JP4324390B2 - 感光性樹脂組成物およびスクリーン印刷用版 - Google Patents

感光性樹脂組成物およびスクリーン印刷用版 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細パターンを形成することが可能なスクリーン印刷用版およびこのスクリーン印刷用版の製版に用いることが可能な感光性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばスクリーン印刷用版の製版用感光剤等の水現像可能な感光性材料として、多数の感光性樹脂材料が提案されてきた。しかしながら、水現像可能な感光性樹脂材料として用いられる基材樹脂は、親水性基を備えた水溶性の樹脂が用いられるために、十分な耐水性を備えた硬化画像が得られる感光性樹脂材料とならなかった。
【0003】
特に、水現像可能な感光性樹脂材料中には、水現像性を良好なものとするために、水溶性の化合物や界面活性剤、或いは、親水性基を持つ自己乳化可能な化合物等が用いられている。その結果、現像の光硬化後においても親水性基が残り、十分な耐水性を持たせることはできなかった。
【0004】
また、捺染用に用いる場合には、捺染糊に含まれる顔料や染料の画像への染み込みが生じたり、反応性染料を使用する場合には、画像を構成する水溶性ポリマーの水酸基と反応性染料との反応による画像の汚染が生じるため、綺麗な染色を行ない難い等の問題を解消することが難しかった。この様な欠点を改善するために、従来から硬化特性や耐水性の良い硬化剤として重クロム酸塩類が多用されてきた。
【0005】
さらに、一般的に感光性樹脂材料は安価で引火性がなく、全工程が水処理できる等の利点のため、カゼインやポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーの水溶液に、該水溶性ポリマーに対して重クロム酸アンモニウムを3〜15重量%添加して感光性をもたせた水溶性のネガタイプのエッチング用レジストが使用されている。またこれらのエッチング用レジストは、感光剤として重クロム酸アンモニウム等の重クロム酸塩及び硬膜剤として無水クロム酸を使用するため、強靭なレジスト硬化膜を形成することができる。そのためレジスト膜はフォトエッチング法によって量産化する高速エッチング条件(例えば45%塩化第二鉄液、80℃20分間)にも耐えることができる。しかしながら処理廃液中に含まれる六価クロムは有害物質であるため、排水基準も厳しく規制されている。
六価クロムを使用しない水溶性レジスト(以下ノークロム水溶性レジストと称する)としては、例えば特公昭41−7100号、米国特許第2692826号、特開平7−244374号公報を挙げることができ、これらにはカゼインとアジド化合物を含む感光性組成物が開示されている。また、特公昭56−20541号、特公昭57−6098号公報等にはポリビニルアルコールとジアゾ樹脂を含む水溶性レジスト、及びその硬膜剤や処理方法が提案されている。さらに、特公昭54−12331号公報には側鎖にエチレン性不飽和結合を有する水溶性アクリル系合成樹脂とアントラキノンスルホン酸塩及び/又は水溶性アジド化合物を含む水溶性レジストが、特開平10−3107号公報には側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリビニルアルコールと光重合開始剤を含む水溶性感光性組成物等が提案されているが、いずれも硬化保護膜が破壊されてしまうので実用に至っていないのが現状である。
【0006】
しかしながら、重クロム酸塩類を用いた感光液や感光膜は、6価クロムに毒性が有り、工業的に使用するためには、製版時の排水や使用済み製品の回収等の環境破壊を十分に配慮して実施しなければならないために、事実上工業的な実施が難しいのが現状である。さらに、ロータリースクリーンを用いた捺染においては、その装置の性能上から、一段と優れた耐水性及び耐溶剤性が要求されるため、現在でもポリ酢酸ビニルの鹸化物、ポリ酢酸ビニルエマルジョン及び重クロム酸塩からなる感光性樹脂組成物が用いられている。
【0007】
一方、ジアゾ樹脂を用いた感光液や感光膜は、上記重クロム酸塩類と同様に良好な耐水性及び耐溶剤性を示すものが得られるが、ジアゾ樹脂を感光液に添加した感光液や感光膜は経時変化が大きく、安定した品質の硬化画像が得られ難いことから、感光液をスクリーンメッシュに塗布する直前にジアゾ樹脂を感光液に添加しなければならなかった。
【0008】
例えば、ジアゾ樹脂と感光液とを混合したものは、1週間で画像に影響を及ぼすこととなる。また、ジアゾ樹脂と感光液との混合物を塗布後に乾燥させたものは、暗反応が起こるために、露光させなくても2〜3週間で架橋反応が生じて画像に影響がある。従って、感光液をスクリーンメッシュに塗布する毎に、感光液に一定な割合のジアゾ樹脂を調合して添加しなければならないため、製膜に時間がかかり作業性に劣る等の欠点を有していた。さらに、より一層改良された耐水性に優れる水現像可能な感光性樹脂組成物が求められている。また、一般印刷に多用されているフラットスクリーン印刷においても、安全性や脱環境破壊の趨勢から、印刷時に用いられるインキとして水性インキが使用される傾向にあり、より一層の耐水性及び耐溶剤性に優れた感光液や感光膜が求められるようになった。
【0009】
また、従来の硬化保護膜形成用の感光性樹脂は、露光後の現像において有機溶剤を使用するものであり、取り扱いおよび廃液処理の点で煩雑であり、経済性、安定性に欠けるものであり、このような問題を解決するために、光硬化性樹脂に酸性基を導入し、露光後の現像をアルカリ現像とすることを可能とした光硬化性樹脂が開発されている。そして、このようなアルカリ可溶性光硬化性樹脂として、例えば重量平均分子量が約2,000のo−クレゾールノボラックエポキシアクリレート等が知られているが、アルカリ可溶性を規定するカルボン酸基、また、硬化性を規定するアクリロイル基をモノマー単位として有することから樹脂中におけるカルボン酸基やアクリロイル基の割合が一定となるものである。
【0010】
そこで、感光性樹脂組成物中のラジカル重合性基密度向上のために、低分子多官能アルコールのアクリロイル変性物質、例えば6官能アルコールであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などを多数導入することも考えられるが、粘度が低下しすぎ、コーティング適性を損なうという問題があり、また、スクリーン印刷用の版の製版に用いた場合には、著しい硬化収縮の為に塗膜に亀裂が生じたり、紗や基材密着不良を引き起こすという問題がある。
【0011】
また、一般に(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基を導入する方法として、例えばウレタンアクリレートの調製方法としては、ジオール類にジイソシアネートを反応させて、ジイソシアネート基を過剰とすることで反応物の末端にイソシアネート基を残し、このイソシアネート基を2−ヒドロキシルエチルメタクリレートとを反応させ、末端にメタクリロイル基等のラジカル重合性基を導入する方法が知られているが、導入されるメタクリロイル基は原理的には両末端にしか導入されない。さらに、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を一部含有させてラジカル重合させる方法も考えられるが、ラジカル反応性基の含有量を制御することはできず、また、ゲル化等の問題もある。
【0012】
このように、光硬化性樹脂におけるカルボキシル基等のアルカリ可溶性基や(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を、その硬化性、アルカリ可溶性等を考慮して制御することは困難であり、また、感光性樹脂組成物において、硬化性、水溶液可溶性と共にスクリーン印刷用版の製版塗膜性にも優れるものは得られていない。
【0013】
一方、スクリーン印刷は、ポスター、プリント配線、服地プリント、陶磁器やガラス製品、金属やプラスチックへの印刷等、スクリーン印刷は多くの業界で幅広く利用されている。その印刷方法は、へら状又は棒状の部品であるスキージでインク等をステンシルスクリーン等の網目に押し当て、通過させて、被印刷体の表面にパターンを転写する印刷である。
【0014】
さらにスクリーン印刷は、プリント回路基板印刷等の精密印刷に用いられているが、近年、プリント配線の高密度化に伴って、スクリーン印刷版による高精細印刷技術の向上が要望されている。一般に、スクリーン印刷用原版は、ナイロン、ポリエステル等の屈曲性高分子からなる繊維等を製織してなるスクリーン紗を、紗張り機を用いて四方に引張り、この引張った状態で該スクリーン紗をアルミニウム製の固定枠に接着固定することにより製造されるものである。
【0015】
スクリーン印刷用原版において、紗張りされたスクリーン紗は常時、当初のテンションを維持できる訳ではなく、時間の経過に伴い次第にテンションが低下する。スクリーン紗の経時変化によるテンション落ちは、或る時間の範囲だけ進行し、それ以後はほぼ安定するのが通常である。上記テンション落ちの度合いはスクリーン紗の材質によって異なるが、スクリーン紗のテンション落ちの度合いが大きいと、印刷寸法精度が低下し、且つ耐久性を劣化させるという問題がある。高精度印刷を実現するためには、現状におけるスクリーン紗の経時変化によるテンション落ちを極力最小なものに止める必要があるが、いまだ有効な解決策は提案されていない。このように、従来のスクリーン印刷版においては、印刷寸法精度及び耐久性の点で未だ不充分であり、高精度印刷に向けた技術開発が望まれている。
【0016】
さらに従来、スキージの材料としてはウレタンゴム、シリコーンゴムが用いられていた。ウレタンゴムは、機械的強度、耐溶剤性に優れ、スキージに適した材料であるが、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド等の高極性溶剤に対しては充分な耐溶剤性を有しておらず、膨潤、硬度低下が大きく、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド等を溶剤とするインク、ペーストを用いるスクリーン印刷のスキージに用いることはできなかった。
【0017】
しかしながら、スクリーン印刷を用いた方法では、ストライプパターンの微細化および高精度化のためには版構造を最適化する必要がある。さらにこれと組み合わせるインク特に、インク組成とインキレオロジーを最適化する必要がある。
【0018】
版の構造として、メッシュが歪まないことおよびスキージ圧による印刷時の紗ブリッジ構造を最適化することが重要となるが、さらには微細なストライプパターンを形成するためには、メッシュ角度およびメッシュの開口率を上げる必要があり、引張り強度が強くかつ細い線径のメッシュで構成する必要がある。しかし、現状市販品のメッシュ構成の線径で、最小のものは限定された特殊用途として18〜38μmで、現存する最小線径である。さらには、この線径で紗構成し印刷圧およびスキージ等への耐刷力は限界となる因子が多く、同時にインキに依存せざるを得ない。ただし、現状スクリーン印刷レベルでは印刷パターン面が大きくなればなるほどインキへの流動性制御の限界も生じ80〜100μmが限界範囲とならざるを得ない。そこで新規な版構成および紗構成の実現が必要となる。
【0019】
ストライプパターンの大型化に対しては、インキの排出限界がありこれをどう回避して断線のないストライプパターンを形成するかの課題が生じる。
【0020】
インキの排出量を限界値に近づけると、インキを押し出す力のみならず紗には歪まない程度の弱い印圧で印刷せねばならず、インキ排出量とのトレードオフが生じてパターン断線が生じる問題が起こる。
【0021】
スキージに関しても、紗圧力および印圧との関係が生じ、最適な材料構成および製造条件が必要となる。特に最適な材料構成とするために、例えば通常用いられることの多いウレタンゴムとしては、その機械的強度、耐溶剤性等から、一般にエチレングリコールとアジピン酸とを重合することにより得られるポリエチレンアジペートエステルをポリオール成分とし、ポリイソシアネートと反応させてなるウレタンが用いられている。
【0022】
これに対し、特開昭59−129155号広報及び特公平4−36859号公報では、耐溶剤性を向上させ、使用インク中に各種溶剤に対して安定なスキージを提供することを目的に、アジピン酸の代わりにコハク酸を重合させたポリエステルを用いてなるスキージが提案されている。しかしながら、エチレングリコールとコハク酸とを重合することにより得られるポリエステルよりなるウレタンは、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド等に対しては充分な耐溶剤性を示さなかった。シリコーンゴムは、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド等の高極性溶剤を含む種々の溶剤に対して、優れた耐溶剤性を示すが、機械的強度に劣り、寿命が短いという問題点があった。
【0023】
さらには、スクリーン紗の目転写の問題からインキパターンの断面形状としては表面凹凸をいかに避けるかの課題が生じる。
【0024】
さらに、ストライプパターンの両端面は、メッシュ構成からくるメッシュ跡が印刷され、くびれ等のシャギーが生じるため、いかにストレート性の高い高精細パターンを実現させるかの課題が生じる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高精細なパターンを形成することが可能なスクリーン印刷用版の製版に用いることが可能な感光性樹脂組成物、および高精細なパターンの形成が可能なスクリーン印刷用版を提供することを主目的とするものである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載するように、アルカリ可溶性アクリル共重合体、多官能アクリルアクリレートモノマー、熱により架橋する熱架橋性化合物、および重合開始剤を有する感光性樹脂組成物であって、エポキシアクリレート樹脂を全樹脂組成物中3重量%〜25重量%の範囲内で含有し、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体が、下記化学式(1)で示されるモノマー成分を5モル%〜55モル%の範囲内で有し、かつ下記化学式(2)で示されるモノマー成分を1モル%〜75モル%の範囲内で有し、酸価が5mgKOH/g〜400mgKOH/gの範囲内であり、さらにポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲内であり、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体が、下記化学式(4)で示されるモノマー成分を1モル%〜75モル%の範囲内で有し、下記化学式(1)で示されるモノマー成分のカルボキシル基および下記化学式(4)で示されるモノマー成分の水酸基の合計量の5モル%〜95モル%の範囲内に(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物が結合したものであることを特徴とするスクリーン印刷用版製版用の感光性樹脂組成物を提供する。
【化5】
Figure 0004324390
【化7】
Figure 0004324390
(ここで、Rは、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rは、芳香族基もしくは脂環式基である。Rは、エチレン基、プロピレン基もしくはブチレン基である。)
【0027】
本発明においては、感光性樹脂組成物中に熱により架橋する熱架橋性化合物を含有することから、フォトマスク等を用いたパターン露光を行ない現像した後に、さらに加熱処理を行うことにより、得られた感光性高分子中に光による架橋の他に熱による架橋が形成される。したがって、例えば比較的厚い膜厚の層を形成する場合であっても、熱による架橋により十分な物性を有する感光性高分子層をスクリーン印刷用版に形成することが可能となる。
また、エポキシアクリレート樹脂を全樹脂組成物中3重量%〜25重量%の範囲内で含有することが好ましい。エポキシ骨格を導入することによりパターン解像性及び現像性(エッジがシャープでかつ、現像残りが少ない)を良好とするものであり、適度なアクリレートとの距離を空間的に採ることができることで、現像性に寄与する−COOH基、あるいは−OH基が十分に作用できるためと推定される。また、このようにエポキシアクリレート樹脂を上述した範囲内で用いることにより、例えばスクリーン印刷用版の製版材料として用いた場合に、他の層との密着性を向上させることができるからである。
上記アルカリ可溶性アクリル共重合体が、下記化学式(1)で示されるモノマー成分を上述した範囲内で有し、酸価およびポリスチレン換算重量平均分子量が上述した範囲内であることが好ましい。露光後に得られる感光性高分子層の物性、特にスクリーン印刷用の版の製版材料として必要とされる物性を得るためには、上述したような条件を満たすことが好ましいからである。
このようにアルカリ可溶性アクリル共重合体に上記化学式(4)で示されるモノマー成分を含有することにより、アルカリ可溶性アクリル共重合体に水酸基を導入することが可能となる。このようにして導入された水酸基と上記(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物とを反応させることにより、アルカリ可溶性アクリル共重合体分子中に比較的長い側鎖が導入されるため立体障害的な要因によりアルカリ可溶性アクリル共重合体分子が伸びた状態で反応に供することが可能となる。これにより、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体分子中の官能基が反応に寄与する率を大幅に向上させることが可能となるからである。
【0028】
上記請求項1に記載された発明においては、請求項2に記載するように、上記熱により架橋する熱架橋性化合物が、2官能以上のブロックイソシアネート化合物であることが好ましい。このように2官能以上のブロックイソシアネート化合物を用いることにより、パターン露光後の現像時のきれがよく、シャープなパターンを形成することが可能であり、かつ得られる感光性高分子層の物性も良好となるからである。
【0039】
上記請求項1または請求項2に記載された発明においては、請求項3に記載するように、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体が、下記化学式(5)で示されるモノマー成分を3モル%〜40モル%の範囲内で有することが好ましい。
【0040】
【化8】
Figure 0004324390
【0041】
(ここで、Rは、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rは、炭素数1〜12のアルキル基、ベンジル基、およびフェニルエチル基である。)
このモノマー成分は、アルカリ可溶性アクリル共重合体のアルカリ現像性を抑制する成分であり、アルカリ可溶性アクリル共重合体の酸価を最適値とするために導入されるものである。
【0042】
本発明はさらに、請求項4に記載するように、紗と、紗の隙間に充填され紗の表面を平坦化させる平坦化層と、上記平坦化層の被印刷物側の表面に形成されたバッククッション層とを有し、上記平坦化層の被印刷物と逆側の表面に感光性高分子層が形成され、上記感光性高分子層が、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版製版用感光性樹脂組成物をパターン状に硬化させたものであることを特徴とするスクリーン印刷用版を提供する。
【0043】
本発明においては、このようにバッククッション層を形成することにより、スクリーン印刷後にこのバッククッション層の反発性により、非常に良好な版離れがなされる。これによりインクの裏回り付着といった不具合を防止することができることから、スクリーン印刷に際して非常に高い解像性を発揮することが可能であり、高精細なパターンをスクリーン印刷法により印刷することを可能とするものである。
【0044】
上記請求項4に記載された発明においては、請求項5に記載するように、上記バッククッション層の硬度が、針侵入硬度で30〜65の範囲内であることが好ましい。
【0045】
このようにバッククッション層を上述した範囲内の硬度とすることにより、上記バッククッション層の反発性を最適値とすることができるからである。
【0046】
上記請求項4または請求項5に記載された発明においては、請求項6に記載するように、上記バッククッション層と平坦化層との間に第1接着層を有することが好ましい。上記バッククッション層は、所定の硬度を有する必要性があることから、紗に充填・形成されている平坦化層との密着性に乏しい場合がある。また、平坦化層の材料や物性等にも依存するものではあるが、バッククッション層はスクリーン印刷時の転写に際して、裏回り防止のためには被印刷物に対して平行に密着する必要がある。このような必要性に対処するためには、上述したように第1接着層を形成することが好ましいのである。
【0047】
上記請求項6に記載された発明においては、請求項7に記載するように、上記第1接着層の硬度が、針侵入硬度で30未満であることが好ましい。上述したバッククッション層を被印刷物に平行に密着させるためには、上述した範囲の硬度を有する材料が好ましいからであり、さらにこのような硬度を有する材料を紗とバッククッション層との間に形成することにより、インクの転写時にクッションとしての役割を果たすことができるからである。
【0048】
上記請求項4から請求項7までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項8に記載するように、上記平坦化層が第1接着層と同一の材料で形成されているものであってもよい。第1接着層を別途設ける工程が不要であることから、工程上有利となるからである。
【0050】
上記請求項4から請求項8までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項9に記載するように、上記感光性高分子層と平坦化層の間に第2接着層が形成されていることが好ましい。感光性高分子層と平坦化層との密着性を向上させるためである。
【0052】
また、請求項5から請求項9までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項10に記載するように、上記バッククッション層が、上記請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版形成用感光性樹脂組成物をパターン状に硬化させたものであることが好ましい。上記スクリーン印刷用版形成用感光性樹脂組成物の組成を調整してバッククッション層として必要な硬度とすることにより、現像時の解像度が良好なバッククッション層とすることができるからである。
【0053】
上記請求項4から請求項9までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項11に記載するように、上記バッククッション層に、ドライフィルムレジストを用いるものであってもよい。バッククッション層は比較的膜厚が厚いことから、塗工液を塗布して形成するよりもこのようなドライフルムを用いることが好ましい場合があるからである。
【0054】
上記請求項4から請求項11までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項12に記載するように、上記紗がメタル紗であり、このメタル紗の被印刷物側の面が、研削されて平坦化されていることが好ましい。上述したように、バッククッション層は印刷時に被印刷物と平行に密着する必要がある。したがって、このように被印刷物側の面を研削して平坦化することにより、その表面に形成されるバッククッション層が、被印刷物に対して平行に密着することが可能であるので、印刷時のインキの裏面回りを防止することが可能であり、より高精細なパターンを形成することが可能となるからである。
【0055】
上記請求項4から請求項12までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項13に記載するように、紗に用いられるスクリーンメッシュが、筒状のロータリースクリーンシリンダーであることが好ましい。連続的な印刷が可能であり、効率的であるからである。
【0059】
本発明は、また請求項14に記載するように、紗の隙間に感光性材料を充填して、紗の両面を平坦化させる平坦化層形成工程と、
上記平坦化層が形成された紗の一表面に感光性樹脂組成物を塗布し、パターン露光を行うことにより、パターン状に感光性高分子層を形成する感光性高分子層形成工程と、
上記平坦化層が形成された紗の他の表面にポジ型感光性材料を塗布した後、上記感光性高分子層側から露光することにより上記ポジ型感光性材料をパターニングしてバッククッション層とするバッククッション層形成工程と
を有し、
前記感光性高分子層形成用の感光性樹脂組成物が、請求項3記載のスクリーン印刷用版製版用感光性樹脂組成物であることを特徴とするスクリーン印刷用版の製造方法を提供する。
【0060】
このような製造方法とすることにより、感光性高分子層とバッククッション層とを一枚のフォトマスクでパターニングすることが可能であり、工程の効率化、コストダウンの面で好ましいからである。
【0062】
本発明はまた、請求項15に記載するように、上記請求項4から請求項13までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版を用いることを特徴とする微細パターン形成体の製造方法を提供する。このような製造方法によれば、従来のスクリーン印刷では得ることができなかった高精細なパターンをスクリーン印刷法で形成することが可能であり、例えばフォトリソグラフィ法によるパターニング法と比較して、工程が簡略でありかつ現像液に用いられる溶剤等の処理が不要である等の利点を有するものである。
【0064】
【発明の実施の形態】
本発明は、上述したように、感光性樹脂組成物、スクリーン印刷用版、スクリーン印刷用版の製造方法、また例えばプラズマディスプレイ、色素増感電池、プリント印刷基板、電磁波吸収パターン、セラミクスコンデンサ等に用いることが可能な微細パターン形成体の製造方法、およびそれらの微細パターン形成体を含むものである。これらについて、項目を分けて説明する。
【0065】
A.感光性樹脂組成物
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性アクリル共重合体、多官能アクリルアクリレートモノマー、熱により架橋する熱架橋性化合物、および重合開始剤を有することを特徴とするものである。
【0066】
本発明においては、このように架橋成分として、光により架橋する多官能アクリルアクリレートモノマーの他に熱により架橋する熱架橋性化合物を含むものである。したがって、露光後に加熱処理を行うことにより、露光のみでは不十分であった架橋密度を加熱により上げることが可能であり、最終的に得られる感光性高分子の物性を向上させることが可能となる。また、比較的膜厚な層を形成する場合には、露光と逆側の部分では十分に露光されない可能性がある。このような厚い膜厚を有する感光性高分子を形成する場合であっても、露光後に加熱処理を行うことにより、要求される物性に必要な架橋密度を得ることが可能であるという利点を有するものである。
【0067】
以下、このような感光性樹脂組成物の各成分についてそれぞれ説明する。
【0068】
a.アルカリ可溶性アクリル共重合体
本発明の感光性樹脂組成物に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体は、後述する熱架橋性化合物と結合するような活性水素を有するもの、具体的には−OH基、−COOH基、−NH基、および−SH基等の官能基を有するものであれば特に限定されるものではないが、現像性や硬度等の物性を得るためには、以下のような組成および特性を有するものが好適に用いられる。
【0069】
(モノマー成分)
本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体は、少なくとも下記化学式(1)に示されるモノマー成分を含有するものであることが好ましい。
【0070】
【化9】
Figure 0004324390
【0071】
ここで、上記化学式(1)におけるR(化学式(2)、(4)、および(5)も同様である。)は、水素、または炭素数1〜5のアルキル基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が例示される。
【0072】
この化学式(1)で示されるモノマー成分は、アルカリ水溶液現像性に寄与する成分であり、この構造単位を導入するために使用されるモノマー成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カルボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−ヘプテン等が例示される。この化学式(1)で示されるモノマー成分の含有量は、アルカリ可溶性アクリル共重合体に要求されるアルカリ可溶性の程度により調整され、5モル%〜55モル%の範囲内、特に10モル%〜45モル%の範囲内、中でも15モル%〜35モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0073】
また、本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体は、少なくとも下記化学式(2)に示されるモノマー成分を含有するものであることが好ましい。
【0074】
【化10】
Figure 0004324390
【0075】
ここで、上記化学式(2)中のRは、フェニル基、ナフチル基等の芳香族および脂環式化合物が例示される。この構造単位を導入するために使用される単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等であり、また、芳香族環は塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルフォン酸基、燐酸基等で置換されていてもよい。
【0076】
この化学式(2)で示されるモノマー成分は、本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体に硬度等の機械的な物性を向上させる成分であり、後述するようにスクリーン印刷用版として用いる場合には特に重要なモノマー成分となる。
【0077】
本発明においては、化学式(2)で示されるモノマー成分の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物が要求される物性等に応じて調整され、1モル%〜75モル%の範囲内、特に5モル%〜70モル%の範囲内、中でも10モル%〜65モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0078】
本発明においては、さらに下記化学式(4)で示されるモノマー成分を添加してもよい。
【0079】
【化11】
Figure 0004324390
【0080】
ここで、上記化学式(4)中のRは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を挙げることができる。
【0081】
この化学式(4)で示されるモノマー成分としては具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0082】
この一般式(4)で示されるモノマー成分は、後述するように水酸基を介して(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物と反応し、(メタ)アクリロイル基が導入されるモノマー成分であり、その含有量は得られる共重合体に要求される光重合性の程度により調整され、1モル%〜75モル%の範囲内、特に3モル%〜70モル%の範囲内、中でも5モル%〜65モル%の範囲内で含有されることが好ましい。
【0083】
さらに、本発明は必要に応じて下記化学式(5)で示されるモノマー成分を添加してもよい。
【0084】
【化12】
Figure 0004324390
【0085】
ここで、上記化学式(5)中のRとしては、炭素数1〜12のアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基が例示される。
【0086】
具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル等の(メタ)アクリル酸のエテスル類を挙げることができる。
【0087】
この化学式(5)で示されるモノマー成分は、アルカリ可溶性アクリル共重合体をアルカリ現像型のスクリーン印刷版の感光性高分子層とする際に、アルカリ現像性を抑制する成分であり、その含有量は、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させて得られる感光性高分子層の特性に応じて調整され、3モル%〜40モル%の範囲内、特に5モル%〜35モル%の範囲内、中でも7モル%〜31モル%の範囲内で含有されることが好ましい。
【0088】
(アルカリ可溶性アクリル共重合体の分子量および酸価)
上述したようなモノマー成分を重合させて得られるアルカリ可溶性アクリル共重合体の分子量としては、ポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」という。)で、10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、特に20,000〜100,000の範囲のものとされることが好ましい。
【0089】
重量平均分子量が上記範囲より小さいと現像性が良すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しにくく、また、パターンが作製できる場合も最終的な膜厚が減る(膜減り)等の問題が生じる。一方上記範囲より大きいとレジスト化した時の粘度が高くなりすぎ塗工適性が低下し、さらに現像性が悪くなりパターンが抜けにくくなるなどの問題が生じるからである。
【0090】
また、本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体の酸価としては、5mgKOH/g〜400mgKOH/gの範囲内、好ましくは、10mgKOH/g〜200mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。酸価はアルカリ現像性と関係する値であることから、酸価が上記範囲より低い場合は現像性が悪化する可能性があり、さらに基板等への密着性が乏しい等の問題が生じる可能性が生じる。また、酸価が上記範囲より高い場合は、現像性が良すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しにくい等の問題が生じる可能性がある。
【0091】
一方、本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体において、化学式(4)に由来する水酸基は、必ずしも残す必要はなく、水酸基価としては0mgKOH/g〜200mgKOH/gの範囲内とすることができるが、残す場合には、溶剤に対する溶解性を調節するのに有効である。
【0092】
(アルカリ可溶性アクリル共重合体の製造方法)
上述した化学式(1)、(2)、(4)および(5)で示されるモノマー成分は、それぞれ例示したものを単独でも、また混合して使用してもよい。
【0093】
このような化学式(1)、(2)、(4)および(5)で示されるモノマー成分を有する特定の重合体を製造するために用いられる重合用溶媒としては、水酸基、アミノ基等の活性水素を有しない溶媒が好ましく、例えばテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸−3−メトキシブチル等が挙げられ、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等も用いることができる。
【0094】
また、重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものを使用することができ、その具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、および過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を使用する場合には、これと還元剤とを組み合わせてレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
【0095】
このようなアルカリ可溶性アクリル共重合体の製造方法においては、重量平均分子量を調節するために、分子量調節剤を使用することができ、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0096】
また、得られるアルカリ可溶性アクリル共重合体は、上述した化学式(1)、(2)、(4)および(5)で示されるモノマー成分のランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれであってよい。
【0097】
ランダム共重合体の場合には、各モノマー成分、触媒からなる配合組成物を、溶剤を入れた重合槽中に80〜110℃の温度条件で2〜5時間かけて滴下し、熟成させることにより重合させることができる。
【0098】
((メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物の付加)
本発明においては、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体に(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物を付加することが好ましい。これは、以下の理由によるものである。
【0099】
すなわち、露光後アルカリ現像液に対する溶解部と不溶解部の差を大きくとることによりエッジがシャープなパターンを形成することができる(γ曲線が立つ)こと、さらには、版としての耐インク溶剤性が向上し、版感材の弾性を持たせる構造により、版表面のしわやクラックが発生しにくく、版保存安定性及び印刷寿命が良好となる、といった理由によるものである。
【0100】
本発明において用いられる(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物としては、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基(−NCO)と結合したもので、具体的には2−アクリロイルエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート等が例示される。2−メタクリロイルエチルイソシアネートは、昭和電工(株)製、商品名「カレンズMOI」として市販されている。
【0101】
上記アルカリ可溶性アクリル共重合体と上記(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物との反応は、上記(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物を少量の触媒の存在下、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体溶液中に滴下することにより行なわれる。触媒としてはラウリン酸ジブチル錫等が挙げられ、また、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチルp−クレゾール等の重合禁止剤が必要に応じて使用される。
【0102】
上記(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物は、上述したアルカリ可溶性アクリル共重合体の内、化学式(3)で示されるモノマー成分の−OH基とは付加してウレタン結合により結合し、また、化学式(1)のモノマー成分の−COOH基とは、その一部が炭酸ガスを放出してアミド結合により結合する。
【0103】
このような化学式(1)および(3)で示されるモノマー成分を有するアルカリ可溶性アクリル共重合体と(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物との反応生成物の一例を、下記化学式(6)に示す。
【0104】
【化13】
Figure 0004324390
【0105】
(式中、R、Rは、上述したもの同様であり、R′は炭素数2〜6のアルキレン基である。a+aは、化学式(1)のaと、また、c+cは、化学式(3)のcとそれぞれ同義である。)
(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物は、化学式(3)のモノマー成分における水酸基との反応が、化学式(1)のモノマー成分におけるカルボキシル基との反応に比して20倍近くの反応速度を有する。そのため、(メタ)アクリロイル基は化学式(3)のモノマー成分に主として導入される。また、化学式(1)のモノマー成分にはそのカルボキシル基に一部(メタ)アクリロイル基が導入されるが、ほとんどのカルボキシル基が残存することとなる。
【0106】
本発明においては、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体中の化学式(1)で示されるモノマー成分のカルボキシル基および化学式(4)で示されるモノマー成分の水酸基の合計量の5モル%〜95モル%の範囲内、好ましくは10モル%〜85モル%の範囲内で(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物が結合し、(メタ)アクリロイル基が導入されることが好ましい。導入量が上記範囲より少ない場合は光硬化性が低く、塗膜密着性、レジスト特性の改善効果が小さい。また、導入量が上記範囲より高い場合は、粘度の上昇等の加工性の面で不具合が生じ、さらに現像性等に問題が生じる可能性がある。
【0107】
また、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体中の化学式(1)で示されるモノマー成分のカルボキシル基を100とした場合に、(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物はその内の5〜95の範囲内、特に10〜50の範囲内で反応していることが好ましい。
【0108】
さらに、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体中の化学式(3)で示されるモノマー成分の水酸基を100とした場合に、(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物はその内の5〜95の範囲内、特に10〜50の範囲内で反応していることが好ましい。
【0109】
(アルカリ可溶性アクリル共重合体の例示)
次に、本発明に適したアルカリ可溶性アクリル共重合体について例示する。下記の表に示すアルカリ可溶性アクリル共重合体は、いずれも、化学式(4)で示されるモノマー成分を2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)とし、また、化学式(1)で示されるモノマー成分をアクリル酸(AA)とし、そのカルボキシル基または水酸基を介して2−メタクリロイルエチルイソシアネート(昭和電工(株)製「カレンズMOI」)とそれぞれ一部が反応した生成物を構成単位とするものであり、さらに化学式(2)で示されるモノマー成分としてスチレン(St)を用い、化学式(5)で示されるモノマー成分としてベンジルメタクリレート(BzMA)を用いたものである。
【0110】
下記の表1に各モノマー成分の組成(モル%)と、アクリロイル基含有量(モル%)、酸価(mgKOH/g)、スチレン換算重量平均分子量(Mw)を示す。
【0111】
【表1】
Figure 0004324390
【0112】
b.多官能アクリルアクリレートモノマー
本発明のアルカリ可溶性アクリル共重合体には、多官能アクリルアクリレートモノマーが添加される。
【0113】
このような2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)のエチレンオキシド3モル付加物、エチレンオキシド6モル付加物、プロピレンオキシド3モル付加物、プロピレンオキシド6モル付加物等を挙げることができる。
【0114】
本発明においては、上記多官能アクリルアクリレートモノマーは、感光性樹脂組成物中に固形分比3重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜20重量%の範囲内で含有される。上記範囲より含有量が多いと粘度が低くなりすぎ塗布乾燥後の塗膜安定性が不充分なため、露光、現像適性を損なう等の問題が生じる可能性があるからである。一方、上記範囲より少ない場合は、現像の未露光部の抜けが悪くなる等の問題が生じる可能性があるからである。
【0115】
c.熱により架橋する熱架橋性化合物
本発明においては、上記光により架橋する多官能アクリルアクリレートモノマーに加えて、熱により架橋する熱架橋性化合物を添加するところに特徴を有するものである。
【0116】
このように熱架橋性化合物を添加することにより、例えば露光後に得られる感光性高分子層の膜厚が厚い場合等においては、全体的に架橋密度を向上させることが困難であるが、本発明においては、このような熱架橋性化合物を含有するものであるので、露光後加熱処理を行うことにより、架橋密度を増加させることが可能となり、最終的に得られる感光性高分子層の各種特性および物性を向上させることができる。
【0117】
上記熱架橋性化合物としては、加熱あるいは熱線を照射することにより上記アルカリ可溶性アクリル共重合体中の−OH基、−COOH基、−NH、および−SH等の活性水素を持つ基と反応することができる官能基を有する化合物、好ましくは2個以上の官能基を有する化合物である。
【0118】
このような官能基の具体例としては、例えば、アルデヒド基、イソシアネート基、アルコキシ基、グリシジル基、エチレン性不飽和基、アミノ基、ジエステル類等を挙げることができ、このような官能基を有する熱架橋性化合物として、具体的には、例えば、チオ尿素、メラミン、ベンゾグアミン等のアミノ化合物、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン、メチロールアクリルアミド等のアルコキシ化合物、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のジアルデヒド化合物、ブロックイソシアネート化合物、コバルト、チタン、ジルコニウム、モリブデン等の金属キレート化合物、アクリロイル基、メタアクリロイル基、Sクリルアミド基、ビニルエーテル基等のエチレン性不飽和基含有化合物等を挙げることができる。さらに、これらの化合物を共存させることで、より効果的に使用できる。
【0119】
本発明においては、これらの熱架橋性化合物の中でも、特にブロックイソシアネート化合物が好ましい。これは、ブロックイソシアネート化合物を用いた場合は、本発明の感光性樹脂組成物を長期安定性に優れたものとすることができるからである。
【0120】
(ブロックイソシアネート化合物)
本発明に用いられるブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤(例えば、活性水素を有するカプロラクタム、活性メチレン、オキシム等の化合物)によりマスクしたものであり、常温では安定であるが加熱(通常120℃以上)するとブロック剤が解離して活性なイソシアネート基が再生されるものである。また、架橋材として用いられるものであることから、イソシアネート基が2個以上有するものが用いられる。
【0121】
このようなブロックイソシアネート化合物の具体例としては、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−トリレンジイソシアネート)、2,4トリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、4,4−ジフェニールメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、メチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加4,4’ジフェニールメタンジイソシアネート、水素添加m−キシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体やイソシアヌレート体、ポリメリックメタンジイソシアネート、その他プレポリマーイソシアネート類等の多官能芳香族イソシアネート化合物等を挙げることができる。
【0122】
これらのイソシアネート化合物にブロック剤でマスクしたブロックイソシアネート化合物は単独或いは併用して用いることができる。上記ブロックイソシアネート化合物は、感光性樹脂組成物中のスチリルピリジニウム基又はスチリルキノリウム基を含有する水可溶性の鹸化度50モル%以上の酢酸ビニル重合体鹸化物からなる分散媒成分中に乳化分散して微細に分散した乳化ブロックイソシアネート化合物であることが好ましい。その結果、安定した感光性樹脂組成物が得られる。また、単独では乳化しない化合物でも、他の化合物と混合して乳化させても良く、更に、有機溶媒(疎水性が好ましい)に溶解して使用しても良い。分散媒成分中に、乳化・分散したブロックイソシアネート化合物には、相溶するポリマーやプレポリマーを混合して使用しても良く、この様なポリマーやプレポリマーは、必ずしも−OH基、−COOH基、−NH基、−SH基等を持ち、イソシアネート基と反応性に富んだ化合物である必要はない。但し、水に難溶性で、乳化・分散特性の良いものが好ましい。
【0123】
d.重合開始剤
本発明においては、さらに重合開始剤が用いられる。このような光重合開始剤としては、2−メチル−1−〔4−メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,4−ジエチルチオキサントン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。このような重合開始剤は、感光性樹脂組成物中に固形分比0.1重量%〜20重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0124】
さらに、上記重合性化合物を光照射により速やかに反応させる為には、別の光重合開始剤や増感剤あるいは色素を添加することが一般的である。この様な光重合開始剤は上記重合性化合物に溶解あるいは相溶し、均一に混合される事が好ましい。この様な光重合性開始剤としてはベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、ミヒラーズケトン、ベンジル、ベンジルジアルキルエーテル、ターシャルブチルアントラキノン等のアントラキノン類、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体等が挙げられる。さらに、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等の光重合促進剤を混合しても良い。これらは、ベンゾフェノン系やチオキサントン系を用いた場合の重合硬化速度を速める上で効果的である。上記光重合性開始剤は、エチレン性不飽和基を有する化合物100重量部に対して、一般に1〜10重量部の割合で配合される。
【0125】
(光重合開始剤を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物)
エチレン性不飽和基を持つ化合物に光重合開始剤を溶解または混合して使用すると、この混合物は光により重合して高分子化する。また、同時に水性分散媒成分及び分散質とグラフト重合架橋もおこり、硬化物の耐水・耐溶剤性を向上させる。エチレン性不飽和基を持つ化合物としては水に不溶で容易に乳化できるものが好ましい。
【0126】
上記エチレン性不飽和基を有する化合物としては、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アリル基、ビニルエーテル基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基等のエチレン性不飽和基を1個以上有するもので、水に不溶性或いは難溶性のものが好ましく、特に好ましくはアクリロイル基、メタアクリロイル基を1個以上有する化合物である。この様な化合物としては、具体的には、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブロムヘオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,8ジブロムネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のタカアルコール多価アクリレート類、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン系のエポキシ樹脂のアクリル酸又はメタクリル酸付加物等のエポキシアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルのアクリル酸又はメタアクリル酸との付加物、トリヘキサメチレンジイソシネートと2価アルコールの(メタ)アクリルモノ酸エステルとの反応で得られるウレタン(メタ)アクリル化合物等が挙げられる。
【0127】
これらの化合物は単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。この様なエチレン性不飽和基を有する化合物成分の配合量は、感光性樹脂組成物中の固形分100重量部に対して、0.5〜70重量部、好ましくは1〜50重量部とすることが望ましい。
【0128】
エチレン性不飽和基を有する化合物成分の配合量が上記範囲未満では現像時の耐水性向上効果が現れ難い傾向があり、上記範囲を超過すると現像性が悪く再現性の良い画像が得られ難い傾向がある。
【0129】
e.その他の添加剤
エポキシアクリレート樹脂
本発明においては、その他に他の層との密着性を向上させるためにエポキシアクリレート樹脂を添加してもよい。
【0130】
本発明において用いることができるエポキシアクリレート樹脂としては、オルソクレゾールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型、フェノールノボラック型、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0131】
このようなエポキシアクリレート樹脂は、感光性樹脂組成物中に固形分比1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%で含有されることが好ましい。エポキシアクリレート樹脂の含有量が上記範囲より少ない場合は、得られる感光性高分子層に十分な密着性を付与することができず、一方、エポキシアクリレート樹脂の含有量が上記範囲を越えると、光硬化に供しないエポキシアクリレート樹脂が多くなりすぎ、感光性樹脂組成物の保存安定性、現像適性が低下するので好ましくない。
【0132】
また、エポキシアクリレート樹脂は、感光性樹脂組成物の乾燥塗膜のタックを除去するためにも有効であり、添加量3重量%程度で十分な効果が発現する。
【0133】
本発明においては、上記エポキシアクリレート樹脂に替えて、もしくは上記エポキシアクリレート樹脂と共に用いることにより、密着性を向上させ、かつ現像性をも向上させる、下記化学式(3)で示される成分を添加することが好ましい。
【0134】
【化14】
Figure 0004324390
【0135】
(ここで、Xはメチル基もしくは水素原子を示し、Rはアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を示す。)
このような化合物は、密着性の向上に加えて、側鎖にカルボン酸を有するものであることから、アルカリ水に溶解させることが可能であり、現像性を向上させることができる。
【0136】
このような化合物としては、具体的には、NKエステルシリーズとして、ビスフェノールAのEO付加品、A−BPEシリーズ、水添ビスフェノールAのPO付加品、A−BPPシリーズ(以上、いずれも新中村化学(株))、ビスフェノールAのPO付加品、ライトアクリレートシリーズBP−4PA(共栄社油脂(株))、ビスフェノールAのECH変性エビクリルシリーズ(ダイセル工業(株))、エポリードPB、エポフレンド、Uvacure1502、Uvacure1561、Uvacure1562(以上、いずれもダイセルUCB(株))、DCRシリーズ(大日本印刷(株)用試作品)(日本触媒(株))、SANBO AR,G(三宝化学)等を挙げることができる。
【0137】
上記化学式(3)で示される成分は、感光性樹脂組成物中に固形分比3重量%〜35重量%、好ましくは5重量%〜31重量%の範囲内で含有されることが好ましい。上記範囲より少ない場合は、アルカリ現像液に対する膜浸透性が高く、露光、現像後の解像されたパターンが、泳ぎや部分的な欠損を生じる。また、上記範囲より多い場合には、アルカリ現像液に対する膜浸透性は高まるが、皮膜形成能が高まり、膜ひずみによるクラックやしわが発生しやすくなるからである。
【0138】
(シランカップリング剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、さらにシランカップリング剤を樹脂層とスクリーン繊維あるいはメタル基材との密着性改善を目的として添加してもよい。
【0139】
このようなシランカップリング剤としては、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等を挙げることができる。
【0140】
より具体的には、ビニルシランとして、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等を使用することができる。また、アクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。エポキシシランとしては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトシキシラン等を挙げることができる。さらに、アミノシランとしては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。その他のシランカップリング剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン等を使用することができる。添加量は、シランカップリング剤を、直接水溶液として加水分解させた溶液を塗布し、密着性改善を行う場合は、0.1重量%〜10重量%の範囲内で使用することが可能であり、樹脂あるいは感光性組成物に添加して使用する場合は、0.01重量%〜5重量%の範囲内で使用することが可能である。上記範囲より少ない場合には密着力が弱く、上記範囲より高い場合には、感光性組成物の感度低下や、透明性を損ない、ひどい場合には乳化状態となり、パターン形成が不可能となるからである。
【0141】
(疎水性重合体粒子)
本発明の感光性樹脂組成物においては、凝集や沈殿を起こさないものであれば疎水性重合体粒子を別添加使用することができる。この様な疎水性重合体粒子が分散された感光性樹脂組成物は、疎水性重合体粒子の平均粒子径が50μm以下、特に15μm以下であることが好ましい。
【0142】
このように疎水性重合体粒子を添加することにより、形成された画像の耐水性を改善し、その結果として、光硬化画像の解像性の向上と、水性インキや水性ペーストを用いた印刷での耐刷性を向上させることができるからである。
【0143】
この様な疎水性重合体粒子成分の配合量は、感光性樹脂組成物中の固形分100重量部に対して、固形分として5〜95重量部、好ましくは20〜85重量部とすることが望ましい。疎水性重合体粒子成分の配合量が上記範囲未満では硬化膜への耐水性向上効果が現れ難い傾向があり、上記範囲を超過すると現像性が悪く再現性の良い画像が得られ難い傾向がある。この様な疎水性重合体粒子成分は、重合工程中により得られるエマルジョンをそのまま、或いは、高分子重合体を水及び水を主たる分散媒に分散された高分子重合体の分散液が用いられる。これらの疎水性重合体粒子成分は、合成された高分子化合物及び天然高分子化合物でも良い。
【0144】
上記疎水性重合体粒子としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/エチレン共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体(ここでアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸2‐エチルヘキシル等がある。)、(メタ)アクリル酸重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、クロロプレン重合体、イソプレン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、シリコ―ン樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素樹脂等を挙げることができる。これら疎水性重合体粒子は、重合工程中により得られるポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン・酢酸ビニルコポリマーエマルジョン、酢酸ビニル・アクリルコポリマーエマルジョン、エチレン・酢酸ビニル・アクリル3元共重合エマルジョン、塩化ビニル・酢酸ビニルエマルジョン、アクリルエマルジョン、スチレン・ブタジエンラテックスエマルジョン、MBRラテックスエマルジョン、アクリロニトリル・ブタジエンゴムラテックスエマルジョン、クロロプレンゴムラテックスエマルジョン、塩化ビニリデンエマルジョン等を挙げることができる。合成高分子ディスパージョンとしては、ポリエチレンディスパージョン、ポリオレフィンアイオノマーディスパージョン、ウレタンアイオノマーディスパージョン等が有用である。また、合成高分子微粉体や精製スターチを分散したものも使用できる。
【0145】
(乾燥溶媒)
本発明の感光性樹脂組成物は、平坦性を良好とするため乾燥溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール等を複数組み合わせ使用し、固形分濃度0.5重量%〜5.0重量%添加できる。
【0146】
(その他)
本発明の感光性樹脂組成物は、さらにこの種の感光性樹脂組成物に通常含まれる添加剤成分を任意に添加することができる。この様な任意の添加剤成分としては、例えば、上記感光性樹脂組成物中の固形分100重量部に対して0.5重量部以下の乳化安定剤を、熱により架橋する架橋性化合物や光重合可能なエチレン性不飽和基を含有する化合物の溶解補助剤として、それら100重量部に対して30重量部以下の水と混和性のない有機溶剤を、さらには、染料、顔料等の画像を見易くする着色剤、消泡剤等を通常添加される範囲内で添加することができる。また、増量剤あるいはタック防止剤として無機粉体を感光性樹脂組成物中の固形分100重量部に対して30重量部以下の範囲内で添加することができる。
【0147】
任意成分としてはさらに、必要に応じて光重合開始剤や光重合促進剤を溶解混合した光重合性化合物を添加して乳化したり、また、必要に応じて疎水性高分子重合体分散液や着色剤・消泡剤を混合したり、必要に応じて、光架橋剤であるジアゾ化合物を添加して混合することにより、さらに改良された本発明の感光性樹脂組成物が得られる。
【0148】
なお、各成分の添加順序は上記順番に固定されるものでなく、凝集・分離・析出等の混合時の問題が生じない範囲で添加順序を変更することができる。但し、ブロックイソシアネート化合物は水溶液中での安定性が良くないために、液中の保存安定性が低下し易い。したがって、使用直前に添加することが好ましい。
f.用途
この様な本発明の感光性樹脂組成物は、各種用途に応じて、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属板や、合成樹脂板、半導体基板、石材等の任意の基材上に塗布し、乾燥して積層するか、各種スクリーンメッシュ(ポリアミド、ポリエステル、ステンレス等のメッシュ)、ロータリースクリーンシリンダー等の表裏面又は表面に塗布し、乾燥することにより形成された、例えば1〜1000μmの乾燥厚の感光性樹脂材料に、紫外線等からなる活性光を、例えば、紫外線の場合には波長300〜450nm範囲の照射エネルギー量が10mj/cm2以上となるようにマスク等により所定のパターンを通して照射して照射部分を硬化させた後、非照射部分の未硬化の部分をスプレー水等により除去すれば、レリーフ画像或いは画像膜が形成される。
【0149】
さらに、この形成されたレリーフ画像或いは画像膜を50〜220℃、好ましくは120〜200℃の雰囲気中で加熱処理、或いは、近赤外線、遠赤外線、マイクロ波等を照射処理することにより、更に画像膜の硬化反応が進行し、耐水・耐溶剤性に優れた画像膜となる。
【0150】
したがって、この様な感光性樹脂組成物を使用したスクリーン印刷や凸版印刷等の各種印刷版や、各種エッチングレジスト、サンドブラストエッチング等のレジスト膜等の用途に利用することができる。
【0151】
本発明においては、中でもスクリーン印刷用版製版用として用いることが好ましい。このようにスクリーン印刷用版製版用感光性樹脂組成物として用いれば、解像性が良好であり、かつ耐刷性が良好であるという利点を活かすことができるからである。
【0152】
以下、本発明の感光性樹脂組成物の好ましい用途であるスクリーン印刷用版の製造方法およびスクリーン印刷用版について説明する。
【0153】
(スクリーン印刷用版の製造方法)
本発明の感光性樹脂組成物の好ましい用途としてのスクリーン印刷用版の製造方法について、以下に詳細に記載する。
【0154】
(1)塗布・乾燥工程
用途に応じて、アルミニウム、ステンレス、鋼鉄等の金属製の棒状素材を正方形或いは長方形に製作したフラットスクリーン型枠に、各種スクリーンメッシュで紗張りしたフラットスクリーン版に、フラットスクリーン版用バケットで、常法に従って上記感光性樹脂組成物を塗布及び乾燥工程を繰り返し、所定の厚みで積層するか、或いは、エレクトロフォーミング法により形成された金属製のロータリースクリーンシリンダー上に、リング状バケットで、常法に従って上記感光性樹脂組成物の塗布及び乾燥工程を1回又は数回繰り返すことにより、乾燥膜厚が一般に0.5〜1,000μm、好ましくは1〜400μm、特に好ましくは1〜200μmの厚さの感光性樹脂組成物よりなる感光性樹脂膜が形成される。このようにして得られた感光性樹脂組成物よりなる感光性樹脂膜の表裏両面へは、該感光膜保護のためにオーバーコート層を形成することもできる。これによってスクリーン印刷用PS版を得ることができる。
【0155】
スクリーン印刷用版を得るに際して、感光液を直接塗布する方法と感光液をポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のプラスチックフィルム上に塗布・乾燥して5〜1,000μmの感光膜を得ておいて、この感光膜を、水或いは感光液を塗布したスクリーン上に転写する方法(いわゆる直間法と呼ばれる方法)がある。本発明の感光性樹脂組成物はこの様な方法で感光膜を形成することができる。
【0156】
(2)露光工程
上記型枠に張られたスクリーンに感光性樹脂組成物よりなる感光膜をネガフィルム又はポジフィルムよりなるフィルムを介して紫外線、可視光線、アルゴンレーザー等の光線を照射して露光することにより、該フィルムに画像が描かれていて光を透過しない部分の裏面側の感光性樹脂層中の樹脂固形分未架橋部分が未露光となり硬化しない。一方、該フィルムに画像が描かれていない部分の裏面側の感光性樹脂層中のモノマーと樹脂架橋基が露光されて光反応を起こし光架橋することにより硬化して、この部分の感光性樹脂層に潜像画像を形成させることができる。露光は、一般に出力1〜15KW、好ましくは2〜6KWの超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライド含有高圧水銀灯等の光源を使用でき、一般に0.1〜2m、好ましくは0.2〜1.5mの距離から、一般に3秒〜20分間、好ましくは5秒〜5分間照射することにより行われる。さらに、感剤のパターンエッジをシャープに解像させることができるアライナーやステッパー露光を行うことがより好ましい。
【0157】
(3)現像工程
この露光された潜像画像を有する感光性樹脂層に、水、アルカリ水溶液、又は、酸水溶液をスプレーにより吹き付けることによって、架橋硬化部分と未架橋部分の溶解度差を利用し未架橋物質を除去することにより、画像が形成されたスクリーン印刷用版が得られる。現像は、一般に1〜10分間行われる。しかし、ここで得られるスクリーン印刷用版の感光性樹脂層は水に対して難溶性ではあり、現像作業に耐え、十分な画像再現性が得られる耐水性を有しているが、水性インキや捺染糊を使用した印刷に耐えられないため、更なる耐水性を付与するために、本発明においては次の加熱処理工程を行うことが好ましい。
【0158】
(4)加熱処理工程
(a)加熱処理
上記現像により得られたスクリーン印刷用版は、一般に乾燥するために40℃程度に乾燥されるのが普通であるが、本発明においては上記乾燥温度よりも高い上記架橋性化合物が架橋反応を起こす温度、具体的な加熱処理温度としては、一般に50〜220℃、好ましくは100〜220℃、特に好ましくは130〜200℃の温度で加熱処理工程に付することが重要である。このような加熱処理の時間としては、一般に0.5〜4時間、好ましくは1〜2.5時間である。このような加熱処理は、加熱又は熱線を照射することにより行われる。上記加熱は、一般にオーブン等の加熱炉内で、或いは、熱風を循環送風する乾燥炉等の熱風加熱炉等により行われるのが普通である。上記熱線としては、近赤外線、遠赤外線、マイクロ波等を挙げることができる。
【0159】
(b)架橋
この様な加熱処理工程に付することにより、スクリーン印刷用版の感光性樹脂層中の光架橋した水に難溶性の架橋性化合物よりなる樹脂成分が反応することにより高分子化したり、架橋することにより分散質を水不溶性とすると共に、該水不溶性成分が光架橋したカルボキシル残基に残存する水酸基と反応して親水性基である水酸基を減少して水不溶化又は難溶化させたり、水酸基と反応することにより光架橋した樹脂成分物と架橋してより巨大な分子とすることにより更に一段と不溶化させることができる。
【0160】
(スクリーン印刷用版)
(1)構造
この様にして得られたスクリーン印刷用版は、上記感光性樹脂組成物を用いて塗布、露光、現像、加熱又は熱線処理することにより製造されたものであることから、型枠に張られたスクリーンメッシュに部分的に樹脂層が一定の厚みで形成されて画像が形成されており、この樹脂層自体は光架橋された樹脂成分物中に熱により架橋された水不溶性成分を分散させたような状態のものであり、この熱により架橋された水不溶性成分と光架橋された樹脂物とが架橋して一体化されて、水や有機溶剤に不溶な状態や膨潤し難い状態となっており、耐水性、有機溶剤性、耐刷性に優れたスクリーン印刷用版となっている。
(2)種類
この様なスクリーン印刷用版は、フラットスクリーン印刷機やロータリースクリーン印刷機を用いてスクリーン印刷する際に用いられる、通常のフラットスクリーン印刷版やロータリースクリーンシリンダーに感光性樹脂組成物を塗布、乾燥したロータリースクリーン印刷版として使用した場合も耐水性、有機溶剤性、耐刷性に優れたものとなる。中でも、ロータリースクリーンシリンダーを用いたロータリースクリーン印刷版として使用することが特に有用である。
【0161】
(3)用途
この様なスクリーン印刷用版は、上記フラットスクリーン印刷版の感光膜面上にスクリーン印刷用のインキを載置し、この感光膜面をスキージで強く擦り、スクリーン紗を被印刷体に接触させながら摺動させることによって、この感光膜面の細孔にインキを透過させて、該感光膜の裏面側の被印刷体に被着させて画像や文字等を印刷することができる。具体的には、プリント基板等の工業部品の印刷、或いは、Tシャツやハンカチーフ等の捺染や、陶磁器、ガラス、広告看板、ポスター、エンドレス捺染、壁装床材等建築内装材等への生活に密着した製品への印刷等に幅広く適用することができる。
【0162】
g.その他
本発明の感光性樹脂組成物を露光、アルカリ現像した後においても、感光性樹脂組成物中には未反応の酸性基が残存しているが、本発明では、感光性樹脂組成物中に含有されるエポキシアクリレート樹脂が、この残存酸性基と加熱処理によって反応するため、形成された保護膜中にはアルカリと反応可能な酸性基が存在せず、したがって、得られる感光性高分子層は優れた耐アルカリ性を備えたものとなる。
この感光性樹脂組成物の塗布膜に対する露光とアルカリ現像を完了した後に行う加熱処理(ポストベーク)は、通常、120〜250℃、5〜90分程度の条件で行うことができる。この加熱処理により、感光性樹脂組成物中に含有されるエポキシ樹脂が、残存する酸性基と反応することになる。
【0163】
B.スクリーン印刷用版
次に、本発明のスクリーン印刷用版について説明する。本発明のスクリーン印刷用版は2つの態様がある。第1の態様としては、紗と、紗の隙間に充填され紗の表面を平坦化させる平坦化層と、上記平坦化層の被印刷物側の表面に形成されたバッククッション層とを有し、上記バッククッション層が所定の硬度を有することを特徴とするものであり、第2の態様としては、開口幅の異なる少なくとも2枚の紗を有することを特徴とするもの(以下、第2の態様とする)である。
【0164】
以下、それぞれの態様についてわけて説明する。
【0165】
(第1の態様)
まず、本発明のスクリーン印刷用版における第1の態様について説明する。本発明のスクリーン印刷用版における第1の態様は、紗と、紗の隙間に充填され紗の表面を平坦化させる平坦化層と、上記平坦化層の被印刷物側の表面に形成されたバッククッション層とを有し、上記バッククッション層が所定の硬度を有することを特徴とするものである。
【0166】
本態様においては、所定の硬度を有するバッククッション層を平坦化層の被印刷物側の表面に形成したものであるので、印刷時にバッククッション層の弾性を利用して良好な版離れを実現することができる。
【0167】
図1は、このような本態様のスクリーン印刷用版の一例を示すものである。メタル製の紗1の周囲にはこのメタル紗1の隙間を充填する平坦化層2が形成されている。この平坦化層2の被印刷物側の表面には、第1接着層3を介してバッククッション層4が形成されている。一方、上記平坦化層2の被印刷物と反対側の表面には、第2接着層5を介して感光性高分子層6が形成されている。
【0168】
上記平坦化層2、第1接着層3、バッククッション層4、第2接着層5、および感光性高分子層6のいずれもが、同一のパターンでパターニングされ、貫通孔7が形成されており、印刷時にはこの貫通孔7にインクが充填されて被印刷物に転写されることにより、スクリーン印刷がなされる。
【0169】
この例に示すような本態様のスクリーン印刷版が、従来のスクリーン印刷版と比較して高精細なパターンを形成するのに有利である点について、従来のスクリーン印刷版と比較して説明する。
【0170】
図3は従来のスクリーン印刷版を示すものである。このような従来のスクリーン印刷版は、紗11に乳剤12が付着した構成となっている。このような従来のスクリーン印刷版を用いてスクリーン印刷をした場合は、まず版離れが紗の張力に由来する力によるものであることから、良好であるとはいえない。したがって、スキージによりインクを貫通孔7に充填した際に、スクリーン印刷用版が被印刷物に密着する時間が比較的長くなる。このため、転写されたインクaが裏回りしてしまい、解像度が良好なパターンを形成することができない。
【0171】
また、乳剤12の膜厚は紗の厚みと比較してそれほど厚く形成されていないことから、乳剤12の被印刷物側の面は、紗の凹凸に応じて若干の凹凸を生じてしまう。このようなスクリーン印刷版を用いてスクリーン印刷を行った場合は、インクの被印刷物への転写時に、乳剤表面と被印刷物表面の間に微細な隙間が生じる可能性がある。したがって、この隙間にインクが滲み出てしまい、結果として高精細なパターンの形成を妨げることになる。
【0172】
図1に示すように、本態様のスクリーン印刷版は、所定の硬度のバッククッション層4が平坦化層2の被印刷物側に形成されていることから、版離れがこのバッククッション層の弾性を利用したものとなる。このため、極めて短時間で版離れが行われることから、インクaが裏回りする可能性が少ない。さらに、バッククッション層4は平坦化層2上に第1接着層3を介して、かつ所定の膜厚で形成されたものであるので、転写時に紗1の凹凸に影響されることなく平坦性を維持することができる。また、バッククッション層4は転写時に被印刷物表面と平行となるように形成されている。したがって、転写時にインクが裏回りする可能性を極めて小さくすることが可能であり、その結果高精細なパターンを形成することが可能となるのである。
【0173】
以下、このような本態様のスクリーン印刷用版について、各構成毎に詳細に説明する。なお、本態様のスクリーン印刷用版は、フラットスクリーン版であっても、シリンダー状のスクリーン版であってもよい。
【0174】
a.バッククッション層
上述したように、本態様のスクリーン印刷用版の第1の特徴は、被印刷物側の面にバッククッション層が形成されている点にある。
【0175】
本態様においては、このバッククッション層の硬度が、針侵入硬度で、30〜65の範囲内、特に33〜60の範囲内、中でも35〜55の範囲内であることが好ましい。硬度が上記範囲より小さい場合は、版離れが悪くなり、インクの裏回りが生じる可能性が生じることから好ましくない。一方、硬度が上記範囲より高い場合は、バッククッション層が紗の動きに追従することができずにクラック等が生じる可能性があることから好ましくない。
【0176】
また、このバッククッション層の膜厚としては、1μm〜150μmの範囲内、特に3μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が薄い場合は、バッククッション層としての機能を発揮することができず版離れが悪くなり、インクの裏回り等が生じる可能性があることから好ましくない。一方上記範囲より膜厚が厚い場合は、フォトリソグラフィー法によるパターン形成時にパターン精度を維持することが困難となり、結果的に高精細なパターンを形成することができなる可能性があることから好ましくない。
【0177】
このようなバッククッション層の形状は、図1に示す例でも明らかなように、平坦化層と同様のパターンで貫通孔が形成され、同一にパターニングがなされたものである。この際、平坦化層の被印刷物側と反対側の表面に感光性高分子層が形成されている場合は、この感光性高分子層とも同一にパターニングがなされたものである。
【0178】
また、バッククッション層は表面が平滑であることが好ましい。表面に凹凸がある場合は、転写時に凹部にインクがにじみ出てしまう可能性があり、好ましくないからである。
【0179】
さらに、本態様においては、バッククッション層は、被印刷物に密着した際に、被印刷物表面とバッククッション層表面とが平行になるように形成されていることが好ましい。転写時に平行とならない場合は、隙間が生じるということであり、その隙間にインクが滲み出て、高精細なパターンを形成することができなくなる可能性があるからである。
【0180】
このようなバッククッション層を形成するための材料としては、上述した感光性樹脂組成物を用いることが可能である。この場合、上述したモノマー成分(2)の含有量等を調整することにより、必要な硬さを得ることができる。
【0181】
また、その他の材料としては、解像性の良好な化学増幅型レジストとして、ポリヒドロキシスチレンとの共重合体(日立化成(株))、ポジ型半導体レジストとして、OFPRシリーズ、OFPR−800(東京応化(株))、AZシリーズ(ヘキスト(株))、NR−ポリマー(三菱レーヨン(株))、カチオン硬化樹脂、エポリードPB,セロキサイド2021P(以上、いずれもダイセルUCB(株))を使用したUV1530、UV1534、UV1533、Uvacure1561、1562、1502、1591等を挙げることができる。
【0182】
また、本態様におけるバッククッション層は、ドライフィルムレジストを用いて形成することも可能である。このバッククッション層は所定の膜厚を有するものであることから、工程面で有利なドライフィルムレジストを用いることが好ましいのである。
【0183】
b.紗
本態様に用いられる紗としては、特に限定されるものではないが、高精細なパターンを得ることを目的とするものであることから、メタル紗、さらには、スクリーン紗の張力を高め、高開口率を保持した高張力ステンレススクリーン紗、レーザパンチングされた金属メッシュ紗、メタルコンビネーション紗、電鋳法により金属ニッケル等を析出させ、プレート状としたアルファスクリーン紗、メッキスクリーン紗、メタルマスクを紗に構成するレーザーメタルマスク紗、アディティブメタルマスク紗、エッチングメタルマスク紗等を挙げることができる。
【0184】
本態様においては、中でもメタル紗が好適に用いられる。このようにメタル紗が用いられた場合は、紗の被印刷物側面を研削して平坦化することが好ましい。すなわち、例えば図2に示すようにメタル紗21の一方の表面側を、研磨剤でポリッシング後、薄膜化されたことにより、おれ強度が低下してしまわないよう強度を維持するために、よりをかける目的で、カレンダー平滑処理を施す等の方法により平坦化するのである。
【0185】
このように平坦化された面が被印刷物側となるようにして紗を配置し、平坦化層を形成してその上にバッククッション層を設けることにより、バッククッション層表面を平滑とすることが可能となるからである。
【0186】
このような紗の平滑処理は、メッシュ間距離に依存するが、メタル紗のワイヤの直径の3分の1程度までであれば研削して平坦化することが可能である。
【0187】
c.平坦化層
本態様においては、上記紗には、その隙間に充填された平坦化層が形成されている。この平坦化層は、従来のスクリーン印刷版に用いられていた乳剤と同様のものであってもよいが、これに限定されるものではなく、紗の凹凸をなるべく平滑化することができるような材料および膜厚で形成されていることが好ましい。
【0188】
このような平坦化層の膜厚は、紗構成の線径や、紗の膜厚にもよるが、14μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0189】
また、このような平坦化層を形成する材料は、上述したように従来のスクリーン印刷で用いられている乳剤、具体的には、水系エマルジョン感剤、例えばポリエステル−アクリル水系エマルジョン、水系エポキシ樹脂にゴム弾性乳化共重合体を硬化剤と共に配合したエポキシ樹脂水系乳剤、エポキシ樹脂に高ニトリルのアクリロニトリル・ブタジエン共重合体を結合させた変性エポキシ乳化重合体系乳剤を用いることができるが、これに限定されるものではなく、その他、スチレン・ブタジエン乳化共重合系、エチレン・酢酸ビニル乳化共重合体系、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル・ブタジエン乳化共重合体系の乳剤等を用いることができる。
【0190】
d.第1接着層
本態様においては、上記平坦化層とバッククッション層との間に第1接着層を形成してもよい。このように第1接着層を形成することにより、バッククッション層と平坦化層との密着性を向上させることができるからである。さらに、第1接着層を後述するように低硬度の材料で形成することにより、転写時にバッククッション層のクッションとしての役割を果たすことが可能となり、バッククッション層の版離れをより良好とすることが可能であり、かつ転写時におけるバッククッション層と被印刷物とを隙間なく密着させることができるといった効果を奏する。
【0191】
また、スクリーン印刷版用の接着材料として、パターニング性、平滑性の他に、スクリーンインキ溶剤に対する耐溶剤性も必要である。特にインキ乾燥性と関係して、耐グリコール系溶剤性は必須である。例えば、プロピレングリコール・メチルエーテル(PGM)中に3時間浸漬して、少なくとも一定の接着強度を保持可能であることが必要である。この場合の接着強度として、PGMに3時間浸漬した後の接着力強度の値が、7kg(25mm×25mm□)以上である。一般には、接着部位に対して、ポリエステル粘着テープ(商品名セロテープ(登録商標))等の粘着テープで剥離しないことである。
【0192】
このような第1接着層の硬度は、上述したように比較的低い方が好ましく、具体的には針侵入硬度で30未満、好ましくは10〜28の範囲内、特に15〜25の範囲内であることが好ましい。上記範囲より硬度が高い場合は、上述したようなバッククッション層のクッションとしての役割を果たすことができないことから好ましくなく、上記範囲より硬度が低い場合は、強度面で問題が生じる可能性があるから好ましくない。
【0193】
本態様における第1接着層の膜厚は、1μm〜100μmの範囲内、特に3μm〜70μmの範囲内とすることが好ましい。また、この第1接着層も当然のことながら上記バッククッション層および平坦化層と同一のパターンでパターニングされ貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0194】
また、上記平坦化層が上記第1接着層と同一の材料で形成されていてもよい。具体的には、上記平坦化層の膜厚を厚く形成し、用いる材料を選択することにより、適当な硬度範囲であり、かつバッククッション層との密着性が良好な材料で形成されるのであれば、上記第1接着層と平坦化層とは同一であってもよいのである。
【0195】
本態様においては、上記第1接着層を形成する材料としては、上述したように、バッククッション層と平坦化層との密着性が良好であり、かつ所定の硬度範囲とすることができる材料であれば特に限定されるものではないが、具体的には、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコンアクリレート等のアクリル型、および不飽和ポリエステル・スチレン系、ポリエン・スチレン系等の非アクリル系が挙げられるが、中でもUV硬化速度、物性の選択幅の広さから、アクリル型が好ましい。さらには、弾性力の面から、オリゴマーのような適度な分子量のもの、質量平均分子量(Mw)が5000〜15000程度のものが好ましい。
【0196】
e.感光性高分子層
本態様においては、上記平坦化層の被印刷物側と逆側の表面に、感光性高分子層を形成してもよい。このように感光性高分子層を形成することにより、従来のスクリーン印刷版と比較して、格段にスクリーン印刷版を高精細に形成することが可能となるからである。また、感光性高分子層の材料を選択することにより、耐溶剤性を向上させ、さらに耐刷性を向上させることができるので、スクリーン印刷版の寿命を大幅に向上させることが可能となる。
【0197】
このような感光性高分子層を構成する材料としては、上述したような本態様の感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0198】
この感光性高分子層の膜厚としては、0.1μm〜100μmの範囲内、特に1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0199】
f.第2接着層
本態様においては、さらに上記感光性高分子層と平坦化層との間に、第2接着層を形成してもよい。これは感光性高分子層と平坦化層との密着性を向上させるために形成するものである。
【0200】
この第2接着層は、上記第1接着層と同様の材料を用いることができ、また膜厚も同程度で形成されることが好ましい。
【0201】
g.その他の層
インクに直接接する面に、感光性高分子層のひび割れや、耐溶剤性を向上させるための湿潤保湿層や、インクのレオロジー特性に併せて、感光性高分子層を2層以上の複層として、それぞれのパターン解像性を異なる開口率として、インキ通過孔を変化させた層としても良い。さらには、アライメントマーク情報等を明確に判読・区別するための着色感光層(赤外線吸収剤や紫外線吸収剤を含む)を設けても良い。
【0202】
(第2の態様)
次に、本発明のスクリーン印刷用版における第2の態様について説明する。本発明のスクリーン印刷用版における第2の態様としては、開口幅の異なる少なくとも2枚の紗を有することを特徴とするものである。
【0203】
本態様によれば、スクリーン印刷用版が、開口幅の異なる少なくとも2枚以上の紗を有することから、開口部内でのインキの流動性を調整することが容易となり、高精細なパターンをスクリーン印刷法により印刷することが可能となる。
【0204】
このような本態様のスクリーン印刷用版の一例を図4に示す。本態様のスクリーン印刷用版は、被印刷物側に形成される被印刷側紗11と、その被印刷側紗11と反対側に形成される表面側紗12との開口幅が異なるものである。これにより、貫通孔7内でのインキの流動性を調整することが可能となり、インキの抜け等を良くすることが可能となるのである。
【0205】
これらの開口幅の異なる紗は、2枚以上であれば、その枚数は特に限定されるものではなく、3枚以上であってもよいが、本態様においては、2枚であることが好ましい。紗の枚数が多くなると、紗の張力が強くなり、印刷時に被印刷物への密着が困難となるからである。
【0206】
また、これらの開口幅の異なる2枚以上の紗における開口幅は、1μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内より開口幅が狭い場合には、インキが目詰まり等を起こす可能性があるからであり、また上記範囲内より開口幅が広い場合には、高精細なパターンを形成することが困難となるからである。
【0207】
これらの紗の種類は、特に限定されるものではなく、スクリーン印刷用版に通常用いられている紗も用いることが可能であるが、本態様においては、より高精細なパターンの形成が可能であるという点から、メタル紗であることが好ましい。紗がメタル紗であることにより、紗の張力が高く、印刷時の版離れがよいことから、高精細なパターンを形成することが可能となるからである。
【0208】
このようなスクリーン印刷用版は、2枚以上の異なる開口幅を有する紗をそれぞれ別に形成し、それらの紗を重ねることにより得ることができる。これにより、それぞれの紗の開口幅の比等を調整することが可能となる。また例えば被印刷物側の紗と表面側の紗との厚みを異なるものとすることも可能である。これにより、貫通孔内部におけるインキの流動性等をより調整することが可能となり、高精細なパターンを形成することができるのである。この際、それぞれの紗の間は、接着されていなくてもよいが、本態様においては、接着層等により接着されていることが好ましい。この接着層としては、上述した第1の態様における第1接着層の項で説明した材料等を用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
【0209】
それぞれの紗の形成方法としては、通常のスクリーン印刷用版の形成と同様に形成することも可能であり、この場合、開口幅の調整は、乳剤により行うことができる。また、この際乳剤として、上述した第1態様における平坦化層の項で説明した材料等を用いることも可能である。
【0210】
しかしながら、本態様においては、紗がメタル紗であることが好ましく、この場合の紗の形成方法として、金属板に、レーザにより貫通孔を形成する方法、またはエッチングにより貫通孔を形成する方法等であることが好ましい。これにより、通常スクリーン印刷用版に用いられている乳剤を用いることなく紗を形成することができ、2枚以上の紗を重ねた際に、それぞれの紗の開口部を密着させることが可能となる。よって高精細なパターンの形成が可能となるからである。また、これらの方法を用いることにより、従来のスクリーン印刷用版より細かい貫通孔を形成することができることからも、高精細なパターンを形成することが可能となるからである。
【0211】
この際に、用いることが可能な金属板としては、通常メタル紗に用いることが可能な材料で、エッチング加工が可能な金属であれば、特に限定されるものではなく、特に高精細さを必要とする場合には線膨張係数の小さなインバー材やSUS系合金などが好ましい。さらに、異なる材質の金属を組み合わせて用いることもできる。
【0212】
また、金属板にレーザにより、開口部を形成する方法において、用いることが可能なレーザとしては、出力の大きなレーザで、レーザアブレーション能力を有するものであれば特に限定はされないが、具体的にはYAG、高出力Arレーザ等が挙げられる。
【0213】
また、エッチングにより開口部を形成する場合には、通常のフォトリソグラフィー法を用いることができる。
【0214】
ここで、2枚以上の開口幅の異なる紗における開口幅の比は、印刷を行うインキの粘度特性により適宜選択される。本発明においては、この最も印刷物に近い位置に形成される被印刷物側紗の開口幅を1とした場合に、最も表面に近い位置に形成される表面側紗の開口幅が、0.1〜10の範囲内、中でも0.5〜3.0の範囲内であることが好ましい。この開口比が小さい場合には、インキ充填が十分に行われず、かすれやインキ詰まりを起こす場合があるからである。また、開口比が大きい場合には、被印刷物側での版づまりや、インキの版裏まわり等を起こし、印刷汚れの原因となる場合があるからである。
【0215】
ここで、本実施態様のスクリーン印刷用版に用いられるインキの流動特性は、インキの粘度が20〜300Pa・sの範囲内であり、かつTI(チキソトロピックインデックス)値が200〜400の範囲内であり、さらに動的粘度特性を示すTanδ値が5〜10程度であることが好ましい。
【0216】
このTI値とは、回転粘度計ダブルコーン型(径25mm)にて3回転粘度(η)と、10回転粘度(η10)とを測定した値の比(η/η10)である。測定は、温度25℃、測定試料0.3mlで行った。また、Tanδ(G′′(損失弾性率)/G′(貯蔵弾性率))は動的粘弾性測定装置レオメータにより測定した値である。測定は、温度25℃で行った。
【0217】
また、動的粘度特性を示すTanδ値は、角周波数ωが0.1rad/sがインキを版から転移後、基板上にて静止している状態に、また角周波数ωが100rad/sをインキがメッシュパターンを通過している状態に近いものとして定義したものである。この場合、角周波数ωが0.1rad/sでTanδが5.1〜8.0の範囲内、ωが100rad/sでTanδが0.7〜1.9の範囲内となるチキソ性の高い流動特性を有するインキが好適に用いられる。
【0218】
なお、ここで上記紗の張力が硬くて復元力が得られない場合には、上述した第1の態様に用いられるバッククッション層等を形成してもよい。
【0219】
また、本態様のスクリーン印刷用版は、フラットスクリーン版であってもシリンダー状のスクリーン印刷用版であってもよい。
【0220】
C.スクリーン印刷用版の製造方法
本発明におけるスクリーン印刷用版の製造方法は、
紗の隙間に感光性材料を充填して、紗の両面を平坦化させる平坦化層形成工程と、
上記平坦化層が形成された紗の一表面に感光性樹脂組成物を塗布し、パターン露光を行うことにより、パターン状に感光性高分子層を形成する感光性高分子層形成工程と、
上記平坦化層が形成された紗の他の表面にポジ型感光性材料を塗布した後、上記感光性高分子層側から露光することにより上記ポジ型感光性材料をパターニングしてバッククッション層とするバッククッション層形成工程と
を有することを特徴とするものである。
【0221】
本発明の製造方法によれば、フォトマスクを介した露光が1回で済むことから工程的に有利であり、コストダウンを図ることが可能であるという利点を有する。
【0222】
本発明においては、感光性樹脂組成物を用い、この感光性樹脂組成物に対してまずパターン露光を行い、現像することによりパターン状に形成された感光性高分子層が形成される。ここで、平坦化層は予め形成されていることから、この際同様にしてパターン状に形成される。
【0223】
そして、上記感光性高分子層と逆側の面にバッククッション層を形成するためのポジ型の感光性材料を塗布する。そして、すでにパターン状に形成されている感光性高分子層側から全面にわたって露光することにより、上記感光性高分子層が無い部分が露光されることから、ポジ型感光性材料は上記感光性高分子層が無い部分のみ除去することができ、これによりスクリーン印刷用版とすることができるのである。
【0224】
本発明においては、感光性高分子層を形成する感光性樹脂組成物は、上述した本発明の感光性樹脂組成であることが好ましい。現像性が良好でありかつ耐溶剤性および耐刷性が良好だからである。
【0225】
なお、本発明におけるバッククッション層等の各構成に関しては、上記「B.スクリーン印刷用版」で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。また、スクリーン印刷用版の一般的な製法に関しては、上記「A.感光性樹脂組成物」の「スクリーン印刷版の製造方法」の欄に記載された方法を用いることができる。
【0226】
D.微細パターン形成体の製造方法および微細パターン形成体
本発明においては、上述したようなスクリーン印刷版を用いてスクリーン印刷を行うことにより、従来のスクリーン印刷版では達成することができなかった、高精彩な微細パターンを基材上に形成することが可能となった。
【0227】
本発明の微細パターン形成体に用いられる基材としては、特に限定されるものではなく、表面が平滑なものであればいかなるものも用いることができる。本発明の微細パターン形成体は、このような基材上にスクリーン印刷法により形成された機能層の微細パターンが形成されてなるものである。
【0228】
本発明でいう微細パターンとは、幅が1μm〜90μmの範囲内、特に10μm〜70μmの範囲内であるラインからなるパターンか、もしくは直径が3μm〜80μmの範囲内、特に12μm〜60μmの範囲内であるドットからなるパターンを示すものである。
【0229】
また、本発明でいう機能層とは、このような微細パターンを必要とする機能層であり、例えばプリント配線版であれば導電層であり、EL素子であれば発光層であり、カラーフィルタであれば着色層とすることができる。
【0230】
本発明の微細パターン形成体としては、例えば微細パターンとして障壁が形成されたプラズマディスプレイ、微細パターンとして引き出し電極が形成された色素増感電池、プリント印刷基板、電磁波吸収パターン、セラミクスコンデンサ等が挙げられる。
【0231】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0232】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
A.感光性樹脂組成物
(アルカリ可溶性アクリル共重合体Aの合成)
組成
・ベンジルメタクリレート 264g(15モル%)
・スチレン 385g(37モル%)
・アクリル酸 216g(30モル%)
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート 234g(18モル%)
上記組成をアゾビスイソブチロニトリル5gと共に650gの酢酸−3−メトキシブチルに溶解した溶液を、酢酸−3−メトキシブチル1000gを入れた重合槽中に、100℃で、6時間かけて滴下し、重合させ重合体溶液を得た。
【0233】
この重合体溶液の固形分は40重量%、粘度は1050mPa・s(30℃、B型粘度計)であり、重合体の酸価は152mgKOH/g、水酸基価は90mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で37,000であった。
得られたアルカリ可溶性アクリル共重合体は、スチレン単位15モル%、ベンジルメタクリレート単位37モル%、アクリル酸単位30モル%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位18モル%からなるものである。
【0234】
次に、得られた重合体溶液に、
・2−メタクリロイルエチルイソシアネート 270g
・ラウリン酸ジブチル錫 1g
・酢酸−3−メトキシブチル 2230g
という組成の混合物を5時間かけて滴下した。
【0235】
反応の進行はIR(赤外線吸収スペクトル)によりモニターしつつ、2200cm-1のイソシアネート基によるピークが消失した時点とした。
【0236】
得られた反応溶液の固形分は26重量%、粘度は500mPa・s(30℃、B型粘度計)であり、重合体は、酸価は120mgKOH/g、水酸基価は5mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で45,000であり、また(メタ)アクリロイル基を17モル%含有していた。
(アルカリ可溶性アクリル共重合体Cの合成)
組成
・スチレン 540g(52モル%)
・アクリル酸 216g(30モル%)
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート 234g(18モル%)
上記組成の混合物をアゾビスイソブチロニトリル5gと共に650gの酢酸−3−メトキシブチルに溶解した溶液を、酢酸−3−メトキシブチル1000gを入れた重合槽中に、100℃で、6時間かけて滴下し、重合させ重合体溶液を得た。
【0237】
この重合体溶液の固形分は40重量%、粘度は950mPa・s(30℃、B型粘度計)であり、重合体の酸価は150mgKOH/g、水酸基価は90mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で38,000であった。
【0238】
得られた共重合体は、スチレン単位52モル%、アクリル酸単位30モル%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位18モル%からなるものである。
【0239】
次に、得られた重合体溶液に、
・2−メタクリロイルエチルイソシアネート 270g
・ラウリン酸ジブチル錫 1g
・酢酸−3−メトキシブチル 2230g
という組成の混合物を5時間かけて滴下した。
【0240】
反応の進行はIR(赤外線吸収スペクトル)によりモニターしつつ、2200cm-1のイソシアネート基によるピークが消失した時点とした。
【0241】
得られた反応溶液の固形分は25重量%、粘度は490mPa・s(30℃、B型粘度計)であり、重合体は、酸価は120mgKOH/g、水酸基価は5mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で45,000であり、また(メタ)アクリロイル基を14.5モル%含有していた。
【0242】
(感光性樹脂組成物の製造)
参考例1]
厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株)製AL材)上に、下記の組成の感光性樹脂をスピンコーティング法により塗布(塗布厚み1.5μm)し、その後、70℃のオーブン中で30分間乾燥した。次いで、所定のパターンのフォトマスクを介して塗布面に水銀ランプを用いて露光を行い、水によるスプレー現像を1分間行って、形成硬化画素を形成すべき領域にスクリーン評価用パターンを形成した。さらに、その後、150℃で30分間加熱して硬化処理を施した。
【0243】
次に、下記の組成の感光性樹脂を用いて、上記パターン形成と同様の工程で、スクリーン評価用パターンを形成した。
Figure 0004324390
このような組成の混合物を室温で攪拌・混合し、本発明の感光性樹脂組成物を調製した。
【0244】
(露光・現像工程)
感光性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いてスクリーン樹脂層のパターン形成領域に相当する領域にのみ紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05%炭酸水素ナトリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬して水溶液現像し、感光性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。
【0245】
その後、基板を180℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して保護膜を形成し、本発明の版およびスクリーン評価用パターンを得た。さらに上述配合の感光性樹脂組成物100gに対して、ブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513)35g混合し、ホモミキサーで10分間攪拌したところ、薄い黄色の乳白色の液体(感光性樹脂組成物)が得られた。この液状の感光性樹脂組成物を用い、スクリーン印刷用版作成の常法に従いポリエステル150メッシュ(紗厚77μm、線径48μm、空間率51.3%)に感光性樹脂溶液14μmの厚さに塗布し、テストパターンを描画したポジフィルムを密着して、2kw超高圧水銀灯で距離1Mで露光し、スプレーガンで水をスプレーして未露光部を洗い流したところ、硬化した感光膜で形成されたテストパターン画像が得られた。次に、この画像(版)を熱風オーブンに入れ、180℃、90分の加熱処理を行った。得られたスクリーン印刷用版の評価を下記の方法に従い実施した。その結果を表2に示す。
【0246】
実施例1
参考例1における感光性樹脂組成物に代えて、下記で調製した感光性樹脂組成物を同様に使用した以外は同様にして版およびスクリーン評価用パターンを作成した。
(感光性樹脂組成物の調製)
・上記で合成したアルカリ可溶性アルキル共重合体(3)(固形分25%)
46.8重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製、SR399)
9.1重量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート180S70) 5.2重量部
・2−メチル−1−〔4−メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノ ン−1
1.8重量部
・2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニ ル−1,2′−ビイミダゾール 1.3重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 29.6重量部
・3−メトキシブチルアセテート 6.2重量部
上記組成の混合物を室温で攪拌・混合し、本発明の感光性樹脂組成物を調製した。
【0247】
上述した感光性樹脂100gに、ブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513)35g、酢酸ビニルエマルジョン(ヘキスト合成(株)製MA−206)240gを混合して液状の感光性樹脂組成物を作成し、参考例1同様にスクリーン印刷用版を作成し、評価した。その結果を表2に示す。
【0248】
(耐アルカリ性、保護膜の表面状態、ダイナミック硬度)
1%水酸化ナトリウム水溶液(液温23℃)中に試料を24時間浸漬した後、引き上げ、保護膜の硬度をダイナミック硬度計(島津ダイナミック超微小硬度計DUH−201S、押し込み荷重一定試験:三角圧子:115°、荷重:5mN、負荷速度定数:6、保持時間:5sec)で測定し、また外観を下記の評価基準で評価した。なお、ダイナミック硬度とは、針侵入硬度を示すものである。
【0249】
外観の評価基準
○:硬化保護膜に変化がみられない。
△:硬化保護膜の表面に荒れ、気泡を生じる。
×:硬化保護膜の一部乃至全部が剥離する。
【0250】
(現像性、エッジ形状)
0.05%水酸化カリウム水溶液(23℃)に1分間浸漬して未露光部分を完全に除去したときの保護膜パターンの外周形状を下記の基準で評価した。
○:外周形状が直線性を保ち、うねり、しわ等がみられない。
×:外周形状に直線性がみられず、うねり、しわ等が生じている。
【0251】
(タック性)
露光、現像処理後の表面のタックを見て、下記の基準で評価した。
○:タックがない。
×:タックがある。
【0252】
(レベリング性)
乾燥塗布後の表面状態を観測し、下記の基準で評価した。
○:平坦になっている。
×:平坦性に欠け、表面が柚子肌状になっている。
【0253】
(密着性)
クロスカット後に、粘着テープ(3M製、No.610)にて引き剥がし試験を行ない、下記の基準で評価した。
○:正方形の各目に剥がれがない。
×:正方形の各目に剥がれが生じた。
【0254】
(感光液の安定性試験)
恒温槽にて感光液を25℃にし、B型粘度計を使用し、粘度測定を行った。その感光液をポリエチレン製瓶に詰め、温度30℃、湿度70%の環境試験機に入れ、10日後に取り出し、B型粘度計を使用し、25℃の時の粘度を測定した。
【0255】
(グレースケール感度)
スクリーン版作成の常法に従いポリエステル150メッシュ(紗厚77μm、線径48μm、空間率51.3%)に感光性樹脂層を14μmの厚さに塗布し、大日本印刷(株)製の解像力チャートとKodak Photographic Step Tablet No.2フィルム(以下グレースケールと称する)を真空密着して、2kw超高圧水銀灯で波長300nm以上の光を500mJ/cm2の光量で露光を行った。露光後、スプレー現像機で水をスプレーして未露光部を洗い流したところ、硬化した感光膜で形成されたテストパターン画像が得られた。この画像のパターン部分を観察し、レジスト感度はグレースケールの残りが4.5段(以下グレースケール感度を2段上げるには露光量が2倍必要である。)と高感度であった。
【0256】
(解像度試験)
グレースケール感度評価に使用した版を利用し、適正露光時間でのパターンの解像可能な最小の線幅を観察し、ライン線幅を解像度として決定した。
【0257】
(保存安定性試験)
スクリーン版作成の常法に従いポリエステル150メッシュ(紗厚77μm、線径48μm、空間率51.3%)に感光性樹脂層14μmの厚さに塗布した。この版を、温度40℃、湿度70%の環境試験機に入れ、5日後に取り出し、上述グレースケール感度変化をみた。テストパターンを描画したポジフィルムを密着して、2kw超高圧水銀灯で距離1mで、露光時間を変化させて露光し、スプレーガンで水をスプレーして未露光部を洗い流したところ、硬化した感光膜で形成されたテストパターン画像が得られた。この画像のパターン部分を観察し、適正露光時間でのパターンの抜け性を観察した。
【0258】
評価
○・・・解像可能な最小の線幅が同じであった。
△・・・解像可能な最小の線幅が25μm未満で増した。
×・・・解像可能な最小の線幅が25μm以上増した。
【0259】
(耐水膨潤試験)
スクリーン版作成の常法に従いポリエステル紗150メッシュ(紗厚77μm、線径48μm、空間率51.3%)に14μmの厚さに塗布し、30×30mmの升目ポジフィルムを使用し、4kw超高圧水銀灯で距離1mで、上記算出の適正露光時間にて露光し、スプレーガンで水をスプレーして未露光部を洗い流したところ、硬化した感光膜で形成された画像が得られた。その画像をパターン部分に沿って30×30mmの切片に切断し、耐水膨潤試験に供した。 試験方法 試験切片を40℃にて24時間乾燥し、重量測定(W0)を行った。この切片を室温で24時間水に浸積した後、重量測定(W1)を行った。また、30×30mmのスクリーンの重量測定(W2)も行った。
【0260】
参考例2
参考例1の感光性樹脂溶液100gに、ブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業製コロネート2513)35g、酢酸ビニルエマルジョン(ヘキスト合成MA−206)85g、光重合開始剤ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製KAYACUREDETX)0.2gと重合促進剤としてアミン化合物(日本化薬(株)製KAYACURE−EPA)0.1gを溶解混合したアクリレートオリゴマー(新中村化学(株)製TMPTA)を7g混合して液状の感光性樹脂組成物を作成し、参考例1同様にスクリーン印刷用版を作成し、評価した。その結果を表2に示す。
【0261】
参考例3
参考例1の感光性樹脂溶液100gにブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業製コロネート2513)35g、酢酸ビニルエマルジョン(ヘキスト合成(株)製MA−206)240g、10%ジアゾ水溶液5gを混合して液状の感光性樹脂組成物を作成し、参考例1同様にスクリーン印刷用版を作成し、評価した。その結果を表2に示す。
【0262】
参考例4
参考例1の感光性樹脂溶液100gに、ブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業製コロネート2513)35g混合し、ホモミキサーで10分間攪拌したところ、薄い黄色の乳白色の液体(感光性樹脂組成物)が得られた。この液状の感光性樹脂組成物を用い、スクリーン印刷用版作成の常法に従いポリエステル150メッシュに15μmの厚さに塗布し、テストパターンを描画したポジフィルムを密着して、4kw超高圧水銀灯で距離1Mで露光し、スプレーガンで水をスプレーして未露光部を洗い流したところ、硬化した感光膜で形成されたテストパターン画像が得られた。この画像(版)を熱風オーブンに入れ、180℃、90分の加熱処理を行った。加熱処理後のスクリーン印刷用版の評価を行い、その結果を表2に示す。
【0263】
参考例5:ロータリースクリーン印刷]
上記参考例1の感光性樹脂(液状の感光性樹脂組成物)で、次の工程によってロータリースクリーン版を作成し、印刷を行った。
【0264】
(1)感光層塗布
エレクトロフォーミング法で製作されたロータリースクリーンシリンダー−ロータリースクリーンRM75(ストーク社製、開口率40%、75メッシュ)を中性洗剤で洗浄、水洗し、40℃の熱風乾燥機で乾燥する。乾燥したシリンダーを自動塗布機(ストーク社製AC−2000型)に取り付け、回転塗布した。
【0265】
(2)乾燥
感光性樹脂組成物を塗布した上記のロータリースクリーンシリンダーを縦状態で熱風乾燥機に入れ、40℃、1時間乾燥する。
【0266】
(3)露光
感光性樹脂組成物を塗布・乾燥したロータリースクリーンシリンダーを露光機に載せ、画像用フィルムを巻き付け、図柄のつながり部分を合わせ、セロテープ(登録商標)で固定し、レーザ露光機(ストーク社製)にてダイレクトレーザ彫刻した。
【0267】
(4)現像
ロータリスクリーンシリンダーを水槽に3分間浸積した後、直ちに回転式、内部スプレー型の現像機で現像した後、ロータリースクリーンシリンダーを取り出して、水スプレーによって内外部を洗浄し、室内で縦置きし、10分間水を切り、熱風乾燥機で40℃/30分間乾燥する。
【0268】
(5)熱処理
40℃に暖められた熱風循環乾燥炉にロータリースクリーンシリンダーを入れ、170℃に昇温し、170℃で90分間熱処理を行った。
【0269】
(6)印刷
印刷装置に版を取り付け、綿布を1000m印刷した。
【0270】
(7)印刷機
ロータリー印刷機(ストークエクセル社製RSCあるいは小型試作用にRSIユニット)を用いた。リピートステップ1/8インチ、印刷速度80m/分で印刷できた。この結果、現在市販の重クロム酸塩を用いた従来品の感光性樹脂組成物から製造したロータリースクリーン版と同等以上の印刷結果が得られ、重クロム酸塩を使用しなくても安全性が高く、環境破壊のない感光性樹脂組成物を提供することができた。インキ汚染性の有無 は1,000m印刷後のロータリースクリーンシリンダーを水洗後、乾燥し、インキの汚染性を観察した。染料汚染が無く、感光層も磨耗が認められず、 印刷画像の滲みのない色と色の境界線がはっきりしている印刷物であった。
【0271】
参考例6
参考例1と同一方法で作成した感光性樹脂組成物を用い、参考例1と同様にスクリーン印刷を作成した。次に、このスクリーン印刷用版を遠赤外照射装置(汎用反射板付き遠赤外ヒーター500W6本、ヒーター表面温度約500℃)を平行にセットし、遠赤外ヒーター面とスクリーン印刷用版との距離を約100mmに保ちながら、自動移動できるコンベアーで移動しながら照射する。その時、スクリーン印刷用版の感光性樹脂組成物層の表面温度は170℃である。移動速度100mm/minで、3分間照射して、得られたスクリーン印刷用版を下記の方法に従い評価し、熱風による熱処理と同等の効果が得られた。 さらに、UV露光による硬化条件を以下のようにした。UV露光機(ヒュージョン社製)面とスクリーン印刷用版との距離を約100mmに保ちながら、自動移動できるコンベアーで移動しながら照射する。その時、スクリーン印刷用版の感光性樹脂組成物層の表面温度は80℃である。移動速度40mm/minで、1分間照射して、得られたスクリーン印刷用版を下記の方法に従い評価し、熱風による熱処理と同等の効果が得られた。
【0272】
[比較例1]
参考例1における感光性樹脂組成物に代えて、下記で調製した感光性樹脂組成物を同様に使用した以外は同様にして製版した。
【0273】
(感光性樹脂組成物の調製)
・o−クレゾールノボラックエポキシアクリレート(水酸基の50%を無水フタル酸と反応したもの) 8.8重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 8.8重量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂 2.0重量部
・開始剤(イルガキュア−369) 0.4重量部
・酢酸−3−メトキシブチルアルコール 80重量部
上記組成の混合物を室温で攪拌・混合し、感光性樹脂組成物を調製した。
【0274】
得られた各スクリーン版用の硬化保護膜について、上述したような条件で、タック性、レベリング性、耐アルカリ性、密着性、現像性、エッジ形状、表面状態、およびダイナミック硬度を評価した。
【0275】
[比較例2]
参考例1の感光性樹脂溶液100gに、光重合開始剤ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製KAYACUREDETX)0.2gと重合促進剤としてアミン化合物(日本化薬(株)製KAYACUREEPA)0.1gを溶解混合したアクリレートオリゴマー(新中村化学(株)製TMPTA)を7g乳化・混合して評価した。その結果を表2に示す。
【0276】
[比較例3]
参考例1の感光性樹脂溶液100gに、酢酸ビニルエマルジョン(ヘキスト合成(株)製MA−206)240g、10%ジアゾ水溶液10gを混合して感光液を作成し、参考例1同様にスクリーン印刷用版を作成し、評価した。その結果を表2に示す。
【0277】
[比較例4]
実施例1において、感光液として重クロム酸塩型の感光液を用いて実施した以外は実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。
【0278】
【表2】
Figure 0004324390
【0279】
[比較例5]
参考例1において、遠赤外線の処理あるいはUV露光硬化処理をしなかった以外は参考例6同様に実施した。遠赤外線の処理あるいはUV露光硬化処理をしなかったため、熱風による熱処理と同等の効果は得られず、パターン部の版剥離や欠損が生じた。
【0280】
B.スクリーン印刷用版
参考例:スクリーン印刷用版の製造]
方形アルミダイキャスト型枠に、メッシュ数が590、線径が13μm、スクリーン厚が18〜20μm、スクリーン角度が33.2°である320角ステンレススクリーンST590CALH(東京プロセス(株)製DNP特注品)を紗として使用し、紗張り機を使用して張力を高め、2800〜3000N/mmとなるように固定した。乳剤は、感光性アクリル酢酸ビニルエマルジョンをウェットで10μm、乾燥膜厚で4μmとなるように塗布し、目止め処理を施した。乾燥機により70℃で1.5時間乾燥させた後、必要なパターンのついたクロムマスクを使用し、大日本スクリーン製UVアライナー(DNP仕様品)にて両面一括露光を行った。露光後、クロロピルアルコールを3%添加した、1%テトラメチルヒドロキシアンモニウム(TMAH)を露光面にスプレーし、現像を行った。
【0281】
さらに、インキ搭載側上面に、感光性樹脂組成物として、ポジレジストOFPR(東京応化(株)製)をダイコートにより、膜厚3μmに塗布し、大版ホットプレートにより60℃で3分プリベークした後、UV露光を行い、OFPR用現像液を使用して開口パターンを作成した。顕微鏡による確認から、最小オープニングは、17μmであった。
【0282】
また、別のスクリーン版には、下記に示す組成の感光性樹脂組成物を使用し、上記と同様に露光、現像処理を行った。顕微鏡による確認から、最小オープニングは、8μmであった。
【0283】
さらに、裏面には下記に示す感光性樹脂組成物を膜厚5μmになるように塗布した。上述同様の現像、露光によって、必要パターンに追従するバッククッション層を設けた。
【0284】
また、各感光性樹脂のパターン形成後は、それぞれ完全硬化させるために、さらに120℃において、5時間乾燥を行った。
(感光性樹脂組成物の合成)
・アルカリ可溶性アクリル共重合体A 35重量部
・ブロックイソシアネート 8重量部
・TMPTA:DPHA(多官能アクリレートモノマー) 15重量部
・イルガキュアー907(チバガイギー製) 0.9重量部
・TAZ107(みどり化学(株)製) 0.1重量部
・PGMEA 41重量部
上記組成の混合物を室温で攪拌・混合し、本発明の感光性樹脂組成物を調製した。
(バッククッション層用感光性樹脂組成物の合成)
・感光性エポキシアクリレートDCR−43(日本触媒(株)製DNP試作品)1重量部
・DPHA(ダイセル工業(株)製) 3重量部
・イルガキュアー907(チバガイギー製) 0.005重量部
・PGMEA 15重量部
上記組成の混合物を室温で攪拌・混合し、本発明の感光性樹脂組成物を調製した。
【0285】
参考例:微細パターン形成]
微細パターンの形成において、印刷機は日本ニューロング(株)製DNP改造機(CCD位置読み取り及び版OFF制御技術改良機)を使用し、スクリーン版は上述のものを使用した。印刷条件は、スキージ速度を250mm/s、スキージ圧を20kg、オフコンタクト距離を3.0mmとした。インキは下記の組成のものを使用した。
・ブルー顔料(C.I.pigment Blue15:6,塩基性置換基誘導体処理フタロシアニンブルー) 20重量部
・バイオレット顔料(C.I.pigment Violet23、ロジン誘導体処理ジオキサジンバイオレット) 3重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000) 12重量部
・バインダ:スチレン/アクリル酸/エポキシ変性アクリレート共重合体
6.0重量部
・開始剤:2−(2´−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体
1.0重量部
・モノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 3.0重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 38重量部
・イソホロン 12重量部
これを、ニーダならびにビーズミルを併用し、機械分散してスクリーン印刷用インクに調合した。
【0286】
このインキで185μmPETフィルム上に印刷し、15μm独立細線を形成することができた。連続印刷の結果、スクリーン紗の目ズマリもなく3000枚連続印刷を可能とした。
【0287】
[参考例7]
インバー材0.3mm厚さの両面に、感光性樹脂である重クロム酸増感剤(フィッシュグルー:DNP製)を25μm程度塗布した。次に、テストマスクパターン(フォトマスク解像評価チャート:DNP製)を用いて、メタルハライドランプ(2kW超高圧水銀灯)により露光を行った。上記テストマスクパターンは、1μmから30μmまで1μm単位で増加するパターンと、30μmから100μmまで5μm単位で増加するパターンとが形成されたものである。
【0288】
続いて、上記インバー材の両面にエッチング液をスプレーし、現像を行い、上記開口部が形成されたインバー材からなる紗を形成した。さらに、上記と同様にインバー材からなる紗をもう一枚形成した。
【0289】
次に、これらのインバー材からなる紗を、上面の紗の開口幅が20μm、下面の紗の開口幅が15μmとなるように、上記2枚のインバー材からなる紗を接着剤により張り合わせた後、方形枠に固定し、本発明のスクリーン印刷用版とした。
【0290】
このスクリーン印刷用版を用いて、印刷を行ったところ、上記の開口部において、12μm幅で精度良く印刷することができた。
【0291】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物中に熱により架橋する熱架橋性化合物を含有することから、フォトマスク等を用いたパターン露光して現像した後に、さらに加熱処理を行うことにより、得られた感光性高分子中に光による架橋の他に熱による架橋が形成される。したがって、例えば比較的厚い膜厚のものを形成する場合であっても、熱による架橋により十分な物性を有する感光性高分子層を形成することが可能となるといった効果を奏する。
【0292】
また、本発明のスクリーン印刷用版は、このように紗の被印刷物側の表面に所定の硬度を有するバッククッション層を有するものであるので、スクリーン印刷後にこのバッククッション層の反発性により、非常に良好な版離れがなされる。これによりインクの裏回り付着といった不具合を防止することができることから、スクリーン印刷に際して非常に高い解像性を発揮することが可能であり、高精細なパターンをスクリーン印刷法により印刷することを可能とするといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクリーン印刷版の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のスクリーン印刷版に用いられるメタル紗の一例を示す概略断面図である。
【図3】従来のスクリーン印刷版を示す概略断面図である。
【図4】本発明のスクリーン印刷版に用いられるメタル紗の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 …… 紗
2 …… 平坦化層
3 …… 第1接着層
4 …… バッククッション層
5 …… 第2接着層
6 …… 感光性高分子層

Claims (15)

  1. アルカリ可溶性アクリル共重合体、多官能アクリルアクリレートモノマー、熱により架橋する熱架橋性化合物、および重合開始剤を有する感光性樹脂組成物であって、
    エポキシアクリレート樹脂を全樹脂組成物中3重量%〜25重量%の範囲内で含有し、
    前記アルカリ可溶性アクリル共重合体が、下記化学式(1)で示されるモノマー成分を5モル%〜55モル%の範囲内で有し、かつ下記化学式(2)で示されるモノマー成分を1モル%〜75モル%の範囲内で有し、酸価が5mgKOH/g〜400mgKOH/gの範囲内であり、さらにポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲内であり、
    前記アルカリ可溶性アクリル共重合体が、下記化学式(4)で示されるモノマー成分を1モル%〜75モル%の範囲内で有し、
    下記化学式(1)で示されるモノマー成分のカルボキシル基および下記化学式(4)で示されるモノマー成分の水酸基の合計量の5モル%〜95モル%の範囲内に(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物が結合したものであることを特徴とするスクリーン印刷用版製版用の感光性樹脂組成物。
    Figure 0004324390
    Figure 0004324390
    (ここで、Rは、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rは、芳香族基もしくは脂環式基である。Rは、エチレン基、プロピレン基もしくはブチレン基である。)
  2. 前記熱により架橋する熱架橋性化合物が、2官能以上のブロックイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記アルカリ可溶性アクリル共重合体が、下記化学式(5)で示されるモノマー成分を3モル%〜40モル%の範囲内で有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0004324390
    (ここで、Rは、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rは、炭素数1〜12のアルキル基、ベンジル基、およびフェニルエチル基である。)
  4. 紗と、紗の隙間に充填され紗の表面を平坦化させる平坦化層と、前記平坦化層の被印刷物側の表面に形成されたバッククッション層とを有し、
    前記平坦化層の被印刷物と逆側の表面に感光性高分子層が形成され、
    前記感光性高分子層が、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版製版用感光性樹脂組成物をパターン状に硬化させたものであることを特徴とするスクリーン印刷用版。
  5. 前記バッククッション層の硬度が、針侵入硬度で30〜65の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載のスクリーン印刷用版。
  6. 前記バッククッション層と平坦化層との間に第1接着層を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のスクリーン印刷用版。
  7. 前記第1接着層の硬度が、針侵入硬度で30未満であることを特徴とする請求項6に記載のスクリーン印刷用版。
  8. 前記平坦化層が第1接着層と同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項4から請求項7までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
  9. 前記感光性高分子層と平坦化層の間に第2接着層が形成されていることを特徴とする請求項4から請求項8までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
  10. 前記バッククッション層が、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版形成用感光性樹脂組成物をパターン状に硬化させたものであることを特徴とする請求項5から請求項9までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
  11. 前記バッククッション層に、ドライフィルムレジストを用いることを特徴とする請求項4から請求項9までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
  12. 前記紗がメタル紗であり、このメタル紗の被印刷物側の面が、研削されて平坦化されていることを特徴とする請求項4から請求項11までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
  13. 紗に用いられるスクリーンメッシュが、筒状のロータリースクリーンシリンダーであることを特徴とする請求項4から請求項12までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
  14. 紗の隙間に感光性材料を充填して、紗の両面を平坦化させる平坦化層形成工程と、
    前記平坦化層が形成された紗の一表面に感光性樹脂組成物を塗布し、パターン露光を行うことにより、パターン状に感光性高分子層を形成する感光性高分子層形成工程と、
    前記平坦化層が形成された紗の他の表面にポジ型感光性材料を塗布した後、前記感光性高分子層側から露光することにより前記ポジ型感光性材料をパターニングしてバッククッション層とするバッククッション層形成工程と
    を有し、
    前記感光性高分子層形成用の感光性樹脂組成物が、請求項3記載のスクリーン印刷用版製版用感光性樹脂組成物であることを特徴とするスクリーン印刷用版の製造方法。
  15. 前記請求項4から請求項13までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版を用いることを特徴とする微細パターン形成体の製造方法。
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