JP4328139B2 - カメラの駆動機構及びステップモータの駆動方法 - Google Patents

カメラの駆動機構及びステップモータの駆動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、効率的に消費電力の低減を図ることができる小型ステップモータに関する。また、このステップモータを採用したカメラの駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラは電子化されており、絞りやシャッタの駆動等がステップモータによって行なわれるようになっている。そして、この種カメラでは、必要な時に絞り羽根やシャッタ羽根等の駆動部分を素早く駆動することができ、その一方でバッテリ消費を抑制できる構造を備えていることが望まれる。例えば、カメラのステップモータの駆動に関しては特許文献1がある。この特許文献1では、絞り開閉機構の最終停止位置の近くまで2相励磁方式により迅速に駆動し、その後の最終停止位置までの僅かな部分を1−2相励磁方式とするステップモータの駆動方法を提案している。この提案によると、所要の絞り値まで短時間で絞り込むことができるのでタイムラグの減縮が可能となり、完了時の絞り値の精度が向上する。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−18492号 公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1で開示する駆動方法は、従来の一般的なステップモータを用い、2相励磁で絞り開閉機構を駆動した場合の位置制御を精度良く行うための技術を提案するだけである。よって、先に指摘した、ステップモータの消費電力の低減に関しては検討がなされていない。また、この特許文献1で開示する駆動方法では、絞り開閉機構を駆動している最中にステップモータを2相励磁から1−2相励磁に切換えるので、そのためのデータ作成や制御系が複雑化してコスト増加を招来するという問題がある。
【0005】
よって、本発明は、上記課題を解決し、簡易な構造で省電力化を図ることができるステップモータを含むカメラの駆動機構を提供することを目的とする。また、電力消費を抑制できるステップモータの駆動方向も合わせて提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、4磁極を有するロータと、第1のコイルにより励磁される第1磁極と、第2のコイルにより励磁される第2磁極と、前記第1及び第2のコイルにより励磁される第3磁極とを含んだステータと、前記第1のコイル及び前記第2のコイルへ電流を供給する場合と前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれか一方に電流を供給する場合とを切換える電流供給切換手段とを備えたステップモータと、前記ステップモータにより、基板に形成した撮影用開口を閉じる位置と該撮影用開口を開く位置との間を移動されるセクタとを含み、前記電流供給切換手段により、前記セクタを前記閉じる位置とするときには前記第1のコイル及び前記第2のコイルへ電流を供給し、前記セクタを前記開く位置とするときには前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれか一方に電流を供給するカメラの駆動機構により達成される。
【0007】
本発明によると、電流供給切換手段により、第1のコイル及び第2のコイルへ電流を供給する2相励磁の場合と、第1のコイル及び第2のコイルのいずれか一方に電流を供給する1相励磁の場合とを切換えることができるので、ロータの駆動スピードを重視する形態と電力消費を重視する形態とを使い分けることができるカメラの駆動機構を提供できる。このカメラの駆動機構は、ロータの回転速度が要求されないときを利用して電力消費の抑制を図ることができる。
【0008】
前記ロータは円筒形状を有し、前記ステータは平面コ字形状を有し、該ステータは前記ロータの外周面に対向するように配置され、該ステータの両端部の各々に前記第1磁極及び前記第2磁極が設定され、該ステータの中央部位置に前記第3磁極が設定されている構造を一例として採用することができる。このような構造を備えることにより、ロータを位置精度よく停止し、また駆動させることができる。前記セクタとしてはシャッタ羽根を含むことができ、シャッタ羽根を閉じる時にはスピード重視で素早くシャッタを駆動し、シャッタ羽根を開く時には省エネ型でシャッタを相対的にゆっくり駆動するという構造を実現できる。
【0009】
また、本発明には、4磁極を有するロータと、第1のコイルにより励磁される第1磁極と、第2のコイルにより励磁される第2磁極と、前記第1及び第2のコイルにより励磁される第3磁極とを含んだステータとを含むステップモータの駆動方法であって、前記第1のコイル及び前記第2のコイルへ電流を供給する場合と、前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれか一方に電流を供給する場合とを、切換えて前記ロータを駆動するステップモータの駆動方法を含めることができる。この方法によると、必要なときにステップモータを省電力型で駆動することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る一実施形態を図面を参照して説明する。図1は実施形態に係るステップモータの主要部の構成を示した図である。本ステップモータ1は、中央に配置した両方向に回転可能なロータ2及びこのロータ2の外側に対向するように配置したステータ3を備えている。このロータ2は断面円形で円筒形状を成している。ステータ3は平面略コ字状で一体型に形成され、その内部空間にロータ2を収納する状態で配置されている。なお、図1ではステータ3のコ字の開放側が上向きとなる状態でステップモータ1を示している。
【0011】
ロータ2は、N磁極及びS磁極をそれぞれ2個ずつ備えた4磁極構成である。このロータ2は、同一磁極が互いに対向する位置に着磁された永久磁石であり、軸21回りに両方向へ回動自在に設定されている。上記コ字形状を有するステータ3の両端は、ロータ2の周面に対向するように形成されている。これらのそれぞれが第1磁極11、第2磁極12となる。そして、この第1磁極11及び第2磁極12の中間位置に第3磁極13が配置されている。
【0012】
上記第1磁極11と第3磁極13との間には第1のコイル4が、第2磁極12と第3磁極13との間には第2のコイル5が、それぞれ巻回されている。第1磁極11は第1のコイル4が通電されたときに励磁され、第2磁極12は第2のコイル5が通電されたときに励磁される。これに対して、第3磁極13は第1のコイル4及び第2のコイル5の両方によって励磁される。よって、第3磁極13の励磁状態は、第1のコイル4及び第2のコイル5への通電状態を組み合わせた状態が見た目の状態として現れる。
【0013】
本ステップモータ1は、電流供給切換手段としての電流制御回路25を含んでいる。この電流制御回路25から第1のコイル4及び第2のコイル5を励磁する電流が供給される。電流制御回路25は、第1のコイル4及び第2のコイル5に電流を供給して2相励磁を行なう場合と、第1のコイル4及び第2のコイル5の内のいずれか一方に電流を供給して1相励磁を行なう場合とを切換える電流切換機能を備えている。この切換え機能は、本ステップモータ1が適用されたカメラ等の電子機器側の要求信号に基づいて実行される。第1のコイル4及び第2のコイル5に電流を供給する2相励磁のパターンでは、第1磁極11及び第2磁極12が励磁されるのでロータ2に強い磁界を印加して早く回転させることができる。これとは反対に、コイル4、5の内のいずれか一方へ電流を供給する1相励磁のパターンでは、第1磁極11又は第2磁極12の一方が励磁されるので消費電力を抑制できる。この電流制御回路25により実行される2相励磁のパターンと1相励磁のパターンは、以下の通りである。
【0014】
2相励磁のパターンでは、電流制御回路25から第1のコイル4及び第2のコイル5の両コイルを励磁する電流が供給され、その電流供給方向をコイル毎に切換えることによりロータ2の駆動状態が制御される。このパターンでは、第1磁極11及び第2磁極12が、共に同じ磁極に励磁される状態と、互いに異なる磁極に励磁される状態とが存在する。このとき第3磁極13に結果として現れる磁界は、第1磁極11及び第2磁極12が共に同じ磁極に励磁された場合には、これらよりも強力なものとなる。その逆に、第1磁極11及び第2磁極12が互いに異なる磁極に励磁された場合には、第3磁極13での磁化は相殺されて無磁化状態となる。
【0015】
1相励磁のパターンでは、電流制御回路25から第1のコイル4又は第2のコイル5のいずれか一方を励磁する電流が供給され、その電流供給方向を切換えることによりロータ2の駆動状態が制御される。この1相励磁のパターンの場合には、第1磁極11側又は第2磁極12側のみが励磁され、電流供給方向を変更することにより反対の磁極に切換えられる。この1相励磁のパターンでの第3磁13は、励磁された第1磁極11又は第2磁極12の対極を成す磁極に励磁される。
【0016】
さらに、図2〜図4を参照して、本ステップモータ1のロータ2が回転する際の様子をより詳細に説明する。図2は、2相励磁パターンの場合であり、第1のコイル4及び第2のコイル5を励磁してロータ2を回転させた場合について示している。また、図3及び図4は、前述した1相励磁のパターンであり、第1のコイル4及び第2のコイル5の内、一方のみを励磁してロータ2を回転させた場合について示している。そして、特に図3は第1のコイル4を励磁した場合、図4は第2のコイル5を励磁した場合について示している。図2〜図4に示す各コイル4、5への電流供給は、図1に示した電流制御回路25により行なわれるが、これらの図では図示を省略している。また、図3及び図4では、理解を容易とするために通電されたコイルのみを図示している。
【0017】
図2を参照して、本ステップモータ1のロータ2が回転する際の様子を説明する。この図2は、前述した2相励磁のパターンについて示しており、第1のコイル4及び第2のコイル5を励磁して、ステップ角45°でロータ2を時計方向(右回転方向)に回転する場合を示している。図2(a)はコイル4、5が無通電である状態を示している。図2(b)から(e)では、コイル4、5へ供給する電流を制御してロータ2を時計方向に回転させる場合を時系列で示している。図2(a)は、コイル4、5に通電されておらず第1磁極11及び第2磁極12は励磁されないが、N、S磁極のそれぞれは第1、第2磁極11、12の対向位置に保持される。
【0018】
図2(b)は、図2(a)の状態から第1及び第2のコイル4、5に通電され、第1磁極11及び第2磁極12が共にS極に励磁された場合を示している。このとき第3磁極13ではN極が倍化して励磁される。つぎに示す、図2(c)では、図2(b)の状態から第1磁極11の励磁状態がS極に維持され、第2磁極12が逆のN極に励磁された場合を示している。このとき第3磁極13にはN極とS極が励磁されるので相殺し合って無磁化状態となる。以下同様に、図2(d)では、図2(c)の状態から第1磁極11及び第2磁極12が共にN極に励磁された場合を示している。このとき第3磁極13ではS極が倍化して励磁される。次に、図2(e)では、図2(d)の状態から第1磁極11の励磁状態がN極に維持され、第2磁極12が逆のS極に励磁された場合を示している。このとき第3磁極13にはN極とS極が励磁されるので相殺し合って無磁化状態となる。
【0019】
上記のように、ステータ3側の各磁極11〜13の磁化状態が順次変化するのに伴って、図示するようにロータ2が時計回転方向に45°ずつ回転する。なお、図2の各図では第1、第2のコイル4、5に通電が行なわれ、45°の回転が完了した位置にあるロータ2を示している。この図2で示す2層励磁のパターンでは、ロータ2に相対的に強い磁界を作用させることができるのでロータ2を高速で回転させることができ、また、上記のようにロータ2側の磁極を第1、第2磁極11、12の対向位置に精度よく位置決めできる。
【0020】
図3は第1のコイル4のみを励磁する1相励磁でロータ2を時計方向にステップ角90°回転させる場合を示している。図3(a)はコイル4、5が無通電である状態を示している。図3(b)から(e)では、コイル4に供給する電流を制御してロータ2を90°ずつ時計方向に回転させる場合を時系列で示している。図3の場合には、第1のコイル4に供給する電流を逆向きに切換えることで第1磁極11に発生させる磁極を反転させている。このとき第3磁極13に発生する磁極は、第1磁極とは反対の磁極となる。また、第2磁極12はコイルから励磁を受けないので、第3磁極13と一体の磁極となる。
【0021】
まず、図3(a)は、第1磁極11及び第2磁極12は励磁されおらず、図2(a)と同様であり、ロータ2のN、S磁極のそれぞれは、第1、第2磁極11、12の対向位置に保持される。次の図3(b)は、図3(a)の状態から第1のコイル4に通電がされ、第1磁極11がS極に励磁された場合を示している。このとき第3磁極13及び第2磁極はN極に励磁される。次に示す図3(c)では、図3(b)の状態から第1磁極11の励磁状態がN極に切換えられ、第3磁極13及び第2磁極12が逆のS極に励磁された場合を示している。以下同様に、図3(d)では、図3(c)の状態から第1磁極11が共にS極に励磁された場合を示している。このとき第3磁極13及び第2磁極12がN極に励磁される。次に、図3(e)では、図3(d)の状態から第1磁極11がN極に切換えられ、第3磁極13及び第2磁極12が逆のS極に励磁される。
【0022】
上記のように、ステータ3側の各磁極11〜13の磁化状態が順次変化するのに伴って、図示するようにロータ2が時計回転方向に90°ずつ回転する。なお、図3の各図では第1のコイル4に通電が行なわれ、90°の回転が完了した位置にあるロータ2を示している。この図3で示す1相励磁の場合は、図3(a)〜(e)で示す全ての状態で、ロータ2側の2磁界が第1磁極11及び第2磁極12にそれぞれ対向する位置となるので精度良い位置決めが実行できる。しかも、この図3で示す例では、第2のコイル5を休ませた状態でロータ2を時計方向に90°ずつ回転させるので、省電力によりロータ2を駆動できるという顕著なメリットがある。
【0023】
さらに、図4は一相励磁のもう1つのパターンであり、第2のコイル5のみを励磁してロータ2を反時計方向にステップ角90°回転させる場合を示している。この図4は、図3の場合とはちょうど逆の動作を示している。この図4で示す場合も、ステータ3側の各磁極11〜13の磁化状態が順次変化するのに伴って、図示するようにロータ2が反時計回転方向に90°ずつ回転する。そして、この図4で示す場合も、第1のコイル4を休ませた状態で省電力を図りつつ、ロータ2を精度良く停止させながら、反時計方向に回転させることができる。
【0024】
上記のように本ステップモータ1は、電流制御回路25による電流切換えにより、第1磁極及び第2磁極を2相励磁してロータ2との間に強い磁気的吸引力を発生させてロータ2を素早く駆動する場合と、第1磁極及び第2磁極の内のいずれか一方を1相励磁して省エネ型でロータ2を駆動する場合とを、切換えることができる。よって、このようなステップモータ1を例えばカメラ等の電子機器に適用すると精度良い駆動と、省電力化を図ることができる。
【0025】
なお、図5は、本ステップモータ1で用いるのに好ましい形状を備えたステータについて示した図である。この図5では、図1及び図2で示した部位と対応する部位に同一の符号を付している。ステータ3の第1磁極11及び第2磁極12は、図示を省略しているロータの周面に対向し、かつロータの長手方向での長さに対応するように縦長に形成されている。ステータ3は両側にアーム部31、32を備え、このアーム部31、32が基部35に接続されている。基部35の中央部には第3磁極13が形成されている。この第3磁極13も上記第1磁極11及び第2磁極12と同様の縦長形状に形成されている。
【0026】
本ステータ3は、上記アーム部31、32に第1〜第3磁極を励磁するためのコイル4、5が巻回される。これらコイル4、5を位置決めするため、各アーム部の後端には突部33、34が形成されている。このように突部33、34を設けることにより、各アーム部31、32に巻回したコイル4、5を確実に位置決めできる構造が実現される。なお、各磁極11〜13の上部には凹部37〜39が形成されている。本実施形態で示すステップモータ1は、その上下に図示しないケースがセットされてモジュール化される。これら凹部37〜39はケースをセットする際の位置決めに用いられる。
【0027】
さらに、以下において図6から図9を参照して、上記ステップモータ1をカメラのシャッタ駆動部に採用して駆動機構を構成した一例を説明する。カメラの場合は、シャッタチャンスを逃すことが無い様にシャッタ羽根を閉じるときは素早くステップモータが駆動されることが望まれる。その一方で、シャッタ羽根を戻すときにはスピードは要求されない。そこで、この駆動機構では上記ステップモータ1を用いて、シャータを閉じる時には2相励磁で素早く駆動し、シャッタを戻す時には1相励磁で相対的にゆっくりと戻す駆動を行って消費電化を図る。
【0028】
図6(A)は、シャッタ基板50に対してステップモータ1を配置した様子を平面視で模式的に示した図である。シャッタ基板50は、後述するように撮影用のレンズ開口51を備えている。シャッタ基板50の前面側には3枚のセクタ60、65、70が基板面に沿うように配置されている。これらのセクタは、シャッタ基板50側から第1シャッタ羽根60、第2シャッタ羽根65、絞り羽根70である。シャッタ基板50の背面側にはステップモータ1が配置されている。
【0029】
この図6(A)では穴の位置は確認できないが、第1シャッタ羽根60は基板50に設けた突起61に係合する穴、及びロータ2から延びた係合ピン27に係合する穴を備えている。同様に、第2シャッタ羽根65は基板50に設けた突起66に嵌合する穴、及びロータ2から延びた係合ピン27に係合する穴を備えている。また、絞り羽根70は基板50に設けた突起71に係合する穴、及びロータ2から延びた係合ピン27に係合する穴を備えている。これら第1シャッタ羽根60、第2シャッタ羽根65及び絞り羽根70は、後述する係合ピン27の回動動作に伴って、それぞれが独自の軌跡を描いて揺動する。
【0030】
基板50背面側に配置しているステップモータ1のロータ2には、半径方向に延出したアーム部26が接続されている。このアーム部26の端部からはシャッタ基板50側に設けた開口55を通り反対側まで延在した係合ピン27が接続されている。前面側に出たこの係合ピン27に、前記第1シャッタ羽根60、第2シャッタ羽根65及び絞り羽根70のそれぞれに設けた穴が係合している。よって、ステップモータ1のロータ2が回動したときには、係合ピン27がこれに連動して回動し、さらに前記第1シャッタ羽根60、第2シャッタ羽根65及び絞り羽根70が所定の軌跡で揺動する。
【0031】
なお、図6(B)は、上記係合ピン27の移動軌跡CRについて示した図である。係合ピン27はロータ2回転に伴い360°の回転が可能であるが、基板50に形成された開口55は扇型であり、また、アーム26の移動を規制する部材29が配置されている。よって、本例では係合ピン27は所定範囲RE内を回動するように設定されている。
【0032】
上記のような構成を有するシャッタ部の駆動機構を、動作させた場合を図7及び図8を参照して説明する。図7は、基板50に設けた撮影用のレンズ開口51を全開とした状態を示している。図8は、基板50に設けた撮影用のレンズ開口51を全閉とした状態を示している。
【0033】
本駆動機構では、図7に示した開の状態から、図8に示した閉の状態に駆動する際にはステップモータ1の電流制御回路25がコイル4,5を2相励磁するので素早くシャッタ羽根を閉じることができる。その逆に、図8に示した閉の状態から、図7に示した開の状態に駆動する際には電流制御回路25がコイル4,5のいずれか一方を1相励磁してシャッタ羽根を駆動する。この場合には、シャッタ羽根の動きは相対的に遅くなるが、撮影に影響がないので電力消費の抑制を図っている。なお、電流制御回路25は、図示しないカメラ側の制御回路から供給されるシャッタ駆動信号に基づいて駆動されている。
【0034】
図9は、シャッタを駆動するステップモータのコイルのパルス波形とシャッタ羽根の開閉状態との関係を示した図である。ここでは、比較のためステップモータ1を従来型で駆動した場合を左に、本実施形態による省電力型で駆動した場合を右に示している。従来のステップモータの場合には、図9左に示すように、2相励磁でシャッタ羽根を閉じた場合には、これを開く時にも2相励磁により駆動される。すなわち、シャッタ羽根を閉じるときには第1コイル及び第2コイルを共にHとして高速でシャッタ羽根を閉じる。シャッタ羽根を開くときも、第1コイル及び第2コイルを共にLとしてシャッタ羽根を開く。ただし、シャッタ羽根を開くときには起動時に羽根を痛めないようにするため、最初は片側のコイルに逆向きHへの通電を行なった後に、シャッタ羽根を開く方向Lへの通電を行なっている。いずれにしろ、シャッタ羽根を開とするときにも、2相励磁が採用されている。
【0035】
これに対して、右に示す省電力型はシャッタ羽根を閉じるときには第1コイル及び第2コイルを共にHとして高速でシャッタ羽根を閉じる。しかし、シャッタ羽根を開くときには、第2コイルのみを1相励磁してシャッタ羽根を開く。このように、前述したステップモータ1を採用したこのシャッタ駆動機構は、スピードが要求されるときのロータ2の速い動作と、スピードが要求されないときに電力消費の抑制を重視した動作とを切換えることができる。よって、カメラに求められるシャッタ速度を維持しつつ、電力消費の抑制を図ることできる駆動機構となる。なお、図7及び図8では、シャッタ羽根と共に絞り羽根をセクタとして駆動する場合を例示したが、シャッタ羽根のみを駆動することももちろん可能である。また、図9では、左側を従来型として説明したが、本駆動機構では必要によりこの従来型での駆動を行なうことも可能である。また、図9右側の省電力型では第1コイルを非通電としているが、この逆としてもよいことは言うまでもない。
【0036】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電流供給切換手段により、2相励磁の場合と、1相励磁の場合とを切換えることができるので、ロータの駆動スピードを重視する形態と電力消費を重視する形態とを使い分けることができるカメラの駆動機構として提供できる。このようなカメラの駆動機構は、ロータの回転速度が要求されないときを利用して電力消費の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るステップモータの主要部の構成を示した図である。
【図2】実施形態に係るステップモータのロータが2相励磁で回転される場合について示した図である。
【図3】実施形態に係るステップモータのロータが1相励磁で時計方向に回転される場合について示した図である。
【図4】実施形態に係るステップモータのロータが1相励磁で反時計方向に回転される場合について示した図である。
【図5】ステップモータで用いるのに好ましい形状を備えたステータについて示した図である。
【図6】(A)はシャッタ基板に対して図1のステップモータを配置した様子を平面視で模式的に示した図である。(B)は上記係合ピンの移動軌跡CRについて示した図である。
【図7】基板に設けた撮影用のレンズ開口を全開とした状態について示した図である。
【図8】基板に設けた撮影用のレンズ開口を全閉とした状態について示した図である。
【図9】シャッタを駆動するステップモータのコイルのパルス波形とシャッタ羽根の開閉状態との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 ステップモータ
2 ロータ
3 ステータ
4 第1のコイル
5 第2のコイル
11 第1磁極
12 第2磁極
13 第3磁極
25 電流制御回路
60 第1シャッタ羽根
65 第2シャッタ羽根

Claims (4)

  1. 4磁極を有するロータと、第1のコイルにより励磁される第1磁極と、第2のコイルにより励磁される第2磁極と、前記第1及び第2のコイルにより励磁される第3磁極とを含んだステータと、前記第1のコイル及び前記第2のコイルへ電流を供給する場合と前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれか一方に電流を供給する場合とを切換える電流供給切換手段とを備えたステップモータと、
    前記ステップモータにより、基板に形成した撮影用開口を閉じる位置と該撮影用開口を開く位置との間を移動されるセクタとを含み、
    前記電流供給切換手段により、前記セクタを前記閉じる位置とするときには前記第1のコイル及び前記第2のコイルへ電流を1パルス供給し、前記セクタを前記開く位置とするときには前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれか一方に電流を1パルス供給するようにし、
    前記第1のコイル及び前記第2のコイルへ1パルス電流を供給する場合での前記ロータのステップ角は、前記前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれか一方に1パルス電流を供給する場合でのステップ角よりも小さいことを特徴とするカメラの駆動機構。
  2. 前記ロータは円筒形状を有し、前記ステータは断面コ字形状を有し、該ステータは前記ロータの外周面に対向するように配置され、該ステータの両端部の各々に前記第1磁極及び前記第2磁極が設定され、該ステータの中央部位置に前記第3磁極が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラの駆動機構。
  3. 前記セクタはシャッタ羽根を含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラの駆動機構。
  4. 4磁極を有するロータと、第1のコイルにより励磁される第1磁極と、第2のコイルにより励磁される第2磁極と、前記第1及び第2のコイルにより励磁される第3磁極とを含んだステータとを含むステップモータの駆動方法であって、
    前記第1のコイル及び前記第2のコイルへ電流を1パルス供給する場合と、前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれか一方に電流を1パルス供給する場合とを、切換えて前記ロータを駆動し、
    前記第1のコイル及び前記第2のコイルへ1パルス電流を供給する場合での前記ロータのステップ角は、前記前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれか一方に1パルス電流を供給する場合でのステップ角よりも小さいことを特徴とするステップモータの駆動方法。
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