JP2019167427A - オキサジン樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

オキサジン樹脂粒子の製造方法 Download PDF

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剛 高比良
Takeshi Takahira
剛 高比良
村 雅 則 中
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村 雅 則 中
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【課題】炭素繊維束の開繊に適した粒径のオキサジン樹脂粒子の製造方法を提供する。【解決手段】フェノール化合物、アミン化合物、アルデヒド化合物、水、および炭素数1〜6からなる群より選択されるアルコールを含む混合液を調製する工程と、前記混合液中のフェノール化合物、アミン化合物、およびアルデヒド化合物を反応させてオキサジン樹脂粒子を得る工程と、を含む、オキサジン樹脂粒子の製造方法であって、前記混合液中のアルコール濃度を、33質量%以上80質量%未満とする、オキサジン樹脂粒子の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂粒子の製造方法に関し、とりわけオキサジン樹脂粒子の製造方法に関する。
近年、炭素繊維束にマトリックス樹脂を含浸した炭素繊維強化複合体は、軽量でありながら、強度、剛性、寸法安定性などに優れていることから、手提げバッグ等の生活用品、事務機器用途、自動車や飛行機等の輸送用設備用途、コンピュータ用途(例えば、ICトレイ、ノートパソコンの筐体等)、止水板、風車翼等の様々な分野に広く展開され、その需要は年々増加しつつある。
ところで、炭素繊維強化複合体に用いられる強化繊維(炭素繊維等)は、マトリックス樹脂と化学組成および分子構造が異なり、かつマトリックス樹脂との親和性が低いことから、マトリックス樹脂との接着性が低いことが知られている。そのため、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を向上することが課題となっている。現在、市場で採用されている炭素繊維強化複合体に用いられるマトリックス樹脂の大半はエポキシ等の熱硬化性樹脂である。これは、熱硬化性樹脂が低粘度であり、強化繊維への含浸性が高いためである。その反面、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化複合体は、加工性やリサイクル性が低いといった課題を有している。
加工性やリサイクル性等の観点から、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用することが注目されている。しかしながら、熱可塑性樹脂は、粘度が高く、通常の炭素繊維束、特に連続繊維束に含浸させようとすると、十分に樹脂が連続繊維束の間に含浸されず、その結果、十分な機械的強度を有する炭素繊維強化複合体が得られないという問題点があった。
上記課題を解決するために、炭素繊維表面に樹脂との親和性の高いサイジング剤を添加する方法や、物理開繊および化学開繊によって炭素繊維間の間隔を広げる方法により、熱可塑性樹脂と炭素繊維束との接着性を向上させる試みや、熱可塑性樹脂の含浸性を向上させようとする試みが各種検討されている。例えば、特許文献1には、水およびアルコールを含む溶液に水分散性ポリマー粒子を分散させたエマルションに、炭素繊維束を浸漬して乾燥させて得られる炭素繊維束が開示されている。また、特許文献2には、炭素繊維束の表面に微小粒子と小粒子とを付着させる炭素繊維束の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3および特許文献4には、オキサジン樹脂のモノマー溶液に炭素繊維を浸漬し、浸漬後の炭素繊維束を加熱することで炭素繊維表面にスペーサを形成することが開示されている。
特開2013−177705号公報 特開2014−122439号公報 国際公開第2013/027674号 特開2014−162116号公報
特許文献1および特許文献2に開示された炭素繊維束は、炭素繊維束を構成している炭素繊維の表面に合成樹脂粒子を付着させたものであることから、炭素繊維強化複合体を製造する際に熱可塑性樹脂製シートと強化繊維束とを加熱下で加圧すると、合成樹脂粒子が圧壊または溶融し、炭素繊維束を開繊状態に保持することができず、炭素繊維間に熱可塑性樹脂を十分に含浸させることができない場合があった。
一方、特許文献3および特許文献4で提案されている炭素繊維束は、モノマー溶液に炭素繊維束を浸漬した状態でモノマーの重合を行い、炭素繊維表面にオキサジン樹脂を付着させた後、炭素繊維表面の活性点を用いて重合反応を生じさせ、半球状のオキサジン樹脂粒子を製造する。その後、加熱することでオキサジン樹脂を炭化して半球状のスペーサとしたものである。このような炭素繊維束は、熱可塑性樹脂製シートと加熱下で加圧しても、半球状のスペーサが圧壊または溶融せずに、炭素繊維束を開繊状態に保持することができる。しかしながら、上記方法は、炭素繊維表面の活性点を始点に反応を生させるものであるため、スペーサとしてある程度以上の大きさの粒子を得ようとすると、高さ方向(繊維軸に垂直な方向)ではなく、横方向(繊維軸と平行な方向)に粒子の成長が進み、扁平状の粒子が出来てしまうという問題があった。
本発明者らが検討した結果、炭素繊維束内への熱可塑性樹脂の含浸性をさらに向上させるためには、上記したような炭素繊維束中の繊維表面に形成したスペーサの粒径が影響することを見出した。本発明者らがさらに検討した結果、オキサジン樹脂を重合する際に使用するモノマー溶液の組成を調節することにより、溶液内で最適な数の核が生成し、当該核が粒子に成長することで、炭素繊維束の開繊に適した粒径のオキサジン樹脂粒子が得られるとの知見を得た。したがって、本発明の目的は、炭素繊維束の開繊に適した粒径のオキサジン樹脂粒子の製造方法を提供することである。
本発明者等は、フェノール化合物、アミン化合物、アルデヒド化合物、水、およびアルコールを含むモノマー溶液からオキサジン樹脂を得る際に、モノマー溶液のアルコール濃度が特定の範囲内とすることで、上記課題が解決できることを見いだした。即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]フェノール化合物、アミン化合物、アルデヒド化合物、水、および炭素数1〜6からなる群より選択されるアルコールを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液中のフェノール化合物、アミン化合物、およびアルデヒド化合物を反応させてオキサジン樹脂粒子を得る工程と、
を含む、オキサジン樹脂粒子の製造方法であって、
前記混合液中のアルコール濃度を、33質量%以上80質量%未満とする、オキサジン樹脂粒子の製造方法。
[2]前記フェノール化合物が、ナフタレンジオールまたはベンゼンジオールである、[1]に記載の方法。
[3]前記フェノール化合物がナフタレンジオールである、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記アルコールがエタノールである、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記アミン化合物がメチルアミンである、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記アルデヒド化合物がホルムアルデヒドである、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記オキサジン樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上、15μm以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記オキサジン樹脂粒子を炭素繊維の開繊処理に使用する、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]平均粒子径が1μm以上、15μm以下である、オキサジン樹脂粒子。
[10]平均真球度が80以上である、[9]に記載のオキサジン樹脂粒子。
本発明によれば、炭素繊維束の開繊に適した、粒径が大きく、真球状のオキサジン樹脂粒子を、容易に製造することができる。本発明の方法により得られるオキサジン樹脂粒子を炭素繊維束の開繊に適用することで、炭素繊維束の開繊状態が良好に保持されるため、マトリックス樹脂が炭素繊維間に均一に含浸した、機械的強度に優れた繊維強化複合体を実現することができる。
炭素繊維束の一例を示した模式図である。 炭素繊維束の他の一例を示した模式図である。 実施例1で製造されたオキサジン樹脂粒子の顕微鏡写真である。 実施例2で製造されたオキサジン樹脂粒子の顕微鏡写真である。 比較例1で製造されたオキサジン樹脂粒子の顕微鏡写真である。 比較例2で製造されたオキサジン樹脂粒子の顕微鏡写真である。 実施例3で製造された開繊平織物を構成する炭素繊維束の顕微鏡写真である。 実施例3で製造された開繊平織物を構成する炭素繊維束の顕微鏡写真である。 比較例4で製造された開繊平織物を構成する炭素繊維束の顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施する好ましい形態の一例について説明する。ただし、下記の実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではない。
本発明のオキサジン樹脂粒子の製造方法は、フェノール化合物、アミン化合物、アルデヒド化合物、水、および炭素数1〜6からなる群より選択されるアルコールを含む混合液を調製する工程(以下、「混合液調製工程」という場合がある)と、前記混合液中のフェノール化合物、アミン化合物、およびアルデヒド化合物を反応させてオキサジン樹脂粒子を得る工程(以下、「混合液反応工程」という場合がある)とを含むものである。以下、各工程について説明する。
<混合液調製工程>
本発明のオキサジン樹脂粒子の製造方法においては、先ず、フェノール化合物、アミン化合物、アルデヒド化合物、水、および炭素数1〜6からなる群より選択されるアルコールを含む混合液を調製する。混合液中のフェノール化合物、アミン化合物およびアルデヒド化合物は、オキサジン樹脂のモノマーであり、水およびアルコールは当該モノマーの溶媒である。なお、「オキサジン樹脂」とは、ベンゼン環、ナフタレン環に付加しており、酸素および窒素を含む6員環を有する樹脂をいう。ベンゾオキサジン樹脂は、下記の化学式(1)に示す構造を有する。ナフトキサジン樹脂は、下記の化学式(2)に示す構造を有する。
<フェノール化合物>
本発明において使用されるフェノール化合物は、例えば、ナフタレンジオール、ベンゼンジオール等が挙げられ、ナフタレンジオールであることが好ましい。
ナフタレンジオールは、例えば、1,3−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、2,3−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール等が挙げられる。これらのうち、反応性の高さの観点から、1,5−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオールが好ましく、1,5−ナフタレンジオールがより好ましい。
<アルデヒド化合物>
本発明において使用されるアルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒドを好ましく用いることができ、特にホルマリンとして用いることが好ましい。ホルマリンには、ホルムアルデヒドおよび水に加えて、安定剤として少量のメタノールが添加されていてもよい。但し、ホルマリンに含まれる安定剤としてのメタノールは、後記するアルコールの含有量には含めないものとする。ホルムアルデヒドに代えて、パラホルムアルデヒドを用いてもよい。
アルデヒド化合物は、フェノール化合物1モルに対して1.0〜2.4モルであることが好ましい。
<アミン化合物>
本発明において使用されるアミン化合物は、一般式R−NH2で表される脂肪族アミンを好ましく用いることができる。一般式R−NH2において、Rは、炭素数が5以下であるアルキル基であることが好ましい。炭素数が5以下であるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロプロピルエチル基、シクロプロピルメチル基等が挙げられる。炭素数が5以下であるアルキル基としては、メチル基、エチル基およびプロピル基が好ましい。
アミン化合物は、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等が好ましく、メチルアミンがより好ましい。
アミン化合物は、フェノール化合物1モルに対して0.8〜1.2モルであることが好ましい。
<溶媒>
混合液には、上記したモノマー化合物を分散ないし溶解させるための溶媒としてアルコールおよび水を含む。溶媒として使用するアルコールの炭素数は1〜6であり、炭素数2〜4のアルコールを用いることが好ましく、炭素数2〜3のアルコールを用いることがより好ましく、特に、エタノールが好ましい。
本発明においては、混合液中のアルコール濃度を、混合液の全質量に対して、33質量%以上80質量%未満とする。アルコールの濃度を上記範囲とすることにより、炭素繊維束の開繊に適した、粒子が大きく、真球状のオキサジン樹脂粒子が得られることは予想外のことであった。
本発明によれば、粒子どうしの凝集が抑制されて適度に分散した状態にある、粒子が大きく真球状のオキサジン樹脂粒子を得ることができる。この理由は定かではないが以下のように推測できる。
オキサジン樹脂は、上記したフェノール化合物、アミン化合物、およびアルデヒド化合物の各モノマーを重合させることにより得られるものである。例えば、フェノール化合物がナフタレンジオールである場合、ナフタレンジオールから、疎水性のオキサジン環が形成され、次いでオキサジン環が開環重合して高分子量化することによってナフトキサジン樹脂が生成されるが、この重合反応速度は極めて速いことが知られている。そのため、従来は溶液を加熱しても、溶液全体がすぐにゲル化または樹脂化してしまい、粒子の製造は困難であると考えられていた。そこで、従来技術では、上記引用文献3および4等で提案されているように、炭素繊維の活性点を重合の始点とすることで、半球状のナフトキサジン樹脂粒子を製造する検討がなされていた。
これに対して、本発明においては、特定のモノマー化合物と溶媒とを含む混合物において、特定の溶媒を用い、混合中の溶媒濃度を制御することにより、モノマーの重合反応時の初期に発生する重合物(樹脂)の核生成速度および核成長速度が、粒子生成に最適な範囲に制御され、その結果、粒子どうしの凝集が抑制されて適度に分散した状態にある、粒子が大きく真球状オキサジン樹脂粒子が得られたものと考えられる。
すなわち、核生成速度が早すぎると核密度が高くなり過ぎて、隣接する核を巻き込みながら重合反応(成長反応)が進行するため、二次粒子(凝集粒子)が生成してしまう。これに対して、本発明のように、溶媒であるアルコールの濃度を特定の範囲とすることで、核の生成速度と成長速度とのバランスが最適となり、粒子の凝集が抑制される。その結果、粒子径が大きく、且つ粒子径の揃った真球状に近いオキサジン樹脂粒子が得られるものと考えられる。
アルコールの濃度の下限は33質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上であり、上限は80質量%未満、好ましくは77質量%未満、より好ましくは74質量%未満である。
本発明において溶媒に使用される水は、特に限定されないが、イオン交換水や蒸留水を好適に使用することできる。混合物中の水の濃度は、混合液の全質量に対して、20質量%以上77質量%未満であることが好ましく、23質量%以上40質量%未満であることがより好ましい。
混合液は、上記したアルコールおよび水以外の溶媒を含んでもよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
本発明においては、混合液の調製は上記した成分全てを含む1液の混合液としてもよく、また、フェノール化合物を含む混合液と、アミン化合物およびアルデヒド化合物を含む混合液との2液としておき、後記する混合液反応工程において、2液を混合してもよい。
<混合液>
本発明の混合液は、上記のとおり、フェノール化合物、アミン化合物、アルデヒド化合物からなるモノマー溶液と、水および特定のアルコールからなる水性溶媒とを含む。混合物中のモノマー溶液と水性溶媒との好ましい比率としては、混合液100質量%に対する、フェノール化合物、アミン化合物、およびアルデヒド化合物の総和(質量基準)が、下限として通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、上限として通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下である。モノマー溶液の濃度が上記範囲とすることで、オキサジン樹脂粒子の核生成速度および核成長速度を、より一層好ましい範囲に制御することができる。
<混合液反応工程>
上記した混合液中のフェノール化合物、アミン化合物、およびアルデヒド化合物を反応させてオキサジン樹脂粒子を得ることができる。反応温度は、室温以上であればよく、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましく、50〜60℃が特に好ましい。また、反応時間は、10〜100分間が好ましく、20〜60分間がより好ましく、30〜50分間が特に好ましい。
モノマーの転化率は、20〜90%であることが好ましく、30〜80%であることがより好ましく、特に40〜70%であることが好ましい。なお、モノマー転化率は、得られたオキサジン樹脂粒子の質量をW(g)、重合開始前の混合液に含まれているフェノール化合物、アミン化合物およびアルデヒド化合物の全質量をW(g)とした場合に、下記式に基づいて算出された値をいうものとする。
モノマー転化率(%)=W/W×100
モノマー化合物の重合反応により得られるオキサジン樹脂粒子は、凝集が抑制されて一次粒子として存在するものであるが、一次粒子どうしが凝集した二次粒子が完全に存在しないことを意味するものではなく、ある程度の二次粒子が存在していてもよい。
上記のようにして得られるオキサジン樹脂粒子の平均粒子径は、アルコールの濃度や重合反応温度等によって変化するが、本発明においては、平均粒子径が1μm以上、15μm以下であることが好ましく、2μm以上、7μm以下であることがより好ましい。平均粒子径が上記した下限以上であれば、炭素繊維間へのマトリックス樹脂の含浸時に炭素繊維束に加えられる熱および圧力にもかかわらず、炭素繊維束の開繊を保持でき、炭素繊維間へのマトリックス樹脂の含浸を十分且つ均一なものとして、優れた機械的強度を有する炭素繊維強化複合体を得ることができる。また、平均粒子径が上記した上限以下であれば、炭素繊維間の空隙部を十分に確保して、炭素繊維間に合成樹脂を十分に含浸させることができ、優れた機械的強度を有する炭素繊維強化複合体を得ることができる。なお、オキサジン樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したメディアン径(D50)を意味するものとする。
上記のようにして得られるオキサジン樹脂粒子は、真球状に近い形状を有している。具体的には、オキサジン樹脂粒子の平均真球度は80以上であることが好ましく、85以上であることがより好ましく、90以上であることが更に好ましく、92以上であることが特に好ましく、95以上であることが最も好ましい。また、その上限値は100である。平均真球度が前記範囲であるオキサジン樹脂粒子は、炭素繊維の開繊処理に用いた際に、開繊状態を良好に保持することができるため、樹脂の含浸性が向上する傾向にある。なお、本発明において、平均真球度は、光学顕微鏡にてオキサジン樹脂粒子を観察し、無作為に選択した30個の粒子について短径と長径をそれぞれ測定し、下記数式(2b)より粒子個々の真球度を求め、得られた粒子個々の真球度を下記数式(2a)に代入して算出される値をいうものとする。
(式中、S:平均真球度、S:粒子個々の真球度、n:測定数(=30)、D:粒子の短径、D:粒子の長径を表す。)
<炭素繊維束>
炭素繊維束は、複数の炭素繊維と、炭素繊維を架橋する、炭素同素体を含む架橋部とを有する。
炭素繊維としては、例えば、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維等が挙げられる。
炭素繊維の繊維径は、6μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましい。炭素繊維の繊維径は、30μm以下が好ましく、27μm以下がより好ましい。なお、本発明において、繊維径とは、繊維の長さ方向に直交する方向に沿った断面において、この断面を包囲し得る最小径の真円の直径をいう。
炭素繊維束は、複数の炭素繊維(単繊維)が集まって束となっている。炭素繊維束を構成している炭素繊維の本数は、1000〜50000本が好ましい。
炭素繊維の形態は、特に限定されないが、例えば、一方向に配向している繊維、織物、編物および不織布等が挙げられ、一方向に配向している繊維および織物が好ましい。織物の形態としては、平織、綾織および朱子織等が挙げられ、平織が好ましい。また、編物の形態としては、各繊維配向方向に繊維が直進性をもった形で配置されるノンクリンプファブリックが好ましい。
炭素繊維がシート状である場合、炭素繊維の目付は、100〜400g/m2が好ましい。炭素繊維の目付が100g/m2以上であると、炭素繊維束を用いて得られた炭素繊維強化複合体の機械的強度が向上する。炭素繊維の目付が400g/m2以下であると、炭素繊維間にマトリックス樹脂を均一に含浸させることができ、炭素繊維束を用いて得られた炭素繊維強化複合体の機械的強度が向上する。
炭素繊維束の構造の一形態を図1の模式図を参照しながら説明する。炭素繊維束は、炭素繊維1、1間を架橋部2が架橋した構造を有している。架橋部2は、炭素繊維間を架け渡すように配設されている。即ち、二つの炭素繊維同士が架橋部2を介して接続一体化している。換言すれば、架橋部2は、二つの炭素繊維に接続一体化することによって、二つの炭素繊維は架橋部2によって接続一体化されている。
架橋部2は炭素同素体を含んでいる。炭素同素体としては、本発明の製造方法により得られたオキサジン樹脂粒子を炭化させたものが用いられる。
図1に示したように、炭素同素体の粒子21は線状(数珠つなぎ状)に接続して架橋部2を形成しており、両端の炭素同素体粒子が、炭素繊維に接続一体化し、2本の炭素繊維は、架橋部2を介して接続一体化されている。
図1においては、炭素同素体の粒子が2個、接続一体化して架橋部2を構成している場合を示したが、図2に示したように、3個以上の炭素同素体の粒子21が接続一体化して架橋部2を構成していてもよい。
架橋部2は、炭素同素体の粒子21同士を互いに接続一体化させて構成されており、炭素同素体の粒子21同士の接続部分には凹部22が形成されている。架橋部2を例えば、1個の棒状体から形成した場合と異なり、架橋部2には上記凹部22が形成されていることから、架橋部2の体積を抑制しつつ、炭素繊維同士を接続一体化し、炭素繊維の開繊を確実に維持することができる。
更に、架橋部2には、周方向(炭素同素体粒子の接続方向に直交する方向)の全周に亘って凹部22が形成されている。従って、炭素繊維1、1間に含浸させたマトリックス樹脂を架橋部2の凹部22内に進入させて係止された状態とすることができ、炭素繊維1とマトリックス樹脂との一体化を強固なものとし、得られる炭素繊維強化複合体の機械的強度を向上させることができる。
架橋部2を構成している炭素同素体の粒子21の平均数は、1〜100個が好ましく、2〜20個がより好ましく、3〜10個が特に好ましい。架橋部を構成している炭素同素体の粒子21の数とは、2本の炭素繊維の接続方向(架橋部の長さ方向)における炭素同素体粒子の数をいい、各架橋部2を構成している炭素同素体粒子の数の相加平均値をいう。即ち、一方の炭素繊維に接続一体化している炭素同素体の粒子を第1粒子とする。第1粒子に他方の炭素繊維に向かって接続一体化している炭素同素体の粒子を第2粒子とする。第2粒子に他方の炭素繊維に向かって接続一体化している炭素同素体の粒子を第3粒子とする。これを繰り返して、他方の炭素繊維に接続一体化している炭素同素体の粒子を第n粒子としたとき、架橋部を構成している炭素同素体の粒子は、n個であるとする。なお、第(n−1)粒子に、第n粒子となる炭素同素体の粒子が複数個、接続一体化している場合、第(n−1)粒子に接続一体化している複数個の炭素同素体粒子はまとめて1個の炭素同素体の粒子とみなす。
炭素繊維束において、架橋部2の含有量は、炭素繊維100質量部に対して1〜5質量部が好ましい。架橋部の含有量が1質量部以上であると、炭素繊維束の開繊を十分なものとし、炭素繊維間へのマトリックス樹脂の含浸を十分且つ均一なものとして、優れた機械的強度を有する炭素繊維強化複合体を得ることができる。架橋部の含有量が5質量部以下であると、炭素繊維束の単位断面積当たりの機械的強度が向上する。
上記した架橋部を有する炭素繊維束を製造するには、先ずオキサジン樹脂粒子を含む繊維前処理液を、炭素繊維束に浸漬ないし塗布する。塗布方法としては、繊維前処理液を炭素繊維束にスプレーや刷毛等を用いて塗布する方法等が挙げられる。
次に、繊維前処理液が付着した炭素繊維束を加熱して、オキサジン樹脂粒子を炭化させて炭素同素体粒子とし、炭素同素体粒子を含む架橋部によって炭素繊維間を橋架けして炭素繊維束を製造することができる。
オキサジン樹脂粒子を炭化させる温度は、180〜250℃が好ましく、190〜220℃がより好ましい。炭化させる温度を上記範囲内とすることによって、炭素繊維を劣化させることなく、オキサジン樹脂粒子を炭化させて炭素同素体粒子とすることができる。
オキサジン樹脂粒子を炭化させる時間は、1〜100分間が好ましく、2〜20分間がより好ましい。炭化させる時間を上記範囲内とすることによって、炭素繊維を劣化させることなく、オキサジン樹脂粒子を炭化させて炭素同素体粒子とすることができる。
<炭素繊維強化複合体>
炭素繊維強化複合体は、上記したような、炭素同素体を含む架橋部によって炭素繊維間を橋架けした炭素繊維束に、マトリックス樹脂を含浸させることによって製造することができる。
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の何れであってもよいが、炭素繊維強化複合体が優れた曲げ弾性率および曲げ強度を有していることから、熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、不飽和ポリエステル樹脂およびエポキシ樹脂が好ましい。
マトリックス樹脂を炭素繊維束に含浸させる方法は、特に限定されない。例えば、溶融樹脂を、シートダイ等を用いてフィルム状に押出し、炭素繊維束上に積層した後に、加熱しながら圧縮することによりマトリックス樹脂を炭素繊維束中に含浸させる方法等が挙げられる。
炭素繊維強化複合体において、炭素繊維束の含有量は10〜70質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。炭素繊維強化複合体において、マトリックス樹脂の含有量は、30〜90質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましい。
本発明の製造方法により得られるオキサジン樹脂粒子は、上記したように一次粒子の凝集が抑制されており、粒径が大きく、真球状に近い形状を有しているため、炭素繊維束の開繊状態を良好に保持することができ、その結果、マトリックス樹脂を炭素繊維間に均一に含浸させて、機械的強度に優れた繊維強化複合体を実現することができる。
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1,5−ジヒドロキシナフタレン(和光純薬社製 商品名「048−02342」)10.0g、純度99.5%のエタノール(和光純薬社製 商品名「057−00456」)222.5g、および水87.5gを含む溶液Aと、40質量%メチルアミン水溶液(和光純薬社製 商品名「132−01857」)4.0g、37質量%のホルムアルデヒド水溶液(和光純薬社製 商品名「064−00406」)8.0g、純度99.5%のエタノール(和光純薬社製 商品名「057−00456」)87.0g、および水221.0gを含む溶液Bと調製した。
次に、溶液AおよびBを混合して均一になるように撹拌し混合液を調製した。本混合液のエタノールの濃度は48.2質量%である。続いて、混合液を攪拌しながら温度が60℃となるように加熱して30分間に亘って保持し、モノマーの一部を重合させて、ナフトキサジン樹脂粒子を析出させて、繊維前処理液1を作製した。
繊維前処理液1の一部を50%エタノール水溶液で希釈し、その少量を採取してプレパラート上に滴下し、溶媒を蒸発させた後、光学顕微鏡(KEYENCE社製 装置名「VHX−6000」)により、粒子の形状および分散性を確認した。結果として、個々の粒子(一次粒子)は真球状に近い形状であり、一部に、一次粒子が20個程度凝集している箇所も観察されるものの、全体として、良好な分散性を示した(図3)。また、粒子の粒径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製 商品名「SALD−2200」)で測定した結果、平均粒子径であるメディアン径(D50)は3.1μmであった。
[実施例2]
混合液の各成分を下記の表1に示す組成に変更し、加熱撹拌を1.5時間に亘って保持したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製し、繊維前処理液2を作製した。
繊維前処理液2の一部を50%エタノール水溶液で希釈し、実施例1と同様にして光学顕微鏡により粒子の状態を確認したところ、ナフトキサジン樹脂粒子は真球状に近い形状であり、一次粒子が20個程度凝集した二次粒子は観察されず、全体として、実施例1よりも良好な分散性を示した(図4)。
[比較例1]
混合液の各成分を下記の表1に示す組成に変更し、加熱撹拌を3時間に亘って保持したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製し、繊維前処理液3を作製した。
繊維前処理液3の一部を50%エタノール水溶液で希釈し、実施例1と同様にして光学顕微鏡により粒子の状態を確認したところ、ナフトキサジン樹脂粒子は凝集した状態であった(図5)。
[比較例2]
混合液の各成分を下記の表1に示す組成に変更し、加熱撹拌を1.5時間に亘って保持したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製し、繊維前処理液4を作製した。
繊維前処理液4の一部を50%エタノール水溶液で希釈し、実施例1と同様にして光学顕微鏡により粒子の状態を確認したところ、ナフトキサジン樹脂粒子は凝集した状態であった(図6)。
図3〜6のナフトキサジン樹脂粒子の光学顕微鏡写真からも明らかなように、混合液中のアルコール濃度を特定の範囲とすることで、ナフトキサジン樹脂粒子の凝集が抑制され、真球状に近い形状のナフトキサジン樹脂粒子が得られることが実証された。下記表2にその結果をまとめた。
[実施例3]
<PAN系炭素繊維束からなる平織物>
PAN系炭素繊維束(束数:3000本、繊維径:7μm、目付:200g/m2、厚み:0.19mm)を平織りした平織物(台湾プラスチック社製炭素繊維織物 商品名「EC3C」)を、開繊前の繊維束として用意した。
<炭素繊維織物の作製および評価>
まず、上記平織物に実施例1の繊維前処理液1を含浸させ含浸平織物を作製した。含浸平織物は、繊維前処理液を含浸することによって膨潤していた。
次いで、加熱処理によるさらなる開繊処理を行った。具体的には以下のとおりである。
得られた含浸平織物を、200℃に保持された熱板上に3分間に亘って載置して繊維前処理液1中の溶媒を蒸発させて除去すると共に、ナフトキサジン樹脂粒子の成長および炭化を進行させ、アモルファスカーボン粒子が繊維表面に付着した炭素繊維束からなる開繊平織物を得た。開繊平織物を構成する炭素繊維束を、光学顕微鏡(KEYENCE社製 商品名「VH−2500」)を用いて観察した拡大写真を図7および図8に示す。図7および図8より、炭素繊維の表面に、真球状に近い炭素同素体粒子が付着していることがわかる。
<炭素繊維強化複合体の作製および評価>
マトリックス樹脂としてポリプロピレン(PP)樹脂(プライムポリマー社製 商品名「J108M」)を用いた。ポリプロピレン樹脂をフィルム状に押出し、溶融状態のポリプロピレン樹脂フィルムを、実施例3で得られた開繊平織物を構成する炭素繊維束上に積層し、その後、250℃に加熱しながら1MPaの圧力で3分間に亘って圧縮することにより、ポリプロピレン樹脂を開繊平織物の炭素繊維束中に含浸させて、厚みが250μmの炭素繊維強化複合体を得た。なお、炭素繊維強化複合体中において、炭素繊維の含有量は、50質量%であった。
得られた炭素繊維強化複合体を、複数枚数重ねて、熱融着一体化させて積層体を作製した。得られた積層体の曲げ弾性率および曲げ強度をJIS K7074に準拠して測定した。測定結果は、下記表2に示される通りであった。
[比較例3]
<炭素繊維織物の作製および評価>
実施例1の繊維前処理液1に代えて、同量のエタノールのみからなる溶液を用いたこと以外は、実施例3と同様にして炭素繊維強化複合体を作製した(炭素繊維の含有量は、50質量%)。得られた複合体を実施例3と同様にして積層体を作製し、積層体の曲げ弾性率および曲げ強度の測定を行った。測定結果は、下記表2に示される通りであった。
表2の評価結果から、未開繊の炭素繊維束からなる平織物を用いた炭素繊維強化複合体(比較例3)に対して、繊維前処理液1を用いて処理された炭素繊維束からなる開繊平織物を用いた炭素繊維強化複合体は、機械物性が著しく向上していることが明らかになった。これは、本発明のオキサジン樹脂粒子の製造方法により得られた繊維前処理液を使用することで、炭素繊維間へのポリプロピレン樹脂の含浸性が向上したことによるものと考えられる。
[実施例4]
実施例3のマトリックス樹脂を、ポリプロピレン樹脂からメタクリル樹脂(住友化学社製 商品名「MH」)に変更し、メタクリル樹脂をフィルム状に押出し、溶融状態のメタクリル樹脂フィルムを炭素繊維束上に積層した以外は、実施例3と同様にして厚みが250μmの炭素繊維強化複合体(炭素繊維含有量50質量%)を得た。
得られた炭素繊維強化複合体の曲げ弾性率および曲げ強度を、実施例3と同様にして測定した。測定結果は、下記表3に示される通りであった。
[比較例4]
純度99.5%エタノール(和光純薬社製 商品名「057−00456」)20g、1,5−ジヒドロキシナフタレン(和光純薬社製 商品名「048−02342」)2.0g、40質量%メチルアミン水溶液(和光純薬社製 商品名「132−01857」)1.0g、および37質量%ホルムアルデヒド水溶液(和光純薬社製 商品名「064−00406」)2.0gを混合し、攪拌することで混合液を調製した。本比較例では、混合液の加熱は行わなかった。
得られた混合液と平織物(台湾プラスチック社製 商品名「EC3C」)とを接触させた後に、ゴムローラーでピンチすることにより、平織物に混合液を含浸させ含浸平織物を作製した。この含浸平織物を170℃に設定された熱風オーブン中に20分に亘って載置することにより、開繊平織物を得た。
得られた開繊平織物を構成する炭素繊維束を、実施例3と同様にして走査型電子顕微鏡で観察した拡大写真を図9に示す。図9に示されるように、開繊平織物の炭素繊維表面には、半球状のナフトキサジン樹脂粒子が付着していることがわかる。
上記の開繊平織物を用いて実施例4と同様にして、メタクリル樹脂を含浸させた厚みが250μmの炭素繊維強化複合体(炭素繊維含有量50質量%)を得た。得られた炭素繊維強化複合体の曲げ弾性率および曲げ強度を、実施例4と同様にして測定した。測定結果は、下記表3に示される通りであった。
表3の結果より、特許文献3,4のように炭素繊維表面で半球状の粒子を成長させ、その粒子を炭化させて製造した炭素繊維強化複合体(比較例4)に比べて、本発明の製造方法により得られたナフトキサジン樹脂粒子を含浸させ、これを炭化させて得られた炭素同素体粒子をスペーサに用いた炭素繊維強化複合体(実施例4)の方が、機械物性に優れることが明らかになった。

Claims (10)

  1. フェノール化合物、アミン化合物、アルデヒド化合物、水、および炭素数1〜6からなる群より選択されるアルコールを含む混合液を調製する工程と、
    前記混合液中のフェノール化合物、アミン化合物、およびアルデヒド化合物を反応させてオキサジン樹脂粒子を得る工程と、
    を含む、オキサジン樹脂粒子の製造方法であって、
    前記混合液中のアルコール濃度を、33質量%以上80質量%未満とする、オキサジン樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記フェノール化合物が、ナフタレンジオールまたはベンゼンジオールである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記フェノール化合物がナフタレンジオールである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記アルコールがエタノールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記アミン化合物がメチルアミンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記アルデヒド化合物がホルムアルデヒドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記オキサジン樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上、15μm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記オキサジン樹脂粒子を炭素繊維の開繊処理に使用する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 平均粒子径が1μm以上、15μm以下である、オキサジン樹脂粒子。
  10. 平均真球度が80以上である、請求項9に記載のオキサジン樹脂粒子。
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