JP4326050B2 - 高速撮像素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
高速現象の連続撮影に適する高速撮像素子および撮影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
(画素周辺記憶型撮像素子)
高速撮影を目的とした固体撮像素子においては、フォトダイオード等の光電変換装置(以下フォトダイオードで代表する)で発生した画像信号(通常電荷)を記録装置に転送するために必要な時間が撮影速度を決める最大の要因である。このため本発明者の開発したカメラをはじめ、ほとんどの高速ビデオカメラで、多数の読み出し線を用いた並列読み出しによって撮像素子から記録装置への画像情報の転送を高速化する方法が採用されている(例えば、江藤、4,500枚/秒の高速ビデオカメラ、テレビジョン学会誌、Vol. 46、 No.5、 543−549ページ、1992年参照)。
【0003】
記録装置への転送を最短とする方法は、画像情報を撮像素子から読み出さずに、撮像素子の受光面内の全てのフォトダイオードの隣に記録装置を設ける方法である。全てのフォトダイオードから一斉に記録装置に画像情報を転送するので、受光面内のフォトダイオードの数(通常数万〜数100万個)の並列処理による画像情報転送となる。従って1個のフォトダーオードから隣の記録要素への転送時間が画像1枚当たりの撮影速度となり、その逆数が1秒間あたりの撮影枚数(フレームレート)となる。これが画素周辺記録型撮像素子である。このタイプの撮像素子を、本発明者らは、ISIS(In−situ Storage Image Sensor)と呼んでいる。ISISにより100万枚/秒以上の撮影速度で連続撮影することができる。
【0004】
(アナログ型とデジタル型)
画像情報としては、電荷、電圧のようなアナログ型と、デジタル型がある。
【0005】
各画素にAD変換器を備え、最初から情報をデジタル化し、その後の処理は全てデジタル回路で行うのが理想的である。画素内に入る超小型AD変換器を作ることは理論的には可能である。しかし小型化すると変換精度が急激に下がる。精度を上げるには繰り返しサンプリング法などを使うことができるが、多数回の繰り返しには時間がかかって、超高速撮影には適さない。
【0006】
一方、画素周辺記録型撮像素子では画素サイズが大きく、数10ミクロンの長さのAD変換器を組み入れるスペースが取れること、および100万枚/秒のビデオカメラであれば数メガヘルツの比較的低い周波数で良いことを考慮すれば、将来的にはデジタル型が作れる可能性はある。
【0007】
アナログ型にも2種類ある。記録装置への画像信号の転送手段として、電荷結合素子型電気信号転送路(CCD転送路)を用い、CCD転送路をそのまま記録装置として使う場合(以下CCD型と呼ぶ、転送型とも呼ばれる)と、MOS型のスイッチを介して、電線を通じて近傍の記録場所に送る方法(以下MOS型電気信号記録手段と呼ぶ、XYアドレス型とも呼ばれる)がある。
【0008】
(MOS型)
MOS型では、本発明者らの提案等がある(T. Etoh and K. Takehara、 Ultrahigh-speed multiframing camera with an automatic trigger, Ultrahigh- and High-Speed Photography and Photonics, SPIE Vol. 1757, pp.53−59、 1992年、参照)。
【0009】
MOS型はノイズレベルの点でCCD型に劣るとされてきたが、近年CMOS技術の細精化に伴って、個々の画素内に30倍程度の増幅器等を組み込むことにより、SN比を大きく改善した撮像素子が市販されるようになってきた。これらはCMOS−APS(Active Pixel Sensor)と呼ばれている。
【0010】
画素周辺記録型撮像素子としてCMOS型を採用する場合、フォトダイオード一つ一つに増幅器を付け、記録場所に転送する前に増幅できれば理想的である。超小型増幅器では、現在のところ高い周波数で大きな増幅はできない。
【0011】
ただし、デジタル型の場合と同じく、大きな画素サイズ、比較的低い数メガヘルツの周波数を考慮すれば、記録場所への転送の前段階で10倍オーダーの増幅器を入れることができる可能性は高い。
【0012】
通常のデジタルカメラやビデオカメラでは、全ての画素から順次、画像1枚分の情報を読み出す間に増幅すれば良いので増幅器の過渡応答が終了するまでに十分な時間が取れる。
【0013】
MOS系の撮像素子のランダムノイズは読み出し線の寄生容量が大きいほど大きいが、画素周辺記録型素子では転送距離が数〜数10ミクロンで、一般の素子のように受光面外に読み出す場合の1/1000〜1/100である。また細精加工により、転送のための金属線の断面積も非常に小さくなってきた。従って画素周辺の記録要素への転送時のランダム誤差は小さい可能性がある。この場合は撮影終了後の信号読み出し時に増幅器を使えばよい。
【0014】
時間的に変化しない固定パターンノイズ(FPN)はMOS系撮像素子の一つの課題である。特にCMOS−APSでは個々の画素の増幅器等の性能にばらつきによるFPNがある。しかし科学技術計測ではFPNはほとんど問題にならない。すなわち科学技術計測では、撮影後のデジタル画像処理を行うのが普通なので、このプロセスでキャンセルできる。
【0015】
以上、現在の技術でCMOS型の画素周辺記録型撮像素子が作れる可能性は高い。
【0016】
デジタル型が理想の形態ではあるが、現状ではAD変換器の小型化が課題である。CMOS−APS型については、通常の撮像素子の製作について実績が少ない。CMOS−APS型とCCD型の最終的な優劣については現段階では予測できない。CCD型とMOS型にはそれぞれ良い点があるので、良い所を組み合わせた素子を作るのが自然な流れである。
【0017】
(CCD型)
CCD型の画素周辺記録型撮像素子については、図1に示すKosonockyらの発明(米国特許第5,355,165号)があり、既に50万枚/秒の等時間間隔連続撮影が達成された。この素子の連続撮影枚数は30枚である。
【0018】
通常の撮像素子では、1個のフォトダイオードと付随する1個のCCD(電荷結合素子)型転送路からなる単位領域を1ピクセルと呼ぶ。もしくはフォトダイオードで発生し、1個のCCD要素に蓄積される1単位の画像情報を1ピクセルと呼ぶ。
【0019】
Kosonockyらは図1中の点線で囲まれている、1個のフォトダイオード1、多数の要素を持つCCD転送路5、6、操作に必要なゲート等3を含む単位領域を、マクロピクセル4と呼んでいる。これは、マクロピクセル4と、1個のCCD要素やそこに蓄えられる1画像情報とを区別するためである。以下では1マクロピクセルのことを1画素と呼ぶ。
【0020】
フォトダイオードで発生した電荷を、まず水平CCD5上を右方向に5ステップ転送し、水平CCDの5個の要素全てが満たされると同時に下に配置した5本の並列垂直CCD6上に転送する。この繰り返しにより、30(=5×6)枚の連続画像を蓄積できる。
【0021】
さらに、もう一度垂直転送を行うと、5本の垂直CCDの最下段に蓄積された5個の画像信号は、直下の画素の水平CCD5bに移される。次のステップで全てのフォトダイオードから水平CCDに電荷を転送するとき、直前に水平CCD5bに移された、上の画素の画像信号は逐次右方向に輸送され、各画素の左上隅に作られたドレーン7(この場合は右下隅の画素内のドレーン7c)に捨てられて、さらに撮像素子外に排出される。すなわち常に30個の最新の画像情報が連続上書き記録される。
【0022】
連続上書き撮影機能は、高速撮影において重要な、現象生起と撮影タイミングの同期を取る上で極めて有用である。この機能があると、撮影対象現象の生起を検出した直後に連続上書き撮影を停止すれば、その時点から過去に遡って現象が生起した時点の画像情報を再生できる。撮影対象とする超高速現象を、直前に生起することを予測して撮影を始めることは極めて難しい。一方、通常、現象の生起は直ちに確認できるので、その直後に撮影を停止することは容易である。
【0023】
図1の発明の問題点は、水平CCD5上で、電荷の転送方向が水平・垂直交互に直角に急変することである。非常に早い速度でこれを行うとどうしても不完全転送(電荷の取り残し)が生じる。また、この部分の電極配置が複雑になり、ノイズの発生の原因になる。また、電極配置が複雑になるためCCD転送路の1要素のサイズが大きくなり、記録容量(連続撮影枚数)が減る。もしくは画素(マクロピクセル)サイズが大きくなるため、同一の受光面積に対しては総画素数が減り、解像力が下がる。
【0024】
以上まとめると、Kosonockyらの発明では、水平CCD上で電荷の転送方向が2方向に交互に急変するために画質が低下することが大きな課題である。
【0025】
図2及び図3は本発明の発明者が発明した画素周辺記録型撮像素子である(特開平9−55889号公報、及び、江藤他:ISIS(画素周辺記録型撮像素子)の性能と将来性:高速度撮影とフォトニクスに関する総合シンポジウム1997講演論文集:403〜412ページ:1997年、参照)。
【0026】
図2及び図3の場合、フォトダイオード8で発生した電荷は、インプットゲート9でCCD転送路10上に乗せられ、ゆるやかな曲線11で規則的にフォトダイオードとフォトダイオードの間を斜めに横切るCCD転送路10上を鉛直一方向に輸送され、6画素の長さにわたって転送されたのち、ドレーンゲート14からドレーン15に排出される。
【0027】
インプットゲート9とドレーンゲート14の間のCCD転送路10の区分に、常に最新の画像情報が連続上書き記録される。
【0028】
(第1の課題)
図2及び図3の場合、1方向転送であって急激な転送方向の転換がないため、電荷の完全輸送が可能となる。また、電極配置が単純化されるため、CCD要素サイズを小さくでき、連続上書き枚数もしくは総画素数が増える。
【0029】
ただし図2及び図3の場合、画素配列が正方配列ではなく、少しづつ右にずれていく。科学技術計測では撮影後、撮影した画像に様々のデジタル画像処理を行うので、非正方配列から正方配列への画素配列の転換等は容易である。しかし画像処理のステップ数は少ないほど画質の劣化が少ないので、可能であればはじめから正方配列にしておく方が良い。これは図2及び図3に示す撮像素子における一つの課題である。
【0030】
(第2の課題)
画素周辺記録型撮像素子では、各画素内に多くの記録要素を組み込むため、画素サイズが通常の素子の数倍以上の長さとなり、画像の再生に必要最小限の数の画素(256×256程度)を持つ素子を作る場合でも、受光面積が非常に大きくなる。このような撮像素子はlarge format sensor(大型素子)と呼ばれる。大型撮像素子の歩留まり率は小さい。歩留まり率とは、製品化するときの全製造品数に対する製品(販売可能な製造品)の数の割合である。
【0031】
例えば、図3の素子では、1画素当たり、縦方向に8個のCCD要素を備え、横方向に平行に6本のCCD転送路10を備えている。従って、256×256画素の解像力の撮像素子を作るためには、2048×1536(=(256×8)×(256×6))のCCD要素を必要とする。すなわち、約300万のCCD要素を持つ撮像素子を作る必要がある。現在の技術でも無欠陥の300万要素のCCD型撮像素子を作ることは難しい。
【0032】
CCD型撮像素子では、転送に付随するノイズは非常に小さい。しかし転送路上に欠陥があると、その点より上の画素の情報が読み出せないので線状の欠陥になる。これにより、歩留まり率が大きく低下する。一方、MOS型撮像素子では読み出し線からの読み出し時のノイズは大きいが、製造技術はCCD転送路に比べてはるかに簡単である。また、欠陥は画素単位の点状の欠陥となる場合が多い。点状の欠陥は周囲の画素の画像情報で内挿することにより補正できる。このようにCCD型撮像素子では、歩留まり率は大型撮像素子を製品化する際の最大の課題である。
【0033】
(第3の課題)
撮影条件設定時の間欠撮影操作について説明する。
【0034】
超高速撮影では非常に強い照明を必要とする。また高速転送のため撮像素子が発熱する。これらは生物試料等の劣化や熱雑音の原因になる。ただし、超高速撮影では撮影時間は1秒未満である。時間がかかるのは、撮影条件の設定時である。従って、撮影条件設定時の照明等における発熱を防止すればよい。
【0035】
電子式のビデオカメラでは、30枚/秒の画像があれば連続的に動く画像を再生できる。例えば、撮影時に100万枚/秒で連続撮影するために画角の設定や、ピント、感度等を調整しているものとする。1秒間に30回だけ、ピーク強度が撮影時の連続照明強度にほぼ等しいストロボで100万分の1秒づつ照明する。それに同期させて1秒間に30回撮影した画像情報を使って、モニターディスプレー上に1秒間に30回づつ画像を再生すれば、通常のテレビジョンと同じ十分スムーズな動画像が得られる。これにより、撮影時とほぼ同じ条件で撮影した画像をオンラインでモニタリングでき、支障なく撮影条件を設定できる。一方、合計の照明時間や撮像素子の操作時間は連続撮影の場合の30/1,000,000となり、激減する。例えば撮影条件の設定に1時間(3,600秒)かかるとしても、総照明時間は3,600×30/1,000,000秒で、わずかに0.1秒にしかならない。
【0036】
CCD型撮像素子を使う場合は通常、画像を再生するためにはCCD要素内に蓄えられている画像情報を、不要なものまで含めて逐次的に一旦全て素子外に読み出す必要がある。大型の撮像素子で全ての画像情報を読み出すには高速転送を必要とし、発熱の原因となる。
【0037】
従って、図1から図3の発明のように、CCD型転送路を記録手段として用いる画素周辺記録型撮像素子においては、撮影条件の設定時に、画像情報を速やかに撮像素子外に読み出すことが課題となる。
【0038】
科学技術計測においては、可視光だけでなく、紫外線、赤外線、X線、ガンマ線等の電磁波や、電子流、中性子流、イオン流等の粒子流等による画像計測も重要である。これらの電磁波や粒子流を用いた超高速撮影の手段を提供することも課題である。
【0039】
【課題を解決する手段】
上記第1、第2、及び第4の課題に鑑み、第1の発明は、受光面に入射する光、電磁波、又は粒子流の強度に応じた電気信号を発生する複数の信号変換手段と、個々の前記信号変換手段に対して1本ずつ設けられ、一端が対応する上記信号変換手段に対して第1のゲートを介して接続され、他端が第2のゲートを介して読み出し線に接続され、かつ線状である複数のCCD転送路とを備え、上記信号変換手段は、上記受光面上に正方形又は長方形の升目の全てもしくは一つおきに配置され、上記CCD転送路の中心線は、上記CCD転送路の延在方向に近接する2個の前記信号変換手段と対応する上記CCD転送路とを接続する上記第1のゲートの位置を結ぶ直線に対して傾斜し、撮影時には、上記信号変換手段で発生した電気信号を、上記第1のゲートを介して前記CCD転送路に転送し、さらに前記CCD転送路上を前記一端側から他端側に転送し、読み出し時には、上記CCD転送路上の上記電気信号を上記一端から上記他端側へ転送し、上記前記第2のゲートを介して上記読み出し線に読み出すことを特徴とする高速撮像素子を提供するものである。ここで「線状」とは、個々の信号変換手段に対応する個々のCCD転送路が、それぞれ直線形状であるか、部分的に屈曲部分や湾曲部分を有する形状であることをいう。「傾斜」とは上記CCD転送路の中心線が上記直線に対して平行でもなく、かつ、垂直でもないことを意味する。
【0040】
画素配列は正方配列となる。正方画素配列の素子は、科学技術計測において撮影終了後の画像処理が容易であるばかりでなく、歩留まり率向上のために、大型撮像素子を切り出すための切り出し線を作ることが容易である。
【0041】
本発明の撮像素子では、CCD転送路に欠陥があっても、それより上に位置する画素で発生した電気信号を受光面外に読み出すことができ、その欠陥によって生じる再生画像上の欠陥を点状の限られた欠陥に止めることができる。点状の欠陥は、周囲の画素の画像情報を用いて補正することができる。これにより歩留まり率は格段に向上する。
【0042】
撮影中は各画素の信号変換手段で生じた最新の画像情報(電荷)を、周辺に設けたCCD転送路上を1方向に高速で転送して蓄積することにより、超高速で連続上書き撮影できる。
【0043】
第3の課題に関し、各信号変換手段から、CCD転送路を通過することなく、直接読み出し線に接続する手段を備えることが好ましい。具体的には、個々の上記信号変換手段は発生した上記電気信号を収集する電荷収集井戸を備え、上記電荷収集井戸の一方側に上記第1のゲートが設けられ、上記電荷収集井戸の他方側に上記読み出線に接続された第3のゲートが設けられ、撮影条件設定時には、上記第1のゲートを閉じる一方上記第3のゲートを開き、上記信号変換手段で発生した上記電気信号を、上記CCD転送路を介することなく上記第3のゲートから上記信号読み出し線に読み出すことが好ましい。
【0044】
かかる構成とした場合、撮影条件設定時に、間欠的に照明を行いながら、CCD転送上の画像情報を全て読み出すことなく、間欠的な照明が当たった瞬間だけの画像情報を読み出し、熱雑音の発生や、生物試料等の劣化を防ぎつつ、撮影装置の設定後に行う超高速撮影時とほぼ同じ条件で、撮影状態をモニタリングすることができる。
【0045】
各信号変換手段は、互いに絶縁された複数部分に分割され、これら分割された複数部分が共通の上記第1のゲートを介して上記CCD転送路に接続されている構成とすることが好ましい。
【0046】
この場合、電荷の収集を早めるために信号変換手段の分割された各部分に電位勾配を設けても、CCD転送路と信号変換手段の間の電位差が過度に大きくならず、信号変換手段に発生した電気信号を確実にCCD転送路に送ることができる。また、各信号変換手段の個々の分割された部分は小面積のものでよいため、現在に入手可能で品質等の実績がある一辺数ミクロンと10数ミクロン程度のフォトダイオードを使用して信号変換手段を構成することができる。
【0047】
受光面の1辺から他の辺まで連続する切断可能な帯状の空間を持つ構成とすることが好ましい。
【0048】
この場合、大型撮像素子の一部に欠陥があれば、無欠陥部分だけを切り出して、解像力の低い安価な小型素子として使うことができる。さらに、これらを張り合わせることにより、大型素子に等価な素子を提供することができ、格段に高い歩留まり率で、比較的高い解像力で連続動画像再生に必要な連続画像枚数を超高速撮影することが可能となる。
【0049】
第1、第2、及び第4の課題に鑑み、第2の発明は、受光面に入射する光、電磁波、又は粒子流れの強度に応じた電気信号を発生する複数の信号変換手段と、個々の信号変換手段に対して1本ずつ設けられ、一端が対応する上記信号変換手段に対してインプットゲートを介して接続され、他端が読み出しゲートを介して水平信号読出線に接続され、かつ複数のキャパシタがそれぞれ選択ゲートを介して接続された複数の垂直信号線とを備え、上記信号変換手段は、上記受光面上に正方形又は長方形の升目の全てもしくは一つおきに配置され、上記垂直信号線は、上記垂直信号線の延在方向に近接する2個の信号変換手段と対応する上記垂直信号線が接続する位置を結ぶ直線に対して傾斜し、撮影時には、上記インプットゲートを開いた状態で保持し、上記選択ゲートを順次開いて上記複数のキャパシタに上記信号変換手段で発生した上記電気信号を順次記録し、読み出し時には、上記読み出しゲートを開いた状態で保持し、上記選択ゲートを順次開いて上記複数のキャパシタ内に記録された上記電気信号を上記垂直信号線を介して上記水平信号読出線に読み出すことを特徴とする高速撮像素子を提供するものである。ここで「線状」とは、個々の信号変換手段に対応する個々の垂直信号線が、それぞれ直線形状であるか、部分的に屈曲部分や湾曲部分を有する形状であることをいう。「傾斜」とは上記垂直信号線が上記直線に対して平行でもなく、かつ、垂直でもないことを意味する。
【0050】
画素配列は正方配列となる。正方画素配列の素子は、科学技術計測において撮影終了後の画像処理が容易であるばかりでなく、歩留まり率向上のために、大型撮像素子を切り出すための切り出し線を作ることが容易である。
【0051】
撮影中は各画素の信号変換手段で生じた電荷を、周辺に設けたキャパシタ(MOS型電気信号記録手段)に順次蓄積することにより、超高速で連続上書き撮影できる。
【0052】
第3の課題に関し、撮影条件設定時には、上記インプットゲートを開いた状態で保持する一方、全ての上記選択ゲートを閉じた状態で保持し、上記読み出しゲートを開くことにより、上記信号変換手段で発生した上記電気信号を上記垂直信号線を介して上記水平信号読出線に読み出すことが好ましい。
【0053】
かかる構成とした場合、撮影条件設定時に、間欠的に照明を行いながら、間欠的な照明が当たった瞬間だけの画像情報を読み出し、生物試料等の劣化を防ぎつつ、撮影装置の設定後に行う超高速撮影時とほぼ同じ条件で、撮影状態をモニタリングすることができる。
【0054】
また、信号変換手段を複数部分に分割する構成とする場合には、個々の分割された部分と電気信号記録手段との間に増幅手段を介在させることが好ましい。
【0055】
増幅手段としてトランジスタを使用する場合、電荷の流れる方向と直交する方向の寸法(幅)が大きい程、増幅効率がよいが、電気の流れる方向の寸法(長さ)に対して幅が大きくなり過ぎると、幅方向の電位の一様性を保持することが困難となる。これに対して、信号変換手段を複数部分に分割しておけば、個々の増幅手段の幅は小さくなるものの、複数の増幅手段の幅の合計が大きくなり、かつ、個々の増幅手段では幅が長さに対して大きくなり過ぎないため幅方向の電位の一様性が確保される。よって、かかる構成とすることにより、増幅手段の増幅効率が向上し、許容電荷量も大きくなる。
【0056】
受光面の1辺から他の辺まで連続する切断可能な帯状の空間を持つ構成とすることが好ましい。
【0057】
この場合、大型撮像素子の一部に欠陥があれば、無欠陥部分だけを切り出して、解像力の低い安価な小型素子として使うことができる。さらに、これらを張り合わせることにより、大型素子に等価な素子を提供することができ、格段に高い歩留まり率で、比較的高い解像力で連続動画像再生に必要な連続画像枚数を超高速撮影することが可能となる。
【0058】
さらに、第3の発明は、上記高速撮像素子を備える撮影装置を提供するものである。かかる撮影装置は、コンパクトで安価な100万枚/秒の超高速ビデオカメラとなる。
【0059】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
【0060】
図4は本発明の第1実施形態である。
【0061】
まず連続上書き撮影時の操作について説明する。
【0062】
フォトダイオード30aで発生した画像情報(電荷)は電荷収集井戸31aに集められ、インプットゲート32aからCCD転送路33aに転送され、CCD転送路33a上を下方に転送される。
【0063】
CCD転送路33a上の電荷の転送は標準的な3相駆動で行う。
【0064】
CCD転送路33aはインプットゲート32aと下の画素のインプットゲート32bを結ぶ垂直線40に平行ではなく、図において左に傾斜している。この傾斜のために、下の画素のインプットゲート32bから出るCCD転送路33bを受光面内に組み入れることができる。
【0065】
CCD転送路33aは6画素分の距離を、下方斜めに直線的に延びる。最下端にはドレーンゲート35aとドレーン36aを設けている。画像情報はCCD転送路33a上を転送されたのち、ドレーン36aから素子外に排出される。後述のごとくドレーンゲート35aは読み出しゲートと併用している。
【0066】
図5は図4を拡大したものである。CCD転送路33aには1画素あたり10個のCCD要素34が作られているから、6画素分の長さで60個のCCD要素がある。これが記録手段となる。すなわち常に画像60枚分の最新の画像情報が保持される。科学技術用途において動画像再生に必要な最少の連続画像枚数は50枚(<60枚)である。これにより、画像は少しぎくしゃくするが5枚/秒で10秒間以上の動画像が再生できる。
【0067】
CCD転送路33aの、インプットゲート32a,32bを結ぶ垂直な線40に対する傾きは、1画素分下方に進むごとに、転送路1ピッチ(CCD転送路33が1本と、CCD転送路33を隔てるチャネルストップ1本の幅の和)だけ左にずれる傾きである。
【0068】
1画素の長さにCCD要素が10個入る。また本実施形態ではCCD要素1個の縦の長さは4.8ミクロンで、転送路ピッチも4.8ミクロンで等しい。従って、1画素(10CCD要素)進むときに1転送路ピッチだけ左にずれる。従って傾きは1/10である。角度で表せばアークタンジェントを取って5.71°傾いている。ちなみに、転送路ピッチの内訳は、CCD転送路33が3.2ミクロン、チャネルストップが1.6ミクロンである。
【0069】
このため、インプットゲート32aから下方へ1画素進むと、4.8ミクロン左にずれ、下の画素では、インプットゲート32bの左に、ちょうどCCD転送路33が1本と、チャネルストップ1本が入るスペースができる。
【0070】
もし、上のフォトダイオード30aから伸びるCCD転送路33aが垂直であるとき、下のフォトダイオード30bに直接接続する新たなCCD転送路33bを作ろうとすれば、下のフォトダイオード30bをインプットゲート32bとともに、右にCCD転送路1ピッチ分ずらせば良い。この場合、上下のフォトダイオード30a,30bに対する左右2本のCCD転送路33a,33bの中心線はともに垂直になる。一方、インプットゲート32aと、インプットゲート32bを結ぶ線の方が右に1/10だけ傾斜するので、CCD転送路33a,33bの中心線とインプットゲート32a,32bを結ぶ線は平行とはならない。この例は、原理的には本実施形態と同じであるが、本実施形態の方が正方画素配列である理由で優れている。
【0071】
また、上のフォトダイオード30aから降りてくるCCD転送路33aを上のフォトダイオード31a(もしくは上の画素)の下端で止めれば、下のフォトダイオード31bに対するCCD転送路33bを作ることができる。しかしCCD転送路33上のCCD要素の数が10個になるから、連続画像枚数が10枚となって動画像が再生できない。すなわちビデオカメラにはならない。
【0072】
上から降りてくるCCD転送路33aに、下のフォトダイオード30bで発生した画像情報を転送すると、上下の画素の画像情報が混じって画像を再生できない。
【0073】
CCD転送路33aの中心線、インプットゲート32a,32bを結ぶ線をともに図において上下方向に延在し、互いに平行とすることは可能ではある。上から降りてくるCCD転送路33aの左側に下の画素のCCD転送路33bを作って、下のフォトダイオード30bから、CCD転送路33aを1本をまたいで電荷を送れば良い。この接続をCCD以外の原理、例えば単純に金属線でつなぐと電荷の完全転送ができない。CCD原理で跨ぐには、跨がれる要素が2方向交互転送要素となる。すなわち、跨ぐときには水平方向の転送、上からの画像情報を送るときは垂直転送になる。現在の技術水準で高速で2方向交互転送を行うことは難しい。実はこの技術はKosonockyらの発明における根幹技術であり、また彼らの発明の最大の問題点でもある。本発明の主目的はまさにこの問題点を解決することである。
【0074】
以上、上下のインプットゲート32a,32bを結ぶ線に対してCCD転送路33を傾斜させていることが本実施形態を可能にしている。
【0075】
1画素の縦のサイズは、48ミクロン(=4.8×10要素)である。CCD転送路33の部分の幅は、転送路7本とチャネルストップ6本分を加えて32.0ミクロン(=3.2×7+1.6×6)である。従ってフォトダイオード30の幅は16.0ミクロン(=48−32.0)である。画素数は256×256である。従って受光面の1辺は12.288mmである。チップサイズは15×15mmである。チップの製造、カメラの製作ともに標準的な光学系が使える。
【0076】
電荷収集井戸31、ドレーン36、インプットゲート32、ドレーンゲート35等はフォトダイオード領域上部に作られる。この領域の高さは6ミクロンである。従ってフォトダイオード30の面積を画素面積で割った開口率は29.2%(=16.0×(48−6)/(48×48))である。オンチップマイクロレンズを乗せれば実質開口率は上がる。
【0077】
撮影対象とする現象が生起したときは、連続上書き操作を停止する。その後CCD転送路33内に保持されている画像情報を読み出す。この読み出し手段について説明する。
【0078】
CCD転送路33の転送操作は停止している。CCDの転送操作を1ステップだけ進める。この状態で全ての画素の中から1画素だけを選んで、CCD転送路33aの下端のドレーンゲート35aだけを開く。これにより画素で発生した60個の画像情報のうち、最初の画像情報がドレーンゲート35aからドレーン36aへ、そしてドレーン線58aに排出される(図6参照)。全てのドレーン線58は一つにつながり、読み出し操作時には受光面外の読み出し回路に接続されている。読み出し回路を通じて素子外に画像情報として読み出される。
【0079】
すなわち、受光面内の読み出し線とドレーン線58は共用されている。またドレーンゲート35は読み出しゲートを兼ねている。
【0080】
画素を順次選択してゲートを一つづつ開けるにはMOS型回路を用いる。図9はMOS型読み出し回路を示す。
【0081】
画像情報である電気信号(電荷)は各CCD転送路33の最下端要素に保持されている。読み出し兼用のドレーンゲート35が、図で言えば垂直MOSスイッチ(ゲート)35である。垂直走査シフトレジスタ45から水平制御線56の中の1本の水平制御線56aに電圧を送ると、この水平制御線56aに連なる横1行の垂直MOSゲート35が一斉に開いて通電状態となる。この状態を保って、水平走査シフトレジスタ46から受光面外に並んだ水平MOSゲート47に順次電圧を送る。電圧を送ったゲートに連なる垂直信号読み出し線と、通電中の水平制御線56の交点に当たるフォトダイオード30(図4、図5では60番目の画像情報蓄積要素、すなわち最下端の転送路要素)から、画像信号が読み出し線兼用のドレーン線58に流出する。以下、垂直走査シフトレジスタ45から、順次電圧を送り、その状態で水平走査シフトレジスタ46を走査する。こうしてある時点に対する全ての画素の画像情報を順次読み出す。
【0082】
本実施形態ではCCD転送路33に欠陥があっても、影響するのはそのCCD転送路33に画像情報をインプットする1個のフォトダイオード30が代表する画素だけであり、再生画像上では点状の欠陥となる。これは補正できるので製造歩留まり率を格段に向上させることができる。
【0083】
次に撮影条件設定中の間欠モニタリング手段について説明する。
【0084】
ドレーン36と電荷収集井戸31の間にはオーバーフローゲート48が設けられている。これにより、撮影時に強い光が入って過剰な電荷が生じたときは、ブルーミングが起こらないように過剰電荷はドレーン36に排出される。読み出し操作中はオーバーフローゲート48は完全に閉じる。オーバーフローゲート48はリセットゲートとしても使う。
【0085】
撮影条件の設定時には、オーバーフローゲート48を読み出し用MOSゲートとして使う。これにより、CCD転送路33を経由することなく直接画像情報を読み出せる。この場合ドレーンゲート35は閉じる。例えば図5でフォトダイオード30aのオーバーフローゲート48aを開けると、電荷収集井戸31aに集まった電荷は、右のドレーン36に移って受光面外に読み出される。
【0086】
撮影条件設定時の照明はストロボ等による間欠照明である。読み出し中の光の入射による電荷の発生を防ぐため、この間はメカニカルシャッターを閉じる。撮影後の読み出し中もメカニカルシャッターを閉じる。
【0087】
読み出し回路は上記のMOS回路に限らない。CMOS回路でも良い。CMOS回路はMOS型を改良して所用電力を下げたものである。高速撮影では照明用に大きな電力を必要とするので、電池を電源とする撮影はできない。従って本発明ではMOS型でも良い。
【0088】
ドレーン線58(読み出し線の前段階に増幅回路を入れても良い。また電荷量を電圧に変換して、画像情報を破壊することなく何度も読み出せるようにしたCMD等を組み入れても良い。ノイズを低減したTSL−MOS型回路でも良い。これらの方法により、読み出し線を使った読み出しに特有のランダムノイズを低減させ、CCD転送路による低ノイズ転送の利点を生かすことができる。
【0089】
図6から図8は図5の上に重なる面を示している。図5は、CCD転送路33の要素とポリシリコン電極51aから51cの配列を示している。図6は第1(下層)金属線配置面を示している。図7は第2(上層)金属線配置面を示している。最上面の図8はフォトダイオード30以外への光の入射を防ぐ遮光面50を示している。
【0090】
これらの図において、わかりやすいように、図6の第1金属層は図5の上に重ねて書いている。図7の第2金属層も図5の上に重ねて書いている。しかし、図が複雑になるので、図7には中間の第1金属層は書いていない。同様に図8には図5と最上層だけを書いている。
【0091】
図5に示すように、各CCD要素34上には縦方向に3枚のポリシリコン電極51a、51b、51cが乗っている。各ポリシリコンの水平方向の長さは、転送路領域(左右の2列のフォトダイオードに挟まれる縦長の面)の幅30.6ミクロンである。幅は1枚当たり1.6ミクロンピッチである。3枚で4.8ミクロンピッチである。
【0092】
CCD転送路33上を電荷を転送するために、ポリシリコン電極51a〜51cを駆動するための電圧を与える必要がある。図6で52a、52b、52cは駆動電圧を送るための3本一組のアルミニウム線である。それぞれ第1、第2、第3相の駆動電圧を送る。
【0093】
53a、53b、53cはコンタクトポイントである。図10は1本のアルミニウム線52a〜52cからコンタクトポイント53a〜53cを経由してポリシリコン電極51a〜51cに至る駆動電圧の転送経路を示している。コンタクトポイント53a〜53cをチャネルストップ上に作るので、チャネルストップの幅は広め(デザインルールが0.8ミクロンでその2倍)にしている。
【0094】
図11はインプットゲート32の拡大図である。インプットゲート32の部分では第1、第2相のポリシリコン電極51、51が電荷収集井戸31まで延長されており、ポリシリコン電極51a,51bに駆動電圧が加えられたとき、電荷収集井戸31とCCD転送路33の間の電位障壁が下がって電荷は転送路上に転送される。
【0095】
図6の金属線58はドレーン線(信号読み出し併用である。
【0096】
図7で金属線56、57はそれぞれ、ドレーン読み出し併用ゲート35およびオーバーフローゲート48の操作電圧を送るための金属線である。
【0097】
本実施形態では遮光層(図8)を除いて2層の金属層を用いている。2層あれば立体交差が可能になるので、受光面内外を問わず自由に回路が組める。
【0098】
(第2実施形態)
【0099】
本発明に係る第2実施形態を図12に示す。第1実施形態との違いは、MOSスィッチ型の読み出し回路のかわりに、フォトダイオード30とフォトダイオード30の間に水平CCD転送路80を備えていることである。ドレーン36は連続上書きとブルーミングコントロール等に使う。
【0100】
超高速撮影時には転送方向の急変による不完全転送を防ぐことは難しい。従って電荷をCCD転送路33上を上から斜め下に転送し、急角度で曲げ、水平CCD80に移すと、曲がった後の水平CCD要素上の画像情報は劣化する。しかしこれらは最初の数画面分の画像情報であり、これらを除いて60画面分の画像情報が転送路33上に蓄積されている。
【0101】
電荷収集井戸31やオーバーフローゲート(リセットゲート兼用)48等の配置は第1実施形態(図5)と同じである。電極や金属線等の配置も基本的に第1実施形態と同じである。水平CCDへの駆動電圧は、フォトダイオードの下部をかすめて、細い金属線で送る。透明ポリシリコンで送っても良い。
【0102】
一方、画素周辺記録型撮像素子では、撮影終了後の読み出しは低速でゆっくり読み出すことができるので、直角方向の転送でもほぼ完全に転送できる。しかもこの場合は転送方向が交互に変わるのではなく、一定の方向なので電極の設計もとくに複雑にはならない。
【0103】
この場合CCDにより画像情報を完全に転送して受光面外まで転送し高い画質の画像を得ることができる。また読み出し線等が入らない分だけ撮像素子の構造が単純になり、画質が向上する。
【0104】
(第3実施形態)
【0105】
図13に画素配置を示す。これからわかるように本実施形態は図2及び図3に示す緩やかな曲線部を持つCCD転送路33を持つ撮像素子の画素を、正方配置に変えたものであると見ることもできる。また、図12に示す第2実施形態で急に曲がる角部をゆるやかな曲線に変えたものでもある。
【0106】
本実施形態では、図13に示す撮像素子を反転、回転して作られる4個の素子を、縦横の中心線に沿って接合することができる。その中心部を示したものが図14である。これにより、正方配置の利点に加えて、後で述べるように中央線で1/4に切断・接合できる撮像素子になる。
【0107】
受光面内に斜行部や曲線部を持つCCD型撮像素子は提案された例がない。特に受光面内で何度もゆるやかに曲線を描くCCD型転送路は撮像素子技術者にとって全く馴染みがない。しかし本実施形態は、第1、第2実施形態に比べても、不要な回路や急激な方向変化などを伴わない最も単純で無理のない構造になっている。
【0108】
ただし、大型の完全CCD撮像素子では製造歩留まり率が最大の問題である。本実施形態はこの課題を解決している。
【0109】
通常のCCD型撮像素子では受光面の端から端まで電極などが配置される。図1のKosonockyらの並列CCD型の場合も、端部まで電極やゲートが作り込まれている。
【0110】
本実施形態では、4個を組み合わせる前の1個の素子について、図13において上辺と右辺には電極などが全く組み込まれない。受光面外からの制御電圧送付や受光面外への読み出し線等は、2層金属配線を使えば自由に組み込めるので、下辺と左辺から送ることができる。このような素子4個を組み合わせると、図14に示すように、中心線に沿って電極、電線等が全くない細長い領域が生じる。ただし、中心線に面する画素については電荷収集井戸31やドレーン36の位置を少しずらしている。中心線に沿う領域では、図14に示すように、フォトダイオード30のまわりに十分空間が開いているので、この程度の配置の変更は自由にできる。
【0111】
上下、左右2本の中央線83、84に沿って、どこか1ないし2個所に欠陥のあるチップを切れば、1/4の無欠陥部分だけを取り出すことができる。またこうして取り出した1/4画素分のチップを突き合わせれば、大きいサイズの素子となる。このような切断・接合可能(cuttable/buttable)な配置により歩留まり率が格段に向上する。
【0112】
例えば、1/4画面の素子で歩留まり率が10%のとき、その2倍の画面では1%、もとのサイズではさらにその2乗の0.01%となり、10,000個製造して1個しか使えないことになる。1/4づつを使うときの歩留まり率は10%である。
【0113】
図2、図3に示す撮像素子では切断・接合できない。これは、フォトダイオードの位置が少しづつ横にずれ、これらを結ぶ線が中心線と交わるからである。本発明では正方画素配置を採用しているので、画素の凹凸がない。これが切断・接合を可能にしている。
【0114】
第1、第2実施形態でも、中心線に沿って配置とフォトダイオード30の形状を少し変更すると中心線に沿う切断可能な細長い領域を作ることができる。例えば中心線に沿うフォトダイオード30の縦方向の長さを10ミクロン程度短くし、横幅を広げて他のフォトダーオード30と同じ面積にすれば、中心線に沿って20ミクロンの切断可能領域ができる。中心線付近には記録用CCD転送路33がほとんど組み込まれていないのでフォトダイオード30を横に広げるための十分な空き空間がある。
【0115】
本実施形態では画素サイズは48×48ミクロンと通常の撮像素子に比べて極めて大きいので、接合時の位置合わせも容易である。
【0116】
以上によって歩留まり率を下げないで4倍面積の262,144画素(=512×512)の素子を作ることができる。さらに3板化すると約80万画素(正確には786、432画素)の高解像度で、100万枚/秒の撮影速度で連続60枚撮影できるビデオカメラとなる。
【0117】
撮像素子の費用は、線形に増加するだけで、256×256画素の場合の12倍になるだけである。
【0118】
3板式カメラで3枚の素子を順次使えば、約26万画素で連続180枚撮影できる。
【0119】
さらに切断・接合可能な性質を利用して設計・製造を容易にしたり、画素数を増やすことができる。例えば、本実施形態のCCD要素のピッチは4.8×4.8ミクロンである。画素数は256×256である。CCD要素を7.2×7.2ミクロンとし、画素数を320×320とすると、1/4画面では画素数が160×160となる。受光面サイズは1辺11.52mm(=7.2×10×160)となりかなり余裕のある設計となる。
【0120】
本実施形態では撮影条件設定時の間欠モニタリング手段は、素子の中には組み込まれていない。必要であれば第1実施形態と同じように組み入れても良い。その他のゲート操作、電極、金属線配置等は基本的に第1、第2実施形態と同じである。
【0121】
第1から第3実施形態では、電荷収集井戸31とインプットゲート32はフォトダイオード30の左上隅に、ドレーンゲート35とドレーン36はフォトダイオード30の右上隅に設けているが、これらの設置位置は右が左に上が下になっても良い。インプットゲート32とドレーン35が近接しておればオーバーフローゲート48はその間に設けることができる。
【0122】
16に示すような鉛直オーバーフローゲート90兼リセットゲート91を設けるときは、インプットゲート32とドレーン36の位置は離れていても良い。例えば第1から第3実施形態でインプットゲート32をフォトダイオード30の真ん中左、又は真ん中右に置いても良い。
【0123】
また第1実施形態で、図15に示すように上下のフォトダイオード30d、30eの間に電荷収集井戸31、インプットゲート32、オーバーフローゲート48、ドレーン36を備えても良い。これらの場合には、フォトダイオードの中を電荷が輸送される距離が半分になる。通常、数10ミクロンの長さのフォトダイオード上を電荷が移動するのに1マイクロ秒程度かかる。長さが半分になると転送時間が半分になり、それだけ高速化できる。
【0124】
さらに画素中心のゲート領域に増幅器を備え、読み出し回路を少し変更するとCMOS−APS型の読み出し方式となり、SN比が大きく改善される。
【0125】
フォトダイオード30上の電荷の移送速度を上げるには、フォトダイオード30内に、電荷収集井戸方向に電位勾配を付ければ良い。この場合、フォトダイオード30の長さが長い程、電荷収集井戸の電位は深くなる。電荷収集井戸からCCD転送路に電荷を転送するには、井戸は浅い方が良い。フォトダイオード30中に電位勾配を付ける場合、フォトダイオード30の長さが半分であると、井戸の深さも浅くなる。
【0126】
画素配置は完全正方配置に限らない。図17に示すような、正方形もしくは長方形の升目の一つおきにフォトダイオードの中心が配置された千鳥配置でも良い。
【0127】
積層型にしても良い。積層型は技術的には難しいが100%に近い開口率が得られる。記録部の占有面積率も100%に近い値となる。この場合も、上下の画素のインプットゲートを結ぶ線に対してCCD転送路は斜行する。このことが本発明の要点である。
【0128】
積層型の場合は、受光面のかわりに、光以外の電磁波や粒子流を受けて電気信号に変換する材料からなる面を乗せやすい。光以外の電磁波や粒子流を一旦光に変換する層、例えばX線を光に変換する蛍光面等を設けても良い。
【0129】
電子線を直接受けるものは透過型電子顕微鏡に入れれば、超高速電子顕微鏡となる。
【0130】
撮影条件設定のための間欠モニタリング機能はカメラの構造に組み入れても良い。例えば、入射光をミラーもしくはプリズムでモニタリング用の別の撮像素子に入射させるようにしても良い。この場合は、感度と入射光強度の関係を、画素周辺記録型撮像素子による連続撮影の条件と合わせる必要がある。
【0131】
第1から第3実施形態の撮像素子を備える撮影装置であれば、100万枚/秒の高速撮影が可能である。
【0132】
(第4実施形態)
【0133】
図18から図20は、本発明の第4実施形態を示している。
【0134】
この第4実施形態では、電気信号記録手段は、MOS型電気信号記録手段である。
【0135】
図18に示すように、各画素129はそれぞれ信号変換手段であるフォトセンサ部131を備えている。
【0136】
図19に示すように、1個のフォトセンサ部131は、図において上下方向に配列され、チャネルストップにより互いに絶縁された4個のフォトダイオード130a,130b,130c,130dにより構成されている。各フォトダイオード130a〜130dは、それぞれ増幅手段であるトランジスタからなるアンプ133a,133b,133c,133dを介して垂直信号線135の図において上端側に接続されている。
【0137】
このように分割された複数個のフォトダイオード130a〜130dにより1個のフォトセンサ部131を構成した場合、電荷の収集を早めるために各フォトダイオード130a〜130dに電位勾配を設けても、垂直信号線135側(電気信号記録手段側)との電位差が過度に大きくならず、フォトダイオード130a〜130dに発生した電気信号を確実に垂直信号線135側に送ることができる。また、個々のフォトダイオード130a〜130dは小面積のものでよいため、現在入手可能で品質等の実績がある一辺数ミクロンや10数ミクロン程度のフォトダイオードを使用することができる。
【0138】
アンプ133a〜133dがトランジスタである場合、電荷の流れる方向と直交する方向の寸法(幅)が大きい程、増幅効率がよいが、電気の流れる方向の寸法(長さ)に対して幅が大きくなり過ぎると、幅方向の電位の一様性を保持することが困難となる。しかし、本実施形態のようにフォトセンサ部131を複数部分に分割しておけば、個々のアンプ133a〜133dの幅は小さくなるものの、複数のアンプ133a〜133dの幅の合計が大きくなり、かつ、個々のアンプ133a〜133dでは幅が長さに対して大きくなり過ぎないため幅方向の電位の一様性が確保される。よって、かかる構成とすることにより、増幅手段の増幅効率が向上し、許容電荷量も大きくなる。
【0139】
図18に示すように、垂直信号線135は、画素129の6個分だけ図において斜め下方側へ直線状に延在している。すなわち、垂直信号線135は、一つのフォトセンサ部131aが対応する垂直信号線135と接続する位置と、そのフォトセンサ部131aの図において下側のフォトセンサ部131bが対応する垂直信号線135と接続する位置とを結ぶ直線137に対して傾斜している。従って、フォトセンサ部131aに対応する垂直信号線135は、フォトセンサ部131aから図において1画素分下側ではフォトセンサ部131bから離間しており、この隙間に下側のフォトセンサ部131bに対応する垂直信号線135が配置される。図において水平方向に隣接する2個のフォトセンサ部131の間には最大7本の垂直信号線135が存在している。
【0140】
各垂直信号線135には、電気信号を蓄積・記録するためのキャパシタ139が60個ずつ等間隔で連結されている。各キャパシタ139と垂直信号線135の間には選択ゲート141が介設されている。
【0141】
各垂直信号線135の図において上端側には、対応するフォトセンサ部131と連通・遮断するためのインプットゲート143が設けられている。
【0142】
一方、各垂直信号線135の図において下端側には、読み出し/リセットゲート145が設けられている。また、各垂直信号線135の下端は、それぞれ図において水平方向に延在し、受光面外の読み出し回路に接続された水平信号読み出し線147に接続されている。各読み出し線147には受光面外に水平信号読み出し線選択ゲート149が設けられている。
【0143】
図において水平方向に並んだキャパシタ139(図20において“1”から“60”までの同じ番号が付されたキャパシタ139)の選択ゲート141は、それぞれ図において水平方向に延びる記録場所選択用制御線151に接続されている。
【0144】
各垂直信号線135のインプットゲート143は、それぞれ図において上下方向に延びるインプットゲート制御線153を介して図示しないシフトレジスタから送られる電圧により開閉される。受光面上で図において上下方向に並んでいるフォトセンサ部131に対応する垂直信号線135のインプットゲート143は同一のインプットゲート制御線153に接続されている。
【0145】
各垂直信号線135の読み出し/リセットゲート145は、それぞれ図において上下方向に延びる読み出し/リセットゲート制御線155を介して図示しないシフトレジスタから送られる電圧により開閉される。受光面上で図において上下方向に並んでいるフォトセンサ部131に対応する垂直信号線135の読み出し/リセットゲート145は同一の読み出し/リセットゲート制御線155に接続されている。
【0146】
各水平信号読み出し線選択ゲート149は、図において水平方向に延びる水平信号読み出し線選択ゲート制御線157を介して図示しないシフトレジスタから送られる電圧により開閉される。受光面上で図において水平方向に並んでいるフォトセンサ部131に対応する水平信号読み出し線選択ゲート149は、同一の水平信号読み出し線選択ゲート制御線157に接続されている。
【0147】
受光面の積層構造は、図示しない基板上面の第1層にフォトセンサ部131、キャパシタ139、記録場所選択用ゲート141、インプットゲート143、読み出し/リセットゲート145、水平信号読み出し線選択ゲート149が設けられている。また、第2層には、図において上下方向に延びる金属線、すなわち垂直信号線135、インプットゲート制御線153、読み出し/リセットゲート制御線155が設けられている。さらに、第3層には、図において水平方向に延びる金属線、すなわち水平信号読み出し線147、記録場所選択用制御線151、水平信号読み出し線選択ゲート制御線157が設けられている。第3層の上には、フォトセンサ部131以外への光の入射を防ぐ遮光面(図示せず)が設けられている。
【0148】
次に、第4実施形態の撮像素子の動作について説明すると、撮影時には、すべてのインプットゲート制御線153に電圧を送り、全てのインプットゲート143を開く。この状態を保って、受光面上で水平方向に並んだ画素129のフォトセンサ部131毎に、図において最も上方側の記録場所選択用制御線151(図において“1”を付したキャパシタ139の選択ゲート141を開閉する記録場所選択用制御線151)に電圧を送る。その結果、各フォトセンサ部131の4個のフォトダイオード130a〜130dに発生した電気信号は、アンプ133a〜133dで増幅された後、インプットゲート143、垂直信号線135及び選択ゲート141を介して“1”を付したキャパシタ139に記録される。同様に、“2”から“60”を付したキャパシタ139の選択ゲート141に対応する記録場所選択用制御線151に対して順次電圧を送る。その結果、各フォトセンサ部131毎に、“1”から“60”の順で電気信号が記録される。
【0149】
“1”から“60”のキャパシタ139に全て電気信号が記録された後、次の画像(61番目の画像)に対応する電気信号を記録するには、まず、インプットゲート143を閉じ、読み出し/リセットゲート145及び水平信号読み出し線選択ゲート149を開とした状態で、“1”のキャパシタ139に対応する選択ゲート141を開く。その結果、“1”のキャパシタ139に蓄積されていた電気信号は、選択ゲート141、垂直信号線135、読み出し/リセットゲート145、水平読み出し線147及び水平信号読み出し線選択ゲート149を介して受光面外に排出される。次に、読み出し/リセットゲート145及び水平信号読み出し線選択ゲート149を閉、インプットゲート143を開とした後、“1”のキャパシタ139の選択ゲート141を開き、フォトセンサ部131に発生した61番目の画像に対応する電気信号を“1”のキャパシタ139に記録する。以下、“2”から“60”の順で同様の操作を繰り返し、連続上書きを行う。第1実施形態と同様に、撮影対象とする現象が生起すると停止すると、連続上書きを停止する。
【0150】
連続上書き撮影終了後に各キャパシタ139に蓄積された電気信号を読み出す場合には、1本の水平信号読み出し線選択ゲート制御線157に電圧を送り、この水平信号読み出し線選択ゲート制御線157により制御される全ての水平信号線読み出し線選択ゲート149を開くとする。これにより図において水平方向の1列の画素129について電気信号の読み出しが可能な状態となる。また、1本の読み出し/リセットゲート制御線155に電圧を送り、この読み出し/リセットゲート制御線155により制御される全ての読み出し/リセットゲート145を開とする。これにより図において上下方向の1列の画素129について電気信号の読み出しが可能な状態となる。このように1本の水平信号読み出し線選択ゲート157と1本の読み出し/リセットゲート制御線155に電圧を送ることにより、1個の画素129について電気信号の読み出しが可能な状態となる。そして、この状態を保って、その1個の画素129について図において上側から記録場所選択用制御線151に対して順次電圧を送る。その結果、“1”から“60”の順でキャパシタ139内に記録された電気信号が、記録場所選択用ゲート141、垂直信号線135、読み出し/リセットゲート145、水平信号読み出し線147及び水平信号読み出し線選択ゲート149を介して受光面外に読み出される。以下同様に、読み出し/リセットゲート制御線155を水平方向に、水平信号読み出し線選択ゲート157を垂直方向に順次走査して画素129を1個ずつ選択し、選択した画素129に対応する“1”から“60”までのキャパシタ139に記録された電気信号を読み出す。
【0151】
各フォトセンサ部131の全てのキャパシタ139に蓄積された電気信号を排出してリセットするには、読み出し/リセットゲート145、水平信号読み出し線選択ゲート149を全て開とし、かつ、全ての記録場所選択用ゲート141をいっせいに開とする。各キャパシタ139に蓄積された電気信号は、記録場所選択用ゲート141、垂直信号線135、読み出し/リセットゲート145、読み出し線147及び水平信号読み出し線選択ゲート149を介して素子外に排出される。
【0152】
撮影条件設定のための間欠モニタリング時には、全ての選択ゲート141を閉状態に保持する。また、全てのインプットゲート143を開状態で保持する。そして、所定の時間間隔(例えば1/30秒間隔)で、各フォトセンサ部131から電気信号を読み出す。垂直方向の走査は、水平信号読み出し線選択ゲート制御線157に1本ずつ順次電圧を印可することにより行う。水平方向の走査は、読み出し/リセットゲート制御線155に1本ずつ順次電圧を印可することにより行う。水平信号読み出し線選択ゲート149を開状態で維持し、インプットゲート制御線153に1本ずつ順次電圧を印可することにより水平方向の走査を行ってもよい。
【0153】
(第5実施形態)
図21に示す本発明の第5実施形態の撮像素子180では、インプットゲート制御線153及び読み出し/リセットゲート制御線155は、受光面上を図において左端部から右端部へ水平方向に延びている。よって、第5実施形態では、金属線のうち、インプットゲート制御線153、読み出し/リセットゲート制御線155、水平信号読み出し線147、記録場所選択用制御線151、水平信号読み出し線選択ゲート制御線157が水平方向に延びており、各フォトセンサ部131に対応する垂直信号線135のみが図において上下方向に延びている。各垂直信号線135は、受光面の上端部から下端部まで延びているのではなく、対応するフォトセンサ部131から画素129の6個分だけ下方に延びて対応する水平信号読み出し線147に接続して終了している。このように第5実施形態の撮像素子では、受光面外までのつながる金属線、すなわちインプットゲート制御線153、読み出し/リセットゲート制御線155、水平信号読み出し線147、記録場所選択用制御線151及び水平信号読み出し線選択ゲート制御線157は、すべて水平方向に延びている。よって、図22に示すように、これらの線の受光面からの引き出し部分を図において左側に設け、受光面の左側の部分180aにシフトレジスタ等の受光面外の回路をまとめることができる。
【0154】
かかる構成としたことにより、例えば、図22に示すように、8個の撮像素子180を水平方向に2列、垂直方向に4列の合計8個配列して1個の大面積の受光面を備える高解像度の撮像素子とすることができる。この場合、8個の撮像素子180を同一構造とし、図において左側の列の撮像素子180に対して右側の列の撮像素子180を180°反転させて配置するだけでよい。
【0155】
各撮像素子180の図において下辺部分では、受光面の最も下側のフォトセンサ部131に対応する垂直信号線135、キャパシタ39等のみが存在し、フォトセンサ部131は存在していない。よって、撮像素子を上下方向に配列するには、上側の撮像素子180の下辺部分と下側の撮像素子180の上辺部分とを図示しな絶縁層を介在させて互いに重ね合わせた領域181を設ける必要がある。この領域181は他の部分と比較して厚みが大きくなるが、厚みの増大と比較して画素サイズが大きいため、焦点ずれ等の問題は生じない。
【0156】
図22の構成とした撮像素子では、連続上書き撮影時に8個の撮像素子180毎に上書きのために各画素から排出される電気信号の総和を監視し、いずれか1個の撮像素子180について排出される電気信号の総和が急変したときに上書きを停止するようにしてもよい。かかる構成とすれば、特別な機構を組み込むことなく、画像の1/8の領域で急激な変化が生じた場合に連続上書きを停止するトリガー機能が得られる。
【0157】
第5実施形態のその他の構成及び作用は上記第4実施形態と同様であり、同一の要素には同一の符号を付している。
【0158】
(第6実施形態)
図23及び図24は、本発明の第6実施形態の撮像素子を示している。
図23に示すように、この第6実施形態の撮像素子280では、電荷収集井戸281の図において上下両側に接続された一対のフォトダイオード283a,283bが各画素284のフォトセンサ部285を構成している。電荷収集井戸281、はインプットゲート286を介して6画素分の距離を直線状に延びるCCD転送路287に接続している。CCD転送路287の図において下端側には、バッファ/ドレーンゲート289、増幅器290及びリセットゲート291が設けられている。バッファ/ドレーンゲート289は、オーバーフロー/リセットゲート292を介して、そのCCD転送路287に電気信号が記録されるフォトダイセンサ部285を備える画素284に対して図23において6個下側で1個左側の画素284の電荷収集井戸281に接続されている。
【0159】
第6実施形態では、正方配列である画素284の図において上下方向の配列方向(図において矢印Xで示す)に対して、上記CCD転送路287の延在方向及び各フォトセンサ部285を構成する一対のフォトダイオード283a,283bの配列方向(図において矢印Yで示す)が傾斜している。従って、各フォトセンサ部285に対応するCCD転送路287は、図において下側に延びるのに伴って、そのフォトセンサ部285の図において下方側に配置されたフォトセンサ部285から離間し、この隙間に図において下方側のフォトセンサ部285に対応するCCD転送路287を配置することができる。
【0160】
また、第6実施形態では各フォトセンサ部285が2個のフォトダイオード283a,283bにより構成されているため、電荷の収集を早めるために各フォトダイオード283a,283bに電位勾配を設けても、CCD転送路287側との電位差が大きくならず、フォトダイオード283a,283bに発生した電気信号を確実にCCD転送路287に送ることができる。また、個々のフォトダイオード283a,283bは小面積のものでよいため、現在に入手可能で品質等の実績がある一辺数ミクロンと10数ミクロン程度のフォトダイオードを使用することができる。
【0161】
第6実施形態の撮像素子280では、受光面の図23において左側にシフトレジスタ等の受光面外の回路をまとめ、受光面の上下両側及び右側にはシフトレジスタ等のない領域を設けることができる。よって、図24(A),(B)に示すように、第6実施形態の撮像素子を4個組み合わせて1個の大面積の受光面を備える撮像素子とすることができる。なお、組み合わせる撮像素子数は4個に限定されず、例えば、図22に示す第5実施形態の場合と同様に、撮像素子を適宜180°反転させて8個の撮像素子を組み合わせてもよい。
【0162】
参考例
図25は、本発明の参考例の撮像素子380を示している。この撮像素子380は、図1に示したKosonockyらの撮像素子と同様の構成であるが、各画素381毎に2個のフォトダイオード382a,382bを備え、これらのフォトダイオード382a,382bは、1個の電荷収集井戸3a及びインプットゲート3bを介してCCD転送路5,6に接続されている。かかる構成とすれば、電荷の収集を早めるために各フォトダイオード382a,383bに電位勾配を設けても、CCD転送路5側との電位差が大きくならず、発生した電気信号を確実にCCD転送路に送ることができると共に、現在入手可能で品質等の実績がある一辺数ミクロンや10数ミクロン程度のフォトダイオードを使用することができる。
【0163】
第1から第実施形態を通じて受光面外の読み出し用水平CCD、カメラ等の構成は一般的なものであり、本明細書で参照した従来技術の明細書や教科書(例えば、竹村裕夫、CCDカメラ技術入門、コロナ社)にも記述されている。従って本明細書では改めて説明していない。
【0164】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の高速撮像素子は、線状のCCD転送路や垂直信号読出線(複数のキャパシタが選択ゲートを介して接続されている)を備えているため、簡易な構成で高画質の超高速撮影を行うことができる。
【0165】
特に、CCD転送路である場合には、線状としたことにより、電荷移送時のノイズの発生を防止することができ、高品位の画像が得られる。
【0166】
号変換手段を受光面上に正方形又は長方形の升目の全てもしくは一つおきに配置し、電気信号記録手段を傾斜して配置したことにより、撮影終了後の画像処理が容易になると共に、大型撮像素子を切り出すための切り出し線を容易に作ることができ、歩留まり率向上を図ることができる。
【0167】
各信号変換手段から直接読み出し線に接続する手段を備えることで、撮影条件設定時に熱雑音の発生や、生物試料等の劣化を防ぎつつ、撮影装置の設定後に行う超高速撮影時とほぼ同じ条件で、撮影状態をモニタリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Kosonockyらの発明になる並列CCD型画素周辺記録型撮像素子を示す部分概略正面図である。
【図2】 曲線部を持つ延直CCD型画素周辺記録型撮像素子を示す部分概略正面図である。
【図3】 (A)曲線部を持つ2重延直CCD型画素周辺記録型撮像素子を示す部分概略正面図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図4】 第1実施形態の正方配列XYアドレス読み出し延直CCD型画素周辺記録型撮像素子を示す部分概略正面図である。
【図5】 第1実施形態における電極等の配置を示す概略図である。
【図6】 第1実施形態におけるCCD駆動電圧送付用金属線等の配線を示す概略図である。
【図7】 第1実施形態における読み出し制御用金属線の配置を示す概略図である。
【図8】 第1実施形態における遮光層を示す概略図である。
【図9】 MOS型XYアドレス読み出し回路を示す回路図である。
【図10】 (A)はコンタクトポイントを示す斜視図、(B)はコンタクトポイントを示す側面図である。
【図11】 第1実施形態のインプットゲートを示す概略図である。
【図12】 第2実施形態における画素とCCDの配置を示す部分概略正面図である。
【図13】 第3実施形態における画素とCCDの配置を示す部分概略正面図である。
【図14】 第3実施形態における中心部の画素とCCDの配置である。
【図15】 真中を横切るゲート領域を持つフォトダイオードを示す概略図である。
【図16】 (A)〜(D)は鉛直オーバーフローゲート兼リセットゲートを示す概略図である。
【図17】 千鳥状の画素配置を示す部分概略正面図である。
【図18】 本発明の第4実施形態の撮像素子を示す概略正面図である。
【図19】 第4実施形態の撮像素子を示す部分拡大概略正面図である。
【図20】 第4実施形態の撮像素子を示す部分拡大概略正面図である。
【図21】 第5実施形態の撮像素子を示す概略正面図である。
【図22】 第5実施形態の撮像素子を組み合わせた状態を示す概略正面図である。
【図23】 本発明の第6実施形態の撮像素子を示す部分拡大概略正面である。
【図24】(A)は第6実施形態の撮像素子を組み合わせた状態を示す概略正面図、(B)は(A)の部分XXIVの要部拡大図である。
【図25】 参考例の撮像素子を示す部分拡大概略正面図である。
【符号の説明】
30,131,283a,283b,382a,382b フォトダイオード
31,281 電荷収集井戸
32,286,287 インプットゲート
33 CCD転送路(電荷結合素子型信号転送路)
34 要素
35 ドレーンゲート
36 ドレーン
48 オーバーフローゲート
50 遮光層
52 CCD駆動電圧送付線
53 コンタクトポイント
58 ドレーン線
130 フォトセンサ部
133 アンプ
135 垂直信号線
139 キャパシタ
143 インプットゲート
145 読み出し/リセットゲート
147 信号読み出し線
149 水平信号読み出し線選択ゲート
151 記録位置選択用制御線
153 インプットゲート制御線
155 読み出し/リセットゲート制御線
157 水平信号読み出し線選択ゲート制御線

Claims (10)

  1. 受光面に入射する光、電磁波、又は粒子流の強度に応じた電気信号を発生する複数の信号変換手段と、
    個々の前記信号変換手段に対して1本ずつ設けられ、一端が対応する上記信号変換手段に対して第1のゲートを介して接続され、他端が第2のゲートを介して読み出し線に接続され、かつ線状である複数のCCD転送路と
    を備え、
    上記信号変換手段は、上記受光面上に正方形又は長方形の升目の全てもしくは一つおきに配置され、
    上記CCD転送路の中心線は、上記CCD転送路の延在方向に近接する2個の前記信号変換手段と対応する上記CCD転送路とを接続する上記第1のゲートの位置を結ぶ直線に対して傾斜し、
    撮影時には、上記信号変換手段で発生した電気信号を、上記第1のゲートを介して前記CCD転送路に転送し、さらに前記CCD転送路上を前記一端側から他端側に転送し、
    読み出し時には、上記CCD転送路上の上記電気信号を上記一端から上記他端側へ転送し、上記前記第2のゲートを介して上記読み出し線に読み出すことを特徴とする高速撮像素子。
  2. 個々の上記信号変換手段は発生した上記電気信号を収集する電荷収集井戸を備え、
    上記電荷収集井戸の一方側に上記第1のゲートが設けられ、
    上記電荷収集井戸の他方側に上記読み出線に接続された第3のゲートが設けられ、
    撮影条件設定時には、上記第1のゲートを閉じる一方上記第3のゲートを開き、上記信号変換手段で発生した上記電気信号を、上記CCD転送路を介することなく上記第3のゲートから上記信号読み出し線に読み出すことを特徴とする請求項1に記載の高速撮像素子。
  3. 各信号変換手段は、互いに絶縁された複数部分に分割され、これら分割された複数部分が共通の上記第1のゲートを介して上記CCD転送路に接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高速撮像素子。
  4. 上記受光面の1辺から他の辺まで連続する切断可能な帯状の空間を持つことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の高速撮像素子。
  5. 受光面に入射する光、電磁波、又は粒子流れの強度に応じた電気信号を発生する複数の信号変換手段と、
    個々の信号変換手段に対して1本ずつ設けられ、一端が対応する上記信号変換手段に対してインプットゲートを介して接続され、他端が読み出しゲートを介して水平信号読出線に接続され、かつ複数のキャパシタがそれぞれ選択ゲートを介して接続された複数の垂直信号線と
    を備え、
    上記信号変換手段は、上記受光面上に正方形又は長方形の升目の全てもしくは一つおきに配置され、
    上記垂直信号線は、上記垂直信号線の延在方向に近接する2個の信号変換手段と対応する上記垂直信号線が接続する位置を結ぶ直線に対して傾斜し、
    撮影時には、上記インプットゲートを開いた状態で保持し、上記選択ゲートを順次開いて上記複数のキャパシタに上記信号変換手段で発生した上記電気信号を順次記録し、
    読み出し時には、上記読み出しゲートを開いた状態で保持し、上記選択ゲートを順次開いて上記複数のキャパシタ内に記録された上記電気信号を上記垂直信号線を介して上記水平信号読出線に読み出すことを特徴とする高速撮像素子。
  6. 撮影条件設定時には、上記インプットゲートを開いた状態で保持する一方、全ての上記選択ゲートを閉じた状態で保持し、上記読み出しゲートを開くことにより、上記信号変換手段で発生した上記電気信号を上記垂直信号線を介して上記水平信号読出線に読み出すことを特徴とする請求項5に記載の高速撮像素子。
  7. 各信号変換手段は、互いに絶縁された複数部分に分割され、これら分割された複数部分が共通の上記垂直信号線に接続されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の高速撮像素子。
  8. 前記分割された複数部分と上記垂直信号線との間に電気信号を増幅する増幅手段が介設されていることを特徴とする請求項に記載の高速撮像素子。
  9. 上記受光面の1辺から他の辺まで連続する切断可能な帯状の空間を持つことを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の高速撮像素子。
  10. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の高速撮像素子を備える高速撮影装置。
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