JP3950342B2 - スクリーン印刷用紗およびそれを用いたスクリーン印刷用版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細パターンを形成することが可能なスクリーン印刷用紗およびこの紗を用いたスクリーン印刷用版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばプリント配線板におけるメッキレジストパターンやエッチングレジストパターンあるいはPDP用の隔壁等を形成する方法としてスクリーン印刷法が多用されている。
【0003】
このようなスクリーン印刷法自体はよく知られているように、スクリーン上に印刷材を盛り、スキージ等で押圧しながらスクリーンの網目を通して印刷材を印刷するというものである。
【0004】
しかしながら、スクリーン印刷法においては、スキージ等で押圧することによってスクリーンが撓んだ状態で印刷されるため印刷精度が得られ難いという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高精細なパターンを形成することが可能なスクリーン印刷用紗およびこのような紗を用いたスクリーン印刷用版を提供することを主目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、従来23°〜24°であった紗バイアス角度を後述する範囲とすることにより、紗内へのインクの落としこみが良好となり、高精細なパターンの形成が可能となる。また、被印刷面にべたで印刷する場合に従来のスクリーン印刷用紗を用いた場合に生じていたモアレの発生を防止することができる。
【0008】
本発明は、例えば100μm以下の高精細なパターンを形成することを目的とするものであり、そのためには後述するようなメッシュ開口幅を有する紗を用いることが好ましい。
【0011】
本発明は、請求項1に記載するように、実印刷領域における紗バイアス角度が、31°以上45°未満であるスクリーン印刷用紗と、前記スクリーン印刷用紗の隙間に充填されスクリーン印刷用紗の表面を平坦化させる平坦化層と、前記平坦化層の被印刷物側の表面に、前記平坦化層のパターンと同一のパターン状に形成されたバッククッション層とを有し、前記バッククッション層の硬度が、針侵入硬度で30〜65の範囲内であることを特徴とするスクリーン印刷用版を提供する。本発明においては、上述したような紗バイアス角度を有するものであることから、紗開口部へのインクの落としこみを良好に行うことが可能であり、さらにこのような紗の被印刷物側の表面に所定の硬度を有するバッククッション層を有するものであるので、インクの落としこみの後にこのバッククッション層の反発性により、非常に良好な版離れがなされる。これによりインクの裏回り付着といった不具合を防止することができる。したがって、スクリーン印刷に際して非常に高い解像性を発揮することが可能であり、高精細なパターンをスクリーン印刷法により印刷することを可能とするものである。
上記発明においては、前記スクリーン印刷用紗のメッシュ開口幅が5μm〜85μmの範囲内であることが好ましい。また前記スクリーン印刷用紗が、メタル紗もしくはポリエステル紗であることが好ましい。またさらに前記スクリーン印刷用紗のテンションが、1000N/mm 2 〜3500N/mm 2 の範囲内であり、スクリーンメッシュが、150メッシュ〜800メッシュの範囲内であることが好ましい。
【0012】
上記請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載する発明においては、請求項5に記載するように、前記バッククッション層と平坦化層との間に第1接着層を有することが好ましい。上記バッククッション層は、所定の硬度を有する必要性があることから、紗に充填・形成されている平坦化層との密着性に乏しい場合がある。また、平坦化層の材料や物性等にも依存するものではあるが、バッククッション層はスクリーン印刷時の転写に際して、裏回り防止のためには被印刷物に対して平行に密着する必要がある。このような必要性に対処するためには、上述したように第1接着層を形成することが好ましいのである。
【0013】
上記請求項5に記載された発明においては、請求項6に記載するように、前記第1接着層の硬度が、針侵入硬度で30未満であることが好ましい。上述したバッククッション層を被印刷物に平行に密着させるためには、上述した範囲の硬度を有する材料が好ましいからであり、さらにこのような硬度を有する材料を紗とバッククッション層との間に形成することにより、インクの転写時にクッションとしての役割を果たすことができるからである。
【0014】
上記請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項7に記載するように、前記平坦化層の被印刷物と逆側の表面に感光性高分子層が形成されていることが好ましい。このように、被印刷物と逆側の表面に感光性高分子層を形成することにより、現像時の解像性を向上させることが可能となる。また、耐溶剤性および耐刷力が向上し、さらにはインキ再付着防止能を有するスクリーン印刷用版とすることができるからである。
【0015】
上記請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項8に記載するように、前記感光性高分子層と平坦化層の間に第2接着層が形成されていることが好ましい。感光性高分子層と平坦化層との密着性を向上させるためである。
【0016】
上記請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項9に記載するように、前記バッククッション層に、ドライフィルムレジストを用いてもよい。バッククッション層は比較的膜厚が厚いことから、塗工液を塗布して形成するよりもこのようなドライフィルムを用いることが好ましい場合があるからである。
【0017】
上記請求項1から請求項9に記載された発明においては、請求項10に記載するように、前記スクリーン印刷用紗がメタル紗であり、このメタル紗の被印刷物側の面が、研削されて平坦化されていることが好ましい。上述したように、バッククッション層は印刷時に被印刷物と平行に密着する必要がある。したがって、このように被印刷物側の面を研削して平坦化することにより、その表面に形成されるバッククッション層が、被印刷物に対して平行に密着することが可能であるので、印刷時のインキの裏面回りを防止することが可能であり、より高精細なパターンを形成することが可能となるからである。
【0018】
本発明は、さらに請求項11において、上記請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載されたスクリーン印刷用版を用い、スクリーン印刷法により着色層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供し、また、請求項12において、上記請求項11に記載の方法により製造されたことを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、上述したように、スクリーン印刷用紗およびこれを用いたスクリーン印刷用版を含むものである。これらについて、項目を分けて説明する。
【0020】
A.スクリーン印刷用紗
本発明のスクリーン印刷用紗は、実印刷領域における紗バイアス角度が、従来用いられてきた紗の有する角度より大きい所定の角度を有することを特徴とするものである。
【0021】
本発明においては、このように実印刷領域における紗バイアス角度を大きくとることにより、高精細なパターンの形成を可能とするものである。また、べたで重ねて印刷する際に、従来の紗バイアス角度では生じていたモアレが生じないといった利点を有する。
【0022】
以下、このような本発明のスクリーン印刷用紗について詳細に説明する。
【0023】
(紗バイアス角度)
本発明おいては、スクリーン印刷用紗の紗バイアス角度が31°以上45°未満であることを特徴とするものであり、中でも33°〜39°の範囲内とすることが特に好ましい。
【0024】
ここで、紗バイアス角度とは、紗の線材により形成される平行四辺形の向かい合う角のうち、鋭角側の角度の半分の角度を示すものである。この紗バイアス角について図1を用いて説明する。図1は、従来の紗を示す平面図であり、線材31により紗32が構成され、この紗32上にはパターン状で形成された乳剤33が設けられている。スクリーン印刷においては、この乳剤33の形成されていない部分においてインクが落としこまれて被印刷物に印刷が行われる。本発明における紗バイアス角度とは、この線材31により構成される平行四辺形αの向かい合う角の内、鋭角側の角度の半分の角度βを示すものである。本発明においては、この紗バイアス角度βを従来より大きい所定の角度とすることにより、スクリーン印刷法により高精細なパターン形成を可能としたものである。
【0025】
また、本発明において、上記紗バイアス角度は、実印刷領域内における角度を示すものである。ここで、実印刷領域とは、紗のうちの実際にパターン形成に供されている部分を示すものであり、具体的には紗の枠の近傍のパターン形成に直接関係の無い領域を除く旨である。
【0026】
このように、本発明においては、紗バイアス角度を上述したような範囲とすることにより高精細なパターンを形成することが可能となるのであるが、この理由は明確ではないが、以下のような理由であると推定される。
【0027】
すなわち、紗角度を広角側へ変化させることで、インキの落とし込みが良好となり、インキ充填時の目開きが起こりにくくなった事で、結果として、高精細パターンを形成するためのインキ量を通過抑制するための紗開口率が確保された結果と推定する。
【0028】
また本発明においては、上述したような紗バイアス角度とすることにより、べたで重ねて印刷をした場合に、従来問題となっていたモアレの発生を減少させることができるといった利点を有するのであるが、この原理についても明確ではないが、以下の点に基づくものであると推定される。
【0029】
すなわち、紗の角度に基づく目転写が行われるが、通常、市販品の角度は23°付近にあるため、例えば3色ずらし重ねの場合、60°〜70°付近に同一周期角度が現れてくるため、かつインキ材料の屈折率が1.45〜1.5付近と凹凸面に対して乱反射しやすい傾向により、モアレが発生すると考えられる。一方、本発明においては、33〜39°付近のため、3倍周期以前に直行角45°あるいは、90°方向に同一周期角度が現れてくる確率が高まることで、乱反射しやすい傾向がやわらげられていると推定する。
【0030】
(紗の材質)
本発明のスクリーン印刷用紗の材質としては、所定の弾性を有するものであり、一般にスクリーン印刷法に用いられている紗であれば特に限定されるものではない。具体的には、非弾性体を構成する材質としては、例えばニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、チタン、金、白金、ステンレス鋼、ニッケル/コバルト合金、ニッケル/クロム合金、ニッケル/クロム/モリブデン合金等の金属類型、アモルファス系、ポリエステル系、テトロン系、ケブラー系等の線材で織られたメッシュを紗のベースとできる。さらには、感光性樹脂や感光性エマルジョンを露光、現像することによって、パターン形成するスクリーンや、金属シート等にエッチング、または電鋳法、さらにはレーザー加工(アブレーションやカッティング)法によって、パターン形成するメタルマスク等が挙げられる。さらに、上記線材には、引っ張り強度を高めるための補強処理として、例えばプレス加工(カレンダー)やメッキ加工(レジダイスト)、さらには紗の目開き防止処理として、例えば紗の線材織り部の各交点に対して、メッキ接着や、レジン焼結止め等追加工を必要に応じて施しても良い。
【0031】
本発明においては、100μm以下のライン等の高精細なパターンを形成するといった観点から、中でもメタル紗、ポリエステル紗、さらにはコンビネーション紗が好適に用いられる。
【0032】
(紗のテンション)
本発明のスクリーン印刷用紗のテンションとしては、1000N/mm2〜3500N/mm2の範囲内が好ましく、特に1500N/mm2〜3000N/mm2の範囲内が好ましい。上述したような紗バイアス角度を有する紗を上記範囲内のテンションを加えて張った紗を用いることにより、より高精細なパターンの形成が可能となるからである。
【0033】
また、スクリーンメッシュが、150メッシュ〜800メッシュ、特に250メッシュ〜650メッシュであることが好ましい。
【0034】
(紗の開口幅)
本発明の目的の一つは、スクリーン印刷法を用いて高精細なパターンを形成する点にある。したがって、本発明の紗の開口幅もこの目的に添った幅であることが好ましい。具体的には、1μm〜150μmの範囲内、特に3μm〜100μmの範囲内とすることが好ましい。
【0035】
B.スクリーン印刷用版
次に、本発明のスクリーン印刷用版について説明する。本発明のスクリーン印刷用版は、上述した本発明のスクリーン印刷用紗と、前記紗の隙間に充填され紗の表面を平坦化させる平坦化層と、前記平坦化層の被印刷物側の表面に形成されたバッククッション層とを有し、上記バッククッション層が所定の硬度を有することを特徴とするものである。
【0036】
本発明においては、所定の硬度を有するバッククッション層を平坦化層の被印刷物側の表面に形成したものであるので、印刷時にバッククッション層の弾性を利用して良好な版離れを実現することができる。したがって、上述した本発明の特定の紗バイアス角度を有する紗を用いることにより、インクの落としこみの精度を向上させ、さらにこのバッククッション層を形成することにより良好な版離れを実現することにより、スクリーン印刷による極めて高精細なパターンの形成を可能とする。
【0037】
図2は、このような本発明のスクリーン印刷用版の一例を示すものである。上述したような特定の紗バイアス角度を有するメタル製の紗1の周囲にはこのメタル紗1の隙間を充填する平坦化層2が形成されている。この平坦化層2の被印刷物側の表面には、第1接着層3を介してバッククッション層4が形成されている。一方、上記平坦化層2の被印刷物と反対側の表面には、第2接着層5を介して感光性高分子層6が形成されている。
【0038】
上記平坦化層2、第1接着層3、バッククッション層4、第2接着層5、および感光性高分子層6のいずれもが、同一のパターンでパターニングされ、貫通孔7が形成されており、印刷時にはこの貫通孔7にインクが充填されて被印刷物に転写されることにより、スクリーン印刷がなされる。
【0039】
この例に示すような本発明のスクリーン印刷版が、従来のスクリーン印刷版と比較して高精細なパターンを形成するのに有利である点について、従来のスクリーン印刷版と比較して説明する。
【0040】
図4は従来のスクリーン印刷版を示すものである。このような従来のスクリーン印刷版は、紗11に乳剤12が付着した構成となっている。このような従来のスクリーン印刷版を用いてスクリーン印刷をした場合は、まず版離れが紗の張力に由来する力によるものであることから、良好であるとはいえない。したがって、スキージによりインクを貫通孔7に充填した際に、スクリーン印刷用版が被印刷物に密着する時間が比較的長くなる。このため、転写されたインクaが裏回りしてしまい、解像度が良好なパターンを形成することができない。
【0041】
また、乳剤12の膜厚は紗の厚みと比較してそれほど厚く形成されていないことから、乳剤12の被印刷物側の面は、紗の凹凸に応じて若干の凹凸を生じてしまう。このようなスクリーン印刷版を用いてスクリーン印刷を行った場合は、インクの被印刷物への転写時に、乳剤表面と被印刷物表面の間に微細な隙間が生じる可能性がある。したがって、この隙間にインクが滲み出てしまい、結果として高精細なパターンの形成を妨げることになる。
【0042】
図2に示すように、本発明のスクリーン印刷版は、所定の硬度のバッククッション層4が平坦化層2の被印刷物側に形成されていることから、版離れがこのバッククッション層の弾性を利用したものとなる。このため、極めて短時間で版離れが行われることから、インクaが裏回りする可能性が少ない。さらに、バッククッション層4は平坦化層2上に第1接着層3を介して、かつ所定の膜厚で形成されたものであるので、転写時に紗1の凹凸に影響されることなく平坦性を維持することができる。また、バッククッション層4は転写時に被印刷物表面と平行となるように形成されている。したがって、転写時にインクが裏回りする可能性を極めて小さくすることが可能であり、その結果高精細なパターンを形成することが可能となるのである。
【0043】
以下、このような本発明のスクリーン印刷用版について、各構成毎に詳細に説明する。なお、本発明のスクリーン印刷用版は、フラットスクリーン版であっても、シリンダー状のスクリーン版であってもよい。
【0044】
a.バッククッション層
上述したように、本発明のスクリーン印刷用版の第1の特徴は、特定の紗バイアス角度を有する紗の被印刷物側の面にバッククッション層が形成されている点にある。
【0045】
本発明においては、このバッククッション層の硬度が、針侵入硬度で、30〜65の範囲内、特に33〜60の範囲内、中でも35〜55の範囲内であることが好ましい。硬度が上記範囲より小さい場合は、版離れが悪くなり、インクの裏回りが生じる可能性が生じることから好ましくない。一方、硬度が上記範囲より高い場合は、バッククッション層が紗の動きに追従することができずにクラック等が生じる可能性があることから好ましくない。
【0046】
また、このバッククッション層の膜厚としては、1μm〜150μmの範囲内、特に3μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が薄い場合は、バッククッション層としての機能を発揮することができず版離れが悪くなり、インクの裏回り等が生じる可能性があることから好ましくない。一方上記範囲より膜厚が厚い場合は、フォトリソグラフィ法によるパターン形成時にパターン精度を維持することが困難となり、結果的に高精細なパターンを形成することができなくなる可能性があることから好ましくない。
【0047】
このようなバッククッション層の形状は、図2に示す例でも明らかなように、平坦化層と同様のパターンで貫通孔が形成され、同一にパターニングがなされたものである。この際、平坦化層の被印刷物側と反対側の表面に感光性高分子層が形成されている場合は、この感光性高分子層とも同一にパターニングがなされたものである。
【0048】
また、バッククッション層は表面が平滑であることが好ましい。表面に凹凸がある場合は、転写時に凹部にインクがにじみ出てしまう可能性があり、好ましくないからである。
【0049】
さらに、本発明においては、バッククッション層は、被印刷物に密着した際に、被印刷物表面とバッククッション層表面とが平行になるように形成されていることが好ましい。転写時に平行とならない場合は、隙間が生じるということであり、その隙間にインクが滲み出て、高精細なパターンを形成することができなくなる可能性があるからである。
【0050】
このようなバッククッション層を形成するための材料としては、後述する感光性高分子層形成用材料を用いることができる。また、その他の材料としては、解像性の良好な化学増幅型レジストとして、ポリヒドロキシスチレンとの共重合体(日立化成(株))、ポジ型半導体レジストとして、OFPRシリーズ、OFPR−800(東京応化(株))、AZシリーズ(ヘキスト(株))、NR−ポリマー(三菱レーヨン(株))、カチオン硬化樹脂、エポリードPB,セロキサイド2021P(以上、いずれもダイセルUCB(株))を使用したUV1530、UV1534、UV1533、Uvacure1561、1562、1502、1591等を挙げることができる。
【0051】
また、本発明におけるバッククッション層は、ドライフィルムレジストを用いて形成することも可能である。このバッククッション層は所定の膜厚を有するものであることから、工程面で有利なドライフィルムレジストを用いることが好ましいのである。
【0052】
b.紗
本発明に用いられるスクリーン印刷用紗としては、上記「A.スクリーン印刷用紗」の欄で説明したものを用いるものであるので、ここでの説明は省略するが、バッククッション層の平坦性の観点から、紗を平坦化することが好ましい場合がある。この点について以下に説明する。
【0053】
本発明において、メタル紗が用いられた場合は、紗の被印刷物側面を研削して平坦化することが好ましい。すなわち、例えば図3に示すようにメタル紗21の一方の表面側を、例えばカレンダー平滑処理を施す等の方法により平坦化するのである。
【0054】
このように平坦化された面が被印刷物側となるようにして紗を配置し、平坦化層を形成してその上にバッククッション層を設けることにより、バッククッション層表面を平滑とすることが可能となるからである。
【0055】
このような紗の平滑処理は、メッシュ間距離に依存するが、メタル紗のワイヤの直径の3分の1程度までであれば研削して平坦化することが可能である。
【0056】
c.平坦化層
本発明においては、上記紗には、その隙間に充填された平坦化層が形成されている。この平坦化層は、従来のスクリーン印刷用版に用いられていた乳剤と同様のものであってもよいが、これに限定されるものではなく、紗の凹凸をなるべく平滑化することができるような材料および膜厚で形成されていることが好ましい。
【0057】
このような平坦化層の膜厚は、紗構成の線径や、紗の膜厚にもよるが、14μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0058】
また、このような平坦化層を形成する材料は、上述したように従来のスクリーン印刷で用いられている乳剤、具体的には、水系エマルジョン感剤、例えばポリエステル−アクリル水系エマルジョン、水系エポキシ樹脂にゴム弾性乳化共重合体を硬化剤と共に配合したエポキシ樹脂水系乳剤、エポキシ樹脂に高ニトリルのアクリロニトリル・ブタジエン共重合体を結合させた変性エポキシ乳化重合体系乳剤、を用いることができるが、これに限定されるものではなく、その他、スチレン・ブタジエン乳化共重合系、エチレン・酢酸ビニル乳化共重合体系、アクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステル・ブタジエン乳化共重合体系の乳剤等を用いることができる。
【0059】
d.第1接着層
本発明においては、上記平坦化層とバッククッション層との間に第1接着層を形成してもよい。このように第1接着層を形成することにより、バッククッション層と平坦化層との密着性を向上させることができるからである。さらに、第1接着層を後述するように低硬度の材料で形成することにより、転写時にバッククッション層のクッションとしての役割を果たすことが可能となり、バッククッション層の版離れをより良好とすることが可能であり、かつ転写時におけるバッククッション層と被印刷物とを隙間なく密着させることができるといった効果を奏する。
【0060】
このような第1接着層の硬度は、上述したように比較的低い方が好ましく、具体的には針侵入硬度で30未満、好ましくは10〜28の範囲内、特に15〜25の範囲内であることが好ましい。上記範囲より硬度が高い場合は、上述したようなバッククッション層のクッションとしての役割を果たすことができないことから好ましくなく、上記範囲より硬度が低い場合は、強度面で問題が生じる可能性があるから好ましくない。
【0061】
本発明における第1接着層の膜厚は、1μm〜100μmの範囲内、特に3μm〜70μmの範囲内とすることが好ましい。また、この第1接着層も当然のことながら上記バッククッション層および平坦化層と同一のパターンでパターニングされ貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0062】
また、上記平坦化層が上記第1接着層と同一の材料で形成されていてもよい。具体的には、上記平坦化層の膜厚を厚く形成し、用いる材料を選択することにより、適当な硬度範囲であり、かつバッククッション層との密着性が良好な材料で形成されるのであれば、上記第1接着層と平坦化層とは同一であってもよいのである。
【0063】
本発明においては、上記第1接着層を形成する材料としては、上述したように、バッククッション層と平坦化層との密着性が良好であり、かつ所定の硬度範囲とすることができる材料であれば特に限定されるものではないが、具体的には、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、シリコンアクリレート等のアクリル型、および不飽和ポリエステル・スチレン系、ポリエン・スチレン系等の非アクリル系が挙げられるが、中でもUV硬化速度、物性の選択幅の広さから、アクリル型が好ましい。さらには、弾性力の面から、オリゴマーのような適度な分子量のもの、質量平均分子量(Mw)が5000〜15000程度のものが良好である。
【0064】
e.感光性高分子層
本発明においては、上記平坦化層の被印刷物側と逆側の表面に、感光性高分子層を形成してもよい。このように感光性高分子層を形成することにより、従来のスクリーン印刷版と比較して、格段にスクリーン印刷版を高精細に形成することが可能となるからである。また、感光性高分子層の材料を選択することにより、耐溶剤性を向上させ、さらに耐刷性を向上させることができるので、スクリーン印刷版の寿命を大幅に向上させることが可能となる。
【0065】
i) 感光性高分子層の材料
このような感光性高分子層を構成する材料としては、現像性が良好であり、かつ耐溶剤性および耐刷性が良好な材料が好ましい。
【0066】
具体的には、以下に示すような、アルカリ可溶性アクリル共重合体、多官能アクリルアクリレートモノマー、熱により架橋する熱架橋性化合物、および重合開始剤を有する感光性樹脂組成物を硬化させたものが好適に用いられる。
【0067】
以下、このような感光性樹脂組成物の各成分についてそれぞれ説明する。
【0068】
1.アルカリ可溶性アクリル共重合体
上記感光性樹脂組成物に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体は、後述する熱架橋性化合物と結合するような活性水素を有するもの、具体的には−OH基、−COOH基、−NH2基、および−SH基等の官能基を有するものであれば特に限定されるものではないが、現像性や硬度等の物性を得るためには、以下のような組成および特性を有するものが好適に用いられる。
【0069】
(モノマー成分)
本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体は、少なくとも下記化学式(1)に示されるモノマー成分を含有するものであることが好ましい。
【0070】
【化1】
【0071】
ここで、上記化学式(1)におけるR(化学式(2)、(4)、および(5)も同様である。)は、水素、または炭素数1〜5のアルキル基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が例示される。
【0072】
この化学式(1)で示されるモノマー成分は、アルカリ水溶液現像性に寄与する成分であり、この構造単位を導入するために使用されるモノマー成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カルボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−ヘプテン等が例示される。この化学式(1)で示されるモノマー成分の含有量は、アルカリ可溶性アクリル共重合体に要求されるアルカリ可溶性の程度により調整され、5モル%〜55モル%の範囲内、特に10モル%〜45モル%の範囲内、中でも15モル%〜35モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0073】
また、本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体は、少なくとも下記化学式(2)に示されるモノマー成分を含有するものであることが好ましい。
【0074】
【化2】
【0075】
ここで、上記化学式(2)中のR1は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族および脂環式化合物が例示される。この構造単位を導入するために使用される単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等であり、また、芳香族環は塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルフォン酸基、燐酸基等で置換されていてもよい。
【0076】
この化学式(2)で示されるモノマー成分は、本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体に硬度等の機械的な物性を向上させる成分であり、後述するようにスクリーン印刷用版として用いる場合には特に重要なモノマー成分となる。
【0077】
本発明においては、化学式(2)で示されるモノマー成分の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物が要求される物性等に応じて調整され、1モル%〜75モル%の範囲内、特に5モル%〜70モル%の範囲内、中でも10モル%〜65モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0078】
本発明においては、さらに下記化学式(4)で示されるモノマー成分を添加してもよい。
【0079】
【化3】
【0080】
ここで、上記化学式(4)中のR3は、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を挙げることができる。
【0081】
この化学式(4)で示されるモノマー成分としては具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0082】
この一般式(4)で示されるモノマー成分は、後述するように水酸基を介して(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物と反応し、(メタ)アクリロイル基が導入されるモノマー成分であり、その含有量は得られる共重合体に要求される光重合性の程度により調整され、1モル%〜75モル%の範囲内、特に3モル%〜70モル%の範囲内、中でも5モル%〜65モル%の範囲内で含有されることが好ましい。
【0083】
さらに、本発明は必要に応じて下記化学式(5)で示されるモノマー成分を添加してもよい。
【0084】
【化4】
【0085】
ここで、上記化学式(5)中のR4としては、炭素数1〜12のアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基が例示される。
【0086】
具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル等の(メタ)アクリル酸のエテスル類を挙げることができる。
【0087】
この化学式(5)で示されるモノマー成分は、アルカリ可溶性アクリル共重合体をアルカリ現像型のスクリーン印刷版の感光性高分子層とする際に、アルカリ現像性を抑制する成分であり、その含有量は、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させて得られる感光性高分子層の特性に応じて調整され、3モル%〜40モル%の範囲内、特に5モル%〜35モル%の範囲内、中でも7モル%〜31モル%の範囲内で含有されることが好ましい。
【0088】
(アルカリ可溶性アクリル共重合体の分子量および酸価)
上述したようなモノマー成分を重合させて得られるアルカリ可溶性アクリル共重合体の分子量としては、ポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」という。)で、10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、特に20,000〜100,000の範囲のものとされることが好ましい。
【0089】
重量平均分子量が上記範囲より小さいと現像性が良すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しにくく、また、パターンが作製できる場合も最終的な膜厚が減る(膜減り)等の問題が生じる。一方上記範囲より大きいとレジスト化した時の粘度が高くなりすぎ塗工適性が低下し、さらに現像性が悪くなりパターンが抜けにくくなるなどの問題が生じるからである。
【0090】
また、本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体の酸価としては、5mgKOH/g〜400mgKOH/gの範囲内、好ましくは、10mgKOH/g〜200mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。酸価はアルカリ現像性と関係する値であることから、酸価が上記範囲より低い場合は現像性が悪化する可能性があり、さらに基板等への密着性が乏しい等の問題が生じる可能性が生じる。また、酸価が上記範囲より高い場合は、現像性が良すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しにくい等の問題が生じる可能性がある。
【0091】
一方、本発明に用いられるアルカリ可溶性アクリル共重合体において、化学式(4)に由来する水酸基は、必ずしも残す必要はなく、水酸基価としては0mgKOH/g〜200mgKOH/gの範囲内とすることができるが、残す場合には、溶剤に対する溶解性を調節するのに有効である。
【0092】
(アルカリ可溶性アクリル共重合体の製造方法)
上述した化学式(1)、(2)、(4)および(5)で示されるモノマー成分は、それぞれ例示したものを単独でも、また混合して使用してもよい。
【0093】
このような化学式(1)、(2)、(4)および(5)で示されるモノマー成分を有する特定の重合体を製造するために用いられる重合用溶媒としては、水酸基、アミノ基等の活性水素を有しない溶媒が好ましく、例えばテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸−3−メトキシブチル等が挙げられ、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等も用いることができる。
【0094】
また、重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものを使用することができ、その具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、および過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を使用する場合には、これと還元剤とを組み合わせてレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
【0095】
このようなアルカリ可溶性アクリル共重合体の製造方法においては、重量平均分子量を調節するために、分子量調節剤を使用することができ、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0096】
また、得られるアルカリ可溶性アクリル共重合体は、上述した化学式(1)、(2)、(4)および(5)で示されるモノマー成分のランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれであってよい。
【0097】
ランダム共重合体の場合には、各モノマー成分、触媒からなる配合組成物を、溶剤を入れた重合槽中に80〜110℃の温度条件で2〜5時間かけて滴下し、熟成させることにより重合させることができる。
【0098】
((メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物の付加)
本発明においては、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体に(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物を付加することが好ましい。これは、以下の理由によるものである。すなわち、露光後アルカリ現像液に対する溶解部と不溶解部の差を大きくとることによるエッジがシャープなパターンを形成できる(γ曲線が立つ)こと、さらには、版としての耐インク溶剤性が向上し、版感材の弾性を持たせる構造により、版表面のしわやクラックが発生しにくく、版保存安定性及び印刷寿命が良好となる、といった理由によるものである。
【0099】
本発明において用いられる(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物としては、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基(−NCO)と結合したもので、具体的には2−アクリロイルエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート等が例示される。2−メタクリロイルエチルイソシアネートは、昭和電工(株)製、商品名「カレンズMOI」として市販されている。
【0100】
上記アルカリ可溶性アクリル共重合体と上記(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物との反応は、上記(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物を少量の触媒の存在下、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体溶液中に滴下することにより行なわれる。触媒としてはラウリン酸ジブチル錫等が挙げられ、また、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチルp−クレゾール等の重合禁止剤が必要に応じて使用される。
【0101】
上記(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物は、上述したアルカリ可溶性アクリル共重合体の内、化学式(3)で示されるモノマー成分の−OH基とは付加してウレタン結合により結合し、また、化学式(1)のモノマー成分の−COOH基とは、その一部が炭酸ガスを放出してアミド結合により結合する。
【0102】
このような化学式(1)および(3)で示されるモノマー成分を有するアルカリ可溶性アクリル共重合体と(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物との反応生成物の一例を、下記化学式(6)に示す。
【0103】
【化5】
【0104】
(式中、R、R2は、上述したもの同様であり、R′は炭素数2〜6のアルキレン基である。a1+a2は、化学式(1)のaと、また、c1+c2は、化学式(3)のcとそれぞれ同義である。)
(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物は、化学式(3)のモノマー成分における水酸基との反応が、化学式(1)のモノマー成分におけるカルボキシル基との反応に比して20倍近くの反応速度を有する。そのため、(メタ)アクリロイル基は化学式(3)のモノマー成分に主として導入される。また、化学式(1)のモノマー成分にはそのカルボキシル基に一部(メタ)アクリロイル基が導入されるが、ほとんどのカルボキシル基が残存することとなる。
【0105】
本発明においては、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体中の化学式(1)で示されるモノマー成分のカルボキシル基および化学式(4)で示されるモノマー成分の水酸基の合計量の5モル%〜95モル%の範囲内、好ましくは10モル%〜85モル%の範囲内で(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物が結合し、(メタ)アクリロイル基が導入されることが好ましい。導入量が上記範囲より少ない場合は光硬化性が低く、塗膜密着性、レジスト特性の改善効果が小さい。また、導入量が上記範囲より高い場合は、粘度の上昇等の加工性の面で不具合が生じ、さらに現像性等に問題が生じる可能性がある。
【0106】
また、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体中の化学式(1)で示されるモノマー成分のカルボキシル基を100とした場合に、(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物はその内の5〜95の範囲内、特に10〜50の範囲内で反応していることが好ましい。
【0107】
さらに、上記アルカリ可溶性アクリル共重合体中の化学式(3)で示されるモノマー成分の水酸基を100とした場合に、(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物はその内の5〜95の範囲内、特に10〜50の範囲内で反応していることが好ましい。
【0108】
2.多官能アクリルアクリレートモノマー
本発明のアルカリ可溶性アクリル共重合体には、多官能アクリルアクリレートモノマーが添加される。
【0109】
このような2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)のエチレンオキシド3モル付加物、エチレンオキシド6モル付加物、プロピレンオキシド3モル付加物、プロピレンオキシド6モル付加物等を挙げることができる。
【0110】
本発明においては、上記多官能アクリルアクリレートモノマーは、感光性樹脂組成物中に固形分比3重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜20重量%の範囲内で含有される。上記範囲より含有量が多いと粘度が低くなりすぎ塗布乾燥後の塗膜安定性が不充分なため、露光、現像適性を損なう等の問題が生じる可能性があるからである。一方、上記範囲より少ない場合は、現像の未露光部の抜けが悪くなる等の問題が生じる可能性があるからである。
【0111】
3.熱により架橋する熱架橋性化合物
本発明においては、上記光により架橋する多官能アクリルアクリレートモノマーに加えて、熱により架橋する熱架橋性化合物を添加するところに特徴を有するものである。
【0112】
このように熱架橋性化合物を添加することにより、例えば露光後に得られる感光性高分子層の膜厚が厚い場合等においては、全体的に架橋密度を向上させることが困難であるが、本発明においては、このような熱架橋性化合物を含有するものであるので、露光後加熱処理を行うことにより、架橋密度を増加させることが可能となり、最終的に得られる感光性高分子層の各種特性および物性を向上させることができる。
【0113】
上記熱架橋性化合物としては、加熱あるいは熱線を照射することにより上記アルカリ可溶性アクリル共重合体中の−OH基、−COOH基、−NH2、および−SH等の活性水素を持つ基と反応することができる官能基を有する化合物、好ましくは2個以上の官能基を有する化合物である。
【0114】
このような官能基の具体例としては、例えば、アルデヒド基、イソシアネート基、アルコキシ基、グリシジル基、エチレン性不飽和基、アミノ基、ジエステル類等を挙げることができ、このような官能基を有する熱架橋性化合物として、具体的には、例えば、チオ尿素、メラミン、ベンゾグアミン等のアミノ化合物、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン、メチロールアクリルアミド等のアルコキシ化合物、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のジアルデヒド化合物、ブロックイソシアネート化合物、コバルト、チタン、ジルコニウム、モリブデン等の金属キレート化合物、アクリロイル基、メタアクリロイル基、Sクリルアミド基、ビニルエーテル基等のエチレン性不飽和基含有化合物等を挙げることができる。さらに、これらの化合物を共存させることで、より効果的に使用できる。
【0115】
本発明においては、これらの熱架橋性化合物の中でも、特にブロックイソシアネート化合物が好ましい。これは、ブロックイソシアネート化合物を用いた場合は、本発明の感光性樹脂組成物を長期安定性に優れたものとすることができるからである。
【0116】
(ブロックイソシアネート化合物)
本発明に用いられるブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤(例えば、活性水素を有するカプロラクタム、活性メチレン、オキシム等の化合物)によりマスクしたものであり、常温では安定であるが加熱(通常120℃以上)するとブロック剤が解離して活性なイソシアネート基が再生されるものである。また、架橋材として用いられるものであることから、イソシアネート基が2個以上有するものが用いられる。
【0117】
このようなブロックイソシアネート化合物の具体例としては、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−トリレンジイソシアネート)、2,4トリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、4,4−ジフェニールメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、メチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加4,4’ジフェニールメタンジイソシアネート、水素添加m−キシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体やイソシアヌレート体、ポリメリックメタンジイソシアネート、その他プレポリマーイソシアネート類等の多官能芳香族イソシアネート化合物等を挙げることができる。
【0118】
これらのイソシアネート化合物にブロック剤でマスクしたブロックイソシアネート化合物は単独或いは併用して用いることができる。上記ブロックイソシアネート化合物は、感光性樹脂組成物中のスチリルピリジニウム基又はスチリルキノリウム基を含有する水可溶性の鹸化度50モル%以上の酢酸ビニル重合体鹸化物からなる分散媒成分中に乳化分散して微細に分散した乳化ブロックイソシアネート化合物であることが好ましい。その結果、安定した感光性樹脂組成物が得られる。また、単独では乳化しない化合物でも、他の化合物と混合して乳化させても良く、更に、有機溶媒(疎水性が好ましい)に溶解して使用しても良い。分散媒成分中に、乳化・分散したブロックイソシアネート化合物には、相溶するポリマーやプレポリマーを混合して使用しても良く、この様なポリマーやプレポリマーは、必ずしも−OH基、−COOH基、−NH2基、−SH基等を持ち、イソシアネート基と反応性に富んだ化合物である必要はない。但し、水に難溶性で、乳化・分散特性の良いものが好ましい。
【0119】
4.重合開始剤
本発明においては、さらに重合開始剤が用いられる。このような光重合開始剤としては、2−メチル−1−〔4−メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,4−ジエチルチオキサントン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。このような重合開始剤は、感光性樹脂組成物中に固形分比0.1重量%〜20重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0120】
さらに、上記重合性化合物を光照射により速やかに反応させる為には、別の光重合開始剤や増感剤あるいは色素を添加することが一般的である。この様な光重合開始剤は上記重合性化合物に溶解あるいは相溶し、均一に混合される事が好ましい。この様な光重合性開始剤としてはベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、ミヒラーズケトン、ベンジル、ベンジルジアルキルエーテル、ターシャルブチルアントラキノン等のアントラキノン類、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体等が挙げられる。さらに、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等の光重合促進剤を混合しても良い。これらは、ベンゾフェノン系やチオキサントン系を用いた場合の重合硬化速度を速める上で効果的である。上記光重合性開始剤は、エチレン性不飽和基を有する化合物100重量部に対して、一般に1〜10重量部の割合で配合される。
【0121】
(光重合開始剤を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物)
エチレン性不飽和基を持つ化合物に光重合開始剤を溶解または混合して使用すると、この混合物は光により重合して高分子化する。また、同時に水性分散媒成分及び分散質とグラフト重合架橋もおこり、硬化物の耐水・耐溶剤性を向上させる。エチレン性不飽和基を持つ化合物としては水に不溶で容易に乳化できるものが好ましい。
【0122】
上記エチレン性不飽和基を有する化合物としては、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アリル基、ビニルエーテル基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基等のエチレン性不飽和基を1個以上有するもので、水に不溶性或いは難溶性のものが好ましく、特に好ましくはアクリロイル基、メタアクリロイル基を1個以上有する化合物である。この様な化合物としては、具体的には、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブロムヘオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,8ジブロムネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のタカアルコール多価アクリレート類、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン系のエポキシ樹脂のアクリル酸又はメタクリル酸付加物等のエポキシアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルのアクリル酸又はメタアクリル酸との付加物、トリヘキサメチレンジイソシネートと2価アルコールの(メタ)アクリルモノ酸エステルとの反応で得られるウレタン(メタ)アクリル化合物等が挙げられる。
【0123】
これらの化合物は単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。この様なエチレン性不飽和基を有する化合物成分の配合量は、感光性樹脂組成物中の固形分100重量部に対して、0.5〜70重量部、好ましくは1〜50重量部とすることが望ましい。
【0124】
エチレン性不飽和基を有する化合物成分の配合量が上記範囲未満では現像時の耐水性向上効果が現れ難い傾向があり、上記範囲を超過すると現像性が悪く再現性の良い画像が得られ難い傾向がある。
【0125】
5.その他の添加剤
(エポキシアクリレート樹脂組成物)
本発明においては、その他に他の層との密着性を向上させるためにエポキシアクリレート樹脂組成物を添加してもよい。
【0126】
本発明において用いることができるエポキシアクリレート樹脂組成物としては、オルソクレゾールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型、フェノールノボラック型、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0127】
このようなエポキシアクリレート樹脂組成物は、感光性樹脂組成物中に固形分比1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%で含有されることが好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記範囲より少ない場合は、得られる感光性高分子層に十分な密着性を付与することができず、一方、エポキシアクリレート樹脂組成物の含有量が上記範囲を越えると、光硬化に供しないエポキシアクリレート樹脂組成物量が多くなりすぎ、感光性樹脂組成物の保存安定性、現像適性が低下するので好ましくない。
【0128】
また、エポキシアクリレート樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の乾燥塗膜のタックを除去するためにも有効であり、添加量3重量%程度で十分な効果が発現する。
【0129】
本発明においては、上記エポキシアクリレート樹脂組成物に替えて、もしくは上記エポキシアクリレート樹脂組成物と共に用いることにより、密着性を向上させ、かつ現像性をも向上させる、下記化学式(3)で示される成分を添加することが好ましい。
【0130】
【化6】
【0131】
(ここで、Xはメチル基もしくは水素原子を示し、R2はアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を示す。)
このような化合物は、密着性の向上に加えて、側鎖にカルボン酸を有するものであることから、アルカリ水に溶解させることが可能であり、現像性を向上させることができる。
【0132】
このような化合物としては、具体的には、NKエステルシリーズとして、ビスフェノールAのEO付加品、A−BPEシリーズ、水素ビスフェノールAのPO付加品、A−BPPシリーズ(以上、いずれも新中村化学(株))、ビスフェノールAのPO付加品、ライトアクリレートシリーズBP−4PA(共栄社油脂(株))、ビスフェノールAのECH変性エビクリルシリーズ(ダイセル工業(株))、エポリードPB、エポフレンド、Uvacure1502、Uvacure1561、Uvacure1562(以上、いずれもダイセルUCB(株))、DCRシリーズ(大日本印刷(株)用試作品)(日本触媒(株))、SANBO AR,G(三宝化学)等を挙げることができる。
【0133】
上記化学式(3)で示される成分は、感光性樹脂組成物中に固形分比3重量%〜35重量%、好ましくは5重量%〜31重量%の範囲内で含有されることが好ましい。上記範囲より少ない場合は、アルカリ現像液に対する膜浸透性が高く、露光、現像後の解像されたパターンが、泳ぎや部分的な欠損を生じる。また、上記範囲より多い場合には、アルカリ現像液に対する膜浸透性は高まるが、皮膜形成能が高まり、膜ひずみによるクラックやしわが発生しやすくなるからである。
【0134】
ii) 感光性高分子層の膜厚
この感光性高分子層の膜厚としては、0.1μm〜100μmの範囲内、特に1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0135】
f.第2接着層
本発明においては、さらに上記感光性高分子層と平坦化層との間に、第2接着層を形成してもよい。これは感光性高分子層と平坦化層との密着性を向上させるために形成するものである。
【0136】
この第2接着層は、上記第1接着層と同様の材料を用いることができ、また膜厚も同程度で形成されることが好ましい。
【0137】
g.その他の層
インクに直接接する面に、感光性樹脂層のひび割れや、耐溶剤性を向上させるための湿潤保湿層や、インクのレオロジー特性に併せて、感光性樹脂を2層以上の複層として、それぞれのパターン解像性を異なる開口率として、インキ通過孔を変化させた層としても良い。さらには、アライメントマーク情報等を明確に判読・区別するための着色感光層(赤外線吸収剤や紫外線吸収剤を含む)を設けても良い。
【0138】
C.カラーフィルタの製造方法およびカラーフィルタ
最後に、本発明のカラーフィルタの製造方法およびカラーフィルタについて説明する。
【0139】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上述した本発明のスクリーン印刷用版を用い、スクリーン印刷法により形成することを特徴とするものであり、また本発明のカラーフィルタは、このようなカラーフィルタの製造方法により得られたものである。
【0140】
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、まず基材を準備する。本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられる基材としては、透明な基材であれば特に限定されるものではなく、ガラス等の可撓性を有さない基材であっても、透明樹脂製フィルム等の可撓性を有する基材であっても用いることができる。しかしながら、今後の用途展開の広さ等の観点から、可撓性を有する透明な基材を用いることが好ましい。
【0141】
具体的には、熱可塑性エラストマー、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、無延伸ナイロンフィルム(CNY)などが好適に用いられ、そのほか、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリエチレンフィルム、エチレン共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリスルホンフィルム、セルロース系フィルムをはじめとする種々の透明なフィルムが用いられる。なお、ガラス板やプラスチック板などを用いてもよい。
【0142】
基材フィルムは、通常は単層とするが、複層であっても差し支えない。また、基材フィルムの厚みに特に制限はないが、通常は6〜300μm 程度、一般には12〜160μm のものを用いることが多い。
【0143】
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、上述したような基材上にスクリーン印刷法を用いて上述したようなスクリーン印刷用版を用いて、カラーフィルタの着色層形成用インク組成物をパターン状に印刷する。通常カラーフィルタは赤、緑および青の三原色から構成されるものであり、本発明においても上記三色の着色層形成用インク組成物を用いて3回スクリーン印刷を行なうことにより、カラーフィルタを形成する。
【0144】
本発明においては、上述したようなスクリーン印刷用版を用いるものであるので、スクリーン印刷であっても極めて高精細なパターンを形成することができる。したがって、カラーフィルタの着色層を精度良く形成することができる。
【0145】
また、カラーフィルタのブラックマトリックスに関しても、例えば樹脂製のブラックマトリックスを形成する場合は、必要に応じて上述したスクリーン印刷による方法により形成してもよい。この場合は、上記着色層形成用インク組成物としては、カーボンブラック等の黒色顔料を用いることになる。
【0146】
このようにしてパターン状に印刷された着色層は、例えば紫外線露光等の硬化工程を経てカラーフィルタとされる。
【0147】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0148】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【0149】
[実施例:スクリーン印刷用版の製造]
方形アルミダイキャスト型枠に、メッシュ数が590、線径が13μm、スクリーン厚が18〜20μm、スクリーン角度が33.2°である320角ステンレススクリーンST590CALH(東京プロセス(株)製DNP特注品)を紗として使用し、紗張り機を使用して張力を高め、2800〜3000N/mmとなるように固定した。乳剤は、感光性アクリル酢酸ビニルエマルジョンをウェットで10μm、乾燥膜厚で4μmとなるように塗布し、目止め処理を施した。乾燥機により70℃で1.5時間乾燥させた後、必要なパターンのついたクロムマスクを使用し、大日本スクリーン製UVアライナー(DNP仕様品)にて両面一括露光を行った。露光後、クロロピルアルコールを3%添加した、1%テトラメチルヒドロキシアンモニウム(TMAH)を露光面にスプレーし、現像を行った。
【0150】
さらに、インキ搭載側上面に、感光性樹脂組成物として、ポジレジストOFPR(東京応化(株)製)をダイコートにより、膜厚3μmに塗布し、大版ホットプレートにより60℃で3分プリベークした後、UV露光を行い、OFPR用現像液を使用して開口パターンを作成した。顕微鏡による確認から、最小オープニングは、17μmであった。
【0151】
また、別のスクリーン版には、下記に示す組成の感光性樹脂組成物を使用し、上記と同様に露光、現像処理を行った。顕微鏡による確認から、最小オープニングは、8μmであった。
【0152】
さらに、裏面には下記に示す感光性樹脂組成物を膜厚5μmになるように塗布した。上述同様の現像、露光によって、必要パターンに追従するバッククッション層を設けた。
【0153】
また、各感光性樹脂のパターン形成後は、それぞれ完全硬化させるために、さらに120℃において、5時間乾燥を行った。
(感光性樹脂組成物の合成)
・アルカリ可溶性アクリル共重合体A 35重量部
・ブロックイソシアネート 8重量部
・TMPTA:DPHA(多官能アクリレートモノマー) 15重量部
・イルガキュアー907(チバガイギー製) 0.9重量部
・TAZ107(みどり化学(株)製) 0.1重量部
・PGMEA 41重量部
上記組成の混合物を室温で攪拌・混合し、本発明の感光性樹脂組成物を調製した。
上記組成の混合物を室温で攪拌・混合し、本発明の感光性樹脂組成物を調製した。
【0154】
[実施例:微細パターン形成]
微細パターンの形成において、印刷機は日本ニューロング(株)製DNP改造機(CCD位置読み取り及び版OFF制御技術改良機)を使用し、スクリーン版は上述のものを使用した。印刷条件は、スキージ速度を250mm/s、スキージ圧を20kg、オフコンタクト距離を3.0mmとした。インキは下記の組成のものを使用した。
これを、ニーダならびにビーズミルを併用し、機械分散してスクリーン印刷用インクに調合した。
【0155】
このインキで185μmPETフィルム上に印刷し、15μm独立細線を形成することができた。連続印刷の結果、スクリーン紗の目ズマリもなく3000枚連続印刷を可能とした。
【0156】
【発明の効果】
本発明においては、従来23°〜24°であった紗バイアス角度を上述した範囲とすることにより、紗内へのインクの落としこみが良好となり、高精細なパターンの形成が可能となる。また、被印刷面にべたで印刷する場合に従来のスクリーン印刷用紗を用いた場合は生じていたモアレの発生を防止することができる。
【0157】
したがって、機能面で高精細なパターンを要求される電子材料分野に適用できる他、モアレを防止することができるものであるので、通常のカラープルーフやポップデザイン等を印刷するためのスクリーン印刷版に好適に用いることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクリーン印刷用紗における紗バイアス角度を説明するための概略平面図である。
【図2】本発明のスクリーン印刷版の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のスクリーン印刷版に用いられるメタル紗の一例を示す概略断面図である。
【図4】従来のスクリーン印刷版を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 …… 紗
2 …… 平坦化層
3 …… 第1接着層
4 …… バッククッション層
5 …… 第2接着層
6 …… 感光性高分子層
Claims (11)
- 実印刷領域における紗バイアス角度が、31°以上45°未満であるスクリーン印刷用紗と、前記スクリーン印刷用紗の隙間に充填されスクリーン印刷用紗の表面を平坦化させる平坦化層と、前記平坦化層の被印刷物側の表面に、前記平坦化層のパターンと同一のパターン状に形成されたバッククッション層とを有し、前記バッククッション層の硬度が、針侵入硬度で30〜65の範囲内であることを特徴とするスクリーン印刷用版。
- 前記スクリーン印刷用紗のメッシュ開口幅が5μm〜85μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷用版。
- 前記スクリーン印刷用紗が、メタル紗もしくはポリエステル紗であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクリーン印刷用版。
- 前記スクリーン印刷用紗のテンションが、1000N/mm2〜3500N/mm2の範囲内であり、スクリーンメッシュが、150メッシュ〜800メッシュの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
- 前記バッククッション層と平坦化層との間に第1接着層を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
- 前記第1接着層の硬度が、針侵入硬度で30未満であることを特徴とする請求項5に記載のスクリーン印刷用版。
- 前記平坦化層の被印刷物と逆側の表面に感光性高分子層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
- 前記感光性高分子層と平坦化層の間に第2接着層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
- 前記バッククッション層に、ドライフィルムレジストを用いることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の
スクリーン印刷用版。 - 前記スクリーン印刷用紗がメタル紗であり、このメタル紗の被印刷物側の面が、研削されて平坦化されていることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載のスクリーン印刷用版。
- 請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載されたスクリーン印刷用版を用い、スクリーン印刷法により着色層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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