JP7252764B2 - 開繊炭素繊維束、繊維強化複合材料、及び開繊炭素繊維束の製造方法 - Google Patents

開繊炭素繊維束、繊維強化複合材料、及び開繊炭素繊維束の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、強化繊維として炭素繊維を使用した開繊炭素繊維束、及び開繊炭素繊維束を含有する繊維強化複合材料、並びに開繊炭素繊維束の製造方法に関する。
マトリックス樹脂が炭素繊維などの強化繊維によって強化された繊維強化複合材料は、軽量でありながら強度、剛性、寸法安定性などに優れていることから、事務機器用途、自動車用途、航空機用途、車両用途、ICトレイ、ノートパソコンの筐体などのコンピュータ用途、止水板、風車翼などの様々な分野に広く展開され、その需要は年々増加しつつある。
繊維強化複合材料に用いられる炭素繊維は、マトリックス樹脂と化学組成及び分子構造が異なることから、マトリックス樹脂との相溶性が低いため、炭素繊維とマトリックス樹脂の接着界面が脆点となり、理論強度が得られないという問題がある。
また、熱可望性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化複合材料は、コンパウンドペレットの射出成形、射出圧縮成形、押出成形、プレス成形などの様々な方法で成形される。これらの成形法では、強化繊維が繊維束(トウ)の形態で使用される場合が多い。強化繊維が繊維束の形態で使用される場合、繊維束の開繊状態が熱可塑性樹脂の含浸性に大きく影響を与え、含浸性は繊維強化複合材料の機械的強度に大きく影響を与える。
例えば、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料を製造する場合、熱可塑性樹脂製のフィルムと強化繊維束とを加圧加熱する方法(フィルム含浸法)が一般に用いられる。この際、強化繊維束を構成している炭素繊維間の開繊が不十分であると、炭素繊維間に熱可塑性樹脂が十分に含浸されず、樹脂未含浸部(空隙部)によって繊維強化複合材料の機械的強度が低下することが知られている。
そこで、従来、炭素繊維とマトリックス樹脂との相溶性を向上させたり、炭素繊維間の間隔を広げる開繊処理を行うことで熱可塑性樹脂の炭素繊維束への含浸性を向上させる様々な試みがなされている。例えば、特許文献1、2には、合成樹脂粒子からなるサイズ剤を、炭素繊維束の繊維表面に付着することが開示されている。また、特許文献3には、ナフトキサジン樹脂のモノマー溶液に炭素繊維を含浸させた後、加熱することで炭素繊維表面にスペーサーを形成することが開示されている。更に、特許文献4には、シリカ粒子とアモルファスカーボンを表面に付着させた炭素繊維が開示されている。
特開2013-177705号公報 特開2014-122439号公報 特開2014-162116号公報 特開2015-93883号公報
しかしながら、特許文献1、2に開示されるように、合成樹脂粒子を表面に付着させた炭素繊維は、熱可塑性樹脂製シートと強化繊維束とを加熱しながら加圧する際、圧又は熱によって合成樹脂粒子が破壊又は溶融する。そのため、合成樹脂粒子により炭素繊維が開繊されても、樹脂の含浸が完了するまでの時間、その開繊状態を十分に保持することが難しく、結果として、炭素繊維間に熱可塑性樹脂を十分に含浸させることができないという問題がある。
また、特許文献3に記載された炭素繊維複合材料は、スペーサーによって、繊維間に一定の隙間が形成されるが、熱可塑性樹脂の含浸性を向上させるためには、繊維束をさらに開繊して、繊維間の隙間をより大きくすることが望まれる。また、特許文献3の方法によれば、ナフトキサジン樹脂によってスペーサーを形成するために、ナフトキサジン樹脂の重合反応に長時間の加熱が必要となり、時間あたりの生産性が不十分であるという問題がある。
更に特許文献4に記載の炭素繊維束は、80~150nmのシリカ粒子を添加し、炭素繊維の表面の表面張力を調節することを目的としたものであり、このような極小の粒子径では、本発明が目的とする開繊効果が得られないという問題がある。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、開繊状態が良好で樹脂含浸性に優れ、マトリックス樹脂との相溶性に優れる開繊繊維束を提供することである。また、本発明の別の課題は、開繊状態が良好で樹脂含浸性に優れ、マトリックス樹脂との相溶性に優れる開繊繊維束を高い生産性で製造することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、炭素繊維の開繊に炭素同素体に加えて、無機粒子を使用することで上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。本発明は、以下の[1]~[12]を提供する。
[1]複数の炭素繊維からなる炭素繊維束と、前記炭素繊維間に配置される被膜無機粒子とを備え、
前記被膜無機粒子が、無機粒子と、前記無機粒子を被膜する炭素同素体を含む、開繊炭素繊維束。
[2]前記炭素同素体がアモルファスカーボンである上記[1]に記載の開繊炭素繊維束。
[3]前記無機粒子が、シリカ粒子である上記[1]又は[2]に記載の開繊炭素繊維束。
[4]前記被膜無機粒子の平均粒径が、1~30μmである上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維束。
[5]上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維束と、前記開繊炭素繊維束に含浸されたマトリックス樹脂とを含む繊維強化複合材料。
[6]前記マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である上記[5]に記載の繊維強化複合材料。
[7]複数の炭素繊維からなる炭素繊維束を開繊含浸液に接触させる工程と、
前記開繊含浸液に接触させた炭素繊維束を加熱する工程とを備え、
前記開繊含浸液が、無機粒子と、合成樹脂を形成し得るモノマーとを含む、開繊炭素繊維束の製造方法。
[8]無機粒子の平均粒径が1~25μmである上記[7]に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
[9]加熱時の温度が60℃以上である上記[7]又は[8]に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
[10]加熱時間が1分以上である上記[7]~[9]のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
[11]前記合成樹脂がオキサジン系樹脂又はアクリル系樹脂である上記[7]~[10]のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
[12]前記オキサジン系樹脂が、ナフトキサジン樹脂である上記[11]に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
本発明によれば、開繊状態が良好で樹脂含浸性に優れる開繊炭素繊維束を提供できる。また、開繊状態が良好で樹脂含浸性に優れる開繊炭素繊維束を高い生産性で製造できる。
そして本発明で得られた開繊炭素繊維束と、マトリックス樹脂を含む繊維強化複合材料は、樹脂未含浸部が少なく、繊維/樹脂間の界面接着強度に優れることから、高い機械特性を備える。
実施例1における開繊炭素繊維束の表面の観察画像を示す。 実施例1における開繊炭素繊維束の表面の別の位置における観察画像を示す。
以下、本発明について実施形態を用いてより詳細に説明する。
[開繊炭素繊維束]
本発明の開繊炭素繊維束は、複数の炭素繊維からなる炭素繊維束と、炭素繊維間に配置される被膜無機粒子とを備え、少なくとも炭素繊維間の一部が1μm以上の繊維間隔を備えているものを意味する。
(炭素繊維)
本発明で使用する炭素繊維としては、例えば、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維などが挙げられ、PAN系炭素繊維が好ましく用いられる。炭素繊維の平均径は、4μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましい。また、炭素繊維の平均径は、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
なお、本発明において、平均径とは、ランダムに選択した100個の炭素繊維の繊維径の相加平均値である。また、繊維径とは、繊維の長さ方向に直交する方向に沿った断面において、この断面(略円形)の直径のことをいう。
各炭素繊維は、一般的に単繊維(フィラメント)であり、また、炭素繊維は複数集まって炭素繊維束(トウ)を構成する。各炭素繊維束を構成している炭素繊維の本数(ストランド一本あたりに含まれるフィラメントの数)は、通常1000本以上、好ましくは3000本以上、より好ましくは12000本以上、更に好ましくは24000本以上であり、一方上限は特に限定されないが、通常100000本以下、好ましくは50000本以下、より好ましくは48000本以下、特に好ましくは30000本以下である。
一般に炭素繊維束のフィラメント数が増える程、フィラメントあたりの機械物性及び樹脂の含浸性も低下する傾向にあるが、同様に炭素繊維束の重量あたりの価格も低下するため、用途に応じて適切なフィラメント数の炭素繊維束を選択することができる。
本発明の炭素繊維束は、一方向連続繊維を用いる場合は、48000本以上100000本以下が、織物の炭素繊維束を用いる場合は12000本以上48000本以下が好ましく用いられる。
炭素繊維束は、様々な形態で使用されてもよい。例えば、複数の繊維束が一方向に配向されてなる一方向連続繊維(UniDirection繊維)、複数の繊維束が織られて形成された織物、繊維束が編まれて形成された編物、複数の繊維束と熱可塑性樹脂繊維からなる不織布などの形態で使用されるとよい。これらの中では、一方向連続繊維及び織物が好ましく、縦横方向に高い機械物性を持つ織物がより好ましい。織物は、平織、綾織及び朱子織などで織られればよく、等方性を備える平織又は綾織りが好ましい。また、編物としては、各繊維配向方向に繊維が直進性をもった形で配置されるノンクリンプファブリックが好ましい。
また、複数の炭素繊維束は、特に限定されないが、シート状とされることが好ましい。シート状とされた炭素繊維束の目付は、通常20~800g/m2であり、100~400g/m2が好ましい。炭素繊維束の目付が20g/m2以上であると、本発明の開繊炭素繊維束より形成された繊維強化複合材料の機械的強度が向上する。また、炭素繊維束の目付が800g/m2以下であると、炭素繊維間にマトリックス樹脂を均一に含浸させることができ、繊維強化複合材料の機械的強度が向上する。目付は、より好ましくは150~300g/m2である。
(被膜無機粒子)
本発明の被膜無機粒子は、無機粒子と、無機粒子を被膜する炭素同素体を含む。被膜無機粒子は、無機粒子がコアとなり、かつ表面が炭素同素体からなるコアシェル粒子である。各無機粒子は、その表面全体が炭素同素体により被膜されてもよいし、表面の一部が炭素同素体により被膜されてもよい。
被膜無機粒子は、各繊維束において炭素繊維間に入り込み、それにより、炭素繊維束を開繊させる。炭素繊維間に入り込んだ被膜無機粒子は、炭素繊維間を架橋させるとよい。ここで、「架橋」するとは、炭素繊維間に入り込んだ被膜無機粒子が少なくとも2つの炭素繊維を架け渡すように配置される構造を有することを意味する。また、被膜無機粒子は、炭素同素体を介して炭素繊維に接着されるとよい。被膜無機粒子が炭素繊維間を架橋し、また、被膜無機粒子が炭素繊維間を接着することで、繊維束の開繊状態をより強固に保持しやすくなる。
さらに、本発明では、炭素繊維の被膜無機粒子に接触する部分など、炭素繊維の少なくとも一部において、炭素繊維の表面が、炭素同素体によって被膜されていてもよい。この場合、無機粒子の表面を被膜する炭素同素体は、炭素繊維の表面に被膜された炭素同素体に接続するような態様を有することが可能になる。
開繊炭素繊維束における無機粒子及び炭素同素体の合計付着量は、開繊炭素繊維束基準で通常0.1~10質量%、0.5~5質量%が好ましく、1~2質量%がより好ましい。付着量を下限値以上とすることで、炭素繊維束を適切に開繊できる。また、付着量を上限値以下とすることで、開繊炭素繊維束が必要以上に被膜無機粒子を含有することにより、繊維含有率が低下し、機械物性の低下が防止される。
被膜無機粒子において使用される無機粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子が挙げられる。これら無機粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、マトリックス樹脂や炭素同素体前駆体との接着性の観点からシリカ粒子が好ましい。上記無機粒子は、沸騰水による表面水酸化処理や、シランカップリング剤による機能化処理がなされていてもよい。
無機粒子の平均粒径は、1~25μmであることが好ましく、2~20μmであることがより好ましく、4~15μmであることがさらに好ましい。無機粒子の平均粒径をこれら下限値以上とすることで、複合無機粒子によって繊維束が十分に開繊される。また、これら上限値以下とすることで、複合無機粒子を各繊維束における炭素繊維間に入り込ませやすくなる。なお、無機粒子の平均粒径は、光学顕微鏡観察により測定されたものであるが、その点以外の測定方法の要領は後述する複合無機粒子と同様とするとよい。
また、篩い等を用いて、炭素繊維間の開繊に寄与しない粒径の粒子を除いてもよい。例えば、繊維に対して大きすぎる粒子として100μm以上の粒子を除去したり、開繊に寄与しない0.1μm以下の粒子を除去してもよい。
被膜無機粒子において、被膜を構成する炭素同素体は、炭素の同素体である炭素質材料や、黒鉛質材料等の炭素材料全般を意味し、無定形炭素、黒鉛、ダイヤモンドなどが挙げられる。無定形炭素としてはアモルファスカーボンが挙げられる。これらの中では、無定形炭素が好ましく、アモルファスカーボンがより好ましい。
ここで、炭素同素体は、合成樹脂の炭素由来であることが好ましく、すなわち、炭素同素体は、合成樹脂を炭素化又は黒鉛化することで得られることが好ましい。合成樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、オキサジン系樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。加熱によって重合反応が進む樹脂であれば特に限定されないが、炭化処理時の温度が低く済み、強固なアモルファスカーボンの被膜を形成できる観点から、オキサジン系樹脂が好ましい。また、オキサジン系樹脂としては、ベンゾオキサジン樹脂、ナフトキサジン樹脂などが挙げられ、これらの中では、より低温で炭化しやすい点からナフトキサジン樹脂が好ましい。また、合成樹脂としては、アクリル系樹脂も好ましい。
なお、「オキサジン樹脂」とは、ベンゼン環、又はナフタレン環に付加した6員環を有し、その6員環には酸素と窒素が含まれる樹脂である。ベンゾオキサジン樹脂は、下記の化学式(1)に示す骨格を少なくとも有する。ナフトキサジン樹脂は、下記の化学式(2)に示す骨格を少なくとも有する。
Figure 0007252764000001
Figure 0007252764000002
本発明における被膜無機粒子は、無機粒子の表面に炭素同素体が被膜されてなるものであり、そのため、被膜無機粒子の平均粒径は、上記した無機粒子の平均粒径よりも大きくなる傾向にある。被膜無機粒子の平均粒径は、具体的には、1~30μmであることが好ましい。1μm以上とすることで、被膜無機粒子によって繊維束を適切に開繊できる。また、30μm以下とすることで、複合無機粒子を各繊維束における炭素繊維間に入り込ませやすくなる。繊維束をより大きく開繊させる観点から、被膜無機粒子の平均粒径は、無機粒子の平均粒径は、1~25μmであることが好ましく、2~20μmであることがより好ましく、4~15μmであることがさらに好ましい。
なお、本発明において、複合無機粒子の平均粒径は下記の要領で測定された値をいう。まず、開繊炭素繊維束の400倍の拡大写真を電子顕微鏡を用いて撮影する。得られた顕微鏡写真において、ランダムに選んだ100個の複合無機粒子の直径を画像上での寸法測定により測定し、その相加平均値を複合無機粒子の平均粒径とする。なお、複合無機粒子の粒径は、複合無機粒子を包囲し得る最小径の真円の直径とする。
なお、炭素繊維間は、通常、その掛け渡す方向において1つの被膜無機粒子を介して架橋されるが、2つ以上の被膜無機粒子が掛け渡す方向に連なって、その2つ以上の被膜無機粒子を介して炭素繊維間が架橋されてもよい。また、炭素繊維間において、2つ以上の被膜無機粒子が掛け渡す方向に連なる場合、一方の炭素繊維に接続された複数の被膜無機粒子に、1又は2つ以上の被膜無機粒子がさらに接続され、その1又2つ以上の被膜無機粒子が他方の炭素繊維に接続されてもよい。また、炭素繊維間は、さらに多くの被膜無機粒子が連なって架橋されてもよい。
また、本発明における炭素繊維間は、少なくとも一部が1μm以上であり、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。炭素繊維間の一部の距離が上記範囲以上であると、繊維間の空隙を利用してマトリックス樹脂が開繊繊維束の中心まで含浸しやすくなる傾向にある。
[開繊炭素繊維束の製造方法]
本発明の開繊炭素繊維束の製造方法は、複数の炭素繊維からなる炭素繊維束を開繊含浸液に接触させる工程と、開繊含浸液に接触させた炭素繊維束を加熱する工程とを備える。以下、本製造方法についてより詳細に説明する。
上記製造方法で使用する開繊含浸液は、無機粒子と、合成樹脂を形成し得るモノマー(以下、単に「モノマー」ともいう)とを含む。開繊含浸液は、モノマー及び無機粒子を混合して作製するとよいが、好ましくは、溶媒をさらに加えてモノマーを溶媒に溶解させる。
モノマーは、反応することで合成樹脂となるものである。合成樹脂は上記のようにオキサジン系樹脂又はアクリル系樹脂が好ましいが、合成樹脂がオキサジン系樹脂である場合、モノマーは、フェノール類、ホルムアルデヒド、及びアミン類である。オキサジン系樹脂は、上記のとおり、ナフトキサジン樹脂が好ましい。
フェノール類としては、オキサジン系樹脂がナフトキサジン樹脂である場合、ジヒドロキシナフタレンが好ましい。ジヒドロキシナフタレンには、多くの異性体が存在する。ジヒドロキシナフタレンの具体例としては、例えば、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレンなどが挙げられる。これらのうち、反応性の高さから、1,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレンが好ましく、1,5-ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。これらジヒドロキシナフタレンは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホルムアルデヒドは、ホルマリンとして用いることが好ましい。ホルマリンには、ホルムアルデヒド及び水に加えて、安定剤として少量のメタノールが添加されていてもよい。ホルムアルデヒドに代えて、パラホルムアルデヒドを用いてもよい。
開繊含浸液におけるホルムアルデヒドの配合量は、ジヒドロキシナフタレン1モルに対して1.2~2.8モルであることが好ましく、1.4~2.6モルであることがより好ましい。
アミン類としては、一般式R-NH2で表される脂肪族アミンが好ましく用いられる。
一般式R-NH2において、Rは、炭素数が5以下であるアルキル基であることが好まし
い。炭素数が5以下であるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、シクロプロピルエチル基、シクロプロピルメチル基などが挙げられる。炭素数が5以下であるアルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基が好ましい。
アミン類としては、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンなどが好ましく用いられ、メチルアミンがより好ましく用いられる。
アミン類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
開繊含浸液におけるアミン類の配合量は、ジヒドロキシナフタレン1モルに対して0.6~1.4モルであることが好ましく、0.8~1.2モルであることがより好ましい。
上記合成樹脂がアクリル系樹脂の場合には、モノマーはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルが挙げられ、重合速度の観点からメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
本製造方法において使用する無機粒子は、上記したとおりであり、シリカ粒子が好ましく、また、平均粒径なども上記の通りである。開繊含浸液における無機粒子の含有量は、上記モノマー100質量部に対して、10~1000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
開繊含浸液は溶媒を含むことが好ましい。溶媒は、モノマーを溶解できるものが好ましい。溶媒の具体例としては、特に限定されないが、メタノール、エタノールなどのアルコール類、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合、例えば、アルコール類と水を併用して混合溶媒とすることが好ましい。
溶媒の量は、モノマー100質量部に対して、400~5000質量部が好ましく、600~4500質量部がより好ましい。
本製造方法では、開繊含浸液を作製した後、複数の炭素繊維からなる炭素繊維束を開繊含浸液に接触させる。ここで使用する炭素繊維束は、上記したとおりであり、一方向連続繊維、織物、編物及び不織布などの形態にされていてもよい。
炭素繊維束への開繊含浸液の接触は、開繊含浸液を炭素繊維束に含浸させることで行うとよい。具体的には、開繊含浸液を炭素繊維束にスプレー、塗布などしてもよいし、開繊含浸液に炭素繊維束を浸漬させてもよい。
炭素繊維束に開繊含浸液を接触させることで、無機粒子は、炭素繊維束の炭素繊維間の隙間に入り込み、それにより、炭素繊維束を開繊させる。
次に、開繊含浸液に接触させられた炭素繊維束を加熱する。本製造方法では、加熱により、モノマーを重合させ、ナフトキサジン樹脂やアクリル樹脂などの合成樹脂を生成し、無機粒子を被覆する。これら合成樹脂によって、無機粒子は炭素繊維間に接着され、架橋することもできる。
その後、更に加熱を行うことにより合成樹脂を炭化させ、炭素同素体を無機粒子に被膜させてもよい。炭素同素体により被膜された無機粒子(被膜無機粒子)は、上記した通り、炭素繊維間を架橋する構造を形成するとよい。また、無機粒子を被膜した炭素同素体は、炭素繊維に接着するとよい。さらに、炭素同素体は、炭素繊維の表面に被膜されてもよく、被膜無機粒子表面の炭素同素体と、炭素繊維に被膜された炭素同素体とが接続するような構造を形成してもよい。
本製造方法において加熱時の温度は、重合反応が生じる及び/又は炭化反応が生じる温度以上であれば特に限定されないが、加熱温度は通常60℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは140℃以上、更に好ましくは180℃以上、特に好ましくは190℃以上であり、一方上限は通常900℃以下、好ましくは400℃以下、更に好ましくは250℃以下が好ましい。
合成樹脂がナフトキサジン樹脂の場合は、加熱温度が180~250℃の範囲とすることが好ましい。加熱温度を180℃以上とすることで、モノマーを重合し、かつ炭化して炭素同素体を形成することが可能になる。加熱温度を250℃以下とすることで、炭素繊維を劣化させることなく、炭素同素体を形成することが可能である。
本製造方法において加熱時間は、1分以上であることが好ましい。加熱時間を1分以上とすることで、上記加熱により、モノマーを重合させ、かつ炭化させて炭素同素体を形成することが可能になる。また、加熱時間は、2分以上がより好ましい。加熱時間は、生産性を高める観点から、30分以下が好ましく、15分以下がより好ましく、10分以下がさらに好ましい。なお、加熱時間は、上記加熱温度において加熱する時間を意味する。
大粒径の粒子を作るためには、多量のモノマーと、長い反応時間が必要であったが、以上の本製造方法では、既に合成された無機粒子を使用することで、比較的大きな粒径を有する被膜無機粒子によって炭素繊維束を開繊させることが可能になる。さらに、炭素繊維間に架橋を形成したり、被膜無機粒子を炭素繊維に接着させたりすることもできる。したがって、本製造方法によれば、開繊状態が良好な開繊繊維束を高い生産性で製造できる。
[繊維強化複合材料]
本発明の繊維強化複合材料は、上記した開繊炭素繊維束と、開繊炭素繊維束に含浸されたマトリックス樹脂と含む。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂のいずれであってもよいが、含浸性という課題を有し、かつ繊維強化複合材料に優れた曲げ弾性率及び曲げ強度を付与できる観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリエーテルケトンなどが挙げられ、繊維間に含浸する際に影響する粘度と機械物性のバランスがよいポリオレフィン系樹脂や、粘度が高いが耐薬品性に優れる塩化ビニル樹脂、耐熱性に芳香族ポリエーテルケトンが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレン系樹脂などが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどのα-オレフィンなどが挙げられる。
芳香族ポリエーテルケトンとしては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等が挙げられ、ポリエーテルエーテルケトンが耐熱性と機械物性の観点から好ましく用いられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂が好ましい。
繊維強化複合材料において、開繊炭素繊維束の含有量は10~70質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましく、30~50質量%が更に好ましい。繊維強化複合材料において、マトリックス樹脂の含有量は、30~90質量%が好ましく、40~80質量%が好ましく、30~60質量%が更に好ましい。
マトリックス樹脂を開繊炭素繊維束に含浸させる方法は、特に限定されない。例えば、溶融樹脂をシートダイなどを用いてフィルム状に押出し、開繊炭素繊維束上に積層した後に、加熱しながら圧縮することによりマトリックス樹脂を開繊炭素繊維束中に含浸させる方法(フィルム含浸法)や、ダイからマトリックス樹脂と炭素繊維を一度に引き抜く押し出し成形方法などが挙げられ、生産性の観点からフィルム含浸法が好ましく用いられる。
(作用の推測)
本発明の開繊繊維束を、用いることでマトリックス樹脂との相溶性が向上する効果が得られるその理由について、以下に仮説を提示する。
本発明の開繊炭素繊維束は、繊維束が被膜無機粒子によって十分に開繊されている。したがって、マトリックス樹脂は、開繊炭素繊維束に適切な量含浸され、樹脂含浸性が良好になる。また、炭素繊維間が、被膜無機粒子によって架橋され、また被膜無機粒子が炭素繊維に接着すると、圧力などが加わっても炭素繊維束の開繊状態が維持される。そのため、例えば、熱及び圧力を加えてマトリックス樹脂に炭素繊維束を含浸させるような場合でも、炭素繊維束の開繊状態が十分に維持されるので、樹脂含浸性が優れたものとなる。そして、繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂が適切かつ大量に含浸されることで、優れた機械的強度を有したものと考えられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<原料>
[炭素繊維織物]
3K織物:台湾プラスチックス社製 商品名「EC3C」(PAN系炭素繊維束、フィラメント数:3000本、目付量:200g/m2、厚み:0.19mm、平織)
12K織物:台湾プラスチック社製 商品名「ECCN」(PAN系炭素繊維束、フィラメント数:12000本、目付量:400g/m2、厚み:0.575mm、綾織)[シリカ粒子]
シリカ粒子1:日揮触媒化成株式会社製、商品名「ESPHERIQUE N15」(平均粒径10μm、比表面積5m2/g)
[樹脂フィルム]
PP1:プライムポリマー社製、商品名「J108M」(ホモポリプロピレン樹脂)100重量部と、三洋化成工業株式会社製、商品名「ユーメックス1010」(酸変性ポリプロピレン)10重量部とを押出機にて、溶融混練した後、成膜化したPPフィルム。
PC1:住友化学株式会社製 商品名「テクノロイC000」)(ポリカーボネート樹脂フィルム)
PMMA1:住友アクリル販売社製 商品名「S001G」、(ポリメタクリル酸メチル樹脂フィルム)
PEEK1 :信越ポリマー社製 商品名「Shin-Etsu Sepla Film」 (ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム)
実施例1-1
1,5-ジヒドロキシナフタレン10質量部、40質量%メチルアミン水溶液4質量部、及びホルマリン(ホルムアルデヒドの含有量:37質量%)8質量部からなるモノマーと、溶媒としてエタノール水(エタノールの含有量:50質量%)600質量部とを均一に混合して、モノマーを溶解してなるモノマー溶液を作製した。
次に上記モノマー溶液にシリカ粒子(日揮触媒化成株式会社製、商品名「ESPHERIQUE N15」、平均粒径10μm、比表面積5m2/g)を20質量部添加し、開繊含浸液1を製造した。
その後、3K織物を用意し、上記の開繊含浸液に浸漬した後に引き上げ、その後、200℃で2分間加熱した。この加熱によって、ナフトキサジン樹脂の重合反応と、炭化が生じ、ナフトキサジン樹脂由来のアモルファスカーボンが生成し、開繊炭素繊維束が得られた。開繊炭素繊維束における無機粒子及び炭素同素体の合計付着量は、1質量%であった。
得られた開繊炭素繊維束を光学顕微鏡(株式会社KEYENCE製、商品名「VH-2500」)を用いて観察した拡大写真を図1、2に示す。得られた開繊炭素繊維束において、被膜無機粒子は平均粒径が11μmとなって、原料であるシリカ粒子よりも粒径が拡大しており、かつ被膜無機粒子と炭素繊維の接触箇所がアモルファスカーボンによって接着されていることが観察された。したがって、シリカ粒子をコアとし、表面がアモルファスカーボンであるコアシェル粒子が炭素繊維間に入り込み、架橋していると考えられる。よって、無機粒子をコアとして用いることで、硬化性樹脂の重合及び炭化のための加熱時間を短くでき、高い生産性で良好な開繊状態を有する開繊炭素繊維束を製造できた。
また、得られた開繊繊維束の両面を、PP1フィルムによって積層した後に、250℃に加熱しながら2MPaの圧力で3分間に亘って圧縮することにより、ポリプロピレン樹脂を強化繊維束中に含浸させて、厚みが250μm、繊維強化複合体に占める炭素繊維含有率(体積%)が50%の炭素繊維強化複合体(プリプレグ)を得た。
<曲げ弾性率および曲げ強度>
上記した炭素繊維強化複合体を、複数枚数重ねて、熱融着によって一体化させて試験片を作製した。得られた試験片の曲げ弾性率および曲げ強度をJIS K7074に準拠して測定した。結果を表1に示す。
比較例1-1
3K織物からなる開繊繊維束を、未処理の3K織物に変更した以外は実施例1-1と同様とし、PP1と3K織物との炭素繊維強化複合体を作成し、同様に評価した。得られた炭素繊維強化複合体の厚みは250μm、繊維強化複合体に占める炭素繊維含有率(体積%)は50%であった。また、曲げ弾性率及び曲げ強度の結果を表1に示す。
実施例2-1
3K織物を12K織物に変更した以外は、実施例1-1と同様とし、PP1と12K織物との炭素繊維強化複合体を作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2-1
12K織物からなる開繊繊維束を、未処理の12K織物に変更した以外は実施例2-1と同様とし、PP1と12K織物との炭素繊維強化複合体を作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例2-2
PP1をPC1と変更し、積層後の圧縮温度を270℃に設定した以外は実施例2-1と同様とし、PC1と12K織物との炭素繊維強化複合体を作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2-2
12K織物からなる開繊繊維束を、未処理の12K織物に変更した以外は実施例2-2と同様とし、PC1と12K織物との炭素繊維強化複合体を作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例2-3
PP1をPMMA1と変更し、積層後の圧縮温度を270℃に設定した以外は実施例2-1と同様とし、PMMA1と12K織物との炭素繊維強化複合体を作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2-3
12K織物からなる開繊繊維束を、未処理の12K織物に変更した以外は実施例2-3と同様とし、PMMA1と12K織物との炭素繊維強化複合体を作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例2-4
PP1をPEEK1と変更し、積層後の圧縮温度を370℃に設定した以外は実施例2-1と同様とし、PEEK1と12K織物との炭素繊維強化複合体を作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2-4
12K織物からなる開繊繊維束を、未処理の12K織物に変更した以外は実施例2-3と同様とし、PEEK1と12K織物との炭素繊維強化複合体を作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007252764000003
上記評価結果から、未開繊の炭素繊維束からなる織物を用いた積層体(比較例)に対して、開繊炭素繊維束からなる織物を用いた積層体は、各種機械強度が著しく向上していることが明らかになった。また、3K織物を用いた時に比べ、12K織物を用いた場合の方が強度の向上幅が大きい理由として、12K織物は、マトリックス樹脂が含浸しにくいが、本発明の開繊処理によって、樹脂の含浸性が大幅に向上したことによるものであると考えられる。

Claims (11)

  1. 複数の炭素繊維からなる炭素繊維束と、前記炭素繊維間に配置される被膜無機粒子とを備え、
    前記被膜無機粒子が、無機粒子と、前記無機粒子を被膜する炭素同素体を含み、
    前記被膜無機粒子の平均粒径が、1~30μmである、開繊炭素繊維束。
  2. 前記炭素同素体がアモルファスカーボンである請求項1に記載の開繊炭素繊維束。
  3. 前記無機粒子が、シリカ粒子である請求項1又は2に記載の開繊炭素繊維束。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維束と、前記開繊炭素繊維束に含浸されたマトリックス樹脂とを含む繊維強化複合材料。
  5. 前記マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である請求項に記載の繊維強化複合材料。
  6. 複数の炭素繊維からなる炭素繊維束を開繊含浸液に接触させる工程と、
    前記開繊含浸液に接触させた炭素繊維束を加熱する工程とを備え、
    前記開繊含浸液が、無機粒子と、合成樹脂を形成し得るモノマーとを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
  7. 前記無機粒子の平均粒径が1~25μmである請求項に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
  8. 加熱時の温度が60℃以上である請求項又はに記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
  9. 加熱時間が1分以上である請求項のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
  10. 前記合成樹脂が、オキサジン系樹脂又はアクリル系樹脂である請求項のいずれか1項に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
  11. 前記オキサジン系樹脂が、ナフトキサジン樹脂である請求項10に記載の開繊炭素繊維束の製造方法。
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