JP4328419B2 - 迷彩加工布帛 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視および近赤外線領域における迷彩機能を発揮する迷彩模様を有する軽量で耐久性に優れた迷彩加工布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自衛隊などにおいては、双眼鏡、近赤外線画像装置などで偵察されても発見できないカムフラージュ性能を有する個人用装備品が要望されている。また、雨衣などのように防水性があり、かつ、透湿があり蒸れない性能も要求されている。
【0003】
従来技術としては特許公報第2564439号のカムフラージュ用布帛があるが、染料と顔料の混合比率を変えて洗濯耐久性を改良している。しかし、染料では近赤外線反射率が低くならず顔料の比率を上げてプリント加工している。また、特開平5−60496号公報に提案されているポリアミド系迷彩加工布帛では、色別に染料着色域と顔料着色域があり、防水透湿性能を付与したものなどが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの従来技術も、表生地で可視、近赤外線領域の迷彩性能が付与されたものであり、すなわち、厚地で密度の高い織物が使われており、そのために迷彩服、迷彩雨衣、天幕として使用するには重くなりすぎ、軽量化が要求されていたものであった。また、これらの従来技術で、その反射率を調整するためには、顔料を入れることが必須となり、そうすると洗濯堅牢度などの耐久性が問題となるものであった。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、薄地で織密度が粗い織物であるにも拘らず、可視での迷彩性能や近赤外線領域での迷彩性能に共に優れる上に、軽量で耐久性に優れた迷彩加工布帛、特に迷彩服に好適な迷彩加工布帛を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、本発明の迷彩加工布帛は、単繊維繊度5〜11デニールの合成繊維のブライト糸からなり、かつ、近赤外線透過率が50%以上である高透過性織物であって、構成繊維の内部が染料で着色されており、かつ、顔料と樹脂で該織物の表面または該織物を構成する織糸の表面が着色されてなり、かつ、該着色高透過性織物の近赤外反射率が5〜70%の範囲にあって、かつ、少なくとも4段階以上の多段階の迷彩色で構成された迷彩模様を有し、その裏面に、顔料および赤外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種を含有する低近赤外反射樹脂膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり薄地で織密度が粗い織物であるにも拘らず、可視での迷彩性能や近赤外線領域での迷彩性能に共に優れる上に、軽量で耐久性に優れた迷彩加工布帛について、鋭意検討し、太い単繊維繊度のブライト糸で織った高透過性織物に多段階の迷彩柄プリントを施し、裏に低近赤外反射樹脂膜を貼り合わせるか、塗布してみたところ、かかる課題を一挙に達成することを究明したものである。
【0008】
すなわち、透過性の高い織物を表生地として使い、裏の膜で近赤外線反射率をコントロールし、さらに、かかる織物として、単繊維繊度の太い糸条を織糸として用いることで、強力が高く、引裂き、摩耗性に優れ、耐久性の高い迷彩服を提供することができたものである。
【0009】
本発明の迷彩加工布帛は、特に雨具、戦闘服、天幕などの軽量化を実現するために、近赤外線透過率が50%以上である高透過性織物に多段階の迷彩柄プリントを施し、裏に低近赤外反射樹脂膜を貼り合わせたものである。
【0010】
すなわち、かかる手段によって、生地を厚くすることなく迷彩性能をを損なわずに洗濯などの耐久性を著しく改善することができるようになったものである。
【0011】
すなわち、本発明の迷彩加工布帛は、近赤外線透過率が50%以上からなる高透過性織物に、染料または染料と顔料で着色されてなる近赤外反射率が5〜70%の範囲で少なくても4段階以上の多段階を示す迷彩柄を付与し、顔料着色剤および赤外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種を添加した低近赤外反射樹脂膜を形成させたものである。
【0012】
近赤外線透過率が50%未満では、表生地の反射率の影響が強く、全ての色について染料と顔料を併用しなければ目的とする近赤外線迷彩性能が得られないし、それでも満足な性能が得られない場合があるという問題がある。
【0013】
また、高透過性織物は、単繊維繊度5〜11デニールの合成繊維、すなわち、ナイロンまたはポリエステルのブライト糸およびこれらの混繊糸や混紡糸からなる織物で、通常の織密度より粗い密度、たとえば総繊度110デニールの糸の場合は、好ましくは80〜90本/inchの織物である。また、透過性を高くするために、好ましくは糸断面を偏平にした糸が使用される。なお、ブライト糸とは、酸化チタンなどの不透明性につながる物質を好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下含む程度か、さらにはこれらの物質を含まないものを意味するものである。
【0014】
ここで言う布帛の近赤外線透過率は、日立製分光光度計U−4000の評価機器を使い次式で計算したものである。また、後述するマンセル値も同じ機器で同時に評価できる。
布帛の近赤外線透過率=(T1 −T2 )/(T1 −R1 )×100(%)
式中 T1 :生地固有の反射率、T2 :樹脂膜+生地の反射率、R1 :樹脂膜の反射率を示す。
【0015】
なお、生地固有の反射率は、透過しないように白生地複数枚重ねて測定したデーターであり、樹脂膜+生地の反射率は、白生地の裏反射率が低い樹脂膜と重ねて測定したデーターである。この樹脂膜は、ポリウレタンにカーボンブラック顔料を添加して作ったものである。
【0016】
次に、本発明でいう迷彩加工は、染料または染料と顔料で4色の迷彩柄に捺染着色して可視の迷彩柄、4段階の近赤外反射率による迷彩柄を付与するものであり、かかる迷彩柄を付与するにあたり、まず染料で糸の内部を着色し、次いで顔料と樹脂で糸または織物の表面を着色して多層着色するものである。かくすることにより、例え顔料が脱落しても染料で性能低下を防止することができ、耐久性を大幅に改善することができたものである。
【0017】
ここで4色の迷彩柄は、ライトグリーン、ダークグリーン、ブラウンとブラックであり、ライトグリーンとダークグリーンは染料100%で染色加工し、ブラウンとブラックは染料で着色後、顔料で糸または織物表面に固着させる。ブラウンとブラックは、染料では反射率が高く、十分な性能が得られないため、顔料を併用するのである。また、染料に赤外線吸収剤を併用することもある。
【0018】
近赤外反射率の設定は、700〜1200nmの範囲で自然界の湿った土、草、乾燥土、日陰の樹葉、日射の樹葉の反射率に合わせて、これら反射率の混成によって迷彩服やテント、その他装備品の形状を崩したり分断させて自然界に混和させるように調整されるものである。色別では、ブラックが最も低反射率に加工することができ、ブラウン、ダークグリーン、ライトグリーンの順で高い反射率のものに加工することができるものである。なお、近赤外反射率による迷彩柄は4段階に限定するものでなく、さらに多段階にすることにより、更に迷彩性能がよくなる。
【0019】
染料としては、酸性含金染料が好ましく使用され、たとえばアシッドイエロー220、アシッドブラウン282、アシッドブラウン45、アシッドオレンジ168、アシッドブルー171、アシッドグリーン28、アシッドブラック222等を使うことができる。かかる染料は、これに捺染元糊を加え水で練り込んでプリントすることができる。
【0020】
顔料は、HI カラー ブラック NB、HI カラー EC ブラウン G−10、NL 3325 ブラウンなどを使うことができる。かかる顔料は、アクリル酸エステル共重合エマルジョンとイソシアネート系化合物とからなる糊(バインダー樹脂糊)に練り込んで、これをプリントして固着することができる。
【0021】
次に、近赤外線低反射樹脂膜と組合わせすることで、プリント各色の近赤外線反射率が高レベルでも、全体の近赤外線特性、可視特性を、自然の樹葉、草、土壌などに合わせることができるのである。
【0022】
かかる近赤外線低反射樹脂膜により、面積比率70%を占めるライトグリーンとダークグリーンは染料100%で性能が得られ、これにより耐久性が向上する。残り20%のブラウンについても、染料中心で一部顔料を併用することで洗濯堅牢度などの耐久性が向上するのである。ブラックは顔料主体であるが、固着剤の強化により脱落を防止することができる。
【0023】
次に、かかる織物の裏に形成させる低近赤外反射樹脂膜について説明する。該樹脂膜を構成する樹脂としては、たとえばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などから任意に選択して使用することができる。かかる樹脂に配合する添加物としては、顔料着色剤および赤外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。かかる顔料としては、ペリレンブラック顔料、酸化銅、酸化鉄、酸化マンガン単体またはこれらの混合物を使用することができるが、赤外線反射率が低下するものであれば、これらに限定することなく使用することができる。これらの顔料着色剤および赤外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種を配合した低近赤外反射樹脂を、該織物の裏面にコーティングして、付着量約10g/m2の樹脂膜層を形成する。
【0024】
反射率の異なる上記の各種混合物を調合することで、かかる低近赤外反射樹脂膜の近赤外線反射率を、600〜680nmの範囲では、10〜25%と低く抑え、700〜760nmで15〜40%に立ち上げて、1000〜1200nmで50〜70%に、それぞれ設定することで、表生地のプリントの条件設定が染料主体で容易にできるようになる。このように低近赤外反射樹脂膜の近赤外線反射率の設定は、ブラックを除く3色の色目を変えずに、表生地のプリントの反射率を合わせ易くするものであり、一例として、700〜760nmの樹脂膜の近赤外線反射率が50%を越えると、色目が規格を外れることになる。このように低近赤外反射樹脂膜の着色剤は、近赤外線反射率と色相のバランスを取る上で重要な役割を有するものである。
【0025】
また、雨具のように高い防水性と透湿性を要求される迷彩加工布帛を形成する場合は、該織物の表生地側に防水透湿性膜、たとえば微多孔質ポリウレタン膜と無孔質透湿性ポリウレタン膜を積層してなる防水透湿性を有する樹脂膜を形成する。具体的には、ポリウレタン溶液を該織物の表生地側にコーティングし、DMF/水を凝固液として、湿式ゲル化して、微多孔質膜を形成し、さらに、この微多孔質膜の上に無孔質透湿性ポリウレタン膜を積層することにより、高い防水性と透湿性を相合わせ持つ、すなわち雨具として快適な迷彩加工布帛が得られる。
【0026】
また、天幕など防水性のみ要求される迷彩加工布帛を形成する場合には、該織物の表生地側に通常の樹脂をコーティングして非透湿膜を設けするだけでよいが、一方、戦闘服などのように通気性が要求される迷彩加工布帛を形成する場合は、該表生地側に、前記防水透湿性を有する樹脂をグラビアコートなどでドット状に加工して、通気性を確保する手段により付与する。
【0027】
本発明を図面により、さらに説明する。図1は、本発明の迷彩加工布帛の概略断面図である。プリント生地1の裏にポリウレタン等の樹脂中に顔料と赤外線吸収剤を添加された低近赤外反射樹脂膜2が形成された断面図である。プリント生地1は透過性の高い糸からなる織物に染料などで迷彩柄が施され、樹脂膜2は、テント地は無孔質、雨衣は微多孔質フイルム状膜、戦闘服は多孔質膜など用途別に加工される。顔料3は捺染糊(バインダー樹脂糊)が糸表面に固着された状態で存在し、プリントされた染料はプリント生地1を構成する糸内部に存在する。
【0028】
図2は、本発明の迷彩柄の概略図である。
この図の例は、プリント生地1に迷彩柄をプリントしたもので、染料主体のライトグリーン部4、ダークグリーン5、ブラウン部6,顔料主体のブラック部7が配色された一例である。この迷彩柄は、色相を合わすことで600〜750nmの可視の迷彩を付与し、近赤外反射率の調整により800〜1200nm間の近赤外反射による迷彩柄を付与するのである。すなわち、近赤外反射率は、ライトグリーン部4の反射率が最も高く、次いでダークグリーン部5を次の位いの高さに設定し、ブラウン部6とブラウン部7は、これらより低反射に設定して、多段階の近赤外反射による迷彩柄を付与するのである。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0030】
実施例1
ナイロン糸110D−12f(単繊維繊度9デニールの円形ブライト糸)を縦×横密度を81×90本/inchで平織物を加工した。精練セットした後、白生地を4枚重ねにして反射率を測定し、94%を得た。
【0031】
次いで、下記の処方でロータリー捺染機で迷彩柄の4色をプリントした。
ライトグリーン
アシッド イエロー 220 ; 1.01部
アシッド ブラウン 282 ; 0.24部
アシッド ブラウン 45 ; 0.16部
アシッド ブルー 171 ; 0.08部
アシッド グリーン 28 ; 0.08部
アシッド ブラック 222 ; 0.18部
捺染元糊 50.0部
水 48.3部
ダークグリーン
アシッド イエロー 220 ; 3.25部
アシッド ブルー 171 ; 1.12部
アシッド グリーン 28 ; 0.25部
アシッド ブラック 222 ; 1.08部
捺染元糊 50.0部
水 44.3部
ブラウン染料
アシッド イエロー 220 ; 2.00部
アシッド オレンジ 168 ; 1.50部
アシッド グリーン 28 ; 1.00部
捺染元糊 35.0部
水 30.5部
HI カラー EC ブラウン; 2.80部
NL 3325 ブラウン ; 3.60部
アクリル酸エステル共重合エマルジョン; 22.0部
イソシアネート系化合物 ; 0.60部
ブラック
アシッド グリーン 28 ; 0.25部
アシッド ブラック 222 ; 1.08部
捺染元糊 ; 50.0部
水 ; 30.5部
アクリル酸エステル共重合エマルジョン; 22.0部
イソシアネート系化合物 ; 0.60部
HI カラー ブラック NB; 3.00部
【0032】
捺染元糊は天然ガム誘導体12部、尿素10部、酒石酸アンモニウム 5部、塩素酸ソーダ 0.2部、ターペンエマルジョン13部に水60部を添加したものを使用した。
【0033】
次に105 ℃×5分の蒸気処理、170 ℃×1分のキュアリング、ソーピング、水洗し、多価フエノール化合物 2g/L と酢酸 0.5g/L でフイックス処理、水洗、乾燥後、170 ℃×1分でセットして迷彩プリントを仕上げた。
【0034】
このようにして得られた迷彩色プリント生地に次に示す方法で防水透湿膜加工を施した。
まず、フッ素系撥水剤にて撥水処理を行った。
撥水剤を3重量%に含有した水分散液に上記プリント生地を浸漬し、絞り率40%にピックアップして150℃乾燥熱処理を施した。
【0035】
次いで、
クリスボンMP829 100部(ポリウレタンエラストマー)
アサヒガードAG650 3部(フッ素系撥水剤)
バーノックD500 3部(架橋剤)
透湿性ポリウレタン溶液
クリスボンNY319 100部
トルエン 30部
の配合のポリウレタン溶液に赤外線吸収剤として、顔料のブラック L−6680を5部、ブルー L−1557を1部 、ブラック L−5442を0.3部を添加して、プリント生地に付着量150g/m2でコーティングし、DMF10%の水溶液に3分間浸漬してポリウレタンを湿式ゲル化させ、80℃の温湯にて10分間水洗して乾燥、熱処理し低近赤外線反射樹脂膜を作成し、更に、透湿性ポリウレタン溶液を付着量50g/m2でコーティングし、80℃で1分間乾燥して無孔質透湿性ポリウレタン膜を積層した防水透湿シートを作成した。
【0036】
このようにして得られた迷彩雨具用防水透湿シートは表1に示すような可視特性のマンセル値(H、V、C値)、近赤外線特性の反射率が得られた。
【0037】
該シートを雨衣に縫製し、人に着用させて野原でカラー写真と紫外線と可視光が不透過のフイルターと赤外線フイルムで近赤外線写真を撮影し観察したところ、迷彩性能は自然界にマッチした優れた迷彩雨具が得られた。また、耐水圧は3kgf/cm2、透湿度は280g/m2・hr)と高く、雨漏れする事なく、蒸れも少ないものが得られ、雨衣としては好適であった。
【0038】
この時の防水透湿膜の近赤外線反射率は、測定波長660nmで16%、760nmで30%、1000nmで50%、1200nmで51%であった。同様に測定し測定波長760nmの白生地4枚重ねの反射率94%、樹脂膜+生地の反射率41%のものが得られ、前述の計算式による近赤外線透過率は82.8%であった。
【0039】
【表1】
【0040】
また、目付110g/m2、厚さ0.18mmと、軽くて薄い柔軟な雨具が得られ、洗濯堅牢度4−5級、摩擦堅牢度4−5級であった。また、単繊維デニールが太いために布帛の引張強力;120kgf、引裂き強力;7〜8kgが得られた。特に引裂強力は通常の2倍となり、耐久性に優れた布帛が得られた。
【0041】
実施例2
簡易テント生地として、ナイロン200デニール18filのブライト糸からなる織物を精練セットした後、白生地を4枚重ねで測定し、反射率90%のものが得られた。
【0042】
この生地を実施例1と同様の染料で迷彩柄に4色プリントした。
続いて撥水処理し、エーテル系ポリウレタンME−8105LP 65部に、顔料のブラック L−6680を2部、ブルー L−1557を1部、ブラックL−5442を2.0部、架橋剤を1部を、それぞれ添加して、溶剤で希釈して、生地の裏側にコーティングし、樹脂付着量50g/m2のテント生地を作成した。この時の裏生地の樹脂膜の反射率は20%、樹脂膜+生地の反射率は51%であった。この時の近赤外線透過率は55.7%であった。
【0043】
また、こうして得られた生地は耐水圧5kgf/cm2の防水性があり、裏の膜材は黒系色になり明度V値が5%以下で、光透過性の低い生地であった。
【0044】
得られたシートをテントに張り、自然界で可視光線と近赤外線写真を撮影して調べたところ、優れた迷彩性のものが得られた。しかも、テントの中の明りが外に漏れず、軽量でコンパクトに収納できる操作性に優れたテント生地が得られた。
【0045】
比較例1
ナイロン糸110D−24f(単繊維繊度4.5デニールの円形セミダル糸)を縦×横密度を81×90本/inchで平織物を加工した。精練セットした。
【0046】
次いで、実施例1の処方でロータリー捺染機で迷彩柄の4色をプリントした。この結果は各色とも全体に反射率が高く、特に760nm以上が高くなり、近赤外線写真では背景の樹木より明る過ぎて迷彩性に欠けた。ちなみに、この時の近赤外線透過率は40%であった。
【0047】
比較例2
実施例1の織物を使い、染料と顔料の着色添加量を調整し、明度V値を実施例1に合わせて迷彩プリント加工を実施した。
【0048】
次いで、上述の4種類の配合のポリウレタン溶液をプリント生地に付着量150g/m2の割合でコーティングし、DMF10%の水溶液に3分間浸漬してポリウレタンを湿式ゲル化させ、乾燥、熱処理して防水透湿シートを作成した。
この結果、色相のH、V、C値及び分光反射率は、次の表2のように反射率が高くなった。
【0049】
【表2】
【0050】
各色とも760nm以上の反射率が高く、近赤外線写真では背景の樹木より明る過ぎて迷彩性に欠けた。ちなみに、この時の近赤外線透過率は30%であった。
【0051】
比較例3
実施例1と同様に織物をプリント加工し、ブラック顔料ブラック L−6680を10部添加して防水透湿シートを作成した。この結果は、比較例2と同様に反射率が高くなった。この時の近赤外線透過率は25%であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の迷彩性能を保持しつつ染色堅牢度、対摩耗性、引裂き強さなど性能を高め耐久性に優れ戦闘服、テント用として最適な迷彩加工布帛を提供することができる。また、膜を防水透湿膜にすれば防水性、透湿性に優れた戦闘雨衣用途に適用でき、蒸れ防止など快適性に優れた素材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は、本発明の迷彩加工布帛の一例を示す概略断面図である。
【図2】 この図は、本発明の迷彩加工布帛の迷彩柄の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1:プリントされた生地
2:樹脂膜
3:顔料(バインダー樹脂糊含む)
4:ライトグリーン部
5:ダークグリーン部
6;ブラウン部
7;ブラック部
Claims (6)
- 単繊維繊度5〜11デニールの合成繊維のブライト糸からなり、かつ、近赤外線透過率が50%以上である高透過性織物であって、構成繊維の内部が染料で着色されており、かつ、顔料と樹脂で該織物の表面または該織物を構成する織糸の表面が着色されてなり、かつ、該着色高透過性織物の近赤外反射率が5〜70%の範囲にあって、かつ、少なくとも4段階以上の多段階の迷彩色で構成された迷彩模様を有し、その裏面に、顔料および赤外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種を含有する低近赤外反射樹脂膜が形成されていることを特徴とする迷彩加工布帛。
- 該合成繊維が、ナイロンおよびポリエステルから選ばれた少なくとも1種からなるものである請求項1記載の迷彩加工布帛。
- 該合成繊維が、混繊糸および混紡糸から選ばれた少なくとも1種からなるものである請求項1または2記載の迷彩加工布帛。
- 該顔料および赤外線吸収剤が、ペリレンブラック顔料、酸化銅、酸化鉄、酸化マンガンから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の迷彩加工布帛。
- 該低近赤外反射樹脂膜が、近赤外線のうち600〜680nmの反射率が5〜25%であり、700〜760nmの反射率が15〜40%であり、1000〜1200nmの反射率が50〜70%であるものである請求項1〜4のいずれかに記載の迷彩加工布帛。
- 該低近赤外反射樹脂膜が、微多孔質ポリウレタンと無孔質透湿性ポリウレタン膜を積層してなる防水透湿膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の迷彩加工布帛。
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