JP4320374B2 - 医療用カテーテルの硬さを補強し、医療用カテーテルを小腸へ誘導するためのサポートチューブ - Google Patents
医療用カテーテルの硬さを補強し、医療用カテーテルを小腸へ誘導するためのサポートチューブ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、経鼻的に挿入される医療用カテーテルの外筒として、医療用カテーテルの進行とともに医療用カテーテルをサポートするように挿入していくサポートチューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は医療用カテーテルを十二指腸以下に挿入するためには先導子のように錘のついたイレウスチューブを用いて体位変換などによって幽門輪を越えさせて挿入している。サポートチューブに類似するものとして特開昭60−222067号公報のようにガイドワイヤーのかわりに腰を強くするためにカテーテルを引裂き線の入ったシースに入れて挿入していく方法がある。これは硬質のシースに入った軟性のカテーテルを挿入していき、目的のところまで挿入した段階でシースを鼻腔外で引き裂きつつ除去していくものである。また特開2001−212245号公報のように補強材を有する屈曲の起こらないチューブで、内視鏡に被せて挿入する大腸のスライディングチューブの如きガイドチューブがある。これはあらかじめガイドチューブを被せてある内視鏡を経口的に挿入し、十二指腸にまで挿入した段階で内視鏡を抜去しガイドチューブ内に医療用カテーテルを挿入するものである。
【0003】
【従来の技術の問題点】
従来はイレウスチューブgなどの医療用カテーテルを単体で挿入する際に、胃でカテーテルがとぐろをまいたりたわんだりして十二指腸以下に挿入が困難であった(図6)。カテーテルを挿入しやすくするため、特開昭60−222067号公報では軟性のカテーテルを留置する際、全長にわたり硬質のシースに入れて腰を強くしている。これによりカテーテルがとぐろを巻くことは少なくなるがこのシースから軟質のカテーテルは先端が出ることはなく、カテーテル自体に操作性がないため十二指腸から空腸への挿入性が良くなることはない。また特開2001−212245号公報でのガイドチューブでは内視鏡を併用すれば胃でとぐろを巻かずスムースにカテーテルを挿入することが可能である。しかしながらガイドチューブ内をカテーテル等の治療用具のみならず内視鏡などの検査用器具も通過するため、かなり大きな口径となる。またこのガイドチューブは経口的に挿入されるもので医療用カテーテルを経鼻的に何らかの方法で入れ替えねばならず、操作が繁雑だった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来の間題点を解決し、十二指腸へ医療用カテーテルを進める際の操作性を良好とし経鼻的にも行える、患者への負担が少ない操作で簡単に目的部位まで到達できるサポートチューブを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明のサポートチューブ本体1は医療用カテーテルよりも短く、その内腔に医療用カテーテルを通して用いる。医療用カテーテルを先に経鼻的に挿入し、胃まで到達したところでサポートチューブを追従するように挿入する。このことで医療用カテーテルを更に挿入していく際の鼻腔の摩擦による患者の苦痛は軽減する。
【0006】
更に医療用カテーテルを十二指腸下行脚まで進め、サポートチューブを追従させ、サポートチューブの最終到達点である十二指腸下行脚に挿入した段階でサポートチューブ先端にあるバルーンを膨らませることで十二指腸に固定可能である(図9)。
【0007】
また医療用カテーテルが目的の腸管まで到達した段階で、サポートチューブの役割は果たしたこととなり不要となる。その時点でサポートチューブを鼻腔より引き抜いて除去する。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。図1はサポートチューブの長軸方向の形状を示す長さを一部略した全体側面図、図2はバルーンルーメンを含む縦断面(図4におけるB−B線での縦断面図)、図3は注入ルーメンを含む縦断面(図4におけるC−C線での縦断面図)である。図4・5は図1・2・3におけるA−A線での横断面図である。図7・8・9は実際に体内に挿入して操作する際の作用説明図である。
【0009】
サポートチューブ本体1はシリコーンゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、金属など、イレウスチューブなどの医療用カテーテルより硬い医療用具に適した材質からなる。外形は約7〜9mm、長さは約700〜1000mmのチューブ状の形態をしている。先端付近にバルーン3が設けられている。手元側にバルーン逆流防止弁付き注入口6とメインルーメン注入口5が設けられている。
【0010】
サポートチューブ本体1のメインルーメン2・4・7にはイレウスチューブなどの医療用カテーテルを通すことが出来るようになっている。本体1の先端付近は緩いS字型カーブをしており先端はカーブのかかった方向に45度くらい斜めに切断されている。断端付近にバルーン3を有している。
【0011】
バルーン逆流防止弁付き注入口6から空気あるいは水を注入するとバルーンルーメン8を通してバルーン3が膨らみ十二指腸にサポートチューブは固定される。またメインルーメン注入口5があり水やオリーブオイルを注入すると注入ルーメン9から注入ルーメン側孔10を通してメインルーメン7に注入されメインルーメンに挿入されているイレウスチューブなどの医療用カテーテルとサポートチューブの摩擦を軽減することが出来る。
【0012】
先端付近にはバルーン3がついており十二指腸下行脚に挿入された際に約20〜60ccの空気あるいは水を注入し十二指腸にサポートチューブを固定出来る(図9)。サポートチューブ全長にわたり引き裂き線11が備えられており、容易に引き裂いてメインルーメン2・4・7内に留置されている医療用カテーテルを除去することが可能である。
【0013】
具体的な挿入方法としてはサポートチューブのメインルーメン2・4・7にあらかじめイレウスチューブなどの医療用カテーテルを通しておく。医療用カテーテルを先に経鼻的に挿入し、胃aまで到達したところでサポートチューブを追従するように挿入する。このことで以降イレウスチューブなどの医療用カテーテルを挿入したりする操作で鼻粘膜が擦れることによる疼痛を軽減することが出来る。
【0014】
このサポートチューブを用いるために使用する医療用カテーテルは特開2002−126087号公報のように医療用カテーテルの先端にバルーンが付いているものを用いるのが望ましく、以下にサポートチューブと特開2002−126087号公報の医療用カテーテルを併用した場合の使用法について述べる。サポートチューブ本体1の先端付近の緩いS字型カーブを利用して医療用カテーテルを幽門方向に進める。医療用カテーテルhの先端が幽門輪bを越えて十二指腸内に進み医療用カテーテルの先端バルーンをi十二指腸球部c内で膨張できるようになった時点で医療用カテーテルの先端バルーンiを膨張させ、医療用カテーテルを十二指腸に固定する(図7)。医療用カテーテルをガイドワイヤーのように利用し、サポートチューブを幽門輪まで進めていく(図8)。医療用カテーテルの先端バルーンiを虚脱させつつサポートチューブを時計方向に180°くらい回転させつつ押し込むとサポートチューブの先端は十二指腸下行脚d方向に向く。十二指腸下行脚dでサポートチューブのバルーン3を膨張させ今度はサポートチューブを十二指腸下行脚dに固定する。次に医療用カテーテルの先端バルーンiをさらに虚脱させて奥の小腸に挿入する。
【0015】
予定の小腸まで挿入したところで医療用カテーテルの後方バルーンjを膨張させる(図9)。これでサポートチューブは不要となるので鼻腔より抜去する。抜去しつつサポートチューブを引き裂き線11より割っていき医療用カテーテルより除去する。
【0016】
本実施例は好ましい一例を示したに過ぎず、サポートチューブの先端の形状の変更、バルーンの有無、注入ルーメンの有無、バルーンやサポートチューブ本体にX線不透過の材料を練り込みX線透視にて確認出来るようにする事や、サポートチューブ本体の親水性コーティングなどは適宜変更可能である。またメインルーメンの内腔側に親水性のコーティングを施したり、ブラシのような突起を設けて医療用カテーテルとの摩擦を軽減する等も適宜変更可能である。またサポートチューブの本体全長にわたって引き裂き線のかわりにメインルーメン7との間に亀裂12をつけて医療用カテーテルより除去しやすいようにしたり再生利用することも出来る(図5)。また鼻翼にサポートチューブを粘着テープなどで固定する装置を付けることも可能である。
【0017】
【発明の効果】
本発明は以上のようであって、胃での医療用カテーテルのたわみを作ることなく十二指腸から空腸へスムースに進むことが出来、患者への負担が少ない単純な操作で医療用カテーテルを進めることが出来るサポートチューブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のサポートチューブの長軸方向の形状を示す長さを一部省略した全体側面図である。
【図2】図1のメインルーメン・バルーンルーメンを含む縦断面図である。図4のB−B線での縦断面図である。
【図3】図1のメインルーメン・注入ルーメンを含む縦断面図である。図4のC−C線での縦断面図である。
【図4】サポートチューブ本体の横断面図である。図1のA−A線での横断面図である。
【図5】バルーンがなくサポートチューブ本体に亀裂が入っている場合のサポートチューブ本体の横断面図である。図1のA−A線での横断面図である。
【図6】従来の医療用バルーン付きカテーテルのみの場合の胃・十二指腸における作用説明図である。
【図7】実施例のサポートチューブと特開2002−126087号公報の医療用カテーテルを併用した場合の胃・十二指腸における作用説明図である。十二指腸球部で医療用カテーテルのバルーンを膨らませサポートチューブを追従させていく状態を示す。
【図8】実施例のサポートチューブと特開2002−126087号公報の医療用カテーテルを併用した場合の胃・十二指腸における作用説明図である。十二指腸球部で医療用カテーテルのバルーンを虚脱させながらサポートチューブを時計方向に回転させ十二指腸球部に挿入していく状態を示す。
【図9】実施例のサポートチューブと特開2002−126087号公報の医療用カテーテルを併用した場合の胃・十二指腸における作用説明図である。サポートチューブを十二指腸下行脚に挿入しバルーンを膨らませて固定し、医療用カテーテルを空腸まで挿入しバルーンを膨らませて医療用カテーテルの挿入を終了した状態を示す。
【図10】鼻腔にサポートチューブを挿入し更にその中に医療用カテーテルを通した外観を示す。
【符号の説明】
1 サポートチューブ本体
2、4、7 メインルーメン
3 バルーン
5 メインルーメン注入口
6 バルーン逆流防止弁付き注入口
8 バルーンルーメン
9 注入ルーメン
10 注入ルーメン側孔
11 引き裂き線
12 亀裂
a 胃
b 幽門輪
c 十二指腸球部
d 十二指腸下行脚
e トライツ靱帯
f 空腸
g イレウスチューブ
h 特開2002−126087号公報の医療用カテーテル
i 特開2002−126087号公報の先端バルーン
j 特開2002−126087号公報の後方バルーン
Claims (1)
- イレウスチューブなどの医療用カテーテルを内視鏡を用いなくても、胃から容易に小腸まで挿入を可能にするS字型の形状をしたサポートチューブであって、
医療用カテーテルの外筒として医療用カテーテルを補強することにより胃でのとぐろ・屈曲を防ぎ、経鼻的に医療用カテーテルと共に十二指腸まで挿入するサポートチューブ。
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