JP4321009B2 - 電界放射型電子源の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射型電子源の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体を多孔質化したり半導体の表面に酸化膜を形成する技術として湿式の陽極酸化方法が知られており、半導体の表面に酸化膜を形成する技術として電気化学反応を利用した電気化学酸化方法が知られており、近年では、湿式の陽極酸化方法および電気化学酸化方法を含むプロセスにより形成された電界放射型電子源が提案されている。
【0003】
この種の電界放射型電子源は、下部電極と、下部電極に対向する導電性薄膜よりなる表面電極と、下部電極と表面電極との間に介在し下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに下部電極から注入された電子がドリフトする強電界ドリフト層とを備えており、強電界ドリフト層が、酸化した多孔質半導体層たる多孔質多結晶シリコン層により構成されている。
【0004】
このように構成された電界放射型電子源は、表面電極を真空中に配置するとともに表面電極に対向してコレクタ電極を配置し、表面電極と下部電極との間に表面電極を高電位側として直流電圧を印加するとともに、コレクタ電極と表面電極との間にコレクタ電極を高電位側として直流電圧を印加することにより、強電界ドリフト層をドリフトした電子が表面電極を通して放出されるものである。したがって、表面電極には仕事関数の小さな金属材料(例えば、金)が採用され、表面電極の膜厚は10〜15nm程度に設定されている。また、この種の電界放射型電子源においては、抵抗率が導体の抵抗率に比較的近い半導体基板と当該半導体基板の裏面に形成したオーミック電極とで下部電極を構成したものや、絶縁性基板(ガラス基板、セラミック基板など)の一表面側に形成された導電性層により下部電極を構成したものなどがある。
【0005】
上述の電界放射型電子源において、表面電極と下部電極との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと呼び、コレクタ電極と表面電極との間に流れる電流をエミッション電流(放出電子電流)Ieと呼ぶことにすれば、ダイオード電流Ipsに対するエミッション電流Ieの比率(=Ie/Ips)が大きいほど電子放出効率(=(Ie/Ips)×100〔%〕)が高くなるが、上述の電界放射型電子源では、表面電極と下部電極との間に印加する直流電圧を10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができ、電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して電子を高い電子放出効率で放出することができる。
【0006】
上述の電界放射型電子源の製造プロセスにおいて強電界ドリフト層を形成するにあたっては、下部電極の一表面側にノンドープの多結晶シリコン層を形成する成膜工程と、多結晶シリコン層を陽極酸化することにより多結晶シリコンのグレインおよびシリコン微結晶を含む多孔質多結晶シリコン層を形成する陽極酸化処理工程と、多孔質多結晶シリコン層を急速加熱法によって急速熱酸化してグレインおよびシリコン微結晶の表面にそれぞれ薄いシリコン酸化膜を形成する酸化工程とを有している。
【0007】
陽極酸化処理工程では、陽極酸化に用いる電解液としてフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液を用いている。また、酸化工程では、例えば、ランプアニール装置を用い、基板温度を乾燥酸素中で室温から900℃まで短時間で上昇させた後、基板温度を900℃で1時間維持することで酸化し、その後、基板温度を室温まで下降させている。
【0008】
ところで、上述の陽極酸化処理工程において用いられる陽極酸化装置としては、図7に示す構成のものが提案されている。すなわち、フッ化水素水溶液とエタノールとの混合液からなる電解液Bを入れた処理槽31と、処理槽31内の電解液Bに浸漬された格子状の白金電極からなる陰極33とを備え、下部電極上に多結晶シリコン層が形成された被処理物30を電解液Bに浸漬し下部電極を陽極として利用するようになっている。また、この陽極酸化装置は、下部電極を陽極として陽極と陰極33との間に陽極を高電位側として通電する通電手段としてのガルバノスタットよりなる電源32と、被処理物30の主表面側(つまり、多結晶シリコン層の表面側)に光を照射するためのタングステンランプよりなる光源(図示せず)とを備えている。さらに、電解液Bに浸漬されるスターラ34と、スターラ34を駆動する駆動装置35とを備えており、スターラ34と駆動装置35とからなる攪拌装置によって電解液Bを攪拌するようになっている。
【0009】
したがって、この陽極酸化装置を用いて、陽極と陰極33との間に定電流を流すことにより、多結晶シリコン層が表面から深さ方向に向かって多孔質化され多結晶シリコンのグレインおよびシリコン微結晶を含む多孔質多結晶シリコン層が形成される。
【0010】
また、上述の酸化工程では、急速加熱法による急速熱酸化を行っているが、全てのシリコン微結晶およびグレインの表面に良好な膜質のシリコン酸化膜を形成することを目的として、硫酸、硝酸などの水溶液からなる電解液(電解質溶液)中にて多孔質多結晶シリコン層を電気化学的に酸化する方法(電気化学酸化方法)を酸化工程に採用することが提案されている。ここに、多孔質多結晶シリコン層を電気化学的に酸化するにあたっては、上述の陽極酸化装置における電解液Bを例えば硫酸の水溶液からなる電解液に入れ替えて、陽極と陽極33との間に電流を流すことによって多孔質多結晶シリコン層を電気化学的に酸化してシリコン微結晶およびグレインの表面にシリコン酸化膜を形成する。なお、多孔質多結晶シリコン層を形成する際には、陽極と陰極33との間に所定の電流を所定時間だけ流すことによって陽極酸化処理を終了しているが、多孔質多結晶シリコン層を電気化学的に酸化する際には、陽極と陰極33との間に所定の電流を流し陽極と陰極33との間の電圧が通電開始時の電圧値から所望の電圧値だけ増加したときに電気化学酸化処理を終了している。
【0011】
上述のように、多孔質多結晶シリコン層を電気化学的に酸化する方法を採用することにより、多孔質多結晶シリコン層を急速熱酸化して強電界ドリフト層を形成する場合に比べてプロセス温度を低温化することができ、基板の材料の制約が少なくなり、電界放射型電子源の大面積化および低コスト化を図れるという利点もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の陽極酸化方法および電気化学酸化方法を利用して製造した電界放射型電子源では、エミッション電流や絶縁耐圧の面内ばらつきが大きいという不具合があった。つまり、上述のような陽極酸化方法および電気化学酸化方法を利用して製造した電子デバイスでは、特性の面内ばらつきが大きいという不具合があった。ここにおいて、エミッション電流の面内ばらつきが大きくなる一因としては、陽極酸化の際に半導体層である多結晶シリコン層の主表面に気泡が付着し、気泡が付着した部分での反応が抑制されてしまい、結果的にエミッション電流の面内ばらつきが大きくなってしまうことが考えられる。また、絶縁耐圧の面内ばらつきが大きくなる一因としては、電気化学酸化の際に半導体層である多孔質多結晶シリコン層の主表面に気泡が付着し、気泡が付着した部分での反応が抑制されてしまい、結果的にシリコン酸化膜の膜厚の面内ばらつきを生じて絶縁耐圧の面内ばらつきが大きくなってしまうことが考えられる。
【0013】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、請求項1,2の発明の目的は、従来に比べてエミッション電流、絶縁耐圧それぞれの面内ばらつきが小さい電界放射型電子源の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
求項の発明は、下部電極と、下部電極に対向する表面電極と、下部電極と表面電極との間に介在しナノメータオーダの多数の半導体微結晶および各半導体微結晶それぞれの表面に形成され半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜よりなる多数の絶縁膜を有する強電界ドリフト層とを備え、下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加することにより下部電極から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、強電界ドリフト層を形成するにあたっては、半導体層を陽極酸化してナノメータオーダの多数の半導体微結晶を形成するナノ結晶化工程において陽極と陰極との間への通電中に陽極を振動させることで若しくは半導体層の主表面に電解液を噴射することで半導体層に付着した気泡を脱離させるようにした陽極酸化方法により下部電極を陽極としてナノメータオーダの多数の半導体微結晶を有する結晶層を形成し、当該結晶層からなる半導体層を酸化する酸化工程において、電気化学酸化の対象となる半導体層の主表面とは反対側の電極を陽極として、電解液中で半導体層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体層を電気化学的に酸化するようにし、陽極と陰極との間の電圧が処理開始時の電圧から所望の電圧値だけ上昇した時点で酸化処理を終了する電気化学的酸化方法であって、通電中に半導体層の主表面に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陽極を振動させることにより脱離させるとともに、通電中に陰極に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陰極を振動させることにより脱離させる電気化学酸化の対象となる半導体層の主表面とは反対側の電極を陽極として、電解液中で半導体層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体層を電気化学的に酸化するようにし、陽極と陰極との間の電圧が処理開始時の電圧から所望の電圧値だけ上昇した時点で酸化処理を終了する電気化学的酸化方法であって、通電中に半導体層の主表面に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陽極を振動させることにより脱離させるとともに、通電中に陰極に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陰極を振動させることにより脱離させる電気化学酸化方法により下部電極を陽極とし絶縁膜を形成することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、ナノ結晶化工程において、陽極酸化の対象領域に形成される半導体微結晶の結晶粒径や分布の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができるから、結果的にエミッション電流の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができ、また、酸化工程において、通電中に半導体層の主表面および陰極の表面に付着した気泡を速やかに脱離させることができるので、電気化学酸化の対象領域での反応が半導体層の主表面に付着した気泡によって抑制されるのを防止することができて電界放射型電子源の特性の面内ばらつきを小さくすることができ、しかも、陰極に付着した気泡によって陽極と陰極との間の電圧が上昇するのを防止することができ、酸化膜の絶縁耐圧の低下を防止することができるので、従来に比べてエミッション電流および絶縁耐圧それぞれの面内ばらつきが小さな電界放射型電子源を提供することができる。
【0016】
請求項2の発明は、下部電極と、下部電極に対向する表面電極と、下部電極と表面電極との間に介在しナノメータオーダの多数の半導体微結晶および各半導体微結晶それぞれの表面に形成され半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜よりなる多数の絶縁膜を有する強電界ドリフト層とを備え、下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加することにより下部電極から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、強電界ドリフト層を形成するにあたっては、半導体層を陽極酸化してナノメータオーダの多数の半導体微結晶を形成するナノ結晶化工程において陽極と陰極との間への通電中に陽極を振動させることで若しくは半導体層の主表面に電解液を噴射することで半導体層に付着した気泡を脱離させるようにした陽極酸化方法により下部電極を陽極としてナノメータオーダの多数の半導体微結晶を有する結晶層を形成し、当該結晶層からなる半導体層を酸化する酸化工程において、電気化学酸化の対象となる半導体層の主表面とは反対側の電極を陽極として、電解液中で半導体層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体層を電気化学的に酸化するようにし、陽極と陰極との間の電圧が処理開始時の電圧から所望の電圧値だけ上昇した時点で酸化処理を終了する電気化学的酸化方法であって、通電中に半導体層の主表面に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は半導体層の主表面に向けて電解液を噴射することにより脱離させるとともに、通電中に陰極に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陰極に向けて電解液を噴射することにより脱離させる電気化学酸化方法により下部電極を陽極とし絶縁膜を形成することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、ナノ結晶化工程において、陽極酸化の対象領域に形成される半導体微結晶の結晶粒径や分布の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができるから、結果的にエミッション電流の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができ、また、酸化工程において、通電中に半導体層の主表面および陰極の表面に付着した気泡を速やかに脱離させることができるので、電気化学酸化の対象領域での反応が半導体層の主表面に付着した気泡によって抑制されるのを防止することができて電界放射型電子源の特性の面内ばらつきを小さくすることができ、しかも、陰極に付着した気泡によって陽極と陰極との間の電圧が上昇するのを防止することができ、酸化膜の絶縁耐圧の低下を防止することができるので、従来に比べてエミッション電流および絶縁耐圧それぞれの面内ばらつきが小さな電界放射型電子源を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態では、陽極酸化方法および電気化学酸化方法を利用して形成される電子デバイスの一例として電界放射型電子源について例示する。
【0019】
本実施形態の電界放射型電子源10は、図2に示すように、絶縁性基板(例えば、絶縁性を有するガラス基板、絶縁性を有するセラミック基板など)よりなる基板1の一表面側に電子源素子10aが形成されている。ここにおいて、電子源素子10aは、基板1の上記一表面側に形成された下部電極2と、下部電極2上に形成されたノンドープの多結晶シリコン層3と、多結晶シリコン層3上に形成された強電界ドリフト層6と、強電界ドリフト層6上に形成された表面電極7とで構成されている。つまり、電子源素子10aは、表面電極7と下部電極2とが対向しており、表面電極7と下部電極2との間に強電界ドリフト層6が介在している。なお、本実施形態では、基板1として絶縁性基板を用いているが、基板1としてシリコン基板などの半導体基板を用い、半導体基板と当該半導体基板の裏面に積層した導電性層(例えば、オーミック電極)とで下部電極2を構成するようにしてもよい。また、強電界ドリフト層6と下部電極2との間に多結晶シリコン層3を介在させてあるが、多結晶シリコン層3を介在させずに下部電極2上に強電界ドリフト層6を形成した構成を採用してもよい。
【0020】
ところで、下部電極2は金属材料からなる単層(例えば、Mo,Cr,W,Ti,Ta,Ni,Al,Cu,Au,Ptなどの金属あるいは合金あるいはシリサイドなど金属間化合物からなる単層)の薄膜により構成されているが、多層(例えば、Mo,Cr,W,Ti,Ta,Ni,Al,Cu,Au,Ptなどの金属あるいは合金あるいはシリサイドなど金属間化合物からなる多層)の薄膜により構成してもよいし、不純物をドープした多結晶シリコンなどの半導体材料により形成してもよい。なお、下部電極2の厚さは300nm程度に設定されている。
【0021】
また、表面電極7の材料には仕事関数の小さな材料(例えば、金)が採用されているが、表面電極7の材料は金に限定されるものではなく、また、単層構造に限らず、多層構造としてもよい。なお、表面電極7の厚さは強電界ドリフト層6を通ってきた電子がトンネルできる厚さであればよく、10〜15nm程度に設定すればよい。
【0022】
図2に示す構成の電界放射型電子源10から電子を放出させるには、例えば、図3に示すように、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極21との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極2に対して高電位側となるように表面電極7と下部電極2との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定すれば、下部電極2から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(図3中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子eの流れを示す)。なお、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。
【0023】
本実施形態の電界放射型電子源10では、表面電極7と下部電極2との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと呼び、コレクタ電極21と表面電極7との間に流れる電流をエミッション電流(放出電子電流)Ieと呼ぶことにすれば(図3参照)、ダイオード電流Ipsに対するエミッション電流Ieの比率(=Ie/Ips)が大きいほど電子放出効率(=(Ie/Ips)×100〔%〕)が高くなる。
【0024】
強電界ドリフト層6は、後述のナノ結晶化プロセスおよび酸化プロセスを行うことにより形成されており、図4に示すように、少なくとも、下部電極2の上記一表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン(半導体結晶)51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在する多数のナノメータオーダのシリコン微結晶(半導体微結晶)63と、各シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜である多数のシリコン酸化膜(絶縁膜)64とから構成されると考えられる。なお、各グレイン51は、下部電極2の厚み方向に延びている。
【0025】
本実施形態の電界放射型電子源10では、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。すなわち、表面電極7と下部電極2との間に表面電極7を高電位側として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21と表面電極7との間にコレクタ電極21を高電位側として直流電圧Vcを印加することにより、直流電圧Vpsが所定値(臨界値)に達すると、下部電極2から強電界ドリフト層6へ熱的励起された電子eが注入される。一方、強電界ドリフト層6に印加された電界の大部分はシリコン酸化膜64にかかるから、注入された電子eはシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され、強電界ドリフト層6におけるグレイン51の間の領域を表面に向かって図4中の矢印の向き(図4における上向き)へドリフトし、表面電極7をトンネルし真空中に放出される。しかして、強電界ドリフト層6では下部電極2から注入された電子がシリコン微結晶63でほとんど散乱されることなくシリコン酸化膜64にかかっている電界で加速されてドリフトし、表面電極7を通して放出され、強電界ドリフト層6で発生した熱がグレイン51を通して放熱されるから、電子放出時にポッピング現象が発生せず、安定して電子を放出することができる。なお、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。
【0026】
なお、本実施形態の電界放射型電子源10をディスプレイの電子源として利用する場合には、下部電極2、表面電極7、強電界ドリフト層6などを適宜にパターニングして多数の電子源素子10aを基板1の上記一表面側にマトリクス状に配列すればよい。
【0027】
以下、本実施形態の電界放射型電子源10の製造方法について図5を参照しながら説明する。
【0028】
まず、絶縁性を有するガラス基板からなる基板1の一表面上に所定膜厚(例えば、300nm程度)の金属膜(例えば、タングステン膜)からなる下部電極2をスパッタ法によって形成した後、基板1の一表面側の全面に所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多結晶シリコン層3を例えばプラズマCVD法によって形成することにより、図5(a)に示すような構造が得られる。なお、多結晶シリコン層3の成膜方法は、プラズマCVD法に限らず、LPCVD法、触媒CVD法、スパッタ法、CGS(Continuous Grain Silicon)法などを採用すればよい。
【0029】
ノンドープの多結晶シリコン層3を形成した後、上述のナノ結晶化プロセス(陽極酸化処理工程)を行うことにより、多結晶シリコンの多数のグレイン51(図4参照)と多数のシリコン微結晶63(図4参照)とが混在する複合ナノ結晶層4が形成され、図5(b)に示すような構造が得られる。ナノ結晶化プロセスについては後で詳述する。
【0030】
上述のナノ結晶化プロセスが終了した後に、上述の酸化プロセスを行うことによって複合ナノ結晶層4を電気化学的に酸化することで図4のような構成の複合ナノ結晶層からなる強電界ドリフト層6が形成され、図5(c)に示すような構造が得られる。酸化プロセスについては後で詳述する。
【0031】
強電界ドリフト層6を形成した後は、例えば蒸着法などによって金薄膜からなる表面電極7を強電界ドリフト層6上に形成することにより、図5(d)に示す構造の電界放射型電子源10が得られる。
【0032】
ところで、上述のナノ結晶化プロセスでは、図1に示す構成の陽極酸化装置を用いて半導体層である多結晶シリコン層3の陽極酸化を行う。陽極酸化装置では、規定の電解液Bとして、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液が処理槽31に入っており、多結晶シリコン層3の主表面に光照射を行いながら所定の条件で陽極酸化処理を行っている。具体的には、電解液B中に多結晶シリコン層3が形成された被処理物30を浸漬し、電解液B中において多結晶シリコン層3に陰極33を対向配置して、下部電極2を陽極とし、500Wのタングステンランプからなる光源(図示せず)により多結晶シリコン層3の主表面に光照射を行いながら、ガルバノスタットよりなる電源32から陽極と陰極42との間に定電流(例えば、電流密度が12mA/cmの電流)を所定時間(例えば、10秒)だけ流すことによって複合ナノ結晶層4が形成される。このようにして形成された複合ナノ結晶層4は、多結晶シリコンのグレイン51およびシリコン微結晶63を含んでいる。ここにおいて、本実施形態における陽極酸化装置は、振動を発生する圧電素子などからなる振動発生器36を備えており、陽極と陰極33との間へ通電している間は振動発生器36の出力によって被処理物30および陰極33を振動させるようになっている。したがって、通電中に被処理物30における多結晶シリコン層3の主表面および陰極33の表面に電気化学反応によって発生した気泡が付着しても速やかに脱離するので、多結晶シリコン層3の主表面に付着した気泡がマスクとなって陽極酸化の反応が抑制されるのを防止することができる。つまり、陽極酸化の対象領域での反応が気泡によって抑制されるのを防止することができ、対象領域に形成されるシリコン微結晶63の面内ばらつきを小さくすることができる。
【0033】
また、上述の酸化プロセス(酸化工程)では、上述の図1に示す構成の陽極酸化装置を用いて半導体層(結晶層)である複合ナノ結晶層4の電気化学酸化を行う。酸化プロセスでは、処理槽31に入れる規定の電解液Bとして、例えばエチレングリコールからなる有機溶媒中に0.04mol/lの硝酸カリウムからなる溶質を溶かした溶液を用い、電解液B中に複合ナノ結晶層4が形成された被処理物30を浸漬し、電解液B中において複合ナノ結晶層4に陰極33を対向配置して、下部電極2を陽極とし、電源から陽極(下部電極2)と陰極33との間に定電流(例えば、電流密度が0.1mA/cmの電流)を流し複合ナノ結晶層4を電気化学的に酸化する酸化処理を行うことによって上述のグレイン51、シリコン微結晶63、各シリコン酸化膜52,64を含む強電界ドリフト層6を形成するようになっている。ただし、酸化処理時には、陽極と陰極33との間の電圧を図示しない電圧検出手段によって逐次検出し、陽極と陰極33との間の電圧が処理開始時の電圧から所望の電圧値だけ上昇した時点で酸化処理を終了している。ここにおいて、陽極と陰極33との間へ通電している間は振動発生器36の出力によって被処理物30および陰極33を振動させるようになっている。したがって、通電中に被処理物30における複合ナノ結晶層4の主表面および陰極33の表面に電気化学反応によって発生した気泡が付着しても速やかに脱離するので、複合ナノ結晶層4の主表面に付着した気泡がマスクとなって電気化学酸化の反応が抑制されるのを防止することができる。つまり、電気化学酸化の対象領域での反応が気泡によって抑制されるのを防止することができ、対象領域に形成されるシリコン酸化膜52,64の面内ばらつきを小さくすることができる。また、陰極33に付着した気泡によって上記電圧検出手段による検出電圧が上昇するのを防止することができるので、シリコン酸化膜52,64の絶縁耐圧の低下を防止することができる。なお、本実施形態では、上述のナノ結晶化プロセスを行うことによって形成される複合ナノ結晶層4においてグレイン51、シリコン微結晶63以外の領域はアモルファスシリコンからなるアモルファス領域となっており、強電界ドリフト層6においてグレイン51、シリコン微結晶63、各シリコン酸化膜52,64以外の領域がアモルファスシリコン若しくは一部が酸化したアモルファスシリコンからなるアモルファス領域65となっているが、ナノ結晶化プロセス(陽極酸化処理)の条件によってはアモルファス領域65が孔となり、このような場合の複合ナノ結晶層4は従来例と同様に多孔質多結晶シリコン層とみなすことができる。
【0034】
以上説明した製造方法によれば、強電界ドリフト層6を形成する際のナノ結晶化プロセスにおいて、通電中に被処理物30における多結晶シリコン層3の主表面に電気化学反応によって発生した気泡が付着しても速やかに脱離するので、多結晶シリコン層3の主表面に付着した気泡がマスクとなって陽極酸化の反応が抑制されるのを防止することができ、陽極酸化の対象領域に形成されるシリコン微結晶63の結晶粒径や分布の面内ばらつきを小さくすることができるから、結果的にエミッション電流Ieの面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができる。また、酸化プロセスにおいて、通電中に被処理物30における複合ナノ結晶層4の主表面に電気化学反応によって発生した気泡が付着しても速やかに脱離するので、複合ナノ結晶層4の主表面に付着した気泡がマスクとなって電気化学酸化の反応が抑制されるのを防止することができ、電気化学酸化の対象領域に形成されるシリコン酸化膜52,64の膜厚や膜質の面内ばらつきを小さくすることができるから、結果的に絶縁耐圧の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができる。しかも、通電中に陰極33の表面に付着した気泡によって上記電圧検出手段による検出電圧が上昇するのを防止することができるので、シリコン酸化膜52,64の絶縁耐圧の低下を防止することができ、結果的にロット間での絶縁耐圧のばらつきを小さくすることができる。
【0035】
なお、本実施形態における陽極酸化装置では、電解液Bを攪拌するための攪拌装置を設ける必要がないので、従来に比べて処理槽31を小型化することができ、電解液Bの温度制御も容易になる。
【0036】
(実施形態2)
実施形態1では図1に示す構成の陽極酸化装置を用いていたが、本実施形態では、図6に示すような陽極酸化装置を用いて被処理物30における多結晶シリコン層3の陽極酸化を行い、さらに、複合ナノ結晶層4の電気化学酸化を行っている。なお、図6に示す陽極酸化装置において実施形態1における陽極酸化装置と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、電界放射型電子源10の構成および動作は実施形態1と同じなので図示および説明を省略する。また、電界放射型電子源10の製造方法は基本的には実施形態1で説明した製造方法と同じなので説明を省略する。
【0037】
本実施形態における陽極酸化装置では、処理槽31内の電解液Bを汲み上げるポンプ37を備えており、陽極と陰極33との間に通電しているときに、ポンプ37にて汲み上げた電解液Bをノズル(図示せず)から陰極33および被処理物30における半導体層(多結晶シリコン層3、複合ナノ結晶層4)の主表面に向けて噴射するようになっている。なお、本実施形態では、ノズルを動かすことによって陰極33の表面全体、被処理物30における半導体層の主表面の全体に電解液Bを噴射するようにしてある。
【0038】
しかして、本実施形態においても、実施形態1と同様、強電界ドリフト層6を形成する際のナノ結晶化プロセスにおいて、通電中に被処理物30における多結晶シリコン層3の主表面に電気化学反応によって発生した気泡が付着しても速やかに脱離するので、多結晶シリコン層3の主表面に付着した気泡がマスクとなって陽極酸化の反応が抑制されるのを防止することができ、陽極酸化の対象領域に形成されるシリコン微結晶63の結晶粒径や分布の面内ばらつきを小さくすることができるから、結果的にエミッション電流Ieの面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができる。また、酸化プロセスにおいて、通電中に被処理物30における複合ナノ結晶層4の主表面に電気化学反応によって発生した気泡が付着しても速やかに脱離するので、複合ナノ結晶層4の主表面に付着した気泡がマスクとなって電気化学酸化の反応が抑制されるのを防止することができ、電気化学酸化の対象領域に形成されるシリコン酸化膜52,64の膜厚や膜質の面内ばらつきを小さくすることができるから、結果的に絶縁耐圧の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができる。しかも、通電中に陰極33の表面に付着した気泡によって上記電圧検出手段による検出電圧が上昇するのを防止することができるので、シリコン酸化膜52,64の絶縁耐圧の低下を防止することができ、結果的にロット間での絶縁耐圧のばらつきを小さくすることができる。また、本実施形態では、半導体層の主表面に向けて電解液Bを噴射することによって半導体層の主表面から気泡を脱離させるので、半導体層の主表面に付着した気泡をより確実に脱離させることができる。
【0039】
【発明の効果】
請求項1の発明は、下部電極と、下部電極に対向する表面電極と、下部電極と表面電極との間に介在しナノメータオーダの多数の半導体微結晶および各半導体微結晶それぞれの表面に形成され半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜よりなる多数の絶縁膜を有する強電界ドリフト層とを備え、下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加することにより下部電極から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、強電界ドリフト層を形成するにあたっては、半導体層を陽極酸化してナノメータオーダの多数の半導体微結晶を形成するナノ結晶化工程において陽極と陰極との間への通電中に陽極を振動させることで若しくは半導体層の主表面に電解液を噴射することで半導体層に付着した気泡を脱離させるようにした陽極酸化方法により下部電極を陽極としてナノメータオーダの多数の半導体微結晶を有する結晶層を形成し、当該結晶層からなる半導体層を酸化する酸化工程において、電気化学酸化の対象となる半導体層の主表面とは反対側の電極を陽極として、電解液中で半導体層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体層を電気化学的に酸化するようにし、陽極と陰極との間の電圧が処理開始時の電圧から所望の電圧値だけ上昇した時点で酸化処理を終了する電気化学的酸化方法であって、通電中に半導体層の主表面に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陽極を振動させることにより脱離させるとともに、通電中に陰極に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陰極を振動させることにより脱離させる電気化学酸化の対象となる半導体層の主表面とは反対側の電極を陽極として、電解液中で半導体層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体層を電気化学的に酸化するようにし、陽極と陰極との間の電圧が処理開始時の電圧から所望の電圧値だけ上昇した時点で酸化処理を終了する電気化学的酸化方法であって、通電中に半導体層の主表面に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陽極を振動させることにより脱離させるとともに、通電中に陰極に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陰極を振動させることにより脱離させる電気化学酸化方法により下部電極を陽極とし絶縁膜を形成するので、ナノ結晶化工程において、陽極酸化の対象領域に形成される半導体微結晶の結晶粒径や分布の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができるから、結果的にエミッション電流の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができ、また、酸化工程において、通電中に半導体層の主表面および陰極の表面に付着した気泡を速やかに脱離させることができるので、電気化学酸化の対象領域での反応が半導体層の主表面に付着した気泡によって抑制されるのを防止することができて電界放射型電子源の特性の面内ばらつきを小さくすることができ、しかも、陰極に付着した気泡によって陽極と陰極との間の電圧が上昇するのを防止することができ、酸化膜の絶縁耐圧の低下を防止することができるので、従来に比べてエミッション電流および絶縁耐圧それぞれの面内ばらつきが小さな電界放射型電子源を提供することができるという効果がある。
【0040】
請求項2発明は、下部電極と、下部電極に対向する表面電極と、下部電極と表面電極との間に介在しナノメータオーダの多数の半導体微結晶および各半導体微結晶それぞれの表面に形成され半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜よりなる多数の絶縁膜を有する強電界ドリフト層とを備え、下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加することにより下部電極から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、強電界ドリフト層を形成するにあたっては、半導体層を陽極酸化してナノメータオーダの多数の半導体微結晶を形成するナノ結晶化工程において陽極と陰極との間への通電中に陽極を振動させることで若しくは半導体層の主表面に電解液を噴射することで半導体層に付着した気泡を脱離させるようにした陽極酸化方法により下部電極を陽極としてナノメータオーダの多数の半導体微結晶を有する結晶層を形成し、当該結晶層からなる半導体層を酸化する酸化工程において、電気化学酸化の対象となる半導体層の主表面とは反対側の電極を陽極として、電解液中で半導体層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体層を電気化学的に酸化するようにし、陽極と陰極との間の電圧が処理開始時の電圧から所望の電圧値だけ上昇した時点で酸化処理を終了する電気化学的酸化方法であって、通電中に半導体層の主表面に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は半導体層の主表面に向けて電解液を噴射することにより脱離させるとともに、通電中に陰極に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陰極に向けて電解液を噴射することにより脱離させる電気化学酸化方法により下部電極を陽極とし絶縁膜を形成するので、ナノ結晶化工程において、陽極酸化の対象領域に形成される半導体微結晶の結晶粒径や分布の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができるから、結果的にエミッション電流の面内ばらつきを従来に比べて小さくすることができ、また、酸化工程において、通電中に半導体層の主表面および陰極の表面に付着した気泡を速やかに脱離させることができるので、電気化学酸化の対象領域での反応が半導体層の主表面に付着した気泡によって抑制されるのを防止することができて電界放射型電子源の特性の面内ばらつきを小さくすることができ、しかも、陰極に付着した気泡によって陽極と陰極との間の電圧が上昇するのを防止することができ、酸化膜の絶縁耐圧の低下を防止することができるので、従来に比べてエミッション電流および絶縁耐圧それぞれの面内ばらつきが小さな電界放射型電子源を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1における陽極酸化装置の概略構成図である。
【図2】 同上における電界放射型電子源の概略断面図である。
【図3】 同上における電界放射型電子源の動作説明図である。
【図4】 同上における電界放射型電子源の動作説明図である。
【図5】 同上における電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図6】 実施形態2における陽極酸化装置の概略構成図である。
【図7】 従来例の陽極酸化装置の概略構成図である。
【符号の説明】
30 被処理物
31 処理槽
32 電源
33 陰極
B 電解液

Claims (2)

  1. 下部電極と、下部電極に対向する表面電極と、下部電極と表面電極との間に介在しナノメータオーダの多数の半導体微結晶および各半導体微結晶それぞれの表面に形成され半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜よりなる多数の絶縁膜を有する強電界ドリフト層とを備え、下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加することにより下部電極から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、強電界ドリフト層を形成するにあたっては、半導体層を陽極酸化してナノメータオーダの多数の半導体微結晶を形成するナノ結晶化工程において陽極と陰極との間への通電中に陽極を振動させることで若しくは半導体層の主表面に電解液を噴射することで半導体層に付着した気泡を脱離させるようにした陽極酸化方法により下部電極を陽極としてナノメータオーダの多数の半導体微結晶を有する結晶層を形成し、当該結晶層からなる半導体層を酸化する酸化工程において、電気化学酸化の対象となる半導体層の主表面とは反対側の電極を陽極として、電解液中で半導体層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体層を電気化学的に酸化するようにし、陽極と陰極との間の電圧が処理開始時の電圧から所望の電圧値だけ上昇した時点で酸化処理を終了する電気化学的酸化方法であって、通電中に半導体層の主表面に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陽極を振動させることにより脱離させるとともに、通電中に陰極に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陰極を振動させることにより脱離させる電気化学酸化方法により下部電極を陽極とし絶縁膜を形成することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法
  2. 下部電極と、下部電極に対向する表面電極と、下部電極と表面電極との間に介在しナノメータオーダの多数の半導体微結晶および各半導体微結晶それぞれの表面に形成され半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜よりなる多数の絶縁膜を有する強電界ドリフト層とを備え、下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加することにより下部電極から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の製造方法であって、強電界ドリフト層を形成するにあたっては、半導体層を陽極酸化してナノメータオーダの多数の半導体微結晶を形成するナノ結晶化工程において陽極と陰極との間への通電中に陽極を振動させることで若しくは半導体層の主表面に電解液を噴射することで半導体層に付着した気泡を脱離させるようにした陽極酸化方法により下部電極を陽極としてナノメータオーダの多数の半導体微結晶を有する結晶層を形成し、当該結晶層からなる半導体層を酸化する酸化工程において、電気化学酸化の対象となる半導体層の主表面とは反対側の電極を陽極として、電解液中で半導体層の主表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体層を電気化学的に酸化するようにし、陽極と陰極との間の電圧が処理開始時の電圧から所望の電圧値だけ上昇した時点で酸化処理を終了する電気化学的酸化方法であって、通電中に半導体層の主表面に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は半導体層の主表面に向けて電解液を噴射することにより脱離させるとともに、通電中に陰極に付着した気泡を、陽極と陰極との間に通電している間は陰極に向けて電解液を噴射することにより脱離させる電気化学酸化方法により下部電極を陽極とし絶縁膜を形成することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
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