータ送信手段などの出力装置７２に、コードを出力できる。本発明の別の実施例として、ステップ１１２にて、後で使用できるように出力コードをメモリ６２に保存しても構わない。例えば、複数のコードを、メモリに収集して後で出力又は分析できるようにする。最後に、ステップ１１４で工程が終了する。

図３は、ステップ１０４で得られるユーザ入力情報の例を示すブロック図である。前述したように、ユーザ入力は、キーボード、キーパッド、マイク、スキャナーなどの入力装置６６から行う。そのユーザ入力情報は、ブロック１１０で説明したように符号化されていてもよい。一般的には、ユーザ入力情報は、主観的情報（subjentive information）１２０とバッテリ試験情報１２４とからなる。

主観的情報１２０には、観測データ１２１と顧客対応データ１２２が含まれる。観測データ１２１とは、所定のバッテリの問題や症状に関する個人または多人数による観測データである。例えば、バッテリを備えた自動車のオーナーの、朝などの所定時間にバッテリによる自動車の始動がうまく行えないという観測結果である。さらに、自動車の電動ウィンドウ、電動ミラー、ラジオなどの電動装置がうまく作動せず、ヘッドライトが暗く、その他の問題を発生するという、自動車オーナーの苦情も含まれる。その他、バッテリ自体やバッテリの動作に関する問題や症状も含まれる。また別に、そのような観測データは、自動車整備員からも報告される。バッテリの物理的状態に関する観測データも存在する。例えば、バッテリ端子の磨耗や、液漏れがあげられる。観測データ１２１は、必要に応じて、バッテリ試験器に格納された共通問題リストから、メニュ画面や手動入力により選択が可能である。観測データ１２１は、バッテリ試験を監査する作業員にとって、有効な情報となりえる。

前記の顧客対応データ１２２は、特定の顧客や状況に関するものである。例えば、顧客の要望への対応を提示するために、顧客対応データ１２２が供与される。顧客対応は、最上級のサービスの提供や顧客の管理に有効である。例えば、交換または返還されたバッテリが正常な動作状態にある場合でも、バッテリの交換や返還に応じる事例がある。また、顧客に、バッテリの代金を返却する場合もある。顧客対応データ１２２の提示は、それ以後にバッテリ試験を監査する際に役に立つ。顧客対応表示のバッテリを受け取った製造業者は、異なる状況においてそのバッテリを再販売または再利用しようとする。また、そのデータにより、バッテリに関係する問題を診断する場合に、バッテリの製造業者を支援することが可能となる。

前記のバッテリ試験情報１２４は、主観的情報１２０でない別の情報も含む。前述したように、バッテリ試験情報１２４には、ＶＩＮコード、バッテリ製造番号、バッテリを追跡や認識するための物理的印字、バッテリの構造、形式、製造日付などの情報が含まれる。さらに、その情報からは、顧客名、作業者名、ディーラー名、バッテリ試験時間、バッテリ試験期日なども特定できる。主観的情報１２０、観測データ１２１、顧客対応データ１２２、バッテリ試験情報１２４の統合情報は、ユーザ入力を得るためにユーザ入力情報として入力され、符号化されて出力される。

図４は、本発明のさらに別の実施例におけるフローチャート図である。そのフローチャート図におけるステップ１３０では、バッテリ試験の結果が得られる。この動作は、バッテリ試験器１６を用いて実行される。次のステップ１３２では、主観的情報が得られる。前述したように、主観的情報には、観測データ１２１、顧客対応データ１２２、または、その統合データが含まれる。必要に応じて、入力装置６６および／または入力装置６８経由で、バッテリ試験情報１２４を入力しても構わない。続いて、ステップ１３４では監査コードを作成する。監査コードは、顧客対応データ１２２を示すものであり、通常はマイクロプロセッサ５６により作成される。そして、監査コードは前記の方法またはその他の方法で生成され、必要なら暗号化される。その後、ステップ１３６で監査コードを出力する。出力データは、プリント、通信回線により発信、記憶媒体上に格納、画面に表示、または、それらの組み合わせなどの色々な方法で出力装置７２に送られる。図４のフローチャートを使えば、作業者は所定のバッテリ試験のための監査コードを迅速に提供できる。その結果、作業者やその他の要員は、かなりの時間の短縮にて、試験結果、主観的情報、バッテリ試験情報を得られる。

本発明の長所は、製造業者の返還保証方針との整合を確実にした点にある。例えば、バッテリが返還された場合、その不良バッテリの特定と同時に、作業者は出力装置７２により提供されるコードを使って、直接にバッテリ上に、または、ステッカーの貼付などにより、不良バッテリ１２にマークを付けることができるため、バッテリの返還に至った試験の情報を製造業者は入手できる。一例として、コードを暗号化するか、または、複製を困難にして、コードが偽造されるのを防止することも可能である。そのため、製造業者は、そのバッテリの継続試験を行い、その継続試験の結果を保証返還に結びついた先行試験の結果と比較することができる。これにより、不良でないバッテリを返還保証に基づいて返還しようとする不正ユーザを防止することができる。さらにまた、本発明は、特定のコードに、試験場所や試験不良を発生させた作業員を特定するのに使う地理情報や位置情報を内蔵させて、製造業者まで返還されたバッテリの調査追跡特性を提供できる。さらに、新車に搭載されたバッテリが自動車製造業者に返還された場合でも、製造業者は、車輌のＶＩＮコードなどの車輌に関する情報を検索することができるのである。

本発明は、バッテリ試験で不合格のバッテリに関する情報を収集できるよう、製造業者に便利な技術を提供するものである。そのような情報は、将来のバッテリの改良や、従来のバッテリの不備の特定に利用可能な情報である。例えば、様々な中間ステップに関する情報、または、バッテリ試験で得られる測定値の情報を、コードに内蔵させることができる。その情報とは、バッテリ再生電圧値、当初試験後の電圧値、第２の試験後の電圧値、表面電荷電圧値、負荷や信号に応答する電圧値や電流値、温度補正入力値、ノイズ振幅やその他ノイズ特性、フロート電流値などである。さらに、コード内の観測データは、自動車バッテリにおける点火問題などの不良バッテリの問題を特定するための簡単な方法を、製造業者に供与する。さらにまた、製造業者にとって、顧客に納入したバッテリも簡単に特定することができる。

本発明は、遠隔地電話交換局、コンピュータ施設、発電施設、ポンプ施設などに電力供給するための補助バッテリにも適用できるものである。また、本発明が自動車の蓄電池に限定されないことは、当業者には理解できよう。

本発明の一実施例として、コードを暗号化形式にすれば、不正コードの可能性を低下させることができる。前述の例のように、コードを暗号化すると、特殊な符号化技術に不慣れなユーザにとって、使用されている正確な技術を認識したり、不正情報を内包する有効コードを作成することが難しくなるのである。本発明のさらなる実施例では、オフセット方式や置換暗号方式などの簡単な方法、あるいは、公開キー暗号技術などのより複雑な方法の強力な暗号化アルゴリズムを採用する。そのような暗号化技術は、例えば、使用するバッテリ試験器に関する情報を含むコードにデジタル署名を付与するのにも応用できる。

上記の本発明の説明は好適実施例に基づいて行ったが、本発明の精神や範囲を逸脱することなく形態や詳細構成を変更することが可能であるのは、当業者には理解できよう。例えば、説明した以外のバッテリ試験法を採用したり、試験状態情報を得るために説明した以外の入力装置を利用したりすることも可能である。さらに、別の適当な技術によりコードを作成しても構わない。

本発明に関わるバッテリを監視および監査する回路を示す概略図である。 本発明に関わる方法のステップを示す概略フローチャート図である。 様々な形式のユーザ入力情報の概略ブロック図である。 本発明の別の実施例の概略フローチャート図である。

符号の説明

１２……バッテリ
１６……バッテリ監視回路
２２、２４…… 端子
５０……電流源
５２……差動増幅器
５４……アナログ／デジタル変換器
５６……マイクロプロセッサ
５８……システムクロック
６０、６２……メモリ
６６、６８……データ入力部
７０……差動増幅器
７２……出力部

Claims (20)

1. 蓄電式バッテリのバッテリ試験を行って、その試験結果を得る工程と、
   前記バッテリに関する主観的情報を得る工程と、
   前記試験結果と前記主観的情報とに基づいて監査コードを作成する工程とからなる蓄電式バッテリの状態を監視する方法。
2. 蓄電式バッテリのバッテリ試験を行って、その試験結果を供与するバッテリ試験回路と、
   前記バッテリに関する主観的情報を入力する入力回路と、
   前記試験結果と前記主観的情報とに基づいて監査コードを作成するため、前記バッテリ試験回路と前記入力回路に接続された演算回路とからなる蓄電式バッテリの状態を監視する装置。
3. 前記主観的情報が、前記バッテリの問題に関する観測データおよび該観測データに基づく監査コードからなる請求項１または２の発明。
4. 前記問題が前記バッテリを有する自動車に関連する請求項３の発明。
5. 前記問題が前記バッテリの物理的状態に関連する請求項３の発明。
6. 前記問題が技術者によって観測される請求項３の発明。
7. 前記問題が前記バッテリを使用する顧客によって観測される請求項３の発明。
8. 前記主観的情報が、顧客対応データの提示および該提示に基づく監査コードからなる請求項１または２の発明。
9. 前記監査コードが、前記バッテリ試験の条件（condition）に関する前記バッテリ試験情報に基づく請求項１または２の発明。
10. 前記バッテリ試験情報が前記バッテリ試験を行う作業者名を含む請求項９の発明。
11. 前記バッテリ試験情報が前記バッテリ試験を行うディーラーの位置を含む請求項９の発明。
12. 前記バッテリ試験情報が、前記バッテリを有する自動車に関連する情報を含む請求項９の発明。
13. 前記バッテリ試験情報が温度情報を取得することを含む請求項９の発明。
14. 前記バッテリ試験情報がバッテリコールドクランク増幅（ＣＣＡ）定格値を含む請求項９の発明。
15. 前記バッテリ試験が前記バッテリのコンダクタンスに関連する請求項１または２の発明。
16. 前記バッテリ試験が前記バッテリに電気的な負荷を印加することを含む請求項１または２の発明。
17. 前記監査コードが英数字コードからなる請求項１または２の発明。
18. 前記監査コードが暗号化される請求項１または２の発明。
19. 前記バッテリ上に前記監査コードを配置することを含む請求項１の発明。
20. 前記主観的情報が、観測データおよび顧客対応データの提示、さらに前記バッテリ試験情報に基づく前記監査コードからなる請求項１または２の発明。

Images