JP4326153B2 - 乾燥動物飼料を調製する方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、予め定められた含水量を備える乾燥動物飼料を調製する方法に関する。この方法に従えば、乾燥動物飼料混合物には、動物飼料が予め定められた含水量を得るような量で、少なくとも１５℃好適には少なくとも２０℃の融点を有する疎水性成分中に乳化された水のエマルションが添加される。
【０００２】
動物の飼育の際には、動物が正しく適応された栄養物質を含有するだけでなく正しい量で与えられる飼料を得て、これによって消費された飼育１キログラムあたりの成長を最大限にすることが、経済上重要である。しかしながら、乾燥動物飼料の投与においては、変動する含水量のために動物飼料中の活性内容物を計算することが困難であるとわかっている。所望の値から２％を超える含水量の変動は、稀なことではない。ミンクおよびキツネを飼育する際には、乾燥動物飼料混合物がかなりの量の水を含有し、これによって冷たい気候における脱水の危険を低減することもまた重要である。乾燥動物飼料中の含水量が変動する理由はいくつかある。理由の１つは、たとえばトウモロコシなどの、含まれる内容物（ingredient）中の含水量がときどき変動することである。別の理由は、含まれる内容物をすりつぶす際、さまざまな内容物を混合し、かつ任意で造粒、押出および／または膨張する際、熱が供給され、この結果水の蒸発が起きることである。また保存の際に、かなりの水の量が蒸発する可能性がある。
【０００３】
動物飼料混合物への水の直接の添加は、多くの場合、微粉の動物飼料のとりわけケーキング、およびカビなどの困難な問題を引起すこともわかっている。したがって、この発明の目的は、含水量の小さいまたは問題とならない変動を備える乾燥微粉の動物飼料を調製する方法を提供し、同時に動物飼料のケーキングおよびカビを低減するかまたは防ぐことである。
【０００４】
予め定められた増大した含水量を備える粉末の乾燥動物飼料は、動物飼料に、脂質、脂肪酸、またはこれらの混合物を含み、かつＡＳＴＭ１５−０４ Ｎｏ．Ｄ５４４０に従って測定された少なくとも１５℃好適には少なくとも２０℃の融点を有する液体疎水性成分中に乳化された水を含有するエマルションを、調製された動物飼料が予め定められた含水量を得るような量で添加するステップと、動物飼料にエマルションを混合するステップと、もし必要であれば、調製された動物飼料を疎水性成分の融点より下の温度に冷却するステップとによって、調製可能である。この発明の方法によって、含水量が従来の態様で調製された動物飼料よりも少ない範囲で変動する乾燥動物飼料が得られる。この方法に従うと、動物飼料混合物はまた疎水化され、この結果、塊を形成するかまたはカビを発生させる傾向が低減される。この発明の方法は、微粒子状の、造粒された、押出しされたまたは膨張された乾燥動物飼料混合物などの、すべての種類の乾燥動物飼料混合物に適用可能である。疎水性成分の量は、好適には、水の重量部あたり１〜８重量部である。安定したエマルションを得るために、乳化剤がまた、通常、疎水性成分の重量部あたり０．００５〜０．０５重量部で添加される。
【０００５】
エマルションは、含まれる成分をすり潰した後いかなるときにも、粉末の成分にまたは、造粒、押出もしくは膨張の前の、もしくは造粒、押出もしくは膨張の後の、もしくは添加の述べられた点の組合せによる乾燥動物飼料混合物に添加され得る。
【０００６】
従来の乾燥動物飼料の調製においては、乾燥動物飼料の最終重量に基づいて、０．５〜４重量％の水が通常失われる。この発明に従う方法では、乾燥動物飼料の最終重量％に基づいて、１〜１０重量％のエマルションが、動物飼料の調製の際に失われる水の量を少なくとも部分的に補償するために添加される。疎水性成分に対する水の率は、成分の凝固点に従って異なる。凝固点が高ければ高いほど、より多くの水が、疎水性成分に関連して用いられ得る。疎水性成分に対する水の重量比は、好ましくは、１：１〜１：２であり、エマルション中の水の量は、乾燥動物飼料の最終重量に基づいて、１〜４％である。疎水性成分の量に基づく乳化剤の含有量は、１から４重量％である。１５℃の融点を有する疎水性成分が使用可能であるとしても、最低３０℃の融点を有する疎水性成分が好ましい。好適な疎水性成分の例は、ラード、獣脂、鶏グリース、骨グリース、屠殺グリース、硬化植物油および硬化魚油などの脂肪；脂肪酸および、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドを含有する脂肪酸の残油である。通常、融点は、９０℃よりも下である。
【０００７】
乳化剤は、疎水性、水溶性生成物のための従来の乳化剤である。まず第１に、８〜２４個の炭素原子、好ましくは１２〜２２個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を含有する非イオン界面活性剤を使用する。非イオン界面活性剤は、好適には、カルボン酸のエトキシレート、モノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドのエトキシレート、ソルビダンのモノエステル、ジエステルもしくはトリエステルのエトキシレート、または、脂肪族アルコールのエトキシレートなどの、非イオンポリエチレングリコールからなる。他の好適な非イオン界面活性剤は、１２〜２２個の炭素原子を有する脂肪酸に基づくモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリド、または、１２〜２２個の炭素原子を有する脂肪酸に基づくソルビタンのモノエステル、ジエステルもしくはトリエステルである。記載された非イオン界面活性剤のうち、２〜１２、好ましくは２〜９、最も好ましくは３〜７のＨＬＢ値を有するものが、特に好適である。述べられたＨＬＢ値は、以下の式に従って親水性基の重量％を考慮して決定される。
【０００８】
【数１】

【０００９】
式中、Ｗ_Aは、界面活性剤の重量％におけるグリセリンまたはソルビトールなどの多価アルコールの重量パーセントであり、Ｗ_Eは、界面活性剤の重量％におけるポリエチレンオキシドの重量パーセントである。
【００１０】
特に好ましい非イオン界面活性剤は、エトキシル化されたひまし油、エトキシルソルビタンオレイン酸およびソルビタンエステルである。
【００１１】
８〜２４個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を含有する非イオン界面活性剤に加えて、レシチンおよびケファリンなどのホスファチド類もまた、優れた特性を有する。好ましいホスファチド類は、レシチンおよびアセチル化されたレシチンである。
【００１２】
乾燥動物飼料の調製は、穀類などの原産物の多くをすり潰すことによって始まる。これは、水の損失をもたらす。次に、乾燥内容物が混合される。好適には液相でのいくつかの脂質類、および脂肪酸もまた、乾燥動物飼料に添加および混合可能である。次に、いくつかの異なったモードの処理が存在する。たとえば、混合された乾燥動物飼料は、直接包装可能である。別の可能性は、５５〜９０℃での造粒機における、９０〜１２０℃での膨張機における、または１３０〜１６０℃での押出機における、または包装前のこれらの熱的処理の組合わせによる乾燥動物飼料の熱的処理である。水は、上昇した温度で処理中に蒸発する。処理温度が高ければ高いほどかつ処理時間が長ければ長いほど、より多くの水が蒸発する。
【００１３】
この発明に従えば、水および乳化剤は、乾燥動物飼料の含水量を所望のレベルに増大させるために、１つ以上のステップで乳化剤に添加され得る。添加は、
ａ） 粉末の成分の１つに、もしくは、上昇した温度での可能性ある処理の前の乾燥動物飼料に、
ｂ） 上昇した温度での動物飼料の１つ以上の処理の後に、または、
ｃ） ａ）およびｂ）に従う添加の点の組合わせによって、なされる。添加の後、エマルションは、動物飼料に混合され、疎水性成分が低い融点を有しているならば、動物飼料混合物は、疎水性成分の融点よりも下の温度に冷却される。良好な品質および安定性の顆粒状の粉末を得る目的のために、上昇した温度で最終処理において動物飼料を造粒することが好適である。造粒作業の後に、おそらく、ペレットを所望の粒子の大きさに粉砕することが可能である。
【００１４】
この発明は、以下の例によってさらに例示される。
例１
３６℃の融点を有するラード中に水を含める異なった乳化剤の能力は、以下の方法に従って測定された。４５℃の温度に加熱された２０ｇのラードに、１ｇの、以下の乳化剤の１つが混合され、そこで１０ｇの１０℃の水が、撹拌中に引続いて添加された。混合物が凝固したとき、サンプルは、４時間の間２０℃で放置された。次に、凝固した混合物が分解され、遊離水が空けられ重量が測定された。以下の結果が得られた。
【００１５】
【表１】

【００１６】
結果からわかるように、試験された乳化剤のすべてが、非常に良好な水を含む能力を有していた。
【００１７】
例２
乾燥動物飼料の基本処方は、以下の内容物を混合することによって調製された。
【００１８】
【表２】

【００１９】
１２．０重量％の含水量を有する基本処方に、３０℃の融点を有する２重量部のラードと、１重量部の水と、１５モルのエチレンオキシドを１モルのひまし油に添加することによって得られた０．１重量部のエトキシル化されたひまし油とからなる３．１５重量部のエマルションが添加された。この添加のために、動物飼料は、蒸気処理および造粒の後に、約１２重量％の含水量を得るものと概算された。比較のために、基本処方の添加に加えて、１．１重量部の粉末のライ麦と、３０℃の融点を有する２重量部のラードとをまた含有する検査用処方が調製された。
【００２０】
２つの動物飼料混合物は、蒸気で処理され、次に造粒機に直接供給され、ここで動物飼料は、７０℃の圧力下で造粒された。得られたペレット生成物は冷却され、粗い粉末に粉砕された。
【００２１】
得られた動物飼料混合物およびさまざまな中間生成物が、カール・フィッシャー（Karl Fischer）に従って含水量に関して分析された。以下の結果が得られた。
【００２２】
【表３】

【００２３】
結果からわかるように、この発明に従う動物飼料の含水量は、所望のレベルに達したが、検査用処方の含水量は約１重量％、より低かった。
【００２４】
例３
この例の目的は、約１２．０重量％の含水量を有する膨張されかつ造粒された動物飼料を調製することである。
【００２５】
例１の基本処方に、３０℃の融点を有する３．８重量部のラードと、１．９重量部の水と、０．１５重量部の例１と同じエトキシル化されたひまし油とからなる５．８５重量部のエマルションが添加された。
【００２６】
比較のために、基本処方に加えて、３０℃の融点を有する３．８重量部のラードと、２．０５重量部の粉末のライ麦とをまた含有する検査用処方が調製された。
【００２７】
２つの動物飼料処方は次に、組合わされた膨張および造粒プロセスにあてられた。動物飼料処方は、蒸気で処理され次に、過剰の圧力下で９５℃で膨張器に導入され、ここで動物飼料混合物は、大気圧への圧力抜きにあてられた。膨張の後、動物飼料は、細かい粉末に粉砕され、これは直ちに７０℃で造粒された。造粒された生成物は、冷却され、より小さい粒子に粉砕された。最終生成物、動物飼料処方およびさまざまな中間生成物が、含水量に関してカール・フィッシャーに従って分析された。以下の結果が得られた。
【００２８】
【表４】

【００２９】
結果は、この発明に従う動物飼料について１２．０重量％の含水量を示し、これは検査用処方についてよりも約１重量％より高い。

Claims (11)

1. 予め定められた増大した含水量で粉末の乾燥動物飼料を調製する方法であって、動物飼料に、脂質、脂肪酸またはこれらの混合物を含みかつＡＳＴＭ１５−０４ Ｎｏ．Ｄ５４４０に従って測定された少なくとも１５℃の融点を有する液体疎水性成分中に乳化された水を含有するエマルションを、調製された動物飼料が予め定められた含水量を得るような量で添加し、エマルションを動物飼料に混合するステップを特徴とする、方法。
2. 前記調製された動物飼料を疎水性成分の融点より下の温度に冷却するステップを特徴とする、請求項１に記載の方法。
3. ａ） 動物飼料の粉末の成分の１つにもしくは、上昇した温度での動物飼料の可能性ある処理の前の乾燥動物飼料に、
   ｂ） 上昇した温度での動物飼料の１つ以上の処理の後の動物飼料に、または、
   ｃ） ａ）およびｂ）に従う添加の点の組合わせによってエマルションを添加し、
   疎水性成分が少なくとも２０℃の融点を有することを特徴とする、請求項１または２に記載の方法。
4. 動物飼料を最後の処理として上昇した温度で造粒することにあてることを特徴とする、請求項３に記載の方法。
5. 疎水性成分は、少なくとも３０℃の融点を有することを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１つに記載の方法。
6. ８〜２４個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を含有する非イオン界面活性剤または８〜２４個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を含有するホスファチドからなる乳化剤によって疎水性成分中に水を乳化するステップを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１つに記載の方法。
7. 非イオン界面活性剤は、２〜１２のＨＬＢ値を有することを特徴とする、請求項６に記載の方法。
8. ＨＬＢ値は、２〜９であることを特徴とする、請求項７に記載の方法。
9. 乾燥動物飼料の最終重量に基づいて１〜１０重量％の量でエマルションを添加するステップを特徴とする、請求項１〜８のいずれか１つに記載の方法。
10. エマルションは、水の重量部あたり１〜８重量部の疎水性成分と、疎水性成分の重量部あたり０．００５〜０．０５重量部の乳化剤とを含有することを特徴とする、請求項９に記載の方法。
11. 乾燥動物飼料の含水量を所望のレベルに増大させるために、脂質、脂肪酸またはこれらの混合物を含有しかつ、ＡＳＴＭ方法に従って測定された少なくとも１５℃の融点を有する疎水性成分中に乳化された水を含有するエマルションの使用。