JP4034401B2 - ムービングマグネット型モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転子を所定の回転角度範囲においてだけ往復作動させるようにした、一般に、ムービングマグネット型モータと称されているモータに関するものであって、特に、2極に着磁された永久磁石製の回転子を複数個設けるようにしたムービングマグネット型モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ムービングマグネット型モータは、一般のモータのように回転子が1回転できず、固定子のコイルに対して所定の方向に通電すると、回転子が、所定の角度だけ正方向へ回転し、逆方向へ通電すると、所定の角度だけ逆方向へ回転するモータであって、その回転によって、回転子と一体的に回転する出力ピンが被駆動部材を駆動するものであるため、一般的にステッピングモータなどに比較して制御系が非常に簡単になり、しかも低コスト化と小型化が容易であるという特徴がある反面、起動性や駆動力はステッピングモータより劣るし、複雑な回転制御を行わせることもできないため、自ずとその利用範囲は制限されることになる。そのため、この種のモータは、精密機器,ゲーム機,制御機器,施錠装置など、比較的コンパクトに纏めなければならない機器を構成している部品であって且つ負荷の小さな部品に対して、単純な作動を行わせるためのアクチュエータとして適しているものである。
【0003】
そして、このムービングマグネット型モータの構成としては、大きく分けて二つのタイプのものが知られている。その一つは、固定子のコイルが、回転子の二つの軸受け部を囲むようにして、即ち回転子の回転面に直交するようにして回転子の周りに環状に巻回したものであり、もう一つは、固定子の磁極部材にコイルを巻回し、その磁極部材の磁極部を回転子の周面に対向させるように配置したものである。従って、後者の構成は、前者の構成に比較して、回転子の回転軸と直交する面におけるスペースは不利になるが、回転子の軸方向におけるスペースでは有利になり、全体として偏平な構成になる。本発明のムービングマグネット型モータの構成は、上記のうち後者のタイプに属するものであり、特に、夫々コイルを巻回した二組の磁極部材を設けていて、それらの磁極部を、回転子を間にして挟むように配置したムービングマグネット型モータの関連構成に関するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したように、ムービングマグネット型モータの問題点の一つは、ステッピングモータのような大きな起動性や駆動力が得にくいことである。そのため、被駆動部材が近接位置に複数あり、一つのモータだけではそれらを同時に駆動することができない場合や、被駆動部材を所望の高速で駆動できない場合には、モータを複数個設け、それらの被駆動部材を分担して同時に駆動させるようにしたい場合がある。また、近接位置にある複数の被駆動部材を、複数のモータを設けることによって、互いに逆方向へ同時に駆動したい場合もある。また、そのようにして複数のモータを設けた場合には、異なる被駆動部材を順に駆動させることも可能になる。
【0005】
しかしながら、上記したように、二組の磁極部材によって回転子を挟むようにした構成のムービングマグネット型モータの場合には、二つ以上のモータを、同一平面上に近接させて設けようとすると、配置上の制約を大きく受けることになってしまい、設計上の自由度が大きく損なわれてしまうという問題点がある。また、その制約を克服するために被駆動部材側の構成を変更しようとすると、その構成が複雑化したり大型化して、規格に合わなくなったりコスト高を招いてしまうほか、負荷が大きくなってモータを複数にした意味が半減してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、一体的に構成した出力ピンを所定の角度だけ往復回転させる回転子を複数個と、コイルを巻回した磁極部材を回転子の数よりも一つ多く設けていて、各回転子は、異なる組合せの二つの磁極部材によって挟まれるようにして配置され、且つそれらの回転子は、同時に又は個々に、同一方向又は異なる方向へ回転されるようにした構成のムービングマグネット型モータを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のムービングマグネット型モータは、夫々に一体的に回転する出力ピンが設けられていて所定の間隔を空けて1列に配置されている複数の2極に着磁された回転子と、前記回転子間と前記列の両端に一つずつ配置されていて夫々が前記回転子の周面に対向させる磁極部を形成しており前記回転子間に配置されたものには両側に形成された磁極部の間に一つの巻き芯部が立設され前記列の両端に配置されたものには夫々一つの巻き芯部が立設されている複数の磁極部材と、前記各巻き芯部に巻回されていて前記各回転子の両側に配置された前記各磁極部材の磁極部が異極となり前記回転子間に配置された前記磁極部材の二つの磁極部が同一極となるようにして通電される複数のコイルとを備えていて、前記各回転子は、その両側に配置された前記各コイルに、所定の方向へ通電したときには正方向へ、それとは逆方向へ通電したときには逆方向へ、夫々所定の角度だけ回転されるようにする
の場合、好ましくは、前記巻き芯部のうち少なくとも二つの巻き芯部が、前記各磁極部側とは反対側で磁性体の連結部材によって連結されているようにする。
また、本発明のムービングマグネット型モータにおいては、好ましくは、前記複数のコイルが個別に電源接続されていて、任意の回転子を任意のときに動作させ得るようにする。
又は、前記複数のコイルのうち所定の複数のコイルが共通に電源接続されていて、それらによって回転される回転子を動作させてから他の回転子を動作させ得るようにする。
又は、前記複数のコイルが共通に電源接続されていて、全ての回転子を常に同時に動作させ得るようにする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、六つの実施例と、それらの変形例,応用例について、夫々図面を用いて説明する。尚、これらの実施例,変形例,応用例として示した構成は、共通する構成部分が多く、また回転子の配置関係や着磁関係が異なるだけのものもあるので、同一の部材,部位、類似の部材,部位には共通の符号を用いて説明する。
【0009】
〔第1実施例〕
第1実施例を、図1〜図3を用いて説明する。図1は本実施例の透視平面図であり、図2はその横断面図であって、図3は作動説明図である。先ず、本実施例の構成から説明する。地板1とカバー板2は、いずれも合成樹脂製であって、両者は二つのビス3,4によって固定され、それらの間にモータ室を形成している。地板1とカバー板2によって軸受けされている二つの回転子5,6には、夫々出力ピン7,8が設けられていて、それらの出力ピン7,8は、地板1に形成された窓部1a,1bからモータ室外へ伸長し、図示していない被駆動部材を作動させるようになっている。また、回転子5,6と出力ピン7,8は、磁性体の粒子と樹脂材料を混合し、一体成形にて製作したものであって、成形後に2極に着磁したものであるが、周知のように出力ピン7,8を別の材料で製作し、回転子5,6と一体化させるようにしても差し支えない。このことは、後述する各実施例,各変形例,各応用例の場合も同様である。
【0010】
磁極部材9,10,11は、いずれも板材で製作されており、夫々に形成された二つの孔を、地板1に設けられたピン1c,1d、1e,1f、1g,1hに嵌合させて、位置決めされている。これらのうち、磁極部材9には、その一部を折り曲げて磁極部9aと巻き芯部9bが形成されていて、磁極部9aを回転子5の周面に対向させ、巻き芯部9bには、コイル12を巻回したボビン13を嵌合させている。また、磁極部材10には、その一部を折り曲げて磁極部10a,10bと巻き芯部10cが形成されていて、磁極部10aを回転子5の周面に且つ磁極部10bを回転子6の周面に夫々対向させ、巻き芯部10cには、コイル14を巻回したボビン15を嵌合させている。更に、磁極部材11には、磁極部材9と同様にして、磁極部11aと巻き芯部11bが形成されていて、磁極部11aを回転子6の周面に対向させ、巻き芯部11bには、コイル16を巻回したボビン17を嵌合させている。そして、上記した各コイル12,14,16の端子は、夫々個別に電源接続されていて、通電・遮断の制御や通電方向の制御を独立して行えるようになっている。
【0011】
そこで、図3を用い、本実施例の作動を説明する。尚、図3に示している各部材,部位の符号は、図3(a)においてのみ付けてあり、他図においては省略してある。先ず、図3(a)は、本実施例の初期状態を示したものであり、各ボビン13,15,17に巻回されたコイル12,14,16は、いずれも非通電状態にある。しかし、回転子5,6は、この状態を安定的に維持されている。即ち、この状態において、回転子5の周面に対する磁極部9aの対向面積は、N極よりもS極の方が大きい。他方、回転子5の周面に対する磁極部10aの対向面積は、S極よりもN極の方が大きい。そのため、回転子5には、自己の磁力によって時計方向への回転力が付勢されていることになる。しかし、図1から分かるように、この状態においては、出力ピン7が地板1の窓部1aの縁に当接して、その回転を抑制され、その位置が維持されているわけである。そして、他方の回転子6の位置も、これに準じた理由により維持されていることになる。
【0012】
このような初期状態において、コイル12,14に対し、図3(b)に示す方向の通電を行うと、磁極部9aがS極に、磁極部10aがN極になり、磁極部9aと回転子5のN極との間、及び磁極部10aと回転子5のS極の間に、夫々吸引力が働き(このとき、磁極部9aと回転子5のS極との間、及び磁極部10aと回転子5のN極の間に、夫々反発力が働くが、説明が冗長になるので、以後の同様な説明箇所においては、反発力については省略して説明することにする)、回転子5は反時計方向へ回転する。そして、出力ピン7が窓部1a(図1)の縁に当接して停止した状態が図3(b)に示されている。尚、このとき、磁極部材10のもう一つの磁極部10bもN極となるため、他方の回転子6は反時計方向へ付勢されるが、回転子6のS極と磁極部11aとの間に働く吸引力と、出力ピン8によって作動される被駆動部材の摩擦抵抗力によって、実際には回転されることはない。但し、設定条件次第では、回転子6が反時計方向へ回転してしまうこともあるので、その場合には、コイル16にも通電し、磁極部11aをN極にして、その回転を阻止することになる。
【0013】
その後、コイル12に対する通電を断ち、コイル16に対して図3(c)に示す方向の通電を行うと、磁極部11aがS極になり、磁極部10bと回転子6のS極との間、及び磁極部11aと回転子6のN極の間に吸引力が働き、回転子6は反時計方向へ回転する。そして、出力ピン8が窓部1b(図1)の縁に当接して停止した状態が図3(c)に示されている。尚、この作動時においては、磁極部10aがN極のままであるから、回転子5のS極と磁極部10aとの間には強力な吸引力が作用しており、回転子5の位置は確実に維持されている。
【0014】
上記のような図3(c)の状態になった後、三つのコイル12,14,16の全てに通電された状態が図3(d)に示されている。この状態においては、コイル12には、図3(b)に示した場合とは逆方向に通電され、また、コイル14,16には、図3(c)に示した場合とは逆方向に通電されている。そのため、磁極部9aはN極に、磁極部10a,10bはS極に、磁極部11aはN極になっている。従って、これまで説明した作動原理に準じて、二つの回転子5,6は同時に時計方向へ回転して初期位置に復帰する。そして、各コイル12,14,16に対する通電が断たれた状態が図3(e)に示されていて、この状態は図3(a)に示されている初期状態と同じということになる。
【0015】
尚、上記の作動説明においては、先ず回転子5を回転させてから回転子6を回転させるようにしているが、最初に図3(c)に示した通電状態にしてから図3(b)に示した通電状態にすれば、先ず回転子6を回転させてから、次に回転子5を回転させるようにできることは言うまでもない。また、上記の作動説明においては、図3(c)に示した状態から、回転子5,6を同時に時計方向へ回転させているが、それらを順に回転させることも可能である。更に、図3(b)の状態から回転子5を初期位置に復帰させた後、回転子6を往復作動させることも可能であり、その逆の順序で作動させることも可能である。要するに、本実施例は回転子5,6を個別に作動させることができるものであって、それらの作動については種々のシーケンスが可能になっている。
【0016】
次に、図4を用いて、上記した第1実施例の第1変形例を説明する。この変形例は、構造上は、図1及び図2に示した第1実施例の場合と全く同じである。そのため、図4(a)に示した部材,部位には、図3(a)の場合と同じ符号を付けてある。そして、この変形例が、上記した第1実施例と異なる点は、三つのコイル12,14,16に対する配線の仕方にある。即ち、上記した図3の場合には、各コイル12,14,16の端子は、夫々個別に電源接続されていて、通電・遮断の制御や通電方向の制御を独立して行えるようにしていたが、この変形例においては、コイル16の端子だけが個別に電源接続されていて、コイル12,14は相互に接続した後に電源接続されている。
【0017】
そこで、この第1変形例の作動を説明する。図4(a)は初期状態を示したものである。従って、コイル12,14,16は、いずれも非通電状態であるが、回転子5,6は、上記の図3(a)に示した場合と同じようにして、その状態を確実に維持されている。この初期状態において、共通接続されているコイル12,14に対し、図4(b)に示す方向の通電を行うと、磁極部9aがS極に、磁極部10a,10bがN極になり、磁極部9aと回転子5のN極との間、及び磁極部10aと回転子5のS極の間に、夫々吸引力が働き、回転子5は反時計方向へ回転する。そして、停止した状態が図4(b)に示されている。このとき、回転子6は回転しないが、場合によってはコイル16にも通電し、磁極部11aをN極にすることによって、確実に回転させないようにしてもよいことは第1実施例の場合と同じである。
【0018】
その後、コイル16に対して図4(c)に示す方向の通電を行うと、磁極部11aがS極になって、磁極部10bと回転子6のS極との間、及び磁極部11aと回転子6のN極の間に吸引力が働き、回転子6は反時計方向へ回転する。そして、停止した状態が図4(c)に示された状態である。その後、コイル12,14,16への通電方向が逆方向にされた状態が図4(d)に示されている。そのため、磁極部9aはN極に、磁極部10a,10bはS極に、磁極部11aはN極になり、二つの回転子5,6は同時に時計方向へ回転して初期位置に復帰する。そして、図4(e)に示すように、各コイル12,14,16に対する通電が断たれて初期状態となる。
【0019】
尚、この変形例においては、図4(a)の初期状態から、先に回転子6を回転させ、次に回転子5を回転させるようにすることはできないが、同時に回転させることは可能である。また、図4(c)の状態から、回転子5を最初に初期位置へ復帰させ、次に回転子6を復帰させることはできないが、逆の場合は可能である。そのようにしたい場合には、図4(c)の状態において、コイル12,14への通電を断ち、コイル16に対する通電方向を逆にすれば、先ず回転子6が初期位置へ復帰し、その後、コイル12,14へ、図4(d)に示すように通電すれば、回転子5が復帰することになる。
【0020】
次に、図5を用いて、第1実施例の第2変形例を説明する。この変形例も、構造上は、図1及び図2に示した第1実施例の場合と同じである。そのため、図5(a)に示した部材,部位には、図3(a)の場合と同じ符号を付けてある。そして、この変形例は、三つのコイル12,14,16に対する配線の仕方が、上記した第1実施例及び第1変形例の場合と異っている。即ち、この第2変形例の場合には、コイル12,14,16の端子は、全て共通に電源接続されている。そのため、個々には通電方向を変えることができないようになっている。
【0021】
そこで、この第2変形例の作動を説明する。図5(a)は初期状態であって、コイル12,14,16は非通電状態であり、回転子5,6は、自己の磁力によって、この状態を確実に維持されている。この初期状態において、コイル12,14,16に対し、図5(b)に示す方向の通電を行うと、磁極部9aがS極に、磁極部10a,10bがN極になり、磁極部11aがS極になる。そのため、磁極部9aと回転子5のN極との間、及び磁極部10aと回転子5のS極の間に、夫々吸引力が働き、回転子5は反時計方向へ回転する。また、磁極部10bと回転子6のS極との間、及び磁極部11aと回転子6のN極の間に、夫々吸引力が働き、回転子6も反時計方向へ回転する。そして、停止した状態が図5(c)に示されている。
【0022】
その後、図5(d)に示すように、コイル12,14,16に対して逆方向の通電を行うと、磁極部9aがN極に、磁極部10a,10bがS極になり、磁極部11aがN極になる。そのため、磁極部9aと回転子5のS極との間、及び磁極部10aと回転子5のN極の間に、夫々吸引力が働き、回転子5は時計方向へ回転する。また、磁極部10bと回転子6のN極との間、及び磁極部11aと回転子6のS極の間に、夫々吸引力が働き、回転子6も時計方向へ回転する。そして、停止後、通電を断った状態が図5(e)に示されており、初期状態に復帰したことになる。
【0023】
〔第2実施例〕
次に、第2実施例を、図6及び図7を用いて説明する。図6は本実施例の透視平面図であり、図7はその横断面図であるが、その殆どの構成は、図1及び図2に示した第1実施例の構成と同じであるから、同じ部材,同じ部位には同じ符号を付けて説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。本実施例は、磁性体材料からなる連結部材18を設けている点で、第1実施例の構成と異なっている。この連結部材18はカバー板2の外側に配置されていて、その両端を折り曲げて形成した巻き芯部18a,18bは、カバー板2に形成されている孔を貫通して、モータ室内に伸びている。そして、巻き芯部18aは、磁極部材9の巻き芯部9bと重ね合わされ、そこにボビン13を嵌装しており、他方、巻き芯部18bは、磁極部材10の巻き芯部10cと重ね合わされ、そこにボビン15を嵌装している。
【0024】
本実施例はこのように構成されているから、コイル12,14の通電によって励起された固定子側の磁束が、永久磁石製の回転子5に効率よく働き、第1実施例の場合よりも回転子5の駆動力が一段と良好になる。そのため、本実施例のように構成した場合には、二つの回転子5,6によって、夫々、負荷の異なる二つの被駆動部材を同じ速度で駆動させる場合とか、同一負荷の二つの被駆動部材を異なる速度で駆動させる場合などに用いると好適である。尚、言うまでもなく、本実施例のコイル12,14,16の場合にも、図3〜図5に示したような各電気的接続方法を、選択して採用することが可能である。そして、各接続状態における回転子5,6の作動方法は、図3〜図5に基づいて、上記したのと同じであるから、重複を避けるために、その説明を省略する。
【0025】
〔第3実施例〕
次に、第3実施例を、図8及び図9を用いて説明する。図8は本実施例の透視平面図であり、図9はその横断面図である。しかし、その殆どの構成は、図1及び図2に示した第1実施例の構成と同じであるから、同じ部材,同じ部位には同じ符号を付けて説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。本実施例は、第2実施例の場合と同様に、磁性体材料からなる連結部材を設けている点で、第1実施例の構成と異なっている。しかし、本実施例における連結部材19は、第2実施例における連結部材18と異なり、折り曲げて形成した三つの巻き芯部19a,19b,19cを有していて、巻き芯部19aは、磁極部材9の巻き芯部9bと重ね合わされ、そこにボビン13を嵌装し、また、巻き芯部19bは、磁極部材10の巻き芯部10cと重ね合わされ、そこにボビン15を嵌装しており、更に、巻き芯部19cは、磁極部材11の巻き芯部11bと重ね合わされ、そこにボビン17を嵌装している。
【0026】
本実施例はこのように構成されているから、コイル12,14,16の通電によって励起された固定子側の磁束が、永久磁石製の回転子5,6に効率よく働き、第1実施例の場合よりも回転子5,6の駆動力が一段と良好になる。そのため、ステッピングモータなどに比べて駆動力の点で劣っていたムービングマグネット型モータの利用範囲が、これまでよりも広くなる。尚、第2実施例の場合と同様に、本実施例のコイル12,14,16の場合にも、図3〜図5に示したような各電気的接続方法を、選択して採用することが可能である。また、各接続状態における回転子5,6の作動方法も、図3〜図5に基づいて説明した場合と同じであるから、その説明を省略する。
【0027】
〔第4実施例〕
次に、第4実施例を、図10を用いて説明する。本実施例の構成は、回転子6の2極の着磁関係が逆になっていて、図10(a)に示した初期状態においては、反時計方向へ回転した位置になっているほかは、図1及び図2に示した第1実施例の構成と全く同じである。そのため、それらの詳細な図示と説明を省略する。また、図10(a)に示した部材,部位には、上記した構成の違いがあるとはいえ、特に問題が起きないので、図3(a)の場合と同じ符号を付けてある。
【0028】
そこで、本実施例の作動を説明する。図10(a)は、初期状態を示したものであって、コイル12,14,16は、いずれも非通電状態にある。しかし、回転子5,6は、これまでの説明から理解されるように、自己の磁力によって、この状態を維持されている。この初期状態において、コイル12,14に対し、図10(b)に示すようにして、各々の所定の方向への通電を行うと、磁極部9aがS極に、磁極部10aがN極になり、磁極部9aと回転子5のN極との間、及び磁極部10aと回転子5のS極の間に、夫々吸引力が働き、回転子5は反時計方向へ回転する。そして、出力ピン7が窓部1a(図1)の縁に当接して停止した状態が図10(b)に示した状態である。このとき、第1実施例の場合に説明したように、回転子6は回転しないが、場合によってはコイル16にも通電し、磁極部11aをN極にすることによって、確実に回転しないようにしても差し支えない。
【0029】
その後、コイル12に対する通電を断ち、コイル16に対して図10(c)に示す方向の通電を行うと、磁極部11aがS極になり、磁極部10bと回転子6のS極との間、及び磁極部11aと回転子6のN極の間に吸引力が働き、回転子6は時計方向へ回転する。そして、出力ピン8が窓部1b(図1)の縁に当接して停止する。そのときの回転子5,6の回転位置が図10(c)に示されている。その後、図10(d)に示されているように、コイル12には、図10(b)に示した場合とは逆方向に通電され、また、コイル14,16には、図10(c)に示した場合とは逆方向に通電されると、磁極部9aはN極に、磁極部10a,10bはS極に、磁極部11aはN極になり、回転子5は時計方向に、回転子6は反時計方向に、同時に回転して初期位置に復帰する。そして、図10(e)に示すように、全てのコイル12,14,16に対する通電が断たれ、初期状態と同じになる。
【0030】
尚、本実施例の場合にも、コイル12,14,16の配線の仕方は、第1実施例の場合と同じであるから、回転子5,6を個別に作動させることができ、第1実施例の説明で述べたような種々のシーケンスで回転子5,6を作動させることが可能である。また、上記した第2実施例及び第3実施例の構成においても、配線の仕方が同じであれば、このような種々の作動を行わせることができることは言うまでもない。
【0031】
次に、図11を用いて、第4実施例の第1変形例を説明する。この変形例は、構造上は、第4実施例の場合と全く同じであるため、図11(a)に示した部材,部位には、図10(a)の場合と同じ符号を付けてある。そして、この第1変形例が第4実施例と異なる点は、三つのコイル12,14,16に対する配線の仕方にあって、上記した第1実施例の第1変形例の場合と全く同じ配線の仕方になっていることである。
【0032】
そこで、本第1変形例の作動を簡単に説明する。図11(a)の初期状態において、共通接続されているコイル12,14に対し、図11(b)に示しているような方向への通電を行うと、磁極部9aがS極に、磁極部10a,10bがN極になり、回転子5は反時計方向へ回転する。そして、回転子5の停止した状態が図11(b)に示されている。このとき、回転子6は回転しないが、場合によってはコイル16にも通電し、磁極部11aをN極にすることによって、確実に回転させないようにしてもよい。
【0033】
その後、コイル16に対して図11(c)に示す方向の通電を行うと、磁極部11aがS極になって、回転子6は時計方向へ回転する。そして、回転子6の停止した状態が図11(c)に示された状態である。その後、コイル12,14,16への通電が逆方向に行われた状態が図11(d)に示されている。そのため、磁極部9aはN極に、磁極部10a,10bはS極に、磁極部11aはN極になり、回転子5は時計方向に、回転子6は反時計方向に同時に回転して初期位置に復帰する。そして、図11(e)に示すように、全ての通電が断たれて初期状態と同じになる。尚、この変形例の作動のシーケンスは、このほかにも可能であることは言うまでもない。
【0034】
次に、図12を用いて、第4実施例の第2変形例を説明する。この変形例も、構造上は第4実施例の場合と全く同じであるため、図12(a)に示した部材,部位には、図10(a)の場合と同じ符号を付けてある。そして、この第2変形例が上記した第4実施例及びその第1変形例と異なる点は、三つのコイル12,14,16に対する配線の仕方にあり、上記した第1実施例の第2変形例の場合と全く同じ配線の仕方になっていることである。
【0035】
そこで、この第2変形例の作動を簡単に説明する。図12(a)は初期状態であって、この状態において、コイル12,14,16に対し、図12(b)に示す方向の通電を行うと、磁極部9aがS極に、磁極部10a,10bがN極になり、磁極部11aがS極になる。そのため、回転子5は反時計方向へ、回転子6は時計方向へ、同時に回転する。そして、回転子5,6が共に停止した状態が図12(c)に示されている。その後、図12(d)に示すように、コイル12,14,16に対して逆方向の通電を行うと、磁極部9aがN極に、磁極部10a,10bがS極になり、磁極部11aがN極になる。そのため、回転子5は時計方向へ、回転子6は反時計方向へ回転する。そして、停止後、通電を断った状態が図12(e)に示されており、初期状態と同じになる。
【0036】
このように、この変形例においては、二つの出力ピン7,8が向かい合うようにして配置されており、しかも図12において上下方向へ同時に作動するようになっているので、二つの出力ピン7,8が共同して被駆動部材を駆動させるようにした場合には、従来のように、ムービングマグネット型モータであるが故に成し得なかった高速作動が可能になる。また、複数の被駆動部材を同時に駆動するような場合には、二つの出力ピン7,8が、それらを分担して駆動させ、高速化を図るようにすることも可能になる。
【0037】
そこで、次に、このような第2変形例の応用例を、図13を用いて説明する。図13は、カメラ用シャッタに応用した場合を示したものであって、各部材の詳細な取り付け構成については省略し、簡略的に示したものである。先ず、その構成から説明する。地板21の中央部には、円形をした露光用の開口部21aが形成されている。上記の図12に示したモータ構成は、この応用例においては、地板21の表面側に、開口部21aを囲むようにして、円弧状に配置されている。従って、それらのモータ構成については、図12(a)に示した符号と同じ符号を付け、説明を省略する。また、図13においては図示を省略してあるが、地板21には、図1及び図2に示された窓部1a,1bと同様な二つの窓部が形成されていて、出力ピン7,8が、地板21の背面側に突き出ている。更に、地板21の背面側に設けられた軸21bには、二つのシャッタ羽根22,23が回転可能に取り付けられていて、それらに形成された長孔22a,23aには、上記の出力ピン7,8が嵌合している。
【0038】
このカメラ用シャッタにおける開口部21aの開閉作動は次のようにして行われる。図13は、撮影前の状態、即ち上記の図12(a)に相当する初期状態を示している。そのため、シャッタ羽根22,23は開口部21aを閉じた状態にあり、ボビン13,15,17に巻回されたコイル12,14,16には通電されていない。撮影に際し、図12(b)に示したような通電を行うと、回転子5は反時計方向へ、また回転子6は時計方向へ、同時に回転する。そのため、軸21bにおいて、シャッタ羽根22は時計方向へ、またシャッタ羽根23は反時計方向へ回転し、開口部21aを開いていく。そして、開口部21aを全開にした段階で、出力ピン7,8が図示していない窓部の縁に当接して停止する。
【0039】
所定の時間が経過すると、コイル12,14,16に対し、逆方向への通電が行われる。そのため、回転子5は時計方向へ、また回転子6は反時計方向へ、同時に回転し、シャッタ羽根22,23が開口部21aを閉鎖し、撮影が終了する。その後、コイル12,14,16に対する通電を断っても、回転子5,6の磁力によってシャッタ羽根22,23が閉鎖状態を維持できることは、改めて説明するまでもない。このように、この応用例においては、同時に往復作動させる二つのシャッタ羽根22,23を、二つの回転子5,6によって分担して駆動しているので、一つの回転子によって駆動する場合よりシャッタの高速化が可能になる。
【0040】
〔第5実施例〕
次に、第5実施例を、図14を用いて説明する。本実施例の構成は、第1実施例の構成に比較して、出力ピン8が回転子6の右側になるように構成され、且つ回転子6の2極の着磁関係が逆になっているほかは、第1実施例の構成と実質的に同じである。そのため、それらの詳細な図示と説明を省略する。また、図14(a)に示した部材,部位には、上記した構成の違いがあるとはいえ、特に問題が起きないので、図3(a)の場合と同じ符号を付けてある。
【0041】
そこで、本実施例の作動を説明する。図14(a)は、初期状態を示したものであって、この状態において、コイル12,14に対し、図14(b)に示すように通電すると、磁極部9aがS極に、磁極部10aがN極になり、回転子5は反時計方向へ回転する。図14(b)は、その回転の停止した状態を示している。このとき、第1実施例の場合に説明したように、回転子6は回転しないが、場合によってはコイル16にも通電し、磁極部11aをN極にすることによって、確実に回転しないようにしても差し支えない。
【0042】
その後、コイル12に対する通電を断ち、コイル16に対して図14(c)に示すように通電すると、磁極部11aがS極になり、回転子6が時計方向へ回転し、停止する。そのときの回転子5,6の停止状態が図14(c)に示されている。その後、図14(d)に示されているように、コイル12には、図14(b)に示した場合とは逆方向に通電され、また、コイル14,16には、図14(c)に示した場合とは逆方向に通電されると、磁極部9aはN極に、磁極部10a,10bはS極に、磁極部11aはN極になり、回転子5は時計方向に、回転子6は反時計方向に、同時に回転して初期位置に復帰する。そして、図14(e)に示すように、全てのコイル12,14,16に対する通電が断たれ、初期状態と同じになる。
【0043】
尚、本実施例の場合にも、コイル12,14,16の配線の仕方は、第1実施例及び第4実施例の場合と同じであるから、回転子5,6を個別に作動させることができ、第1実施例の説明で述べたような種々のシーケンスで回転子5,6を作動させることが可能である。また、上記した第2実施例及び第3実施例の構成においても、配線の仕方が同じであれば、このような種々の作動を行わせることができることは言うまでもない。
【0044】
次に、図15を用いて、第5実施例の第1変形例を説明する。この変形例は、構造上は、第5実施例の場合と全く同じであるため、図15(a)に示した部材,部位には、図14(a)の場合と同じ符号を付けてある。そして、この第1変形例が第5実施例と異なる点は、三つのコイル12,14,16に対する配線の仕方にあって、上記した第1実施例の第1変形例の場合、及び第4実施例の第1変形例の場合と全く同じ配線の仕方になっている。
【0045】
そこで、本第1変形例の作動を簡単に説明する。図15(a)の初期状態において、共通接続されているコイル12,14に対し、図15(b)に示しているように通電すると、磁極部9aがS極に、磁極部10a,10bがN極になり、回転子5は反時計方向へ回転する。そして、回転子5の停止した状態が図15(b)に示されている。このとき、回転子6は回転しないが、場合によってはコイル16にも通電し、磁極部11aをN極にすることによって、確実に回転させないようにしてもよい。
【0046】
その後、コイル16に対して図15(c)に示す方向に通電すると、磁極部11aがS極になって、回転子6は時計方向へ回転する。そして、回転子6の停止した状態が図15(c)に示された状態である。その後、コイル12,14,16への通電が逆方向に行われると、図15(d)に示すように、磁極部9aはN極に、磁極部10a,10bはS極に、磁極部11aはN極になり、回転子5は時計方向に、回転子6は反時計方向に同時に回転して初期位置に復帰する。そして、図15(e)に示すように、全ての通電が断たれて初期状態と同じになる。尚、この変形例の作動のシーケンスは、このほかにも可能である。
【0047】
次に、図16を用いて、第5実施例の第2変形例を説明する。この変形例も、構造上は第5実施例の場合と全く同じであり、三つのコイル12,14,16に対する配線の仕方が異なっていて、上記した第1実施例の第2変形例の場合、及び第4実施例の第2変形例の場合と全く同じ配線の仕方になっているだけであるから、図16(a)に示した部材,部位には、図15(a)の場合と同じ符号を付けてある。
【0048】
そこで、この第2変形例の作動を簡単に説明する。図16(a)の初期状態において、コイル12,14,16に対し、図16(b)に示すように通電すると、磁極部9aがS極に、磁極部10a,10bがN極に、磁極部11aがS極になる。そのため、回転子5は反時計方向へ、回転子6は時計方向へ、同時に回転する。そして、回転子5,6が共に停止した状態が図16(c)に示されている。その後、図16(d)に示すように、コイル12,14,16に対して逆方向の通電を行うと、磁極部9aがN極に、磁極部10a,10bがS極に、磁極部11aがN極になり、回転子5は時計方向へ、回転子6は反時計方向へ回転する。そして、停止後、通電を断つと、図16(e)に示すように、初期状態と同じになる。
【0049】
〔第6実施例〕
次に、第6実施例を、図17を用いて説明する。本実施例の構成は、第1実施例の構成に比較して、出力ピン8が回転子6の180°反対側になるように構成されているほかは、第1実施例の構成と実質的に同じであるから、それらの詳細な図示と説明を省略する。また、図17(a)に示した部材,部位には、上記した構成の違いがあるとはいえ、特に問題が起きないので、図3(a)の場合と同じ符号を付けてある。
【0050】
そこで、本実施例の作動を説明する。初期状態を示した図17(a)において、コイル12,14に対し、図17(b)に示すようにして通電すると、磁極部9aがS極に、磁極部10aがN極になり、回転子5は反時計方向へ回転する。図17(b)は、その回転の停止した状態を示している。このとき、回転子6は回転しないが、必要な場合は、コイル16に通電し、磁極部11aをN極にすることによって、確実に回転しないようにしても差し支えない。
【0051】
その後、コイル12の通電を断ち、コイル16に対して図17(c)に示すように通電すると、磁極部11aがS極になり、回転子6が反時計方向へ回転し、停止する。そのときの回転子5,6の停止状態が図17(c)に示されている。その後、図17(d)に示されているように、コイル12には、図17(b)に示した場合とは逆方向に通電し、また、コイル14,16には、図17(c)に示した場合とは逆方向に通電すると、磁極部9aはN極に、磁極部10a,10bはS極に、磁極部11aはN極になり、回転子5,6は、共に時計方向に回転して初期位置に復帰する。そして、図17(e)に示すように、全てのコイル12,14,16に対する通電が断たれ、初期状態と同じになる。
【0052】
このような本実施例の場合にも、コイル12,14,16の配線の仕方は、第1実施例,第4実施例,第5実施例の場合と同じであるから、回転子5,6を個別に作動させることができ、第1実施例の説明で述べたような種々のシーケンスで回転子5,6を作動させることが可能である。また、上記した第2実施例及び第3実施例の構成においても、配線の仕方が同じであれば、このような種々の作動を行わせることができる。
【0053】
そこで、それらのシーケンスの一つを用いて、本実施例を絞り付きカメラ用シャッタとして応用した例を、図18を用いて説明する。図18は、各部材の詳細な取り付け構成を省略し、簡略的に示したものである。先ず、その構成から説明する。所定の間隔を空けて相互の取り付けられている二つの地板24,25の中央部には、夫々、円形をした露光用の開口部24a,25aが形成されている。上記の図17に示したモータ構成は、この応用例においては、地板24の表面側に、開口部24aを囲むようにして、円弧状に配置されている。従って、それらのモータ構成については、図17(a)に示した符号と同じ符号を付け、説明を省略する。
【0054】
図18においては図示を省略してあるが、地板24には、図1及び図2に示した窓部1a,1bと同様な二つの窓部が形成されている。そして、出力ピン7は、地板24のみならず地板25の背面側まで突き出ていて、出力ピン8は、地板24と地板25の間に突き出ている。また、地板24の背面側に設けられた軸24b,24cには、二つのシャッタ羽根26,27が回転可能に取り付けられていて、図示していないが両者に形成された長孔に、上記の出力ピン8が嵌合している。更に、地板25の背面側に設けられた軸25bには、絞り部材28が回転可能に取り付けられていて、それに形成された長孔28aに、上記の出力ピン7が嵌合している。尚、絞り部材28には開口部24a,25aよりも小口径の開口部28bが形成されている。
【0055】
この応用例の作動は次のようにして行われる。図18は、撮影前の状態、即ち上記の図17(a)に相当する初期状態を示している。そのため、シャッタ羽根26,27は開口部24a,25aの撮影光路を閉じた状態にあり、また、絞り部材28は撮影光路から退避された状態にある。撮影に際し、レリーズボタンが押されると、先ず、図17(b)に示したような通電が行われ、回転子5は反時計方向へ回転される。そのため、絞り部材28は、軸25bにおいて反時計方向へ回転し、開口部28bを撮影光路に臨ませ、停止する。
【0056】
その後、コイル16に対して図17(c)に示したように通電すると、回転子6は反時計方向へ回転し、軸24bにおいて、シャッタ羽根26は時計方向へ、また軸24cにおいて、シャッタ羽根27は反時計方向へ回転し、開口部24a,25aを開いていく。そして、この開き作動は、全開後、出力ピン7,8が図示していない窓部の縁に当接して停止する。そして、所定の時間が経過すると、先ず、コイル14,16に対する通電方向を逆にして、回転子6を時計方向へ回転させる。そのため、シャッタ羽根26,27が開口部21aを閉鎖し、撮影が終了する。
【0057】
そして、コイル12の通電方向を図17(d)に示したようにすると、回転子5が時計方向へ回転して絞り部材28を退避状態に復帰させる。その後、コイル12,14,16に対する通電を断っても、回転子5,6の磁力によって、シャッタ羽根26,27や絞り部材28は、その状態を維持される。尚、絞り部材28の開口部28bを撮影光路に臨ませないで撮影を行う場合には、特に詳しく説明しないが、最初に、磁極部9a,10a,10bをN極に、磁極部11aをS極にして、回転子6のみを反時計方向へ回転させ、その後、磁極部9aをN極のままにしておき、磁極部10a,10bをS極に、磁極部11aをN極にして、回転子6を時計方向へ回転させるようにすればよい。
【0058】
次に、図19を用いて、上記した第6実施例の第1変形例を説明する。この変形例は、構造上は、第6実施例の場合と全く同じであるため、図19(a)に示した部材,部位には、図17(a)の場合と同じ符号を付けてある。そして、この第1変形例が第6実施例と異なる点は、三つのコイル12,14,16に対する配線の仕方にあって、上記した第1実施例,第4実施例,第5実施例における各第1変形例の場合と全く同じ配線の仕方になっている。
【0059】
そこで、この第1変形例の作動を簡単に説明する。初期状態を示す図19(a)において、共通接続されているコイル12,14に対し、図19(b)に示しているように通電すると、磁極部9aがS極に、磁極部10a,10bがN極になって、回転子5は反時計方向へ回転する。そして、回転子5の停止した状態が図19(b)に示されている。このとき、回転子6は回転しないが、場合によってはコイル16にも通電し、磁極部11aをN極にして、確実に回転させないようにしてもよい。
【0060】
その後、コイル16に対して図19(c)に示すように通電すると、磁極部11aがS極になって、回転子6は反時計方向へ回転する。そして、回転子6の停止した状態が図19(c)に示されている。その後、コイル12,14,16への通電が逆方向に行われると、図19(d)に示すように、磁極部9aはN極に、磁極部10a,10bはS極に、磁極部11aはN極になり、回転子5,6は同時に時計方向に回転して初期位置に復帰する。そして、図19(e)に示すように、全ての通電が断たれて初期状態と同じになる。尚、この変形例の場合にも、他のシーケンスで作動させることが可能であることは言うまでもない。
【0061】
次に、図20を用いて、第6実施例の第2変形例を説明する。この変形例も、構造上は第6実施例の場合と全く同じである。しかし、三つのコイル12,14,16に対する配線の仕方が異なっていて、上記した第1実施例,第4実施例,第5実施例の各第2変形例の場合と全く同じ配線の仕方になっている。そのため、図20(a)に示した部材,部位には、図17(a)の場合と同じ符号を付けてある。
【0062】
そこで、この第2変形例の作動を簡単に説明する。図20(a)の初期状態において、コイル12,14,16に対し、図20(b)に示すようにして同時に通電すると、磁極部9aがS極に、磁極部10a,10bがN極に、磁極部11aがS極になる。そのため、回転子5,6は反時計方向へ同時に回転する。そして、回転子5,6が共に停止した状態が図20(c)に示されている。その後、図20(d)に示すように、コイル12,14,16に対して逆方向の通電を行うと、磁極部9aがN極に、磁極部10a,10bがS極に、磁極部11aがN極になり、回転子5,6は時計方向へ同時に回転する。そして、停止後、通電を断つと、図20(e)に示すように、初期状態と同じになる。
【0063】
上記のように、種々の実施例、変形例,応用例を系統的に説明したが、これらは全て本発明の実施態様であることは言うまでもなく、また、このほかにも種々の実施態様が考えられる。更に、上記の実施態様の説明においては、回転子を二つ、磁極部材等の固定子と共に、直線上又は円弧上に1列に配置する場合で説明したが、本発明は、三つ以上の回転子を同様にして配置するようにしても差し支えない。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明のムービングマグネット型モータによれば、一体的に回転するように構成された出力ピンを有していて2極に着磁されている回転子を複数個設け、また、各々コイルを巻回した磁極部材を回転子の数よりも一つ多く設け、各回転子を、異なる組合せの二つの磁極部材によって挟むようにして配置したから、モータ全体をコンパクトに纏められ、且つそれらの回転子を、同時に又は個々に、同一方向又は異なる方向へ所定の角度だけ往復回転させるようにすることによって、ステッピングモータなどに比べて劣っている起動性や駆動力を補うようにすることが可能になったり、多種多様な駆動方法が選択でき、応用用途を広げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例を示した透視平面図である。
【図2】第1実施例の断面図である。
【図3】図3(a)〜図3(e)は、第1実施例の作動説明図である。
【図4】図4(a)〜図4(e)は、第1実施例の第1変形例の作動説明図である。
【図5】図5(a)〜図5(e)は、第1実施例の第2変形例の作動説明図である。
【図6】第2実施例を示した透視平面図である。
【図7】第2実施例の断面図である。
【図8】第3実施例を示した透視平面図である。
【図9】第3実施例の断面図である。
【図10】図10(a)〜図10(e)は、第4実施例の作動説明図である。
【図11】図11(a)〜図11(e)は、第4実施例の第1変形例の作動説明図である。
【図12】図12(a)〜図12(e)は、第4実施例の第2変形例の作動説明図である。
【図13】第4実施例の第2変形例の応用例を示した平面図である。
【図14】図14(a)〜図14(e)は、第5実施例の作動説明図である。
【図15】図15(a)〜図15(e)は、第5実施例の第1変形例の作動説明図である。
【図16】図16(a)〜図16(e)は、第5実施例の第2変形例の作動説明図である。
【図17】図17(a)〜図17(e)は、第6実施例の作動説明図である。
【図18】第6実施例の応用例を示した平面図である。
【図19】図19(a)〜図19(e)は、第6実施例の第1変形例の作動説明図である。
【図20】図20(a)〜図20(e)は、第6実施例の第2変形例の作動説明図である。
【符号の説明】
1,24,25 地板
1a,1b 窓部
1c,1d,1e,1f,1g,1h ピン
2 カバー板
3,4 ビス
5,6 回転子
7,8 出力ピン
9,10,11 磁極部材
9a,10a,10b,11a 磁極部
9b,10c,11b,18a,18b,19a,19b,19c 巻き芯部
12,14,16 コイル
13,15,17 ボビン
18,19 連結部材
21 地板
21a,24a,25a,28b 開口部
21b,24b,24c,25b 軸
22,23,26,27 シャッタ羽根
22a,23a,28a 長孔
28 絞り部材

Claims (5)

  1. 夫々に一体的に回転する出力ピンが設けられていて所定の間隔を空けて1列に配置されている複数の2極に着磁された回転子と、前記回転子間と前記列の両端に一つずつ配置されていて夫々が前記回転子の周面に対向させる磁極部を形成しており前記回転子間に配置されたものには両側に形成された磁極部の間に一つの巻き芯部が立設され前記列の両端に配置されたものには夫々一つの巻き芯部が立設されている複数の磁極部材と、前記各巻き芯部に巻回されていて前記各回転子の両側に配置された前記各磁極部材の磁極部が異極となり前記回転子間に配置された前記磁極部材の二つの磁極部が同一極となるようにして通電される複数のコイルとを備えていて、前記各回転子は、その両側に配置された前記各コイルに、所定の方向へ通電したときには正方向へ、それとは逆方向へ通電したときには逆方向へ、夫々所定の角度だけ回転されるようにしたことを特徴とするムービングマグネット型モータ。
  2. 前記巻き芯部のうち少なくとも二つの巻き芯部が、前記各磁極部側とは反対側で磁性体の連結部材によって連結されているようにしたことを特徴とする請求項に記載のムービングマグネット型モータ。
  3. 前記複数のコイルが個別に電源接続されていて、任意の回転子を任意のときに動作させ得るようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のムービングマグネット型モータ。
  4. 前記複数のコイルのうち所定の複数のコイルが共通に電源接続されていて、それらによって回転される回転子を動作させてから他の回転子を動作させ得るようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のムービングマグネット型モータ。
  5. 前記複数のコイルが共通に電源接続されていて、全ての回転子を常に同時に動作させ得るようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のムービングマグネット型モータ。
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