JP2017003911A - 感光性樹脂組成物、感光性フィルム、スクリーン印刷用版材および感光性レジストフィルム - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性フィルム、スクリーン印刷用版材および感光性レジストフィルム Download PDF

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村 圭 子 木
田 修 次 岩
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田 修 次 岩
達 大 作 安
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達 大 作 安
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江 護 近
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Abstract

【課題】一液型で長期保存が可能であり、かつ、耐溶剤性及び耐水性に優れた感光性樹脂組成物、当該組成物を用いる感光フィルム及びスクリーン印刷用ステンシルを提供する。【解決手段】下記の成分A〜Dを含んでなる感光性樹脂組成物であって、下記の成分Aの水溶液中に、成分B及び成分Cの混合物が成分Dの存在下で乳化分散してなることを特徴とする感光性樹脂組成物。成分A:水溶性ポリマー、成分B:少なくとも一つのアミノ基で置換されたエチレン性不飽和結合を有する化合物、成分C:少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物(但し、上記の成分Bに該当する化合物を除く)、成分D:光ラジカル重合開始剤もしくは光ラジカル重合開始系。上記の感光性樹脂組成物を含んでなる感光性フィルム、スクリーン印刷用版材、スクリーン印刷用ステンシル及び感光性レジストフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ラジカル重合性化合物を増感剤ならびに光重合助剤の存在下で水溶性ポリマーの水溶液中に乳化してなる感光性樹脂組成物、その組成物から製造される感光性フィルム、および、それらを用いるスクリーン印刷製版ならびにエッチング用感光性フィルムに関する。
高分子系感光性樹脂では、露光部と未露光部との間での溶解性変化に基づく現像処理が施されてパターンが形成される。代表的な感光性樹脂として、アルカリ現像型アクリル系フォトポリマーおよび化学増幅型フォトレジストが幅広く利用されているが、両者ともに有機溶媒を使用する工程を含む。すなわち、いずれのフォトポリマーあるいはフォトレジストも露光後の現像処理はアルカリ水溶液によってなされるものの、塗膜化のために有機溶剤を用いて均一溶液とする。一方、作業環境、廃棄物対策などに直接関連し、溶媒としてもっとも安価であり、かつ、安全な水のみを塗膜工程ならびに現像工程に用いることが待望されている。しかし、高い極性をもつ水に溶解する物質は顕著に限定されるために、中性水のみで塗膜ならびに現像処理が可能な感光性樹脂の種類はきわめて限定される。
中性水のみを塗膜溶媒ならびに現像溶媒とする感光性樹脂組成物として、ゼラチン、カゼインあるいはポリビニルアルコールなどの水溶性高分子に水溶性の重クロム酸塩を添加した感光性樹脂は古くから実用に供されてきたが、重金属イオンを含む上、保存安定性に劣ることから、その利用は除外されている。一方、水溶性ジアゾ樹脂をポリビニルアルコール類に均一に添加する水性感光性樹脂が、とくに、スクリーン印刷用感光材料に広く利用されている。しかしながら、感光速度が重クロム酸塩系感光性樹脂に比較して低い、露光部の着色に伴って光の透過が限定される、長期にわたる保存安定性に劣るなど、感光材料としての性能は万全ではない。
このような諸課題を補完する水溶性感光性高分子として、スチリルピリジニウムに代表される親水性の光二量化型残基をポリビニルアルコールに結合した材料が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4など)。これらは、上記の水現像型感光性樹脂よりも高感度であり、長期にわたる保存安定性に優れているという特徴をもつ。しかしながら、この感光性高分子の不溶化は光二量化反応による架橋のみによって達成されるために、露光前後で中性水に対する溶解性変化は顕著ではあるものの、光架橋前後での親水性には大きな変化が伴わない。このため、光架橋で得られるパターンの水膨潤性が十分に抑制できず、解像性に限界がある。水溶性ジアゾ樹脂で感光化される上述したポリビニルアルコール系材料でも、基本的にこの問題を避けることができない。
そこで、これらの均一系の水性感光性樹脂に種々の非水溶性添加剤を添加することにより、相対的に水膨潤性を低減する工夫がなされている。このため、とくにスクリーン印刷用感光性樹脂組成物には、代表的な添加剤として水性ポリ酢酸ビニルエマルジョンが用いられる。ポリ酢酸ビニルエマルジョンに代えて、他の架橋ポリマーの水性エマルジョンを配合した感光性樹脂組成物も提案されている(特許文献5、特許文献6、特許文献7)など)。しかしながら、光架橋で得られるパターンの水膨潤性そのものを抑制するのではないため、解像性向上にはおのずから限界がある。
一方、水溶性ポリマー、ラジカル重合性モノマー及び光ラジカル重合開始剤を基本構成とする水性感光性樹脂組成物がさまざまな形態で提案されている。この種の光ラジカル重合系水性感光性樹脂は均一系と不均一系とに分類できる。均一系組成物とは、感光性構成成分が水あるいは含水有機溶媒に溶解した状態からなる組成物を意味する。一方、本発明にかかわる不均一系組成物とは、感光性構成成分を水中に乳化分散した水性エマルジョンである。
均一系組成物として、水溶性ポリマー、水溶性モノマーおよび光重合開始剤からなる感光性組成物がレリーフ凸版用感光性組成物として提案されている。水に難溶であっても水溶性モノマーに溶解する光重合開始剤は、均一系感光性組成物に供される。また、特許文献8には、水及び有機溶媒双方に可溶なポリマー、ビニル重合化合物および光ラジカル重合開始剤からなる感光性組成物がスクリーン印刷用感光性組成物として提案されている。たとえば、メタノールあるいはメチルセロソルブと水との混合溶液中に、感光性構成成分を均一に溶解した均一系組成物として提供される。特許文献9では、部分けん化ポリビニルアルコール、ビニル重合化合物及び光重合開始剤から構成される硬化性樹脂組成物の溶液あるいは融液からなる均一系の水性感光性組成物が提案されている。特許文献10には、水溶性エチレン‐ビニルアルコール共重合体、ビニル重合性化合物および光ラジカル重合開始剤からなる感光性組成物が提案されているが、その形態は均一水溶液である。特許文献11には、レーザー彫刻用原版として部分けん化ポリビニルアルコール、水溶性モノマーおよび光重合開始剤からなる感光性組成物が提案されているが、含水メタノール溶液からなる均一系組成物として供される。特許文献12では、ポリビニルアルコール誘導体に、水酸基、エーテル基、アミノ基、ウレタン基、イソシアヌル基のいずれかで置換された(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び光重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物が液晶配向膜用して提案されている。この組成物は有機溶剤を用いた溶液として供されており、しかも水系ではない。
一方、部分けん化ポリビニルアルコール、ラジカル重合性モノマー及び光ラジカル重合開始剤から構成される不均一系感光性組成物は、光重合性開始剤とともに水に不溶あるいは難溶のエチレン性不飽和化合物をポリビニルアルコール水溶液中に乳化分散して調製される。この水性エマルジョンに水溶性光架橋剤が配合されてはじめてパターン形成可能な感光性組成物となる。たとえば、特許文献13では、水に難溶あるいは不溶のビニル重合性化合物からなる水性エマルジョンに、重クロム酸塩あるいはジアゾ樹脂を配合した感光性組成物が提案されている。ここで留意すべき点は、ジアゾ樹脂などの光架橋剤を添加しないと光不溶化が起こらないか、あるいは、不完全であることである。たとえば、特許文献14において、ポリビニルアルコールの水溶液に光重合開始剤としてのベンゾインエチルエーテルを含有するトリメチロールプロパントリアクリレートを乳化して水性エマルジョンとし、その塗膜に光照射しても不溶化が起こらないことが比較例として記載されている。このため、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18などに見るように、部分けん化ポリビニルアルコール、ラジカル重合性モノマー及び光ラジカル重合開始剤からなる水性エマルジョンに、光架橋剤としての水溶性ジアゾ樹脂を配合したさまざまな提案がなされており、スクリーン印刷用感材として広く用いられている。また、特許文献6や特許文献15などでは、ポリビニルアルコール自体に光架橋能を付与した上記のスチリルピリジニウム基などが導入された光架橋性ポリビニルアルコールを保護コロイドとし、ラジカル重合性モノマーおよび光ラジカル重合開始剤からなる水性エマルジョン型感光性樹脂組成物が提案され、広く実用に供されている。また、この種の光架橋性ポリビニルアルコールを保護コロイドとする光ラジカル重合性モノマーの水性エマルジョンに、さらに水溶性ジアゾ樹脂を添加した感光性樹脂組成物も提案されている。以上のように、部分けん化ポリビニルアルコール、ラジカル重合性モノマー及び光ラジカル重合開始剤からなる水性エマルジョンからなる不均一系感光性樹脂組成物では、光架橋剤を含有しないとパターン形成ができないとされる。
一方、光架橋剤を配合しない光ラジカル重合性感光性組成物に関する以下の提案がある。特許文献19では、ポリビニルアルコール系樹脂、重合性モノマーおよび光重合開始剤に、ガラス転移温度45℃以上の疎水性樹脂エマルジョンを配合した感光性樹脂組成物がレリーフ凸版用あるいはスクリーン印刷版用として提案されている。ここでは、必須成分としての疎水性樹脂エマルジョンにポリビニルアルコール粉体、重合性モノマーおよび光重合開始剤を添加し、ペーストとしての組成物が調製される。ここで留意すべき点は、ポリビニルアルコールは水溶液として配合されているのではなく、その粉体が疎水性樹脂エマルジョン中に配合されており、ポリビニルアルコールが溶解しているか否かについての記述がないことである。一方、ペーストはセメントや魚のすり身のように粘性が非常に高い分散系を意味し、粘度が低く流動性に富んだ水性エマルジョン型感光性樹脂組成物とは一線を画すべきである。ちなみに、この比較例として、ポリビニルアルコール粉体、メチルメタクリレートと2‐ヒドロキシエチルメタクリレートの液状重合性モノマー混合物、および、光ラジカル重合開始剤からなるペーストが調製されているが、この組成物自体の塗膜は光照射で十分に硬化しないとされる。
このように、ポリビニルアルコール誘導体を保護コロイドとするラジカル重合性モノマーおよび光ラジカル重合開始剤から構成される水性エマルジョンからなる不均一系では、その塗膜に光照射してもパターン形成能を有さないとされる。実際に、本発明者らは、多くの重合性モノマーおよび光ラジカル重合開始剤を用いて検討を重ねたが、本発明を構成する特定の不飽和結合を有する化合物を用いない水性エマルジョン組成物では、実用に耐えうるパターン形成は困難、もしくは、不可能ということを確認した。これは、光ラジカル重合開始剤を含有する水に難溶もしくは不溶なビニル重合性化合物は水性エマルジョン中で光ラジカル重合反応を起こすものの、パターン形成能をもたらすために不可欠なポリビニルアルコールの不溶化が誘起されない、あるいは、誘起されにくいためと考えられる。言い換えると、これらのラジカル重合性モノマーの光ラジカル重合反応は、ポリビニルアルコール鎖へのラジカル的な架橋反応にほとんど関与しないと推察される。こうした不都合を克服すべく、特許文献20、特許文献21および特許文献22では、スペーサーを介してホルミル基で置換された(メタ)アクリレート化合物をポリビニルアルコール鎖にアセタール化反応させ、アセタール結合を介して(メタ)アクリレート残基を導入した光ラジカル架橋性の水溶性ポリマーが提案されている。これらの水溶性ポリビニルアルコールに光ラジカル重合開始剤を配合すると、低分子重合性モノマーがなくても光不溶化する。しかしながら、ここで用いられているホルミル基を有するメタ(アクリレート)は油溶性であり、ポリビニルアルコールの水溶性を確保するうえで、それらによるアセタール化率には上限があることは容易に推察される。したがって、上記した光架橋性残基を導入したポリビニルアルコールの場合と同様に、光架橋は誘起されるものの、塗膜の水膨潤性を十分に抑制するうえで制約があると推察される。
以上の水性エマルジョン型感光性樹脂組成物では、ポリビニルアルコール誘導体が光架橋してネガ型画像が形成される。一方、特許文献23においては、ポジ型の感光性組成物がスクリーン印刷用感材として提案されている。すなわち、酸の作用によってエステル部位が容易に脱保護されるポリメタクリレートをバインダーポリマーとし、これに光ラジカル開始剤、光酸発生剤およびラジカル架橋剤を配合してなる感光性樹脂組である。この組成物から得られる塗膜では、露光部に発生する酸によってエステル残基がカルボキシル基となり、アルカリ水により溶解除去されてポジ画像が形成される。この画像部を補強すべく、さらに短波長紫外線による全面照射を施して画像部での光ラジカル重合を誘起することを原理としており、以上の水性感光性樹脂と本質的に異なる。つまり、この感光性樹脂組成物の塗布には有機溶媒が用いられること、現像は中性水ではなくアルカリ水によって行われること、画像形成用の露光以外に短波長照射が不可欠という課題を有する。
以上のように、水溶性ポリマー、光重合開始剤および重合性モノマーを基本構成成分とする組成物では、これらを水もしくは含水有機溶媒中に均一に溶解した状態で塗膜を形成すると、光照射によってレリーフ画像を形成する。この事実と対照的に、水溶性ポリマー、光重合開始剤および重合性モノマーからなる同一の基本構成成分を水性エマルジョンとする不均一系組成物では、基本構成成分が同じであるにもかかわらず、その塗膜に光照射してもレリーフ画像が困難、もしくは、不可能とされてきた。このような顕著な相違は、均一系組成物の塗膜中では基本構成成分の分布状態は均一性に富んでいるのに対し、水性エマルジョン型組成物の塗膜中では基本構成成分の分布状態が不均一であるためと理解される。
ところで、スクリーン印刷法は、アルミニウム枠や木枠に張ったスクリーンメッシュの上に水性感光性樹脂組成物の塗膜を形成し、パターンに応じた光のオンオフ照射を行い、ついで、水現像によってスクリーンメッシュに所定のパターンの樹脂塗膜をステンシルとして形成したスクリーン印刷版を用いて、インクを押し出して基材上に印刷を行う方法である。印刷版の作製および印刷自体が簡便であり、印刷される塗膜の厚みが厚い、被印刷体の種類が限定されにくい、などの特徴を有することから、広範な目的に利用されており、さらなる高精細な印刷に適合する感光材料が待望されている。
スクリーン印刷用ステンシルの製造には、中性水からなる水系感光性組成物が用いられ、その塗膜を露光後に現像する溶媒も中性水である。さらには、水性インクあるいは極性有機溶剤からなるインク、ペーストを用いてスキージによる印刷を多数回行うから、ステンシルには高度な耐水性、耐溶剤性とともに、優れた機械的強度が不可欠である。そのため、実用に供されるスクリーン印刷用の感光性樹脂はきわめて限定的である。
スクリーン印刷用感光材料として広く用いられている感光性樹脂組成物は、部分けん化ポリビニルアルコールを保護コロイドとして光ラジカル重合開始剤を含有する重合性モノマーを水溶液中で乳化し、こうして調製される水性エマルジョンにジアゾ樹脂を配合してなる感光性組成物であり、これらについてはすでに上記した。この種の水性感光性組成物では、ジアゾ樹脂の光分解によってポリビニルアルコール鎖が光架橋され、水に不溶なネガ型画像が形成されると同時に、乳化した重合性モノマーの光重合が不溶架橋体を形成し、耐水性、耐溶剤性が向上されると考えられる。つまり、ジアゾ樹脂の光架橋反応ならびに重合性モノマーの光重合反応が併発してはじめて、スクリーン印刷用ステンシルに適合した性能が得られると考えられる。耐刷性を向上すべく、水性ポリマーエマルジョンや有機あるいは無機粉体の配合の他に、スクリーンメッシュあるいはスクリーン版面の表面処理剤としてシランカップリング剤による処理方法も提案されている(特許文献24、特許文献23、特許文献25)。しかしながら、水溶液中でのジアゾ樹脂は暗所での保存安定性に欠けているために二液型とならざるを得ない。このため、提供者はこの水性エマルジョンに見合う重量のジアゾ樹脂粉体を量りとって包装する手間を要する一方で、使用者は使用直前にこのジアゾ樹脂を高粘性の水性エマルジョンに均一に溶解させる手間を要する。また、この組成物から製造される感光性フィルム中でのジアゾ樹脂の暗所安定性には限度があり、本質的に長期保存に難点がある。さらには、ジアゾ樹脂系感光性組成物からなる塗膜の露光部は着色し、ジアゾ樹脂の光反応とともに塗膜内での光の透過率が低下するという本質的な問題もある。このように、広範に実用に供されてはいるものの、スクリーン印刷用感光剤としての一液化、高感度化ならびに解像性のさらなる向上はかねてからの解決すべき課題である。
一液型の感光性組成物としては、すでに述べたように、スチリルピリジニウム基に代表される光二量化残基を結合した部分けん化ポリビニルアルコールに水性ポリマーエマルジョンあるいは光重合性モノマーの水性エマルジョンを配合する感光性組成物が提案され、用いられている。これらの組成物の塗膜では、光照射によってこの種の光架橋性ポリビニルアルコールが光二量化反応に基づく架橋を形成して水に不溶となり、画像形成が可能となる一方で、エマルジョンとして配合されたポリマーあるいは重合性モノマーの光重合によって生成する架橋ポリマーが、光硬化膜の耐水性、耐溶剤性、機械的特性などを向上する。これらの感光性組成物は一液型であり、これらから製造される感光性フィルムも優れた長期保存安定性を有する。しかしながら、上記のようにポリビニルアルコールの光不溶化は親水性感光基間での光二量化反応に基づくので、光架橋点は親水性が高いままであり、水膨潤性に課題が残る。このため、光不溶化した塗膜の水膨潤性をさらに抑制することが待望されている。
このように、スクリーン印刷用ステンシルを製造するための感光性樹脂組成物においても、ポリビニルアルコール、光重合開始剤および重合性モノマーを基本構成成分のみからなる水性エマルジョンの塗膜では画像形成が困難もしくは不可能とされており、レリーフ画像であるステンシル製造には、ジアゾ樹脂、光架橋性感光基などの光架橋剤をさらに配合することが不可欠とされてきた。
特開昭55−23163号公報 特開昭55−62905号公報 特開昭58−25303号公報 特開昭58−194905号公報 特開昭55−62446号公報 特開昭60−10245号公報 特開昭61−17141号公報 特開昭52−45402号公報 特開昭63−122702号公報 特開平8−325475号報公報 特開2009−248366号報 特開2004−361600号公報 特開昭59−107343号公報 特公平4−19542号公報 特開平7−146549号公報 特開2005−292780号公報 特開2005−221990号公報 特開2012−215862号公報 特開平6−230568号公報 特開2000−181062号公報 特開2004−189841号公報 特開2005−213350号公報 特開2009−48163号公報 特開2009−45867号公報 特開2012−53404号公報
一液型の水現像可能な水性感光性樹脂組成物は永年にわたっての課題である。その一方で、スクリーン印刷法の応用が拡大するにつれて多種多様なインキあるいはペーストに用いられる溶剤が多様化しており、それぞれに対する低膨潤性、耐刷性、解像性および耐刷性などの向上が求められている。本発明は、一液型で長期保存が可能であり、かつ、耐溶剤性および耐水性に優れた感光性樹脂組成物、当該組成物を用いる感光フィルムおよびスクリーン印刷用ステンシルを提供することを主たる課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、不飽和結合を有する特定の分子構造からなる化合物を必須成分として配合することにより、水溶性ポリマーを保護コロイドとする水性エマルジョン型感光性樹脂組成物が優れた長期保存性を示す一液型感光性組成物になること、当該組成物から長期保存が可能な感光性フィルムが容易に得られること、これらの水性感光性組成物あるいは感光性フィルムがスクリーン印刷用版材あるいはフォトレジスト材料の製造に好適であることをそれぞれ新規に見いだした。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)下記の成分A〜Dを含んでなる感光性樹脂組成物であって、
下記の成分Aの水溶液中に、成分Bおよび成分Cの混合物が成分Dの存在下で乳化分散してなることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
成分A:水溶性ポリマー、
成分B:少なくとも一つのアミノ基で置換されたエチレン性不飽和結合を有する化合物、
成分C:少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物(但し、上記の成分Bに該当する化合物を除く)
成分D:光ラジカル重合開始剤もしくは光ラジカル重合開始系。
(2)前記の成分Aが、けん化度65〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体、水溶性エチレン‐ビニルアルコール系共重合体、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび水溶性ナイロンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の水溶性ポリマーである、感光性樹脂組成物。
(3)前記の成分Aが、下記の一般式(1)で表わされるスチリル基で置換された4級化窒素からなる複素環あるいはそれら複素環のベンゼン縮合環単位を0.5モル%〜5モル%含有するポリビニルアルコール系重合体あるいはエチレン‐ビニルアルコール系共重合体である、上記(1)に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2017003911
〔式中、Rは、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基もしくはアラルキル基(但し、これらはヒドロキシ基、カルバモイル基で置換されていてもよく、また、それらの炭素炭素結合は酸素原子あるいは不飽和結合を介していても良い)を示す。Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは1〜6の整数であり、nは0または1である。Xは、炭素炭素二重結合、イオウ原子、酸素原子、炭素数1〜4のアルキル基で置換された窒素原子である。Yは、ハロゲンイオン、リン酸イオン、メト硫酸イオン、スルホン酸イオンまたはこれら陰イオンの混合物を表す〕
(4)前記の成分Bが、(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリルアミドの(メタ)アクリロイル基にジアリルアミンをマイケル付加反応させて得られるエチレン性不飽和化合物である、上記(1)〜(3)にいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(5)前記の成分Aに対する成分Bおよび成分Cを合算した配合割合が、重量部比で1:0.3から1:8の範囲にある、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(6)前記の成分Bに対する成分Cの割合が、重量部比で1:2から1:20の範囲にある、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(7)さらに、シランカップリング剤を含んでなる、上記(1)〜(6)のいずれに記載の感光性樹脂組成物。
(8)さらに、水性ポリマーエマルジョンを含んでなる、上記(1)〜(7)のいずれに記載の感光性樹脂組成物。
(9)さらに、無機粒子または/および有機粒子を含んでなる、上記(1)〜(8)のいずれに記載の感光性樹脂組成物。
(10)プラスチックフィルムと、上記(1)〜(9)のいずれに記載の感光性樹脂組成物とを含んでなることを特徴とする、感光性フィルム。
(11)スクリーンメッシュと、上記(1)〜(9)のいずれに記載の感光性樹脂組成物とを含んでなることを特徴とする、スクリーン印刷用版材。
(12)上記(10)に記載の感光性フィルムと、スクリーンメッシュとを含んでなることを特徴とする、スクリーン印刷用版材。
(13)上記(11)または(12)に記載のスクリーン印刷用版材に光によって潜像を描画し、ついで、水現像および乾燥して成ることを特徴とする、スクリーン印刷用ステンシル。
(14)上記(10)に記載の感光性フィルムと、基材とを含んでなることを特徴とする、感光性レジストフィルム。
本発明による感光性樹脂組成物、該組成物から得られる感光性フィルム及びそれを用いるスクリーン印刷用ステンシルは以上のような構成からなり、しかも、用いられる溶媒は水であるために環境にやさしい特徴を有しており、以下のような効果を有する。
(イ)水性感光性樹脂組成物の調製及び現像処理には水のみを溶媒として用いるので、作業環境の安全性、火災予防、公害防止などに適している。
(ロ)1液型であるためジアゾ樹脂を秤量する工程を必要とせず、組成物をそのまま使用できるので作業性に優れているうえ、長期保存が可能である。
(ハ)当該組成物をフィルムあるいはスクリーン基材に塗布して感活性エネルギー線樹脂皮膜とし、長期保存が可能な感光性フィルムとすることができる。
(ニ)当該組成物をフィルムに塗布してドライフィルムとすることができる。
〔感光性樹脂組成物〕
本発明による感光性樹脂組成物は、
下記の成分A〜Dを含んでなる感光性樹脂組成物であって、
下記の成分Aの水溶液中に、成分Bおよび成分Cの混合物が成分Dの存在下で乳化分散してなること、を特徴とするものである。
成分A:水溶性ポリマー、
成分B:少なくとも一つのアミノ基で置換されたエチレン性不飽和結合を有する化合物、
成分C:少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物(但し、上記の成分Bに該当する化合物を除く)、
成分D:光ラジカル重合開始剤もしくは光ラジカル重合開始系。
ここで、「成分A〜Dを含んでなる」とは、挙示の必須成分A〜Dのみからなる組成物のみを意味するものではなく、挙示の必須成分A〜Dとともに、成分A〜D以外の成分を含んでなる組成物をも意味する。なお、そのような成分A〜D以外の成分としては、(イ)本発明の目的および効果の達成に有利に作用する成分、(ロ)本発明による感光性樹脂組成物に対してその使用上の有用性、利便性等を向上させる成分、(ハ)本発明の目的および効果の達成を実質的に阻害しない成分、(ニ)本発明による感光性樹脂組成物を製造あるいは使用に際し、場合により不可避的に含有されることになる成分等に分類することができる。このような成分A〜D以外の他の成分のうち、(イ)および(ロ)に相当するものの具体例としては、例えば、シランカップリング剤、水性ポリマーエマルジョン、無機粒子および有機粒子(いずれも、詳細後記)を挙げることができる。
<成分A>
本発明における水性感光性樹脂組成物は、水溶性ポリマーである成分Aの水溶液中に、成分Bおよび成分Cの混合物を成分Dの存在下で乳化分散させて製造される。したがって、成分Aは乳化分散安定剤としての機能を有する水溶性ポリマーであり、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、水溶性ナイロンならびにポリビニルアルコール誘導体が使用可能である。この中で、光硬化した塗膜の機械的強度などの観点から、ポリ酢酸ビニルあるいは酢酸ビニルとオレフィンとの共重合体のけん化物であるポリビニルアルコール誘導体が好ましい。酢酸ビニルと共重合体を形成するオレフィンとしては、エチレン、ブテンジオール、アクリル酸誘導体、マレイン酸誘導体などを挙げることができる。ポリビニルアルコール誘導体におけるビニルアルコール単位は酢酸ビニル単位のけん化体に相当するが、そのけん化度は65%から99%であることが好ましい。重合度には制約はなく、300から4000であればよい。けん化度および重合度が異なる2種類以上のポリビニルアルコール誘導体を混合することもできる。また、カチオン変性、アニオン変性、カルボン酸変性、部分アセタール化変性、さらには、アセトアセテート変性されたポリビニルアルコールを用いることが可能である。
また、成分Aとして、あらかじめ親水性光架橋残基を結合したポリビニルアルコールを用いることができる。特許文献26に記載の親水性カルコン誘導体を結合したポリビニルアルコール誘導体あるいは特許文献27および特許文献28に記載のローダニン誘導体を結合したポリビニルアルコールを例示できるが、とくに、光二量化反応性の第4級化スチリル残基がアセタール結合を介して導入された一般式(1)
Figure 2017003911
(式中、R、R、m、n、X、Yは、前記と同じ意味を持つ)
で表わされるスチリル基で置換された4級化窒素からなる複素環あるいはそれらのベンゼン縮合環単位を主鎖中に導入したポリビニルアルコール系重合体あるいは水溶性エチレン‐ビニルアルコール系共重合体が好ましい。本発明では、上記式におけるRが、水素原子、メチル基、エチル基、アリル基、カルバモイルメチル基、メトキシエチル基、ベンジル基であり、Rが、水素原子、メチル基であり、mが1〜4の整数であり、nが0または1であり、Xが、炭素炭素二重結合、イオウ原子、酸素原子であり、Yが、クロリド、ブロミド、メトサルフェート、フォスフェート、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p‐トルエンスルホネートである、化合物が好ましい。
本発明に用いられるスチリル基で置換された4級化含窒素複素環残基の基本骨格の例として、式2に示す4‐スチリルピリジニウム、2‐スチリルピリジニウム、2‐スチリルオキサゾリニウム、2‐スチリルチアゾリニウム、4‐スチリルキノリニウム、2‐スチリルキノリニウム、2‐スチリルベンツオキサゾリニウムおよび2‐スチリルベンツチアゾリニウム等を挙げることができる。
Figure 2017003911
〔特許文献26〕特開昭58−194905号公報
〔特許文献27〕特開平10−16667号公報
〔特許文献28〕特開平10−310769号公報
基幹ポリマーであるポリビニルアルコール系重合体あるいはエチレン‐ビニルアルコール系共重合体のけん化度は65%から99%であることが好ましい。重合度は300から4000である。また、けん化度および重合度が異なる2種類以上のポリビニルアルコールを混合することもできる。式1で表記される光二量化反応性残基のポリビニルアルコールあるいはエチレン‐ビニルアルコール系共重合体への導入率は、ビニルアルコール単位あたり0.3〜5モル%が好ましい。これ以下の場合には、光架橋の効率が低いために光不溶化への寄与が低いし、これ以上の導入率では、粘度が著しく増大して組成物の調製が困難となる。
<成分B>
成分Bは、少なくとも一つのアミノ基で置換された少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有する化合物である。以下に、本発明に好適に用いられる成分Bを例示するが、これらを2種類以上組み合わせて用いることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」および「(メタ)アクリルアミド」は、それぞれ、「メタクリレート」と「アクリレート」ならびに「メタクリルアミド」と「アクリルアミド」を意味する。
アミノ基で置換されたエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、2‐(N,N‐ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリレート、2‐(N,N‐ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリレート、2‐(t‐ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2‐(N,N‐ジイソプロピルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2‐(N‐モルホリノ)エチル(メタ)アクリレート、N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。
さらには、アミノ基で置換されたアリル系化合物を好適に用いることができる。すなわち、N‐エチルジアリルアミン、N‐ベンジルジアリルアミン、トリアリルアミンの他に、ジアリルアミンが(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリルアミド類の不飽和二重結合にマイケル付加反応によって付加した化合物を用いることができる。この付加反応により、式3に示すように、一つの(メタ)アクリロイル基は2つの不飽和結合を有するジアリルアミノ基へと変換する。
Figure 2017003911
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは有機残基、Xは酸素原子またはNHを示す。)
ジアリルアミンがマイケル付加する単官能性(メタ)アクリレートとして以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。以下、「エチ(プロピ)レン」は、「エチレン」および「プロピレン」の両者を意味する。すなわち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐アリルオキシプロピルアクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、2‐エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート等である。
ジアリルアミンがマイケル付加する単官能性(メタ)アクリルアミドとして、(メタ)アクリルアミド、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド、N‐メチル(メタ)アクリルアミド、N‐エチル(メタ)アクリルアミド、N‐プロピル(メタ)アクリルアミド、N‐イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N‐ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N,N‐ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、2‐トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートの塩、2‐ジエチルメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートの塩、2‐エチルジメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートの塩、3‐トリメチルアンモニオプロピル(メタ)アクリレートの塩、3‐トリメチルアンモニオプロピル(メタ)アクリルアミドの塩、3‐メチルジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドの4級塩、N,N‐ジエチルメチルアンモニオプロピル(メタ)アクリルアミドの塩などを挙げることができる。
ジアリルアミンがマイケル付加する多官能性(メタ)アクリレートの例として以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。すなわち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐アクリルオキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、トリエチレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、トリメチレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、ペンタメチレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、プロピレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルとアクリル酸との付加体、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EО変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PО変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等である。
本発明におけるジアリルアミンと(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリルアミドとのマイケル付加反応生成物においては、以上に例示した単官能あるいは多官能性(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリルアミドのうち少なくとも1種類を用いる。この付加反応生成物は、ジアリルアミン由来の窒素原子に基づくアミノ基で置換され、かつ、2つのラジカル重合性アリル基からなる構造を有する。多官能性(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリルアミドの場合には、(メタ)アクリロイル基数nに対して1/n〜1モルのジアリルアミンを用いることができる。したがって、nが2以上の(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリルアミドでは、たとえば、3官能性モノマーに対して等モル量のジアリルアミンを反応させると、平均的に1つのアクリロイル基がジアリルアミノ基に変換され、2つの(メタ)アクリロイル基が平均的に残存することになる。脂肪族第2級アミンは(メタ)アクリロイル基、とくに、アクリロイル基に容易にマイケル付加反応を起こすことはよく知られており、両者を混合することによって容易に付加化合物が生成する。反応を完結するために、室温〜100℃、好ましくは、室温〜80℃に加温することが好ましい。
<成分C>
成分Cは、上記した成分Bに属さず脂肪族アミノ基を有しないエチレン性不飽和結合を有する化合物である。たとえば、「光硬化技術データブック」(テクノネット社、2000年)に記載のモノマーおよびオリゴマーが該当する。アリルエーテル基を有する重合性モノマーも利用可能ではあるが、重合速度がより速い(メタ)アクリレート類が本発明には好ましい。
単官能性(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3‐テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4‐ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐アリルオキシプロピルアクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、2‐エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2‐エトキシエチル(メタ)アクリレート、2‐(2‐エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、n‐ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチ(プロピ)レングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
多官能性(メタ)アクリレート化合物として、エチ(プロピ)レングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチ(プロピ)レングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3‐トリメチ(プロピ)レングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビス(メタクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチ(プロピ)エンオキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチ(プロピ)エンオキシ変性ビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルジ(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチ(プロピ)レンオキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチ(プロピ)レンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチ(プロピ)レンオキシ変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチ(プロピ)レンオキシ変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー等を挙げることができるが、この限りではない。
<成分D>
本発明の組成物を光不溶化させるために必要な成分Dは、光ラジカル重合開始剤もしくは光ラジカル重合開始系である。ここで、光ラジカル重合開始剤とはそれ自体の光化学反応によってラジカル種を発生する物質を意味し、光ラジカル重合開始系は、光ラジカル重合開始剤あるいはそれ自体ではラジカル発生効率が低い増感剤に配合される光重合開始助剤とからなるものを言う。本発明の感光性組成物には、これら2つのタイプのいずれをも用いることができる。
さらには、光ラジカル重合開始剤ならびに光ラジカル重合開始系の両者からなる混合系も用いることができる。光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイン、アニソイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、2‐カルボキシベンゾフェノン、4‐メトキシベンゾフェノン、4‐フェニルベンゾフェノン、4,4’‐ジメトキシベンゾフェノン、フルオレノン、ビーエーエスエフ社製のイルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア1173、イルガキュア2959、イルガキュア127、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア500、イルガキュア819、ルシフィリンTPO、イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02、ダロキュアMBF等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
光ラジカル重合開始系における増感剤としては、4‐ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’‐ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4‐ジエチルアミノベンジリデンアセトフェノン、4‐ジエチルアミノベンジリデン(p‐メトキシ)アセトフェノン、4‐ジエチルアミノベンジリデンマロンジニトリル、2‐メチル‐9‐フルオレノン、N‐メチルアクリドン、9‐アントロン、2‐エチル‐9‐アントロン、チオキサントン、2‐クロルチオキサントン、1‐クロロ‐4‐プロポキシチオキサントン、2‐メチルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、2,4‐ジイソプロピルチオキサントン、2‐カルボキシメトキシチオサントン、2‐(2‐ヒドロキシ‐3‐トリメチルアンモニオプロポキシ)‐3,4‐ジメチル‐チオキサントンクロリド、10‐メチルフェノチアジン、9,10‐ジメチルフェナントレン、9‐メチルアントラセン、9,10‐ジメチルアントラセン、9,10‐ジフェニルアントラセン、9,10‐ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,8‐ジメチル‐9,10‐ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9,10‐ジメトキシアントラセン、9,10‐ジエトキシアントラセン、9,10‐ジプロポキシアントラセン、9,10‐ジブトキシアントラセン、ジベンゾスベレノン、ジアセチル、アセチルベンゾイル、2,3‐ペンタジオン、2,3‐オクタジオン、ベンジル、4,4’‐ジメチルベンジル、カンファーキノン、9,10‐フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン、アントラキノン、2‐エチルアントラキノン、9,10‐アントラキノン、2‐エチル‐9,10‐アントラキノン、2‐t‐ブチル‐9,10‐アントラキノン、アントラキノン‐2‐スルホン酸塩、アントラキノン‐2,6‐ジスルホン酸塩などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
光ラジカル重合開始系における光重合助剤としては、N,N‐ジメチルエタノールアミン、N,N‐ジエチルエタノールアミン、N‐ヒドロキシエチルピロリジン、N‐ヒドロキシエチルピペリジン、N‐ヒドロキシエチルモルホリン、N‐メチルジエタノールアミン、N‐エチルジエタノールアミン、N‐プロピルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ(イソプロパノール)アミン、トリ(2‐ヒドロキシブチル)アミン、トリアリルアミン、トリベンジルアミン、エチルジベンジルアミン、N,N‐ジメチルアニリン、N,N‐ジベンジルアニリン、N,N‐ジメチル‐p‐トルイジン、N,N‐ジエチル‐p‐トルイジン、N,N‐ジ(2‐ヒドロキシエチル)‐p‐トルイジン、N‐(2‐ヒドロキシエチル)‐N‐(2‐シアノエチル)アニリン、4‐ジメチルアミノ安息香酸メチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸エチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸プロピル、4‐ジメチルアミノ安息香酸イソプロピル、4‐ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、フェニルトリブロモメチルスルホン、2,4‐ビス(トリクロロメチル)‐6‐p‐メトキシスチリル‐s‐トリアジン、2,6‐ビス(トリクロロメチル)‐4‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐1,3,5‐トリアジン、2,6‐ビス(トリクロロメチル)‐4‐(4‐メトキシフェニル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐ニトロベンジルp‐トルエンスルホネート、2,6‐ジニトロベンジルp‐トルエンスルホネート、1‐(p‐トルエンスルホニルオキシイミノ)‐1‐フェニルエタンニトリル、1‐(p‐トルエンスルホニルオキシイミノ)‐1‐フェニルエタンニトリル、ベンゾインp‐トルエンスルホネート、2‐p‐トルエンスルホニルオキシ‐2‐ベンゾイルプロパン、p‐ニトロベンジル‐9,10‐ジメトキシアントラセン‐2‐スルホネート、N‐トリフルオロメタンスルホニルオキシジフェニルマレイミド、N‐p‐トルエンスルホニルオキシサクシンイミド、N‐カンファースルホニルオキシサクシンイミド、N‐トルフルオロメタンスルホニルオキシサクシンイミド、N‐パーフルオロブタンスルホニルオキシサクシンイミド、N‐p‐トルエンスルホニルオキシフタルイミド、N‐カンファースルホニルオキシフタルイミド、N‐トルフルオロメタンスルホニルオキシフタルイミド、N‐パーフルオロブタンスルホニルオキシフタルイミド、N‐p‐トルエンスルホニルオキシ‐1,8‐ナフタレンカルボキシイミド、N‐カンファースルホニルオキシ‐1,8‐ナフタレンカルボキシイミド、N‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐1,8‐ナフタレンカルボキシイミド、N‐パーフルオロブタンスルホニルオキシ‐1,8‐ナフタレンカルボキシイミド、1,2,3‐トリス(p‐トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、ビス(フェニルスルホン)、ビス(フェニルスルホニル)メタンなどの他に、p‐メトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(p‐メトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(p‐メトキシフェニル)スルホニウム、p‐フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム、フェナシルジメチルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、フェニル(4‐メトキシフェニル)ヨードニウム、フェニル{4‐(tert‐ブチル)フェニル}ヨードニウム、4‐ビス{4‐(tert‐ブチル)フェニル}ヨードニウム、ビス(4‐ドデシルフェニル)ヨードニウム、(4‐メトキシフェニル)(4‐オクチルオキシフェニル)ヨードニウム、などのオニウムカチオンの、Cl、Br、ClO 、BF 、PF 、CHSO 、CFSO 、パーフルオロブタンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、カンファースルホネート、ベンゼンスルホネート、p‐トルエンスルホネート、(C、(C塩を挙げることができる。
また、本発明の感光性組成物に必要に応じて、ジアゾジフェニルアミンおよびホルムアルデヒドの縮合物からなるジアゾニウム塩(ジアゾ樹脂)、4,4’‐ジアジドスチルベン‐2,2‐ジスルホン酸塩、4,4’‐ジアジドベンザルアセトン‐2,2‐ジスルホン酸塩などの水溶性光架橋剤を配合することができる。
<各成分の配合および組成物の調製>
本発明における必須成分の配合割合は、以下の通りである。
成分Aの1重量部に対する成分Bおよび成分Cを合算した重量部の割合は、0.3〜8重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。配合割合がこの範囲以下では、一般式(1)に記載の光架橋単位を有さない場合には光架橋が十分に起こらない。一方、この範囲超過では感光性塗膜としての解像度が著しく低下する。一方、成分Bと成分Cとの配合割合に関しては、1重量部の成分Bに対して成分Cは2〜20重量部、好ましくは、4〜10重量部である。この範囲より少ない場合には十分な光画像形成ができないし、この範囲を越えると、光画像は水膨潤が著しくなるためにレリーフ形成に困難を生じ、かつ、解像性が劣化する。成分Bおよび成分Cを合算した重量部1に対する成分Dの重量部は、0.005〜0.5、好ましくは、0.01〜0.5である。この範囲以下ではレリーフ画像形成が不全となる一方、この範囲以上では反応光の深部への透過が困難となり、解像性が劣化する。
本発明の感光性樹脂組成物を調製するためには、成分Bおよび成分Cの混合物中に成分Dを溶解、分散し、これを成分Aである水溶性ポリマーの水溶液に添加し、常法にしたがって撹拌処理によって乳化分散して水性エマルジョンとして製造することができる。あるいは、成分Bもしくは成分Cに成分Dを溶解、分散し、これらを個別に成分Aである水溶性ポリマーの水溶液に添加して乳化分散することもできる。もしくは、成分Dを水溶性ポリマーの水溶液中に溶解、分散し、ついで、このポリマー水溶液を撹拌しながら成分Bおよび成分Dを添加して、本発明の感光性樹脂組成物を調製することができる。
水1重量部に対する成分Aの存在量は、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部である。この範囲以下ではエマルジョン形成が困難となり、この範囲以上では過度の高粘度化のためにエマルジョン形成が困難となり不適切である。
成分Cに成分Bを配合した本発明の水性エマルジョン型感光性樹脂組成物の塗膜は、ジアゾ樹脂のような光架橋剤が存在しなくても露光部は水に不溶化し、レリーフ画像形成が可能となることは意外なことであった。この理由は明確ではないが、成分Dである光重合開始剤もしくは光重合開始系から発生するラジカル種と成分Bが含有する脂肪族アミノ基との反応によって新たに成分Bのラジカル種が形成され、このラジカル種がポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー鎖から水素引き抜き反応を誘起し、その結果として、グラフト架橋反応が進行して水溶性ポリマーの不溶化が起こると推察される。その一方で、成分Bおよび成分Cのラジカル重合も併発するために、機械的強度、耐水性、耐溶剤性などが向上するものと考えられる。
本発明の感光性樹脂組成物には、構成成分の可溶化、水性エマルジョンの粘度調製、塗膜の乾燥促進などの必要に応じて、水性エマルジョン形成を阻害しない範囲で有機溶媒を添加してもよい。このための有機溶媒として、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエンなどが挙げられる。
<他の成分等>
本発明の感光性組成物には、非感光性の水性ポリマーエマルションを配合することができる。このための水性ポリマーエマルションとして、例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/エチレン共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、クロロプレン重合体、イソプレン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素樹脂等を挙げることができる。これら疎水性重合体粒子は、重合工程中により得られるポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン・酢酸ビニルコポリマーエマルジョン、酢酸ビニル・アクリルコポリマーエマルジョン、エチレン・酢酸ビニル・アクリル3元共重合エマルジョン、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマーエマルジョン、アクリルエマルジョン、スチレン・ブタジエンラテックスエマルジョン、MBRラテックスエマルジョン、アクリロニトリル・ブタジエンゴムラテックスエマルジョン、クロロプレンゴムラテックスエマルジョン、塩化ビニリデンエマルジョン等を挙げることができる。さらには、多官能性(メタ)アクリレートから調製される水性エマルジョンを熱重合開始剤あるいは光重合開始剤によって乳化重合し、架橋構造を有するポリマーの水性エマルジョンも好適に用いることができる。これらの水性ポリマーエマルジョンの配合割合は、成分Aである水溶性ポリマー1重量部に対して、0.3〜7重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。この範囲以下では、水性ポリマーエマルジョンによる改質効果が得られないし、この範囲以上では感度低下が著しくなり、使用に耐えない。
本発明の感光性組成物においては、以下のアルコキシ系シランカップリング剤を添加することができる。そのためのシランカップリング剤として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、p‐スチリルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらのシランカップリング剤を使用する場合、その配合割合は、成分Aの1重量部に対して、好ましくは0.002〜1.0重量部、特に好ましくは0.02〜0.6重量部、である。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、例えば、アルミニウム、亜鉛、銀、および銅などの金属:酸化アルミニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、酸化鉄、酸化亜鉛、亜鉛華、酸化マグネシウム、ジルコニア、酸化ケイ素、および酸化チタンなどの金属酸化物、カオリンクレイ、ロウ石クレイなどのケイ酸塩:ガラス:ケイソウ土、石英粉、ケイ砂などのシリカ:カーボンブラック、カスミ石、クリオライト(人工氷晶石)、グラファイト(黒鉛)、ケイ灰石、水酸化アルミニウム、スレート粉、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、長石粉、二酸化モリブデン、硫酸バリウム、マイカ、セッコウ(無水)などが挙げられる。これらの無機質固形物のうち、本発明においてクレイ、タルク、マイカなどが好ましい。これら無機質固形物等を使用する場合、その配合割合は、成分Aの1重量部に対して、好ましくは0.01〜2.0重量部、特に好ましくは0.05〜1.0重量部、である。
さらにまた、キナクリドン顔料、アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料などの有機顔料を分散添加することができる。さらには、必要に応じ、熱重合防止剤、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、密着性付与剤、可塑剤、溶剤、表面張力調節剤、安定剤、連鎖移動防止剤、難燃剤、抗菌剤、防腐剤などが添加できる。
<組成物の利用>
本発明の感光性組成物は、従来の感光性組物と同様に各種分野に適用可能なものであって、そのいずれの分野においても、本発明の感光性組成物の優れた効果、目的等を達成できるものである。本発明の感光性組成物の効果、目的が特に顕著に認められるものとしては、例えば、下記のような感光性フィルム、スクリーン印刷用版材、スクリーン印刷用ステンシルおよび感光性レジストフィルムが包含される。
プラスチックフィルムと、上記の本発明による感光性樹脂組成物とを含んでなることを特徴とする、感光性フィルム。
スクリーンメッシュと、上記の本発明による感光性樹脂組成物とを含んでなることを特徴とする、スクリーン印刷用版材。
上記の感光性フィルムと、スクリーンメッシュとを含んでなることを特徴とする、スクリーン印刷用版材。
上記のスクリーン印刷用版材に光によって潜像を描画し、ついで、水現像および乾燥して成ることを特徴とする、スクリーン印刷用ステンシル。
上記の感光性フィルムと、基材とを含んでなることを特徴とする、感光性レジストフィルム。
以下に、これらの感光性フィルム、スクリーン印刷用版材、スクリーン印刷用ステンシルおよび感光性レジストフィルムを含め、本発明の感光性組成物の利用形態についてさらに詳述する。
本発明の感光性組成物は、すべての基材、たとえば、木、織物、紙、セラミックス、ガラス、ポリエステル、ポリオレフィン、酢酸セルロース、ポリイミド、エポキシ樹脂のような合成樹脂、ガラス繊維強化樹脂、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、マグネジウム、コバルトのような金属、シリコン、ガリウムヒ素ゲルマニウムなどの半導体材料、窒化ケイ素、酸化ケイ素などの絶縁材料の上に塗膜(樹脂フィルム)を形成するために適している。塗膜形成能を向上するために、とくに合成樹脂の場合にあらかじめ表面の親水処理を施すことが望ましい。これらの基材の上に形成した本発明の感光性組成物層に光照射することによって、パターンあるいは保護層が形成される。
基材表面へ感光性組成物層を形成する方法は任意であるが、基材表面へ感光性組成物を塗布するのが好適である。塗布は、均一な塗膜が形成される公知の方法によっておこなわれる。すなわち、バケットによる塗布、回転塗布、ブラッシング、噴霧、リバースロール塗布、浸漬塗布、ドクターナイフ塗布及びカーテン塗布、リップコート、キスコートなどである。膜厚は目的、基材の種類に依存するが、0.1μmから1000μmまでである。
基材上に塗布された感光性樹脂組成物は、水を蒸発させた後に露光して潜像を描画する。感光波長領域は、光ラジカル重合開始剤とともに増感剤の種類によって決定される。光源としては、低圧水源灯、高圧水銀灯、超高水銀圧灯、キセノン灯、水銀−キセノン灯、ハロゲン灯、LED、蛍光灯などの他に、紫外線、可視光線、近赤外線を発振する各種レーザー光源が好適に用いられる。潜像を描画するために、露光はフォトマスクを通して行ってよいし、又は、DLE露光、レーザビーム露光などで直接書き込むことにより行うこともできる。
露光を施した塗膜は中性の水で現像される。露光塗膜を水中に浸漬して未露光部を溶解除去し、さらに、スプレイガンからの水流によって未露光部を除去して現像が達成される。
スクリーン印刷用ステンシルを製造するためには、本発明の感光性樹脂組成物を常法に従ってスクリーンメッシュ上に塗布・乾燥した後、露光してから水中に浸漬して未露光部を溶解除去したり、スプレイガンからの水流によって未露光部を除去して現像する。あるいは、本発明の感光性フィルムからスクリーン印刷用ステンシルを得るためには、水、含水有機溶媒、水性感光性樹脂組成物などの水系媒体によって湿潤させたスクリーンメッシュに該感光性フィルムを圧着させて貼り付ける。ついで、フィルムを乾燥させてからパターン露光を行い、水で現像する。
本発明の感光性フィルムをドライフィルムレジストやサンドブラストフィルムなどのエッチング用感光性フィルムとして用いる場合には、同様に、水、含水有機溶媒、水性感光性樹脂組成物などの水系媒体によって湿潤させた基材表面に該フィルムを圧着させるウエットラミネーション法あるいは直接熱圧着させる方法が採用できる。これによって、基材表面の凹凸に十分に追従したレジストフィルムを設けることができるので、パターン露光後に水で現像すればよい。水現像は、感光性フィルムを水中に浸漬して未露光部を溶解除去したり、スプレイガンからの水流によって未露光部を除去して達成される。
プラスチックフィルム上に本発明の感光性組成物を塗布してなる自己支持性フィルムは、これを基板上にラミネートすることを原理とするドライフィルムとして用いることができる。基板上に設けた該フィルムを露光し、必要に応じて加熱処理を行ってから現像を行い、化学エッチングあるいはサンドブラスト処理を施すことができる。
<感光性評価>
本発明の感光性樹脂組成物をポリエステルフィルム上にバーコーターを用いて展開し、暗所で乾燥して厚さ約3μmの塗膜を得た。この感光膜にポジフィルムを密着させ、3kWメタルハライドランプで1mの距離より5分間露光した。水に2分間浸漬してから、水でスプレー現像することによりレリーフ画像を得た。また、本発明の感光性樹脂組成物をアルミニウム枠に固定したポリエステル繊維(商品名「テトロン」)製300メッシュの上にステンレス鋼製バケットを用いて塗布、乾燥した。これを繰り返して、厚さ15μmの感光膜とした。この感光膜にポジフィルムを密着させ、3kWメタルハライドランプで1mの距離より5分間露光した。水に2分間浸漬してから、水でスプレー現像することによりスクリーン印刷用ステンシルを得た。得られたステンシルについて、耐水性、耐溶剤性を下記の方法で測定した。
耐水性
得られたステンシルを3cm四方に切り取り、室温で水中に24時間浸漬させた後40℃24時間乾燥させた。このときの溶出率を重量%で求めた。溶出率が2.0%未満のものを○、2.0%以上のものを×とした。
耐溶剤性
得られたステンシルを3cm四方に切り取り、室温でトルエン中に24時間浸漬させた後40℃24時間乾燥させた。このときの溶出率を重量%で求めた。溶出率が1.0%未満のものを○、1.0%以上のものを×とした。
<各成分>
成分Aに該当する水溶性ポリマーとしては、GH17(重合度=1700、けん化度=88%)を用いた。また、スチリルピリジニウム基で置換されたポリビニルアルコール(PVA−SbQ)は常法に従い、以下のようにして製造した。GH17の水溶液に1‐メチル‐4‐(ホルミルフェニル)ピリジニウムメトサルフェートを溶解してリン酸で酸性としてアセタール化反応に供し、中和処理を施すことによってスチリルピリジニウム基が1.2モル%付加したPVA‐SbQの15%水溶液を得た。
成分Bに該当する化合物として、2‐(ジメチルアミノエチル)アクリレート(DMAEA)、3‐(ジメチルアミノプロピル)アクリレート(DMAPA)、ジアリルアミン(DAA)、2‐ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)を用いた。成分Cに該当する化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP3A)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PE3A)、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリルアミド(EO‐PE4A)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPE6A)を用いた。成分Dに該当する光ラジカル重合開始剤としては、イルガキュア184(Irg.184)、イルガキュア819(Irg.819)、イルガキュア907(Irg.907)、イルガキュア369(Irg.369)、2‐(2‐ヒドロキシ‐3‐トリメチルアンモニオプロポキシ)‐3,4‐ジメチルチオキサントンクロリド(QTX)、イソプロピルキサントン(ITX)、アントラキノン‐2‐スルホン酸塩(AQS)、4‐ジメチルアミノ安息香酸イソブチル(DMBI)を用いた。シランカップリング剤として、3‐メタクリロイルオキシプロピルトリエチルシラン(MPTE)を用いた。水性ポリマーエマルジョンとしては、50%ポリ酢酸ビニルエマルジョン(VAc−Em)および50%ポリアクリルエマルジョン(Ac−Em)を用いた。また、必要に応じて配合する顔料として、大日精化工業(株)製FL−GBブルーを用いた。なお、以下の実施例ならびに比較例において、各成分は上記の略号で示す。
<実施例1〜3>
GH17の水溶液を攪拌しながら、イルガキュア系光重合開始剤を溶解した成分BであるDMAEA、および、成分CであるPE3Aの混合液を添加し、感光性組成物を水性エマルジョン液として得た。こうして調製した感光性組成物の各成分の配合量を実施例として表1にまとめる。上述の方法に従って、これらの感光性組成物をポリエステル繊維製300メッシュ上に乾燥塗膜を形成してフォトマスク越しにメタルハライドランプで照射した後、水現像を行った。その結果、良好な画像を得ることができた。また、ポリエステルフィルム上に設けた塗膜にフォトマスク越しに露光し、ついで水現像を行うことにより、レリーフ画像が形成されることを確認した。以上の結果も表1にまとめる。
<比較例1〜4>
ポリビニルアルコール(GH17)の水溶液を攪拌しながら、これにイルガキュア系光ラジカル重合開始剤を溶解した成分CであるPE3AあるいはTMPTAのみを添加して水性エマルジョン液を得た。こうして調製した組成物を比較例として表1にまとめる。実施例1〜3と同様にしてポリエステル繊維製300メッシュ上に設けた乾燥塗膜をフォトマスク越しに露光し、水現像を行った。いずれも水現像によって塗膜が流れ落ちるか、あるいは、一部不溶化物が生成したものの、明瞭な画像形成が認められなかった。結果を表1にまとめる。
Figure 2017003911
<実施例4〜7>
ポリビニルアルコール(GH17)の水溶液を攪拌しながら、これに光重合開始剤を溶解した成分BであるDMAEAあるいはDMPAと成分Cであるモノマーの混合液を添加し、感光性組成物を水性エマルジョン液として得た。こうして調製した感光性組成物の各成分の配合量を実施例4〜7として表2にまとめる。上述の方法に従って、これらの感光性樹脂組成物をポリエステル繊維製300メッシュ上に乾燥塗膜を形成してフォトマスク越しにメタルハライドランプで照射したのち、水現像を行った。その結果、良好な画像を得ることができた。また、ポリエステルフィルム上に設けた塗膜にフォトマスク越しに露光し、ついで水現像を行うことにより、レリーフ画像が形成されることを確認した。以上の結果も表2にまとめる。
Figure 2017003911
<比較例5〜7>
ポリビニルアルコール(GH17)の水溶液を攪拌しながら、これに光重合開始剤を溶解した成分CであるPE3AあるいはTMP3Aを添加して水性エマルジョン液を得た。こうして調製した組成物を比較例として表2にまとめる。実施例1〜3と同様にしてポリエステル繊維製300メッシュ上に設けた乾燥塗膜をフォトマスク越しに露光し、水現像を行った。いずれも水現像によって塗膜が流れ落ちるか、あるいは、一部不溶化物が生成するものの、明瞭な画像形成が認められなかった。その結果も表2にまとめる。
<実施例8>
PE3A;19.38gにDMAEA;1.0g、QTX:0.24g、DMBI:0.24およびMPTE;0.25gを溶解し、この混合物をポリビニルアルコール(GH17);7.9gを水;69.4gに溶解した水溶液に攪拌しながら添加し、感光性組成物を水性エマルジョン液として得た。これをステンレス製300メッシュ上に塗布乾燥して得た塗膜をフォトマスク越しにメタルハライドランプで照射したのち、水現像を行った。その結果、良好な画像を得ることができた。
<実施例9〜11>
PE3A、EGDAあるいはHEAを撹拌しながら所定量のDAAを添加し、混合物の温度を24時間60℃に保って反応を完結させた。ついで、光重合開始剤を含有する成分Cであるモノマーと混合した後、この混合物をGH17の水溶液に攪拌しながら添加して感光性組成物を水性エマルジョン液として得た。こうして調製した感光性組成物の各成分の配合量を実施例として表3にまとめる。上述の方法に従って、これらの感光性組成物をポリエステル繊維製300メッシュ上に乾燥塗膜を形成してフォトマスク越しにメタルハライドランプで照射したのち、水現像を行った。その結果、良好な画像を得ることができた。また、ポリエステルフィルム上に設けた塗膜にフォトマスク越しに露光し、ついで水現像を行うことにより、レリーフ画像が形成されることを確認した。以上の結果も表3にまとめる。
Figure 2017003911
<実施例12〜14>
GH17あるいはPVA−SbQの15重量%水溶液を攪拌しながら、これに光重合開始剤を溶解した成分BであるDMAEAと成分Cであるモノマーとの混合液を添加して水性エマルジョン液を得た。こうして調製した感光性組成物に水性ポリマーエマルジョンならびに顔料分散液を撹拌しながら添加し、感光性組成物を得た。これらの各成分の配合量を表4にまとめる。ポリエステルフィルム上に設けた塗膜にフォトマスク越しに露光し、ついで水現像を行うことにより、レリーフ画像が形成されることを確認した。以上の結果を表4まとめる。
Figure 2017003911
<実施例15〜18>(ステンシル形成)
実施例3、8、11および13で調製した感光性組成物をポリエステル繊維製300メッシュ上に乾燥塗膜を形成してフォトマスク越しにメタルハライドランプで照射したのち、水現像を行った。こうして得たステンシルの耐水性および耐溶剤性を評価した結果を表5にまとめる。
Figure 2017003911
<実施例19〜22>
実施例3で調製した組成物をポリエステル支持フィルム上に塗布、乾燥させて20μmの感光性フィルムとした。ポリエステル繊維製300メッシュスクリーンを水で湿潤させてから、この感光性フィルムに圧着して貼りつけ、40℃で乾燥を行ってスクリーン製版材料とした。この感光層に密着させたフォトマスク越しにメタルハライドランプで照射した後、スプレイガンで水を吹き付けて現像し、ついで乾燥してステンシルを得た。耐水性、耐溶剤性ともに良好な結果を得た。同様にして、実施例8、11および14で得た組成物から感光性フィルムを調製し、これをポリエステルメッシュスクリーンに貼り付けでマスク越しに露光し、水現像、乾燥を行ってステンシルを得た。これらも良好な耐水性および耐溶剤性を示した。
<比較例8〜10>
比較例3、4および7で得た感光性組成物エマルジョンをポリエステル繊維製300メッシュ上に乾燥塗膜を形成してフォトマスク越しにメタルハライドランプで照射したのち、水現像を行った。いずれの場合も、水現像によって露光部はほとんど流れ落ちるか、あるいは、剥がれ落ちるため、ステンシルとしての形成は認められず、耐水性および耐溶剤性の評価を行うことができなかった。以上の結果も表5にまとめる。
<実施例23>(サンドブラスト)
実施例5で得た感光性組成物をポリエステル支持フィルム上に塗布して50μmのフィルムとし、これを40℃で4時間乾燥して感光性フィルムとした。8mmの厚さのガラス板表面をスポンジで濡らしてから感光性フィルム層を圧着させて貼り付けて60℃で1時間乾燥させた後、支持フィルム上にフォトマスクを密着させて3KWメタルハライドランプで1メートルの距離から照射した。ついで、ポリエステルフィルムを剥離してからスプレイガンで水を吹き付けて現像し、未露光部を除去してリレーフパターンを得た。このガラス板をサンドブラスト機内に設置し、アルミナ#80の研磨剤を圧縮空気圧4kg/cmの条件下で噴射してブラスト彫刻を行った。その結果、樹脂層に被覆されたガラス表面は研磨されることはなく、フォトマスクに忠実なサンドブラスト画像が得られた。サンドブラスト終了後にガラス板を水に浸漬し、樹脂層を剥離除去した。
<実施例24>(エッチング)
実施例5で得た感光性組成物をポリエステルフィルム上の塗布、乾燥して25μmの感光フィルムとし、これを水で湿潤させた紙フェノール樹脂を基板とする銅張り積層板上に圧着させて貼り付け、70℃で30分間乾燥させた。フォトマスク越しに3KWハロゲンランプを用いて4分間露光してから支持フィルムを剥離し、スプレイガンで水を吹き付けて現像し、未露光部を除去してレリーフパターンを得た。これを5%の塩化第二鉄の水溶液に室温で浸漬してエッチングを行った後、水洗してから2%の過ヨウ素酸ナトリウム水溶液に3分間浸漬してレジスト層を剥離した。その結果、フォトマスクに忠実な銅パターンを得た。

Claims (14)

  1. 下記の成分A〜Dを含んでなる感光性樹脂組成物であって、
    下記の成分Aの水溶液中に、成分Bおよび成分Cの混合物が成分Dの存在下で乳化分散してなることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
    成分A:水溶性ポリマー、
    成分B:少なくとも一つのアミノ基で置換されたエチレン性不飽和結合を有する化合物、
    成分C:少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物(但し、上記の成分Bに該当する化合物を除く)、
    成分D:光ラジカル重合開始剤もしくは光ラジカル重合開始系。
  2. 前記の成分Aが、けん化度65〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体、水溶性エチレン‐ビニルアルコール系共重合体、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび水溶性ナイロンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の水溶性ポリマーである、感光性樹脂組成物。
  3. 前記の成分Aが、下記の一般式(1)で表わされるスチリル基で置換された4級化窒素からなる複素環あるいはそれら複素環のベンゼン縮合環単位を0.5モル%〜5モル%含有するポリビニルアルコール系重合体あるいはエチレン‐ビニルアルコール系共重合体である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2017003911
    〔式中、Rは、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基もしくはアラルキル基(但し、これらはヒドロキシ基、カルバモイル基で置換されていてもよく、また、それらの炭素炭素結合は酸素原子あるいは不飽和結合を介していても良い)を示す。Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは1〜6の整数であり、nは0または1である。Xは、炭素炭素二重結合、イオウ原子、酸素原子、炭素数1〜4のアルキル基で置換された窒素原子である。Yは、ハロゲンイオン、リン酸イオン、メト硫酸イオン、スルホン酸イオンまたはこれら陰イオンの混合物を表す〕
  4. 前記の成分Bが、(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリルアミドの(メタ)アクリロイル基にジアリルアミンをマイケル付加反応させて得られるエチレン性不飽和化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記の成分Aに対する成分Bおよび成分Cを合算した配合割合が、重量部比で1:0.3から1:8の範囲にある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記の成分Bに対する成分Cの割合が、重量部比で1:2から1:20の範囲にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. さらに、シランカップリング剤を含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. さらに、水性ポリマーエマルジョンを含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. さらに、無機粒子または/および有機粒子を含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. プラスチックフィルムと、請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物とを含んでなることを特徴とする、感光性フィルム。
  11. スクリーンメッシュと、請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物とを含んでなることを特徴とする、スクリーン印刷用版材。
  12. 請求項10に記載の感光性フィルムと、スクリーンメッシュとを含んでなることを特徴とする、スクリーン印刷用版材。
  13. 請求項11または12に記載のスクリーン印刷用版材に光によって潜像を描画し、ついで、水現像および乾燥して成ることを特徴とする、スクリーン印刷用ステンシル。
  14. 請求項10に記載の感光性フィルムと、基材とを含んでなることを特徴とする、感光性レジストフィルム。
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