次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るソレノイド装置1の構成について、図1〜図5を参照して説明する。
図1〜図5は、ロータリソレノイド1R及び双安定ソレノイド1wとして構成したソレノイド装置1を示す。
図1は、ソレノイド装置1の全体構成を示す。3はステータ部であり、磁性体により形成したヨーク21を備える。ヨーク21は、筒形に形成したヨーク本体部21oを備え、図2に示すように、ヨーク本体部21oの一端には後端面部21rを一体形成する。一方、ヨーク本体部21oの他端は前端面部21fにより閉塞する。この場合、前端面部21fはヨーク本体部21oに対して別体に形成することによりボルトナット等により固定する。なお、このヨーク21はケーシングを兼ねている。
また、ヨーク本体部21oの内周面における180゜対向位置には一対のコア部21p,21qを一体形成し、先端はヨーク中心方向に突出させる。したがって、コア部21p,21qの相対向する先端面は一対の磁極部13p,13qとなる。そして、各コア部21p,21qには図示を省略したコイルボビンを介してコイル13pc,13qcをそれぞれ巻回する。これにより、コイル13pc,13qcを励磁することにより対峙する二極(S極,N極)を発生する一対の磁極部13p,13qを有するステータ部3が構成される。このように、ステータ部3を構成するに際し、コイル13pc,13qcの励磁により対峙する二極を発生する一対の磁極部13p,13qを設けて構成すれば、いわばソレノイド装置1の利点である最少単位の原理構造により実現できるため、実施する際における低コスト化及び小型化に寄与できる利点がある。加えて、二極のソレノイドとしての利点、即ち、トルクリプルやコキングがないため、負荷に拘わらずスムームに移動させることができるとともに、ヒステリシスが生じないなどの利点も享受できる。
さらに、前端面部21fと後端面部21rの各中心位置にはそれぞれ挿通孔を形成し、各挿通孔に軸受部22f,22rを取付けるとともに、各軸受部22f,22rにより、駆動シャフト14sの軸方向両側の位置を回動自在に支持する。また、この駆動シャフト14sの外周面上には、筒形に形成したマグネット14mを装着して固定する。これにより、駆動シャフト14sに対して二極、即ち、N極とS極を径方向Wdに配したマグネット14mを有するロータ部14となる。なお、例示のマグネット14mは、二分割した一対のマグネット半体の組合わせにより構成する。その他、23fは、軸受部22fとマグネット14m間に介在し、かつ駆動シャフト14sを挿通させるカラーを示すとともに、23rは、軸受部22rとマグネット14m間に介在し、かつ駆動シャフト14sを挿通させるカラーを示す。
一方、図2に示すように、前端面部21fから外部に突出する駆動シャフト14sには、係止レバー25の一端を固定する。これにより、係止レバー25の他端側は、駆動シャフト14sの軸方向に対して直角方向(径方向Wd)に突出する。例示の場合、ロータ部14に対して係止レバー25を含めた構造体がソレノイド装置1における可動部2を構成する。さらに、係止レバー25(可動部2)に係止し、この可動部2の自己保持力により第一停止位置X1又は第二停止位置X2に停止させる左右一対のストッパ部12p,12qを付設する。このストッパ部12p,12qは、可動部2に対して相対位置を固定して取付ける。例示の場合、ソレノイド装置1を取付ける取付部位等(不図示)に配した場合を示したが、ヨーク21に直接取付けてもよい。また、例示の場合、ストッパ部12pと12qに係止する係止レバー25の回動変位範囲は概ね60〔°〕である。
このようなストッパ部12p,12qを設ければ、最大出力により動作させる場合であっても、変位する可動部2(ロータ部14)の脱調を防止し、可動部2をより確実かつ迅速に停止させることができる。即ち、第一停止位置X1及び第二停止位置X2における停止も駆動制御部6の制御により実現可能であるが、ストッパ部12p,12qを設けることにより機械的に保持可能になるため、確実かつ迅速に停止させることができるとともに、自己保持力による保持が可能になり、停止時における電力消費を不要にできるため、省エネルギ性の向上にも寄与できる利点がある。以上がソレノイド装置1の機械的構造部分を構成するソレノイド本体1mとなる。
他方、ソレノイド装置1は、図1に示すように、ソレノイド本体1mを駆動制御する駆動制御システム1cを備える。この駆動制御システム1cは、可動部2の位置を検出する位置センサ部5と、この位置センサ部5の検出結果に対応してソレノイド本体1mを駆動制御する駆動制御部6を備え、この駆動制御部6は、さらに、制御ユニット6cと駆動ユニット6dを備えている。
位置センサ部5の構成を図2〜図4に示す。この位置センサ部5は、後端面部21rの外側に配設し、可動側となるセンサマグネット31及び固定側となる磁気センサ(検出器)5sにより構成することにより、可動部2(駆動シャフト14s)の回動位置を検出する機能を備える。この場合、後端面部21rから外部に突出した駆動シャフト14sにマグネット支持部31sの一端を固定し、このマグネット支持部31sの先端(他端)にセンサマグネット31を取付ける。これにより、駆動シャフト14sの回動によりマグネット部31は当該駆動シャフト14sを支点に旋回変位する。一方、後端面部21rには、支持プレート32を固定し、この支持プレート32上に、磁気センサ5sを構成するホール素子5shを取付ける。このホール素子5shは、図2に示すように、センサマグネット31に対して、所定の隙間を介して対向する。これにより、駆動シャフト14s(可動部2)が回動変位すれば、センサマグネット31も一体に旋回変位するため、磁気センサ5s(ホール素子5sh)の出力の大きさは、センサマグネット31の旋回変位した位置に対応して変化するため、予め求めた旋回位置と出力の相関データに基づいて、可動部2の回動位置(位置データ)を得ることができる。
このように、位置センサ部5を構成するに際し、ホール素子5shを用いた磁気センサ5sにより構成すれば、簡易な構造により検出機能を実現できるため、比較的低コストに実施できるとともに、配設スペースも少なくて済むため、センサ全体の小型化にも寄与できる利点がある。即ち、ソレノイド装置1の場合、可動部2の可動範囲が比較的狭い角度範囲に留まるため、モータ類の場合に必要なロータリエンコーダ等の高価な部品や関係する制御回路等が不要となり、低コスト化及び小型化を実現できる。
一方、駆動制御部6の構成を図5に示す。6cは制御ユニットであり、制御回路51を備えるとともに、A/D(アナログ/デジタル)変換器52を備える。これにより、前述した位置センサ部5から得られる検出結果、即ち、出力信号(アナログ信号)は、A/D変換器52に付与され、デジタル信号に変換されて制御回路51に付与されるとともに、制御回路51から出力する制御信号は、駆動ユニット6dに付与される。そして、駆動ユニット6dからソレノイド本体1mに対してパルス駆動電圧Vdが印加される。したがって、駆動制御部6は、基本的な機能として、位置センサ部5の検出結果に対応してソレノイド本体1mを駆動制御する機能を備えるとともに、特に、本発明に従って、可動部2を第一停止位置X1と第二停止位置X2間における予め設定した任意の中間停止位置Xnに停止するように、ステータ部3をフィードバック制御による位置制御を行う位置制御機能を備えている。
また、駆動制御部6には、ソレノイドコントローラ53を備える。このソレノイドコントローラ53は、CPU及び付属する内部メモリ53m等のハードウェアを内蔵し、ソレノイド装置1全体の制御を司るコンピュータ機能を有している。なお、内部メモリ53mは、データエリア53md及びプログラムエリア53mpを有し、データエリア53mdには、中間停止位置Xnやトルクの大きさ等の設定データをはじめ各種データ類を書き込むとともに、プログラムエリア53mpには、制御モードに係わるシーケンスプログラム等の各種プログラム類を格納する。制御モードは、例えば、使用する用途に応じて、第一停止位置X1の停止時間,中間停止位置Xnにおける停止時間やトルクの大きさ,第二停止位置X2の停止時間等のシーケンス制御パターンであり、このシーケンス制御パターンを実行するためのシーケンスプログラムを、予め特定の制御モードとして設定し、複数の異なるパターンに対応する各種制御モードを任意に選択できるようにしたものである。
さらに、ソレノイドコントローラ53には操作部54が付属する。この操作部54により、図5に示す各種機能を実現するための操作入力を行うことができる。Ftは、前述したトルク調整機能であり、操作部54から、トルクの大きさとして、トルク値或いはトルクレベル大,中,小等を入力(又は選択)することにより、パルス駆動電圧Vdを制御し、トルクの大きさを調整できる。特に、このトルク調整機能Ftを実現するため、制御回路51には、ステータ部3に印加するパルス駆動電圧Vdに対してPWM(パルス幅変調)制御を行うための制御機能を備えている。例示の場合、パルス駆動電圧Vpのパルス周波数は40〔kHz〕である。
このようなトルク調整機能Ftを設ければ、可動部2が停止する際の停止力(外力に対する位置保持力)を任意の大きさに調整し、負荷の大きさに対応した停止力の最適化を図ることができる。これにより、中間停止位置Xnに停止する際のオーバーシュート(アンダーシュート)の低減,停止させる際の迅速性,安定性及び正確性等をより高めることができる。なお、例示のように、パルス駆動電圧Vpに対してPWM制御を行うことによりトルクの大きさを調整可能に構成した場合には、比較的簡単な制御系の構成により制御性の高いトルク調整を行うことができるが、その他、ステータ部3に印加される駆動電圧の大きさを制御することによりトルクの大きさを調整可能に構成することも可能である。
また、Fxは、停止位置設定機能であり、操作部54から、目標とする中間停止位置Xnに係わる位置データを入力(又は選択)することにより、中間停止位置Xnを、中央位置のみならず任意の位置に設定することができる。これにより、位置データは、指令データとして、ソレノイドコントローラ53から制御回路51に付与され、制御回路51に既設定されている中間停止位置Xnに係わる目標位置を書き換えることができる。さらに、Fcは、モード切換機能であり、前述したように、予め設定した各種の制御モードを、操作部54を介して任意の制御モードに切換えることができる。
次に、このような構成を有する本実施形態に係るソレノイド装置1の動作について、図6〜図9を参照し、一例として示すソレノイド装置1の使用方法とともに説明する。
図9(a)〜(c)は、ソレノイド装置1の使用方法の一例である。符号Kdは作用レバーであり、例示の場合、この作用レバーKdの一端を、図1及び図2に示すように、駆動シャフト14sの先端部に取付けて使用する。図6は、ソレノイド装置1の動作を説明するためのフローチャートであり、以下、このフローチャートに従って使用方法及び動作について説明する。
まず、図9(a)〜(c)に示す使用方法に対応する制御モードをモード切換機能Fcにより選択する。今、図8(a)に示すように、係止レバー25が左側のストッパ部12pに係止し、第一停止位置X1に停止している状態を想定する。この状態では、駆動ユニット6dからの通電は無く、ステータ部3における磁極13p,13qの発生はない。したがって、図8(a)に示すように、ロータ部14におけるマグネット14mのN極とコア部21pが吸引状態となり、かつマグネット14mのS極とコア部21qが吸引状態となるため、係止レバー25はストッパ部12pに係止する方向に付勢される。これにより、係止レバー25がストッパ部12pに係止した状態、即ち、自己保持力により停止状態を維持する(ステップS1)。したがって、作用レバーKdも図9(a)に示す第一停止位置X1に位置している。
一方、図7は、ソレノイド装置1の動作時における各部の状態及び信号の大きさを示すタイミングチャートである。上述した図8(a)の状態において、制御回路51に、ソレノイドコントローラ53から図7(a)に示すトリガ(移行指令)Ptが入力すれば、制御回路51から対応する制御信号が駆動ユニット6dに付与され、さらに、駆動ユニット6dからソレノイド本体1mに対して、図7(c)に符号Ppfで示す正のパルス駆動電圧Vdが付与される(ステップS2,S3)。これにより、コイル13pc,13qcに対する通電が行われ、図8(a)に示すように、磁極13pには括弧内のN極が発生するとともに、磁極13qには括弧内のS極が発生する。この結果、ロータ部14は、図8(a)に示す矢印Wa方向に回動変位する(ステップS4)。この場合、パルス駆動電圧Vdは、100〔%〕出力となり、実質的な直流出力となる。
そして、ロータ部14が、図8(b)に示す中間停止位置Xnに到達すれば、この中間停止位置Xnに停止するように、フィードバック制御による位置制御が行われる。中間停止位置Xnでは、設定した位置データと検出した位置データ間の位置偏差は0になるため、この位置におけるパルス駆動電圧Vdによる出力は、ロータ部14を中間停止位置Xnに維持するための最少限の出力となる(ステップS5,S6)。一方、図8(b)に示すように、中間停止位置Xnにおける係止レバー25が、例えば、矢印Wb方向に変位すれば、正の位置偏差が発生し、ステータ部3はロータ部14を矢印Wc方向へ回動変位させる磁極を発生させるとともに、中間停止位置Xnにおける係止レバー25が矢印Wc方向に変位すれば、負の位置偏差が発生し、ステータ部3はロータ部14を矢印Wb方向へ回動変位させる磁極を発生させる。即ち、中間停止位置Xnに停止するように、フィードバック制御による位置制御が行われる。この場合、位置制御時におけるパルス駆動電圧Vpは、図7(c)及び(cs)にように、符号Ppnで示す正側のパルス駆動電圧と符号Pnnで示す負側のパルス駆動電圧が交互に印加される波形となる。したがって、パルス駆動電圧Vpの最大電圧は、低下することになり、図7(c)に例示の場合には、70〔%〕程度の大きさとなる。なお、図7(b)は、中間停止位置Xnにおける可動部2(係止レバー25)を示している。
また、パルス駆動電圧Vdは40〔KHz〕のパルス駆動信号のため、前述したトルク調整機能Ftによりトルクの大きさを調整することができる。トルクの大きさを小さくなるように調整すれば、図8(b)に示す矢印Wb方向の力と矢印Wc方向の力が共に小さくなるとともに、トルクの大きさを大きくなるように調整すれば、矢印Wb方向の力と矢印Wc方向の力が共に大きくなる。したがって、例示の場合、作用レバーKdに付加される負荷が大きいときは、トルクを大きく設定、即ち、PWM制御におけるパルス幅が長くなるように制御し、作用レバーKdに付加される負荷が小さいときは、トルクを小さく設定、即ち、PWM制御におけるパルス幅が短くなるように制御すればよく、実質的な電力制御が行われる。
この後、制御回路51に、ソレノイドコントローラ53から図7(a)に示す次のトリガPtが入力すれば、制御回路51から対応する制御信号が駆動ユニット6dに付与され、さらに、駆動ユニット6dからソレノイド本体1mに対して、図7(c)に符号Pprで示す正のパルス駆動電圧Vdが付与される(ステップS7,S8)。これにより、コイル13pc,13qcに対する通電が行われ、図8(c)に示すように、磁極13pに括弧内のN極が発生するとともに、磁極13qに括弧内のS極が発生する。この結果、ロータ部14は、図8(c)に示す矢印Wd方向に回動変位する(ステップS9)。そして、係止レバー25が右側のストッパ部12qに係止して停止する(ステップS10)。また、係止状態は位置データ等により検知し、駆動ユニット6dの通電を解除する(ステップS11)。この状態では、図8(c)に示すように、ロータ部14におけるマグネット14mのN極とコア部21qが吸引状態となり、かつマグネット14mのS極とコア部21pが吸引状態となる。この結果、係止レバー25がストッパ部12qに係止する方向に付勢され、係止レバー25がストッパ部12qに係止した状態、即ち、自己保持力により停止状態を維持する(ステップS12)。
さらに、この後、制御回路51に、ソレノイドコントローラ53から図7(a)に示す次のトリガPtが入力すれば、制御回路51から対応する制御信号が駆動ユニット6dに付与されるとともに、駆動ユニット6dからソレノイド本体1mに対して、図7(c)に符号Pnhで示す、負のパルス駆動電圧Vdが付与される(ステップS13,S14)。これにより、コイル13pc,13qcに対する逆方向の通電が行われ、磁極13pにS極が発生し、磁極13qにN極が発生する。この結果、ロータ部14は、図8(c)に示す矢印Wd方向に対して反対方向に回動変位する(ステップS15)。そして、係止レバー25が左側のストッパ部12p(第一停止位置X1)に係止して停止する(ステップS16)。また、係止状態は駆動電流の大きさ等により検知し、駆動ユニット6dからの通電を解除する(ステップS16,S17)。この状態では、図8(c)に示すように、ロータ部14におけるマグネット14mのN極とコア部21pが吸引状態となり、かつマグネット14mのS極とコア部21qが吸引状態となる。したがって、係止レバー25はストッパ部12pに係止する方向に付勢され、係止レバー25がストッパ部12pに係止した状態、即ち、自己保持力により停止状態を維持する(ステップS1…)。他方、生産が終了したなら運転を終了させる(ステップS18)。
以上、ソレノイド装置1の動作について説明したが、次に、この動作に対応した作用レバーKdの作用について、図9(a)〜(c)に基づき説明する。
まず、図9(a)は、作用レバーKdが第一停止位置X1に停止している状態を示し、この状態は、図8(a)の状態に対応する。したがって、線材61の搬送路は開放された状態となり、線材61は矢印Wf方向に比較的高速で搬送される。そして、設定長さだけ搬送された後、線材61の搬送が停止され、把持機構63により線材61の下流側の先端が把持されるとともに、同時に、作用レバーKdが図9(b)の位置(中間停止位置Xn)に変位し、この作用レバーKdと固定ベースKc間に線材61が挟まれて把持される。即ち、例示の場合、中間停止位置Xnは、線材61の上流側を固定する固定機能を発揮するとともに、この際、把持する際の力(停止力)は、トルク調整機能Ftによるトルクの大きさを調整することにより任意に設定される。
一方、この時点では、把持機構63に対して上流側に位置する線材61には、図9(b)に示すように、弛みを生じやすい。このため、図9(c)に示すように、作用レバーKdを第二停止位置X2まで変位させることにより、線材61の弛みを除くことができる。そして、この後、カッタ機構64により線材61の設定位置をカッティングすれば、正確な長さの線材61を得るカッティング工程を行うことができる。この後、作用レバーKdを最初のスタンバイ位置、即ち、第一停止位置X1に戻すとともに、線材61の搬送を開始すればよい。以降は、同様の動作により線材61に対するカッティング工程を行うことができる。
このように、本実施形態に係るソレノイド装置1は、位置センサ部5による可動部2の位置の検出結果に基づき、可動部2を第一停止位置X1と第二停止位置X2間における予め設定した任意の中間停止位置Xnに停止するように、ステータ部3をフィードバック制御による位置制御を行う駆動制御部6を備えるため、中間停止位置Xnを任意の位置に選定することが可能となる。したがって、様々な目的を有する各種用途に利用できるなど、一製品としての、汎用性、更には応用性及び発展性を高めることができる。また、基本的には、駆動制御部6により、フィードバック制御による位置制御を行うのみで対応でき、ケーシング及びヨークを備えるステータ部3は、一般的な基本構造をそのまま利用できる。即ち、一般的なソレノイドに対しての構成上(形状上)の変更は不要となる。したがって、追加及び変更する主要な部品類としては、位置センサ部5と駆動制御部6のみとなるため、大幅な低コスト化を実現できるとともに、ソレノイド装置1が大型化する不具合も回避できる。
以上の実施形態は、ロータリソレノイド1R及び双安定ソレノイド1wとして構成したソレノイド装置1を示したが、基本的には各種タイプのソレノイド装置1に適用できる。なお、図10及び図11には、リニアソレノイド1L及び双安定ソレノイド1wとして構成した本発明に関連する参考例としてのソレノイド装置1を示す。なお、図10及び図11において、図1〜図9に示した部分と同一機能部分については同一符号を付すことにより、その構成及び機能を明確化した。
図10において、3はステータ部であり、磁性体により形成したヨーク21を備える。ヨーク21は、筒形に形成したヨーク本体部21oを備え、このヨーク本体部21oの一端には後端面部21rを一体形成するとともに、ヨーク本体部21oの他端は前端面部21fにより閉塞する。また、ヨーク本体部21oの内周面における軸方向Wsには、コイル13pc,13qcを前後に配するとともに、このコイル13pcと13qc間にはマグネット14meを配する。このマグネット14meは、軸方向Wsの両側にそれぞれN極とS極を有する。さらに、前端面部21fと後端面部21rの各中心位置にはそれぞれ挿通孔を形成し、各挿通孔に軸受部22f,22rを取付けるとともに、各軸受部22f,22rにより、駆動シャフト14esの軸方向両側の位置を進退変位自在に支持する。この場合、図11に示すように、軸受部22fは、一方のストッパ部12p及び磁極部13pを兼用するとともに、軸受部22rは、他方のストッパ部12q及び磁極部13qを兼用する。したがって、図1に示した実施形態とは異なり、外部には、別途のストッパ部12p,12qを設けないとともに、このストッパ部12p,12qに係止する係止レバー25も使用しない。
一方、駆動シャフト14esの軸方向Wsには可動磁性部2eを固定し、これにより、プランジャ部14eを構成する。また、後端面部21rから外部に突出する駆動シャフト14esには、位置センサ部5を付設する。位置センサ部5は、可動側となるセンサマグネット31及び固定側となる磁気センサ(検出器)5sにより構成する。これにより、可動部2を構成する駆動シャフト14esの進退変位位置を検出することができる。この場合、後端面部21rから外部に突出した駆動シャフト14sにはマグネット支持部31sの一端を固定し、このマグネット支持部31sの下端にセンサマグネット31を取付けるとともに、後端面部21rには、支持プレート32を固定し、この支持プレート32の上面に、磁気センサ5sを構成するホール素子5shを取付ける。このホール素子5shは、図10に示すように、センサマグネット31に対して、所定の隙間を介して対向する。
これにより、駆動シャフト14esが進退変位すれば、センサマグネット31も一体に進退変位するため、磁気センサ5s(ホール素子5sh)の出力の大きさは、センサマグネット31の変位した位置に対応して変化する。したがって、予め求めた進退変位位置と出力の相関データに基づいて、可動部2の位置データを得ることができる。また、磁気センサ(検出器)5sは、駆動制御部6の入力部に接続するとともに、駆動制御部6の出力部は、コイル13pc,13qcに接続する。なお、位置センサ部5及び駆動制御部6の基本的な機能は、図1〜図9に示した実施形態と同じとなる。
したがって、リニアソレノイド1Lとして構成した参考例に係るソレノイド装置1の動作(作用)は次のようになる。
図10は、プランジャ部14eが第一停止位置X1に停止している状態を示している。この状態では、マグネット14meにより軸受部22rに磁極13q(例示はN極)が発生しているため、可動磁性部2eが軸受部22rに吸引され、軸受部22rに可動磁性部2eが当接することにより位置が規制される。したがって、プランジャ部14eは自己保持力により第一停止位置X1に停止する。そして、コイル13pc,13qcに通電し、コイル13qcにより軸受部22rの磁極13qを打ち消すように磁界を発生させるとともに、コイル13pcにより軸受部22fの磁極13p(例示はS極)を増幅するように磁界を発生させれば、プランジャ部14eは第一停止位置X1から第二停止位置X2へ移動する。
図11は、プランジャ部14eが第二停止位置X2に停止している状態を示す。この状態では、軸受部22f(磁極13p)と可動磁性部2eが吸引状態となり、かつ軸受部22fに可動磁性部2eが当接することにより位置が規制される。したがって、プランジャ部14eは自己保持力により第二停止位置X2に停止する。また、図11に示すように、第一停止位置X1と第二停止位置X2間に中間停止位置Xnを設定し、中間停止位置Xnにおいて位置制御するようにすれば、前述した図1〜図9に示した実施形態と同様に、プランジャ部14eを中間停止位置Xnに停止させることができる。
このように、リニアソレノイド1Lとして構成した場合であっても、可動部2が回動方向に変位するか、或いは直進方向に変位するかの相違はあるとしても、基本的な駆動制御は同様に行うことができ、同様の作用効果を得ることができる。したがって、ソレノイド装置1は、可動部2に、回動変位自在に支持された駆動シャフト14sに対して二極を径方向Wdに配したマグネット14mを有するロータ部14を備えることによりロータリソレノイド1Rとして構成してもよいし、或いは可動部2に、進退変位自在に支持された駆動シャフト14esを有するプランジャ部14eを備えることによりリニアソレノイド1Lとして構成してもよいなど、駆動方向の異なるソレノイドが選択可能になる観点から、その汎用性(応用性及び発展性)を高めることができる。
他方、ロータリソレノイド1R及びリニアソレノイド1Lを双安定ソレノイド1wとして構成した場合を説明したが、いずれの場合であっても単安定ソレノイドとして構成することも可能である。この場合であっても、ソレノイド装置1としての基本的な機能を発揮させることができる。
具体的には、ロータリソレノイド1Rの場合、駆動シャフト14sの係止レバー25を第一停止位置X1側(又は第二停止位置X2側)へ、スプリング等の弾性部材により付勢するとともに、駆動制御部6により、コイル13pc,13qcに対して正側(又は負側)のパルス駆動電圧Vpを印加(ON)して第二停止位置X2へ変位させ、パルス駆動電圧Vpの印加を解除(OFF)して第一停止位置X1へ弾性部材により変位(弾性復帰)させることができる。加えて、中間停止位置Xnにおいて位置制御する場合には、パルス駆動電圧VpのON/OFF制御による位置制御を行うことができる。
同様に、リニアソレノイド1Lの場合、駆動シャフト14esを第一停止位置X1側(又は第二停止位置X2側)へ、スプリング等の弾性部材により付勢するとともに、駆動制御部6により、コイル13pc,13qcに対して正側(負側)のパルス駆動電圧Vpを印加(ON)して第二停止位置X2へ変位させ、パルス駆動電圧Vpの印加を解除(OFF)して第一停止位置X1へ弾性部材により変位(弾性復帰)させることができる。加えて、中間停止位置Xnで位置制御する場合には、パルス駆動電圧VpのON/OFF制御による位置制御を行うことができる。また、いずれの場合であってもパルス駆動電圧Vpに対するPWM制御によるトルク調整が可能である。
したがって、ソレノイド装置1は、可動部2に、ステータ部3の制御により第一停止位置X1及び第二停止位置X2へ変位させる双安定ソレノイド1wとして構成してもよいし、或いは可動部2を、ステータ部3の制御により第一停止位置X1(又は第二停止位置X2)へ変位させるとともに、可動部2を弾性部材により第二停止位置X2(又は第一停止位置X1)へ復帰させる単安定ソレノイドとして構成してもよいなど、双安定タイプ又は単安定タイプが選択可能になる観点から、その汎用性(応用性及び発展性)を高めることができる。
以上、好適実施形態(及び参考例)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、実施形態においては、トルク調整機能Ftを中間停止位置Xnにおいて使用する場合を示したが、第一停止位置X1から中間停止位置Xnへの移動,中間停止位置Xnから第二停止位置X2への移動,第二停止位置X2から第一停止位置X1への移動において使用しても勿論よい。さらに、マグネット14mは二分割した一対のマグネット半体の組合わせにより構成した場合を例示したが、一体のマグネットを二極に着磁してもよい。また、位置センサ部5は、後端面部21rの外側に配設した場合を例示したが、内側に配設してもよい。一方、中間停止位置Xnは一つ設定した場合を示したが、異なる二つ以上の中間停止位置Xn…を設定する場合を排除するものではない。