JP4324121B2 - 走行距離算出システム、走行距離算出方法及び走行距離算出装置 - Google Patents

走行距離算出システム、走行距離算出方法及び走行距離算出装置 Download PDF

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Description

本発明は、鉄道車両の走行距離を正確に算出するシステム、方法及び装置に関する。特に、ゴムタイヤを利用するモノレールなどの鉄道車両の走行距離算出システム、走行距離算出方法及び走行距離算出装置に関する。
鉄道車両において、走行距離を正確に計測することは、正確な運行や安全を確保するために、極めて重要な課題である。従来は、この課題を確実に解決するために、位置情報を確実に車両側に伝える機能を持つ地上子(トランスポンダ)を軌道の一定距離ごとに設置して、車両側の車上子に正確な位置を伝達することで走行距離を計測していた。車上子から離れた場所では、車輪径や車輪の回転数の情報に基づく走行距離を併用することになるが、この場合には、様々な方法で車輪の磨耗などの影響を考慮した走行距離の補正を試みていた(特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
特開平5−249127号公報(請求項1、図11、図12など) 特開平5−322593号公報(請求項1、請求項4、図2、図3など) 特開平7−229754号公報(請求項1、段落0035〜0040、図2など)
しかしながら、従来の方法では、車輪径の補正が充分ではなく、走行距離を正確に把握するためには、設置費用が高価で保守費用もかさむ地上子を数多く設置せねばならないなどの問題がある。とりわけ、ゴムタイヤを採用したモノレールや鉄道車両などでは、車輪径の変化が最大では5%程度あり、走行距離の計測への影響が大きいために、地上子の位置情報に強く依存せねばならなかった。
そこで、本発明は、このような状況下にあって、高価な地上子を数多く設置することなく、車輪の回転をもとに正確な走行距離の算出を行うためのシステム、方法及び装置を開発することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の走行距離算出システムでは、車両に、車輪の積算回転数を計測する回転数計測手段と、設置位置通知手段に基づいて軌道の区間の境界を検知する区間境界検知手段と、区間境界検知手段が、軌道の区間の境界を検知したとき、予め登録された情報に基づいて区間の距離を取得する区間距離取得手段と、回転数計測手段により計測された区間における車輪の積算回転数、及び区間距離取得手段により取得された区間の距離から、区間における車輪径に関する値を算出する車輪径算出手段と、車輪径算出手段で算出された車輪径に関する値の算出結果を記録する車上データベースと、車上データベースを参照して車輪径を補正して走行距離を算出する走行距離演算手段と、を備え、
地上に、車上データベースに記録された車輪径に関する値の算出結果を含む情報を車上から受信する情報送受信手段と、情報受信手段で受取った車輪径に関する値の算出結果を含む情報を記録する地上データベースと、を備え、情報送受信手段が、地上データベースに記録された車輪径に関する値の算出結果を含む情報を前記車両以外の他の車両に送信することを特徴とする
また、軌道上に金属製のジョイントが頻繁に出現するモノレールや新交通システムにおいては、車上データベースは、予め金属製のジョイントの設置位置に係る情報をさらに記録しており、金属を探知する金属探知手段と、金属製のジョイントの設置位置に係る情報を用いて設置位置通知手段とジョイントとの間の距離を取得する距離取得手段と、距離取得手段で取得された設置位置通知手段とジョイントとの間の距離及び走行距離演算手段により算出された走行距離を用いて、車両の走行距離を補正する走行距離補正手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明は、走行距離算出方法および走行距離算出装置を含む。
本発明によれば、地上子の設置頻度が少ない軌道を走行する場合にも、様々な条件に対応して、有効な走行距離(車輪径)の補正を行い、車輪の回転をもとに正確な走行距離を求めることができる。
本発明の実施形態について、図を参照しつつ詳細に説明を行う。本発明においては、2つの主要な実施形態があり、第1の実施形態と第2の実施形態では前提とする条件が異なっている。最初に第1の実施形態を説明した後に、第2の実施形態について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
<<第1の実施形態>>
図1は、本発明の第1の実施形態を説明する図である。図1に示すように、第1の実施形態では、車上データベース(以後、車上DBと記述)120と地上データベース(以後、地上DBと記述)50以外は、車上及び地上に通常の装置を配備している。なお、第1の実施形態において、車上DB120は必須の構成要素であるが、地上DB50は構成要素とする方が望ましいという範囲にとどまり、必須ではない。
車両100の詳細については図2を用いた説明で後記するが、車両100は、地上子T1,T2,T3と通信できる車上子110と車上DB120とを備えており、車上DB120には、車両100が走行する際の車輪径の補正のための情報を保存している。そして、車輪径の補正のための情報によって、車両100は、車輪径を補正してより正確な位置情報を求めることができる。本実施形態においては、区間と重量の分類に応じて、車輪径の補正を行うための補正係数を検索できるようなテーブルを車上DB120に備えて、補正係数に関する情報を走行ごとに更新し、その最新の情報を参照することで、車輪径の補正を行って正確な走行距離を求める構成をとっている。また、本実施形態は、地上の設備として、駅ホーム40や信号系の閉塞区間の切れ目などに配置された地上子T1,T2,T3(10)、地上装置30及び地上DB50を備え、車輪径に依存しない方法でもあわせて車両に正確な位置を伝える構成をとっている。そして、これら地上の設備において、車両100からの車輪径の補正係数などの情報を地上子T1,T2,T3(10)のいずれかを介して受信して地上DB50に保存し、他の車両100に対して必要な補正係数を地上子T1,T2,T3(10)のいずれかを介して転送することによって、その補正係数を転送された車両100においても車輪径を補正して精度の良い走行距離計測が可能になる。
〔車上設備の構成〕
図2は、車両100及び地上の設備について説明する図である。ここでは、車両100の構成について説明する。車両100は、車上子110、車上DB120、送受信部130、駆動部140、速度検出部150、車上制御部160及び入力表示部170を含んで構成される。
車上子110は、位置計測用のトランスポンダとしての機能をもつ地上子10(図1におけるT1,T2,T3に該当)との通信を行うことが可能な通信機器のアンテナにあたる部分である。車上子110は、通信機器である送受信部130と接続されており、これらによって、地上子10との通信が可能となる。車上DB120は、車上制御部160に接続された記憶装置から構成されており、例えば不揮発性メモリやハードディスク装置などによって構成することができる。車上制御部160は、車上DB120、送受信部130、速度検出部150及び入力表示部170と接続されており、これらの装置との情報のやり取りを制御し、必要な演算を行う機能を有しており、例えばCPU(Central Processing Unit)と半導体メモリとI/Oインタフェース装置を含む制御用計算機によって構成することができる。入力表示部170は、車上制御部160の制御の下で、車両100の運転や制御に必要な情報を表示し、運転手による指示が必要な場合には、入力を受け付ける機能を持つ。
送受信部130は、車上子110と地上子30の間の通信を行うための通信装置である。
駆動部140は、車両100の車輪や台車などの走行に関わる部分を指し、本実施形態ではこの駆動部140に速度検出部150が装備されている構成をとる。速度検出部150は、駆動部140の車輪の回転を計測する機能を持ち、例えば速度発電機やタコジェネレータなどによって構成することができる。
なお、車上DB120については、データベースの構成の説明において後記する。
〔地上設備の構成〕
引き続き図2を参照して、本実施形態における地上の設備について説明する。本実施形態では、図2に示されているように、地上の設備は、地上子10、地上装置30及び地上DB50を構成要素とする。このうち、地上DB50は必須の構成要素ではないが、実施形態に含まれる方が望ましい。地上子10は駅ホーム40や信号系の閉塞区間の切れ目などに配置されており、車上子110と通信する機能をもち、例えばトランスポンダを用いて構成できる。本実施形態においては、無電源でも動作するようなトランスポンダではなく、地上設備30と通信回線で接続され、給電されていてデジタル情報を通信できるトランスポンダを利用して構成するのが望ましい。このような構成であれば、車両100の車上DB120に含まれる車輪径の補正係数を車上子110及び地上子10のいずれかを介して、地上装置30に転送したり、地上装置30から別の車両100にデータを転送したりすることができる。ただし、無電源で動作するようなトランスポンダを主として用いる場合でも、本実施形態の主要な部分は実現可能であり、例えば始発駅などの特定の場所に地上子10又はデジタル情報を通信できるトランスポンダを少数設置すれば、全く同様の機能を実現できるようになる。
地上装置30は、車上制御部160より処理能力が大きい制御装置であり、地上子10と通信回線を通じて接続されており、例えばCPUや半導体メモリ装置を含む制御用計算機を用いて構成することができる。そして、地上子10がデジタル情報を通信できる能力を持つ場合は、地上装置30は車両100からの情報を保存するための地上DB50を備えることを基本とする。地上DB50は、例えばハードディスク装置によって構成することが可能であり、車輪径を補正して走行距離を正確に求めるために必要な補正係数を例えば車両100ごとに保存することができる。
〔データベースの構成〕
本実施形態においては、車上DB120及び地上DB50の双方にデータベースを持つ構成をとっている。車上DB120は、表1に示すようなテーブルを持っており、これらのテーブルを参照及び更新することにより、(例えば規格などにより)予め決定された固定値である車輪径を補正して、正確な走行距離を求めている。
Figure 0004324121
表1に示すように本実施形態では、車上DB120は、参照テーブル、蓄積データテーブル、勾配テーブル及び温度変化テーブルを含んで構成される。このうち、参照テーブルと蓄積データテーブルは、車両100の運行の際に逐次更新されていくテーブルであるが、勾配テーブルと温度変化テーブルは、基本的に開業時などに計測したデータを集積した後は、必要がない限り更新をせずに利用していく。
本実施形態では、参照テーブルは、基本的に車両100ごとに1つだけであるが、蓄積データテーブルは、区間及び重量ごとに1つのテーブルを必要とする。例えば、区間が10区間あって、重量をlight、normal、heavyの3段階に分類する場合は、10×3=30のテーブルが必要になる。勾配テーブルは、重量の分類に対応する数だけ必要で、重量をlight、normal、heavyの3段階に分類する場合は、これに応じて3つのテーブルを使い分けることになる。なお、勾配テーブルは、重量の段階ごとに1つずつのテーブルを用意するのではなく、すべての情報を1つのテーブルにまとめて管理してもよい。
温度テーブルは1つだけであるが、これはオプション的な性格のテーブルであり、温度の変化が激しい地域で有用である。
地上DB50は、車上DB120のコピーを保存するためのデータベースであり、車両ごとのデータベースを個別に保存している。地上DB50は、多数の車両あるいは編成の情報を集約して持つことになるため、そのまますべてのデータを保管すると、多大なデータを抱えることになる。しかし、本実施形態では、必ずしもすべてのデータを保管する必要はなく、シリアルナンバまたはタイムスタンプの情報に基づいて、例えば1ヶ月間のデータのみを保管して古いデータを消去することも可能である。また、保管するテーブルの種類を限定して、例えば蓄積データテーブル以外を保存することにしてもよい。
(参照テーブル)
表2は、参照テーブルの例を示す。図1、図3(a)及び図11(a)にも参照テーブルの主要な部分は示されているが、全体を示したものが表2である。
Figure 0004324121
表2に示すように、参照テーブルには、暫定補正係数、区間、Rf/Rb(前後輪回転速度比)、重量及びそれに対応する補正係数の項目が含まれている。暫定補正係数は、通常は1.00で固定されていて補正には利用されていない。しかし、始発列車の前に試運転した際の計測データからその日の気温に対応する補正係数が得られている場合に、他の車両100でもこの補正係数を記憶して利用する際に用いられるのが暫定補正係数である。後記するように、この暫定補正係数に1.00以外の値を設定すると他のどのテーブルを用いた場合にも車輪径の補正に反映される。さらに、この暫定補正係数に温度テーブルによる補正係数を記憶して利用することによって温度変化を反映することも可能である。ちなみに、温度が高いときは、ゴムタイヤのゴムの膨張やゴムタイヤ内の空気の膨張により、温度が低いときより車輪径は大きくなる(所定距離走行する際の車輪の回転数は小さくなる)。
区間の項目は、地上子10の配置によって設定されている区間を指定するための項目である。区間の具体例としては、信号の閉塞区間があげられるが、この場合には、地上子10は閉塞区間の境界部分に設置されている。その他にも、既存の設備の配置によって様々なパターンの区間を本実施形態における区間として用いることができる。
Rf/Rbの項目は、定常的な運転ができない場合にその場に応じての補正に用いるための項目であり、通常はあまり利用されない。Rf/Rbは、車両又は車両の編成において、前の車輪の回転速度と後ろの車輪の回転速度の比を表したものであり、勾配を走行する際や加減速の際に1.00の値から上下に変化する。この比の変化に伴って車輪径も変化するので、非定常的な走行における動的な車輪径の補正を行う場合には、この項目が有用である。ただし、本実施形態における通常の利用ではRf/Rbが1.00の部分を使用すれば充分であり、後記する図3に示されるような通常の利用形態ではこの項目を利用しない。また、仮にこの項目に1.00以外の値を設定して利用しても、この設定を利用した運行で新たな計測データが得られるので、必要な新規の計測データが蓄積した時点で、Rf/Rbの値は1.00に戻し、新規の計測データに基づく補正値を用いることを基本とする。
ちなみに、上り勾配走行時や加速走行時は、車両100の後方の重量が前方の重量より重くなることから、後の車輪の車輪径はゴムタイヤの圧縮により前の車輪の車輪径より小さくなる(つまり後の車輪の回転数は前の車輪の回転数より速くなる)。このため、上り勾配走行時や加速走行時は、Rf/Rbの値は1より小さくなる。一方、下り勾配走行時や減速走行時は、その逆となり、Rf/Rbの値は1より大きくなる。
重量の項目は、車両にどれだけ人が乗っているかを示す項目である。本実施形態では、満員の状態に該当するheavy、定員の半分程度の乗車の状態を示すnormal、ほとんど人が乗車していない状態を示すlightの3段階で区別している。そして、補正係数の項目は、これらの項目の値に対応した補正係数を収納するための項目である。なお、参照テーブルの補正係数は、図3を用いて後記する蓄積データテーブルのデータからを求める。ちなみに、車両100の重量が重いときは、その重量でゴムタイヤが圧縮されることから、重量が軽いときに比べて車輪径は小さくなる。
(蓄積データテーブル)
図3(a)は、蓄積データテーブルと参照テーブルの例を示す図である。図3(a)において、蓄積データテーブル320は、3つのテーブルだけが示されているが、前記したように重量の分類の数と区間の数に応じて、より多くのテーブルが必要になる。図3(a)に示すように、それぞれのテーブルは、シリアルナンバ(図3(a)ではNoと記述)、区間、重量及びそれに対応する補正係数の値の項目を持つ。そして、車両100が走行を行うごとに計測データのエントリを蓄積していく。なお、シリアルナンバの項目に代えてタイムスタンプの項目としてもよい。
図3(b)はこの蓄積された計測データのエントリから参照テーブルのデータを求める方法を説明する図である。図3(b)のグラフは、区間がB1で重量の分類がnormalの蓄積データテーブル320から取り出したデータをプロットしたグラフであり、このうち所定の回数分の最新データが移動平均を求める対象となることを示している。そして、これと同じ区間で移動分散を計算し、この値と前回の移動分散の値との差が所定の値以下である場合だけ、前記の移動平均を参照テーブルの区間がB1かつ重量がnormalである参照テーブルの補正係数の値を更新する。所定の値を超える変化をした場合には、そのデータは蓄積データテーブル320から削除して、参照テーブルも更新しない。なお、区間や重量が異なる場合にも、対象となる蓄積データテーブル320と参照テーブルの項目が異なるだけで、更新の方法は同様である。具体的な登録・更新方法については、後記する。
(勾配テーブル)
図4(a)は、勾配テーブルの例を示す図であり、図4(b)は勾配走行時の勾配係数の変化を説明する図である。勾配テーブル330は、他のテーブルと同様に車上DB120に含まれており、区間、距離及び勾配係数の項目を含む。区間の項目は、蓄積データテーブルや参照テーブルの項目として説明した区間の項目と同じものである。距離の項目は、それぞれの区間の両端について、車両100を運用する路線の基点から距離を示したものである。1区間がそれほど長くない通常の運用では、1区間をそのまま距離の項目の管理対象とすれば充分であり、区間全体で勾配係数にあたるものを考えればよい。
しかし、図4(a)に示した例では、1区間の中で勾配が異なる部分を距離の項目で区別して記述している。この例のように、1区間を勾配の違いによって更に細かく分けて管理すれば、この情報を利用してきめ細かく車輪径を補正して、より正確な走行距離を求めることができる。そして、勾配係数の項目は、前記の区間及び距離の項目の値に対応して、車輪径を補正するための係数を記憶するための項目である。ちなみに、前記したように、上り勾配走行時は、前の車輪径は大きくなり、後ろの車輪径は小さくなる。また、下り勾配走行時は、その逆となり、前の車輪径は小さくなり、後ろの車輪径は大きくなる。
勾配テーブル330は、車両100を運用する路線の勾配を記録して、その補正を行うためのものであるので、運用する路線が変化しない限り、基本的に内容は一定である。従って、勾配テーブルは、開業前の試運転でデータを計測すれば、その後、特別な事情がない限り変更する必要がない。また、車両形式が同じであれば、その車両で計測して得た勾配係数のデータを、地上DB50を介して車両100の勾配テーブル330に転送して利用することもできる。
図4(b)は、勾配のある路線における勾配係数の変化を説明する図である。図4(b)のグラフは、横軸が走行距離を表し、縦軸が高さを表すグラフである。グラフの左側の傾きが正の部分では走行するにつれて高さが増す上り勾配を表しており、この部分で車両100の後ろの車輪で計測すると勾配係数が0.98になることを示している。そして、右側の傾きが負の部分では、下り勾配の部分を表しており、この部分で車両100の後ろの車輪で計測すると勾配係数が1.02になることを示している。ちなみに、上り勾配での後の車輪は、加わる重量が重くなることからゴムタイヤが圧縮されて車輪径が小さくなり、該車輪の回転が相対的に速くなる。このため、図4(b)に示すように、計測車輪が後の場合の勾配係数には、1.00以下の数値が設定される。逆に、下り勾配では、後の車輪は、加わる重量が軽くなることからゴムタイヤが膨らんで車輪径が大きくなり、該車輪の回転が相対的に遅くなる。このため、図4(b)に示すように、計測車輪が後の場合の勾配係数には、1.00以上の数値が設定される。なお、この例は、加速や減速をしていないことを前提とする例であり、同じ前提で走行した平坦な路線では、1.00となる。また、計測する車輪が車両100の後ろではなく、前の車輪の場合は、上り勾配で勾配係数が1.02、下り勾配で勾配係数が0.98というように勾配係数の増減の傾向が入れ替わる。
(温度テーブル)
温度テーブルは、温度の項目と補正係数の項目だけを持つ単純なテーブルである。本実施形態においては、温度テーブルは補助的な役割を果たすもので、必須のテーブルではない。表3に温度テーブルの一例を示す。なお、本実施形態では、温度は車外の気温を意味する。
Figure 0004324121
表3の例に示すように、温度テーブルでは、温度を何段階かに分類して、それぞれの段階に対して補正係数を設定する。温度テーブルも、前記した勾配係数と同様に車輪の材質が大きく変化するなどの特別な事情がない限り、内容は一定である。従って、開業前の試運転で一度データを計測すれば、基本的に変更する必要がない。温度テーブルによる車輪径の補正は、通常の運用では特に必要がないが、例えば車外気温を計測する温度センサを備えた車両100をその日の朝一番に運用して、前日に比べて急激に温度が変化している場合などには有用である。このような場合には、参照テーブルの暫定補正係数に温度テーブルの該当する補正係数を掛け合わせて設定することで車輪径を補正する。この場合も、最初の運行で最新の計測データが得られたら、温度係数による補正を継続する必要はなくなるので、暫定補正係数を1.00に戻す。ちなみに、前記したとおり、気温が高いときは、ゴムタイヤのゴムの膨張やゴムタイヤ内の空気の膨張により、気温が低いときより車輪径は大きくなる(所定距離走行する際の車輪の回転数(積算回転数)は小さくなる)。
本実施形態におけるデータベースの各テーブルについて、例を用いて説明したが、これらの例は、説明のために一部を簡略化したものであり、必ずしも各項目の値の分類が充分な例ではない。より正確な補正を行うためには、適宜、各テーブルの項目における値の分類を詳細化するなどの変更を加えればよい。
〔データベースへのデータ登録・更新と利用の動作〕
ここでは、前記のデータベースを用いて、車輪径を補正するためのデータの登録と更新を行う際の具体的な処理の流れについて説明する。
(基本的なデータベースへのデータの登録・更新と利用)
図5(a)は、車両100を運用する路線の開業前に行うデータベースへのデータ登録までの処理の概略を示す図である。この処理が終わって、運用が開始された後に、車両100においてデータベースへのデータ登録・更新と利用を行う。図5(b)は、運用開始後にデータベース登録・更新と利用を行う際の処理の概略を説明する図である。本実施形態では、図5(b)に示すように車両100の運用中において、データベースへのデータの登録・更新の処理と利用の処理が並行して行われる。
まず、図5(a)を参照して、開業前のデータベースへのデータ登録の処理を説明する。車両100は、開業前に試運転を行うが、このときにその路線のすべての区間で車輪径補正のための車輪回転数のデータを計測する(S11)。例えば、横軸に経過時間、縦軸に車輪の回転数(積算回転数)をとった回転数のタイムチャートを計測する。なお、その路線が、勾配を含む場合は、前記した勾配係数を求めるために、区間全体だけではなく、勾配の部分区間における回転数も計測する。
そして、それぞれの区間のデータを解析して、例えば特許文献1に記載されている公知の方法で回転数の解析を行って、この結果により空転や滑走の影響を除去する。その上で、車輪の回転数と区間の距離からその区間における車輪径を求めて、例えば通常の重量で、停車中や一定速度で走行中などの標準的な状態にある車輪径を基準にして、車輪径の補正係数を求める(S12)。なお、ここで、勾配の部分区間における積算回転数のデータがある場合には、勾配係数も求める。
それから、このようにして求めた車輪径の補正データ(開業前のデータ)をそれぞれの補正係数の測定条件に応じて、所定のテーブルに登録する(S13)。例えば、開業前の試運転1回につき、それぞれの区間について、蓄積データテーブル中の区間と重量の条件が適合するテーブルにデータを登録していく。そして、蓄積データテーブル中の各データテーブルに、所定の数のデータが蓄積した後は、これらのデータを元に移動分散、移動平均を求め、参照テーブルにもデータを登録・更新していく。
次に、路線が開業して車両100の運用を開始した後のデータベースへのデータの登録・更新とデータベースの利用について、図5(b)を参照して説明する。車両100の運用が開始されると、データベースへのデータの登録と更新が同時に開始される。そして、運用中はデータの蓄積に伴ってデータベースの参照テーブルのデータが更新されるので、1区間を運行するごとに利用する参照テーブルの内容が更新されている可能性もある。
まず、データベースへのデータの登録・更新の概略について説明する。運用を開始すると、車両100は、1区間ごとにデータベースの蓄積データテーブルへの新規データの登録とこれに伴う参照テーブルの更新を繰り返す。運用中の車両100は、新しい区間に入ったところからその区間での車輪の回転数を計測し始めて、区間が終了するところまで計測する(S21)。そして、回転速度の変化から滑走や空転が見られる場合はその影響を排除した上で、この区間における車輪の回転数のデータについて、区間の距離と計測した回転数から、車輪径を求め、車輪径の補正係数を求める解析を行う(S22)。そして、この補正係数を車上データベース120の所定のテーブルに対する登録・更新に用いる(S23)。ただし、空転や滑走の影響が大きい場合には、このデータを廃棄し、データベースへの登録・更新の対象としない。ここまでで1区間に対応する処理は終了したが、その時点で、その区間が終了した後も継続的に運用中であるかどうかを調べ(S25)、運用中である場合には(S25→Yes)、引き続きS21から処理を繰り返す。運用が終了した場合には(S25→No)、ここで処理を終了する。
本実施形態では、前記したデータベースへのデータの登録・更新と並行にデータベースの参照テーブルを利用する。図5(b)に概略を示すように、車両100は、直前の運用中に更新された最新のデータも含んでいる車上DB120のデータを利用し(S24)、区間終了ごとに引き続き運用中かどうかを調べ(S25)、運用中である場合には(S25→Yes)、最新のデータを参照する形で引き続きS24の処理を行い、運用中ではない場合には(S25→No)、処理を終了する。
図6は、運用中における1区間ごとのデータベースへのデータの登録・更新をより詳細に説明する図である。まず(図2等参照)、車上子110が地上子10のいずれかを検出すると、地上子10からの位置情報(地上子情報)を車上制御部160に伝達する(S31)。車上制御部160は、この地上子情報を検出したか否かに基づいて区間開始を判定する(S32)。地上子情報を検出できていない場合は(S32→No)、引き続き地上子情報の検出があるまで待機する。地上子10のいずれかからの地上子情報が検出できた場合は(S32→Yes)、まず、車輪の回転の有無から車両100が停車中かどうかを判定し(S33)、並行して後記するS35の車輪の積算回転数の計測を開始する(S35)。車両100が停車中だった場合には(S33→Yes)、その後に車両が動き出したときに一定のノッチで加速を行って、所定の速度に達するまでの時間を計測することにより、車両100の重量を判定する(S34)。この判定においては、所定の速度に達するまでの時間が短ければ車両がlightと判定し、この時間が長くなるにつれて、normal、heavyと判定する。既に車両100が走行中だった場合には(S33→No)、この方法での重量判定は正確さを欠くおそれがあるので、本実施形態ではS34の重量判定を行わずに次のステップS37に進む。この場合には、車両100が動き出したときに既に重量判定を行っているので、このときの重量判定の結果を引き続き使えばよい。
ステップS32において地上子10のいずれかからの地上子情報を検出できた場合に、車輪の積算回転数の計測を開始するが、この計測は走行している区間について実際に車輪の積算回転数や回転速度などを後記する判定によって区間終了を検出するまで計測を継続する(S35)。区間の終了は区間の開始と同様に車上子110が地上子10のいずれかを検出(いずれかからの地上子情報を検出)することによって判定する。車上子110が地上子10のいずれかからの地上子情報を検出した場合、その情報は車上子110から車上制御部160に伝達される(S36)。そして、車上制御部160は、この地上子情報があるか否かに基づいて区間終了を判定する(S37)。地上子情報を検出できていない場合は(S37→No)、引き続き地上子情報の検出があるまで計測を継続する。地上子情報が検出できた場合は(S37→Yes)、車輪の回転数の解析から公知の方法で空転や滑走の影響を排除した後、地上子10の間の区間の距離と車輪回転数からその区間での車輪径を算出する(S38)。そして、その車輪径を得るための補正係数を車上DB120の蓄積データテーブルに追加する(S39)。
その後、再度車上DB120にアクセスし、その区間の新しいデータが登録された蓄積データテーブルから所定の個数の最新の補正係数のデータを対象として、移動平均と移動分散を計算する(S40)。ここで計算した移動分散の値を前回計算した移動分散と比較する。そして、その差が所定の範囲内にあるか否か、及び、所定の規模の空転や滑走が起きているか否か、つまり使えるデータか否かを調べる(S41)。移動分散の差が所定の範囲内で、かつ、所定の規模の空転や滑走が起きていない場合には(S41→Yes)、その最新のデータが使えるデータであると判定し、S40で計算した移動平均を用いて車上DB120の参照テーブルの該当する項目のデータを更新し(S43)、1区間分の処理を終了する。
前記の移動分散の差が所定の範囲内であり、かつ、所定の規模の空転や滑走が起きていないという条件を満たしていない場合には(S41→No)、車上DB120にアクセスして、その最新のデータを蓄積データテーブルから削除して(S42)、1区間分の処理を終了する。
なお、図5で説明したデータベースへのデータの登録・更新の処理の概略と図6で説明したより詳細なデータベースへのデータの登録・更新処理には、対応するステップがあるが、必ずしも1対1の関係になっていない。図5のステップS21に対応するのは、図6の中ではステップS38であるが、ステップS22はS38とS40にほぼ対応し、S23はS39とS43にほぼ対応する。このように、図5の処理の順序は概略を説明するために書いたものであり、厳密には(好適に行われる処理は)図5の順序になっていない。
図7は、運用中の1区間ごとのデータベース利用方法を説明する図である。図6と共通のステップは、同一の符号を割り当てて説明を省略する。まず、区間開始の検出と重量の判定のためのステップS31からS34は図6におけるステップ31からステップS34と同様なので説明を省略する。
車両100は、差し掛かっている区間と前記のステップで判定した重量分類に応じて、車輪径の補正係数のデータを車上DB120の参照テーブルから検索し(S55)、車輪径の基礎データとする。そして、車上DB120に含まれている暫定補正係数を車輪径に掛けて、補正する(S56)。更に、車両100が存在する区間に対応する勾配係数を車上DB120から検索して、更に前記の補正された車輪径に掛け合わせて補正を行う(S57)。
なお、区間内で勾配がさらに別れているときは、2つの方法で車輪径を補正することができる。第1の補正方法は、勾配区間の長さを重み付けして区間全体の勾配を加重平均で求める方法であり、通常の区間ごとの補正係数を用いるのと同様の結果をもたらす。第2の補正方法は、区間をさらに勾配に応じて部分区間に分けて、車輪の積算回転数を元に車両がどの部分区間にいるかを判定して、その勾配に応じた補正を行う方法である。第2の補正方法は、部分区間に対応せねばならないため、処理が複雑になるが、第1の補正方法よりも高い精度の補正ができる。
そして、この補正された車輪径に基づいて、区間開始位置の地上子10の位置及び補正した車輪径と回転数から車両100の現在位置を算出する(S58)。こうして補正された車輪径に基づいて車両100の走行距離を区間の終了まで求めていくことになるが、区間終了の検出のためのステップS36及びステップS37は、図6におけるステップS36及びステップS37と同様なので、説明を省略する。
(車両間でのデータベース情報の共有)
図8、図9及び図10は、本実施形態において、車両で計測した車輪径の補正データを他の車両に転送して共用する機構を説明するための図である。図8は、始発前試運転車両による情報収集を説明する図である。図9は、始発前試運転車両が収集した情報について他の車両との共有化を説明する図である。そして、図10は、車両と地上の通信の処理を説明する図である。
まず、図8を参照して、始発前試運転車両による情報収集を説明する。始発前に試運転を行うと、車両100は、通常の運用の場合と同様に、前記した方法で蓄積データテーブルへ計測データを蓄積することができる。例えば、地上子T1(10)と地上子T2(10)の区間を車両100が試運転すると、この区間の走行の際の回転数から車輪径の補正係数などのデータが得られ、車上DB120に保存される。そして、地上子T2(10)及び車上子110がデジタルデータを送受信する能力を備えている場合には、この補正係数などのデータを地上装置30及び地上DB50に転送することができる。このような地上子T1,T2,T3(10)と同様の地上子10が両端にある区間では、車両100が地上子T2(10)を経由してデータを転送したのと同様に区間を走行した際のデータを転送できる。
次に、図9を参照して、地上装置30及び地上DB50に転送された補正係数などのデータを別の車両100に転送することによる車両間のデータの共有を説明する。前記したように、地上子10(T2)及び車上子110がデジタルデータを送受信する能力を備えている場合には、この補正係数などのデータを地上装置30及び地上DB50に転送することができるが、これとは逆に地上装置30及び地上DB50から車両100へのデータ転送もできる。地上子10(図9ではT1,T2,T3に該当)が設定されている場所で、このような地上から車上への通信を用いると、地上に転送されて保存されている最新の補正係数などのデータを車両に転送して活用できる。特に1日の最初の運用では、車両100には、前日までの運用の結果蓄積した補正係数などのデータしか持っておらず、その日の最新の傾向を反映した補正係数は持っていない。そのため、他の車両100の運用によって得られた最新の補正係数などのデータを用いれば、最初の運用における車輪径の誤差をより小さくすることができる。
図8及び図9を参照しつつ、図10(a)及び(b)を用いてデータ転送処理の概略を説明する。図10(a)は、車両から地上装置への通信を説明する図である。まず、車両100は走行中にそれぞれの区間について車輪の回転数を計測し、滑走や空転の影響があるデータを排除した上で車輪径及びそれに対応する補正係数を求める解析を行う(S71)。その後、車上DB120に計測データと補正係数を保存する(S72)。そして、少なくとも最新の補正係数と最新より1つ前の補正係数を車両100の車上子110を介して地上子10(T1,T2,T3)のいずれかに送信する(S73)。これを前記の地上子10(T1,T2,T3)のいずれか直近のものが受信し(S74)、これを地上装置30に転送して、地上装置30がその補正係数及びその補正係数の比の値を地上DB50に保存する(S75)。このとき、補正係数の比の値は、地上DB50の中のデータを送ってきた車両100の参照テーブルに含まれる暫定補正係数の項目に保存する。
図10(b)は、地上装置から車両への通信を説明する図である。まず、地上装置30は、地上DB50から車両100に必要な補正係数を検索する(S81)。例えば、始発前の試運転車両による情報収集の結果を収めた参照テーブルの暫定補正係数の情報を検索する。そして、地上装置30は地上DB50から検索して得られた補正係数を車両100と通信できる地上子10(T1,T2,T3)のいずれかから車上子110を介して車両100に送信する(S82)。なお、このとき、車両100がどの地上子10(T1,T2,T3)を介して通信できるかは、車両の位置を把握している信号系の装置から情報を取り寄せるなどの方法によって把握できる。そして、本実施形態の車上子110や地上子10(T1,T2,T3)は信号系の装置と共用されるものであることを想定したものであり、地上装置30が信号系の装置からの情報を取り込むように構成することは比較的容易である。車両100が、車上子110を介して地上装置30からの補正係数を受信し(S83)、これを車上DB120に保存して、車両100の車輪径の補正に利用する(S84)。このようにして転送する例としては、前記した暫定補正係数の例が挙げられるが、暫定補正係数を利用した場合は、車両100で同じ区間を走行した後は、その走行によって得られた最新の計測データから補正係数を求めて暫定補正係数を1.00に戻した上でこの最新の補正係数を用いる。
〔加速度に応じた補正〕
図11は加速度に応じた車輪径の補正を説明する図である。加速度に応じた補正は、通常の運用においては利用する必要がない。通常の運用においては、路線内での車両の走行のパターンは再現性が高いため、前記した区間ごとに平均的な値を用いれば充分だからである。しかしながら、運行ダイヤが乱れるなどの理由により、通常の運用において蓄積したデータに基づく補正が有効ではない場合には、区間ごとの補正では不充分であり、加速度に応じた補正が必要になる。
図11(a)は車上DB120に含まれる参照テーブルを示した図である。参照テーブルに含まれているRf/Rbの項目は、車両又は編成の前後についている車輪の回転数の比を表す項目である。前記したように、通常の運用においては、区間ごとの平均的な補正を行えば充分であり、参照テーブルのRf/Rbの項目は1.00の場合があればよい。しかし、加速度に応じた補正においては、これでは充分ではない。そこで、少なくとも平坦な路線においては加速度と対応して変化するRf/Rbの値を用いて、加速度に応じた車輪径の補正を行う。
図11(b)は、加速度とRf/Rbの関係を示すグラフを含む図である。図11(b)の上のグラフが速度の変化を表すグラフであり、その下に書かれたグラフは、速度の変化(加速度)に対応してRf/Rbが変化する様子を表している。この2つのグラフに示されているように速度の変化が増加している場合(すなわち加速走行している場合)、Rf/Rbの値は1.00より小さな値になる。そして、速度が低下している場合には(すなわち減速走行している場合)、Rf/Rbの値は1.00より大きな値になる。このような傾向を利用すれば、加速度に応じて変化する車輪径に対応した補正が可能になる。もちろん、本実施形態では、前輪・後輪とも同じ車輪径のものを装着していることが前提である。
図12は加速度に応じた補正方法を説明する図である。この方法では、区間を単位とするのではなく、所定の時間(例えば30秒や1分)を単位とする形で補正の処理を行う。そのため、まず、経過時間を計るためのタイムスタンプを記憶する(S91)。そして、車両又は編成の前後にある2つの速度センサの値を元にRf/Rbの値を計測する(S92)。そして、車上DB120の参照テーブルから車両が走行している区間の計測したRf/Rbの値に対応する補正係数を検索する(S93)。そして、この検索して得られた補正係数だけを用いて車輪径を補正する(S94)。この後、車上制御部160がタイマからの一定時間ごとの割込みの信号を受け取ると(S95)、S91で記憶したタイムスタンプと比較して所定の時間が経過したか否かを調べる(S96)。所定時間を経過していない場合には(S96→No)、引き続きタイマからの割込みを待つ。所定時間が経過している場合には(S96→Yes)、補正を継続するか否かについての運転者からの指示を確認して(S97)、補正を継続する必要がある場合(S97→Yes)、S91から処理を繰り返す。そして、補正が不要の場合は(S97→No)、加速度に応じた補正の処理を終了する。
本実施形態例では、平坦な路線における加速度による補正のみを説明したが、この方法を単純に適用すると勾配のある路線では誤差が生じてしまう。これは、同じ速度で走行していても上り勾配であれば、Rf/Rbは加速走行しているのと同様の変化を示し、下り勾配であれば、Rf/Rbは減速走行しているのと同様の変化を示すためである。これに対処するには、参照テーブルの項目の構成を変更するか、勾配テーブルの項目を変更すればよいが、ここでは平坦な路線の場合だけを説明した。なお、参照テーブルに示されているRf/Rbに対応した補正係数は、勾配係数などと同様に開業時の試運転で計測して固定してもよいし、運用中の区間ごとの補正係数の更新と同様に走行ごとに逐次更新してもよい。
<<第2の実施形態>>
第1の実施形態は、ゴムタイヤを装着した車輪を例に説明したが、軌道や車両について対象が限定される形態ではなかった。ここで、金属ジョイントを検出できる軌道及び車両を利用するものに対象を限定すると、第1の実施形態よりさらに正確に走行距離を求めることができる実施形態を構成できる。
〔地上及び車上設備の構成〕
図13は本実施形態(第2の実施形態)の前提となる地上設備を説明する図である。ここでは、図13に示すようなコンクリート製の桁201や軌道202の設備を持ち、かつ、軌道202の接続部に金属製の接続プレート(ジョイント)20を用いているモノレール、新交通システム及び鉄道車両などについて走行距離を補正する実施形態について述べる。本実施形態は基本的な構成において第1の実施形態と共通するので、以下では第1の実施形態と本実施形態で異なる部分だけを説明する。本実施形態において前提とするこれ以外の地上設備は、第1の実施形態で説明したものと同じであるので、説明を省略する。
図14は本実施形態における車両100の構成を示す図である。図14は、金属検出部180と金属センサ190以外の部分は図2と同様なので、同一の構成については図2と同じ符号をつけて説明を省略する。金属検出部180及び金属センサ190は、図13を用いた説明で前記した金属製の接続プレート(ジョイント)20を検出するためのものである。金属検出部180は、後記する金属センサ190を制御し、金属センサの出力信号を車上制御部160で使えるように増幅する。金属センサ190には、電波を用いるセンサ(いわゆる金属探知機と同様のもの)や近接センサなどを用いることができる。なお、近接センサには、赤外線を用いるものと磁気を用いるものがあるが、いずれも利用できる。例えば、磁気を用いた近接センサ(例えば、URL http://www.keyence.co.jp/switch/kinsetsu/lineup/参照、2004年12月検索)を用いる場合には、金属製の接続プレート(ジョイント)20から所定の距離まで近づけなければ正常に機能しない。このため、近接センサを用いる場合には、金属センサ190は車外に突出させた構造にする必要があり、しかも、軌道202に追随させる必要がある。この条件を満足させるために、金属センサ190は、例えばバネやキャスターなどを用いて、軌道に衝突しても破壊されない可倒な構造とする。
〔データベースの構成〕
本実施形態では、基本的に第1の実施形態で用いたテーブルを含むデータベースと同じものを備える。しかし、本実施形態においては、さらにジョイント位置テーブルとジョイント20が検出されるべき指定範囲を示す指定範囲テーブルを備える。
図15は、ジョイント位置テーブルを説明する図である。図15を参照して、ジョイント位置テーブル340について説明する。ジョイント位置テーブル340は、車両100がジョイントJ1,J2(図13では20に該当)を検出することによって、車両100の正確な位置を知ることができるようにするためのものである。ジョイント位置テーブル340は、地上子T1(図2では10に該当)によって区切られる区間ごとに1つのテーブルを持ち、それぞれのテーブルは、ジョイント(のID)、カウント及び距離の項目を含む。ジョイントの項目は、区間内でのジョイントのID(Identification、識別子)を保存する。カウントの値は、区間内で各ジョイントが何番目に出てくるものであるかを示す数であり、ジョイントのIDと同様の情報を表すものであるが、使い易いので重複して定義してある。距離は、区間の開始位置(図15では地上子T1の位置)から各ジョイントJ1,J2(20)までの距離が何メータであるのかを示す項目である。なお、図15に示すように車両100が地上子T1(10)を通過するごとにカウントがリセットされるので、区間の開始位置にある地上子T1(10)は、カウントの項目では0に該当する扱いを受ける。このため、その区間の最初からジョイントJ1,J2(20)の位置を順次または逆順で参照する場合には、カウントの情報を利用することもできる。
図16は、指定範囲テーブルを説明する図である。図16を参照して、指定範囲テーブル350について説明する。指定範囲テーブル350は、車両100が金属センサを見落とした(ミスした)ときに、その影響を最小限にとどめる為のソフトウェア的対応を取るために必要なテーブルである。指定範囲テーブル350は、ジョイント位置テーブル340と同様に地上子T1によって区切られる区間ごとに1つのテーブルを持ち、それぞれのテーブルは、ジョイント(のID)、min及びmaxの項目を含む。minとmaxの項目は、各ジョイントJ1,J2(20)が車両100によって検出されるべき位置の範囲を示しており、minの項目が区間の開始位置から見てその範囲で一番近い位置を示し、maxの項目がその範囲で一番離れた位置を示す。
指定範囲テーブル350に含まれる各ジョイントJ1,J2(20)の指定範囲の中で車両100があるはずのジョイントJ1,J2(20)を検出できなかった場合には、車両100は引き続きジョイントJ1,J2(20)を探し続ける。その結果、車両100はその次に検出された別のジョイントの位置を1つ前の検出できなかったジョイントJ1,J2(20)の位置と取り違えてしまう可能性がある。これは、検出できなかったジョイントJ1,J2(20)の位置を正しいジョイントの位置情報に更新する仕組みがないために起きる。そこで、本実施形態では、指定範囲テーブル350に含まれる各ジョイントJ1,J2(20)の指定範囲においてジョイントJ1,J2(20)が検出されないときには、ソフトウェア的にジョイントの位置の情報を更新する。指定範囲テーブル350の具体的な利用例は、図17を参照した説明において後記する。
〔データベース利用の動作〕
本実施形態では、データベースへのデータの登録・更新は、第1の実施形態におけるデータベースへのデータの登録・更新の処理と同じであるが、データベースの利用形態は異なる。ここでは、本実施形におけるデータベースの利用を説明するが、第1の実施形態における処理と異なる部分を含む運用中の1区間ごとのデータベースの利用方法だけを説明する。なお、ここで説明する1区間ごとのデータベース利用の方法においては、多くのステップは、第1の実施形態におけるデータベースの利用と同様であるので、共通のステップには同じ符号を付して説明を省略し、異なる処理の部分だけを説明する。
図17は、本実施形態における運用中の1区間ごとのデータベースの利用方法を説明する図である。この図が示す動作は、図5(b)のステップS24の部分の動作に該当し、本実施形態における他のステップの動作は、図5(b)及び図6と同様であるので説明を省略する。
図17において、ステップS31からステップS57までは、図6及び図7における同一符号のステップと同じであるので、説明を省略する。ただし、図7においては、暫定補正係数による補正を行うステップS56が加えられているのに対して、本実施形態では、省略されている点が異なる。これは高頻度に設置されているジョイント20の情報によって充分に精度が高くなっていると期待されるためであるが、温度の変化や地震が少ないためにジョイント20が低頻度である場合のように、必要があれば、図7と同様に暫定補正係数による補正を行ってもよい。
車輪径の設定と補正が終わった後に、まず、車上DB120に含まれるジョイント位置テーブル及び指定範囲テーブルを検索して、最初のジョイント20の位置及び指定範囲の情報を車両100の車上制御部160に設定する(S107)。そして、区間の開始位置の情報、補正された車輪径の情報及びその時点での区間最初からの積算回転数を元に、走行中の車両100の現在位置を算出する(S108)。
そのまま走行を続けていき、車上子110が地上子10を検出したか、又は、金属センサ190がジョイント20を検出したとき(S109)、この情報を車上制御部160に伝達する。そして、車上制御部160は、この検出情報があるか否かに基づいて、ジョイント20又は地上子10を所定の指定範囲において検出したか否かを判定する(S110)。
この判定の結果、ジョイント20又は地上子10が所定の範囲内で検出された場合(S110→Yes)、車上DB120のジョイント位置テーブル340に含まれるそのジョイント20又は地上子10の位置を車両100の現在位置として設定し、ジョイント位置テーブル340と指定範囲テーブル350を検索して、次のジョイント位置と指定範囲を設定する(S112)。ジョイント20又は地上子10が所定の指定範囲において検出されなかった場合(S110→No)、車両100の現在位置の情報はそのまま変更せずに、ジョイント位置テーブル340と指定範囲テーブル350を検索して、次のジョイント位置と指定範囲を設定する(S111)。
そして、ステップS109で読み取られたジョイント20又は地上子10の位置情報に基づいて、区間が終了したか否かを判定する(S113)。地上子が検出されていて、区間が終了している場合には(S113→Yes)、その区間での処理を終了し、地上子が検出されていない状態であり、区間が継続中の場合は(S113→No)、ステップS108から区間が終了するまで処理を繰り返す。
なお、本実施形態では、ジョイント20を車両100の位置情報を取得するために利用していて、車輪径の補正には、地上子10の位置情報を利用しているが、車輪径の補正のためにジョイント20の位置情報を利用してもよい。この場合、地上子10よりもジョイント20の方が高頻度に設置されているため、よりきめ細かな車輪径の補正が可能になる。
ここまで、本発明の2つの実施形態について説明をしてきたが、どちらの実施形態でも大半の構成要素は通常の鉄道やモノレールや新交通システムに備わったものを前提としていて、そのような既存の路線の設備を利用するだけで、高精度で車両の走行距離を計測で
きる。これから開業する路線に適用する場合には、高価な地上子を数多く設置する必要がないため、路線開業のコストを削減できる。また、車両間での補正係数の共用を行えば、少ない回数の試運転で多くの車両の走行距離の補正のためのデータを得ることができ、車両を効率よく運用できる。このような実施形態による高精度の補正を行えば、地上の設備への多大な投資をせずに高度な信号システムへの対応が可能になる。なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、2つの実施形態と同等の手段や方法によって車両の走行距離の補正を行うことは可能である。例えば、温度センサでタイヤの温度を測定して車輪径を補正するようにしてもよい。
第1の実施形態を説明する図である。 車両及び地上の設備について説明する図である。 (a)は蓄積データテーブルと参照テーブルの例を示す図であり、(b)は蓄積された計測データのエントリから参照テーブルのデータを求める方法を説明する図である。 (a)は勾配テーブルの例を示す図であり、(b)は勾配走行時の勾配係数の変化を説明する図である。 (a)は、車両100を運用する路線の開業前に行うデータベースへのデータ登録までの処理の概略を示す図であり、(b)は、運用開始後にデータベース登録・更新と利用を行う際の処理の概略を説明する図である。 運用中における1区間ごとのデータベースへのデータの登録・更新をより詳細に説明する図である。 運用中の1区間ごとのデータベース利用方法を説明する図である。 始発前試運転車両による情報収集を説明する図である。 始発前試運転車両が収集した情報について他の車両との共有化を説明する図である。 車両と地上の通信の処理を説明する図である。 加速度に応じた車輪径の補正を説明する図である。 加速度に応じた補正方法を説明する図である。 第2の実施形態の前提となる地上設備を説明する図である。 第2の実施形態における車両の構成を示す図である。 ジョイント位置テーブルを説明する図である。 指定範囲テーブルを説明する図である。 第2の実施形態における運用中の1区間ごとのデータベースの利用方法を説明する図である。
符号の説明
10,T1,T2,T3 地上子
20,J1,J2,J3 金属製の接続プレート(ジョイント)
30 地上装置
50 地上データベース(地上DB)
100 車両
110 車上子
120 車上データベース(車上DB)
130 送受信部
140 駆動部
150 速度検出部
160 車上制御部
170 入力表示部
180 金属検出部
190 金属センサ
202 軌道

Claims (20)

  1. 区間の境界を車両に認識させる設置位置通知手段により複数の区間に区分された軌道を走行する車両の走行距離を算出する走行距離算出システムであって、
    前記車両に、
    車輪の積算回転数を計測する回転数計測手段と、
    前記設置位置通知手段に基づいて前記軌道の区間の境界を検知する区間境界検知手段と、
    前記区間境界検知手段が、前記軌道の区間の境界を検知したとき、予め登録された情報に基づいて前記区間の距離を取得する区間距離取得手段と、
    前記回転数計測手段により計測された前記区間における前記車輪の積算回転数、及び前記区間距離取得手段により取得された前記区間の距離から、前記区間における車輪径に関する値を算出する車輪径算出手段と、
    前記車輪径算出手段で算出された車輪径に関する値の算出結果を記録する車上データベースと、
    前記車上データベースを参照して車輪径を補正して走行距離を算出する走行距離演算手段と、を備え
    地上に、
    前記車上データベースに記録された前記車輪径に関する値の算出結果を含む情報を車上から受信する情報送受信手段と、
    前記情報送受信手段で受取った前記車輪径に関する値の算出結果を含む情報を記録する地上データベースと、を備え、
    前記情報送受信手段が、前記地上データベースに記録された前記車輪径に関する値の算出結果を含む情報を前記車両以外の他の車両に送信すること
    を特徴とする走行距離算出システム。
  2. 請求項1に記載の走行距離算出システムであって、
    前記車上データベースには、前記車輪径に関する値の算出結果が記録される共に、予め前記車両の重量の情報と前記区間の勾配の情報が記録されており、
    前記車両は、前記車両の重量を推定する車両重量推定手段を備え、
    前記走行距離演算手段は、
    前記車上データベースを参照して前記車両の重量に応じて車輪径を補正する第1の車輪径補正手段と、
    前記車上データベースを参照して前記区間の勾配に応じて車輪径を補正する第2の車輪径補正手段をさらに有すること
    を特徴とする走行距離算出システム。
  3. 請求項2に記載の走行距離算出システムであって、
    前記車両重量推定手段前記車両が所定の出力で加速され、所定の速度に達するまでの所要時間によって前記車両の重量を推定すること
    を特徴とする走行距離算出システム。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の走行距離算出システムであって、
    前記走行距離演算手段は、前記車上データベースに蓄積された前記車輪径に関する値の算出結果と最新の前記車輪径に関する値の算出結果の移動分散を算出し、当該移動分散の値と前回同様に算出した移動分散の値とを比較し、
    両者の移動分散の差が所定の範囲内である場合に前記車上データベースに対する前記最新の前記車輪径に関する値の算出結果の登録がなされ、
    前記両者の移動分散の差が所定の範囲内でない場合には、前記最新の前記車輪径に関する値の算出結果の破棄がなされること
    を特徴とする走行距離算出システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の走行距離算出システムであって、
    前記車上データベースには、前記車輪径に関する値の算出結果が記録される共に、予め前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率情報が記録されており、
    前記車両は、
    前記車両の前輪と後輪の回転速度を取得する車輪回転速度取得手段と、
    前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率を算出する車輪回転速度前後比率算出手段と、
    前記車上データベースを参照して前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率に応じて車輪径を補正する第3の車輪径補正手段と、
    を備え、
    前記走行距離演算手段は、前記第3の車輪径補正手段によって補正された前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率に応じた車輪径を用いて、走行距離を算出すること
    を特徴とする走行距離算出システム。
  6. 請求項1に記載の走行距離算出システムであって、
    前記車両は、金属製のジョイントを含むコンクリート製の前記軌道を走行し、
    前記車上データベースは、予め前記金属製のジョイントの設置位置に係る情報をさらに記録しており、
    前記車両は、
    金属を探知する金属探知手段と、
    前記金属製のジョイントの設置位置に係る情報を用いて前記設置位置通知手段と前記ジョイントとの間の距離を取得する距離取得手段と、を備えること
    を特徴とする走行距離算出システム。
  7. 請求項6に記載の走行距離算出システムであって、
    前記距離取得手段で取得された前記設置位置通知手段と前記ジョイントとの間の距離、及び前記走行距離演算手段により算出された走行距離を用いて、前記車両の走行距離を補正する走行距離補正手段をさらに備える
    ことを特徴とする走行距離算出システム。
  8. 区間の境界を車両に認識させる設置位置通知手段により複数の区間に区分された軌道を走行する車両の走行距離を算出する走行距離算出方法であって、
    前記設置位置通知手段を前記車両側で検知して車輪の積算回転数の計測を開始するステップと、
    前記車輪の積算回転数の計測を開始した前記設置位置通知手段と異なる他の設置位置通知手段を検知して前記車輪の積算回転数の計測を終了するステップと、
    前記設置位置通知手段及び前記他の設置位置通知手段を検知して前記区間の距離を取得するステップと、
    前記区間における車輪の積算回転数の計測結果と、前記取得された区間の距離とから前記区間における車輪径に関する値を算出するステップと、
    前記車輪径に関する値の算出結果を車上データベースに記録するステップと、
    前記車上データベースを参照して車輪径を補正して走行距離を算出するステップと、
    前記車上データベースに記録された前記車輪径に関する値の算出結果を含む情報を地上へ送信し地上データベースへ記録するステップと、
    前記車両以外の他の車両に前記地上データベースに記録された前記車輪径に関する値の算出結果を含む情報を送信するステップと、を備えること
    を特徴とする走行距離算出方法。
  9. 請求項8に記載の走行距離算出方法であって、
    前記車上データベースには、前記車輪径に関する値の算出結果が記録される共に、予め前記車両の重量の情報と前記区間の勾配の情報が記録されており、
    前記車両の重量を推定するステップと、
    前記車上データベースを参照して前記車両の重量に応じて車輪径を補正するステップと、
    前記車上データベースを参照して前記区間の勾配に応じて車輪径を補正するステップと、をさらに備えること
    を特徴とする走行距離算出方法。
  10. 請求項9に記載の走行距離算出方法であって、
    前記車両の重量を推定するステップが、前記車両が所定の出力で加速され、所定の速度に達するまでの所要時間を計測し、所定の速度に達するまでの所要時間によって前記車両の重量を推定するステップであること
    を特徴とする走行距離算出方法。
  11. 請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の走行距離算出方法であって、
    前記車上データベースに蓄積された前記車輪径に関する値の算出結果と最新の前記車輪径に関する値の算出結果の移動分散を算出し、当該移動分散の値と前回同様に算出した移動分散の値とを比較するステップと、
    両者の移動分散の差が所定の範囲内である場合に前記車上データベースに対する前記最新の前記車輪径に関する値の算出結果を登録し、前記両者の移動分散の差が所定の範囲内でない場合には、前記最新の前記車輪径に関する値の算出結果を破棄するステップと、をさらに備えること
    を特徴とする走行距離算出方法。
  12. 請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の走行距離算出方法であって、
    前記車上データベースには、前記車輪径に関する値の算出結果が記録される共に、予め前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率情報が記録されており、
    前記車両の前輪と後輪の回転速度を取得するステップと、
    前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率を算出するステップと、
    前記車上データベースを参照して前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率に応じて車輪径を補正するステップと、をさらに備えること
    を特徴とする走行距離算出方法。
  13. 金属製のジョイントを含むコンクリート製の前記軌道を走行する車両における請求項8に記載の走行距離算出方法であって、
    前記車上データベースは、予め前記金属製のジョイントの設置位置に係る情報をさらに記録しており、
    金属を探知する手段により前記金属製のジョイントを検知するステップと、
    前記車上データベースから前記金属製のジョイントの設置位置に係る情報を検索するステップと、
    前記金属製のジョイントの設置位置に係る情報を用いて前記設置位置通知手段と前記ジョイントとの間の距離を取得するステップと、を備えることを特徴とする走行距離算出方法。
  14. 区間の境界を車両に認識させる地上子により複数の区間に区分された軌道を走行する前記車両の走行距離を算出する走行距離算出装置であって、
    前記車両に、
    車輪の積算回転数を計測する回転数計測手段と、
    前記地上子から前記区間の境界の位置通知を受信する車上子と、
    前記地上子からの前記位置通知に基づいて、予め登録された情報に基づいて前記区間の距離を取得する区間距離取得手段と、
    前記回転数計測手段により計測された前記区間における前記車輪の積算回転数と、前記区間距離取得手段により取得された前記区間の距離とから前記区間における車輪径に関する値を算出する車輪径算出手段と、
    前記車輪径算出手段で算出された車輪径に関する値の算出結果を記録する車上データベースと、
    前記車上データベースを参照して車輪径を補正して走行距離を算出する走行距離演算手段と、を備え、
    前記車上子は、
    前記車上データベースに記録された前記車輪径に関する値の算出結果を含む情報を地上データベースと接続された前記地上子に送信し、
    前記地上データベースからの他車両の前記車輪径に関する値の算出結果を含む情報を前記地上子から受信することが可能なこと
    を特徴とする走行距離算出装置。
  15. 請求項14に記載の走行距離算出装置であって、
    前記車上データベースには、前記車輪径に関する値の算出結果が記録される共に、予め前記車両の重量の情報と前記区間の勾配の情報が記録されており、
    前記車両は、前記車両の重量を推定する車両重量推定手段を備え、
    前記走行距離演算手段は、
    前記車上データベースを参照して前記車両の重量に応じて前記車輪径を補正する第1の車輪径補正手段と、
    前記車上データベースを参照して前記区間の勾配に応じて前記車輪径を補正する第2の車輪径補正手段をさらに有すること
    を特徴とする走行距離算出装置。
  16. 請求項15に記載の走行距離算出装置であって、
    前記車両重量推定手段は、前記車両が所定の出力で加速され、所定の速度に達するまでの所要時間によって前記車両の重量を推定すること
    を特徴とする走行距離算出装置。
  17. 請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の走行距離算出装置であって、
    前記走行距離演算手段は、前記車上データベースに蓄積された前記車輪径に関する値の算出結果と最新の前記車輪径に関する値の算出結果の移動分散を算出し、当該移動分散の値と前回同様に算出した移動分散の値とを比較し、
    両者の移動分散の差が所定の範囲内である場合に前記車上データベースに対する前記最新の前記車輪径に関する値の算出結果の登録がなされ、
    前記両者の移動分散の差が所定の範囲内でない場合には、前記最新の前記車輪径に関する値の算出結果の破棄がなされることを特徴とする走行距離算出装置。
  18. 請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の走行距離算出装置であって、
    前記車上データベースには、前記車輪径に関する値の算出結果が記録される共に、予め前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率情報が記録されており、
    前記車両は、
    前記車両の前輪と後輪の回転速度を取得する車輪回転速度取得手段と、
    前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率を算出する車輪回転速度前後比率算出手段と、
    前記車上データベースを参照して前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率に応じて車輪径を補正する第3の車輪径補正手段と、
    を備え、
    前記走行距離演算手段は、前記第3の車輪径補正手段によって補正された前記車両の前輪と後輪の回転速度の比率に応じた前記車輪径を用いて、走行距離を算出すること
    を特徴とする走行距離算出装置。
  19. 請求項14に記載の走行距離算出装置であって、
    前記車両は、金属製のジョイントを含むコンクリート製の前記軌道を走行し、
    前記車上データベースは、予め前記金属製のジョイントの設置位置に係る情報をさらに記録しており、
    前記車両は、
    金属を探知する金属探知手段と、
    前記金属製のジョイントの設置位置に係る情報を用いて前記地上子と前記ジョイントとの間の距離を取得する距離取得手段と、
    前記距離取得手段で取得された前記地上子と前記ジョイントとの間の距離及び前記走行距離演算手段により算出された走行距離を用いて、前記車両の走行距離を補正する走行距離補正手段をさらに備えること
    を特徴とする走行距離算出装置。
  20. 請求項14から請求項19のいずれか1項に記載の走行距離算出装置であって、
    前記走行距離演算手段は、前記地上データベースの他車両の前記車輪径に関する値の算出結果を含む情報が、前記地上子から前記車上子で受信され、前記車上データベースに記録されたのを受けて、前記車上データベースを参照して前記車輪径を補正して走行距離を算出すること
    を特徴とする走行距離算出装置。
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