JP4320365B2 - ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
ベンゾオキサジン環は、ベンゼン環とオキサジン環との複合構造環であり、下記式(I)で表される構造を有している。
式(I):
(式(I)中、R1は、任意の有機基を示す。)
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、合成時の発熱による反応の急激な進行と、反応の急激な進行に伴う反応溶液のゲル化及び反応生成物の不溶化と、を抑えるため、予め、有機溶剤の中に、フェノール類及びパラホルムアルデヒドを添加し、温度調節を行った後に、モノアミン類を少しずつ添加する工程が採られている。そのため、温度調節器や滴下ポンプといった設備が必要となり、合成プロセスが複雑化する。さらに、合成時の温度制御にも多大なる注意を払う必要がある。
[1]
二官能フェノール化合物、ジアミン化合物及びアルデヒド化合物を芳香族系の非極性溶媒とアルコールとの混合溶媒中で反応させる、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法。
[2]
前記二官能フェノール化合物と、前記ジアミン化合物と、前記アルデヒド化合物と、前記混合溶媒と、を混合して混合溶液を調製する工程と、
前記混合溶液を加温処理する工程と、
を含む、前記[1]に記載の製造方法。
[3]
前記ジアミン化合物が直鎖脂肪族ジアミン化合物である、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
前記ジアミン化合物が芳香族ジアミン化合物である、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[5]
前記混合溶媒中の前記アルコールの割合が、5体積%〜25体積%である、前記[1]〜[4]の何れか1項に記載の製造方法。
[6]
反応中に生成する水を留去する工程、をさらに含む、前記[1]〜[4]の何れか1項に記載の製造方法。
[7]
前記混合溶媒中の前記アルコールの割合が、5体積%〜40体積%である、前記[6]に記載の製造方法。
[8]
前記芳香族系の非極性溶媒が、トルエン、キシレン又はこれらの混合物である、前記[1]〜[7]の何れか1項に記載の製造方法。
[9]
前記アルコールは、前記芳香族系の非極性溶媒よりも沸点が低いアルコールである、前記[1]〜[8]の何れか1項に記載の製造方法。
[10]
前記アルコールが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール及びイソブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]〜[9]の何れか1項に記載の製造方法。
[11]
単官能フェノール化合物をさらに添加して反応させる、前記[1]〜[10]の何れか1項に記載の製造方法。
[12]
反応後に、塩基性水溶液で洗浄する工程を、さらに含む、前記[1]〜[11]の何れか1項に記載の製造方法。
[13]
前記[1]〜[12]の何れか1項に記載の製造方法により得られる、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂。
[14]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られるポリスチレン換算値での重量平均分子量(Mw)が2000以上500000以下である、前記[13]に記載のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂。
また、本発明によれば、高分子量化されたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が得られる製造方法を提供することができる。
下記式(II)、(III)及び(IV)で表される化合物は、各ヒドロキシル基の2つのオルト位のうち、少なくとも1つのオルト位に水素原子を有することが必要である。
(式(II)中、Xは、直接結合手(原子もしくは原子団が存在しない)、またはヘテロ元素もしくは官能基を含んでいてもよい脂肪族、脂環式又は芳香族の有機基を示す。)
群A:
(群A中、*は上記式(II)におけるベンゼン環への結合部位を示す。)
本実施の形態において、二官能フェノール化合物は、単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。
式(V)
H2N−R2−NH2
(R2は、炭素数2〜30のヘテロ元素を含んでいてもよい脂肪族、脂環式又は芳香族の有機基を示す。)
ジアミン化合物は置換基としてアルキル基等を有していてもよいが、ハロゲンが存在すると、最終的に得られる熱硬化性樹脂の絶縁性が低下するおそれがあるため、ハロゲン原子が含まれていないことが好ましい。
(式(VI)中、Yは、直接結合手(原子もしくは原子団が存在しない)、またはヘテロ元素もしくは官能基を含んでいてもよい脂肪族、脂環式又は芳香族の有機基を示す。)
群B:
(群B中、*は上記式(VI)、におけるベンゼン環への結合部位を示す。)
本実施の形態において、ジアミン化合物は、単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。
ジアミン化合物の使用量が1.20molを超えると、反応溶液がゲル化する傾向にあり、ジアミン化合物の使用量が0.90mol未満であると、未反応の二官能フェノール化合物類が残存する傾向にある。
アルデヒド化合物の使用量が6.5molを超えると、残存されるアルデヒド化合物が、人体及び環境に与える負荷が多大となる傾向にあり、アルデヒド化合物の使用量が4.0mol未満であると、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が高分子量化しにくくなる傾向にある。
単官能フェノール化合物を併用した場合、反応性末端がベンゾオキサジン環で封止された重合体が生成することになる。その結果、合成反応中の分子量の制御が可能であり、溶液のゲル化を防ぐことができる。また、反応性末端の封止は、得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の保存安定性も向上させ、不溶化を防止することができる。
単官能フェノール化合物としては、汎用性、コストの面からフェノールが好ましい。
単官能フェノール化合物の使用量が二官能フェノール化合物1.00molに対して0.50molを超えると、合成反応中にベンゾオキサジン環構造を有する熱硬化性樹脂の分子量が増大しにくくなり、また、多量の単官能フェノール化合物が残存する傾向がある。
芳香族系の非極性溶媒は、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数が4以下のアルコールが挙げられ、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール等が好ましい。
アルコールは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
(a)前記二官能性フェノール化合物と、前記ジアミン化合物と、前記アルデヒド化合物と、前記混合溶媒と、を添加混合して混合溶液を調整する工程と、
(b)混合溶液を加温処理する工程と、を含むベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法であることが好ましい。
(a)工程は、芳香族系の非極性溶媒と、アルコールと、二官能フェノール化合物と、ジアミン化合物と、アルデヒド化合物を添加混合して混合溶液を調製する工程である。
アルコールの割合が5体積%未満であると、アルコールによる反応抑制効果が小さくなり、反応溶液のゲル化及び合成物であるベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の不溶化のリスクが高まるおそれがある。アルコールの割合が25体積%を超えると、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応に長時間を要することとなり、合成効率が低下するおそれがある。
(b)工程は、上記(a)工程により調製した混合溶液を、加温処理する工程である。
加温処理の際の所定の温度は、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応の効率化が図られる温度であれば、特に限定されない。反応溶液温度が、例えば、50℃〜130℃となるように調節することが好ましい。
反応溶液温度が50℃未満では、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応が遅くなり、合成効率が低下するおそれがある。反応溶液温度が130℃を越えると、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応時に、反応溶液のゲル化及び合成物であるベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の不溶化のリスクが高まるおそれがある。
混合溶液の加温処理を行っている間は、混合溶媒を還流させてもよい。
本実施の形態のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法においては、(c)生成する水を留去する工程をさらに含んでいてもよい。
本実施の形態において、反応により生成する水を留去することで、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応時間を短縮させることが可能となり、反応の効率化を図ることができる。
生成する水の留去は、特に限定されるものではないが、反応溶液中の混合溶媒と共沸させることにより行うことができ、例えば、コック付きの等圧滴下ロート、ジムロート冷却器、ディーン・スターク装置等を用いることで生成する水の留去を行うことができる。
本実施の形態のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法が、(d)反応後に、塩基性水溶液で洗浄する工程を、さらに含んでいてもよい。
(d)工程をさらに含むことにより、反応溶液から未反応の二官能フェノール化合物や単官能フェノール化合物を取り除くことができる。
(d)工程の塩基性水溶液による洗浄に次いで、蒸留水等で数回洗浄することにより、ナトリウムイオン等の塩基性水溶液由来のイオンを取り除くこともできる。
塩基性化合物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
塩基性化合物として、汎用性という観点から、水酸化ナトリウムが好ましい。
また、反応溶液を冷却後、反応装置中に塩基性水溶液を添加して攪拌することにより洗浄を行い、その後、静置することで反応溶液層と塩基性水溶液層を分離させることができる。
塩基性水溶液による洗浄回数は、1回以上であれば特に限定されない。
水での洗浄は、塩基性水溶液由来のイオンを除去することができれば特に限定されないが、1回以上行うことが好ましく、2回以上行うことがより好ましい。
本実施の形態における高分子量化されたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂とは、競争的にベンゾオキサジン環の開環反応が進行し、三次元架橋構造を形成して高分子量化することなく、プレポリマータイプのベンゾオキサジン化合物、すなわち、ベンゾオキサジン環を有する構造を繰り返し単位として有するまま、高分子量化した熱硬化性樹脂を指す。
Mwが2000未満であると、その後の開環反応により得られる最終製品の耐熱性、可撓性が低下し、さらに、合成されたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の回収作業性が低下する傾向がある。
本実施の形態において、重量平均分子量(Mw)は、以下の実施例に記載する方法により測定することができる。
本実施の形態のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、以下の実施例に記載される定量分析により測定されるハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましい。
本実施の形態において、ゲル化しておらず、ハロゲンを含有しないベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。
ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂組成物は、前記混合溶媒を含んでいてもよい。
ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂組成物は、開環反応させることより、積層板や半導体封止材等のエレクトロニクス材料、摩擦材や砥石等の結合材として好適に用いることができる。
高速液体クロマトグラフシステム、メーカー:SHIMADZU
システムコントローラー:SCL−10A VP
送液ユニット:LC−10AD
VPデガッサー:DGU−12A
示差屈折計(RI)検出器:RID−10A
オートインジェクター:SIL−10AD VP
カラムオーブン:CTO−10AS VP
カラム:SHODEX KF804L(排除限界分子量400000)×2(直列)
カラム温度:40℃
流量:1ml/分
溶離液:THF(和光純薬工業株式会社製、安定剤不含、HPLC用)
サンプル:0.7質量%
検出器:RI
を使用した。
Mw(Mw/Mn)が、それぞれ、354000(1.02)、189000(1.04)、98900(1.01)、37200(1.01)、17100(1.02)、9830(1.02)、5870(1.05)、2500(1.05)、1050(1.13)、500(1.14)300(1.20)の標準ポリスチレンにより検量線を作成した。
標準ポリスチレン換算により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られたポリスチレン換算値での重量平均分子量(Mw)を測定した。
混合溶媒としてトルエン(和光純薬工業株式会社製) 150mL及びメタノール(和光純薬工業株式会社製) 50mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、ビスフェノールA(日本ジーイープラスチックス株式会社製) 15.98g(0.07mol)、1,6−ジアミノヘキサン(東レ株式会社製) 8.14g(0.07mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学株式会社製、91.60%) 9.63g(0.29mol)を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が入ったフラスコを、温度が80℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。還流開始から1時間後、反応中に生成した水を、トルエン、メタノールと共沸させることで系外に留去した。
留去開始後から4時間反応を進行させた後に、フラスコを油浴中から開放し、得られた反応溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶液を、1Lのメタノール(和光純薬工業株式会社製)中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られたポリスチレン換算値での重量平均分子量(Mw)は5495であった。
混合溶媒をトルエン 300mL及びメタノール 75mLにした以外は、実施例1と同様の方法により、全ての原料が混合された混合溶液を得た。混合溶媒が入ったフラスコを、温度が80℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。還流開始から1時間後、反応中に生成した水を、トルエン、メタノールと共沸させることで系外に留去した。留去開始後から5.5時間反応を進行させた後に、フラスコを油浴中から開放し、得られた反応溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶液を、2Lのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは5781であった。
混合溶媒をトルエン 150mL及びエタノール(和光純薬工業株式会社製) 75mLにした以外は、実施例1と同様の方法により、全ての原料が混合された混合溶液を得た。混合溶液が入ったフラスコを、温度が90℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。還流開始から4時間後、反応中に生成した水を、トルエン、エタノールと共沸させることで系外に留去した。留去開始後から5時間反応を進行させた後に、フラスコを油浴中から開放し、得られた反応溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶液を、1Lのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは4307であった。
混合溶媒としてトルエン 35mL及びイソブタノール(三菱化学株式会社製) 15mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた250mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、ビスフェノールA 3.17g(0.014mol)、1,12−ジアミノドデカン(小倉合成工業株式会社製) 1.45g(0.007mol)、TCDジアミン(オクセア社製)1.37g(0.007mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 1.83g(0.056mol)を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が入ったフラスコを、温度が120℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。還流開始から4時間後、反応中に生成した水を、トルエン、イソブタノールと共沸させることで系外に留去した。
留去開始後から4時間反応を進行させた後に、フラスコを油浴中から開放し、得られた反応溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶液を、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは23209であった。
混合溶媒としてトルエン 16mL及びイソブタノール 4mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた50mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、ビスフェノールA 1.37g(0.006mol)、1,6−ジアミノヘキサン 0.70g(0.006mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 0.83g(0.025mol)を、フラスコ内に室温下で一括して添加混合し、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が入ったフラスコを、温度が120℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。
還流開始から6時間反応を進行させた後に、フラスコを油浴中から開放し、得られた反応溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶液を、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは11555であった。
混合溶媒としてトルエン 2550mL及びイソブタノール 450mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた10Lの反応装置内に、室温下で一括して添加混合し、その後、ビスフェノールA 274.00g(1.20mol)、1,12−ジアミノドデカン 136.33g(0.66mol)、TCDジアミン 129.18g(0.66mol)、フェノール(和光純薬工業株式会社製) 34.22g(0.36mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 259.50g(7.92mol)を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
窒素ガスを15mL/分の流量で系内にパージさせながら、混合溶液が100℃になるように加熱し、反応を進行させた。6時間還流させた後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。この時点で、反応溶液中に残存しているフェノール量は、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂に対して、1.2%であった。
反応溶液を0.03mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液3Lで2回洗浄し、その後、3Lの蒸留水で2回洗浄した。この時点で、反応溶液中に残存しているフェノール量は、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂に対して、0.1%であった。
得られた反応溶液を、15Lのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは7811であった。
混合溶媒としてトルエン 90mL及びイソブタノール 10mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、ビスフェノールM(三井化学株式会社製) 34.67g(0.10mol)、 ビスアニリンM(三井化学株式会社製) 34.40g(0.10mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、ビスフェノールMとビスアニリンMの溶解を確認後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 13.71g(0.42mol)を、前記フラスコ内に、一括して添加混合した。
混合溶液が入ったフラスコを、110℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から2時間後、反応中に生成した水を、トルエン、イソブタノールと共沸させることで系外に留去した。留去開始後、4時間還流させながら反応を進行させた。その後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。トルエン100mLで反応溶液を希釈し、ろ過した後、1Lのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは7073であった。
混合溶媒としてトルエン 1900mL及びイソブタノール100mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた10lの反応装置内に、室温下で一括して添加混合し、その後、ビスフェノールM 416.31g(1.20mol)、BAPP(和歌山精化工業株式会社製) 513.05g(1.248mol)、フェノール 9.13g(0.096mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 196.28g(5.99mol)を、フラスコ内に、一括して添加混合した。
窒素ガスを15mL/分の流量で系内にパージさせながら、混合溶液を110℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から2時間後、反応中に生成した水を、トルエン、イソブタノールと共沸させることで系外に留去した。留去開始後、6時間還流させながら反応を進行させた。その後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。トルエン1800mLで反応溶液を希釈し、ろ過した後、15Lのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは16228であった。
混合溶媒としてトルエン 190mL及びイソブタノール 10mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、ビスフェノールM 48.57g(0.14mol)、ビスアニリンM 37.63g(0.109mol)、1,12−ジアミノドデカン 7.31g(0.036mol)、フェノール 1.06g(0.011mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 24.33g(0.74mol)を、フラスコ内に、一括して添加混合した。
混合溶液を、110℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から2時間後、反応中に生成した水を、トルエン、イソブタノールと共沸させることで系外に留去した。留去開始後、5時間還流させながら反応を進行させた。その後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。トルエン210mLで反応溶液を希釈し、ろ過した後、スプレードライヤーを用いて、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは17031であった。
実施例1で得られた、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂について、ヤナコ製 SQ−1型/HSU−35型 + ダイオネクス製 ICP−2000型を用いて、自動燃焼ハロゲン・硫黄分析システムにより、Cl(全塩素)の定量分析を行った。
測定試料を加熱した石英燃焼管中で洗浄空気を導入して燃焼させた。生成した燃焼ガスは、吸収ユニット(HSU−35型)で吸収捕獲し、測定液として採取した。測定液は、イオンクロマトグラフにてハロゲン、硫黄を分別定量し、測定試料中の含有量を測定した。
実施例1のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のClの含有量は、10ppm未満であった。
シクロヘキサノン(和光純薬工業株式会社製) 200mLを500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加し、その後、ビスフェノールA 15.98g(0.07mol)、1,6−ジアミノヘキサン 4.07g(0.035mol)、TCDジアミン 6.86g(0.035mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、パラホルムアルデヒド(91.60%)9.63g(0.29mol)を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が入ったフラスコを、温度が70℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。この混合溶液からは、5時間経過後も、高分子量化したベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の生成は確認できなかったため、反応を中断した。
シクロヘキサノン 200mLをジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製) 200mLにした以外は、比較例1と同様の方法により、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が入ったフラスコを、温度が70℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。この混合溶液からは、5時間経過後も、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の生成は確認できなかったため、反応を中断した。
シクロヘキサノン 200mLをトルエン 200mLにした以外は、比較例1と同様の方法により、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が入ったフラスコを、温度が70℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。反応開始から2時間経過後、反応溶液がゲル化したため反応を中断した。
シクロヘキサノン 200mLをトルエン 200mLに、1,6−ジアミノヘキサン 4.07g(0.035mol)、TCDジアミン 6.86g(0.035mol)を1,6−ジアミノヘキサン 8.14g(0.07mol)にした以外は、比較例1と同様の方法により、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が入ったフラスコを、温度が70℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。反応開始から1時間経過後、反応溶液がゲル化したため反応を中断した。
トルエン 155mL及びアセトン(和光純薬工業株式会社製) 65mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、ビスフェノールA 15.98g(0.07mol)、1,6−ジアミノヘキサン 8.14g(0.07mol)をフラスコ内に室温下で一括添加混合した。その後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 9.63g(0.29mol)を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混合させ、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が入ったフラスコを、温度が85℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。還流開始から1時間後に、溶液がゲル化したため反応を中断した。
還流開始と同時に、揮発成分の留去を開始した以外は、比較例5と同様の方法により、原料の調製及び反応を行った。留去開始から1時間後に、溶液がゲル化したため反応を中断した。
トルエン 140mL及びテトラヒドロフラン(THF) 75mLを還流管、コック付の等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、ビスフェノールA 15.98g(0.07mol)、1,6−ジアミノヘキサン 8.14g(0.07mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 9.63g(0.29mol)を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が入ったフラスコを、温度が95℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。還流開始後、6時間反応させたが、高分子量化したベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の生成は確認できなかったため、反応を中断した。
還流開始と同時に、揮発成分の留去を開始した以外は、比較例7と同様の方法により、原料の調製及び反応を行った。留去開始後、6時間反応させたが、高分子量化したベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の生成は確認できなかったため、反応を中断した。
メタノール 200mLを還流管、コック付の等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加し、その後、ビスフェノールA 15.98g(0.07mol)、1,6−ジアミノヘキサン 8.14g(0.07mol)を前記フラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、パラホルムアルデヒド(91.60%)9.63g(0.29mol)を、前記フラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、全ての原料が混合された混合溶液を得た。
混合溶液が混入されたフラスコを、温度が80℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。還流開始後、5時間反応させたが、高分子量化したベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の生成は確認できなかったため、反応を中断した。
クロロホルム(和光純薬工業株式会社製) 200mlを還流管、コック付の等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mlのフラスコ内に、室温下で一括して添加し、その後、ビスフェノールA 14.61g(0.064mol)、1,6−ジアミノヘキサン 7.44g(0.064mol)を前記フラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 8.59g(0.256mol)を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、全ての原料が混合された混合媒体を得た。混合媒体が混入されたフラスコを、温度が75℃に設定された油浴中に浸し、加温することで反応を進行させた。還流開始後、6時間反応後に、フラスコを油浴中から開放し、得られた反応溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶液を、1Lのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは37007であった。
本発明の製造方法によれば、高分子量化されたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法を提供することができるので、積層板や半導体封止材等のエレクトロニクス材料、摩擦材や砥石等の結合材の分野において産業上の利用可能性を有する。
Claims (12)
- 二官能フェノール化合物、ジアミン化合物及びアルデヒド化合物を芳香族系の非極性溶媒とアルコールとの混合溶媒中で反応させる、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法。
- 前記二官能フェノール化合物と、前記ジアミン化合物と、前記アルデヒド化合物と、前記混合溶媒と、を混合して混合溶液を調製する工程と、
前記混合溶液を加温処理する工程と、
を含む、請求項1に記載の製造方法。 - 前記ジアミン化合物が直鎖脂肪族ジアミン化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記ジアミン化合物が芳香族ジアミン化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記混合溶媒中の前記アルコールの割合が、5体積%〜25体積%である、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
- 反応中に生成する水を留去する工程、をさらに含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
- 前記混合溶媒中の前記アルコールの割合が、5体積%〜40体積%である、請求項6に記載の製造方法。
- 前記芳香族系の非極性溶媒が、トルエン、キシレン又はこれらの混合物である、請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
- 前記アルコールは、前記芳香族系の非極性溶媒よりも沸点が低いアルコールである、請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法。
- 前記アルコールが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール及びイソブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜9の何れか1項に記載の製造方法。
- 単官能フェノール化合物をさらに添加して反応させる、請求項1〜10の何れか1項に記載の製造方法。
- 反応後に、塩基性水溶液で洗浄する工程を、さらに含む、請求項1〜11の何れか1項に記載の製造方法。
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