JP2014162116A - 繊維複合材、繊維複合材の製造方法、繊維束及び繊維束の製造方法 - Google Patents

繊維複合材、繊維複合材の製造方法、繊維束及び繊維束の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度を有する繊維複合材の製造工程を簡略化する。
【解決手段】繊維複合材1は、繊維束10と、樹脂30と、スペーサ20とを備える。繊維束10は、複数の繊維11を有する。樹脂30は、繊維束10に含浸されている。スペーサ20は、繊維11間に配されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、繊維複合材、繊維複合材の製造方法、繊維束及び繊維束の製造方法に関する。
従来、樹脂を含浸した炭素繊維束からなる炭素繊維複合材が知られている。炭素繊維複合材は、引張弾性率や引張強度に優れている。このため、炭素繊維複合材は、スポーツ用途、レジャー用途、航空宇宙用途、風力発電用途等の用途に幅広く用いられている。
炭素繊維複合材の強度を向上する観点からは、高粘度の熱可塑性樹脂を繊維束の中央部にまで確実に含浸させる必要がある。それを実現し得る方法として、特許文献1には、炭素繊維束を一旦開繊し、開繊させた炭素繊維束に樹脂を含浸させる方法が記載されている。
特開2005−29912号公報
特許文献1に記載の方法では、開繊工程が必須となり、炭素繊維複合材の製造工程が煩雑である。
本発明の主な目的は、高強度を有する繊維複合材の製造工程を簡略化することにある。
本発明に係る繊維複合材は、繊維束と、樹脂と、スペーサとを備える。繊維束は、複数の繊維を有する。樹脂は、繊維束に含浸されている。スペーサは、繊維間に配されている。
本発明に係る繊維複合材において、スペーサの平均粒子径が、繊維の平均直径の0.2倍〜1.5倍であることが好ましい。
本発明に係る繊維複合材において、繊維束に含まれる繊維の本数が、3000本以上であることが好ましい。
本発明に係る繊維複合材において、複数の繊維が、炭素繊維を含むことが好ましい。
本発明に係る繊維複合材において、樹脂が熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
本発明に係る繊維複合材において、樹脂がポリオレフィンを含むことが好ましい。
本発明に係る繊維複合材において、樹脂がポリプロピレンを含むことが好ましい。
本発明に係る繊維複合材の製造方法では、複数の繊維と、繊維間に配されたスペーサとを有する繊維束を用意する用意工程を行う。スペーサを有する繊維束に樹脂を含浸させる。
本発明に係る繊維複合材の製造方法において、用意工程は、複数の繊維を有する繊維束を用意する工程と、繊維束にスペーサを導入する導入工程とを含むことが好ましい。
本発明に係る繊維複合材の製造方法において、導入工程は、スペーサの材料を含む溶液を繊維束に含浸させる含浸工程と、溶液中にスペーサを発生させる発生工程とを含むことが好ましい。
本発明に係る繊維複合材の製造方法において、スペーサの材料として樹脂を用い、発生工程において、溶液を加熱し、スペーサの材料としての樹脂を析出させることによりスペーサを形成することが好ましい。
本発明に係る繊維複合材の製造方法において、スペーサの材料として、ナフトキサジン樹脂を用いることが好ましい。
本発明に係る繊維束は、複数の繊維と、繊維間に配されたスペーサとを備える。
本発明に係る繊維束において、スペーサの平均粒子径が、繊維の平均直径の0.2倍〜1.5倍であることが好ましい。
本発明に係る繊維束において、繊維束に含まれる繊維の本数が、3000本以上であることが好ましい。
本発明に係る繊維束の製造方法では、複数の繊維を有する繊維束を用意する。スペーサの材料を含む溶液を繊維束に含浸させる含浸工程を行う。溶液中にスペーサを発生させることにより、繊維間に配されたスペーサを有する繊維束を得る発生工程を行う。
本発明に係る繊維束の製造方法において、スペーサの材料として樹脂を用い、発生工程において、溶液を加熱し、スペーサの材料としての樹脂を析出させることによりスペーサを形成することが好ましい。
本発明に係る繊維束の製造方法において、スペーサの材料として、ナフトキサジン樹脂を用いることが好ましい。
本発明によれば、高強度を有する繊維複合材の製造工程を簡略化することができる。
本発明の一実施形態における繊維束の略図的斜視図である。 図1のII部分を拡大した略図的端面図である。 本発明の一実施形態におけるスペーサ含有繊維束の略図的端面図である。 本発明の一実施形態における繊維複合材の略図的斜視図である。 図4のV部分を拡大した略図的端面図である。 実施例において作製した炭素繊維束の縦断面の光学顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものである。図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
本実施形態では、図1〜3を参照しながら図4及び図5に示される繊維複合材1の製造方法について説明する。
まず、図1及び図2に示される繊維束10を用意する。図2に示されるように、繊維束10は、複数の繊維11を有する。繊維11間は、空隙になっている。繊維11の種類は、特に限定されない。繊維11は、例えば、炭素繊維、樹脂繊維、ガラス繊維、天然繊維等であってもよい。なかでも、高強度の繊維複合材1を得る観点からは、繊維11は、炭素繊維により構成されていることが好ましい。好ましく用いられる炭素繊維としては、例えば、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維などであってもよい。繊維束10に含まれる複数の繊維11は、例えば、炭素繊維のみであってもよいし、炭素繊維と、炭素繊維以外の繊維により構成されていてもよい。
繊維11の直径は、特に限定されないが、4μm〜20μm程度であることが好ましい。繊維11が炭素繊維である場合は、繊維11の直径は、5μm〜10μmであることがより好ましい。
繊維束10が有する繊維11の本数は、特に限定されないが、3,000本以上であることが好ましく、6,000本以上であることが好ましく、24,000本以上であることがより好ましい。繊維束10が有する繊維11の本数は、通常、80,000本以下である。
なお、繊維11は、カーボン繊維クロスを構成していてもよい。
次に、繊維束10内にスペーサ20(図3を参照)を導入し、スペーサ含有繊維束10aを作製する(導入工程)。具体的には、まず、スペーサ20の材料を含む溶液に繊維束10を浸漬する。これにより、溶液が繊維束10内に浸入し、溶液が繊維束10に含浸される(含浸工程)。溶液を繊維束10に含浸させる方法としては、例えば、溶液をスプレー塗布したり、溶液に繊維束10を浸漬させたりする方法が挙げられる。溶液が繊維束10に含浸される工程において、繊維束10は、通常、膨潤する。
その後、溶液中にスペーサ20を発生させる(発生工程)。例えば、溶液を加熱し、溶液に熱エネルギーを付与したり、他の種類のエネルギーを溶液に付与したりすることにより、スペーサ20の材料(例えば、樹脂)を析出させることによりスペーサ20を発生させる。その後、例えば100℃〜300℃程度に加熱する乾燥工程などを行うことによりスペーサ含有繊維束10aを完成させることができる。
スペーサ20の材料としては、例えば、樹脂を用いることができる。スペーサ20の材料として好適に用いられる樹脂の具体例としては、例えば、オキサジン樹脂などを挙げることができる。また、スペーサ20の材料として、加熱中にオキサジン樹脂を発生させるフェノール類、アミン類、ホルムアルデヒド等の原料を溶液に含ませてもよい。
好ましく用いられるオキサジン樹脂の具体例としては、例えば、ベンゾオキサジン樹脂、ナフトキサジン樹脂などが挙げられる。それらのなかでも、ナフトキサジン樹脂がより好ましく使用される。
なお、「オキサジン樹脂」とは、ベンゼン環、ナフタレン環に付加しており、酸素及び窒素を含む6員環を有する樹脂をいう。ベンゾオキサジン樹脂は、下記の化学式(1)に示す構造を有する。ナフトキサジン樹脂は、下記の化学式(2)に示す構造を有する。
以下、本実施形態においては、ナフトキサジン樹脂をスペーサ20の材料として用いる例について詳細に説明する。
ナフトキサジン樹脂の原料としては、フェノール類であるジヒドロキシナフタレンと、ホルムアルデヒドと、アミン類とを用いることができる。
ジヒドロキシナフタレンには、多くの異性体が存在する。ジヒドロキシナフタレンの異性体としては、例えば、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンなどが挙げられる。これらのうち、反応性の高さから、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレンが好ましく用いられ、なかでも、1,5−ジヒドロキシナフタレンがより好ましく用いられる。
ホルムアルデヒドは、ホルマリンとして用いることが好ましい。ホルマリンには、ホルムアルデヒド及び水に加えて、安定剤として少量のメタノールが添加されていてもよい。ホルムアルデヒドに代えて、パラホルムアルデヒドを用いることも可能である。
ホルムアルデヒドは、ジヒドロキシナフタレン1モルに対して1.6〜2.4モル添加されることが好ましい。
アミン類としては、一般式R−NHで表される脂肪族アミンが好ましく用いられる。一般式R−NHにおいて、Rは、炭素数が5以下であるアルキル基であることが好ましい。炭素数が5以下であるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロプロピルエチル基、シクロプロピルメチル基等が挙げられる。なかでも、炭素数が5以下であるアルキル基としては、分子量が小さな、メチル基、エチル基、プロピル基等が好ましい。すなわち、アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等が好ましく用いられ、なかでも、メチルアミンがより好ましく用いられる。
アミン類は、ジヒドロキシナフタレン1モルに対して0.8〜1.2モル添加されることが好ましい。
スペーサ20の材料を含む溶液の溶媒は、スペーサ20の材料を溶解させることができるものである限り、特に限定されない。好ましく用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、エタノール等のアルコールなどが挙げられる。
溶媒の量は、溶質100質量部に対して、通常、400質量部〜3000質量部程度とすることが好ましい。
ジヒドロキシナフタレン、ホルムアルデヒド、アミン類が溶解した溶液を、例えば、50℃以上に加熱することにより、粒子状のスペーサを発生させることができる。スペーサ発生の機構としては、以下の機構が考えられる。加熱によりジヒドロキシナフタレンから、疎水性のオキサジン環が形成される。さらに、このオキサジン環は、開環重合し、高分子量化していく。これにより、スペーサ20としての粒子が生成する。粒子は、一次粒子として存在していてもよいし、凝集した二次粒子として存在していてもよい。生成した粒子は、さらなる加熱工程や、乾燥工程において炭化し、炭素粒子となってもよい。
なお、上記スペーサの導入方法は、単なる例示である。他の方法によりスペーサを繊維束内に導入してもよい。また、繊維束を形成する前に、予め繊維にスペーサを付着させておいてもよい。
上記のように作製されたスペーサ含有繊維束10aは、複数の繊維11と、繊維11間に配されたスペーサ20とを備えている。スペーサ20の平均粒子径は、繊維11の直径の0.2倍〜1.5倍であることが好ましく、0.4倍〜1.0倍であることがより好ましい。
なお、本実施形態では、スペーサ20は、粒子状であるが、本発明において、スペーサの形状は粒子状に限定されない。繊維11間にスペースを確保できる形状である限りにおいて、スペーサは、どのような形状を有していてもよい。スペーサは、例えば、針状等であってもよい。
スペーサ20は、繊維11間にスペースを確保できるものであれば特に限定されない。スペーサ20の構成材料としては、例えば、硬質樹脂やアモルファス炭素等が挙げられる。
スペーサ20は、100重量部の繊維11に対して、通常1重量部〜5重量部程度含まれていることが好ましく、2重量部〜4重量部含まれていることがより好ましい。スペーサ20が少なすぎると、後述する樹脂の含浸が困難となる。一方、スペーサ20が多すぎると、得られる繊維複合材1の強度が低下する場合がある。
次に、以上の要領で作製されたスペーサ含有繊維束10aに、樹脂30(図5を参照)を含浸させることにより繊維複合材1を完成させる。繊維複合材1の耐衝撃強度をより高くする観点からは、樹脂30は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。好ましく用いられる熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン樹脂(登録商標)、PPS樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、軽量なポリプロピレンなどのポリオレフィン等がより好ましく用いられる。さらには、ポリプロピレンのなかでも、アイソタクチックなポリプロピレンがより好ましく用いられる。ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
なお、ポリプロピレンは、プロピレン単位が重合した部分を有すればよく、例えば、少量のエチレン、1−ブテン等を含んだランダムポリマーやブロックポリマーなどであってもよい。
樹脂30をスペーサ含有繊維束10aに含浸させる方法は、特に限定されない。例えば、溶融させた樹脂30を、シートダイ等を用いてフィルム状に押し出し、スペーサ含有繊維束10aの上に積層した後に、加熱しながら圧縮することにより樹脂30を含浸させてもよい。
本実施形態において製造された繊維複合材1は、複数の繊維11を有する繊維束10と、繊維束10に含浸された樹脂30に加え、繊維11間に配されたスペーサ20をさらに備える。繊維複合材1において、繊維11の含有量は、10〜70質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。繊維複合材1において、樹脂30の含有量は、30〜90質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることがより好ましい。
本実施形態では、繊維複合材1は、横断面が略矩形状である帯状の形状を有する。但し、本発明において、繊維複合材の形状は特に限定されない。繊維複合材の形状は、使用用途等に応じて適宜設計される。
以上説明したように、本実施形態では、繊維11間にスペーサ20を配する。このため、繊維11間に樹脂30が流入する隙間が確保される。よって、繊維束10aの全体に樹脂30を確実に含浸させることができる。よって、高強度な繊維複合材1を容易に製造することができる。例えば、繊維束10aに含まれる繊維11が12,000本以上、さらには24,000本以上と多い場合には、繊維束10aの中央部に樹脂30がより含浸しにくくなるが、スペーサ20を用いることによって、そのような場合にも全体に確実に樹脂30を含浸させることができる。
樹脂30の流入をより容易にする観点からは、スペーサ20の平均粒子径が、繊維11の平均直径の0.2倍以上であることが好ましく、0.4倍以上であることがより好ましい。但し、スペーサ20が大きすぎると、繊維複合材1の単位断面積あたりの強度が低下する場合がある。従って、スペーサ20の平均粒子径が、繊維11の平均直径の1.5倍以下であることが好ましく、1.0倍以下であることがより好ましい。
スペーサ含有繊維束10aにおいて、スペーサ20は、100重量部の繊維11に対して、1重量部以上含まれていることが好ましく、2重量部以上含まれていることがより好ましく、3重量部以上含まれていることがさらに好ましい。但し、スペーサ20が多すぎると、得られる繊維複合材1の単位断面積あたりの強度が低くなる場合がある。従って、スペーサ含有繊維束10aにおいて、スペーサ20は、100重量部の繊維11に対して、5重量部以下含まれていることが好ましい。
スペーサ20は、樹脂30の含浸時に変形しないものであることが好ましい。よって、スペーサ20は、炭素粒子により構成されていることが好ましい。
本実施形態のように、溶液を含浸させた後にスペーサ20を発生させる方法であれば、スペーサ20の導入や、樹脂の含浸に際して繊維束10を開繊させる必要がないため、繊維複合材1を簡単な製造工程で容易に、かつ高い製造効率で製造することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例)
エタノール(和光純薬社製、品番057−00456)を20g、1,5−ジヒドロキシナフタレン(和光純薬社製、品番048−02342)2.0g、40%メチルアミン水溶液(和光純薬社製、品番132−01857)1.0g、及び37%ホルムアルデヒド水溶液(和光純薬社製、品番064−00406)2.0gをこの順番でビーカーに加え、攪拌することで溶液を調製した。
次に、炭素繊維束(台湾プラスチック社製、TC35−24K)と上記溶液とを接触させた後に、ゴムローラーでピンチすることにより、炭素繊維束に溶液を含浸させた。
次に、この炭素繊維束を、2枚のPETフィルム(帝人株式会社製、G2−100)で狭持した状体で70℃に設定された熱風オーブン中に配置し、3分間加熱した。
PETフィルムから炭素繊維束を取り外し、目視確認したところ、炭素繊維束は、濡れた状態であり、溶媒が蒸発せずに残存していることが確認された。
次いで、炭素繊維束を170℃に設定された熱風オーブン中に20分放置することにより溶媒を除去した。
次に、炭素繊維束内を光学顕微鏡で観察した。図6に光学顕微鏡写真を示す。図6に示される写真から、繊維間に直径が約1μm〜10μmの粒子(スペーサ)が導入されていることが分かる。処理前後の炭素繊維束の重量差から、粒子は、炭素繊維束100重量部に対して、大凡3重量部含まれているものと推察された。
次に、射出成形グレードのポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製、品番MA3H,MFR=10)を加熱プレスし、大凡250μmの厚みのシートに成形した。このシートを炭素繊維束に積層し、200℃に加熱された熱板を用いて、東洋精機株式会社製30tプレス器で10kgf/cmの圧力で1分間圧縮することにより、炭素繊維束にポリプロピレンを含浸させた。その結果、厚さ約0.2mmの炭素繊維複合材が得られた。
(比較例)
スペーサを導入しなかったこと以外は実施例と同様にして炭素繊維複合材を作製した。
(樹脂の含浸度合いの確認)
実施例及び比較例で作製した炭素繊維複合材の横断面を光学顕微鏡(株式会社ニコン社製、Nikon Eclipse L200)を用いて確認した。その結果、実施例において作製した炭素繊維複合材では、ほぼ全体に樹脂が含浸されていた。一方、比較例において作製した炭素繊維複合材では、半分程度にしか樹脂が含浸されていなかった。
(引張試験)
株式会社島津製作所社製オートグラフAB−10TBを用いて、巾10mm、スパン50mmの短冊状のサンプルの繊維の延びる方向における引張強度を測定した。結果を下記の表1に示す。なお、引張速度は、5mm/分とした。
表1に示される結果から、スペーサを導入した実施例の方が、スペーサを導入しなかった比較例よりも優れた強度を有することが分かる。
1…繊維複合材
10…繊維束
10a…スペーサ含有繊維束
11…繊維
20…スペーサ
30…樹脂

Claims (18)

  1. 複数の繊維を有する繊維束と、
    前記繊維束に含浸された樹脂と、
    前記繊維間に配されたスペーサと、
    を備える、繊維複合材。
  2. 前記スペーサの平均粒子径が、前記繊維の平均直径の0.2倍〜1.5倍である、請求項1に記載の繊維複合材。
  3. 前記繊維束に含まれる前記繊維の本数が、3,000本以上である、請求項1または2に記載の繊維複合材。
  4. 前記複数の繊維が、炭素繊維を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維複合材。
  5. 前記樹脂が熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維複合材。
  6. 前記樹脂がポリオレフィンを含む、請求項5に記載の繊維複合材。
  7. 前記樹脂がポリプロピレンを含む、請求項6に記載の繊維複合材。
  8. 複数の繊維と、前記繊維間に配されたスペーサとを有する繊維束を用意する用意工程と、
    前記スペーサを有する繊維束に樹脂を含浸させる工程と、
    を含む、繊維複合材の製造方法。
  9. 前記用意工程は、
    前記複数の繊維を有する繊維束を用意する工程と、
    前記繊維束にスペーサを導入する導入工程と、
    を含む、請求項8に記載の繊維複合材の製造方法。
  10. 前記導入工程は、
    前記スペーサの材料を含む溶液を前記繊維束に含浸させる含浸工程と、
    前記溶液中に前記スペーサを発生させる発生工程と、
    を含む、請求項9に記載の繊維複合材の製造方法。
  11. 前記スペーサの材料として樹脂を用い、
    前記発生工程において、前記溶液を加熱し、前記スペーサの材料としての樹脂を析出させることにより前記スペーサを形成する、請求項10に記載の繊維複合材の製造方法。
  12. 前記スペーサの材料として、ナフトキサジン樹脂を用いる、請求項11に記載の繊維複合材の製造方法。
  13. 複数の繊維と、
    前記繊維間に配されたスペーサと、
    を備える、繊維束。
  14. 前記スペーサの平均粒子径が、前記繊維の平均直径の0.2倍〜1.5倍である、請求項13に記載の繊維束。
  15. 前記繊維束に含まれる前記繊維の本数が、3,000本以上である、請求項13または14に記載の繊維束。
  16. 複数の繊維を有する繊維束を用意する工程と、
    前記スペーサの材料を含む溶液を前記繊維束に含浸させる含浸工程と、
    前記溶液中に前記スペーサを発生させることにより、前記繊維間に配されたスペーサを有する繊維束を得る発生工程と、
    を備える、繊維束の製造方法。
  17. 前記スペーサの材料として樹脂を用い、
    前記発生工程において、前記溶液を加熱し、前記スペーサの材料としての樹脂を析出させることにより前記スペーサを形成する、請求項16に記載の繊維束の製造方法。
  18. 前記スペーサの材料として、ナフトキサジン樹脂を用いる、請求項17に記載の繊維束の製造方法。
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